JP5211803B2 - 熱転写シート - Google Patents

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本発明は熱転写シートに関し、熱転写法により得られる保護層付き印画物に使用するための熱転写シートに関するものである。
一般に、熱転写シートは、サーマルリボンと呼ばれ、熱転写方式のプリンタに使用されているインクリボンのことであり、基材の一方の面に熱転写層、その基材の他方の面にバックコート(耐熱滑性層)を設けたものである。ここで熱転写層は、インクの層であって、プリンタのサーマルヘッドに発生する熱によって、そのインクを溶融(溶融転写方式)あるいは昇華(昇華転写方式)させ、被転写体側に転写するものである。
現在、熱転写方式は、プリンタの高機能化と併せて各種画像を簡便に形成できるため、身分証明書などのカード類をはじめアミューズメント用出力物等広く利用されている。そういった用途の多様化と共に、得られる印画物への耐久性を求める声も大きくなり、近年ではインク層により形成した画像上に保護層を転写する印画物がかなり普及してきている。
これら従来の転写方式でを用いた印画物を日光や照明等に長時間暴露した場合には印画部が紫外線や大気中のオゾンの影響で退色し、記録画像が長期間の保存により不鮮明となり問題となる。そこで画像に耐色性を付与する方法として保護層中に紫外線吸収剤を配合する方法が従来から知られている。
高度な耐候性を得ようとして、保護層中に紫外線吸収剤を高濃度に添加すると、保護層自身の凝集力が低下し、受像シートに保護層を転写する際、保護層の一部が転写されないといった、異常転写が起こる。また、保護層を厚くするといった手法で耐候性を向上させることもできるが、熱転写時の熱感度低下による受像シートとの接着不良による異常転写や発色にも影響が起こる可能性がある。
特許文献1や特許文献2では、紫外線吸収剤を用いた層を具備させて耐光による、耐色性、褐色性を保持しようとしているが、最表層に紫外線吸収剤を混合させていて、表面耐性(硬度、耐スクラッチなど)を考慮されておらず、大気中のオゾンでの耐色性、褐色性は問題視していない。また、一部、紫外線吸収剤を共重合させてそのブリードを抑えてはいるが、その含有量やブリードによる密着不良に対する対策であり、基本的に、大気中のオゾンによる耐色性、褐色性には触れていない。
また、特許文献3にあるように、中間層に紫外線吸収層なるものを存在させたりすると密着やコスト、高濃度に添加されていることによるブリード問題、転写時の箔切れに影響したり、さらに、紫外線吸収剤含有が最表層に来る場合、紫外線吸収能は上がるものの、反応性の紫外線吸収剤を用いてはいるが、やはり、昇華転写などの保護層に必要な耐摩擦性、耐スクラッチ性などはある程度犠牲にならざるを得ないばかりか、ここでも、大気中のオゾンによる退色性、(褐色性)は問題視していない。
上述もしたが、保護層中に紫外線吸収剤を添加しようとしても、共重合を行わない場合は、その樹脂との相溶性によっては、混合溶解量に上限が出てくる。さらに、高濃度で添加できたとしても、その逆にある条件下では、ブリードしやすくなる場合も多く、その場合、リボンのブロッキング、受像シートへの転写不良が発生したり、ブリードにより透明性低下、もちろん耐色性にも影響する。共重合されたとしても、最表層にくると、やはり、樹脂単体よりも、表面硬度等に起因する物性の低下、また、中間層に用いた場合でも、箔切れ等に影響する場合が多く、できる限り、他機能層中に含有することが好ましい。
いずれにしても、紫外線対策による退色性、褐色性に注目しているが、大気中オゾンでの耐色性、褐色性、すなわち、ガスバリア性についての対策はなされていない。
特許文献4にあるように、一部の層にポリスチレンとポリオレフィンのブロックポリマーに紫外線吸収剤を混合した例もあるが、耐屈曲性や接着性に重きを置いた組成であり、ここでも、やはり大気中オゾンの影響については詳細に述べられていない。
従って、もちろん選択される紫外線吸収剤は少量添加でも、高い紫外線吸収能を有することが必要となるが、本発明であるように、できれば、大気中のオゾンによる影響も考慮し、バインダー樹脂でもその耐色性、褐色性を補うことができれば、吸収剤の使用量を減らすことができ、弊害も少ないのである。
特開平10−315641号公報 特許2000−71626号公報 特開平7−276831号公報 特開平7−117367号公報
本発明は前述してきたような問題点を解決するためになされたものであり、その主となる課題とするところは、耐色性、耐褐色性を有する保護層を有した熱転写シートを提供することにある。
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その請求項1記載の発明は、基材シートの一方の面に、熱転写性インク層と熱転写性保護層を長手方向へ順次設けた熱転写シートにおいて、
前記熱転写性保護層が、少なくとも第一熱転写性樹脂層と、前記第一熱転写性樹脂層下方に設けられた第二熱転写性樹脂層の二層以上から形成されており、且つ、第一熱転写性樹脂層がアクリル樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂のいずれかであり、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤の一方もしくは両方を含み、第二熱転写性樹脂層がフェノキシ系、ビスフェノール系、ポリウレタン系、ポリイミド系、エポキシ系樹脂の少なくとも1種以上を含有する芳香環を含む樹脂であることを特徴とする熱転写シートである。
また、請求項2記載の発明は、上記において、前記熱転写性保護層が、少なくとも第一熱転写性樹脂層と、前記第二熱転写性樹脂層が、さらに前記第一熱転写性樹脂層と同系樹脂を含み、前記第一熱転写性樹脂層と同系樹脂と混合あるいは共重合しており、前記芳香環を含む樹脂の割合が、第二熱転写性樹脂層中の全固形分中の10%以上85重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シートである。
また、請求項3記載の発明は、上記において、前記熱転写性インク層がイエロー、マゼンタ、シアンの三色を含むことを特徴とする熱転写シートである。
請求項4記載の発明は、上記において、前記熱転写性インク層がブラックを含むことを特徴とする熱転写シートである。
請求項5記載の発明は、上記に於いて、前記熱転写性インク層が、染料または顔料とバインダからなる溶融熱転写インク層であることを特徴とする熱転写シートである。
請求項6記載の発明は、上記に於いて、前記熱転写性インク層が、熱昇華性染料とバインダとからなる昇華性熱転写インク層であることを特徴とする熱転写シートである。
本発明によれば、熱転写シートにおいて、基材シートの一方の面に、熱転写性インク層と熱転写性保護層を長手方向へ順次設けた熱転写シートにおいて、前記熱転写性保護層が、少なくとも第一熱転写性樹脂層と、前記第一熱転写性樹脂層下方に設けられた第二熱転写性樹脂層の二層以上から形成されており、且つ、第一熱転写性樹脂層が紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤の一方もしくは両方を含み、第二熱転写性樹脂層が芳香環を含む樹脂であることにより、熱転写後の印画物に高度なことを耐退色性(耐候性、耐オゾン性)を付与することができた。これは、芳香環の持つ面環構造とその芳香環の絡み合いによる立体障害、樹脂の緻密性により、表面の堅さなどが耐オゾン性に寄与するためである。
また、本発明によれば、第二熱転写性樹脂層が、さらに前記第一熱転写性樹脂層と同系樹脂を含むので、第一層と第二層間の密着性を向上させるという効果を奏した。
また、本発明によれば、熱転写性インク層がイエロー、マゼンタ、シアンの三色を含むので、白から黒まで多色の階調表現あるいは銀塩写真のような無段階階調の表現をすることができるという効果を奏した。
また、本発明によれば、熱転写性インク層がブラックを含むので、プリンタシステム的に必須なセンサーマークを印刷することに使用されるこが多い。
また、本発明によれば、熱転写性インク層が、染料または顔料とバインダからなる溶融熱転写インク層であるので、ワックス、樹脂などの粘性変化を利用しているため、色材の安定な染料、顔料を選択使用することができ、また、記録エネルギ-が小さくても済むため熱等による収縮、シワなどの弊害を低減することができるという効果を奏した。
また、本発明によれば、熱転写性インク層が、熱昇華性染料とバインダとからなる昇華性熱転写インク層であるため、階調および色再現性の優れた分子レベルでの混色画像を与え、銀塩カラー写真に近い画像が得られるという効果を奏した。
また、本発明によれば、芳香環を含む樹脂が、スチレン系、フェノキシ系、ビスフェノール系、エステル系、ポリウレタン系、ポリイミド系、エポキシ系、ポリカーボネート系樹脂の少なくとも1種以上を含有することにより、一番には、熱転写工程後の印画面の画像や受像層に対する耐オゾン性を大きく付与することができるという効果を奏した。
さらに、本発明によれば、第二熱転写性樹脂層において、芳香環を含む樹脂は、前記第一熱転写性樹脂層と同系樹脂と混合あるいは共重合していることで、混合している以上に自由体積が減少、すなわち、より密な膜構造を有することにより、さらに高い耐オゾン性、耐色性を効果をもたらすことができる。
そして、本発明によれば、前記第二熱転写性樹脂層中の、前記芳香環を含む樹脂の割合が、第二熱転写性樹脂層中の全固形分中の10%以上85重量%以下であることで、第一、第二樹脂層間の密着を維持しつつ、また当該樹脂層の芳香環による黄変、耐オゾン性、それによる印画画像および受像層の保護を両立することができるという効果を奏した。
以下に本発明の熱転写シートを図面に基づき詳細に説明する。
図1に本発明の一例として、熱転写シートの実施例の断面の構造を示す。基材シート1、耐熱滑性層2、熱転写性インク層(イエロー)3、熱転写性インク層(マゼンタ)4、熱転写性インク層(シアン)5、離型層6、第一熱転写性樹脂層8、第二熱転写性樹脂層7という構成である。なお、後述での、配合を表す部数とは、重量部を表している。
基材シートとしては、熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度が要求されるので例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、およびコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類等を単独でまたは組み合わされた複合体として使用可能であるが、中でも、物性面、加工性、コスト面などを考慮するとポリエチレンテレフタレートがが好ましい。またその厚さは、操作性加工性を考慮し、2〜50μmの範囲のものが使用可能であるが、転写適正や加工性等のハンドリング性と考慮すると2〜15μm程度のものが好ましい。
耐熱滑性層は本発明の熱転写シートをサーマルヘッドを過熱手段として用いる場合、必要とされるものであり、サーマルヘッドの融着防止や熱転写シートをロールで巻きとった時に背面の熱転写性保護層、熱転写性インク層の染料あるいは顔料が移行しないように離型性を持たせる役割がある。本発明における耐熱滑性層は特に限定はされるものではないが、熱転写シートの基材、およびサーマルヘッドの過熱量に応じて適宜選択することができる。
耐熱滑性層形成用の塗液は、例えば、離型性やすべり性を付与する機能性添加剤、バインダ、硬化剤、溶剤などを配合して調整し、この耐熱滑性層のインクの塗布量は乾燥膜厚で0.1〜3μm程度が適当である。
耐熱活性層の一例を挙げると、アクリルオリゴマーの紫外線硬化物、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド等の合成樹脂に、シリコーンオイルなどの離型剤を添加したもの、シリコーンを共重合したものを挙げることができる。また必要に応じてフィラーを添加しても問題なく、添加するフィラーの一例としては、シリコーンあるいはフッ素パウダー、シリカおよびレジンパウダーを挙げることができる。
また、樹脂は熱可塑型でも熱硬化型でも、使用、物性に合わせ、適宜選択するとよい。
耐熱滑性層を形成するコーティング剤の塗布方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を用いることが可能である。 厚さは、塗液の種類や加工機や加工条件によって最適条件が異なり、特に限定はしない。好ましくは乾燥後の厚さが0.1〜3μmの範囲であり、0.1μm以下の場合は、均一な塗膜が形成されず、十分な耐熱性が得られない場合があるので好ましくない。
熱転写性インク層は熱転写可能な染料または顔料を任意のバインダー樹脂で担持させた層である。使用する染料または顔料は、従来公知の熱転写シートに使用されている染料または顔料は、いずれも使用可能であり特に限定されない。
昇華性転写層形成用インクに用いられる熱昇華性染料としては、昇華性分散染料が好ましく、一例を挙げると、イエロー成分としては、ソルベントイエロー56、16、30、93、33、ディスパーイエロー201、231、33等が挙げられる。マゼンタ成分としては、C.I.ディスパースレッド60、ディスパースバイオレット26、C.I.ソルベントレッド27、あるいはC.I.ソルベントレッド19が挙げられる。シアン成分としてはC.I.ディスパースブルー354、24、C.I.ソルベントブルー63、36等が挙げられる。そのバインダとしては、特に限定されるものではないが、エチレンセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等である。中でも、ポリビニルブチラール、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂が好適である。
ここで、昇華熱転写層形成用インク層中の染料とバインダとの割合は、染料/バインダ=10/100から300/100が好ましい。これは、染料/バインダの割合が、10/100を下回ると、染料が少な過ぎて発色感度が不十分となり良好な熱転写画像が得られず、また、この割合が300/100を越えると、バインダに対する染料の溶解性が極端に低下するために、熱転写シートとなった際にインク層の保存安定性が悪くなって染料が析出し易くなってしまうためである。
感熱溶融転写層形成用インクに用いられる染料としては、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メチン系、アゾメタン系、キサンテン系、アキサジン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、アゾ系、スピロジピラン系、イソドリノスピロピラン系、フルオロラン系、ローダミンダクタム系、アントラキノン系等の一般に使用されている感熱転写性染料を広く使用することができる。
感熱溶融転写層形成用インクに用いられる顔料としては、公知の有機顔料、無機顔料を使用することができ、一例を挙げると、カーボンブラック、アゾ系、フタロシアニン系、キクナリドン系、チオインジゴ系、アンスラキノン系、イソインドリン系等の顔料が挙げられる。そのバインダとしては、熱溶融性以外特に限定されるものではないが、一例を挙げると、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体、カルナバワックス、パラフィンワックス等のワックス類である。中でも、ポリエステル。エポキシ樹脂が好適である。
ここで、溶融熱転写層形成用インク層中の染料および/または顔料(以下、色剤成分と記載することもある)とバインダとの割合は、色剤成分/バインダ=5/100から200/100が好ましい。これは、色剤/バインダの割合が、5/100を下回ると、色剤が少な過ぎて良好な熱転写画像が得られず、また、この割合が200/100を越えると、溶融熱転写層の凝集力が極端に低下するために熱転写シートとなった際にインク層の保存安定性が悪くなってしまうためである。
基材フィルムと熱転写性樹脂層の材質の組み合わせによっては、熱転写の際の離型性が十分でない場合がある。このような場合、基材フィルム上に、予め、離型層を設けることができる。
すなわち、離型層は、熱転写性保護層を基材シートからの剥離の重さを適当な範囲内に調整し、基材シートからの安定的な剥離性を確保するために設けられるものであり、上記の条件さえ満たしていれば必ずしも必要ではない。離型層の材質としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等の水溶性高分子、塩化ゴム、環化ゴム等の天然ゴム誘導体や、天然ワックス、合成ワックス等のワックス類、ニトロセルロース、酢酸セルロース、セルロース、セルロースアセテートプロピオネート等の繊維素誘導体、アクリル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリアセタール系、塩素化ポリオレフィン系、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体系等の熱可塑性樹脂、メラミン系、エポキシ系、ポリウレタン系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂等からなる剥離剤を挙げることができる。
熱転写性保護層としては、熱転写性インク層により被転写体上に形成された画像への紫外線やオゾン等からの耐久性が要求されると同時に、熱転写法というプロセスにより被転写体上に形成される必要があるため、一般的には紫外線吸収等の保護層としての本来的な性能と同時に被転写体への接着性を兼ね備える接着層、その下層に基材から熱転写時に容易に剥離するための剥離層、場合によっては、紫外線吸収能を別に考え、紫外線吸収層を設けることもあり、いずれにしても複数の層の積層体から形成されることが一般的である。層が多いあるいは厚いほど、密着性、コスト、インキの発色感度等にも影響することがある。
熱転写性保護層に添加される紫外線吸収剤に関しては、従来、コストや紫外線吸収範囲、種類の多さ、用途範囲、汎用性の現状から、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系、トリアジン系の使用が多く、主とされてきていたが、それに限定するものではなく、樹脂中に添うようあるいは透明性を損なわない程度に分散していれば使用可能である。
そこで、本発明では、耐候剤だけに頼らずに耐色性を向上させるために、第二熱転写性樹脂層に芳香環を持つ樹脂を具備させる、あるいは、第一熱転写樹脂層と同系の樹脂を用いるのと同時に、芳香環を持つ樹脂を混合あるいは共重合させることにより、顕著にその耐色性を向上させることが可能となった。
本発明における第一熱転写保護層いわゆる接着層に使用する紫外線吸収剤は、前述したように汎用の種々の紫外線吸収剤の使用が可能で、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、サリチレート系のいずれかあるいは2つ以上の複合系や、これらを含む、特開昭59−196292、特開昭59−158287、特開昭63−74686、特開昭59−196292、特開昭62−229495、特開昭63−122596、特開昭61−283595、特開平1−204788などに記載の化合物、および写真その他画像記録材料における画像耐久性を改善するものとして公知の化合物を挙げることができる。
その一つのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体を例示でき、これらを単独で又は複数を混合して使用できる。
また、トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジンなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体が挙げられる。
本発明における紫外線吸収剤の量としては、その紫外線吸収剤の紫外線急収能や樹脂との相溶性にもよるが、樹脂100重量部に対し、3〜60重量部添加されることが好ましい。添加量が3重量部未満の場合、熱転写保護層中において十分な紫外線吸収能を発揮することができない場合がある。また、60部以上になると、層中の凝集力にも影響を及ぼし、樹脂層の靭性が低下したり、ブリードが多くなり、透明性に欠けたり、ブロッキングしたりする場合もある。好ましくは、10部〜40部である。
また、これら紫外線吸収剤の他に、ヒンダードアミン系光安定剤が添加することもできる。 ヒンダードアミン形の光安定剤としては、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート等を例示でき、これらを単独で又は複数を混合して使用できる。
また、第一熱転写樹脂層いわゆる接着層の樹脂としては、その基本とする物性、すなわち、熱転写により被転写体の印刷面に移って保護層を形成するものであり、膜切れがよく剥がれること、被転写体に対する熱接着性がよいもの、透明性がよく、転写面の画像の鮮明さを損なわないこと、必要によっては(別途紫外線吸収層などがない場合には)、紫外線吸収能を保持することなどが挙げられ、熱溶融性以外特に限定されるものではないが、一例を挙げると、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体、カルナバワックス、パラフィンワックス等のワックス類である。中でも、アクリル系樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂が好適である。
さらに接着層に用いる機能性添加剤の一例を挙げると、前述した紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系に代表される光安定剤のほかに、ヒンダードフェノール系に代表される熱酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、難燃剤、等を挙げることができる。
熱酸化防止剤や蛍光増白剤、帯電防止剤、難燃剤などは、影響のない程度に第一樹脂層(剥離層)に混合することもできる。
本発明による接着層としては、前述したような機能性添加剤、バインダ、溶剤などを配合して調製し、この剥離層の膜厚は、0.3〜5μm程度(乾燥厚)が適当である。
次に本発明で非常に重要な第二熱転写樹脂層いわゆる剥離層に関して説明する。
この剥離層は、被印画物においては、最表層となる場合が多く、透明性、耐摩擦性、耐汚染性、耐スクラッチ性、離型性、硬さ、耐オゾン性などのガスバリア性を必要とされる。
剥離層のバインダとして、一般的に、熱溶融性以外特に限定されるものではないが、一例を挙げると、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等含むのアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体、カルナバワックス、パラフィンワックス等のワックス類である。中でも、アクリル系樹脂、セルロース誘導体が挙げられるが、本発明では、特に、芳香環を持つ樹脂に着目した。
それは、芳香環の持つ、面環構造とその芳香環の絡み合いによる立体障害、樹脂の緻密性により、表面の堅さなど、前述した必要物性を持った上で、耐オゾン(ガスバリア)性を具備させることができた。
被転写物の最表層樹脂で耐オゾン性を向上させることができるということは、下層へのダメージも格段に少なくなり、第一熱転写樹脂層(接着層)の樹脂や添加剤の分解や劣化を防ぐこともでき、さらに下層のインキに対するアタックの軽減できるので、耐候剤等の添加剤を有効的に作用させることができ、被転写物の退色に顕著な効果を示す。
また本発明では、剥離層には、紫外線吸収剤を添加せず、紫外線吸収能は接着層にもたせ、各層の耐色性に対する役割を分割することにより、印画品での上層部でオゾンをバリアすることで、下層の紫外線吸収剤の分解を避け有効に紫外線吸収作用に活用できるほか、拮抗作用なども避けることができ、さらに、最表面に紫外線吸収剤のような物質を極力表面に存在させないことにより、安全性をより高めている。
さらに、芳香環を有する樹脂単独での使用ではなく、第一熱転写樹脂層(接着層)で使用の樹脂と混合することにより、接着層との密着性も向上させることができる。
本発明の請求項中にある同一樹脂とは、第一樹脂層中に存在する樹脂骨格(例えば、ウレタン、アクリル、エステル、エポキシなど)と同一なものが第二樹脂層に一種以上含まれていることを言う。
この場合、剥離層中の樹脂組成としては、接着層使用樹脂:芳香環を有する樹脂=15:85〜90:10重量比。好ましくは、50:50〜85:15である。
芳香環を有する樹脂を多く混合しすぎてしまうと、下層の退色は防げるものの、当該自層が耐候性試験で場合によっては、変色する場合もある。また、当該樹脂の混合比が少ないと密着性などは得られるものの、オゾン耐性を低下させてしまい、下層の退色を促進してしまうからである。
このとき、使用される芳香環を有する樹脂の例として、スチレン樹脂、キシレン樹脂、フェノール系樹脂、ABS樹脂、フェノキシ樹脂、ACS樹脂、AES樹脂、アニリン樹脂、イソシアネート樹脂、芳香環ポリイミド樹脂、オキセタン樹脂、フタル酸樹脂、エステル系樹脂、テレフタル酸樹脂、ノボラック樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、レゾール樹脂、アセナフチレン、ナフタレンなどの他環芳香族樹脂、AS樹脂、ABC樹脂、ASA樹脂、SAS樹脂、ACS樹脂、AMA樹脂、MS樹脂、MBS樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート樹脂、PEEK樹脂、PEKK樹脂、PSU樹脂、PES樹脂、ベンゾフェノン、PBI樹脂、キナゾリン系樹脂、カーボネート樹脂など、モノマー系、ポリマー系、さらに、芳香環を持つエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックも可溶溶剤によっては使用可能である。
また、接着層で使用の樹脂と芳香環を有する樹脂を混合あるいは共重合させることができれば、相溶性の問題を回避でき、さらには、その混合量を自由に可変でき、分子量を大きくすることにより、塗膜化した際の層内樹脂比重や自由移動体積を蜜にコントロールすることより、より耐オゾン性を向上させることができる。
さらに、剥離層は、さらに必要に応じて、硬化剤を用いて硬化塗膜とすることも出来る。
しかしながら、前述したように、剥離層が被印画物に対して、最表面に存在する場合は耐オゾン性だけでなく、透明性、耐摩擦性、耐汚染性、耐スクラッチ性、離型性、硬さなどが必要となるため、耐オゾン性を損なわない程度に、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリコーンパウダー、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、サチンホワイト、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロサイト、水酸化マグネシウム等の無機フィラー、アクリル系プラスチックピグメント、スチレン系プラスチックピグメント、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機フィラー、PEやカルナバ、パラフィンなどのワックス、シリコーン、フッ素などの離型剤を適宜添加してもよい。形状の液状のものから固形、燐片状、真球状など、その物性に合わせて適宜選択するとよい。
本発明による剥離層は、塗布量は、0.2〜3μm程度(乾燥厚)が適当で、好ましくは、0.3〜2.0μmである。
なお、インキ層、接着層および剥離層を形成する方法としては、いずれも、グラビアコート法、スロットコート法といった公知の塗り分け可能な方法により、各基材シートへ各層形成用インク、樹脂と溶剤等で塗布に適した粘度に調製し、塗布、乾燥させ、形成することで容易に得ることができる。
基材シートとして厚さ4.5μmの易接着付きポリエチレンテレフタレートフィルム(ダイヤホイル:三菱化学ポリエステルフィルム製)を用いた。これに耐熱滑性層としてポリビニルアセタール樹脂を25重量部(デンカブチラール:電気化学工業製)、イソシアネート硬化剤を1.1重量部(タケネート:三井化学ポリウレタン製)、滑剤を1重量部(プライサーフ:第一工業製薬製)をメチルエチルケトンを36重量部、トルエンを36重量部からなる混合溶剤に溶解させコーティング剤を作製した。作製したコーティング剤を基材シート非易接着側の面にダイレクトグラビアコートにより乾燥膜厚1.0μmになるように形成し、耐熱滑性層を得た。
転写性インク層(イエロー)はC.I.ソルベントイエロー93を3.0重量部、C.I.ソルベントイエロー16を1.0重量部ポリビニルアセタール樹脂を5.0重量部(デンカブチラール:電気化学工業製)をメチルエチルケトンを45重量部、トルエンを45重量部からなる混合溶剤に溶解させて転写性インク層(イエロー)の塗液を作製した。
転写性インク層(マゼンタ)はC.I.ディスパースレッド60を1.5重量部、C.I.ディスパースバイオレット26を1.5重量部、ポリビニルアセタール樹脂を5.0重量部(デンカブチラール:電気化学工業製)をメチルエチルケトンを46重量部、トルエンを46重量部からなる混合溶剤に溶解させて転写性インク層(マゼンタ)の塗液を作製した。
転写性インク層(シアン)はC.I.ソルベントブルー63を1.5重量部、C.I.ソルベントブルー36を1.5重量部、ポリビニルアセタール樹脂を5.0重量部(デンカブチラール:電気化学工業性)をメチルエチルケトンを46重量部、トルエンを46重量部からなる混合溶剤に溶解させて転写性インク層(シアン)の塗液を作製した。
離型層は、ポリビニルアルコールを20重量部をイソプロピルアルコール20重量部、蒸留水60重量部の混合液に溶解させて、離型層の塗液を作製した。
第一熱転写性保護層はアクリル樹脂を100重量部(ダイヤナール:三菱レイヨン製)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤15重量部(チヌビン:チバ・ジャパン製)、ヒンダードアミン系光安定剤1重量部(チヌビン:チバ・ジャパン製)をメチルエチルケトンを50重量部、トルエンを50重量部からなる混合溶剤に溶解させて、第一熱転写性保護層の塗液を作製した。
第二熱転写性保護層はアクリル−ポリスチレン共重合樹脂(ダイヤナール:三菱レイヨン製)、をメチルエチルケトンを50重量部、トルエンを50重量部からなる混合溶剤に溶解させて第二熱転写性保護層の塗液を作製した。
上記のように作製された塗液をグラビアコート方により基材シートの易接着側の面に、熱転写性インク層(イエロー)、熱転写性インク層(マゼンタ)、熱転写性インク層(シアン)を乾燥膜厚1.0μmで面順次に形成した後、離型層形成用の塗液を用いて、離型層を乾燥膜厚0.3μmで面順次に形成した後、離型層上に、第二熱転写性保護層(剥離層)用の塗液を用いて、第二熱転写性保護層を乾燥膜厚1.0μmで形成した後、さらに引き続いて、第二熱転写性保護層上に第一熱転写保護層(接着層)用の塗液を用いて第一熱転写性保護層を乾燥膜厚2.0μmで形成し、本発明の熱転写シートを作製した。
実施例1と同様だが、第二熱転写性保護層用樹脂として、ポリスチレン樹脂をメチルエチルケトン50重量部、トルエン50重量部からなる混合溶剤にて溶解させ、塗液とし、実施例1と同様に塗布乾燥させ、熱転写シートを作製した。
実施例1と同様だが、第二熱転写性保護層用樹脂として、アクリル樹脂(ダイヤナール:三菱レイヨン製)とフェノキシ樹脂(InChem Rez Phenoxy:in Chem社製)を2:3重量比で混合し、メチルエチルケトン80重量部、トルエン20重量部からなる混合溶剤にて溶解させ、塗液とし、実施例1と同様に塗布乾燥させ、熱転写シートを作製した。
<比較例1>
実施例1において第一熱転写性保護層に混合する紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤混合せずに、第二熱転写性保護層用樹脂に当該添加剤を添加した以外は実施例1と同様に熱転写シートを作製した。
<比較例2>
実施例1において第二熱転写性保護層用樹脂をアクリル樹脂(MMA)(ダイヤナール:三菱レイヨン製)に変更した以外は実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。
<性能比較>
以上のように作製した実施例1、2、3および比較例1、2の熱転写シートを熱転写プリンターを用いて黒ベタを印画した。得られた印画物を下記の条件で評価した。
(1)退色性:耐候性試験
各条件の熱転写シートを用い、昇華用プリンタを用い印画したサンプルに対して、キセノンウェザオメーター(アトラス:Ci4000)を用いてブラックパネル温度63℃、相対湿度50%、内側フィルター:Sタイプボロシリケイト、外側フィルター:Sタイプボロシリケイト、照射強度1.2(M/m2)(420nm)という条件で96時間照射を行い試験前と試験後の反射濃度(O.D.)を測定し、残存率を求めた。
(2)耐色性:耐オゾン性試験
各条件の熱転写シートを用い、昇華用プリンタを用い印画したサンプルに対して
ガス腐食試験機(スガ試験機製)を用い、オゾンガス濃度:10ppm、試験機温湿度:24℃、60%RH 試験時間:120時間 実施し、試験前と試験後の反射濃度
(O.D.値)を測定し、残存率を求めた。
(3)密着性
各条件の熱転写シートを用い、印画した印画物に対して、セロテープ(登録商標)(ニチバン製:24mm幅)を貼り、垂直上方向に手で剥離した。(異なる場所:10箇所)
(評価)
(1)(2)ともに、下記計算式でその評価値を算出した。
残存率 =試験後のO.D.値 / 試験前のO.D.値
○ :残存率:80%以上
× :残存率:80未満
(3)○ :10箇所中、剥がれたところが1箇所もなし
△:10箇所中、剥がれたところが1箇所以内
×:10箇所中、剥がれたところが2箇所以上
<表1:試験結果一覧>
本発明により、熱転写法により得られる保護層付き印画物に使用するための熱転写シートについて、従来のものより、より高度な耐色性を備えた熱転写保護層を提供することができる。
本発明の熱転写シートの一実施例の断面の構造を示す説明図である。
符号の説明
1…基材
2…耐熱滑性層
3…熱転写性インク層(イエロー)
4…熱転写性インク層(マゼンタ)
5…熱転写性インク層(シアン)
6…離型層
7…第二熱転写性樹脂層
8…第一熱転写性樹脂層

Claims (6)

  1. 基材シートの一方の面に、熱転写性インク層と熱転写性保護層を長手方向へ順次設けた熱転写シートにおいて、
    前記熱転写性保護層が、少なくとも第一熱転写性樹脂層と、前記第一熱転写性樹脂層下方に設けられた第二熱転写性樹脂層の二層以上から形成されており、且つ、第一熱転写性樹脂層がアクリル樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂のいずれかであり、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤の一方もしくは両方を含み、第二熱転写性樹脂層がフェノキシ系、ビスフェノール系、ポリウレタン系、ポリイミド系、エポキシ系系樹脂の少なくとも1種以上を含有する芳香環を含む樹脂であることを特徴とする熱転写シート。
  2. 前記第二熱転写性樹脂層が、さらに前記第一熱転写性樹脂層と同系樹脂を含み、前記第一熱転写性樹脂層と同系樹脂と混合あるいは共重合しており、前記芳香環を含む樹脂の割合が、第二熱転写性樹脂層中の全固形分中の10%以上85重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 前記熱転写性インク層がイエロー、マゼンタ、シアンの三色を含むことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の熱転写シート。
  4. 前記熱転写性インク層がブラックを含むことを特徴とする請求項3に記載の熱転写シート。
  5. 前記熱転写性インク層が、染料または顔料とバインダからなる溶融熱転写インク層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱転写シート。
  6. 前記熱転写性インク層が、熱昇華性染料とバインダとからなる昇華性熱転写インク層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱転写シート。

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