JP2852175B2 - 一次防錆塗料組成物 - Google Patents

一次防錆塗料組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶や橋梁等の大
型鋼構造物に使用される一次防錆塗料を構成する一次防
錆塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、船舶や橋梁等の大型鋼構造物
は組み立ての工程期間が長いために、その期間の発錆を
防止し、組み立て後の上塗り塗装が容易となるように、
一次防錆塗料が塗装されている。その中でも防食性と溶
接性に優れた無機ジンク一次防錆塗料が最も一般的に用
いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】生産性の向上のため、
近年は溶接の自動化及び高速化が進んできたが、溶接速
度の向上に伴ない従来の無機ジンク一次防錆塗料によっ
て塗装した構造物は、溶接ビードにピットやブローホー
ルのような溶接欠陥の発生が激増し、溶接継手の品質向
上の障壁となっている。
【0004】そこで本発明の目的は、構造物の溶接性に
秀れた一次防錆塗料の組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の一次防錆塗料組
成物は、ぺースト中に硅素系化合物を含む主剤と、亜鉛
末を含むペーストを混合したものからなる一次防錆塗料
組成物において、上記したペーストにリン酸塩系顔料及
び長石をともに含有していることを特徴とする。
【0006】上記の特徴は、本発明者らの実験により溶
接性を向上させる顔料群について調査検討したところ、
リン酸塩系顔料及び長石をともに含有させることによっ
て溶接性の向上に顕著な効果を有することが判明したも
のである。
【0007】上記のリン酸塩系顔料としては、亜リン
酸、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸のアルカリ
土類金属,B,Al,Ti,Zr,Sn,Pb,V,S
b,Mo,W,Mn,Fe,Cu,Co,Ni,Znの
塩より選ばれた少なくとも一種を用いることができるこ
とも判った。
【0008】周知の通り、長石はSiO4 またはAlO
4 の4面体が連続的につながった3次元のフレーム構造
をしており、陽イオンのNa,K,Ca,及びBaがそ
れらの隙間に入っているものの総称である。また、長石
としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の含有量が
少なくとも3%以上、より好ましくは5%以上のものを
用いることが好ましい。
【0009】さらに、塗膜中のリン酸塩系顔料と長石と
の合計は、5%よりも少ないと溶接性の向上が発揮でき
ないが、70%以上であると、亜鉛末の配合比率が低く
なって実用的防食性が得られないので、約10〜50%
の範囲が最も好適である。
【0010】ピットの発生の防止には、リン酸塩系顔料
及び長石ともに同様の効果を示すが、ブローホールの発
生防止に対しては、リン酸塩系顔料が特に効果が大きい
ので、必要に応じてリン酸塩系顔料と長石とを任意の比
率に混合して用いることが効果的である。
【0011】本発明の塗料の結合剤として用いる硅素系
化合物としては、ポリシロキサン系、硅酸アルカリ塩
系、シリカゾル系の化合物が挙げられるが、中でもポリ
シロキサン系が最も一般的である。
【0012】亜鉛末は、塗膜中に10〜60%含有させ
るのが適当であるが、防食性の点からは20%以上、溶
接性の点からは50%以下がより好ましい。
【0013】また、本発明の塗料に用いる他の成分とし
ては、通常の塗料に用いる体質顔料、着色顔料、防食顔
料、沈降防止剤、顔料分散剤、溶剤を適宜選択して用い
ることができる。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、溶接の際に発生するピ
ットやブローホール等の溶接欠陥の発生を大幅に減少さ
せることができるなど構造物に対する溶接性の向上が可
能になる。
【0015】
【実施例】以下実施例によって本発明をより具体的に説
明する。
【0016】主剤の調整 エチルシリケート−40(日本コルコート社製)320
g,イソプロピルアルコール320gを1リットルのフ
ラスコに仕込み、35%塩酸0.5gと脱イオン水4
5.5gの混合物を攪拌しながら徐々に加え、55〜6
0℃に4時間保持した後、154gのイソプロピルアル
コールを加えて放冷し、主剤を調整した。
【0017】このようにして調整した主剤を、比較例1
〜10、実施例1〜3に共通して用いた。
【0018】ペーストの調整 表1に示す比較例1〜10、実施例1〜3のペースト組
成のうち亜鉛末を除く全量をプラスチック容器に仕込
み、ガラスビーズを加えて密封し、ペイントシェーカー
で1時間振盪した後亜鉛末を加えてさらに5分間振盪し
てペーストを調整した。
【0019】
【表1】 供試塗料のペーストに用いた原材料は次の通りである。 亜鉛末 (本荘ケミカル社製) 亜鉛華3号 (白水化学社製) シリカ末 (富士タルク社製) カーボンブラック (三菱化学社製) 亜リン酸カルシウム (太平化学産業社製) 第3リン酸カルシウム (太平化学産業社製) 第3リン酸マグネシウム(太平化学産業社製) ピロリン酸カルシウム (太平化学産業社製) リン酸ホウ素 (米山化学社製) リン酸アルミニウム (太平化学産業社製) ソーダ長石 (金生興業社製) カリ長石 (金生興業社製) 有機ベントナイト (NLケミカル社製,ベントン
SD−2) 酸化ポリエチレン (楠本化成社製,20%キシロ
ールカット品)。
【0020】試験片の作成 表1に示すように、主剤40部とペースト80gとを混
合し、サンドブラスト処理した鋼材にエアースプレーに
て乾燥膜厚15μmとなるように吹付け塗装し、常温で
7日間乾燥して供試した。防食性評価用には、100×
200×3.2mmtサイズの鋼板を用い、溶接試験用
には100×500×12mmtの平板と50×500
×12mmtの立板を用いた。ただし、溶接試験用試験
片は、平板のみ塗装した。
【0021】試験方法 防食性は、100×200×3.2mmtの試験片を、
南面45°に保持して6カ月間曝露し、発錆を防止でき
た期間(月数)で評価した。
【0022】溶接性試験は、長尺状の平板の上面に、そ
の長手方向に長尺状の立板を直角に組み合わせて逆T字
状にし、以下に示す溶接条件で水平隅肉溶接を実施し
た。
【0023】 溶接条件 溶接方法:炭酸ガスシールドアーク溶接,ツインシング
ル ワイヤー:φ1.2mm,フラックス入 電圧 :32V、 電流 :310A、 速度 :600mm/分,900mm/分 脚長 :4.5〜5mm目標 第2溶接ビードについて、ピットの発生数を数えた後、
ガウジングして溶接ビード内のブローホール発生率を調
べた。
【0024】ピットの発生数については次のように評価
した。 A: 0〜0.1個/m B:0.2〜0.4個/m C:0.5〜1.0個/m D:1.1〜2.0個/m E:2.1〜4.0個/m なお、上記の評価の単位はビードの長さ1m当たりピッ
トの発生個数で示してある。
【0025】ブローホールの発生率については次のよう
に評価した。 A: 0〜0.5% B:0.6〜1.5% C:1.6〜3.0% D:3.0〜5.0% E:5.1%以上 なお、ブローホールの発生率は、溶接のビード長さに占
める全ブローホールの幅の合計をビード長で除したもの
に100を乗じた数値(%)で計算してある。例えば、
500mmのビードの内部に0.5mmのブローホール
が25個、1mmのものが10個であった場合には以下
のように計算される。 ブローホールの発生率=(0.5×25+1×10)÷500×100 =4.5(%) 試験は、繰り返しを5回行い平均値で評価した。その結
果を表1に示す。
【0026】実施例1,2,3は、比較例1〜10に比
べてピットやブローホールが減少し溶接速度の大幅な向
上が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田辺 真一 広島県広島市中区吉島東1丁目15番2号 中国塗料株式会社 技術部内 (56)参考文献 特開 昭51−106134(JP,A) 特開 昭60−235871(JP,A) 特開 昭54−8637(JP,A) 特開 平4−46932(JP,A) 特開 昭61−76556(JP,A) 森本信男,砂川一郎,都城秋穂「鉱物 学」第1刷(1975−5−29)岩波書店 p.567 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 5/08 - 5/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硅素系化合物を含む主剤と、亜鉛末を含
    むペーストを混合したものからなる一次防錆塗料組成物
    において、 上記ペーストにはリン酸塩系顔料及び長石を含有してい
    ことを特徴とする一次防錆塗料組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記リン酸塩系顔料
    及び長石の合算含有量は5〜70%であることを特徴と
    する一次防錆塗料組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1及び2において、上記リン酸塩
    系顔料としてリン酸カルシウムを用い、長石としてカリ
    長石を採用してあることを特徴とする一次防錆塗料組成
    物。
JP24029993A 1992-09-17 1993-09-02 一次防錆塗料組成物 Expired - Lifetime JP2852175B2 (ja)

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JPH06200188A JPH06200188A (ja) 1994-07-19
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