JP5573269B2 - 熱転写シート - Google Patents

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Description

本発明は基材シートの一方の面に、熱転写性インク層と、転写保護層を順次設け、該基材シートの他方の面に帯電防止層を介して耐熱滑性層が形成されてなる熱転写シートに関するものである。
一般に、熱転写シートは、サーマルリボンと呼ばれ、熱転写方式のプリンタに使用されているインクリボンのことであり、基材の一方の面に熱転写層、その基材の他方の面にバックコート(耐熱滑性層)を設けたものである。ここで熱転写層は、インクの層であって、プリンタのサーマルヘッドに発生する熱によって、そのインクを溶融(溶融転写方式)あるいは昇華(昇華転写方式)させ、被転写体側に転写するものである。
熱転写方式はプリンタ内で熱転写シートと熱転写受像シートとが重ね合わされ、サーマルヘッドから熱を受けながら搬送される。その搬送の際に静電気が発生し、サーマルヘッドや熱転写受像シートの染料受容層に埃等が付着する、あるいは熱転写シートと熱転写受像シートとの貼り付きによる印画シワが発生するといった問題がある。また、場合によっては熱転写シートに帯電した静電気の放電によりサーマルヘッドが損傷を受けるといった不具合も発生する。
このような問題を解決するために熱転写シートに帯電防止機能を備えた帯電防止層をコーティング方式によって設けることが一般的に知られている(特許文献1)。
しかしながら熱転写シートの機能上は帯電防止性能があれば、必ずしも帯電防止層が均一で連続した層であることは必要ではなく、帯電防止層が塗布部と非塗布部からなる不均一層であってもかまわない。また、均一な層を得るためには、不均一層と比較してより塗布量を大きくする必要があり、高価な帯電防止層の塗布量増は熱転写シート製造費のコスト増につながるので好ましくない。
帯電防止層をより薄膜にした場合、同じ塗布量で均一層と不均一層を比較すると、均一層の方が比表面積が大きくなり、高温高湿環境下における長期保存の際、帯電防止層の加水分解によるバインダ樹脂の劣化等により帯電防止性能の低下が起こることから、性能の安定性という点で劣る点がある。また、密着性については、不均一層の方が、帯電防止層の表面を粗面化することが出来るので帯電防止層上に積層される耐熱滑性層の密着力の増加が期待できる。
特開2001−1653号公報
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、基材シートに帯電防止層を介して耐熱滑性層が形成されてなる熱転写シートにおいて、帯電防止層に基材シートを被覆している塗布部と被覆していない非塗布部があることにより、安価で、長期保存性にも優れ、安定的な印画性を有する熱転写シートを提供することにある。
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その請求項1に記載の発明は、基材シートの一方の面に、イエロー、マゼンタ、シアンの3色またはブラックを含む4色の熱転写性インク層と、転写保護層を長手方向へ順次設け、該基材シートの他方の面に導電性材料とバインダとからなる帯電防止層が、該基材シートの一部を被覆している塗布部と被覆していない非塗布部がある非均一層として形成され、該塗布部に関しては帯電防止層を介して耐熱滑性層が積層され、該非塗布部に関しては耐熱滑性層が積層されてなる熱転写シートにおいて、帯電防止層の塗布部の面積率が45%〜70%であることを特徴とする熱転写シートである。
また、請求項2記載の発明は、前記導電性材料が、スルホン化ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェンの少なくとも1つ以上からなり、帯電防止層を介した25℃50%RH環境下における耐熱滑性層側の表面抵抗率が1012Ω/cm未満であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シートである。
また、請求項3記載の発明は、前記熱転写性インク層が、熱昇華性染料とバインダとからなる昇華性熱転写インク層であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写シートである。
請求項1記載の発明によれば、基材シートの一方の面に、イエロー、マゼンタ、シアンの3色(またはブラックを含む4色)の熱転写性インク層と、転写保護層を長手方向へ順次設け、該基材シートの他方の面に導電性材料とバインダとからなる帯電防止層を介して耐熱滑性層が積層されてなる熱転写シートにおいて、帯電防止層が基材シートを被覆している塗布部と被覆していない非塗布部がある非均一層であり、帯電防止層の塗布部の面積率が45%〜70%である熱転写シートとすることにより、安価であり長期保存性に優れ安定的印画性を有する熱転写シートを提供することが可能となった。
請求項2記載の発明によれば、前記導電性材料が、スルホン化ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェンの少なくとも1つ以上からなり、帯電防止層を介した25℃50%RH環境下における耐熱滑性層側の表面抵抗率が1012Ω/cm未満である熱転写シートとすることにより、さらに安定的な印画性を有する熱転写シートを提供することが可能となった。
請求項3記載の発明によれば、前記熱転写性インク層が、熱昇華性染料とバインダとからなる昇華性熱転写インク層である熱転写シートとすることにより、さらに階調性表現を向上させた画像を形成できる熱転写シートを提供することが可能となった。
本発明の熱転写シートの説明図
以下に本発明の熱転写シートの実施形態の例を図面に基づき詳細に説明する。
本発明の熱転写シートの構成は図1に断面を示したように、基材シート(1)、帯電防止層(2)、耐熱滑性層(3)、熱転写性インク層(イエロー)(4)、熱転写性インク層(マゼンタ)(5)、熱転写性インク層(シアン)(6)、離型層(7)、転写保護層(8)、からなっている。
本発明の熱転写シートに用いる基材シート(1)としては、従来公知の熱転写シートの基材として使用されているものを使用することができ、必要な機械的強度と耐熱性を備えていれば特に限定はない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等の合成樹脂フィルム、及び、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類が挙げられる。特に、物性や加工性の優れているポリエチレンテレフタレートフィルムが適している。
これらの合成樹脂フィルムや紙類は基材として単独で使用することも、又は組み合わされた複合体として使用することも可能である。
基材の厚さは、操作性、加工性を考慮し、2μm〜50μmの範囲のものが使用できるが、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、2μm〜10μm程度のものが好ましい。
基材シートと熱転写インク層又は帯電防止層との間の密着性を向上させるために、基材シートの一方又は両方の面に易接着層を設けてもよい。易接着層に用いられる材料としては、基材シートと熱転写性インク層又は帯電防止層に親和性があるものが適当であり、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
易接着層の厚みはサーマルヘッドからの熱転写層への熱の移動を妨げない程度の厚みがよく、0.01μm〜1μm、より好ましくは0.05μm〜0.5μmである。
易接着層は支持体上に公知の塗布方法で塗液を塗布することで形成することができる。また、プラスチックフィルムの場合、プラスチックフィルムを成膜する過程で同時に形成してもよい。また、易接着層を設けないで、基材の一方又は両方の面の表面粗さを調整することで密着性を向上させてもよい。
帯電防止層(2)に用いる導電性材料としては、イオン伝導型の界面滑性剤系、アンモニウム塩系と電子伝導型の導電高分子系が挙げられるが、イオン伝導型は導電性材料が積層体の最表面に存在しなくては帯電防止の効果はないので、本発明においては電子伝導型が好適である。電子伝導型の材料としては、スルホン化ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン、電子供与剤でドープされた、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリピロールが挙げられるが、帯電防止の性能、分子構造の安定性、水性溶媒への溶解性からスルホン化ポリアニリン又はポリエチレンジオキシチオエンが好適である。
帯電防止層(2)のバインダとしてはポリエチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル樹脂等が挙げられる。導電高分子系の導電性材料は、水を含む溶媒に可溶であり、それにあわせてバインダも水に溶解、分散が可能である必要がある。
上記の水系の溶媒に分散された、導電性材料とバインダからなる塗工液は疎水性である基材シートの表面上でははじかれてしまうため均一な乾燥膜を得ることができない。はじきをなくし塗工性を向上させるために基材シートにあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の表面改質、あるいはプライマー加工による易接着層を設けるような処理を行うことが一般的である。
また、帯電防止層を形成する塗工液の組成において、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の水溶性有機溶剤や界面滑性剤等の添加剤を添加することによって塗工性を改善し均一な膜を得ることも可能である。本発明においては帯電防止層を形成するための塗工液の水系有機溶剤の添加量を調整し、適度にはじかせ、乾燥させる方法が任意の不均一な層を得るのに好適である。
本発明における不均一な層とは、基材シート上に帯電防止層の塗工液を塗布乾燥後、形成される層が、基材シートを被覆している部分と被覆していない部分からなる層のことを指すが、その割合としては帯電防止層の塗布部の面積率(光学顕微鏡観察で確認できる基材シート表面における帯電防止層の塗布部の占有率)が45〜70%であることが好ましい。面積率が45%以下であると、帯電防止層の連続性が著しく低下し、十分な帯電防止
性能を得ることができない。また70%以上であると、均一面の品質に近似し、上述した長期保存性、密着性、コストの優位性が得られなくなる場合があるので好ましくない。
帯電防止層の性能としては、25℃50%RH環境下で測定される表面抵抗率が1012Ω/cm未満であることが好ましい。1012Ω/cm以上であると、帯電防止性能の不足により、搬送時の塵等の付着、熱転写シートと熱転写受像シートとの貼り付きによる印画シワの発生等の印画不良が発生する可能性がある。
帯電防止層(2)を形成するコーティング剤の塗布方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を用いることが可能である。 任意の不均一な層を設けるための、塗布量、乾燥条件は、塗液の種類や加工機や加工条件によって最適条件が異なり、特に限定はしない。
耐熱滑性層(3)は本発明の熱転写シートの加熱手段としてサーマルヘッドを用いる場合、必要とされるものであり、サーマルヘッドの融着防止や熱転写シートをロールで巻きとった時に背面の転写保護層、熱転写性インク層の染料あるいは顔料が移行しないように離型性を持たせる役割がある。本発明における耐熱滑性層は特に限定はされるものではないが、熱転写シートの基材、およびサーマルヘッドの加熱量に応じて適宜選択することができる。
耐熱滑性層形成用の塗液は、例えば、離型性やすべり性を付与する機能性添加剤、バインダ、硬化剤、溶剤などを通蒸の方法で配合して調整することによって作成することが出来る。この耐熱滑性層の膜厚は乾燥膜厚で0.1μm〜2.0μm程度が適当である。
耐熱滑性層に用いる樹脂の一例を挙げると、アクリルオリゴマーの紫外線硬化物、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド等の合成樹脂に、シリコーンオイルなどの離型剤を添加したもの、シリコーンを共重合したものを挙げることができる。また必要に応じてフィラーを添加しても問題なく、添加するフィラーの一例としては、シリコーンパウダー、シリカおよびレジンパウダーを挙げることができる。
耐熱滑性層を形成するコーティング剤の塗布方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を用いることが可能である。 厚さは、塗液の種類や加工機や加工条件によって最適条件が異なり、特に限定はしない。好ましくは乾燥後の厚さが0.1μm〜2μmの範囲であり、0.1μm未満の場合は、均一な塗膜が形成されず、十分な耐熱性が得られない場合があるので好ましくない。また、2μmを越えた場合は、サーマルヘッドからの熱の伝導を阻害し印画に悪影響を与えるので好ましくない。
熱転写性インク層は熱転写可能な染料または顔料を任意のバインダ樹脂で担持させた層である。使用する染料または顔料は、従来公知の熱転写シートに使用されている染料または顔料がいずれも使用可能であり特に限定されない。
昇華性転写層形成用インクに用いられる熱昇華性染料としては、昇華性分散染料が好ましく、一例を挙げると、イエロー成分としては、ソルベントイエロー56、16、30、93、33、ディスパースイエロー201、231、33等が挙げられる。マゼンタ成分としては、C.I.ディスパースレッド60、ディスパースバイオレット26、C.I.ソルベントレッド27、あるいはC.I.ソルベントレッド19が挙げられる。シアン成分としてはC.I.ディスパースブルー354、24、C.I.ソルベントブルー63、36等が挙げられる。そのバインダとしては、特に限定されるものではないが、エチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリビニルブチラール、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂が好適である。
感熱溶融転写層形成用インクに用いられる染料としては、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メチン系、アゾメタン系、キサンテン系、アキサジン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、アゾ系、スピロジピラン系、イソドリノスピロピラン系、フルオロラン系、ローダミンダクタム系、アントラキノン系等の一般に使用されている感熱転写性染料を広く使用することができる。
感熱溶融転写層形成用インクに用いられる顔料としては、公知の有機顔料、無機顔料を使用することができ、一例を挙げると、カーボンブラック、アゾ系、フタロシアニン系、キクナリドン系、チオインジゴ系、アンスラキノン系、イソインドリン系等の顔料が挙げられる。そのバインダとしては、熱溶融性以外特に限定されるものではないが、一例を挙げると、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体、カルナバワックス、パラフィンワックス等のワックス類である。中でも、ポリエステル。エポキシ樹脂が好適である。
離型層(7)は、転写保護層を基材シートからの剥離の重さを適当な範囲内に調整し、基材シートからの安定的な剥離性を確保するために設けられるものであり、上記の条件さえ満たしていれば必ずしも必要ではない。離型層の材質としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等の水溶性高分子、塩化ゴム、環化ゴム等の天然ゴム誘導体や、天然ワックス、合成ワックス等のワックス類、ニトロセルロース、セルロース、セルロースアセテートプロピオネート等の繊維素誘導体、アクリル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリアセタール系、塩素化ポリオレフィン系、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体系等の熱可塑性樹脂、メラミン系、エポキシ系、ポリウレタン系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂等からなる剥離剤を挙げることができる。
転写保護層(8)としては、熱転写性インク層により被転写体上に形成された画像への紫外線等からの耐久性が要求されると同時に、熱転写法というプロセスにより被転写体上に形成される必要があるため、一般的には紫外線吸収等の保護層としての本来的な性能と同時に被転写体への接着性を兼ね備える接着層、その下層に基材から熱転写時に容易に剥離するための剥離層といった複数の層の積層体から形成されることが一般的である。
転写保護層に添加される紫外線吸収剤に関しては、従来、コストや紫外線吸収範囲、種類の多さ、用途範囲の現状から、主としてベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系のが多く使用されてきていた。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は熱分析(示差熱/熱重量同時測定)の結果からは比較的容易に昇華して失われる傾向があるが、例えば、トリアジ
ン系の紫外線吸収剤を使用した場合にトリアジン系の紫外線吸収剤のブリードアウトによる吸収能力の低下は起こらない。転写保護層の厚み関しては特に制限はなく、必要とされる紫外線吸収能力などを考慮して適宜選択すれば良い。
本発明における転写保護層に使用するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体を例示でき、これらを単独で又は複数を混合して使用できる。
本発明における転写保護層に使用するトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジンなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体が挙げられる。
本発明において転写保護層に使用する紫外線吸収剤は、樹脂100重量部に対し1〜20重量部添加されることが好ましい。添加量が1重量部未満の場合、熱転写性樹脂層中において十分な紫外線吸収能を発揮することができない場合がある。添加量が20重量部を越えた場合、層の強度に悪影響を与える可能性がある。
また、転写保護層には、添加剤としてトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の他に、ヒンダードアミン系光安定剤が添加されることが好ましい。
転写保護層に用いられるヒンダードアミン系光安定剤としては、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート等を例示でき、これらを単独で又は複数を混合して使用できる。
また、転写保護層には、紫外線吸収剤、光安定剤の他にも、必要に応じて熱安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、触媒促進剤、透明性を維持する範囲での着色剤、半透明化のための光散乱剤、艶調整剤等を添加することができる。酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系の酸化防止剤が用いられる。組み合わせは任意の組み合わせが可能であるが、多量添加による表面へのブリードアウトや着色、紫外線吸収剤や光安定剤との相乗作用や拮抗作用には留意する必要がある。熱安定剤としては、ヒンダードフェノール
系、硫黄系、肥土レジン系等、難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシシウム等、クエンチャーとして、Niキレート系を用いることができる。
<実施例1>
基材シートとして厚さ4.5μmの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。上記基材シートの易接着処理された面の反対側に、帯電防止層としてポリピロールが0.01重量部、ポリエステル樹脂が0.1重量部、純水が1.0重量部、メタノールが3.0重量部からなる塗工液をグラビアコート法により、乾燥後の塗布量が0.02g/mとなるように塗布、乾燥し、さらに耐熱滑性層としてポリビニルアセタール樹脂が25重量部、イソシアネート硬化剤が1.1重量部、滑剤が1.0重量部、メチルエチルケトンが36重量部、トルエンが36重量部からなる塗工液をグラビアコート法により乾燥後の膜厚が1.0μmになるように設け、帯電防止層及び、耐熱滑性層の積層体を得た。耐熱滑性層を積層する前に帯電防止層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、帯電防止層が基材シートを被覆している塗布部の面積率は45%であった。
転写性インク層(イエロー)の塗工液はC.I.ソルベントイエロー93を3.0重量部、C.I.ソルベントイエロー16を1.0重量部ポリビニルアセタール樹脂を5.0重量部をメチルエチルケトンを45重量部、トルエンを45重量部からなる混合溶剤に溶解させて作製した。
転写性インク層(マゼンタ)の塗工液はC.I.ディスパースレッド60を1.5重量部、C.I.ディスパースバイオレット26を1.5重量部、ポリビニルアセタール樹脂を5.0重量部をメチルエチルケトンを46重量部、トルエンを46重量部からなる混合溶剤に溶解させて作製した。
転写性インク層(シアン)の塗工液はC.I.ソルベントブルー63を1.5重量部、C.I.ソルベントブルー36を1.5重量部、ポリビニルアセタール樹脂を5.0重量部をメチルエチルケトンを46重量部、トルエンを46重量部からなる混合溶剤に溶解させて作製した。
離型層の塗工液は、ポリビニルアルコールを20重量部をイソプロピルアルコール20重量部、蒸留水60重量部の混合液に溶解させて作製した。
転写保護層の塗工液はアクリル樹脂を30重量部、トリアジン系紫外線吸収剤3重量部、ヒンダードアミン系光安定剤0.1重量部をメチルエチルケトンを50重量部、トルエンを50重量部からなる混合溶剤に溶解させて作製した。
上記のように作製された塗液をグラビアコート法により基材シートの易接着処理面側に、熱転写性インク層(イエロー)、熱転写性インク層(マゼンタ)、熱転写性インク層(シアン)を乾燥膜厚1.0μmで面順次に形成した後、離型層形成用の塗工液を用いて、離型層を乾燥膜厚0.3μmで面順次に形成し、さらに、離型層上に、転写保護層用の塗工液を用いて、転写保護層を乾燥膜厚2.0μmで設け、本発明の熱転写シートを作製した。
<実施例2>
帯電防止層に含まれる導電性材料をポリピロールからポリエチレンジオキシチオフェンに代えたこと以外は実施例1と同様の方法で熱転写シートを作成した。このときの帯電防止層の塗布部の面積率は45%であった。
<実施例3>
帯電防止層の塗工液のメタノールを3.0重量部から7.0重量部に代えたこと以外は実施例1と同様の方法で熱転写シートを作成した。このときの帯電防止層の塗布部の面積率は70%であった。
<実施例4>
帯電防止層に含まれる導電性材料をポリピロールからスルホン化ポリアニリンに代えたこと以外は実施例1と同様の方法で熱転写シートを作成した。このときの帯電防止層の塗布部の面積率は45%であった。
<実施例5>
帯電防止層の塗工液のメタノールを3.0重量部から7.0重量部に代えたこと以外は実施例4と同様の方法で熱転写シートを作成した。このときの帯電防止層の塗布部の面積率は70%であった。
<比較例1>
帯電防止層の塗工液のメタノールを3.0重量部から12.0重量部に代えたこと以外は実施例1と同様の方法で熱転写シートを作成した。このときの帯電防止層の塗布部の面積率は100%であった。
<比較例2>
帯電防止層を設けず、耐熱滑性層のみ設けたこと以外は実施例1と同様の方法で熱転写シートを作成した。
<性能比較1>表面抵抗率
以上のように作成した実施例1、2、3、4、5および比較例1、2の熱転写シートを25℃50%環境下で、表面抵抗測定機(Hiresta UP MCP−450、三菱化学アナリテック社製)を使用して、耐熱滑性層側の表面抵抗率の測定を行った。印加電圧1000Vで印加開始から、30秒後の測定値を記録した。
上記で表面抵抗率を測定した実施例1、2、3、4、5および比較例1、2の熱転写シートを40℃90%RHの環境下で2週間保存後、25℃50%RHの環境下で24時間放置し、同様の手法で表面抵抗率の測定を行った。
<性能比較2>密着性評価
作成した実施例1、2、3、4,5および比較例1、2の熱転写シートの基材シートと耐熱滑性層側の層間の密着性を評価するために、セロハンテープ剥離試験を行い強制剥離の可否を評価した。○:強制剥離不可、×:強制剥離可として評価を行った。
<性能比較3>印画性評価
作成した実施例1、2、3、4,5および比較例1、2の熱転写シートの印画安定性を評価するために、昇華プリンタを用いて連続100枚のベタ印画を行い印画シワの評価を行った。評価の基準は、○:印画シワ0枚、△:印画シワ1枚、×:印画シワ2枚以上として評価を行った。
以上性能比較の結果を表1に示した。
Figure 0005573269
この結果、本発明の熱転写シートによれば、基材シートに帯電防止層を介して耐熱滑性層が形成されてなる熱転写シートにおいて、帯電防止層に基材シートを被覆している塗布部と被覆していない非塗布部があることによって、安価で、長期保存性にも優れ、安定的
な印画性を有する熱転写シートを提供することが可能であることが明らかになった。
1…基材シート
2…帯電防止層
3…耐熱滑性層
4…熱転写性インク層(イエロー)
5…熱転写性インク層(マゼンタ)
6…熱転写性インク層(シアン)
7…離型層
8…転写保護層

Claims (3)

  1. 基材シートの一方の面に、イエロー、マゼンタ、シアンの3色またはブラックを含む4色の熱転写性インク層と、転写保護層を長手方向へ順次設け、該基材シートの他方の面に導電性材料とバインダとからなる帯電防止層が、該基材シートの一部を被覆している塗布部と被覆していない非塗布部がある非均一層として形成され、該塗布部に関しては帯電防止層を介して耐熱滑性層が積層され、該非塗布部に関しては耐熱滑性層が積層されてなる熱転写シートにおいて、帯電防止層の塗布部の面積率が45%〜70%であることを特徴とする熱転写シート。
  2. 前記導電性材料が、スルホン化ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェンの少なくとも1つ以上からなり、帯電防止層を介した25℃50%RH環境下における耐熱滑性層側の表面抵抗率が1012Ω/cm 未満であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 前記熱転写性インク層が、熱昇華性染料とバインダとからなる昇華性熱転写インク層であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写シート。
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