JP5207575B2 - 鋼のプライマーコーティング - Google Patents

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Description

本発明は、鋼のプライマーコーティングのための方法に関する。特に、本発明は、その後に熱集中法によって組み立てられそして上塗りされるべき半仕上げの鋼製品のコーティングに関する。そのような半仕上げの鋼製品は、造船業において、および他の大規模な構築物、例えば産油プラットフォーム、のために使用され、そして鋼板、例えば6〜75mm厚さの鋼板、棒鋼、ガーダー、および補鋼材として使用される種々の鋼部品を包含する。最も重要な熱集中法は溶接である。そのような半仕上げの鋼製品の実質的に全てが溶接される。他の重要な熱集中法は、切削、例えば酸素燃料切削、プラズマ切削またはレーザー切削、および熱整形であり、これらの方法において鋼は加熱されながら形に曲げられる。これらの鋼製品は、構築の前の貯蔵中および構築の間、しばしば風雨にさらされ、そしてそれらは、鋼構築物、例えば船、にさび止め塗料を完全にコーティングする前に生じる鋼の腐食を回避するために、「ショッププライマー」または「プレ構築コーティング」と呼ばれるコーティングで一般にコーティングされ、それによって、上塗りしまたは鋼腐食生成物を除去しなければならないという問題を回避する。ほとんどの大きい造船所では、鋼が例えば予熱され、ミルスケールおよび腐食生成物を除去するためにショットまたはグリットブラストされ、ショッププライマー施与され、および乾燥ブースを通されるところの生産ライン上で行われるいくつかの処理の1つとしてショッププライマーが適用される。あるいは、ショッププライマーは、鋼が造船所または他の構築現場へ運ばれる前に、商業コーターまたは鋼供給者によって適用され得る。
ショッププライマーの主な目的は構築中の一時的な腐食保護を提供することであるが、造船業者によってショッププライマーが除去される必要がなく、組み立ての間およびその後に鋼上に残り得るのが好ましい。すなわち、ショッププライマーでコーティングされた鋼が、ショッププライマーを除去することなく溶接可能であり、かつ船および他の鋼構築物において一般に使用される種類の保護用さび止めコーティングで上塗り可能であるとともに、プライマーと続いて施与されるコーティングとの間に良好な付着性を有することが必要である。ショッププライマー塗布された鋼は好ましくは、溶接の品質または溶接プロセスの速度に関して何らの重要な悪影響を及ぼすことなく溶接可能であるべきであり、かつ整形中または鋼の向かい合う面の溶接中に加熱される領域における耐腐食性をショッププライマーが保持するために十分な耐熱性を有するべきである。
今日利用可能な、商業的に成功したショッププライマーは、前加水分解されたテトラエチルオルトシリケートバインダーおよび亜鉛粉末に基づく溶媒系コーティングである。そのようなコーティングは、塗料バインダーを安定化するため、および生成物を薄膜、典型的には約20ミクロン厚さの薄膜として適用することを可能にするために、大きい割合の揮発性有機溶媒、典型的には約650g/リットルの揮発性有機溶媒を含む。揮発性有機溶媒の放出は、環境に有害であり得、多くに国において法規制されている。揮発性有機溶媒を放出しない、またははるかに少なく放出するショッププライマーが望まれる。そのようなコーティングの例は、米国特許第4,888,056号および特開平7−70476号に記載されている。
特開平6−200188号は、ショッププライマーコーティングに関し、水性アルカリシリケート塩型バインダーを使用することの可能性に言及している。また、水性アルカリ金属シリケートおよび亜鉛粉末を含むコーティングが、英国特許第1226360号、英国特許第1007481号、英国特許第997094号、米国特許第4,230,496号および特開昭55−106271号において提案されている。また、さび止めコーティングのためのアルカリシリケートバインダーが、米国特許第3,522,066号、米国特許第3,620,784号、米国特許第4,162,169号および米国特許第4,479,824号において言及されている。欧州特許出願公開第295834号には、アルカリ金属シリケートと少量のコロイド状シリカ、フィラーとしてのAl23粉末、および靭性付与材としての金属粉末との混合物を含むコーティングが言及されている。米国特許第3,721,574号は、アルカリ金属シリケートと少量のコロイド状の、好ましくはAl23修飾されたシリカおよび亜鉛粉末との混合物を含むコーティングを示唆している。本発明者らは、亜鉛粉末を含む水性アルカリシリケートバインダーに基づくプライマーコーティングが、十分な腐食保護を与えることができ、そして上記コーティングが被覆する鋼表面が溶接されることを可能にするが、上塗りされるときに問題を生じることを見出した。水性シリケートは、該シリケートを水性溶液中に保持するために必要であるところの多量のアルカリ金属カチオンを含み、そしてこれらのイオンは、コーティングが乾燥した後もなおコーティング中に存在する。本発明者らは、これらの多量のアルカリ金属イオンを有するプライマーコーティングが何らかの慣用の有機コーティングで上塗りされ、次いで水中に浸されると、ふくれ(コーティングの局部的な層間剥離)が生じることを見出した。本発明者らは、ショッププライマーの施与後にそのコーティングをある時間戸外にさらし、または上塗りの前にそのコーティングを洗浄するならば、この問題が減少され得ることを示す試験を行った。しかし、これらの方法は、今日の高生産性造船所における使用と両立しない。
非常に低いアルカリ金属イオン含量を有する水性シリカゾルが市販されているが、そのようなゾルに基づくコーティングは通常、付着性、凝集性、硬度、ならびに耐摩耗性および耐水性の点で非常に不良の(初期)膜強度を有する。コーチィングのこれらの不良の物理的特性は、取扱中、または更なる加工処理中に損傷を受けやすくする。これは、価格と大きく関わる重要なコーティング修復の潜在的要求を生じる。シリカゾルコーティングに対して示唆された改善は、米国特許第3,320,082号(水と混和しない有機アミンを加える)、英国特許第1541022号(水溶性アクリルアミドポリマーを加える)、英国特許第1485169号(4級アンモニウムまたはアルカリ金属シリケートを加える)、および日本国特許JP55/100921号(粘土物質および/または金属酸化物、例えばAl23、および二リン酸アルミニウムおよび/またはエチルシリケートを加える)に記載されている。しかし、そのようなコーティングは、アルカリ金属シリケートに基づくコーティングと類似の物理的特性を達成しなかった。シリカゾルに基づくコーティングは、上塗り/浸漬されると、低いレベルのふくれを示す。水溶性塩含量および浸透圧は低いが、コーティングがその不良の物理的特性故にふくれの開始/成長に対する耐性をほとんど示さないので、ふくれがなおも生じ得る。
発明が解決しようとする課題
基体への改善された付着性および、ふくれの開始および成長に耐えるために上記した特性の点で改善された膜強度を有する、低いアルカリ金属イオン含量の水系ショッププライマーが望まれる。さらに、コーティングの損傷の危険なしに基体の取扱および更なる加工処理を可能にするために、ショッププライマーの施与後にコーティングの物理的特性の急速な発生を示す、ふくれのない水系ショッププライマーが望まれる。
また、組成物のポットライフが重要である。これらのコーティングの施与の可能性を広げるために、ポットライフはできるだけ長くあるべきである。
課題を解決するための手段
組み立てられそして上塗りされることが意図される鋼のプライマーコーティングのための本発明に従う方法は、上記の問題/欠点への解決を提供する。シリカバインダーを含むプライマーコーティングで鋼をプライマーコーティングするための本発明に従う方法は、バインダーが、アルミナ安定化された水性シリカゾルおよび所望により少量のアルカリ金属シリケートを含み、該バインダーは、少なくとも6:1のSiO2/M2Oモル比(Mはアルカリ金属およびアンモニウムイオンの合計を表す)を有し、かつプライマーコーティングが、指触乾燥の程度まで乾燥した後に、所望により膜強化溶液によって処理されることを特徴とする。
本発明はまた、この方法で使用されるプライマーコーティングにも関する。
本発明の目的のために、膜強化溶液は、プライマーコーティングの膜強度を高めおよび/または膜強度の発生を時間と共に促進するところの溶液である。本明細書において、コーティング組成物中のアルミナの濃度は、組成物中のシリカゾルまたはシリケート粒子に基づいてAl23の重量%として示される。
バインダーは、最も好ましくは、水性シリカゾルに基づく。そのようなゾルは、Akzo Nobelから「Bindzil」の商標で、またはduPontから「Ludox」の商標で入手可能であるが、それらに関する文献は、慣用のグレードのコロイド状シリカが良好な膜形成物でないことを強調している。種々のコロイド状シリカ粒径を有しかつ種々の安定剤を含む種々のグレードのゾルが入手可能である。コロイド状シリカの粒径は例えば、3〜100nmの範囲であり得る。この範囲の下限の方の粒径、例えば5〜22nm、が好ましい。より好ましくは、3〜15nmの粒径であり、さらにより好ましくは、3〜10nmである。シリカゾルは好ましくは、少なくとも25:1、より好ましくは少なくとも50:1のSiO2/M2Oモル比を有し、そして、200:1以上のSiO2/M2Oモル比を有し得る。さらに、異なるSiO2/M2Oモル比を有する2以上のシリカゾルのブレンドを使用することが可能であり、ここで、ブレンドのSiO2/MOモル比は少なくとも25:1である。Mはアルカリ金属およびアンモニウムイオンの合計を表し、Mは例えばNa、K、Liなどであり得る。ゾルは、アルカリ、例えばナトリウム、カリウム、もしくはリチウム水酸化物、または4級アンモニウム水酸化物によって、あるいは水溶性有機アミン、例えばアルカノールアミンによって安定化され得る。コーティング組成物は、好ましくは、何らのアンモニウム安定化シリカゾルも実質的に含むべきでない。なぜならば、アンモニウム安定化ゾルの存在は、バインダーがアンモニウム安定化シリカゾルから主に成り、かつコーティング組成物が亜鉛粉末をも含むときは特に、組成物のゲル化を生じ得るからである。
コーティング組成物は、そのポットライフを改善するために、アルミナ安定化ゾルを含む。本発明の目的のために、ポットライフは、施与の1時間後に試験されるとき、コーティングの膜特性における50%の低下として定義される。
最適な特性を得るために、アルミナで修飾されたシリカゾル、例えば0.05〜2.0重量%のアルミナで修飾されたシリカゾルの使用が好ましい。このようなゾルはAl表面修飾されたシリカゾルとも言い、このようなゾルでは、粒子の表面が、粒子に結合したアルミン酸ナトリウムで修飾されている。
Al表面修飾されたシリカゾルを得るために、シリカゾル粒子の表面が、例えばR.K.Iler, The Chemistry of Silica (John Wiley and Sons, 1979), 407-409に記載されている方法で、アルミナによって修飾され得る。
本明細書の実施例で使用されるシリカゾルの表面は、以下の方法で修飾された。pH約10のシリカゾルのある量を、強カチオン交換カラムを通すことにより脱イオン化した。得られた脱イオン化されたゾルは、約2のpHを有した。pHが約2のこの脱イオン化されたゾルの3重量部を、pHが約10の脱イオン化されていないシリカゾルの2重量部に添加した。得られた混合物は、7.5〜8のpHを有した。次いで、混合物の調製の30分後に、約1重量部のアルミン酸ナトリウム溶液(脱イオン水中に10重量%)を、激しく撹拌しながらその混合物に添加した。アルミン酸塩の添加により、混合物のpHが約10に上がった。アルミナ修飾されたシリカゾルを得るための他の方法は、当業者に利用可能である。
組成物中の最適なアルミナ濃度は、ポットライフとコーティング特性とのバランスである。アルミナの量が多いほど、長いポットライフをもたらすが、コーティング特性の発生速度の低下をももたらし得る。
シリカゾルは、少量のアルカリ金属シリケート、例えばリチウムシリケート、ナトリウム−リチウムシリケート、またはカリウムシリケートと、あるいは4級アンモニウムシリケートと混合され得る。適するゾル−シリケートブレンドまたは混合物の他の例は、米国特許第4,902,442号に見ることができる。アルカリ金属シリケートまたはアンモニウムシリケートの添加は、シリカゾルの初期の膜形成性を改善し得るが、アルカリ金属シリケートの量は、バインダーのSiO2/M2Oモル比が少なくとも6:1、好ましくは少なくとも8:1、最も好ましくは15:1より上であるように十分少なくあるべきである。本発明の目的のために、少量のアルカリ金属シリケートは、組成物中のアルカリ金属シリケートとシリカゾルとの重量比が0.5より小さく、好ましくは0.25より小さく、より好ましくは0.1より小さいことを意味する。
シリカゾルは、あるいはまたはさらに、溶解されたまたは分散された有機樹脂を含み得る。有機樹脂は、好ましくは、ラテックス、例えばスチレンブタジエンコポリマーラテックス、スチレンアクリルコポリマーラテックス、酢酸ビニルエチレンコポリマーラテックス、ポリビニルブチラール分散物、シリコーン/シロキサン分散物、またはアクリル系ラテックス分散物である。使用され得る適するラテックス分散物の例は、XZ94770およびXZ94755(共にDow Chemicals製)、Airflex(商標)500、Airflex(商標)EP3333DEV、Airflex(商標)CEF52、およびFlexcryl(商標)SAF34(以上、Air Products製)、Primal(商標)E−330DFおよびPrimal(商標)MV23LO(共に、Rohm and Haas製)、ならびにSilres(商標)MP42E、Silres(商標)M50EおよびSLM43164(以上、Wacker Chemicals製)を包含する。水溶性ポリマー、例えばアクリルアミドポリマー、は、使用され得るが、あまり好ましくない。有機樹脂は好ましくは、固形バインダーに基づいて35重量%までで使用される。平均サイズが10nm以下のコロイド状シリカ粒子を有するバインダーを含む組成物の場合、有機樹脂は好ましくは、固形バインダーに基づいて20重量%まで、より好ましくは1〜15重量%使用される。平均粒径が10nmより上、例えば12〜22nm、または12〜16nmであるコロイド状シリカ粒子を有するバインダーを含む組成物の場合、固形バインダーに対して35重量%までの増加されたレベルの有機樹脂が好ましい。それより多量の有機樹脂は、その後の溶接の間に溶接多孔(weld porosity)を引き起こし得る。有機樹脂の添加は、ごばん目試験において測定される付着性/凝集性を改善することが分かった。
あるいは、シリカゾルが、アルコキシシラン基および、官能基、例えばアミノ、エポキシドまたはイソシアネート基を含む有機部分を含むシランカップリング剤を含み得る。シランカップリング剤は好ましくは、アミノシラン、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシランまたはγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、あるいはその部分的加水分解物であるが、エポキシシラン、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランも使用され得る。シランカップリング剤は好ましくは、シリカに基づいて30重量%まで、例えば1〜20重量%で存在する。
プライマーコーティングのバインダーは、ケイ酸より低いpKaの、少なくとも1のアニオン性塞、例えばカルボキシレート基またはスルホネート基、によって置換されたシリコネートによって安定化されたアルカリ金属シリケートまたはアンモニウムシリケートの水性溶液をさらに含み得る。そのようなバインダーは好ましくは、シリケートおよびシリコネートの溶液のpHをカチオン交換によって低下させることにより調製される、8:1〜30:1の範囲のSiO2/M2Oモル比および7〜10.5の範囲のpHを有する溶液である。こうして、シリコネートが、比較的低レベルで、例えば1:2〜1:20のモル比で、慣用の3.9:1のSiO2/K2Oのアルカリシリケートに添加され得る。次いで、加工処理の容易性を改善しかつ安定性をさらに改善するために、固形分が低下され得る。この段階で、溶液は12〜12.5のpHを有する。溶液は、標準的なイオン交換樹脂を使用してイオン交換される。K+イオンがH+で置き換えられて、バインダーのアルカリ含量、およびpHの両方を低下させる。シリコネートの存在なしでは、シリケートはpHを低下させるときにゲル化するであろう。8と低いpHを有する透明で安定な溶液が得られた。得られたバインダーは、典型的には8〜20:1の範囲のSiO2/K2Oモル比を有し、所望ならば、固形分を増加させるために濃縮され得る。バインダーは透明で安定な溶液であり、亜鉛の存在下で安定であるが、これらのイオン交換されたバインダーに基づくコーティングは、アルカリシリケートバインダーに基づくコーティングと比較して、比較的不良の膜強度を有する。
好ましくは、9〜11.5、より好ましくは9.5〜11の範囲のpHを有するバインダーが使用される。膜特性に対するpHの効果を説明する何らの理論によっても縛られたくないが、高められたpHは、溶液中の可溶シリカの増加された量を生じると思われる。これは、コーティング組成物の適用後にインシチュー(in situ)ゲル強化を行うための可能性を有すると思われる。さらに、pH調整は、小さいポットライフ延長効果を有し得る。市販のシリカゾルが使用されるとき、高いpHを有するゾルが選択され得、および/またはゾルのpHが調整され得る。pHは、例えばAl23の量を変えることによって、またはpHが影響するポットライフ延長剤、例えばジメチルアミノエタノール(DMAE)を添加することによって、または希硫酸を添加することによって、または水酸化ナトリウムを添加することによって調整され得る。例えば、市販の22nmシリカゾルは通常、約8.5〜9のpHを有する。これらのゾルのpH範囲の10〜11への増加は、コーティング特性発生の速度を著しく改善する。
プライマーコーティングは好ましくは、亜鉛粉末および/または亜鉛アロイを含む。そのような亜鉛粉末は好ましくは、2〜12ミクロンの体積平均された平均粒径を有し、最も好ましくは、そのような亜鉛粉末が、2〜8ミクロンの平均粒径を有する亜鉛粉末として市販されている製品である。亜鉛粉末は、ガルヴァーニ電気機構によって鋼を保護し、そしてコーティングによって与えられる腐食保護を高める、亜鉛腐食生成物の保護層をも形成し得る。亜鉛粉末の全てまたは一部は、亜鉛アロイによって置き換えられ得る。コーティング中の亜鉛粉末および/またはアロイの量は一般に、乾燥膜に基づいてコーティングの少なくとも10体積%であり、90体積%までであり得る。亜鉛粉末および/またはアロイは、コーティングの着色の実質的に全体であり得、あるいは、乾燥膜に基づいてコーティングの例えば70体積%まで、例えば25〜55体積%を含み得、コーティングは、補助の腐食防止剤、例えば米国特許第5,246,488号に記載のモリブデート、ホスフェート、タングステートまたはバナデート;韓国特許出願KR8101300に詳述されている超微細な二酸化チタン;および/または酸化亜鉛および/またはフィラー、例えばシリカ、焼成粘土、アルミナシリケート、タルク、バライト、マイカ、ケイ酸マグネシウム、または焼成されたケイ酸アルミニウムをも含む。平均粒径が10nm以下であるコロイド状シリカ粒子を有するバインダーを含む組成物の場合、コーティング中の亜鉛粉末および/またはアロイの量は、乾燥膜に基づいてコーティングの40〜60体積%、好ましくは45〜55体積%である。平均粒径が10nmより上、例えば12〜22nm、または12〜16nmであるコロイド状シリカ粒子を有するバインダーを含む組成物の場合、コーティング中の亜鉛粉末および/またはアロイの量は35〜50%である。しかし、亜鉛系顔料と共に、他の顔料が使用され得る。これらの他の非亜鉛顔料の例は、導電性エクステンダー、例えばリン化二鉄(Ferrophos(商標))、雲母状酸化鉄などを包含する。これらの導電性非亜鉛顔料の使用は、有効な腐食保護を維持しながら亜鉛レベルの低下を可能にし得る。最適なコーティング特性を得るために、エクステンダーは好ましくは、コーティング組成物中に十分分散される。使用されるエクステンダーの種類および大きさは、十分な状態の分散物を得るために調整され得る。例えば、エクステンダー顔料Satintone(Lawrence Industries製)が選択されるとき、3μmより下、好ましくは2μmより下の平均粒径が使用されるべきである。
好ましくは、コーティングの顔料体積濃度(PVC)が40〜75%である。75%より上では膜特性が低下し、40%より下では、有効な腐食保護を付与するには不充分な亜鉛が存在する。平均粒径が10nmより下のコロイド状シリカ粒子を有するバインダーを含む組成物の場合、PVCは好ましくは、55〜75%、より好ましくは65〜75%である。平均粒径が10nm以上のコロイド状シリカ粒子を有するバインダーを含む組成物の場合、40〜65%、より好ましくは45〜55%のPVCを有するコーティングを使用することにより、改善された早めのコーティング特性が得られ得る。
顔料体積濃度(PVC)は、乾燥塗料膜中の顔料の体積%である。臨界顔料体積濃度(CPVC)は通常、顔料表面上にバインダーの完全に吸着された層を付与しかつ密集した系における粒子間の全ての隙間を満たすのにちようど十分なバインダーが存在するところの顔料体積濃度として定義される。臨界顔料体積濃度は、乾燥顔料を、凝集性の塊を形成するのにちようど十分な亜麻仁油で浸潤させることにより決定され得る。この方法は、臨界顔料体積濃度がそれから計算され得るところの、「油吸収」として知られる値を生じる。油吸収を決定するための方法は、英国基準3483(BS3483)に記載されている。プライマーコーティングの固形含量は一般に少なくとも15体積%であり、好ましくは20〜35体積%の範囲である。体積固形含量は、コーティング組成物中に存在する全成分に基づいて計算される理論値である。コーティングは好ましくは、40ミクロン未満、好ましくは12乃至25〜30ミクロンの乾燥膜厚を有するコーティングを得るために慣用のコーティング施与、例えばスプレー、特にエアレススプレーまたは高体積低圧(HVLP)スプレー施与によって容易に施与され得るような粘度を有する。
所望により、コーティング組成物は、当業者に周知の更なる添加剤、例えばチキソトロープおよび/またはレオロジー制御剤(有機粘土、キサンタンゴム、セルロース、セルロース増粘剤、ポリエーテルウレアポリウレタン、アクリルなど)、消泡剤(特に、ラテックス変性剤が存在するとき)、および所望により第二のポットライフ延長剤、例えばクロメート(例えば、重クロム酸ナトリウム)または3級アミン(例えば、トリエチルアミンまたはジメチルアミノエタノール)を含み得る。好ましいチキソトロープおよび/またはレオロジー制御剤は、ナトリウムマグネシウムシリケート(有機粘土)であるBentone EW(Elementis製)、水和アルミニウムシリケートであるBentolite WH(Rockwood製)、水和ナトリウムマグネシウムリチウムシリケートであるLaponite RD(Rockwood製)、および水中の登録アクリル分散物であるRheolate 425(Elementis製)を包含する。好ましい消泡剤は、Foamaster NDW(Cognis製)およびDapro 1760(Elementis製)を包含する。他の理由のためにコーティング組成物に存在し得る他の化合物が、第二のポットライフ延長剤として作用し得ることが見出された。例えば、Molywhiteさび止め顔料またはスチレンブタジエンラテックスの添加は、ポットライフの小さい延長をもたらし得る。好ましい第二のポットライフ延長剤は、ポットライフ延長のためにクロメートを含まない選択を提供する3級アミンである。通常、コーティング系は、2(またはそれより多い)成分系として提供され、これらの成分はコーティングの施与前に完全に混合される。
実行可能なポットライフを有する組成物が得られたとき、膜特性発生の速度は、施与されたコーティング層がその後に処理される方法に依存する。
特性の速い発生を達成するために、プライマーコーティングが、膜強化溶液によって後処理され得る。そのような方法では、プライマーコーティングが、膜強化溶液で処理される前に、指触乾燥である程度に乾燥される。コーティング特性の発生はまた、コーティングされた基体を水中に浸漬することにより、または少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%の相対湿度を有する雰囲気中でのコンディショニングにより、促進され得る。そのような方法は、膜強度を高める溶液での処理をさらに含み得る。そのようなプロセスは、別個の特許出願の主題である。速い乾燥が問題ではないとき、後処理されていないコーティングを、低い相対湿度、例えば25〜50%の相対湿度で乾燥させることが可能である。コーティング特性の発生は比較的ゆっくり進行するが、結局良好なコーティング特性が得られる。
指触乾燥までの時間は一般に、15〜20μmの乾燥膜厚(dft)コーティングに関して、15〜20℃の環境温度で約10〜15分であり、40℃で3〜4分である。その乾燥時間は、空気流および膜厚にも依存する。35℃および0.5m/秒の空気流では、20μmの乾燥膜厚コーティングに関する乾燥時間が約2分である。この時間は、空気温度を高めることによりさらに短縮され得る。一般に、乾燥時間は、基体温度を高め、空気温度を高め、空気流を使用し、またはそれらの何らかの組み合わせにより、短縮され得る。
特に、プライマーコーティング、乾燥、および任意的な膜強化溶液の適用が、オンラインプロセスで行われるべき場合は、強制空気流中、好ましくは少なくとも0.1m/秒の空気流中、10〜60℃、好ましくは25〜50℃でプライマーコーティングの乾燥を行うことが好ましい。速い乾燥を達成することは、造船所または製鋼工場でのオンライン適用に非常に重要である。プライマーが指触乾燥である前に処理溶液を適用することは、膜強化を付与しない。
プライマーコーティングの膜強度を高める溶液は一般に、無機塩の水性溶液、または反応性のケイ素含有基を有する物質の溶液である。膜強度の増加は、硬度、耐摩耗性、および通常は付着性における有意な増加によって検出され得る。硬度は、英国基準3900、パートE19(1999)の鉛筆硬度試験(コーティングのガウジングに必要な鉛筆の硬度)によって測定され得る。耐摩耗性は、コーティングを自動的にこする二回こすり試験(double rub test)を使用して測定され得、そして、乾式でまたは水を用いる湿式で行われ得る。乾式または湿式のいずれかの耐摩耗性における有意な増加がプライマーコーティングの膜強度の増加とみなされるが、本発明者らは、本発明に従う処理が一般に、乾式および湿式の両方の耐摩耗性を増加させることを見出した。付着性は、英国基準3900、パートE6(1992)に記載されたこばん目試験によって測定され得る。
プライマーコーティングに適用される膜強化溶液の量は一般に、標準乾燥膜厚(15〜20μm)で適用されるコーティングに関して、プライマーコーティングされた表面1m2につき0.005〜0.2リットル、好ましくは0.01〜0.08リットル(リットル/m2)の範囲である。そのような量の溶液は、スプレーによって便利に適用され得る。言うまでもなく、コーティングが過適用される、すなわち乾燥膜厚>20μmで適用されるならば、後処理溶液の濃度または体積は増加されるべきである。
洗浄は以前に、アルカリ金属シリケートバインダーに基づくケイ酸亜鉛コーティングのための後処理として示唆されたが、これは、約3:1〜4:1のSiO2/M2O比を有するコーティングから可溶性金属塩を洗浄するためのより多量の水の適用を含んでいる。同等量の水のみをスプレー施与すること、またはプライマーを典型的なライン速度で(すなわち、暴露時間<2分)、オンラインで蒸気室に通すことは、実質的な膜強化を付与しない。
膜強化を説明する何らの理論によっても縛られたくないが、処理溶液が水性無機塩溶液であるとき、シリカの溶解および再析出が生じるか、または塩がゾル粒子間で強化剤として作用すると思われる。処理溶液が反応性のシリカ種を含むとき、これらは、シリカゾル粒子間で沈着されてそれらの結合を改善し得る。本発明者らは、同じ強化物質が、基体への施与時または施与前にプライマーコーティング組成物に添加されると、形成されるプライマーコーティング膜を強化しないことを見出した。
所望により適用される膜強化溶液が無機塩の水性溶液であるとき、それは一般に、少なくとも0.01Mの濃度、好ましくは少なくとも0.03Mの濃度を有する。無機塩溶液の濃度は、0.5Mまで、または1Mまたはそれよりさらに高くあり得る。無機塩は、1価カチオンの塩、例えばアルカリ金属またはアンモニウムの塩;2価カチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、銅(II)または鉄(II)、の塩;3価カチオン、例えばアルミニウムまたはセリウム(III)、の塩;または4価カチオン、例えばセリウム(IV)、の塩;および1価アニオンの塩、例えばハライド、例えばフルオライド、クロライドもしくはブロマイド、またはナイトレート;または多価アニオンの塩、例えば硫酸塩またはリン酸塩、であり得る。上記塩の混合物も使用され得る。有効であることが分かった無機塩溶液の例は、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸鉄、硫酸セリウム(IV)、硫酸銅、塩化ナトリウム、および塩化カリウムであるが、塩化物は、腐食を促進する傾向故に、好ましくないと考えられる。無機塩溶液の濃度は、好ましくは、0.5〜20重量%の範囲である。
活性ケイ素含有基を有する物質の1例は、シリケートである。膜強化溶液は、アルカリ金属シリケート溶液、例えばケイ酸カリウムもしくはケイ酸リチウム、またはアンモニウムシリケート溶液であり得、あるいはアルカリ金属シリコネート、例えばアルキルシリコネート溶液であり得る。そのような溶液の好ましい濃度は、0.5〜20重量%の範囲である。
膜強化溶液が無機塩またはアルカリ金属シリケートの溶液であるとき、添加される物質は、ケイ酸亜鉛プライマーコーティングの塩含量を増加させる。これは、コーティングが上塗りされるときの浸透性駆動力を、および従って、コーティングされた基体が浸漬されるときの浸透性ふくれの可能性を増加させる傾向にある。適用される無機塩またはアルカリ金属シリケートの量は好ましくは、プライマーコーティングバインダーのSiO2/M2Oモル比が6:1より上、好ましくは8:1より上、最も好ましくは10:1より上で保持されるのに十分低い。これを達成するために、膜強化溶液中に適用される無機塩またはアルカリ金属シリケートの量は好ましくは、15〜20μmの乾燥膜厚を有するコーティングに関して、乾燥重量に基づいて、10g/m2未満、最も好ましくは5g/m2未満である。
反応性のケイ素含有基を有する物質の別の例は、アルコキシシランまたはアシルオキシシラン、例えばアセトキシシランである。これは、例えば、テトラアルコキシシラン(アルキルオルトシリケート)、例えばテトラエトキシシランまたはテトライソプロポキシシラン、あるいはトリアルコキシシラン、例えばメチルトリメトキシシラン(MTMS、Aldrich製)またはビストリメトキシシランエタンであり得る。アルコキシシランは、更なる官能基を含み得る。例えばトリアルコキシシランは、式RSi(OR13を有し得、ここで、各R1基は1〜3Cアルキルであり、Rは、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミド、ハロゲン、カルバメート、エポキシド、イソシアネート、アジリジン、スルホネート、カルボキシレート、ホスフェートまたはヒドロキシル基で置換された、アルキルまたはアリール基である。好ましい例は、アミノシラン、例えばトリエトキシシリルプロピルアミン(Aminosilane A1100、Witco製)、トリメトキシシリルプロピルアミン(Aminosilane A1110、Witco製)、トリメトキシシリルプロピルエチレンジアミン(Aminosilane A1120、Witco製)、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン(Aminosilane A1130、Witco製)、またはビストリメトキシシリルプロピルエチレンジアミンである。さらに、アルコキシシランは、ビス(トリアルコキシシラン)、例えば−SiOR’3基を先端に有するアルキレンまたはポリジメチルシラン鎖であり得る。アルコキシシランは、少なくとも部分的に加水分解され得る。例えば、部分的に加水分解されたテトラアルコキシシランまたは、加水分解されたアルキルトリアルコキシシランまたはアミノアルキルトリアルコキシシランが使用され得る。アルコキシシランは好ましくは、水性溶液から適用されるが、水性溶液は、水混和性有機溶媒、例えばアルコール、例えばエタノールを含み得る。
さらに、オルトシリケートは、後処理プロセスにおいて、非常に有効な特性向上剤でもあることが分かった。テトラメチルオルトシリケート(TMOS)およびテトラエチルオルトシリケート(TEOS)の水性溶液は、有効な後処理剤である。TMOSまたはTEOSがpH1〜2で加水分解されるならば、より良好な結果が得られる。このpHでは、後処理溶液のポットライフが7日を越えることさえあり得る。
所望により適用される処理溶液中のアルコキシシランまたはオルトシリケートの濃度は、1〜25重量%の範囲である。所望により適用される後処理溶液中でのアルコキシシランおよび/またはオルトシリケートの使用は好ましい。なぜならば、これらの化合物は、ショッププライマーに本質的にゼロレベルの水溶性塩を加えるからである。
処理溶液の任意的な適用、および好ましくは、処理されたプライマーコーティングの、再び指触乾燥になるまでの乾燥もが、鋼のプライマーコーティングおよび該プライマーコーティングの指触乾燥になるまでの乾燥の後に、オンラインプロセスで行われ得る。適用される膜強化溶液の量は、15〜20μmの乾燥膜厚を有するコーティングに関して、コーティングがオンラインで処理されそして乾燥されるならば、好ましくは、プライマーコーティングされた表面1m2当たり0.005〜0.2リットル、最も好ましくは0.08リットル/m2以下である。そのような量の膜強化溶液で処理されたこのコーティングの乾燥時間は一般に、15〜20℃で約5〜10分、または40℃で約1.5〜2分である。乾燥時間は、プライマー施与された基体を空気流中に置くことによってさらに短縮され得る。一般に、乾燥時間は、基体温度を高めることにより、空気温度を高めることにより、空気流を使用することにより、またはそれらの任意の組み合わせにより、短縮され得る。
所望により適用される処理溶液は、好ましくは、強制空気流中、好ましくは少なくとも0.1m/秒の空気流中で、10〜60℃、好ましくは25〜50℃の範囲の温度で適用され、そして乾燥される。処理溶液は、標準的なスプレー施与装置、例えばエアレススプレーまたはHVLPスプレーによって、あるいは簡単なアトマイザースプレーによって、プライマーを施与するスプレーガンからショッププライマーラインのさらに下に第二のスプレーガンを単に取りつけることにより、適用され得る。あるいは、その溶液は、ミストコーティング施与技術を使用して適用され得る。処理溶液は、基体の両側、例えば、基体の配向にかかわらず、造船所での使用のための鋼板の両側に適用され得る。膜を強化するために必要とされる溶液の体積は、垂れたり滴ることなく鋼板の下側に溶液が施与され得るような体積である。他の方法の適用、例えばローラーによる適用は可能であるが、好ましくない。処理されたプライマーコーティングは、基体上で乾燥させるだけでよく、その後の洗浄または加熱を何ら必要としない。処理されたプライマーがいったん乾燥すると、コーティングされた生成物は普通に取り扱われ得る。
任意的な処理法は、上塗りされるとき、ふくれの欠点を導入することなく、ショッププライマーの硬度、凝集性、および耐摩耗性を高める。さらに、その処理法は、これらの好ましい特性の発生を促進する。これは、造船所または製鋼工場での取扱および組み立て中の損傷に対する耐性を改善する。これらの利点に加えて、後処理されたショッププライマーコーティングされた基体は、ショッププライマー市場で要求される性能特性、すなわち戸外にさらしたときの6ヶ月の腐食耐性、優れた溶接/切削特性、およびふくれまたはピンホールを生じることなしでの広範囲のプライマーコーティングによる上塗り性を示す。例えば、亜鉛が充填されたシリカゾルコーティングが、膜強度を高める溶液で後処理されるとき、コーティング施与の10分後の乾式耐摩耗性は、少なくとも5倍高められ、一方、湿式耐摩耗性は通常10倍以上高められる。鉛筆硬度は典型的には、2BからH以上の硬さに変わる。プライマーコーティングのSiO2/M2Oモル比は、適用される膜強化溶液が無機塩溶液またはアルカリ金属シリケート溶液である場合、例えば50〜200から15〜35へ低下され得るが、ショッププライマーコーティングのための15〜20μmの通常の乾燥膜厚では、これは、有意なふくれが生じるところのレベルよりなおも上である。SiO2/M2Oモル比は、膜強化溶液がアルコキシシラン溶液である場合には、さらに高いレベルで維持され得る。処理されたプライマーコーティングは、アミン硬化されたエポキシ樹脂コーティングまたは何らかの他の重質コーティング、例えばポリウレタン、によって、100μmまたは200μmの膜厚で上塗りされ得、そして、7日間硬化された後、40℃で6ヶ月(これまでの最長試験期間)にわたってふくれを生じることなく淡水または海水中に浸漬され得る。
本発明を、以下の実施例を参照して説明する。これらは本発明を説明するものであって、その範囲を決して限定するものではない。
実施例で使用されたシリカゾルのゾルの大きさの決定は、G.W. Sears, Anal. Chem. 12, 1981 (1956) に記載された滴定法によって行われた。この方法によって、比表面積(m2/g)が決定された。球状のゾル粒子の場合、この表面積が粒子の大きさに転化された。
実施例で使用されたアルミナ修飾されたシリカゾル上のアルミナの重量%の決定は、X線蛍光分光法によって行われた。
実施例において出発物質として使用された化合物は以下の起源を有する。
Ludox(商標)SM:濃度30重量%のシリカゾル、粒径7nm、SiO2/Na2Oモル比50:1、DuPont製、pH10.3;
Bindzil 25AT/360:濃度22〜27重量%のアルミナ修飾されたシリカゾル、平均粒径7nm、SiO2/Na2Oモル比50:1、Akzo Nobel (Eka Chemicals)製、pH9.8〜10;
Nyacol:濃度40重量%のシリカゾル、平均粒径16nm、SiO2/Na2Oモル比105:1、Akzo Nobel (Eka Chemicals)製、pH9.8;
Nyacol Al:Nyacolをアルミナ修飾したもの、pH9.9;
XZ 94770:50体積%固形分のスチレン/ブタジエン有機ラテックス、Dow Chemicals製;
Huber 90C:0.7μmの平均粒径の焼成されたケイ酸アルミニウムエクステンダー顔料、JM Huber/Marlow Chemicals製;
亜鉛粉末:7μmの平均粒径の金属粉末、Trident Alloys製:
Molywhite 212:カルシウム亜鉛モリブデート、粒径4.1umのさび止め顔料、Sherwin Williams製;
Minex 20:2.95μmの平均粒径のナトリウムカリウムアルミニウムシリケートエクステンダー顔料、North Cape Minerals製;
Bentone EW:ナトリウムマグネシウムシリケートチキソトロープ、Elementis製
実施例1〜5
ショッププライマーコーティングのポットライフに対するアルミナ含量の効果を決定するために、28体積%の固形濃度を有するいくつかの組成物を調製した。プライマーコーティングは、71.0%の顔料体積濃度を有し、これは、臨界顔料体積濃度の1.4倍である。実施例1で使用された組成物を、以下の成分から調製した。
Figure 0005207575
実施例2〜5のために、以下の成分を使用して組成物を調製した。
Figure 0005207575
シリカゾルを水およびチキソトロープと混合することによりプライマーを調製し、得られたバインダーを、ケイ酸亜鉛コーティングの場合に通常行われるように、鋼への適用の直前に顔料と混合した。得られたプライマーコーティングを、35℃および30%相対湿度で、15cmx10cmの鋼板に、15〜20μmの乾燥膜厚で施与した。プライマーを環境条件(20℃、60%RH)下で乾燥させた。
ポットライフは、全ての成分を混合した後、コーティング施与の1時間後にコーティングの特性の低下が認められるときの時間である。これらの実験では、コーティング施与の1時間後に測定されたコーティング特性における50%低下を、ポットライフが超えられたことを示すものとした。
Figure 0005207575
実施例6〜9
実施例1、2、3および4のショッププライマー組成物を調製した。成分の混合の0.5時間後、1.5時間後、4時間後、6時間後および/または24時間後に、35℃および30%相対湿度で、15cmx10cmの鋼板に、15〜20μmの乾燥膜厚で組成物を施与した。プライマーを環境条件(23℃、60%RH)下で乾燥させた。
施与されたコーティングの耐摩耗性を、1時間後および24時間後に測定した(2回こすり試験)。2回こすり試験では、表面を2、3滴の水で湿らし(湿式で2回こする場合)、次いで、軽く圧力をかけて綿棒でこすった。1往復が2回のこすりである。結果を、コーティングの除去までの2回こすりの数として表す。コーティングが100回の2回こすりに耐えるならば、最終の乾燥膜厚(dft)を初期値と比較する。乾燥膜厚が25%より多く減少しているならば、結果を>100と表す。乾燥膜厚が25%未満減少しているならば、結果を>>100と表す。結果を下記表2に示す。
Figure 0005207575
実施例10〜13
実施例1、2、3および4のショッププライマー組成物を調製した。成分の混合の0.5時間後、1.5時間後、4時間後、6時間後および/または24時間後に、35℃および30%相対湿度で、15cmx10cmの鋼板に、15〜20μmの乾燥膜厚で組成物を施与した。指触乾燥である程度までコーティングを乾燥した後、水中の部分的に加水分解された(pH=2)TEOS(テトラエチルオルトシリケート)の5%溶液で処理した。その後、プライマーを環境条件(23℃、60%RH)下で貯蔵した。コーティングの耐摩耗性を、TEOS溶液による処理の1時間後および24時間後に測定した(2回こすり試験)。結果を下記表3に示す。
Figure 0005207575
実施例14
施与後のコーティングの種々のコンディショニング法の効果を決定するために、28体積%の固形濃度を有する組成物を下記成分から調製した。プライマーコーティングは70%の顔料体積濃度を有し、これは、臨界顔料体積濃度の1.06倍である。
Figure 0005207575
シリカゾルを水およびBentoneと混合することによりプライマーを調製し、得られたバインダーを、鋼に施与する直前に顔料と混合した。得られたプライマーコーティングを、35℃および30%相対湿度で、15cmx10cmの鋼板に、15〜20μmの乾燥膜厚で施与した。プライマーを環境条件(20℃、60%RH)下で乾燥させた。
実験14aでは、指触乾燥である程度までコーティングを乾燥した後、水中の5%ZnSO4溶液で処理した。実験14bでは、コーティングされた鋼板を23℃、60%RHで貯蔵した。実験14cでは、コーティングされた鋼板を23℃、35%RHで貯蔵した。
コーティング層の耐摩耗性を、コンディショニングの10分後、1時間後および24時間後に測定した(2回こすり試験)。さらに、鉛筆硬度を測定した。結果を下記表4に示す。
Figure 0005207575
実施例15および16
大きいゾルに関する、ポットライフおよび特性発生速度に対するアルミナ修飾の効果を示すために、28体積%の固形濃度および50%の顔料体積濃度(これは臨界顔料体積濃度の0.72倍である)を有する組成物を調製した。組成物を下記成分から調製した。
Figure 0005207575
この組成を有する2つのプライマーを、2つの異なるシリカゾル、すなわち、比較例15のための16nm Nyacolゾルおよび実施例16のための16nm Ny acol Alゾルを使用して調製した。得られたプライマーコーティングを、組成物を混合した直後、2時間後、5時間後および24時間後に、35℃および30%相対湿度で、15cmx10cmの鋼板に15〜20μmの乾燥膜厚で施与した。プライマーを環境条件(20℃、60%RH)下で乾燥させた。
コーティング層の耐摩耗性を、コーティングの施与の1時間後および24時間後に測定した(2回こすり試験)。さらに、鉛筆硬度を測定した。結果を下記表5に示す。
Figure 0005207575
実施例17および18
ショッププライマーコーティングの膜特性に対するアルミナ処理されたゾルの大きさの効果を決定するために、50%の顔料体積濃度を有する2つの組成物を調製した。実施例17のために、下記成分から組成物を調製した。
Figure 0005207575
実施例18のために、実施例16の組成物を調製した。プライマーを環境条件(23℃、60%RH)下で乾燥させた。
コーティング層の耐摩耗性を、施与の1時間後および24時間後に測定した(2回こすり試験)。さらに、鉛筆硬度を測定した。結果を下記表6に示す。
Figure 0005207575
実施例19〜21
小さいゾルに関する、特性発生速度およびポットライフに対する、アルミナ修飾のおよび第二のポットライフエクステンダーとしてのジメチルアミノエタノール(DMAE)の効果を示すために、いくつかの組成物を調製した。プライマーコーティングは、50.0%の顔料体積濃度を有し、これは臨界顔料体積濃度の0.72倍である。
実施例19のために、28体積%の固形濃度を有する組成物を下記成分から調製した。
Figure 0005207575
実施例20のために、26体積%の固形濃度を有する組成物を下記成分から調製した。
Figure 0005207575
実施例21のために、実施例20の組成物を調製し、そしてDMAEと混合した。混合物中のDMAEの量は、混合物の総重量に基づいて、1重量%であった。
コーティング層の耐摩耗性を、施与の1時間後に測定した(2回こすり試験)。さらに、鉛筆硬度を測定した。これらの実験では、コーティング施与の1時間後に測定されたコーティング特性の50%低下が、ポットライフが達成されたことを示すと仮定された。結果を下記表7に示す。
Figure 0005207575

Claims (13)

  1. 組み立てられそして上塗りされることが意図される鋼にプライマーコーティングする方法であって、鋼が、シリカバインダーを含むプライマーコーティングでプライマーコーティングされる方法において、バインダーが、アルミナ安定化された水性シリカゾルを含み、該バインダーは少なくとも15:1のSiO/M(SiO :M O)モル比(Mはアルカリ金属およびアンモニウムイオンを表す)を有し、かつプライマーコーティングが、指触乾燥の程度まで乾燥した後、所望により膜強化溶液によって処理されることを特徴とする方法、ただし、12nmの平均粒径および125:1のSiO/Na(SiO :Na O)モル比を有する、アルミナ修飾されたゾル25.8重量%、水20.4重量%、ベントナイト粘土チキソトロープ0.2重量%、亜鉛粉末45.5重量%、および1.4μmの平均粒径の焼成されたケイ酸アルミニウムエクステンダー顔料8.1重量%から成るプライマーコーティングで鋼がプライマーコーティングされ、そしてプライマーコーティングが、20℃および35%相対湿度で指触乾燥の程度まで乾燥した後、5重量%の水性塩化カリウム溶液の0.2gでスプレーされ、その後15〜20℃および35%相対湿度で乾燥されるところの方法を除く。
  2. アルミナ安定化されたシリカゾルが、アルミナで表面修飾されたシリカゾルであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. バインダーが、シリカゾルに基づいてAlの重量%として計算して0.05〜2.0重量%のアルミナ、および任意的なアルカリ金属シリケート粒子を組成物中に含むことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. バインダーが少なくとも25:1のSiO/M(SiO :M O)モル比のシリカゾルであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. シリカ粒子が22nm以下の平均サイズを有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. シリカ粒子が16nm以下の平均サイズを有することを特徴とする、請求項5記載の方法。
  7. プライマーコーティングが、亜鉛粉末および/または亜鉛アロイをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. プライマーコーティングが、有機樹脂をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. プライマーコーティングが指触乾燥の程度まで乾燥した後、コーティングされた基体が水中に浸漬されまたは少なくとも50%の相対湿度を有する雰囲気中に保持されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. シリカバインダーのpHが、9.5〜11の範囲のpHに調整されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. シリカバインダーを含む、鋼基体のためのプライマーコーティング組成物において、バインダーが、アルミナ安定化された水性シリカゾルを含み、かつ少なくとも15:1のSiO/M(SiO :M O)モル比(Mはアルカリ金属およびアンモニウムイオンを表す)を有することを特徴とする組成物、ただし、12nmの平均粒径および125:1のSiO/Na(SiO :Na O)モル比を有する、アルミナ修飾されたゾル25.8重量%、水20.4重量%、ベントナイト粘土チキソトロープ0.2重量%、亜鉛粉末45.5重量%、および1.4μmの平均粒径の焼成されたケイ酸アルミニウムエクステンダー顔料8.1重量%から成るプライマーコーティングを除く。
  12. バインダーが、シリカゾルに基づいてAlの重量%として計算して0.05〜2.0重量%のアルミナ、および任意的なアルカリ金属シリケート粒子を組成物中に含むアルミナ修飾されたシリカゾルであることを特徴とする、請求項11記載のプライマーコーティング組成物。
  13. シリカまたはアルカリ金属シリケート粒子が22nm以下の平均粒径を有することを特徴とする、請求項11または12記載のプライマーコーティング組成物。
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