以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るトナー攪拌部材及び現像装置を備えた画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラー画像形成装置について示している。カラー画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転し、各画像形成部に隣接して移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラ9において転写紙P上に一度に転写され、さらに、定着部7において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される構成となっている。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
トナー像が転写される転写紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、二次転写ローラ9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのブレード状のベルトクリーナ19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光ユニット4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置(トナー供給容器)3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング部5a、5b、5c及び5dが設けられている。
ユーザにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーがトナー補給装置45(図2参照)によって所定量充填されている。このトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、中間転写ローラ(一次転写ローラ)6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング部5a〜5dにより除去される。
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラ10と、下流側の駆動ローラ11とに掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラ12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラ9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部7へと搬送される。
定着部7に搬送された転写紙Pは、定着ローラ対13により加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した転写紙Pは分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ローラ9に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
図2は、本実施形態に係るトナー攪拌部材を備えた現像装置の構成を示す側面断面図である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
図2に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(現像剤、以下、単に現像剤と呼ぶ)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって第1及び第2攪拌室20b、20cに区画され、第1及び第2攪拌室20b、20cにはトナー補給装置45から補給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して撹拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが回転可能に配設されている。
そして、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向に搬送され、仕切壁20aに形成された現像剤通過路20e(図3参照)を介して第1及び第2攪拌室20b、20c間を循環する。図示の例では、現像容器20は左斜め上方に延在しており、現像容器20内において第2攪拌スクリュー21bの上方には磁気ローラ22が配置され、磁気ローラ22の左斜め上方には現像ローラ23が対向配置されている。そして、現像ローラ23は現像容器20の開口側(図2の左側)において感光体ドラム1aに対向しており、磁気ローラ22及び現像ローラ23は図中時計回りに回転する。
また、現像容器20には、第1攪拌スクリュー21aと対面して現像剤中のトナー濃度を検知する透磁率センサ41が配置されている。透磁率センサ41は、現像剤中のキャリアに対するトナー比(トナー濃度、T/C)を検知し、出力信号を不図示の制御部に送信することにより、制御部によってトナー濃度が制御されるようになっている。
磁気ローラ22は、非磁性の回転スリーブ22aと、回転スリーブに内包される複数の磁極(ここでは5極)を有する固定マグネットローラ体22bで構成されている。現像ローラ23は、非磁性の現像スリーブから構成されており、磁気ローラ22と現像ローラ23とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。
また、現像容器20には穂切りブレード25が磁気ローラ22の長手方向(図2の紙面表裏方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード25は、磁気ローラ22の回転方向(図中時計回り)において、現像ローラ23と磁気ローラ22との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード25の先端部と磁気ローラ22表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
現像ローラ23には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)が不図示の第1バイアス回路から印加されるようになっており、磁気ローラ22には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)が不図示の第2バイアス回路から印加されるようになっている。
前述のように、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内を循環してトナーを帯電させ、第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が磁気ローラ22に搬送される。そして、磁気ローラ22上に磁気ブラシ(図示せず)を形成する。
磁気ローラ22上の磁気ブラシは穂切りブレード25によって層厚規制された後、磁気ローラ22と現像ローラ23との対向部分に搬送され、磁気ローラ22に印加されるVmag(DC)と現像ローラ23に印加されるVslv(DC)との電位差(実効電位)、及び固定マグネットローラ体22bとの間の磁界によって現像ローラ23上にトナー薄層を形成する。
現像ローラ23上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラ22と現像ローラ23との回転速度差等によっても変化するが、磁気ローラ22と現像ローラ23との間の実効電位によって制御することができる。かかる実効電位を大きくすると現像ローラ23上のトナー層は厚くなり、小さくすると薄くなる。現像時における実効電位の範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
磁気ブラシによって現像ローラ23上に形成されたトナー薄層は、現像ローラ23の回転によって感光体ドラム1aと現像ローラ23との対向部分に搬送される。現像ローラ23にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
現像に用いられずに残ったトナーは、再度現像ローラ23と磁気ローラ22との対向部分に搬送され、磁気ローラ22上の磁気ブラシによって回収される。そして、磁気ブラシは固定マグネットローラ体22bの同極部分で磁気ローラ22から引き剥がされた後、再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤として磁気ローラ22上に磁気ブラシを形成し、穂切りブレード25へ搬送される。
図3は、図2のAA’矢視断面図であり、図4は、図3のBB’矢視断面図であり、図5は、本実施形態に係るトナー攪拌部材を示す平面図である。図2と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。
図3に示すように、第1攪拌室20bは、第2攪拌室20cよりも第1攪拌スクリュー21aの搬送方向上流側(図の左側)に延出され、かかる延出部分はトナー補給室20fを形成している。また、トナー補給室20fは、トナー補給口20d(図2参照)の直下に配置されており、第2攪拌室20cとの間でトナーの移動ができないように仕切られている。
トナー補給口20dから補給されたトナーは、トナー補給室20fに補給されると、第1攪拌スクリュー21aにより第1攪拌室20bへと下流側(図3の右側)に搬送され、第1攪拌室20bにおいて、第2攪拌スクリュー21bにより第2攪拌室20cから第1攪拌室20bに搬送されたトナー及びキャリア(現像剤)と攪拌混合されながら、さらに下流側に搬送される(図2参照)。
そして、トナー補給室20fには、トナー攪拌部材50が設けられている。トナー攪拌部材50は、トナー補給室20fにおいて第1攪拌スクリュー21aによって搬送できないスペース(図3の上側)に供給されたトナーを攪拌しながら、第1攪拌スクリュー21aに向かって掻き出すようになっている。
かかるトナー攪拌部材50は、図4及び図5に示すように、回転軸51と、回転軸51から軸方向とは垂直方向に突出する攪拌羽根55と、から形成されている。回転軸51は、第1攪拌スクリュー21aと平行に、トナー補給室20fに回転可能に軸支され、不図示の駆動モータによって、図4の時計回り方向(図の矢印方向、正回転方向)及び反時計回り(逆回転方向)に正逆回転可能となっている。
また、回転軸51の軸方向略中央部には、外周面が切り欠かれることによって、略矩形状の平面からなる接着部51aaを有する基材部51aが形成されている。接着部51aaは、軸中心Xを挟み且つ該軸中心Xから等距離の位置に互いに略平行に、2つ形成されている。すなわち接着部51aaは、軸中心Xに対して点対称に配置されている。そして、各接着部51aaには、攪拌羽根55が接着されている。
攪拌羽根55は、PETフィルム等の樹脂製シート等の可撓性材料から形成され、基材部51aの各接着部51aaに、接着剤57(図9参照)等で接着されることによって固定される。攪拌羽根55は互いに、軸方向とは垂直方向(図4の左右方向)において接着部51aaから反対側に突出している。また、各攪拌羽根55は、各接着部51aaにおける正回転方向上流側端部から外側に向かって突出している。
すなわち、図4の上側の攪拌羽根55は接着部51aaの右側端部から右側に突出し、下側の攪拌羽根55は接着部51aaの左側端部から左側に突出している。これにより、トナー攪拌部材50の正回転時、攪拌羽根55がトナーを攪拌して掻き出す際に、トナーや現像容器20の内壁から受ける反作用力(図4の白抜き矢印参照)が、攪拌羽根55を接着部51aaに押圧する方向(図4の下側)に作用するため、正回転時に攪拌羽根55が接着部51aaから剥がれることを防止できる。
また、図5に示すように、攪拌羽根55における接着部51aaから突出する突出片部は、略矩形状から成り、その軸方向(図の上下方向)一端辺が他端辺に近づくように傾斜して成る傾斜部55aを有している。かかる傾斜部55aにより、攪拌羽根55によるトナーの攪拌時に、空気を巻き込んで攪拌効率が低下することを、防止することができる。また、攪拌羽根55の突出片部は、正回転方向下流側に湾曲しており(図4参照)、トナー攪拌部材50の正回転時、トナーを攪拌し易くすることができる。
ここで、図4に示すように、トナー補給室20fの底部においてトナー攪拌部材50の下方には、上方に突出する突出部20gが形成されている。このため、突出部20gの左側に存在するトナーTは、トナー攪拌部材50によって攪拌して掻き出すことができるが、突出部20gの右側はデッドスペースRとなるため、かかるデッドスペースRに存在するトナーTは、トナー攪拌部材50によって掻き出されずに滞留する。
デッドスペースRに溜まったトナーTを第1攪拌スクリュー21aへと攪拌して掻き出すためには、トナー攪拌部材50を図4の時計回りに回転(逆回転)させる必要がある。しかし、トナー攪拌部材50を逆回転させると、攪拌羽根55がトナーを攪拌して掻き出す際にトナー等から受ける反作用力は、上記した正回転時とは異なり、攪拌羽根55を接着部51aaから剥がす方向(図4の白抜き矢印とは反対方向)に作用し、攪拌羽根55が剥がれ易くなる。
そこで、本実施形態では、トナー攪拌部材50の回転軸51に、攪拌羽根55を支持可能な支持部53を形成した。図6は、本実施形態に係るトナー攪拌部材に用いられる回転軸を示す斜視図であり、図7(a)は、平面図であり、図7(b)は図7(a)のCC’断面図であり、図7(c)は、図7(a)のD方向から見た図である。図4及び図5と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。
図6及び図7(c)に示すように、支持部53は、回転軸51から突設された枠体部54に形成されている。枠体部54は、支持部53が回転軸51に対して所定位置に配置されるように該支持部53を支持するためのものであり、回転軸51と一体に形成されている。
また、図6及び図7(a)に示すように、枠体部54は、回転軸51の外周面から、接着部51aaの外周をそれぞれ覆うように各接着部51aaとは垂直方向に突出すると共に、各接着部51aaに接着される攪拌羽根55の突出端側(図5参照)に開放する略コの字状となるように形成されている。
支持部53は、枠体部54のコの字の両突出端部を連結する棒状から成り、且つ、枠体部54と一体に形成されている。すなわち、支持部53と枠体部54とは、接着部51aaとは垂直方向(図7(a)の紙面とは垂直方向)に見て略ロの字状に形成されている。また、支持部53は、軸方向と平行に配置されると共に、図7(b)に示すように、軸方向とは垂直方向(図の上下方向)に対し、接着部51aaよりも外側に配置されている。
加えて、支持部53は、接着部51aaとは垂直方向(図7(b)の左右方向)に対し、支持部53の基材部51a側(それぞれ内側)の端部が、接着部51aaよりも基材部51a側に位置するように配置されている。これにより、後述するように、支持部53は、接着面Sよりも基材部51a側で攪拌羽根55を支持することができる。
また、図7(b)に示すように、支持部53と、該支持部53と隣接する枠体部54と、の間に形成された空間から、攪拌羽根55の突出片部が突出するようになっている(図4及び図5参照)。なお、支持部53はそれぞれ、回転軸51の軸中心Xに対し点対称となるように配置され、枠体部54は、軸中心Xに対し点対照となるように形成されている。
そして、攪拌羽根55を接着部51aaに、接着剤57(図9参照)等により接着することによって、図5に示すように、トナー攪拌部材50を形成することができる。このとき、攪拌羽根55において、軸方向とは垂直方向(図5の左右方向)の長さをL1、支持部53からの突出長さをL2、攪拌羽根55を挟んで支持部53と隣接する枠体部54からの突出長さをL3とすると、例えばL1を12mm、L2を6.5mm、L3を5mmとすることができる。
また、接着部51aaの軸方向とは垂直方向の長さを例えば4mm、軸方向(図5の上下方向)の長さを例えば10mmとすることができ、これに合わせて、攪拌羽根55の接着部51aaとの接着面Sにおいて、軸方向とは垂直方向の長さを例えば4mm、軸方向長さを10mm程度とすることができる。
次に、トナー攪拌部材50の逆回転動作について説明する。図8は、本実施形態に係るトナー攪拌部材が逆回転する状態を模式的に示す図であり、図9は、図8のトナー攪拌部材において支持部と攪拌羽根との配置関係を模式的に示す部分拡大図である。なお、図8において上下両側に配置された攪拌羽根55に対する支持部53の作用効果は同様であるため、図9では図8の上側に配置された攪拌部材及び支持部周辺のみを示す。また、図4と共通する部分は共通する符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、トナー攪拌部材50を上記図4とは逆に、図8の時計回りに回転(逆回転)させると、攪拌羽根55により、突出部20gの右側に形成されたデッドスペースRに存在するトナーTを、突出部20gの左側に攪拌して掻き出すことができる。また、図8及び図9に示すように、かかる逆回転時、トナーTを攪拌して掻き出す際に、攪拌羽根55は、逆回転方向とは反対方向(図8及び図9の白抜き矢印参照)にトナー等からの反作用力を受ける。
しかし、攪拌羽根55に対し支持部53が逆回転方向上流側(図9の上側)から当接するため、上記反作用力を受けても、接着面Sにおいては、攪拌羽根55が接着部51aaから剥がれる方向(図9の上側)に引っ張られることを防止できる。加えて、支持部53が、接着面Sに対し基材部51a側(図9の下側)で攪拌羽根55を支持できるため、攪拌羽根55に上記反作用力が働くと、支持部53を支点Eとして攪拌羽根55が引っ張られる。このため、接着面Sにおいて攪拌羽根55を接着部51aaに押圧する方向(図9の下側)の力が作用する。
そして、このようにして図8の突出部20gの左側に掻き出したトナーTは、トナー攪拌部材50を正回転(図8の反時計回り)させることによって、前述した図4に示すように、第1攪拌スクリュー21aに向かって掻き出すことができる。かかる逆回転と正回転を繰り返すことにより、デッドスペースR内に存在するトナーTを第1攪拌スクリュー21aに向かって攪拌して掻き出すことができる。
上記の通り、トナー攪拌部材50の回転軸51において、軸方向とは垂直方向に対し接着部51aaよりも外側に、攪拌羽根55の接着部51aaとの接着面Sとは反対側面と当接可能な支持部53を形成したため、正回転時には、トナーを攪拌する際に受ける反作用力が攪拌羽根55を接着部51aaに押圧する方向に作用する。
そして、逆回転時には、攪拌羽根55が支持部53に支持されることにより、上記反作用力が攪拌羽根55を接着部51aaから剥がす方向に作用することを防止することができる。これにより、トナー攪拌部材50の回転方向によらず、攪拌羽根55の剥がれを防止することができる。
また、本実施形態では、支持部53を、接着面Sよりも基材部51a側で攪拌羽根55と当接可能としたため、トナー攪拌部材50の逆回転時に受ける上記反作用力を、攪拌羽根55を接着部51aaに押圧する力に転換することが可能となる。これにより、攪拌羽根55の剥がれを、より確実に防止することができる。
しかし、かかる支持部53の配置は、支持部53が、軸方向とは垂直方向に対し接着部51aaよりも外側で攪拌羽根55の接着面Sとは反対側面と当接可能であれば、装置構成等に応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではない。その他例えば、支持部53を、接着面Sと同一平面上で攪拌羽根55と当接するような位置に配置することもできる。
かかる場合には、接着面Sにおいて上記反作用力によって生じる攪拌羽根55を引っ張る力が、接着面Sと平行に働くことになり、攪拌羽根55を接着部51aaから剥がす方向には働かない。なお、支持部53を接着面Sに対し基材部51aとは反対側(図9の上側)に配置した場合であっても、逆回転時に支持部53によって支持されることにより、接着面Sにおいて攪拌羽根55が接着部51aaから剥がれる方向に加わる力を低減することが可能となる。
また、攪拌羽根55の接触面Sとは反対側面は、逆回転時に支持部53と当接して支持されることが可能であれば良く、トナー攪拌部材50の回転停止時や正回転時には、攪拌羽根55の湾曲状態に応じて支持部53と当接している構成とすることも、離間している構成とすることもできる。
また、本実施形態では、接着部51aaを回転軸51の軸中心Xを挟んで略平行に2つ形成し、攪拌羽根55をそれぞれ、軸方向とは垂直方向において接着部51aaから互いに反対側に突出させたため、攪拌羽根55の剥がれを防止しつつ、より効率的にトナーを攪拌して掻き出すことができる。
しかし、接着部51aaの数量や攪拌羽根55の突出方向は、装置構成等に応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではない。その他、例えば、接着部51aaを1つ形成すること等もできる。また、攪拌羽根55を、軸方向とは垂直方向に対し接着部51aaの両外側に突出させること等もできる。
また、本実施形態では、枠体部54を形成したため、トナー攪拌部材50が正回転する際、攪拌羽根55が湾曲し過ぎて折れ曲がることを防止することもできる。しかし、枠体部54を形成せず、例えば支持部53を、コの字状であって、コの字の両突出端部が回転軸51と連結されるような形状とすることもできる。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態に示す攪拌羽根55の形状や材質、支持部53及び枠体部54の形状や材質等は、成形性や、装置構成等に応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではない。例えば、撹拌羽根55に傾斜部55aに設けない構成としたり、その他の形状とすることもできる。
また、上記実施形態では、支持部53を回転軸51と一体に形成したが、支持部53を別体として形成し、回転軸51に取り付けることもできる。また、ここではトナー攪拌部材50を備えたトナー供給容器として、感光体ドラム1a〜1dにトナーを供給する現像装置3a〜3dについて説明したが、その他、現像装置3a〜3dにトナーを供給するトナーコンテナ45(図2参照)であっても良い。
さらに、本発明のトナー攪拌部材を備えた画像形成装置としては、図1に示したカラープリンタに限らず、モノクロプリンタや、カラー及びモノクロ複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等の、他の画像形成装置にも適用できるのはもちろんである。以下、実施例により本発明の効果を更に詳細に説明する。
図10は、引っ張り試験の条件を示す図であって、図10(a)は実施例について示す図であり、図10(b)は比較例について示す図である。図5に示すような本実施形態に係るトナー攪拌部材50を用い、攪拌羽根55の接着部51aaに対する剥がれ難さを調べた。
このとき、図10(a)に示すように、攪拌羽根55における接着部51aaとの接着面Sを、軸方向とは垂直方向(図の左右方向)に4mm、軸方向(図の紙面とは垂直方向)に10mmとし(接着面積4mm×10mm)、軸方向とは垂直方向に対し支持部53を接着部51aaから外側(図の右側)に1mm隔て、且つ、接着面Sよりも0.5mm基材部51a側(図の下側)に配置した。
なお、基材部51aの下側面にも接着部51aa(不図示)が形成され、これに攪拌羽根55(不図示)が接着されているが、上下両側の攪拌羽根55に対する支持部53の用効果は同様であるため、ここでは上側の接着部51aaに接着された攪拌羽根55と支持部53との関係についてのみ示す。
そして、攪拌羽根55の突出端部を、接着部51aaとは垂直、且つ、接着面Sに対し基材部51aとは反対側(図の上側)に、引っ張り速度500mm/minで引っ張り、攪拌羽根55が接着部51aaから剥がれるときの応力を測定した。その結果、10N/mmで攪拌羽根55が接着部51aaから剥がれた。
比較例
図10(b)に示すように、支持部53(及び枠体部54)を形成しないこと以外は実施例と同様にして、攪拌羽根55が接着部51aaから剥がれるときの応力を測定した。その結果、2.1N/mmで攪拌羽根55が接着部51aaから剥がれた。
上記の結果、支持部53が形成されていない比較例では、攪拌羽根55に対して、基材部51aから攪拌羽根55に向かう方向(図10(b)の上側)に引っ張り力が作用すると、引っ張り力のモーメントにより、接着面Sにおいて攪拌羽根55が接着部51aaから剥がれる方向(図10(b)の上側)に応力が集中し、剥がれ易くなった。
これに対し、支持部53が形成された実施例では、攪拌羽根55に対して、基材部51aから攪拌羽根55に向かう方向(図10(a)の上側)に引っ張り力が作用しても、攪拌羽根55が支持部53に支持されるため、接着面Sにおいて攪拌羽根55が接着部51aaに押圧される方向(図10(a)の下側)に応力が集中する。
これにより、実施例のトナー攪拌部材50は、比較例よりも顕著に、攪拌羽根55が接着部51aaから剥がれ難くなることがわかった。従って、トナー攪拌部材50の逆回転時において、攪拌羽根55が接着部51aaから剥がれ難くなり、正逆いずれの回転時においても攪拌羽根55を剥がれ難くすることが可能であることがわかった。