JP5286728B2 - 熱転写受像シート及び印画物 - Google Patents
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しかしながら、サーマルヘッドの温度を高くして印画を行うことで、高速印画条件で従来と同等の最高到達濃度を維持しようとすると、熱転写受像シートの耐熱性不足が発生し、印画面の外観にかすれ等の不具合が生じるという問題があった。
しかしながら、このような高感度化した受容層を有する熱転写受像シートは、耐熱性が極めて低下するため、従来の印画温度条件であってもかすれ等の不具合が生じてしまうものであった。このかすれ等の不具合は、受容層の樹脂のTgを高くすることで解消できるが、熱転写受像シートの感度が低下するためサーマルヘッドの温度を高くする必要が生じ、結局かすれ等の不具合が再度生じるという問題があった。
上記ベンジルメタクリレート重合体は、ベンジルメタクリレートに由来する共重合単位が50〜95質量%であることが好ましい。
以下に本発明を詳細に説明する。
以下、本発明の熱転写受像シートを各層ごとに詳述する。
上記基材シートとしては特に限定されず、例えば、紙類、プラスチックフィルム等が使用できる。
上記紙類では、各種紙単体であってもよいし、合成紙であってもよく、例えば、上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙、樹脂エマルジョンや合成ゴムラテックス等の含浸紙、合成樹脂内添紙等が挙げられる。
上記合成紙としては、ポリスチレン系合成紙やポリオレフィン系合成紙が好ましい。
上記染料受容層は、ベンジルメタクリレート重合体とシリカ粒子とを含有するものである。このような組成の染料受容層は、耐熱性が極めて優れたものとなるとともに、染料の転写感度を優れたものとすることができ、本発明の熱転写受像シートは、耐熱性、最高到達濃度が高い印画物が得られ、高温度条件下で印画した場合でも印画物にかすれ等の不具合が生じることを防止することが可能となる。これは、上記ベンジルメタクリレート重合体とシリカ粒子とを含有する染料受容層中で、ベンジルメタクリレート重合体が柔軟な領域(ソフトセグメント)を構成することで高い染料転写感度を維持する一方、シリカ粒子が硬い領域(ハードセグメント)を構成することで高い耐熱性を維持しているためであると考えられる。
本明細書において、Tgは、剛体振り子型レオメータ(エー・アンド・デイ社製 RPT−3000)の対数減衰ピーク温度として測定したものである。測定条件は以下の通りである。
振子:FRB−400
エッジ:RBP−020
慣性能率:19100(重りの数と量で調整)
測定温度:25℃→150℃
昇温速度:7.5℃/min
塗布基材:アルミ板
乾燥条件:110℃×5min
乾燥膜厚:10μm
本明細書において、上記共重合単位の含有量は、モノマーの質量%によるものである。
上記シリカ粒子の数平均一次粒径の好ましい下限は7nm、好ましい上限は17nmである。
なお、本明細書において、上記数平均一次粒径は、レーザー回折・散乱型粒度分布計(日機装株式会社製 マイクロトラック粒度分布計 MT3000)により測定したものである。
上記その他の樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、ポリエーテル系樹脂等が挙げられる。
上記離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系化合物等、公知のものが挙げられるが、特にシリコーンオイルが好ましい。
上記シリコーンオイルとしては、エポキシ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル、ビニル変性シリコーンオイル、ハイドロジェン変性シリコーンオイル等、変性シリコーンオイルが好ましい。
上記離型剤は、上述の各共重合体100質量部に対して約0.5〜30質量部となるよう添加することが好ましい。
なお、上記染料受容層の塗布量は、例えば、受容層のふき取り前後の重量差分からの計算により算出することができる。
上記染料受容層のふき取り前後の重量差の測定方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
すなわち、(1)PETフィルム等の溶剤不溶性フィルム上に受容層溶液を塗布して10cm×10cmに切り取って重量を測定する。(2)トルエン/MEK=1/1溶液をしみ込ませたペーパータオル(キムタオル(登録商標)等)にて受容層をふき取り、その重量を測定する。(3)(1)と(2)の重量差分を計算し、単位面積(m2)あたりの塗布量を求める。
上記染料受容層塗工液の塗布量としては、乾燥状態で1.0〜10.0g/m2であることが好ましい。
本発明の熱転写受像シートは、染料受容層と基材シートの間に、必要に応じて中間層を設けることができる。
上記中間層としては、その目的により如何なる材料を用いてもよい。例えば、樹脂に各種の白色顔料を加えたものを用いることにより、高い白色度を得ることができる。更に、蛍光増白剤や帯電防止剤等を必要に応じて添加することができる。また、基材シートと染料受容層との間の接着性を向上させる目的で、必要に応じて中間層を設けてもよい。また、該接着性を向上させるために、基材シートの染料受容層と形成する側の面に予めコロナ放電処理、オゾン処理等の中間層を設けるための前処理を施してもよい。
本発明の熱転写受像シートは、基材シートの染料受容層を設けた面と反対の面に、熱転写受像シートの搬送性の向上や、カール防止等のために、裏面層を設けることができる。上記裏面層として、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ハロゲン化ポリマー等の樹脂中に、添加剤として、アクリル系フィラー、ポリアミド系フィラー、フッ素系フィラー、ポリエチレンワックス等の有機系フィラー、及び、二酸化珪素や金属酸化物等の無機フィラーを加えたものが使用できる。
上記硬化剤としては、一般的に公知のものが使用できるが、中でもイソシアネート化合物が好ましい。裏面層の樹脂はイソシアネート化合物等と反応しウレタン結合を形成して硬化・立体化することにより、耐熱保存性、耐溶剤性が向上し、さらには、基材シートとの密着も良くなる。
本発明の熱転写受像シートは、染料受容層面もしくは裏面、または両面の最表面に帯電防止層を設けてもよい。
本発明の熱転写受像シートを用いた画像形成は、例えば、公知の熱転写シートと熱転写型転写方式(昇華型熱転写方式)のプリンタとを用いて行うことができる。
上記熱転写シートは、必要に応じ、耐熱滑性層を設けたものであってもよい。
上記樹脂バインダーとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂;ポリエステル系樹脂;フェノキシ樹脂;等が好ましい。
このような本発明の画像形成方法を行うことにより得られる印画物もまた、本発明の一つである。
なお、文中、部又は%とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。
基材シートとして、微細空隙層の39μm厚ミクロボイドフィルムの後述する染料受容層を形成する面とは反対側の面に、下記組成の接着剤層塗工液を塗布、乾燥し、下記条件で裏面層を片側に設けた支持体であるコート紙(186.1g/m2)の裏面層が積層されていない側の面に、貼着したものを使用した。この基材シートの染料受容層塗布面に下記組成のプライマー層塗工液をワイヤーバーコーティングにより、乾燥塗布量が2.0g/m2になるように塗布、乾燥して、プライマー層を形成した。
多官能ポリオール(タケラックA−969V、三井化学ポリウレタン(株)製)30部
イソシアネート(タケネートA−5、三井化学ポリウレタン(株)製) 10部
酢酸エチル 60部
坪量157g/m2のコート紙を用い、その片面にコロナ放電処理を施した後、その面に裏面層として高密度ポリエチレンを押し出しコート法にて塗布(坪量29.1g/m2)することによってコート紙に裏面層を設けた。
ポリエステルポリオール(東洋モートン(株)製、アドコート) 20.0部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80.0部
ベンジルメタクリレート−ヘキシルアクリレート共重合体樹脂(ベンジルメタクリレート/ヘキシルアクリレート=75/25(質量%)、重量平均分子量=20万、Tg=64℃) 17.5部
カルボキシル変性シリコーン(信越化学工業製、X−22−3701E) 1.0部
シリカ粒子(平均粒径7nm、商品名R−300、日本アエロジル社製) 1.5部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80.0部
なお、後述のその他の共重合体も、モノマー混合物の種類を得られる樹脂の組成と同じものに変更する以外は、上記方法と同様に調製した。詳しくは表2にまとめた。
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下記組成の染料受容層塗工液2を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の熱転写受像シートを作製した。
ベンジルメタクリレート−ヘキシルアクリレート共重合体樹脂(ベンジルメタクリレート/ヘキシルアクリレート=75/25(質量%)、重量平均分子量=20万、Tg=64℃) 15.6部
カルボキシル変性シリコーン(信越化学工業製、X−22−3701E) 1.0部
シリカ粒子(平均粒径16nm、商品名R−130、日本アエロジル社製) 3.4部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80.0部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下記組成の染料受容層塗工液3を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の熱転写受像シートを作製した。
ベンジルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体樹脂(ベンジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/40(質量%)、重量平均分子量=20万、Tg=50℃) 15.6部
カルボキシル変性シリコーン(信越化学工業製、X−22−3701E) 1.0部
シリカ粒子(平均粒径16nm、商品名R−130、日本アエロジル社製) 3.4部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80.0部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下記組成の染料受容層塗工液4を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の熱転写受像シートを作製した。
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(塩化ビニル/酢酸ビニル=60/40(質量%)、数平均分子量=10万、Tg=70℃、商品名ソルバインC、日信化学工業社製)
19.0部
カルボキシル変性シリコーン(信越化学工業製、X−22−3701E) 1.0部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80.0部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下記組成の染料受容層塗工液5を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の熱転写受像シートを作製した。
ベンジルメタクリレート−ヘキシルアクリレート共重合体樹脂(ベンジルメタクリレート/ヘキシルアクリレート=60/40(質量%)、重量平均分子量=20万、Tg=50℃) 19.0部
カルボキシル変性シリコーン(信越化学工業製、X−22−3701E) 1.0部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80.0部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下記組成の染料受容層塗工液6を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の熱転写受像シートを作製した。
ベンジルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体樹脂(ベンジルメタクリレート/ブチルアクリレート=75/25(質量%)、重量平均分子量=20万、Tg=69℃)
19.0部
カルボキシル変性シリコーン(信越化学工業製、X−22−3701E) 1.0部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80.0部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下記組成の染料受容層塗工液7を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例4の熱転写受像シートを作製した。
ベンジルメタクリレート重合体樹脂(重量平均分子量=20万、Tg=90℃)
19.0部
カルボキシル変性シリコーン(信越化学工業製、X−22−3701E) 1.0部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80.0部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下記組成の染料受容層塗工液8を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例5の熱転写受像シートを作製した。
メチルメタクリレート重合体樹脂(重量平均分子量=20万、Tg=150℃) 15.6部
カルボキシル変性シリコーン(信越化学工業製、X−22−3701E) 1.0部
シリカ粒子(平均粒径16nm、商品名R−130、日本アエロジル社製) 3.4部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80.0部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下記組成の染料受容層塗工液9を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例6の熱転写受像シートを作製した。
ブチルアクリレート共重合体樹脂、重量平均分子量=20万、Tg=−14℃)
19.0部
カルボキシル変性シリコーン(信越化学工業製、X−22−3701E) 1.0部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80.0部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下記組成の染料受容層塗工液10を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例7の熱転写受像シートを作製した。
ベンジルメタクリレート−ヘキシルアクリレート共重合体樹脂(ベンジルメタクリレート/ヘキシルアクリレート=75/25(質量%)、重量平均分子量=20万、Tg=64℃) 11.4部
カルボキシル変性シリコーン(信越化学工業製、X−22−3701E) 1.0部
シリカ粒子(平均粒径7nm、商品名R−300、日本アエロジル社製) 7.6部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80.0部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下記組成の染料受容層塗工液11を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例8の熱転写受像シートを作製した。
ベンジルメタクリレート−ヘキシルアクリレート共重合体樹脂(ベンジルメタクリレート/ヘキシルアクリレート=75/25(質量%)、重量平均分子量=20万、Tg=64℃) 17.5部
カルボキシル変性シリコーン(信越化学工業製、X−22−3701E) 1.0部
シリカ粒子(平均粒径500nm、商品名サイリシア530、富士シリシア化学社製)
1.5部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80.0部
実施例1で作製した熱転写受像シートにおいて、下記組成の染料受容層塗工液12を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例9の熱転写受像シートを作製した。
メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体樹脂(メチルメタクリレート/ブチルアクリレート=50/50(質量%)、重量平均分子量=20万、Tg=64℃)
15.6部
カルボキシル変性シリコーン(信越化学工業製、X−22−3701E) 1.0部
シリカ粒子(平均粒径16nm、商品名R−130、日本アエロジル社製) 3.4部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80.0部
以下の方法で、各実施例及び比較例の熱転写受像シートについて、最高到達濃度と印画適性を評価した。各試験結果を表1に示す。
各熱転写受像シートを用いて、メガピクセルIII(アルテックエーディーエス社製)にて画像形成を行い、イエロー、マゼンタ、シアンの各染料層において同条件の印加エネルギーを加えて、イエロー、マゼンタ、シアンの順に、その3色を重ねてブラックのベタ状の熱転写画像を得た。得られたブラックのベタ画像の反射濃度をブラックフィルター(グレタグマクベス社製)にて測定した。
◎:最高到達濃度 2.20以上
○:最高到達濃度 2.15〜2.19
△:最高到達濃度 2.05〜2.14
×:最高到達濃度 2.04以下
上記画像形成の際の剥離音について、以下の評価基準に基づき評価した。
(評価基準)
○:静かに印画可能。
△:若干剥離音がある。
×:かなりの剥離音が発生。
−:印画不可能(印画途中で動作ストップ)
各熱転写受像シートを用いて、メガピクセルIII(アルテックエーディーエス社製)にて画像形成を行い、ブラックの最高濃度にて以下の基準によりカスレの評価を行った。
(評価基準)
○:カスレなし。
△:印画面に若干の光沢ムラが見える。
×:印画面に茶色味のあるムラが見える。
Claims (5)
- 基材シートの一方の面に染料受容層を備えた熱転写受像シートであって、
前記染料受容層は、ベンジルメタクリレート重合体と数平均一次粒径が7〜17nmのシリカ粒子とを含有し、
前記シリカ粒子の含有量が前記ベンジルメタクリレート重合体100質量部に対して5〜35質量部であり、
前記ベンジルメタクリレート重合体は、ベンジルメタクリレートに由来する共重合単位と(メタ)アクリル酸エステル誘導体とに由来する共重合単位とを含むベンジルメタクリレート共重合体であり、前記(メタ)アクリル酸エステル誘導体は、ブチル(メタ)アクリレート又はヘキシル(メタ)アクリレートであり、
前記染料受容層は、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物又はフッ素系化合物から選ばれる離型剤を更に含有している
ことを特徴とする熱転写受像シート。 - ベンジルメタクリレート重合体は、ガラス転移温度(Tg)が45〜80℃である請求項1記載の熱転写受像シート。
- ベンジルメタクリレート重合体は、ベンジルメタクリレートに由来する共重合単位が50〜95質量%である請求項1又は2記載の熱転写受像シート。
- 染料受容層は、乾燥時塗布量が1.0〜10.0g/m2である請求項1、2又は3記載の熱転写受像シート。
- 請求項1、2、3又は4記載の熱転写受像シートを使用することにより得られることを特徴とする印画物。
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