しかしながら、特許文献1の方法では、回転推進式搬送手段へのトナーの付着に対しては弾性フィルムシートからなるトナー崩し部材が配置されている部分にのみ若干の効果が期待されるものの、回転推進式搬送手段の長手方向全域に付着したトナーを崩すには不十分な構成であった。
また、特許文献2に記載の方法では、スパイラル部材へのトナーの付着に対して優れた抑制効果があるものの、トナー除去部材の固定部から揺動端までの長さが短いと、トナー除去部材の塑性変形や破損が生じたり、トナー除去部材とスパイラル部材との接触圧が強くなってトナーの凝集が発生し易くなったりする。そのため、トナー除去部材を支持する支持部材とスパイラル部材との間隔を十分に確保する必要があり、現像装置の大型化に繋がるという問題点があった。
なお、ここでは像担持体上にトナーを供給して静電潜像をトナー像に現像する現像装置を例に挙げて説明したが、像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング装置や、クリーニング装置から廃トナー回収容器へトナーを搬送する廃トナー回収機構等の、スパイラル部材を用いてトナーを搬送する他の装置においても事情は同じである。
本発明は、上記問題点に鑑み、スパイラル部材へのトナーの付着を効果的に抑制するとともに、装置の小型化も実現できる現像剤搬送装置及びそれを備えた現像装置並びに画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、現像剤を収容する筐体と、該筐体内に回転可能に支持される回転軸及び該回転軸の周囲に形成される撹拌搬送羽根から構成され、前記筐体内の現像剤を軸方向に攪拌搬送するスパイラル部材と、該スパイラル部材の回転軸に沿って付設される弾性変形可能な現像剤除去部材と、前記筐体の内面に設けられ前記現像剤除去部材と接触可能な押し当て部材と、を備えた現像剤搬送装置である。
また本発明は、上記構成の現像剤搬送装置において、前記現像剤除去部材は、弾性を有する金属線材で形成されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像剤搬送装置において、前記現像剤除去部材は、前記回転軸に固定される固定部と、該固定部の一端を折り曲げて形成され前記回転軸に対し略平行に延びる現像剤崩し部と、を有することを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像剤搬送装置において、前記現像剤除去部材は、前記現像剤崩し部の先端から前記回転軸に対し離間する方向に起立する接触部を有することを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像剤搬送装置において、前記現像剤除去部材は、伸縮方向が前記スパイラル部材の長手方向と一致するように前記回転軸近傍に揺動可能に固定されるコイルバネであることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像剤搬送装置において、前記コイルバネは、前記スパイラル部材の回転に伴う位相の進行方向が前記撹拌搬送羽根による現像剤の搬送方向と一致するように配置されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像剤搬送装置において、前記現像剤除去部材は、前記回転軸の外周面を周方向に略等分割する位置に複数列配置されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像剤搬送装置において、前記押し当て部材は、弾性を有する金属線材で形成されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像剤搬送装置において、前記押し当て部材は、前記筐体と一体形成されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像剤搬送装置において、前記押し当て部材は三角柱状であり、何れかの稜線方向から前記コイルバネが接触するように配置されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像剤搬送装置において、前記押し当て部材は板状であり、前記コイルバネの伸縮方向に傾斜するように配置されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の現像剤搬送装置を備えた現像装置である。
また本発明は、上記構成の現像剤搬送装置を備えた画像形成装置である。
本発明の第1の構成によれば、スパイラル部材に固定された現像剤除去部材がスパイラル部材の回転に伴い押し当て部材に接触して弾性変形し、押し当て部材から離間する際に復元力により振動する。これにより、装置を大型化することなくスパイラル部材の回転軸に付着した塊状の現像剤を効果的に除去することができる。
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の現像剤搬送装置において、弾性を有する金属線材を用いて現像剤除去部材を形成することにより、構成が簡単で安価な現像剤除去部材となる。また、現像剤除去部材自体が現像剤の搬送を阻害するおそれもなくなる。
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の現像剤搬送装置において、現像剤除去部材が回転軸に固定される固定部と、該固定部の一端を折り曲げて形成され回転軸に対し略平行に延びる現像剤崩し部とを有することにより、現像剤崩し部が弾性変形及び振動を繰り返して回転軸近傍の現像剤を効率良く崩すことができる。
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の現像剤搬送装置において、現像剤除去部材は、現像剤崩し部の先端から回転軸に対し離間する方向に起立する押し当て部材に接触可能な接触部を有することにより、回転軸近傍から撹拌搬送羽根の外径付近までの広範囲の現像剤を崩すことができる。
また、本発明の第5の構成によれば、上記第2の構成の現像剤搬送装置において、現像剤除去部材として、伸縮方向がスパイラル部材の長手方向と一致するように回転軸近傍にコイルバネを揺動可能に固定することにより、現像剤除去部材が1本のコイルバネで形成されるため、部品点数を削減できるとともにスパイラル部材への取り付け作業性も向上する。
また、本発明の第6の構成によれば、上記第5の構成の現像剤搬送装置において、コイルバネを、スパイラル部材の回転に伴う位相の進行方向が撹拌搬送羽根による現像剤の搬送方向と一致するように配置することにより、バネの側面が現像剤を位相の進行方向に押す力が発生するため、現像剤の搬送性能をより高めることができる。
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1乃至第6の構成の現像剤搬送装置において、回転軸の外周面を周方向に略等分割する位置に現像剤除去部材を複数列配置することにより、現像剤除去部材による現像剤の崩し効果が十分に伝わらない周方向のデッドスペースが少なくなり、回転軸の周囲に付着した現像剤を効率的に除去可能となる。
また、本発明の第8の構成によれば、上記第1乃至第7の構成の現像剤搬送装置において、弾性を有する金属線材で押し当て部材を形成することにより、現像剤除去部材との接触及び離間によって押し当て部材も弾性変形及び振動を繰り返すため、筐体内面に付着した塊状の現像を崩す効果も期待できる。また、押し当て部材自体が現像剤の搬送を阻害するおそれもなくなる。
また、本発明の第9の構成によれば、上記第1乃至第7の構成の現像剤搬送装置において、押し当て部材を筐体と一体形成することにより、押し当て部材を別途取り付ける必要がないため、部品点数を削減できるとともに組み立て作業性も向上する。
また、本発明の第10の構成によれば、上記第5又は第6の構成の現像剤搬送装置において、押し当て部材を三角柱状とし、何れかの稜線方向からコイルバネが接触するように配置することにより、コイルバネが伸縮方向及びそれと垂直な方向の2方向に振動するため、スパイラル部材の回転軸に付着した現像剤をより効率的に崩すことができる。
また、本発明の第11の構成によれば、上記第5又は第6の構成の現像剤搬送装置において、押し当て部材を板状とし、コイルバネの伸縮方向に傾斜するように配置することにより、コイルバネが伸縮方向及びそれと垂直な方向の2方向に振動するため、スパイラル部材の回転軸に付着した現像剤をより効率的に崩すことができる。
また、本発明の第12の構成によれば、上記第1乃至第11の構成の現像剤搬送装置を搭載することにより、現像剤の循環を円滑にして画像抜けや濃度むら、或いは現像剤量検知センサの誤検知等の不具合を防止可能な現像装置となる。
また、本発明の第13の構成によれば、上記第1乃至第11の構成の現像剤搬送装置を搭載することにより、現像装置、クリーニング装置、或いは廃トナー回収機構等で用いるスパイラル部材へ付着する現像剤を効率良く除去できるため、現像剤の循環不良に伴う種々の不具合を防止可能な画像形成装置となる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る現像剤搬送装置を備えた画像形成装置の全体構成を示す概略構成図であり、右側を画像形成装置の前方側として図示している。図1に示すように、画像形成装置100は、本体下部に積載された用紙を収容する給紙カセット2が備えられている。この給紙カセット2の上方には、本体前方から本体後方へ略水平に延び、更に上方へ延びて本体上面に形成された排紙部3に至る用紙搬送路4が形成されており、この用紙搬送路に沿って上流側から順に、ピックアップローラ5、フィードローラ6、中間搬送ローラ7、レジストローラ対8、画像形成部9、定着部10及び排出ローラ対11が配置されている。
給紙カセット2には、用紙搬送方向後端部に設けられた回動支点12aによって、給紙カセット2に対して回動自在に支持された用紙積載板12が備えられており、用紙積載板12上に積載された用紙がピックアップローラ5に押圧されるようになっている。また、給紙カセット2の前方側には、フィードローラ6に圧接するようにリタードローラ13が配設されており、ピックアップローラ5によって複数枚の用紙が同時に給装された場合には、これらフィードローラ6とリタードローラ13とによって用紙が捌かれ、最上位の1枚のみが搬送されるよう構成されている。
そして、フィードローラ6とリタードローラ13とによって捌かれた用紙は、中間搬送ローラ7によって搬送方向を装置後方へと変えられてレジストローラ対8へと搬送され、レジストローラ対8によってタイミングを調整されて画像形成部9へと供給される。
画像形成部9は、電子写真プロセスによって用紙に所定のトナー像を形成するものであり、図1において時計回りに回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム14と、この感光体ドラム14の周囲に配置される帯電装置15、現像装置16、クリーニング装置17、用紙搬送路4を挟んで感光体ドラム14に対向するように配置される転写ローラ18及び感光体ドラム14の上方に配置される露光ユニット(LSU)19から構成されており、現像装置16の上方には、現像装置16へトナーを補給するトナーコンテナ20が配置されている。
帯電装置15には、図示しない電源が接続された導電性ゴムローラ15aが備えられており、この導電性ゴムローラ15aが感光体ドラム14に当接するよう配置されている。そして、感光体ドラム14が回転すると、導電性ゴムローラ15aが感光体ドラム14の表面に接触して従動回転し、この時、導電性ゴムローラ15aに所定の電圧を印加することにより、感光体ドラム14の表面が一様に帯電させられることとなる。
次いで、露光ユニット(LSU)19からのレーザビームにより感光体ドラム14上に入力された画像データに基づく静電潜像が形成され、現像装置16により静電潜像にトナーが付着されて感光体ドラム14の表面にトナー像が形成され、転写ローラ18により感光体ドラム14の表面のトナー像が、感光体ドラム14と転写ローラ18とのニップ部に形成された転写位置に供給された用紙へと転写される。
トナー像が転写された用紙は、感光体ドラム14から分離されて定着部10に向けて搬送される。この定着部10は、画像形成部9の用紙搬送方向の下流側に配置されており、画像形成部9においてトナー像が転写された用紙は、定着部10に備えられた加熱ローラ21、及びこの加熱ローラ21に圧接される加圧ローラ22によって加熱、加圧され、用紙に転写されたトナー像が定着される。
そして、画像形成部9及び定着部10において画像形成がなされた用紙は、排出ローラ対11によって排紙部3に排出される。一方、転写後に感光体ドラム14の表面に残留しているトナーはクリーニング装置17により除去される。そして、感光体ドラム14は帯電装置15によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われる。
続いて、図2及び図3を参照して本発明の現像装置16について詳述する。図2は本発明の第1実施形態に係る現像剤搬送装置を備えた現像装置の側面断面図であり、図3は現像装置を上方から見た平面図である。なお、図2は図3におけるXX′矢視断面図に相当し、図3においては説明の便宜上、カバー31bを外した状態を示している。
図2及び図3に示すように、現像装置16は、磁性トナーから成る一成分現像剤が収容されるケーシング31aと、ケーシング31aに収容されたトナーが外部に漏れないように封止するカバー31bとから構成される筐体31内に、第1スパイラル部材32、第2スパイラル部材33、現像ローラ35、規制ブレード36が備えられている。
ケーシング31aの内部は、長手方向に延在する仕切板37によって第1貯留室38と第2貯留室39とに区画されており、第1貯留室38には第1スパイラル部材32が、第2貯留室39には第2スパイラル部材33がそれぞれ配設されている。また、仕切板37は、図3に示すようにケーシング31aの左右両端部には設けられておらず、この部分が第1貯留室38と第2貯留室39の間をトナーが移動する通路(現像剤受け渡し部)40となっている。
第1スパイラル部材32及び第2スパイラル部材33は、回転軸32a、33aに対し所定の傾斜角度を有する一対の半リング状板体(リング状の板を半分に分割したもの)32b、33bを、回転軸32a、33aの外周面に沿って複数対配設した構成であり、互いに略平行となるようにケーシング31a内に回転可能に軸支されている。そして、第1スパイラル部材32及び第2スパイラル部材33が所定方向に回転することによって第1貯留室38内のトナーを矢印A方向に搬送し、第2貯留室39内のトナーを矢印B方向に搬送するように構成されている。また、トナー量検知センサ(図示せず)の検出結果に応じてケーシング31a内にトナーを補給できるように、カバー31bにはトナーコンテナ20(図1参照)からトナーが供給されるトナー補給口34が設けられている。
そして、第1スパイラル部材32及び第2スパイラル部材33の回転軸32a、33aには駆動入力ギヤ41a、41bが連結されており、駆動入力ギヤ41a、41bには駆動出力ギヤ42を介してモータ43が接続されている。この駆動入力ギヤ41a、41b、駆動出力ギヤ42及びモータ43により第1及び第2スパイラル部材32、33を所定方向に回転駆動することによって、トナーが第1貯留室38及び第2貯留室39内を搬送され、また、上述したようにケーシング31aの左右両端部に設けられた通路40を通過して、第1貯留室38と第2貯留室39とを循環するようになっている。
現像ローラ35は、第1スパイラル部材32及び第2スパイラル部材33と略平行となるように第1貯留室38内に回転可能に軸支され、ギヤ列(図示せず)を介してモータ43が接続されている。この現像ローラ35の内部には複数の磁極を有する永久磁石から成るマグネットローラ(図示せず)が固定されており、感光体ドラム14の回転に応じて現像ローラ35が回転すると、このマグネットローラの磁力により現像ローラ35の表面にトナーが付着(担持)されてトナー層が形成される。そして、所定の現像域において現像ローラ35に付着したトナーが、感光体ドラム14の表面電位と現像ローラ35に印加される現像バイアスとの電位差により感光体ドラム14へと飛翔して感光層に付着し、感光体ドラム14表面にトナー像が形成される。なお、現像ローラ35が独立して駆動するように、モータ43とは別個の駆動手段を現像ローラ35に接続しても良い。
規制ブレード36は、感光体ドラム14に供給するトナー量、すなわち現像ローラ35へのトナー付着量を規制するものであり、例えばSUS(ステンレス)等の磁性体が用いられる。そして、規制ブレード36は、その先端と現像ローラ35との間に所定の隙間(0.2〜0.3mm)が形成されるように配設されており、この規制ブレード36と現像ローラ35との間隔及び隙間に発生する磁界によって現像ローラ35へのトナー付着量が規制され、現像ローラ35の表面には数十ミクロンのトナー薄層が形成される。
また、第1スパイラル部材32及び第2スパイラル部材33には、複数の現像剤除去部材44が固定されており、ケーシング31aの内面及び仕切板37には各現像剤除去部材44と接触可能な複数の押し当て部材45が固定されている。
図4は、図3における第2貯留室39内の部分拡大図であり、図5は、第2スパイラル部材33を図4の左方向から見た側面図である。なお、これ以降は第2貯留室39に配置された第2スパイラル部材33を例に挙げて本発明の現像剤搬送装置の構成及び作用を説明するが、第1貯留室38に配置された第1スパイラル部材32についても全く同様に説明できる。
現像剤除去部材44は、弾性変形可能なバネ材で形成されており、第2スパイラル部材33の回転軸33aに固定される固定部44aと、固定部44aの一端を折り曲げて形成され回転軸33aに沿って略平行に延びる現像剤崩し部44bと、現像剤崩し部44bの先端から回転軸33aに対し離間する方向に起立するL字状の接触部44cとを有している。そして、固定部44aが各半リング状板体33bの固定位置付近に形成された差し込み孔(図示せず)に差し込まれ、現像剤崩し部44b及び接触部44cは対をなす半リング状板体33bの隙間から回転軸33a方向に延び、半リング状板体33bの存在しない領域(以下、領域Rという)において隣接する現像剤除去部材44と対峙している。
また、押し当て部材45は、所定長さのバネ材の一端を各現像剤除去部材44と対向するケーシング31aの内壁に差し込み固定して形成される。現像剤除去部材44及び押し当て部材45は、例えば直径0.2〜0.5mmのバネ用ステンレス鋼線を用いて形成することができる。
図6は、第2スパイラル部材33の回転に伴う現像剤除去部材44及び押し当て部材45の動作を示す側面図である。図5の状態から第2スパイラル部材33が時計回り(矢印C方向)に回転すると、図6(a)に示すように、現像剤除去部材44と押し当て部材5が徐々に接近し、現像剤除去部材44の接触部44cが押し当て部材45に圧接される。ここで、現像剤除去部材44及び押し当て部材45は共にバネ材で形成されているため、図6(b)に示すように現像剤崩し部44b、接触部44c、及び押し当て部材45が弾性変形する。
図6(b)の状態から第2スパイラル部材33がさらに回転すると、接触部44cは押し当て部材45から離間する。このとき、接触部44c及び押し当て部材45に作用していた接触圧も解放されるため、図6(c)に示すように、現像剤崩し部44b、接触部44c、及び押し当て部材45はバネ材の復元力により振動する。そして、第2スパイラル部材33の回転が継続する間、現像剤除去部材44及び押し当て部材45が弾性変形及び振動を繰り返す。
本実施形態では、現像剤崩し部44b、接触部44cの振動により、回転軸33aから半リング状板体33bの外周縁付近までの間に付着した塊状のトナーを効果的に崩すことができる。また、押し当て部材45も振動するため、ケーシング31a内面に付着した塊状のトナーを崩す効果も期待できる。さらに、現像剤除去部材44及び押し当て部材45は細いバネ材で形成されるため、現像剤除去部材44及び押し当て部材45がトナーの循環の妨げとなるおそれもない。
図7は、第1実施形態に係る現像剤搬送装置の第1の変形例を示す部分拡大図である。図7においては、押し当て部材45がケーシング31aと一体形成されている。他の部分の構成は図4と同様であるため説明を省略する。この構成によれば、押し当て部材45を別途取り付ける必要がないため、部品点数を削減できるとともに組み立て作業性も向上する。
なお、押し当て部材45を大きくすると、第2貯留室39内のトナー搬送の妨げとなるため、トナー搬送方向に対し垂直方向(図7の紙面方向)の押し当て部材45の面積が極力小さくなるように形成することが好ましい。
図8は、第1実施形態に係る現像剤搬送装置の第2の変形例を示す部分拡大図である。図8では、現像剤除去部材44は固定部44aと現像剤崩し部44bとから成り、各領域R(図4参照)においては、一対の現像剤除去部材44が回転軸33aを周方向に略2等分する位置(図8の上下位置)に固定され、各現像剤除去部材44の現像剤崩し部44bは軸方向に重なり合っている。また、バネ材で形成された押し当て部材45が各領域Rに1本ずつケーシング31aの内壁に差し込み固定されている。
この構成によれば、一対の現像剤崩し部44bが回転軸33aに対し点対称の位置で振動するため、回転軸33aを挟んで反対側に付着したトナーも効果的に崩すことができる。また、図5の構成に比べて押し当て部材45の本数を1/2に減らすことができる。なお、押し当て部材45は回転軸33aに近接するように配置して現像剤崩し部44bにのみ接触させても良いし、現像剤崩し部44b及び回転軸33aの両方に接触するように配置しても良い。
上記実施形態では、固定部44aを回転軸32a、33aに差し込み固定し、固定部44aの一端を回転軸32a、33aに沿って略平行に折り曲げて現像剤崩し部44bを形成しているが、例えば固定部44aを半リング状板体32b、33bに固定し、固定部44aの一端を折り曲げずに回転軸32a、33aに沿ってそのまま延長して現像剤崩し部44bとすることもできる。
図9は、本発明の第2実施形態に係る現像剤搬送装置を示す第2貯留室39内の部分拡大図である。本実施形態では、現像剤除去部材44としてコイルバネを用いている。第2スパイラル部材33の構成については第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
図9に示すように、現像剤除去部材44は、回転軸33aと略等しい長さのコイルバネを半リング状板体33bの隙間を通して回転軸33aの近傍に配置し、両端を回転軸33aの端部に固定したものである。また、各領域Rには押し当て部材45がケーシング31aと一体形成されている。
そして、第2スパイラル部材33の回転に伴い、現像剤除去部材44と押し当て部材45とが接触及び離間を繰り返すことにより、両端のみが固定された現像剤除去部材44が復元力により振動する。これにより、第1実施形態と同様に、回転軸33aに付着した塊状のトナーを効果的に崩すことができる。また、現像剤除去部材44が1本のコイルバネで形成されるため、第1実施形態に比べて部品点数をさらに削減できるとともに組み立て作業性も一層向上する。
図10は、第2実施形態に係る現像剤搬送装置の第1の変形例を示す部分拡大図であり、図11及び図12は、第1の変形例において現像剤除去部材44と押し当て部材45とが接近及び接触する様子を図10の上方向及び右方向から見た図である。なお、図11、図12においては第2スパイラル部材33の記載を省略している。
第1の変形例では、押し当て部材45が三角柱状に形成されており、第2スパイラル部材33の回転に伴い、図11に示すように三角柱の稜線45a方向から現像剤除去部材44(コイルバネ)が押し当て部材45に接近する。そして、図11の状態から第2スパイラル部材33がさらに回転すると、図12に示すように、現像剤除去部材44は稜線45aに接触し、稜線45aの両側の斜面により部分的に矢印方向(伸縮方向)に押し広げられつつ全体が引き伸ばされる。その後、第2スパイラル部材33から現像剤除去部材44に伝達される回動力が現像剤除去部材44と押し当て部材45との摩擦力を上回った時点で現像剤除去部材44が押し当て部材45から外れる。
このとき、現像剤除去部材44は押し当て部材45による拘束から解放されて伸縮方向に垂直な方向(図12の上下方向)に振動するが、稜線45aの両側の斜面によって押し広げられた部分が復元力により逆方向に縮むことにより、伸縮方向(図12(a)の左右方向)にも振動する。従って、現像剤除去部材44が2方向に振動するため、第2スパイラル部材33の回転軸33aに付着したトナーをより効率的に崩すことができる。
図13は、第2実施形態に係る現像剤搬送装置の第2の変形例を示す部分拡大図であり、図14及び図15は、現像剤除去部材44と押し当て部材45とが接近及び接触する様子を図13の上方向及び右方向から見た図である。なお、図14、図15においては第2スパイラル部材33の記載を省略している。
第2の変形例では、押し当て部材45が板状に形成されており、現像剤除去部材44(コイルバネ)の伸縮方向に傾斜するように配置されている。第2スパイラル部材33の回転に伴い、図14に示すように現像剤除去部材44(コイルバネ)が押し当て部材45に接近する。そして、図14の状態から第2スパイラル部材33がさらに回転すると、図15に示すように、現像剤除去部材44は押し当て部材45に接触し、傾斜面45bに沿って下方向に移動することにより傾斜面45bの左側が矢印方向に縮められ、傾斜面45bの右側が矢印方向に広げられつつ全体が引き伸ばされる。その後、第2スパイラル部材33から現像剤除去部材44に伝達される回動力が現像剤除去部材44と押し当て部材45との摩擦力を上回った時点で現像剤除去部材44が押し当て部材45から外れる。
このとき、現像剤除去部材44は押し当て部材45による拘束から解放されて伸縮方向に垂直な方向(図15の上下方向)に振動するが、傾斜面45bにより伸縮していた部分が復元力により逆方向に伸縮することにより、伸縮方向(図15(a)の左右方向)にも振動する。従って、第1の変形例と同様に現像剤除去部材44が2方向に振動するため、第2スパイラル部材33の回転軸33aに付着したトナーをより効率的に崩すことができる。
現像剤除去部材44として使用するコイルバネの巻き径や巻き方向には特に制限はないが、現像剤除去部材44はコイルバネの両端を第2スパイラル部材33に固定した構成であるため、図16に示すように、第2スパイラル部材33が1回転する間にコイルバネ上の任意の点Pも回転軸33aとの位置関係を維持したまま1回転する。つまり、コイルバネが回転軸33aの周囲を1回転する間にコイルバネ自体も第2スパイラル部材33と同方向に1回転することになり、コイルバネの位相も所定の方向に進行する。
図17は、第2スパイラル部材33の回転に伴う現像剤除去部材44(コイルバネ)の位相の進行方向とトナー搬送方向との好ましい関係を示す図である。なお、図17においてコイルバネの実線部分は手前側を、点線部分は奥側をそれぞれ示している。例えば回転軸33aを矢印C方向(図17の右側から見て反時計回り)に回転させたときの半リング状板体33b(図9参照)によるトナー搬送方向を矢印B方向とするとき、図17に示すように、第2スパイラル部材33の回転に伴うコイルバネの位相進行方向(白矢印方向)が矢印B方向と一致するような、トナー搬送方向上流側から見て右巻きのコイルバネを配置することが好ましい。
これにより、バネの側面50がトナーを位相の進行方向に押す力が発生するため、半リング状板体33bのない領域R(図9参照)でのトナーの搬送力を補い、搬送性能の低下を抑制することができる。一方、コイルバネの位相進行方向を逆にした場合は、搬送性能は低下するがトナーの混合性能は向上する。なお、コイルバネの位相の進行による搬送力を利用する場合は、図16のようにコイルバネの外周縁が半リング状板体33bの外周縁に近づく程度にコイルバネの巻き径を大きくしておくことが望ましい。
その他、本発明は上記実施形態に限定されず、各実施形態を適宜組み合わせて得られる実施形態も本発明に包含され、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、押し当て部材45をケーシング31aの内側面及び仕切板37の側面に設けたが、ケーシング31a内の他の位置に配置することもできる。
また、現像剤除去部材44は軸方向に複数列配置しても良い。この場合、図8のように回転軸32a、33aの外周面を略等分割する位置に配置すれば、現像剤除去部材44の振動による現像剤の崩し効果が十分に伝わりにくいデッドスペースが少なくなり、回転軸の周囲に付着したトナーを効率的に除去可能となる。また、上記各実施形態では、バネ材を用いて現像剤除去部材44を形成しているが、可撓性のある樹脂フィルムやゴム製シート等の弾性変形可能な他の材料を用いても良い。
また、上記各実施形態では、回転軸32a、32bの周囲に一対の半リング状板体32b、33bが所定の間隔で設けられた第1スパイラル部材32及び第2スパイラル部材33を用いているが、例えば回転軸32a、33aと、その外周面に一体形成された螺旋羽32c、33cから構成された第1スパイラル部材32及び第2スパイラル部材33を用いても良い。この場合、図18に示すように、螺旋羽33cの一部を切り欠いて螺旋羽33cのない領域Rを形成しておき、現像剤除去部材44及び押し当て部材45と螺旋羽33cとが干渉しないようにしておくことが好ましい。また、第2実施形態のようにコイルバネを配置しても良い。
また本発明は、図2に示したような現像装置16に限らず、例えば第1スパイラル部材32と現像ローラ35との間に攪拌パドルを備えた現像装置であっても良いし、第1スパイラル部材32と現像ローラ35との間に供給ローラ(磁気ローラ)を備えたタッチダウン方式の現像装置であっても良い。また、2本のスパイラル部材32、33を備えた構成に限らず、1本のスパイラル部材を備えた現像装置にも適用できる。
また、上記実施形態では、磁性トナーから成る一成分現像剤を用いる現像装置を例に挙げて説明したが、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いる現像装置にも同様に適用可能である。さらに、本発明の現像剤搬送装置は、感光体ドラム14上の残留トナーを除去するクリーニング装置17(図1参照)や、クリーニング装置17から廃トナー回収容器へトナーを搬送する廃トナー回収機構に使用することもできる。
また、本発明の現像剤搬送装置が搭載される画像形成装置としては、図1に示したようなモノクロプリンタに限らず、モノクロ及びカラー複写機、カラープリンタ、ファクシミリ等の他の画像形成装置であっても良い。