JP2005081765A - 熱転写受像シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 支持体1と染料受容層2と導電性層3とを有し、導電性層3が導電性ポリマー(a)、溶媒(b)およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を支持体1または染料受容層2に塗工して形成された層である熱転写受像シート;および、支持体1または染料受容層2上にカーボンナノチューブ含有組成物を塗工、乾燥して導電性層3を形成する熱転写受像シートの製造方法。
【選択図】 図1
Description
また、導電性のカーボンブラックや、酸化スズ、インジウム−スズ酸化物(ITO)等の金属酸化物を用いて導電層を形成することも知られている。このような導電層を有する熱転写受像シートは、導電性に優れるものの、導電層の透明性が低く、導電層の形成方法が煩雑なためコストが高くなるなどの問題を有する。
また、特開2000−296680号公報(特許文献3)では、ポリアニリンスルホン酸化合物を含有する層にエポキシ系樹脂を反応、硬化させて耐水性を付与することが提案されている。しかしながら、塗膜の硬度、耐侯性については未だ不十分であり、実用上の問題点となっている。
例えば、単層カーボンナノチューブを強酸中で超音波処理することにより単層カーボンナノチューブを短く切断して分散する方法が提案されている(R.E.Smalley等,Science,280,1253(1998))(非特許文献2)。しかしながら、強酸中で処理を実施するため、操作が煩雑となり、工業的には適した方法ではなく、その分散化の効果も十分とはいえない。
また、本発明の他の目的は、帯電防止性および耐水性に優れる熱転写受像シート、およびこのような熱転写受像シートを簡便な方法で得ることができる製造方法を提供することにある。
ここで、導電性層は、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)、さらに必要に応じて高分子化合物(d)、塩基性化合物(e)、界面活性剤(f)、シランカップリング剤(g)、コロイダルシリカ(h)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を支持体または染料受容層に塗工して形成された層であることが望ましい。
ここで、導電性層、電性染料受容層は、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)、さらに必要に応じて高分子化合物(d)、塩基性化合物(e)、界面活性剤(f)、シランカップリング剤(g)、コロイダルシリカ(h)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を支持体に塗工して形成された層であることが望ましい。
また、導電性ポリマー(a)は、水溶性導電性ポリマーであることが望ましく、さらには、スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーであることが望ましい。
また、本発明の熱転写受像シートの製造方法は、支持体上に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を塗工、乾燥して、導電性染料受容層を形成することを特徴とする。
また、本発明の熱転写受像シートの製造方法によれば、このような熱転写受像シートを簡便な方法で得ることができる。
<熱転写受像シート>
本発明の熱転写受像シートは、支持体と、染料受容層と、支持体および/または染料受容層に接する導電性層とを有するもの、または、支持体と、支持体に接する導電性染料受容層とを有するものである。
中でも、帯電防止性の点で、図1に示すような、導電性層3が支持体1および染料受容層2の両方に接している熱転写受像シートが好ましい。
本発明における導電性層は、導電性ポリマー(a)およびカーボンナノチューブ(c)を含有する層である。
ここで、本発明における導電性層は、支持体または染料受容層上に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を塗工して形成された層であることが、導電性の点で好ましい。
導電性ポリマー(a)は、フェニレンビニレン、ビニレン、チエニレン、ピロリレン、フェニレン、イミノフェニレン、イソチアナフテン、フリレン、カルバゾリレン等を繰り返し単位として含むπ共役系高分子である。
中でも、溶媒(b)への溶解性の点で、いわゆる水溶性導電性ポリマーが本発明では好ましく用いられる。ここで、水溶性導電性ポリマーとは、π共役系高分子の骨格または該高分子中の窒素原子上に、酸性基、あるいは酸性基で置換されたアルキル基またはエーテル結合を含むアルキル基を有している導電性ポリマーである。水溶性導電性ポリマーは、非常に低濃度でも良好な導電性を発現するため、他の成分である高分子化合物(d)(バインダーポリマー)の特性を低下させることなく導電性能を十分に発現することができる。
スルホン酸及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーとしては、例えば、特開昭61−197633号公報、特開昭63−39916号公報、特開平01−301714号公報、特開平05−504153号公報、特開平05−503953号公報、特開平04−32848号公報、特開平04−328181号公報、特開平06−145386号公報、特開平06−56987号公報、特開平05−226238号公報、特開平05−178989号公報、特開平06−293828号公報、特開平07−118524号公報、特開平06−32845号公報、特開平06−87949号公報、特開平06−256516号公報、特開平07−41756号公報、特開平07−48436号公報、特開平04−268331号公報、特開平09−59376号公報、特開2000−172384号公報、特開平06−49183号公報、特開平10−60108号公報に示された水溶性導電性ポリマーが好ましく用いられる。
ここで、 R33は、少なくともその一部が、遊離酸型のスルホン酸基及び/またはカルボキシル基であることが導電性向上の点から好ましい。
溶媒(b)は、導電性ポリマー(a)およびカーボンナノチューブ(c)、さらに、必要に応じて用いられる高分子化合物(d)、塩基性化合物(e)、界面活性剤(f)、シランカップリング剤(g)及びコロイダルシリカ(h)を溶解または分散するものであれば特に限定されない。溶媒(b)としては、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、 N−エチルピロリドン等のピロリドン類;ジメチルスルオキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル類等;アニリン、N−メチルアニリン等のアニリン類が好ましく用いられる。
カーボンナノチューブ(c)は、特に限定されるものではなく、カーボンナノチューブ(c)としては、単層カーボンナノチューブ、何層かが同心円状に重なった多層カーボンナノチューブ、これらがコイル状になったものを用いることができる。
以上の製造方法によって得られるカーボンナノチューブ(c)としては、好ましくは単層カーボンナノチューブであり、更に洗浄法、遠心分離法、ろ過法、酸化法、クロマトグラフ法等の種々の精製法によって、より高純度化されたカーボンナノチューブの方が、各種機能を十分に発現することから、好ましく用いられる。
本発明におけるカーボンナノチューブ含有組成物に、高分子化合物(d)を含ませることにより、支持体や染料受容層に対する導電性層の密着性、導電性層の強度は更に向上する。
高分子化合物(d)としては、溶媒(b)に溶解または分散(エマルション形成)可能であれば特に限定されるものではなく、具体的にはポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルコール類;ポリアクリルアマイド、ポリ(N−t−ブチルアクリルアマイド)、ポリアクリルアマイドメチルプロパンスルホン酸などのポリアクリルアマイド類;ポリビニルピロリドン類、ポリスチレンスルホン酸及びそのソーダ塩類、セルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂、マレイン酸樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、スチレン樹脂、アクリル/スチレン共重合樹脂、酢酸ビニル/アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン/マレイン酸共重合樹脂、フッ素樹脂及びこれらの共重合体などが用いられる。また、これらの高分子化合物(d)は2種以上を任意の割合で混合したものであってもよい。
塩基性化合物(e)は、カーボンナノチューブ含有組成物中に添加することにより、導電性ポリマー(a)の溶解性を向上させ、カーボンナノチューブ(c)の溶媒(b)への可溶化あるいは分散化を促進する効果がある。特に、塩基性化合物(e)は、水溶性導電性ポリマーを脱ドープし、溶媒(b)への溶解性をより向上させる効果がある。また、スルホン酸基、カルボキシル基等の酸性基と塩を形成することにより水への溶解性が特段に向上するとともに、カーボンナノチューブ(c)の溶媒(b)への可溶化あるいは分散化が促進される。
塩基性化合物(e)として用いられるアミン類の構造式を下記式(14)に示す。
環式不飽和アミン類としては、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピロリン及びこれらの骨格を有する誘導体及びこれらのアンモニウムヒドロキシド化合物などが好ましく用いられる。
無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化物塩が好ましく用いられる。
本発明におけるカーボンナノチューブ含有組成物に、界面活性剤(f)を加えると更にカーボンナノチューブ(c)の可溶化あるは分散化が促進するとともに、平坦性、塗布性及び導電性などが向上する。
本発明におけるカーボンナノチューブ含有組成物に、更にシランカップリング剤(g)を含ませることができる。シランカップリング剤(g)は水溶性導電性ポリマーの酸性基と反応して、そしてシランカップリング剤(g)同士で加水分解して架橋構造を形成していると考えられている。シランカップリング剤(g)を含むカーボンナノチューブ含有組成物から得られる導電性層の耐水性は著しく向上する。シランカップリング剤(g)としては、下記式(1)で示されるシランカップリング剤(g)が用いられる。
アミノ基を持つものとしては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、β−アミノエチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロポキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
チオール基を持つものとしては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、β−メルカプトエチルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
水酸基を持つものとしてはβ−ヒドロキシエトキシエチルトリエトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシシクロヘキシル基を持つものとしては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明におけるカーボンナノチューブ含有組成物に、更にコロイダルシリカ(h)を併用することができる。コロイダルシリカ(h)を併用したカーボンナノチューブ含有組成物から得られる導電性層は、表面硬度や耐候性が著しく向上する。
前記導電性ポリマー(a)と溶媒(b)の使用割合は、溶媒(b)100質量部に対して導電性ポリマー(a)が0.001〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜30質量部である。導電性ポリマー(a)が0.001質量部未満では、導電性が劣ったり、カーボンナノチューブ(c)の可溶化あるは分散化の効率が低くなったりする。一方、50質量部を超えると導電性はピークに達して大きく増加しないし、高粘度化して、カーボンナノチューブ(c)の可溶化あるは分散化の効率が低くなったりする。
本発明における導電性層は、このままでも優れた導電性を有するものであるが、支持体または染料受容層の表面に、カーボンナノチューブ含有組成物を塗工して導電性層を形成した後に、酸によりドーピング処理を行い、次いで常温で放置あるいは加熱処理をすることにより、さらに導電性を向上させることができる。
酸によるドーピング処理方法は、特に限定されるものではなく公知の方法を用いることができる。例えば、酸性溶液中に導電体を浸漬させるなどの処理をすることによりドーピング処理を行うことができる。酸性溶液は、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸や、p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、安息香酸及びこれらの骨格を有する誘導体などの有機酸や、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン)スルホン酸、ポリビニル硫酸及びこれらの骨格を有する誘導体などの高分子酸を含む水溶液、あるいは、水−有機溶媒の混合溶液である。なお、これらの無機酸、有機酸、高分子酸はそれぞれ単独で用いても、また2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
本発明の熱転写受像シートにおける支持体としては、特に限定されないが、各種のプラスチックフイルムやシート、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等の各種の紙が好適である。
支持体の厚みは、特に限定されるものではないが、一般的には50〜200μm程度である。
支持体がプラスチックフィルムの表面に導電性層を形成させる場合は、該導電性層の支持体への密着性を向上させる目的で、上記フィルム表面をコロナ表面処理またはプラズマ処理することが好ましい。
本発明の熱転写受像シートにおける染料受容層は、転写シートから移行してくる昇華性染料を受容し、形成された画像を維持するためのものである。
染料受容層を形成するためのバインダー樹脂としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル系樹脂;ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂;アイオノマー;セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂;ポリカーボネート等が挙げられる。特に好ましいものは、ビニル系樹脂及びポリエステル系樹脂である。
本発明における導電性染料受容層は、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)、さらに必要に応じて高分子化合物(d)、塩基性化合物(e)、界面活性剤(f)、シランカップリング剤(g)及び/またはコロイダルシリカ(h)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を支持体に塗工して形成された層である。このような層は、上述の導電性層および染料受容性層の両方の機能を兼ね備えた層となる。
本発明の熱転写受像シートは、支持体または染料受容層上に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を塗工、乾燥して、導電性層を形成することにより製造される。または、支持体上に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を塗工、乾燥して、導電性染料受容層層を形成することにより製造される。
例えば、図1に示す熱転写受像シートの場合、支持体上に、カーボンナノチューブ含有組成物を塗工、乾燥して、導電性層を形成し、導電性層上に染料受容層を積層することにより製造される。
また、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含むカーボンナノチューブ含有組成物を塗工して形成された導電性層(導電性染料受容層)を有していれば、カーボンナノチューブ(c)自体の特性を損なうことなく、カーボンナノチューブ(c)が導電性層に均一に分散し、導電性層の導電性がより高くなり、帯電防止性がさらに向上する。
また、本発明の熱転写受像シートにおける導電性層(導電性染料受容層)が、水溶性導電性ポリマーとシランカップリング剤(g)を含有していれば、架橋構造を形成するので、成膜性、耐水性、硬度、耐侯性に優れている。
また、本発明の熱転写受像シートの製造方法にあっては、支持体または染料受容層上に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を塗工、乾燥して、導電性層(導電性染料受容層)を形成しているので、カーボンナノチューブ(c)自体の特性を損なうことなく、カーボンナノチューブ(c)を導電性層に均一に分散させることができる。また、本発明の熱転写受像シートを簡便な方法で得ることができる。
そして、このようにカーボンナノチューブ(c)が溶媒(b)に分散化あるいは可溶化したカーボンナノチューブ含有組成物を支持体または染料受容層上に塗工して導電性層(導電性染料受容層)を形成することにより、カーボンナノチューブ(c)が均一に分散した導電性層を得ることが可能となる。
(製造例1、導電性ポリマー(A−1))
ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)の合成:
2−アミノアニソール−4−スルホン酸100mmolを25℃で4mol/Lのトリエチルアミン水溶液に攪拌溶解し、これにペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間更に攪拌した後に反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、ポリマー粉末15gを得た。この導電性ポリマー(A−1)の体積抵抗値は9.0Ω・cmであった。
ポリ(2−スルホ−1,4−イミノフェニレン)の合成:
m−アミノベンゼンスルホン酸100mmolを25℃で4モル/リットルのトリメチルアミン水溶液に攪拌溶解し、これにペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後25℃で12時間更に攪拌したのち、反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、ポリマー体粉末10gを得た。この導電性ポリマー(A−2)の体積抵抗値は12.0Ω・cmであった。
スルホン化ポリアニリンの合成:
ポリ(2−スルホ−1,4−イミノフェニレン)を既知の方法「J.Am.Chem.Soc.,(1991),113,2665−2666」に従って合成した。得られたポリマーのスルホン酸含有量は、芳香環に対して52%であった。また、この導電性ポリマー(A−3)の体積抵抗値は50Ω・cmであった。
脱ドープ状態のポリアニリンの合成:
アニリン100mmolを25℃で1mol/L硫酸水溶液に攪拌溶解し、これにペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間更に攪拌した後に反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、重合体粉末8gを得た。得られたドープ状態の重合体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、1.0S/cm以下であった。この重合体を25℃で1時間で1mol/Lアンモニア水中で分散攪拌した後に濾別洗浄後乾燥し、脱ドープ状態の重合体粉末5gを得た。
(カーボンナノチューブ含有組成物1)
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)0.5質量部、カーボンナノチューブ(ILJIN社製、CVD法により製造された多層カーボンナノチューブ)0.4質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物1を調製した。
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)0.5質量部、カーボンナノチューブ0.1質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製、樹脂分40質量%)20質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物2を調製した。
上記製造例2の導電性ポリマー(A−2)0.3質量部、カーボンナノチューブ0.1質量部、アンモニア1質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物3を調製した。
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)0.3質量部、カーボンナノチューブ0.2質量部、トリエチルアミン1質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製)20質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物4を調製した。
上記製造例3の導電性ポリマー(A−3)0.5質量部、カーボンナノチューブ0.4質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸0.5質量部を、水/メタノール混合溶媒(質量比9/1)100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物5を調製した。
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)0.5質量部、カーボンナノチューブ0.4質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物6を調製した。
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)0.5質量部、カーボンナノチューブ0.4質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部、コロイダルシリカ(粒子径:10nm)5質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製)10質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物7を調製した。
上記製造例4の導電性ポリマー(A−4)0.5質量部、カーボンナノチューブ0.4質量部をN−メチルピロリドン100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物8を調製した。
導電性カーボン「ケッチンブラック」(花王社製)5質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製)20質量部を水100質量部に室温にて溶解・分散して導電性組成物1を調製した。
ポリスチレンスルホン酸ソーダ「ケミスタットSA−9」(三洋化成社製)20質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製)20質量部を水100質量部に室温にて溶解・分散して導電性組成物2を調製した。
カーボンナノチューブ0.4質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製)20質量部を水100質量部に室温にて溶解・分散して導電性組成物3を調製した。
上記製造例1の導電性重合体(A−1)2質量部、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン0.5質量部を水100質量部に室温にて溶解して架橋性の導電性組成物4を調製した。
ポリエステル樹脂「バイロン200」(東洋紡社製)80質量部、シリコーンオイル「KF105」(信越化学社製)3質量部、イソシアネート「コロネートL」(日本ポリウレタン社製)5質量部をトルエン400質量部に室温にて溶解・分散して染料受容層用組成物を調製した。
[実施例1](支持体と染料受容層との間に導電性層)
支持体(ポリエステルフィルム、東レ社製「ルミラー」、厚さ100μm、以下「PET」と記す)の片面上に、カーボンナノチューブ含有組成物1を乾燥時に2.5g/m2 になるように塗布し、乾燥し、導電性層を形成した。さらにこの層上に、染料受容層用組成物を乾燥時に1.5g/m2 になるように塗布し、乾燥し、染料受容層を形成した。この様にして熱転写受像シートを作製した。この熱転写受像シートについて、表面抵抗値を測定し、無色透明性、画像均一性、耐水性を評価した。結果を表1および表2に示す。
カーボンナノチューブ含有組成物1を、カーボンナノチューブ含有組成物2に変更した以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シートを作製した。この熱転写受像シートについて、表面抵抗値を測定し、無色透明性、画像均一性、耐水性を評価した。結果を表1および表2に示す。
支持体(PET)の片面上に、カーボンナノチューブ含有組成物3を乾燥時に2.5g/m2 になるように塗布し、乾燥し、導電性染料受容層を形成した。この様にして熱転写受像シートを作製した。この熱転写受像シートについて、表面抵抗値を測定し、無色透明性、画像均一性を評価した。結果を表1に示す。
支持体(無機顔料含有ポリプロピレンフィルム、日清紡社製「ピーチコートWP−110」、厚さ110μm、以下「合成紙」と記す)の片面上に、染料受容層用組成物を乾燥時に1.5g/m2 になるように塗布し、乾燥し、染料受容層を形成した。さらにこの層上に、カーボンナノチューブ含有組成物4を乾燥時に2.5g/m2 になるように塗布し、乾燥し、導電性層を形成した。この様にして熱転写受像シートを作製した。この熱転写受像シートについて、表面抵抗値を測定し、無色透明性、画像均一性を評価した。結果を表1に示す。
支持体(合成紙)の片面上に、染料受容層用組成物を乾燥時に1.5g/m2 になるように塗布し、乾燥し、染料受容層を形成した。さらに支持体の裏面上に、カーボンナノチューブ含有組成物5を乾燥時に2.5g/m2 になるように塗布し、乾燥し、導電性層を形成した。この様にして熱転写受像シートを作製した。この熱転写受像シートについて、表面抵抗値を測定し、無色透明性、画像均一性を評価した。結果を表1に示す。
カーボンナノチューブ含有組成物1を、カーボンナノチューブ含有組成物6に変更した以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シートを作製した。この熱転写受像シートについて、表面抵抗値を測定し、無色透明性、画像均一性を評価した。結果を表1に示す。
カーボンナノチューブ含有組成物3を、カーボンナノチューブ含有組成物7に変更した以外は、実施例3と同様にして熱転写受像シートを作製した。この熱転写受像シートについて、表面抵抗値を測定し、無色透明性、画像均一性を評価した。結果を表1に示す。
支持体(PET)の片面上に、カーボンナノチューブ含有組成物8を乾燥時に2.5g/m2 になるように塗布し、乾燥後、1mol/Lの硫酸水溶液中に5分間浸漬した後、80℃で5分間乾燥させ、導電性層を形成した。さらにこの層上に、染料受容層用組成物を乾燥時に1.5g/m2 になるように塗布し、乾燥し、染料受容層を形成した。この様にして熱転写受像シートを作製した。この熱転写受像シートについて、表面抵抗値を測定し、無色透明性、画像均一性を評価した。結果を表1に示す。
カーボンナノチューブ含有組成物1を、導電性組成物1に変更した以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シートを作製した。この熱転写受像シートについて、表面抵抗値を測定し、無色透明性、画像均一性、耐水性を評価した。結果を表1および表2に示す。
支持体(合成紙)の片面上に、導電性組成物2を乾燥時に2.5g/m2 になるように塗布し、乾燥し、導電性染料受容層を形成した。この様にして熱転写受像シートを作製した。この熱転写受像シートについて、表面抵抗値を測定し、無色透明性、画像均一性、耐水性を評価した。結果を表1および表2に示す。
カーボンナノチューブ含有組成物1を、導電性組成物3に変更した以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シートを作製した。この熱転写受像シートについて、表面抵抗値を測定し、無色透明性、画像均一性、耐水性を評価した。結果を表1および表2に示す。
カーボンナノチューブ含有組成物1を、導電性組成物4に変更した以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シートを作製した。この熱転写受像シートについて、表面抵抗値を測定し、無色透明性、画像均一性を評価した。結果を表1に示す。
(表面抵抗値)
25℃、15%RHの条件下で表面抵抗値を測定した。表面抵抗値が108 Ω以上の場合は二探針法(ダイアインスツルメンツ社製ハイレスターUP、電極間距離:20mm)を用い、表面抵抗値が107 Ω以下の場合は四探針法(ダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP、各電極間距離:5mm)を用いた。
(無色透明性)
塗工後の導電性層(導電性染料受容層)の状態を、目視により観察した。
○:ほぼ無色透明である。
×:着色が認められる。
(画像均一性)
厚さ6μmのポリエステルフィルムの上に昇華性染料をバインダーとともに含むインク層を設けたイエロー、マゼンタ、シアンの3色それぞれのインクシートを、染料受容層表面に接触させ、市販の熱転写ビデオプリンターを用いて、サーマルヘッドで段階的に加熱することにより所定の画像を染料受容層面に熱転写させ、各色の中間調の単色および色重ねの画像をプリントした。この染料受容層上に転写された記録画像について、マクベス反射濃度計を用いて、印加エネルギー別に反射濃度を測定し、光学濃度(黒)が1.0に相当する階調部分の記録画像の均一性について、(1)濃淡ムラの有無、および(2)白抜けの有無などについて目視観察した。
○:良好。
×:不良(実用上使用はできない)。
(耐水性評価)
支持体に導電性層(導電性染料受容層)を形成した後の表面抵抗値(SR0)を測定した。この支持体を40℃の純水中に1時間浸漬した後、表面抵抗値(SR1)を測定し、SR1/SR0を算出した。
(外観)
支持体に導電性層(導電性染料受容層)を形成し、これを40℃、温水中に浸漬後、目視により導電性層(導電性染料受容層)の状態を観察した。
○:浸漬前と変化なし(光沢、透明性あり)。
×:成分が溶出。
2 染料受容層
3 導電性層
4 導電性染料受容層
Claims (22)
- 支持体と、染料受容層と、導電性層とを有し、
導電性層が、導電性ポリマー(a)およびカーボンナノチューブ(c)を含有する層であることを特徴とする熱転写受像シート。 - 支持体と、導電性染料受容層とを有し、
導電性染料受容層が、導電性ポリマー(a)およびカーボンナノチューブ(c)を含有する層であることを特徴とする熱転写受像シート。 - 導電性層が、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を支持体または染料受容層に塗工して形成された層であることを特徴とする請求項1記載の熱転写受像シート。
- 導電性染料受容層が、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を支持体に塗工して形成された層であることを特徴とする請求項2記載の熱転写受像シート。
- カーボンナノチューブ含有組成物が、高分子化合物(d)をさらに含有することを特徴とする請求項3または請求項4記載の熱転写受像シート。
- カーボンナノチューブ含有組成物が、塩基性化合物(e)をさらに含有することを特徴とする請求項3ないし5のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- カーボンナノチューブ含有組成物が、界面活性剤(f)をさらに含有することを特徴とする請求項3ないし6のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- さらに、コロイダルシリカ(h)を含有することを特徴とする請求項3ないし7のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 導電性ポリマー(a)が、水溶性導電性ポリマーであることを特徴とする請求項3ないし8のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 水溶性導電性ポリマーが、スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有するものであることを特徴とする請求項9または請求項10記載の熱転写受像シート。
- スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、下記式(2)〜(10)から選ばれた少なくとも一種以上の繰り返し単位を、ポリマー全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含有する水溶性導電性ポリマーであることを特徴とする請求項11記載の熱転写受像シート。
- スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、下記式(11)で表される繰り返し単位を、ポリマー全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含むことを特徴とする請求項11記載の熱転写受像シート。
- スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、下記式(12)で表されるものであることを特徴とする請求項11記載の熱転写受像シート。
- スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、下記式(13)で表される酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び/または置換アンモニウム塩を、塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた水溶性導電性ポリマーであることを特徴とする請求項11記載の熱転写受像シート。
- スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び/または置換アンモニウム塩を、塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた水溶性導電性ポリマーであることを特徴とする請求項11記載の熱転写受像シート。
- スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルフェートであることを特徴とする請求項11記載の熱転写受像シート。
- 導電性層を1つ以上有し、導電性層の少なくとも1つが、温度25℃、相対湿度15%における表面抵抗値が101 〜1012Ωである層であることを特徴とする請求項1ないし17のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 導電性層を1つ以上有し、導電性層の少なくとも1つが、温度40℃の純水中に1時間浸漬した後の表面抵抗値SR1と浸漬前の表面抵抗値SR0との比(SR1/SR0)が5以下である層であることを特徴とする請求項10ないし18のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 支持体と染料受容層と導電性層とを有する熱転写受像シートの製造方法において、
支持体または染料受容層上に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を塗工、乾燥して、導電性層を形成することを特徴とする熱転写受像シートの製造方法。 - 支持体と導電性染料受容層とを有する熱転写受像シートの製造方法において、
支持体上に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を塗工、乾燥して、導電性染料受容層を形成することを特徴とする熱転写受像シートの製造方法。 - 塗工前のカーボンナノチューブ含有組成物に超音波を照射することを特徴とする請求項20または請求項21記載の熱転写受像シートの製造方法。
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JP2009160754A (ja) * | 2007-12-28 | 2009-07-23 | Inoac Corp | カーボンナノチューブ担持発泡体及びその製法 |
JP2011005654A (ja) * | 2009-06-23 | 2011-01-13 | Toppan Printing Co Ltd | 昇華性熱転写記録媒体 |
JP2011194790A (ja) * | 2010-03-23 | 2011-10-06 | Toppan Printing Co Ltd | 熱転写シート |
CN103182877A (zh) * | 2011-12-30 | 2013-07-03 | 第一毛织株式会社 | 热转印膜和用该膜制造的有机电致发光装置 |
JP2018518385A (ja) * | 2015-05-01 | 2018-07-12 | コダック アラリス インク | 受容体オーバーコート層を有する導電性の感熱画像形成受容層 |
-
2003
- 2003-09-10 JP JP2003318348A patent/JP2005081765A/ja active Pending
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