JP2018096043A - 建築用面構造 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]構造用面材をその裏面側に配置される桟に取り付ける建築用面構造であって、
前記構造用面材の裏面に設けられる補強シートを有し、かつ前記補強シートが、繊維補強材、樹脂フィルム、及び金属シートからなる群から選択される少なくとも1種である建築用面構造。
[2]前記構造用面材が石膏用ボードである、上記[1]に記載の建築用面構造。
[3]前記補強シートが、フラットヤーンクロスである上記[1]又は[2]に記載の建築用面構造。
[4]前記フラットヤーンクロスが、フラットヤーンが3軸格子目状に並べられたものである、上記[3]に記載の建築用面構造。
[5]前記フラットヤーンクロスが、フラットヤーン幅が0.5〜5.0mmであるとともに、フラットヤーンが0.5〜50mmピッチで並べられる上記[3]又は[4]に記載の建築用面構造。
[6]前記桟が、木枠材である上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の建築用面構造。
[7]前記構造用面材及び前記補強シートを貫通し、かつ前記桟まで到達するように構造用面材の表面から挿入されたビス、釘、及びネジのいずれかにより、前記構造用面材を前記桟に固定させる上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の建築用面構造。
[8]前記補強シートと、前記桟の間に配置される両面粘着テープをさらに有する上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の建築用面構造。
[9]構造用面材を、その裏面側に配置される桟に取り付ける建築用面構造の製造方法であって、
前記構造用面材の裏面には補強シートが設けられており、かつ前記補強シートが、繊維補強材、樹脂フィルム、及び金属シートからなる群から選択される少なくとも1種である建築用面構造の製造方法。
(建築用面構造)
本発明の建築用面構造は、その裏面側に配置される桟に取り付ける建築用面構造であって、構造用面材の裏面に設けられる補強シートを有する。
石膏ボード16は、地震などの振動や変形によって割れなどが生じて破損しやすいが、補強シート18を使用することで、そのような振動による割れを適切に防止することが可能になる。
石膏ボードは、石膏を主体として種々の添加剤を配合した石膏スラリーを、一対の石膏ボード原紙の間に挟み込ませ、その後、石膏スラリーを乾燥などすることで製造することができる。また、一方の石膏ボード原紙の代わりに補強シートを用いると、石膏芯に補強シートを直接積層した石膏ボードを製造できる。さらに、一方の石膏ボード原紙に予め補強シートを貼付しておいて、石膏ボード原紙と、石膏ボード原紙及び補強シートの積層体との間に石膏スラリーを挟み込んで製造してもよい。
ただし、石膏ボード16は、ビス17の代わりに、石膏ボード16の表面から打ち付けられた釘によって固定されてもよいし、ネジによって固定されてもよい。ネジは、石膏ボード16及び木枠材12に予め設けられたネジ穴、ナットなどに挿入される。さらに、ビス、釘、又はネジを挿入した壁構造10においては、石膏ボード16の表面側に、和紙などの紙を上貼りしてもよい。
すなわち、第2の実施形態では、補強シート18と木枠材12の間に、両面粘着テープ20が配置され、石膏ボード16は、両面粘着テープ20によって木枠材12に貼り合わされる。両面粘着テープ20は、木枠材12の正面形状に対応した形状を有している。具体的には、両面粘着テープ20は、木枠材12の開口部15を取り囲む矩形環形状に型抜きされたものでもよいし、縦枠材13、横枠材14の形状に合わせて細長状のものとしてもよく、そのような両面粘着テープ20を複数枚使用すればよい。
さらに、石膏ボード16は、ビス、釘、ネジ止めされる場合には、そのビス、釘、ネジ止めされた部分を両面粘着テープ20によって保護することも可能である。
なお、第3の実施形態でも、石膏ボード16を、両面粘着テープに加えて、ビス、釘、又はネジによっても木枠材12に固定してもよい。さらに、第1の実施形態と同様に、両面粘着テープを省略して、石膏ボード16を、ビス、釘、又はネジによって木枠材12に固定してもよい。
同様に、正面側と背面側の構造用面材は、異なる手段で固定されてもよい。例えば、正面側の構造用面材が両面粘着テープによって固定され、背面側の構造用面材がビス、釘、又はネジによって固定されてもよい。
補強シートに使用される繊維補強材は、組布、織布、編布、割布などが挙げられる。
ここで、組布とは、二方向以上に配列され、かつ互いに交差するように積層してヤーンを網目状に配置し、交差するヤーン同士を接着剤などで固定したものである。組布の具体例としては、フラットヤーンクロスが好ましい。
補強シート18に使用されるフラットヤーンクロスは、フラットヤーンが互いに交差して網目に形成された部材である。フラットヤーンクロスは、ヤーンが平面シート状であるので、構造用面材に対する密着性が高くなり、構造用面材を効果的に補強することが可能になる。
具体的には、図5、6に示すように、フラットヤーンクロスは、複数本のフラットヤーン18Aが2軸方向、例えば、縦方向及び横方向に交差して格子目状に形成されていてもよいし、図7、8に示すように複数本のフラットヤーン18Aが3軸方向又はそれ以上の方向(例えば、4軸方向)に交差して格子目状に形成されていてもよい。複数本のフラットヤーン18Aが2軸方向に交差している場合、例えば、図5に示すように互いの軸が直角に交差していてもよいし、図6に示すように直角よりも小さい角度で交差していてもよい。また、例えば、複数本のフラットヤーン18Aが3軸方向に交差している場合は、図7に示すように、フラットヤーン18Aが縦方向、横方向及び斜め方向の3方向に交差している場合や、図8に示すように、フラットヤーン18Aが横方向及びこの横方向に対して両斜め方向の3方向に交差している場合が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらのうちでは、ヤーンを密に配置して、構造用面材の損傷をより有効に防止する観点から、フラットヤーンが3軸格子目状に並べられたフラットヤーンクロスが好ましい。
なお、ヤーン幅及びピッチは、フラットヤーンクロスにおけるヤーンの幅、及びピッチそれぞれの平均値であり、ピッチとは、図5〜8に示すように隣接するヤーンとヤーンの中心間の距離Dを意味する。
フラットヤーンを構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体などのポリエチレン系樹脂、アイソタクチックポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂などが挙げられ、これらの熱可塑性樹脂は単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。なお、上記エチレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。これらの中ではポリオレフィン樹脂が好ましい。
なお、補強シート18は、一般的に、製造済みの構造用面材に接着すればよいが、上記したとおりに石膏ボードなどでは構造用面材の製造途中で接着してもよい。
以下、構造用面材を桟に貼り合わせるために使用する両面粘着テープについてより詳細に説明する。両面粘着テープは、支持体の両面に粘着剤層が設けられた粘着テープであってもよいし、いわゆる基材レス両面粘着テープと呼ばれ、粘着剤層単体からなるものであってもよいが、コスト、剪断強度の点から、粘着剤層単体からなるものが好ましい。
なお、両面粘着テープの両面それぞれには、一般的に、剥離シートが貼付されており、その剥離シートを剥離した後に被着体(すなわち、補強シート及び桟)に貼着されるものである。剥離シートとしては、樹脂フィルムの一方の面にシリコーン剥離剤等の剥離剤により剥離処理したものなどが使用され、剥離シートは剥離処理面が粘着剤層に接触するように貼付される。
また、両面粘着テープの粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びシリコーン系粘着剤などが挙げられる。これらは単独で使用してよいし、組み合わせて使用してもよい。これらの中では、アクリル系粘着剤を使用することが好ましい。アクリル系粘着剤を使用すると、両面粘着テープが粘着剤層単体からなる場合に、剪断強度、及びピール粘着力を後述する所望の範囲に調整しやすくなる。
上記剪断強度は、より好ましくは40〜120N/cm2、さらに好ましくは50〜100N/cm2である。また、ピール粘着力は、より好ましくは35〜80N/24mm、さらに好ましくは40〜70N/24mmである。
両面粘着テープの厚さは、好ましくは200〜1500μmが好ましく、400〜900μmがより好ましく、500〜800μmがさらに好ましい。両面粘着テープの厚さをこれら下限値以上とすると、地震時の繰り返し振動に対する緩和が容易になり、剥離しにくくなる。また、上限値以下とすると、両面粘着テープの保持性が良好になりやすくなる。
なお、両面粘着テープの厚さとは、両面粘着テープが粘着剤層単体からなる場合には、粘着剤層単体の厚さを意味し、支持体の両面に粘着剤層が設けられた粘着テープである場合には、一方の粘着剤層表面から他方の粘着剤層表面までの厚さを意味する。
以下、粘着剤層に使用されるアクリル系粘着剤の一実施形態についてより詳細に説明する。アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)を含む重合性モノマーを重合したアクリル系重合体を含有する粘着剤である。
なお、本明細書において、用語「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、アクリル酸アルキルエステル、及びメタクリル酸アルキルエステルの両方を含む概念を指すものであり、他の類似の用語も同様である。また、用語「重合性モノマー」は、繰り返し単位を有しない化合物のみならず、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)と共重合する化合物であれば、後述するオレフィン重合体(C)などのモノマー自身が繰り返し単位を有するものも含みうる概念を指す。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)は、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコールとのエステルであって、脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数が、好ましくは2〜14、より好ましくは4〜10である脂肪族アルコールに由来するアルキルエステルが好ましい。アルキル基の炭素数がこの範囲内であると、粘着剤層のガラス転移温度(Tg)を適切な温度範囲にして、ピール粘着力を上記した範囲に調整しやすくなる。
これらの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレートが好ましく、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はこれらの組み合わせがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、粘着剤における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位の含有量は、後述する粘着剤組成物における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量と実質的に同じであるので、置き換えて表すことができる。以下で説明する(B),(C)成分など、(A)成分以外の成分も同様である。
重合性モノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)に加えて、極性基含有ビニルモノマー(B)を含有することが好ましい。極性基含有ビニルモノマー(B)は、極性基とビニル基を有するものである。粘着剤層に極性基含有モノマー(B)を用いることで、粘着剤層のTg、凝集力、ピール粘着力などを調整しやすくなる。
極性基含有ビニルモノマー(B)としては、例えば、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー;(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーが挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸が更に好ましい。これらの極性基含有ビニルモノマー(B)は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性モノマーは、さらに末端に重合性結合を有するオレフィン重合体(C)を含むことが好ましい。このようなオレフィン重合体(C)を使用することで、粘着剤の剪断強度を高くし、両面粘着テープが粘着剤層単体からなるような場合でも、両面粘着テープの剪断強度及びピール粘着力を上記した所望の範囲に調整しやすくなる。なお、重合性結合は、重合性モノマーと重合することが可能な不飽和の炭素−炭素結合を意味し、例えば不飽和二重結合が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
オレフィン重合体(C)としては、(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが挙げられ、例えば、片末端のみに(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィン、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが挙げられる。なお、ポリオレフィンとは、エチレン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、イソプレンなどの二重結合を有する脂肪族炭化水素化合物の重合体、又はその水素添加物である。
オレフィン重合体(C)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、オレフィン重合体(C)として、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンなどを使用すると、アクリル系重合体を網目状に重合することが可能となる。そのため、粘着剤の凝集力を高めやすくなり、ピーク粘着力を上記所望の範囲に調整しやすくなる。
さらに、凝集力、剪断強度、ピール粘着力などを良好にする観点から、オレフィン重合体(C)としては、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体と、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体とを併用することが好ましい。
また、粘着剤においてオレフィン重合体(C)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましく、4〜12質量部がさらに好ましい。
重合性モノマーは、上記した(A)〜(C)以外のその他のモノマーを含んでいてもよい。その他のモノマーとしては、スチレン系モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、及びp−メチルスチレン等が挙げられる。
また、多官能モノマーとしては、ビニル基を2つ以上有するモノマーが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能モノマーを使用すると、アクリル系重合体に網目構造を形成することが可能になる。
具体的な多官能モノマーとしては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトシキ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトシキ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化グリセリルトリアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジアクリレート等が挙げられる。
その他のモノマーを使用する場合、粘着剤において、その他のモノマー由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、0.5〜15質量部、より好ましくは1〜7質量部、更に好ましくは1〜5質量部である。
アクリル系粘着剤は、粘着力を向上させる観点から、粘着付与樹脂を含有してもよい。粘着付与樹脂としては、水添テルペン樹脂、水添ロジン、不均化ロジン樹脂、石油樹脂等の重合阻害性の低い粘着付与樹脂が好ましい。これらの中でも、粘着付与樹脂が二重結合を多く有していると重合反応を阻害することから、水添系のものが好ましく、中でも水添石油樹脂が好ましい。
粘着付与樹脂の軟化点は、粘着剤の凝集力及び粘着力を向上させる観点から、95℃以上程度であればよいが、120℃以上のものを含むことが好ましく、例えば、95℃以上120℃未満のものと、120℃以上150℃以下のものとを併用してもよい。なお、軟化点は、JISK2207に規定される環球法により測定すればよい。
アクリル系粘着剤における粘着付与樹脂の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは7〜35質量部、さらに好ましくは10〜25質量部である。
アクリル系粘着剤は、微粒子を含有してもよい。微粒子を含有させることで、粗面である桟及び構造用面材に対する粘着力、並びに、粘着剤の凝集力を向上させることができる。
微粒子としては、ガラスバルーン、シラスバルーン、及びフライアッシュバルーン等の無機質中空粒子、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、及びフェノール樹脂等からなる有機質中空粒子、ガラスビーズ、シリカビーズ、及び合成雲母等の無機質微粒子、ポリアクリル酸エチル、ポリウレタン、ポリエチレン、及びポリプロピレン等の有機質微粒子が挙げられる。
アクリル系粘着剤における微粒子の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは0.7〜5質量部である。
本発明において用いるアクリル系粘着剤は、前述した成分以外にも、可塑剤、軟化剤、顔料、染料、光重合開始剤、難燃剤等の粘着剤に従来使用されている各種の添加剤を含有してもよい。
上記アクリル系粘着剤のゲル分率は、30〜80質量%が好ましい。ゲル分率を下限値以上とすることで、粘着剤の凝集力を高めやすくなる。また、上限値以下とすることで、粘着剤のピール粘着力を高めやすくなる。これら観点からゲル分率は、40〜70質量%がさらに好ましく、45〜65質量%がより好ましい。
ゲル分率は、例えば、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するオレフィン重合体(C),多官能モノマーの配合の有無、及び配合量を適宜調整することで上記した範囲内に調整することが可能である。なお、ゲル分率は下記式(1)より算出することができる。
ゲル分率(質量%)=(B/A)×100 式(1)
A:感圧性粘着剤層(試験片)の重量
B:40℃のテトラヒドロフランに感圧性粘着剤層(試験片)を48時間浸漬し、その後の感圧性粘着剤層の不溶解分の乾燥重量
より具体的に説明すると、まず、重合性モノマー、さらに必要に応じて配合される粘着付与樹脂、微粒子、その他の成分を、ガラス容器等の反応容器に投入して混合して、粘着剤組成物を得る。
次いで、粘着剤組成物中の溶存酸素を除去するために、一般に窒素ガス等の不活性ガスを供給して酸素をパージする。そして、粘着剤組成物を剥離シート上に塗布するか、又は、樹脂フィルム、織布、不織布等の支持体などに塗布した後、光を照射し重合性モノマーを重合することにより粘着剤層を得ることができる。
前記粘着剤組成物の塗布もしくは含浸から光を照射する工程までは、不活性ガス雰囲気下、又はフィルム等により酸素が遮断された状態で行うことが好ましい。
なお、本製造方法では、各成分を混合して得た粘着剤組成物は、粘度を高くするために、剥離シート又は支持体などに塗布する前に予備重合をしてもよい。
次に、粘着剤に使用するゴム系粘着剤について説明する。ゴム系粘着剤は、ゴム成分と、粘着付与樹脂を含有するものであり、ゴム成分としては、スチレン−イソプレンブロック共重合体を使用することが好ましい。スチレン−イソプレンブロック共重合体は、ジブロック率が好ましくは25〜70質量%、より好ましくは30〜65質量%、さらに好ましくは45〜60重量%である。ここでジブロックとは、スチレンとイソプレンとからなるジブロックのことをいう。スチレン−イソプレンブロック共重合体は、ジブロック率が25%以上となることで十分な粘着力が発現し、また、70質量%以下とすることで剪断強度を高めやすくなる。なお、スチレン−イソプレンブロック共重合体は、ジブロック以外にも、スチレン、イソプレン、スチレンブロックからなるトリブロックなどブロックを3つ以上有するものも含有する。
スチレン−イソプレンブロック共重合体の分子量は、特に限定されないが、質量平均分子量で100,000〜400,000が好ましく、150,000〜250,000がより好ましい。なお、ここでいう質量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算分子量として測定されるものをいう。
石油系樹脂としては、脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられ、スチレン−イソプレンブロック共重合体との相溶性の観点から脂肪族系石油樹脂が好ましい。また、石油系樹脂は、軟化点が90〜120℃程度のものを使用することが好ましい。
また、テルペン樹脂としては、軟化点が80〜120℃程度のものが使用可能であるが、粘着力確保の観点から100℃未満のものが好ましい。また、クマロン樹脂としては、凝集力確保のために、軟化点が好ましくは110〜130℃、より好ましくは115〜125℃のものを使用する。
また、石油系樹脂と、テルペン樹脂及びクマロン樹脂から選択される少なくとも1種とを併用する場合、石油系樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、50〜200質量部が好ましく、60〜150質量部が好ましく、60〜110質量部がより好ましい。一方で、テルペン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10〜70質量部が好ましく、20〜60質量部がより好ましく、30〜50質量部がさらに好ましい。さらに、クマロン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10〜60質量部が好ましく、15〜50質量部がより好ましく、20〜40質量部がさらに好ましい。
ゴム系粘着剤は、アクリル系粘着剤と同様に上記した微粒子を含有してもよく、また、ゴム系粘着剤は、必要に応じて、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
上記したウレタン系粘着剤は特に限定されず、例えば、少なくともポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタン系樹脂等が挙げられる。上記ポリオールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物として、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのウレタン系粘着剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ウレタン系粘着剤としては、ポリウレタンポリオールと多官能イソシアネート系硬化剤とを反応させて得られるウレタン系樹脂を使用してもよい。ポリウレタンポリオールは、上記したポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応したもの、又はポリオールとポリイソシアネート化合物とジアミンなどの鎖延長剤とを反応させたものが挙げられる。多官能イソシアネート系硬化剤としては、2以上のイソシアネート基を有する化合物であればよく、上記したイソシアネート化合物を使用可能である。
ウレタン系粘着剤は、ウレタン系樹脂に加えて、上記した微粒子を含有してもよく、また、ウレタン系粘着剤は、必要に応じて、粘着付与樹脂、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
また、シリコーン系粘着剤としては、例えば、付加反応型、過酸化物硬化型又は縮合反応型のシリコーン系粘着剤等が挙げられる。なかでも、低温短時間で硬化可能という観点から、付加反応型シリコーン系粘着剤が好ましく用いられる。なお、付加反応型シリコーン系粘着剤は粘着剤層の形成時に硬化するものである。シリコーン系粘着剤として、付加反応型シリコーン系粘着剤を用いる場合、上記シリコーン系粘着剤は白金触媒等の触媒を含んでいてもよい。
また、シリコーン系粘着剤は、微粒子を含有してもよく、また、架橋剤、粘着力を制御するための各種添加剤を加えたりしてもよい。
[対SUS剪断強度]
幅15mm×長さ15mmに切断した両面接着テープの両面それぞれに、SUS板を貼り合わせ2kgの圧着ローラーを2往復させて接合し、23℃で1時間放置した。23℃、50%RHの環境下、SUS板が両面に貼付された両面接着テープに対して、引張速度300mm/minで剪断方向に引っ張ることで剪断強度を測定した。なお、同様の測定を3回行い、3点平均を対SUS剪断強度とした。
[対SUS90°ピール粘着力]
一方の面にPETフィルム(厚さ25μm)を貼り合わせた両面接粘着テープを幅24mm×長さ150mmに切断し、その後SUS板を貼り合わせ2kgの圧着ローラーを2往復させて接合し、23℃で1時間放置した。その後、23℃、50%RHの環境下、引張速度300mm/minで90°方向に引っ張ることで対SUS90°ピール粘着力として測定した。なお、同様の測定を3回行い、3点平均を対SUS90°ピール粘着力とした。
両面粘着テープを使用して、幅15mm×長さ15mmに切断した両面粘着テープの両面それぞれに、SUS板を貼り合わせ2kgの圧着ローラーを2往復させて接合し、23℃で1時間放置した。
その後、一方のSUS板に対して他方のSUS板を300mm/min、5秒間隔で引張及び元の位置に戻るという操作を複数回繰り返して振動させ、上記と同様に対SUS剪断強度を測定した。そして、初期の対SUS剪断強度が25〜160N/cm2であり、かつ10回以上振動を繰り返しても、対SUS剪断強度が25〜160N/cm2に維持できる場合を“A”と評価した。また、5回以上振動を繰り返した場合に、対SUS剪断強度が25〜160N/cm2に維持できるが、10回以上振動を繰り返すと対SUS剪断強度が25〜160N/cm2に維持できない場合を“B”と評価した。さらに、5回以上振動を繰り返した場合に、対SUS剪断強度が25〜160N/cm2に維持できない場合を“C”と評価した。
306mm×425mmの石膏ボードの片面に、市販の両面粘着テープを用いてフラットヤーンクロスを貼付した。そのフラットヤーンクロスを貼付した石膏ボードを以下の試験により評価した。
図9,10に示すように、第1の石膏ボート16Aのフラットヤーンクロス18を貼付した面上に、38mm×38mmのSPFからなる角材12A,12B,12Cを平行に並べ、その3本の角材12A〜12Cの上に、さらに第2の石膏ボート16Bを載せた。この際、第2の石膏ボード16Bは、フラットヤーンクロス18が貼付した面を角材12A,12B,12Cに面するようにした。
なお、両側の角材12A,12Cは、図10に示すように、中央の角材12Bに対して、長手方向に沿ってずらして配置し、両側の角材12A,12Cの一方の端部が、石膏ボード16A,16Bの一方の端面から突出するように、また、中央の角材12Bの他方の端部が、石膏ボード16A,16Bの他方の端面から突出するように配置した。
さらに、第1及び第2の石膏ボード16A、16Bは、下面側、上面側から打ち付けた釘17A,17B,17Cそれぞれによって角材12A,12B,12Cそれぞれに固定した。釘17A,17B,17Cは、GNF40の釘であった。なお、各角材12A〜12Cそれぞれには、上面側、下面側それぞれから3本の釘を150mm間隔で打ち付けた。
また、両側の角材12A,12Cの一方の端部は、その間に配置された第1の取付冶具25Aにビス26によって固定するとともに、中央の角材12Bの他方の端部には、第2の取付冶具25Bを取り付けた。なお、本試験で使用した各部材の寸法は図10に示したとおりであり、図中の数値はそれぞれmmを意味する。
そして、第1の取付冶具25Aを固定した状態で、第2の取付冶具25Bを角材12Bの長手方向に沿って、引張試験機(テンシロン万能材料試験機、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、引張速度300mm/minで矢印方向に引っ張り、角材12Bと石膏ボード16A,16Bの接合体の強度を確認した。このとき、応力が歪みに対して比例的に増大する弾性変形が終了したときの応力の値を損傷限界強度として評価したところ、3.5kNであった。
実施例で使用したフラットヤーンクロスは以下のとおりである。
ソフTS705(積水フィルム株式会社製)、フラットヤーン幅:1.2mm、ピッチ:5mm、フラットヤーン厚さ:0.068mm、熱可塑性樹脂:ポリエチレン系樹脂、ヤーンを3軸格子状に並べた図8に示すフラットヤーンクロス。
実施例で使用した両面粘着テープは以下のとおりである。
表1に記載の配合にしたがって、粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物に窒素をパージして溶存酸素を除去した。次いで、剥離シートの剥離処理面上に厚さ700μmのスペーサーを設置し、粘着剤組成物を剥離シートの剥離処理面上に塗布した。次いで、塗布した粘着剤組成物の上に、剥離処理面が粘着剤組成物に接するように、別の剥離シートを被覆した。なお、剥離シートとしては、シリコーン離型処理されたPETフィルム(厚み50μm)を使用した。
この状態で被覆側の剥離シートにおける紫外線照射強度が5mW/cm2となるようにケミカルランプのランプ強度を調整し、15分間紫外線を照射し、粘着剤層単体からなり、両面に剥離シートが貼付された両面粘着テープを得た。粘着剤層(すなわち、両面粘着テープ)の厚さは500μmであった。また、粘着剤層の対SUS剪断強度は40N/cm2、対SUS90°ピール粘着力40N/24mmであった。また、この両面粘着テープを使用して、繰り返し対SUS剪断強度を測定して評価したところ、評価結果がAとなった。
オレフィン重合体:商品名「L−1253」、株式会社クラレ製、(メタ)アクリロイル基を片末端に有する水素化ポリブタジエン
粘着付与樹脂1:商品名「アルコンP140」、荒川化学工業株式会社製、水添石油樹脂、軟化点140℃
粘着付与樹脂2:商品名「アルコンP100」、荒川化学工業株式会社製、水添石油樹脂、軟化点100℃
微粒子:商品名「セルスターZ−27」、東海工業株式会社製、ガラスバルーン
重合開始剤:2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
市販の両面粘着テープ(積水化学工業株式会社製、品番「W57 IP05」)を使用して、繰り返し対SUS剪断強度を測定して評価したところ、評価結果がCとなった。なお、参考例1の両面粘着テープは、対SUS剪断強度が70N/cm2、ピール粘着力が20N/24mmであった。
角材12Bに両面粘着テープ20を貼着しなかった点以外は、実施例1と同様に実施したところ、損傷限界強度は2.7kNであった。
角材12A〜12Cに釘17A〜17Cを打ち込まなかった点以外は、実施例1と同様に実施したところ、損傷限界強度は3.5kNであった。
角材12Bに両面粘着テープ20を貼着せず、また、石膏ボード16A,16Bにフラットヤーンクロス18を貼付しなかった点以外は、実施例1と同様に実施して損傷限界強度を測定したところ、損傷限界強度は1.4kNであった。
11 基礎
12 木枠材(桟)
13 縦枠材
14 横枠材
15 開口部
16 石膏ボード(構造用面材)
17 ビス
18 補強シート
20 両面粘着テープ
Claims (9)
- 構造用面材をその裏面側に配置される桟に取り付ける建築用面構造であって、
前記構造用面材の裏面に設けられる補強シートを有し、かつ前記補強シートが、繊維補強材、樹脂フィルム、及び金属シートからなる群から選択される少なくとも1種である建築用面構造。 - 前記構造用面材が石膏用ボードである、請求項1に記載の建築用面構造。
- 前記補強シートが、フラットヤーンクロスである請求項1又は2に記載の建築用面構造。
- 前記フラットヤーンクロスが、フラットヤーンが3軸格子目状に並べられたものである、請求項3に記載の建築用面構造。
- 前記フラットヤーンクロスが、フラットヤーン幅が0.5〜5.0mmであるとともに、フラットヤーンが0.5〜50mmピッチで並べられる請求項3又は4に記載の建築用面構造。
- 前記桟が、木枠材である請求項1〜5のいずれか1項に記載の建築用面構造。
- 前記構造用面材及び前記補強シートを貫通し、かつ前記桟まで到達するように構造用面材の表面から挿入されたビス、釘、及びネジのいずれかにより、前記構造用面材を前記桟に固定させる請求項1〜6のいずれか1項に記載の建築用面構造。
- 前記補強シートと、前記桟の間に配置される両面粘着テープをさらに有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の建築用面構造。
- 構造用面材を、その裏面側に配置される桟に取り付ける建築用面構造の製造方法であって、
前記構造用面材の裏面には補強シートが設けられており、かつ前記補強シートが、繊維補強材、樹脂フィルム、及び金属シートからなる群から選択される少なくとも1種である建築用面構造の製造方法。
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