JP2018096043A - 建築用面構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】桟に石膏ボードなどの構造用面材を取り付けた建築用面構造において、地震などの振動によって、構造用面材が損傷して桟から脱落することを防止する。【解決手段】建築用面構造10は、石膏ボード16をその裏面側に配置される木枠材12に取り付ける建築用面構造であって、石膏ボード16の裏面に設けられる補強シート18を有し、かつ補強シート18が、繊維補強材、樹脂フィルム、及び金属シートからなる群から選択される少なくとも1種である。【選択図】図2

Description

本発明は、壁構造、天井構造、床構造等の建築用面構造に関し、特に、枠組壁工法にて使用する壁構造に関する。
例えば、ツーバイフォー工法と呼ばれる枠組壁工法で施工される建物は、フレーム状に組まれた木枠材に、構造用面材を取り付けた壁構造を有している。構造用面材としては、合板や石膏ボードが一般に使用されている。このうち、石膏ボードは、耐火性に優れており、居住空間に臨む側の構造用面材として広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。石膏ボードは、石膏からなる芯材を石膏ボード用原紙で被覆してなる板状体であり、通常、木枠材に釘またはビスで固定される。
しかしながら、石膏ボードを木枠材などの桟に釘またはビスで固定した構造では、地震の際に、石膏ボードの釘またはビスで固定した箇所に亀裂などの損傷が発生しやすい。そのため、余震などが繰り返されると、亀裂が進行して石膏ボードの破壊に至り、石膏ボードの一部が木枠材から脱落して倒壊するおそれがある。
特許2845784号公報
本発明らは、以上の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、桟に石膏ボードなどの構造用面材を取り付けた建築用面構造において、地震などの振動によって構造用面材が損傷して、桟から脱落することを防止することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の建築用面構造により上記の課題を解決できることを見出し、以下の発明を完成させた。本発明は、以下の[1]〜[9]を提供する。
[1]構造用面材をその裏面側に配置される桟に取り付ける建築用面構造であって、
前記構造用面材の裏面に設けられる補強シートを有し、かつ前記補強シートが、繊維補強材、樹脂フィルム、及び金属シートからなる群から選択される少なくとも1種である建築用面構造。
[2]前記構造用面材が石膏用ボードである、上記[1]に記載の建築用面構造。
[3]前記補強シートが、フラットヤーンクロスである上記[1]又は[2]に記載の建築用面構造。
[4]前記フラットヤーンクロスが、フラットヤーンが3軸格子目状に並べられたものである、上記[3]に記載の建築用面構造。
[5]前記フラットヤーンクロスが、フラットヤーン幅が0.5〜5.0mmであるとともに、フラットヤーンが0.5〜50mmピッチで並べられる上記[3]又は[4]に記載の建築用面構造。
[6]前記桟が、木枠材である上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の建築用面構造。
[7]前記構造用面材及び前記補強シートを貫通し、かつ前記桟まで到達するように構造用面材の表面から挿入されたビス、釘、及びネジのいずれかにより、前記構造用面材を前記桟に固定させる上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の建築用面構造。
[8]前記補強シートと、前記桟の間に配置される両面粘着テープをさらに有する上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の建築用面構造。
[9]構造用面材を、その裏面側に配置される桟に取り付ける建築用面構造の製造方法であって、
前記構造用面材の裏面には補強シートが設けられており、かつ前記補強シートが、繊維補強材、樹脂フィルム、及び金属シートからなる群から選択される少なくとも1種である建築用面構造の製造方法。
本発明によれば、地震などの振動によって、石膏ボードなどの構造用面材が損傷して桟から脱落することを防止する建築用面構造を提供できる。
本発明の実施形態に係る壁構造を示す正面図である。 本発明の第1の実施形態に係る壁構造を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る壁構造を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る壁構造を示す断面図である。 フラットヤーンクロスの一例を示す平面図である。 フラットヤーンクロスの一例を示す平面図である。 フラットヤーンクロスの一例を示す平面図である。 フラットヤーンクロスの一例を示す平面図である。 接合強度を測定するための測定装置を示す断面図である。 接合強度を測定するための測定装置を示す上面図である。
以下、本発明について実施形態を用いてさらに詳細に説明する。
(建築用面構造)
本発明の建築用面構造は、その裏面側に配置される桟に取り付ける建築用面構造であって、構造用面材の裏面に設けられる補強シートを有する。
図1、2は、本発明の第1の実施形態に係る建築用面構造を示す。図1、2に示す建築用面構造は、ツーバイフォー工法の枠組壁工法により建築される建築物の壁構造10である。建築物の基礎11上には、桟を構成する木枠材12が設けられている。木枠材12は、釘打ちなどによって互いに固定された縦枠材13と横枠材14とによって構成され、枠状に組み立てられている。縦枠材13と横枠材14は、枠組壁工法において用いられる角材であり、ツーバイフォー工法では2インチ×4インチの角材が使用される。
木枠材12は、縦枠材13と横枠材14とにより囲まれた空間に、矩形状又は方形状の開口部15を有しており、開口部15を被覆するように、構造用面材を構成する石膏ボード16が取り付けられる。なお、図1では、1つの石膏ボード16によって2つの開口部15を被覆するように石膏ボード16が取り付けられるが、1つの石膏ボード16によって1つまたは3つ以上の開口部15を被覆するように石膏ボード16が取り付けられてもよい。
石膏ボード16は、板状部材からなるものである。石膏ボード16は、例えば、厚さが6〜25mm、幅が300〜1300mm、長さが1000〜4000mm、好ましくは厚さが9〜16mm、幅が600〜1250mm、長さが1800〜3600mmである。
石膏ボード16は、地震などの振動や変形によって割れなどが生じて破損しやすいが、補強シート18を使用することで、そのような振動による割れを適切に防止することが可能になる。
石膏ボードは、一般的には、石膏を主体として種々の添加剤を配合した板状の石膏芯と、その両面を被覆する石膏ボード用原紙とを備えるものである。また、石膏ボードは、裏面側の石膏ボード用原紙が省略され、石膏芯に後述する補強シートを直接積層してもよい。
石膏ボードは、石膏を主体として種々の添加剤を配合した石膏スラリーを、一対の石膏ボード原紙の間に挟み込ませ、その後、石膏スラリーを乾燥などすることで製造することができる。また、一方の石膏ボード原紙の代わりに補強シートを用いると、石膏芯に補強シートを直接積層した石膏ボードを製造できる。さらに、一方の石膏ボード原紙に予め補強シートを貼付しておいて、石膏ボード原紙と、石膏ボード原紙及び補強シートの積層体との間に石膏スラリーを挟み込んで製造してもよい。
図2に示すように、木枠材12に面する各石膏ボード16の裏面には、補強シート18が貼付されている。補強シート18は、繊維補強材、樹脂フィルム、及び金属シートのいずれかである。補強シート18は、石膏ボード16の裏面全面に貼付されてもよいし、石膏ボード16の裏面の一部に貼付されてもよい。なお、一部に貼付される場合、木枠材12に当接する部分に少なくとも補強シート18が配置されるとよい。
石膏ボード16は、木枠材12に複数のビス17によって固定される。複数のビス17は、一般的に、縦枠材13、横枠材14の長手方向に沿って直線状かつ等間隔に並べられている。ビス17は、例えば、5〜25cm程度の間隔で配置すればよい。ビス17は、石膏ボード16及び補強シート18を貫通し、木枠材12に到達するように石膏ボード16の表面から挿入される。
ただし、石膏ボード16は、ビス17の代わりに、石膏ボード16の表面から打ち付けられた釘によって固定されてもよいし、ネジによって固定されてもよい。ネジは、石膏ボード16及び木枠材12に予め設けられたネジ穴、ナットなどに挿入される。さらに、ビス、釘、又はネジを挿入した壁構造10においては、石膏ボード16の表面側に、和紙などの紙を上貼りしてもよい。
本実施形態において壁構造の組み立ては、例えば、まず、裏面に補強シート18が貼付された石膏ボード16を用意し、次いで、基礎11上の木枠材12に、ビス、釘、又はネジを用いて、補強シート18を有する石膏ボード16を固定すればよい。
壁構造10は、地震や風等による水平力に抵抗する耐力壁を構成する。本発明では、石膏ボード16の裏面に補強シート18を設けることで、石膏ボード16を補強する。そのため、地震などの揺れにより、例えばビス、釘、又はネジ止めされた部分を起点として石膏ボード16が損傷するのを防止し、石膏ボード16の崩壊を防止する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る建築用面構造を示す。以下、図3を用いて第2の実施形態に係る建築用面構造について説明する。第2の実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、構造用面材が、両面粘着テープによって固定される点である。
すなわち、第2の実施形態では、補強シート18と木枠材12の間に、両面粘着テープ20が配置され、石膏ボード16は、両面粘着テープ20によって木枠材12に貼り合わされる。両面粘着テープ20は、木枠材12の正面形状に対応した形状を有している。具体的には、両面粘着テープ20は、木枠材12の開口部15を取り囲む矩形環形状に型抜きされたものでもよいし、縦枠材13、横枠材14の形状に合わせて細長状のものとしてもよく、そのような両面粘着テープ20を複数枚使用すればよい。
また、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、両面粘着テープ20に加えて、ビス、釘、又はネジによっても木枠材12に固定されてもよい。第2の実施形態において、ビス、釘、又はネジは、石膏ボード16、補強シート18、及び両面粘着テープ20を貫通し、第1の実施形態と同様に木枠材12に到達するように、石膏ボード16の表面側から挿入される。
第2の実施形態における壁構造の組み立ては、例えば、基礎11上の木枠材12に、裏面に補強シート18が貼付された石膏ボード16を、両面粘着テープ20を介して貼り合わせることで、石膏ボード16を固定するとよい。その後、必要に応じて、ビス、釘、又はネジを用いて、木枠材12と石膏ボード16とをさらに固定してもよい。なお、石膏ボード16を木枠材12に貼り合わせるときには、両面粘着テープ20を予め木枠材12、又は補強シート18上に貼着しておけばよい。
第2の実施形態では、石膏ボード16を両面粘着テープ20によって固定することで、石膏ボード16が振動によってずれることを防止する。そのため、補強シート18が設けられたことも相俟って、石膏ボード16の割れなどの破損を有効に防止することが可能になる。さらに、両面粘着テープ20を使用することで、接着剤のように塗りむら等が生じないので、安定して石膏ボード16を木枠材12に固定することが可能になる。
さらに、石膏ボード16は、ビス、釘、ネジ止めされる場合には、そのビス、釘、ネジ止めされた部分を両面粘着テープ20によって保護することも可能である。
図4は、第3の実施形態係る建築用面構造を示す。図4に示すように、本実施形態においては、石膏ボード16は、木枠材12の正面側、背面側の両方に設けられる。正面側、背面側の石膏ボード16は、木枠材12に対向する面(すなわち、石膏ボード16の裏面)に、第2の実施形態と同様に補強シート18が貼付されるとともに、両面粘着テープ20を介して木枠材12に固定されている。
なお、第3の実施形態でも、石膏ボード16を、両面粘着テープに加えて、ビス、釘、又はネジによっても木枠材12に固定してもよい。さらに、第1の実施形態と同様に、両面粘着テープを省略して、石膏ボード16を、ビス、釘、又はネジによって木枠材12に固定してもよい。
なお、以上の説明では、構造用面材としては、石膏ボードが使用される例を説明したが、合板、中密度繊維板(MDF)、木質セメント板、木毛セメント板などの石膏ボード以外のものを使用してもよい。ただし、構造用面材としては、石膏ボードが好ましい。同様に、桟としては、上記した木材からなる木枠材以外も使用可能であり、鉄骨、軽鉄などの金属からなるものでもよい。なお、桟が木材(木枠材)である場合には、通常、ビス又は釘が使用されるが、桟が鉄骨などの金属からなる場合には、ネジが使用されてもよい。
桟の正面側及び背面側の両方に構造用面材が設けられる場合には、正面側と背面側の構造用面材は異なるものでもよい。例えば、正面側の構造用面材が石膏ボードで、背面側が合板であってもよい。
同様に、正面側と背面側の構造用面材は、異なる手段で固定されてもよい。例えば、正面側の構造用面材が両面粘着テープによって固定され、背面側の構造用面材がビス、釘、又はネジによって固定されてもよい。
なお、以上の説明では、建築用面構造が、壁構造である例を示したが、壁構造に限定されずに、天井構造を構成する面構造であってもよい。具体的には、例えば、縦枠材と横枠材とによって構成され、枠状に組み立てられた桟(木枠材)に石膏ボードなどの石膏ボード16を、上記で説明したとおりに取り付ければよい。また、建築用面構造は、床構造を構成する面構造であってもよい。
(補強シート)
補強シートに使用される繊維補強材は、組布、織布、編布、割布などが挙げられる。
ここで、組布とは、二方向以上に配列され、かつ互いに交差するように積層してヤーンを網目状に配置し、交差するヤーン同士を接着剤などで固定したものである。組布の具体例としては、フラットヤーンクロスが好ましい。
補強シート18に使用されるフラットヤーンクロスは、フラットヤーンが互いに交差して網目に形成された部材である。フラットヤーンクロスは、ヤーンが平面シート状であるので、構造用面材に対する密着性が高くなり、構造用面材を効果的に補強することが可能になる。
補強シートに使用するフラットヤーンクロスは、複数本のフラットヤーンが2軸、3軸、又はそれ以上の軸方向に交差するように並べられ、フラットヤーンの間には、空孔が設けられる。また、フラットヤーンクロスは、フラットヤーンの交差部を接着剤或いは熱融着により接着させるとよい。
具体的には、図5、6に示すように、フラットヤーンクロスは、複数本のフラットヤーン18Aが2軸方向、例えば、縦方向及び横方向に交差して格子目状に形成されていてもよいし、図7、8に示すように複数本のフラットヤーン18Aが3軸方向又はそれ以上の方向(例えば、4軸方向)に交差して格子目状に形成されていてもよい。複数本のフラットヤーン18Aが2軸方向に交差している場合、例えば、図5に示すように互いの軸が直角に交差していてもよいし、図6に示すように直角よりも小さい角度で交差していてもよい。また、例えば、複数本のフラットヤーン18Aが3軸方向に交差している場合は、図7に示すように、フラットヤーン18Aが縦方向、横方向及び斜め方向の3方向に交差している場合や、図8に示すように、フラットヤーン18Aが横方向及びこの横方向に対して両斜め方向の3方向に交差している場合が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらのうちでは、ヤーンを密に配置して、構造用面材の損傷をより有効に防止する観点から、フラットヤーンが3軸格子目状に並べられたフラットヤーンクロスが好ましい。
フラットヤーンクロスは、例えば、フラットヤーン幅が0.5〜5.0mmであるとともに、フラットヤーンが0.5〜50mmピッチで並べられることが好ましく、フラットヤーン幅が0.8〜1.4mm、上記ピッチが3〜40mmがさらに好ましく、上記ピッチが4〜20mmがより好ましい。フラットヤーンクロスは、このようなヤーン幅とピッチを有することで、フラットヤーンクロスにより構造用面材を十分に補強して、構造用面材の破損を防止しやすくなる。また、フラットヤーンクロスに使用するフラットヤーンは、その厚さが例えば0.01〜0.4mm、好ましくは0.03〜0.2mmである。
なお、ヤーン幅及びピッチは、フラットヤーンクロスにおけるヤーンの幅、及びピッチそれぞれの平均値であり、ピッチとは、図5〜8に示すように隣接するヤーンとヤーンの中心間の距離Dを意味する。
フラットヤーンは、熱可塑性樹脂フィルムを融点以下、好ましくは融点未満の適当な温度に加熱し、縦方向に数倍以上引き伸ばしてテープ状とした一軸延伸テープである。
フラットヤーンを構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体などのポリエチレン系樹脂、アイソタクチックポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂などが挙げられ、これらの熱可塑性樹脂は単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。なお、上記エチレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。これらの中ではポリオレフィン樹脂が好ましい。
また、補強シートに使用する織布としては、平織、綾織、朱子織、パイル織などで織ったものが挙げられ、編布としては、平編、丸編、両面編、ゴム編、パイル編などで編んだものが挙げられる。織布、編布を構成する材質としては、上記した熱可塑性樹脂、又は綿、麻、絹、毛などの天然繊維が挙げられる。また、割布としては、断面が偏平な割繊維を並列させ、これを縦及び横方向に積層し、各割繊維同士の交点を接着したものが挙げられる。ここで、割繊維は、例えば、樹脂フィルムを一軸方向に延伸し、これを延伸方向に沿って細く切り裂いた糸状物が挙げられる。割布の樹脂フィルム及び補強シートを構成する樹脂フィルムとしては、上記した熱可塑性樹脂からなるフィルムが挙げられる。さらに、金属シートとしては、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅、金、銀などをシート状にしたものが挙げられる。
補強シート18の厚さは、金属シート以外の場合には、0.02〜1.2mmが好ましく、より好ましくは0.08〜0.4mm、さらに好ましくは0.1〜0.25mmである。また、補強シート18の厚さは、金属シートの場合には、0.01〜0.4mmが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3mm、さらに好ましくは0.05〜0.2mmである。補強シート18の厚さをこれら範囲内とすることで、石膏ボードなどの構造用面材の破損を適切に防止することが可能になる。なお、補強シート18の厚さとは、全体の厚さの平均値を意味するが、フラットヤーンクロスにおいては、ヤーンの交差部の厚さの平均値をいう。
補強シート18は、接着剤、両面粘着テープなどによって石膏ボードなどの構造用面材に接着されてもよいが、熱融着によって構造用面材に接着されてもよい。熱融着は、フラットヤーンが熱可塑性樹脂より構成されるフラットヤーンクロスのように、補強シートが熱可塑性樹脂で構成される場合の接着に適している。また、補強シート18を構造用面材に接着するための両面粘着テープは、支持体の両面に粘着剤層が設けられた粘着テープであってもよいし、いわゆる基材レス両面粘着テープと呼ばれる粘着剤層単体からなるものであってもよい。
なお、補強シート18は、一般的に、製造済みの構造用面材に接着すればよいが、上記したとおりに石膏ボードなどでは構造用面材の製造途中で接着してもよい。
(両面粘着テープ)
以下、構造用面材を桟に貼り合わせるために使用する両面粘着テープについてより詳細に説明する。両面粘着テープは、支持体の両面に粘着剤層が設けられた粘着テープであってもよいし、いわゆる基材レス両面粘着テープと呼ばれ、粘着剤層単体からなるものであってもよいが、コスト、剪断強度の点から、粘着剤層単体からなるものが好ましい。
なお、両面粘着テープの両面それぞれには、一般的に、剥離シートが貼付されており、その剥離シートを剥離した後に被着体(すなわち、補強シート及び桟)に貼着されるものである。剥離シートとしては、樹脂フィルムの一方の面にシリコーン剥離剤等の剥離剤により剥離処理したものなどが使用され、剥離シートは剥離処理面が粘着剤層に接触するように貼付される。
両面粘着テープの支持体としては、不織布、和紙等の紙、天然繊維、合成繊維等からなる織布、ポリエステル、ポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、アセテート等からなる樹脂フィルム、フラットヤーンクロスなどが挙げられる。
また、両面粘着テープの粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びシリコーン系粘着剤などが挙げられる。これらは単独で使用してよいし、組み合わせて使用してもよい。これらの中では、アクリル系粘着剤を使用することが好ましい。アクリル系粘着剤を使用すると、両面粘着テープが粘着剤層単体からなる場合に、剪断強度、及びピール粘着力を後述する所望の範囲に調整しやすくなる。
両面粘着テープは、23℃における対SUS剪断強度が25〜160N/cmであるとともに、23℃における対SUS90°ピール粘着力が30〜90N/24mmであることが好ましい。このような両面粘着テープを使用することで、適度な接着力で構造用面材を桟に貼り合せることが可能になるとともに、接合強度が高くなり、構造用面材の破損を適切に防止することが可能になる。また、ピール粘着力を上記範囲内とすることで、繰り返し変形が起こった後でも、構造用面材を両面粘着テープにより保持することが可能になる。したがって、地震が繰り返し起こっても、石膏ボードなどの構造用面材の破損、及び脱落を防止しやすくなる。
上記剪断強度は、より好ましくは40〜120N/cm、さらに好ましくは50〜100N/cmである。また、ピール粘着力は、より好ましくは35〜80N/24mm、さらに好ましくは40〜70N/24mmである。
さらに、両面粘着テープは、23℃における5回以上の繰り返し対SUS剪断強度が25〜160N/cmであることが好ましく、23℃における10回以上の繰り返し対SUS剪断強度が25〜160N/cmであることがより好ましい。なお、繰り返し対SUS剪断強度とは、後述する実施例で示すように、2枚のSUS板を両面粘着テープによって貼り合わせ、かつ複数回繰り返し振動させた後の対SUS剪断強度をいう。両面粘着テープは、例えば5回以上の繰り返し振動後においても剪断強度が上記範囲内になることで、地震が繰り返し起こっても、石膏ボードなどの構造用面材の破損及び脱落を防止できる。
[両面粘着テープの厚さ]
両面粘着テープの厚さは、好ましくは200〜1500μmが好ましく、400〜900μmがより好ましく、500〜800μmがさらに好ましい。両面粘着テープの厚さをこれら下限値以上とすると、地震時の繰り返し振動に対する緩和が容易になり、剥離しにくくなる。また、上限値以下とすると、両面粘着テープの保持性が良好になりやすくなる。
なお、両面粘着テープの厚さとは、両面粘着テープが粘着剤層単体からなる場合には、粘着剤層単体の厚さを意味し、支持体の両面に粘着剤層が設けられた粘着テープである場合には、一方の粘着剤層表面から他方の粘着剤層表面までの厚さを意味する。
(アクリル系粘着剤)
以下、粘着剤層に使用されるアクリル系粘着剤の一実施形態についてより詳細に説明する。アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)を含む重合性モノマーを重合したアクリル系重合体を含有する粘着剤である。
なお、本明細書において、用語「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、アクリル酸アルキルエステル、及びメタクリル酸アルキルエステルの両方を含む概念を指すものであり、他の類似の用語も同様である。また、用語「重合性モノマー」は、繰り返し単位を有しない化合物のみならず、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)と共重合する化合物であれば、後述するオレフィン重合体(C)などのモノマー自身が繰り返し単位を有するものも含みうる概念を指す。
[(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)]
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)は、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコールとのエステルであって、脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数が、好ましくは2〜14、より好ましくは4〜10である脂肪族アルコールに由来するアルキルエステルが好ましい。アルキル基の炭素数がこの範囲内であると、粘着剤層のガラス転移温度(Tg)を適切な温度範囲にして、ピール粘着力を上記した範囲に調整しやすくなる。
具体的な(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレートが好ましく、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はこれらの組み合わせがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位は、粘着剤において主成分を構成するものであって、その含有量は、粘着剤全量基準で一般的に30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上である。このように、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量を多くすると、粘着剤に所望の粘着力を付与することが可能になる。
なお、粘着剤における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位の含有量は、後述する粘着剤組成物における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量と実質的に同じであるので、置き換えて表すことができる。以下で説明する(B),(C)成分など、(A)成分以外の成分も同様である。
[極性基含有ビニルモノマー(B)]
重合性モノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)に加えて、極性基含有ビニルモノマー(B)を含有することが好ましい。極性基含有ビニルモノマー(B)は、極性基とビニル基を有するものである。粘着剤層に極性基含有モノマー(B)を用いることで、粘着剤層のTg、凝集力、ピール粘着力などを調整しやすくなる。
極性基含有ビニルモノマー(B)としては、例えば、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー;(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーが挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸が更に好ましい。これらの極性基含有ビニルモノマー(B)は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極性基含有ビニルモノマー(B)を使用する場合、粘着剤において極性基含有ビニルモノマー(B)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは2〜12質量部、さらに好ましくは3〜10質量部である。極性基含有ビニルモノマー(B)の含有量をこのような範囲内とすることで粘着剤層のTg、凝集力、粘着力などを適切な範囲に調整しやすくなる。
[オレフィン重合体(C)]
重合性モノマーは、さらに末端に重合性結合を有するオレフィン重合体(C)を含むことが好ましい。このようなオレフィン重合体(C)を使用することで、粘着剤の剪断強度を高くし、両面粘着テープが粘着剤層単体からなるような場合でも、両面粘着テープの剪断強度及びピール粘着力を上記した所望の範囲に調整しやすくなる。なお、重合性結合は、重合性モノマーと重合することが可能な不飽和の炭素−炭素結合を意味し、例えば不飽和二重結合が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
オレフィン重合体(C)としては、(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが挙げられ、例えば、片末端のみに(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィン、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが挙げられる。なお、ポリオレフィンとは、エチレン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、イソプレンなどの二重結合を有する脂肪族炭化水素化合物の重合体、又はその水素添加物である。
片末端のみに(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンとしては、例えば、片末端にエポキシ基を有するポリエチレンと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより調製された、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリエチレン等が挙げられる。また、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が挙げられ、その市販品として株式会社クラレ製の「L−1253」等が挙げられる。
また、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体としては、例えば、両末端にエポキシ基を有するポリプロピレンと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより調製された、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリプロピレン等が挙げられる。また、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が挙げられ、その市販品としては、日本曹達株式会社製の「TEAI−1000」、「EA−3000」、「TE−2000」、大阪有機化学工業株式会社製の「BAC−45」等が挙げられる。
オレフィン重合体(C)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オレフィン重合体(C)としては、上記した中では、両末端又は片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが好ましく、中でも両末端又は片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が好ましい。
なお、オレフィン重合体(C)として、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンなどを使用すると、アクリル系重合体を網目状に重合することが可能となる。そのため、粘着剤の凝集力を高めやすくなり、ピーク粘着力を上記所望の範囲に調整しやすくなる。
さらに、凝集力、剪断強度、ピール粘着力などを良好にする観点から、オレフィン重合体(C)としては、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体と、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体とを併用することが好ましい。
オレフィン重合体(C)は、その数平均分子量が好ましくは500〜20000、より好ましくは1000〜10000である。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出すればよい。
また、粘着剤においてオレフィン重合体(C)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましく、4〜12質量部がさらに好ましい。
[その他のモノマー]
重合性モノマーは、上記した(A)〜(C)以外のその他のモノマーを含んでいてもよい。その他のモノマーとしては、スチレン系モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、及びp−メチルスチレン等が挙げられる。
また、多官能モノマーとしては、ビニル基を2つ以上有するモノマーが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能モノマーを使用すると、アクリル系重合体に網目構造を形成することが可能になる。
具体的な多官能モノマーとしては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトシキ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトシキ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化グリセリルトリアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジアクリレート等が挙げられる。
その他のモノマーを使用する場合、粘着剤において、その他のモノマー由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、0.5〜15質量部、より好ましくは1〜7質量部、更に好ましくは1〜5質量部である。
[粘着付与樹脂]
アクリル系粘着剤は、粘着力を向上させる観点から、粘着付与樹脂を含有してもよい。粘着付与樹脂としては、水添テルペン樹脂、水添ロジン、不均化ロジン樹脂、石油樹脂等の重合阻害性の低い粘着付与樹脂が好ましい。これらの中でも、粘着付与樹脂が二重結合を多く有していると重合反応を阻害することから、水添系のものが好ましく、中でも水添石油樹脂が好ましい。
粘着付与樹脂の軟化点は、粘着剤の凝集力及び粘着力を向上させる観点から、95℃以上程度であればよいが、120℃以上のものを含むことが好ましく、例えば、95℃以上120℃未満のものと、120℃以上150℃以下のものとを併用してもよい。なお、軟化点は、JISK2207に規定される環球法により測定すればよい。
アクリル系粘着剤における粘着付与樹脂の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは7〜35質量部、さらに好ましくは10〜25質量部である。
[微粒子]
アクリル系粘着剤は、微粒子を含有してもよい。微粒子を含有させることで、粗面である桟及び構造用面材に対する粘着力、並びに、粘着剤の凝集力を向上させることができる。
微粒子としては、ガラスバルーン、シラスバルーン、及びフライアッシュバルーン等の無機質中空粒子、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、及びフェノール樹脂等からなる有機質中空粒子、ガラスビーズ、シリカビーズ、及び合成雲母等の無機質微粒子、ポリアクリル酸エチル、ポリウレタン、ポリエチレン、及びポリプロピレン等の有機質微粒子が挙げられる。
アクリル系粘着剤における微粒子の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは0.7〜5質量部である。
[その他の成分]
本発明において用いるアクリル系粘着剤は、前述した成分以外にも、可塑剤、軟化剤、顔料、染料、光重合開始剤、難燃剤等の粘着剤に従来使用されている各種の添加剤を含有してもよい。
[ゲル分率]
上記アクリル系粘着剤のゲル分率は、30〜80質量%が好ましい。ゲル分率を下限値以上とすることで、粘着剤の凝集力を高めやすくなる。また、上限値以下とすることで、粘着剤のピール粘着力を高めやすくなる。これら観点からゲル分率は、40〜70質量%がさらに好ましく、45〜65質量%がより好ましい。
ゲル分率は、例えば、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するオレフィン重合体(C),多官能モノマーの配合の有無、及び配合量を適宜調整することで上記した範囲内に調整することが可能である。なお、ゲル分率は下記式(1)より算出することができる。
ゲル分率(質量%)=(B/A)×100 式(1)
A:感圧性粘着剤層(試験片)の重量
B:40℃のテトラヒドロフランに感圧性粘着剤層(試験片)を48時間浸漬し、その後の感圧性粘着剤層の不溶解分の乾燥重量
粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤を使用する場合には、上記した重合性モノマーを含む粘着剤組成物に光を照射して、重合性モノマーを重合させることで得ることが可能である。また、粘着剤組成物は、必要に応じて上記した粘着付与樹脂、微粒子、及びその他の成分の少なくとも1種を含んでいてもよい。
より具体的に説明すると、まず、重合性モノマー、さらに必要に応じて配合される粘着付与樹脂、微粒子、その他の成分を、ガラス容器等の反応容器に投入して混合して、粘着剤組成物を得る。
次いで、粘着剤組成物中の溶存酸素を除去するために、一般に窒素ガス等の不活性ガスを供給して酸素をパージする。そして、粘着剤組成物を剥離シート上に塗布するか、又は、樹脂フィルム、織布、不織布等の支持体などに塗布した後、光を照射し重合性モノマーを重合することにより粘着剤層を得ることができる。
前記粘着剤組成物の塗布もしくは含浸から光を照射する工程までは、不活性ガス雰囲気下、又はフィルム等により酸素が遮断された状態で行うことが好ましい。
なお、本製造方法では、各成分を混合して得た粘着剤組成物は、粘度を高くするために、剥離シート又は支持体などに塗布する前に予備重合をしてもよい。
粘着剤組成物に光を照射する際に用いることができるランプとしては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウエーブ励起水銀灯、及びメタルハライドランプ等が挙げられる。これらの中でも、ケミカルランプが好ましい。粘着剤組成物に対して光を照射する際の光照射強度は、光重合開始剤の有無等によっても異なるが、0.1〜100mW/cm2程度が好ましい。
(ゴム系粘着剤)
次に、粘着剤に使用するゴム系粘着剤について説明する。ゴム系粘着剤は、ゴム成分と、粘着付与樹脂を含有するものであり、ゴム成分としては、スチレン−イソプレンブロック共重合体を使用することが好ましい。スチレン−イソプレンブロック共重合体は、ジブロック率が好ましくは25〜70質量%、より好ましくは30〜65質量%、さらに好ましくは45〜60重量%である。ここでジブロックとは、スチレンとイソプレンとからなるジブロックのことをいう。スチレン−イソプレンブロック共重合体は、ジブロック率が25%以上となることで十分な粘着力が発現し、また、70質量%以下とすることで剪断強度を高めやすくなる。なお、スチレン−イソプレンブロック共重合体は、ジブロック以外にも、スチレン、イソプレン、スチレンブロックからなるトリブロックなどブロックを3つ以上有するものも含有する。
スチレン−イソプレンブロック共重合体におけるスチレン量は、特に限定されないが、14〜24質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜18質量%である。スチレン量が14質量%以上であると、凝集性の高い粘着剤となり、剪断強度を高めやすくなる。また、24質量%以下とすると、凝集力が適度な大きさとなり粘着力を発現しやすくなる。
スチレン−イソプレンブロック共重合体の分子量は、特に限定されないが、質量平均分子量で100,000〜400,000が好ましく、150,000〜250,000がより好ましい。なお、ここでいう質量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算分子量として測定されるものをいう。
ゴム系粘着剤に使用される粘着付与樹脂は、各種の粘着付与樹脂が使用可能であるが、好ましくは石油系樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂を使用する。粘着系樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、石油系樹脂と、テルペン樹脂及びクマロン樹脂から選択される少なくとも1種とを併用することが好ましい。このような粘着付与樹脂の組み合わせによりピール粘着力を良好にしやすくなる。
石油系樹脂としては、脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられ、スチレン−イソプレンブロック共重合体との相溶性の観点から脂肪族系石油樹脂が好ましい。また、石油系樹脂は、軟化点が90〜120℃程度のものを使用することが好ましい。
また、テルペン樹脂としては、軟化点が80〜120℃程度のものが使用可能であるが、粘着力確保の観点から100℃未満のものが好ましい。また、クマロン樹脂としては、凝集力確保のために、軟化点が好ましくは110〜130℃、より好ましくは115〜125℃のものを使用する。
粘着付与樹脂はゴム成分100質量部に対して60〜250質量部が好ましく、100〜200質量部がより好ましく、110〜180質量部がさらに好ましい。粘着付与樹脂の配合量を上記範囲内とすることで、凝集力を良好にして適度なピール粘着力を付与できるようになる。
また、石油系樹脂と、テルペン樹脂及びクマロン樹脂から選択される少なくとも1種とを併用する場合、石油系樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、50〜200質量部が好ましく、60〜150質量部が好ましく、60〜110質量部がより好ましい。一方で、テルペン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10〜70質量部が好ましく、20〜60質量部がより好ましく、30〜50質量部がさらに好ましい。さらに、クマロン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10〜60質量部が好ましく、15〜50質量部がより好ましく、20〜40質量部がさらに好ましい。
ゴム系粘着剤は、アクリル系粘着剤と同様に上記した微粒子を含有してもよく、また、ゴム系粘着剤は、必要に応じて、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
(ウレタン系粘着剤)
上記したウレタン系粘着剤は特に限定されず、例えば、少なくともポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタン系樹脂等が挙げられる。上記ポリオールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物として、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのウレタン系粘着剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ウレタン系粘着剤としては、ポリウレタンポリオールと多官能イソシアネート系硬化剤とを反応させて得られるウレタン系樹脂を使用してもよい。ポリウレタンポリオールは、上記したポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応したもの、又はポリオールとポリイソシアネート化合物とジアミンなどの鎖延長剤とを反応させたものが挙げられる。多官能イソシアネート系硬化剤としては、2以上のイソシアネート基を有する化合物であればよく、上記したイソシアネート化合物を使用可能である。
ウレタン系粘着剤は、ウレタン系樹脂に加えて、上記した微粒子を含有してもよく、また、ウレタン系粘着剤は、必要に応じて、粘着付与樹脂、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
(シリコーン系粘着剤)
また、シリコーン系粘着剤としては、例えば、付加反応型、過酸化物硬化型又は縮合反応型のシリコーン系粘着剤等が挙げられる。なかでも、低温短時間で硬化可能という観点から、付加反応型シリコーン系粘着剤が好ましく用いられる。なお、付加反応型シリコーン系粘着剤は粘着剤層の形成時に硬化するものである。シリコーン系粘着剤として、付加反応型シリコーン系粘着剤を用いる場合、上記シリコーン系粘着剤は白金触媒等の触媒を含んでいてもよい。
また、シリコーン系粘着剤は、微粒子を含有してもよく、また、架橋剤、粘着力を制御するための各種添加剤を加えたりしてもよい。
以下に実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
両面粘着テープの対SUS剪断強度、及び対SUS90°ピール粘着力は以下の方法で測定した。
[対SUS剪断強度]
幅15mm×長さ15mmに切断した両面接着テープの両面それぞれに、SUS板を貼り合わせ2kgの圧着ローラーを2往復させて接合し、23℃で1時間放置した。23℃、50%RHの環境下、SUS板が両面に貼付された両面接着テープに対して、引張速度300mm/minで剪断方向に引っ張ることで剪断強度を測定した。なお、同様の測定を3回行い、3点平均を対SUS剪断強度とした。
[対SUS90°ピール粘着力]
一方の面にPETフィルム(厚さ25μm)を貼り合わせた両面接粘着テープを幅24mm×長さ150mmに切断し、その後SUS板を貼り合わせ2kgの圧着ローラーを2往復させて接合し、23℃で1時間放置した。その後、23℃、50%RHの環境下、引張速度300mm/minで90°方向に引っ張ることで対SUS90°ピール粘着力として測定した。なお、同様の測定を3回行い、3点平均を対SUS90°ピール粘着力とした。
[繰り返し対SUS剪断強度]
両面粘着テープを使用して、幅15mm×長さ15mmに切断した両面粘着テープの両面それぞれに、SUS板を貼り合わせ2kgの圧着ローラーを2往復させて接合し、23℃で1時間放置した。
その後、一方のSUS板に対して他方のSUS板を300mm/min、5秒間隔で引張及び元の位置に戻るという操作を複数回繰り返して振動させ、上記と同様に対SUS剪断強度を測定した。そして、初期の対SUS剪断強度が25〜160N/cmであり、かつ10回以上振動を繰り返しても、対SUS剪断強度が25〜160N/cmに維持できる場合を“A”と評価した。また、5回以上振動を繰り返した場合に、対SUS剪断強度が25〜160N/cmに維持できるが、10回以上振動を繰り返すと対SUS剪断強度が25〜160N/cmに維持できない場合を“B”と評価した。さらに、5回以上振動を繰り返した場合に、対SUS剪断強度が25〜160N/cmに維持できない場合を“C”と評価した。
[実施例1]
306mm×425mmの石膏ボードの片面に、市販の両面粘着テープを用いてフラットヤーンクロスを貼付した。そのフラットヤーンクロスを貼付した石膏ボードを以下の試験により評価した。
(評価試験)
図9,10に示すように、第1の石膏ボート16Aのフラットヤーンクロス18を貼付した面上に、38mm×38mmのSPFからなる角材12A,12B,12Cを平行に並べ、その3本の角材12A〜12Cの上に、さらに第2の石膏ボート16Bを載せた。この際、第2の石膏ボード16Bは、フラットヤーンクロス18が貼付した面を角材12A,12B,12Cに面するようにした。
なお、両側の角材12A,12Cは、図10に示すように、中央の角材12Bに対して、長手方向に沿ってずらして配置し、両側の角材12A,12Cの一方の端部が、石膏ボード16A,16Bの一方の端面から突出するように、また、中央の角材12Bの他方の端部が、石膏ボード16A,16Bの他方の端面から突出するように配置した。
ここで、角材12A〜12Cの上下面には、石膏ボード16A,16Bに対する接触面全面に、剥離シートを剥がした両面粘着テープ20を予め貼着しておき、角材12A〜12Cの上下面それぞれを、両面粘着テープ20を介して、フラットヤーンクロス18が貼付された第1及び第2の石膏ボート16A,16Bに貼り合わせた。
さらに、第1及び第2の石膏ボード16A、16Bは、下面側、上面側から打ち付けた釘17A,17B,17Cそれぞれによって角材12A,12B,12Cそれぞれに固定した。釘17A,17B,17Cは、GNF40の釘であった。なお、各角材12A〜12Cそれぞれには、上面側、下面側それぞれから3本の釘を150mm間隔で打ち付けた。
また、両側の角材12A,12Cの一方の端部は、その間に配置された第1の取付冶具25Aにビス26によって固定するとともに、中央の角材12Bの他方の端部には、第2の取付冶具25Bを取り付けた。なお、本試験で使用した各部材の寸法は図10に示したとおりであり、図中の数値はそれぞれmmを意味する。
そして、第1の取付冶具25Aを固定した状態で、第2の取付冶具25Bを角材12Bの長手方向に沿って、引張試験機(テンシロン万能材料試験機、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、引張速度300mm/minで矢印方向に引っ張り、角材12Bと石膏ボード16A,16Bの接合体の強度を確認した。このとき、応力が歪みに対して比例的に増大する弾性変形が終了したときの応力の値を損傷限界強度として評価したところ、3.5kNであった。
(フラットヤーンクロス)
実施例で使用したフラットヤーンクロスは以下のとおりである。
ソフTS705(積水フィルム株式会社製)、フラットヤーン幅:1.2mm、ピッチ:5mm、フラットヤーン厚さ:0.068mm、熱可塑性樹脂:ポリエチレン系樹脂、ヤーンを3軸格子状に並べた図8に示すフラットヤーンクロス。
(両面粘着テープ)
実施例で使用した両面粘着テープは以下のとおりである。
表1に記載の配合にしたがって、粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物に窒素をパージして溶存酸素を除去した。次いで、剥離シートの剥離処理面上に厚さ700μmのスペーサーを設置し、粘着剤組成物を剥離シートの剥離処理面上に塗布した。次いで、塗布した粘着剤組成物の上に、剥離処理面が粘着剤組成物に接するように、別の剥離シートを被覆した。なお、剥離シートとしては、シリコーン離型処理されたPETフィルム(厚み50μm)を使用した。
この状態で被覆側の剥離シートにおける紫外線照射強度が5mW/cm2となるようにケミカルランプのランプ強度を調整し、15分間紫外線を照射し、粘着剤層単体からなり、両面に剥離シートが貼付された両面粘着テープを得た。粘着剤層(すなわち、両面粘着テープ)の厚さは500μmであった。また、粘着剤層の対SUS剪断強度は40N/cm、対SUS90°ピール粘着力40N/24mmであった。また、この両面粘着テープを使用して、繰り返し対SUS剪断強度を測定して評価したところ、評価結果がAとなった。
※表1における各成分は、以下のとおりである。
オレフィン重合体:商品名「L−1253」、株式会社クラレ製、(メタ)アクリロイル基を片末端に有する水素化ポリブタジエン
粘着付与樹脂1:商品名「アルコンP140」、荒川化学工業株式会社製、水添石油樹脂、軟化点140℃
粘着付与樹脂2:商品名「アルコンP100」、荒川化学工業株式会社製、水添石油樹脂、軟化点100℃
微粒子:商品名「セルスターZ−27」、東海工業株式会社製、ガラスバルーン
重合開始剤:2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
[参考例1]
市販の両面粘着テープ(積水化学工業株式会社製、品番「W57 IP05」)を使用して、繰り返し対SUS剪断強度を測定して評価したところ、評価結果がCとなった。なお、参考例1の両面粘着テープは、対SUS剪断強度が70N/cm2、ピール粘着力が20N/24mmであった。
[実施例2]
角材12Bに両面粘着テープ20を貼着しなかった点以外は、実施例1と同様に実施したところ、損傷限界強度は2.7kNであった。
[実施例3]
角材12A〜12Cに釘17A〜17Cを打ち込まなかった点以外は、実施例1と同様に実施したところ、損傷限界強度は3.5kNであった。
[比較例1]
角材12Bに両面粘着テープ20を貼着せず、また、石膏ボード16A,16Bにフラットヤーンクロス18を貼付しなかった点以外は、実施例1と同様に実施して損傷限界強度を測定したところ、損傷限界強度は1.4kNであった。
以上のように、実施例では、補強シートであるフラットヤーンクロスを、構造用面材の裏面に設けることで損傷限界強度が高くなっており、構造用面材が地震により損傷しにくくなる。そのため、構造用面材が破損して木枠材から脱落することを防止することができる。それに対して、比較例では、補強シートを使用しなかったため、損傷限界強度が低く、構造用面材の損傷及び脱落を十分に防止することができない。
10 壁構造(建築用面構造)
11 基礎
12 木枠材(桟)
13 縦枠材
14 横枠材
15 開口部
16 石膏ボード(構造用面材)
17 ビス
18 補強シート
20 両面粘着テープ

Claims (9)

  1. 構造用面材をその裏面側に配置される桟に取り付ける建築用面構造であって、
    前記構造用面材の裏面に設けられる補強シートを有し、かつ前記補強シートが、繊維補強材、樹脂フィルム、及び金属シートからなる群から選択される少なくとも1種である建築用面構造。
  2. 前記構造用面材が石膏用ボードである、請求項1に記載の建築用面構造。
  3. 前記補強シートが、フラットヤーンクロスである請求項1又は2に記載の建築用面構造。
  4. 前記フラットヤーンクロスが、フラットヤーンが3軸格子目状に並べられたものである、請求項3に記載の建築用面構造。
  5. 前記フラットヤーンクロスが、フラットヤーン幅が0.5〜5.0mmであるとともに、フラットヤーンが0.5〜50mmピッチで並べられる請求項3又は4に記載の建築用面構造。
  6. 前記桟が、木枠材である請求項1〜5のいずれか1項に記載の建築用面構造。
  7. 前記構造用面材及び前記補強シートを貫通し、かつ前記桟まで到達するように構造用面材の表面から挿入されたビス、釘、及びネジのいずれかにより、前記構造用面材を前記桟に固定させる請求項1〜6のいずれか1項に記載の建築用面構造。
  8. 前記補強シートと、前記桟の間に配置される両面粘着テープをさらに有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の建築用面構造。
  9. 構造用面材を、その裏面側に配置される桟に取り付ける建築用面構造の製造方法であって、
    前記構造用面材の裏面には補強シートが設けられており、かつ前記補強シートが、繊維補強材、樹脂フィルム、及び金属シートからなる群から選択される少なくとも1種である建築用面構造の製造方法。
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