JP5207500B2 - フェノール樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フェノール樹脂組成物およびその製造方法に関する。更に詳しくは、セルロースナノファイバー、フェノール樹脂を直接溶融混練することにより得られるフェノール樹脂組成物、およびその製造方法に関する。
従来より、熱硬化性樹脂等に木粉、紙パルプなどのセルロース系繊維等を添加した成形品は製造されている。しかし近年、植物パルプ由来の素材として、セルロースナノファイバーに代表される微細繊維が注目されている。このセルロースナノファイバーは、木質パルプを機械的に開繊し、リグニンなどの成分を除去してセルロース短繊維のみを取り出したもので、セルロースの伸び切り鎖結晶から構成されたものである。そのため、非常に高強度・高弾性であり、しかも低熱膨張率であるという特徴を有している。このように、特にセルロースナノファイバーは、植物パルプ由来であると同時に、優れた材料特性を有することから、環境フレンドリーな補強材としてプラスチックに添加する試みがなされている(特許文献1乃至3参照)。
ところで、このセルロースナノファイバーは、通常、多量の水分を含んだ状態(水分が全体の50〜90wt%)で供給される。これは、セルロースナノファイバーが乾燥状態では繊維間の水素結合により相互に強固な凝着を生じ、乾燥状態のセルロースナノファイバーを水に再分散することが困難であることによるものである。従って、セルロースナノファイバーをプラスチックに添加する場合、水分を除去する必要があるが、この水分を除去するには以下のような方法がとられている。
その代表的な手段としては、予めセルロースナノファイバーなどの微細繊維を抄紙によりシート化してフェノール樹脂などの液状樹脂を含浸させる方法(以下、シート化法という)や(特許文献4参照)、セルロースナノファイバーなどの微細繊維を熱可塑性樹脂あるいはフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂などと混合した後、二軸混練押出機に代表される樹脂の溶融混練プロセス装置を用いて混練するなどの方法がとられている(特許文献5参照)。
特許第3641690号 特開2006−312281号公報 特開2006−312688号公報 特開2004−292970号公報 特開2005−42283号公報
セルロースナノファイバーなどを使用する場合、前記のように一般にこれらのナノファイバーは多量の水分を含むうえ、前記水分の除去が極めて困難であることから、樹脂の溶融段階で水分が残留していた場合には、樹脂の加水分解による成形材料の劣化により、成形品の耐久性・強度・剛性の低下が生じたり、成形時に残留水分が蒸発することよる成形不良(外観、ウエルド、バリ、成形精度低下など)が発生したりする場合があった。また、ガスぶくれ、いわゆる銀条などによる成形品外観の低下、成形品寸法が変化しやすいなど安定成形性に問題を生じる。
また、前記シート化法では、セルロースナノファイバーの抄紙性が悪く、連続抄紙が困難であるため、大量生産には不適である。そのうえ、得られるシートは綴密であるため、樹脂の含浸性が悪く、減圧含浸後、常圧で長時間浸漬しないと樹脂が充分に浸透しないという問題がある。加えて、樹脂を含浸したシートは成形方法ならびに成形品形状が限定される。即ち、樹脂含浸シートを用いた成形手法は、シートを積層し、圧縮する積層成形に限られることから、成形品形状としては板状成形品に限定され、成形品形状の自由度に大きな制限を受ける。また、大型・肉厚成形品を得るためには何百枚もの(凡そ0.1mm/枚
)シートが必要となり、生産性が非常に低いという問題がある。
また、二軸押出機といったクローズドな溶融混練部(バレル)を有する混練装置を用いる場合、樹脂を溶融させる温度でセルロースナノファイバーに含まれる水分が蒸発し、材料の食い込みが発生したり、吐出が不安定となったりするなど正常な溶融混練が出来ないという問題があった。
これを防止するためにバレルの途中にベントポートを設け脱水しようとすると、常圧では水分放散が充分でなく、水分放散効率を上げるために減圧ポンプを設置することも行なわれているが、装置が大掛かりとなるほか、ベントポートからの溶融材料の噴出し(ベントアップ)の間題が付きまとい、吐出量が任意に上げられないなどの問題が生じ、時間当たりの吐出量に制限を受け、したがって材料の混練コストの上昇を招く。また、真空ポンプ等を設置すると装置が大掛かりとなるほか、メンテナンスの手間が生じ、また除去し切れていない水分による加水分解を生じかねない。
更に、セルロースナノファイバーは、樹脂などに添加した場合にその流動性を阻害する性質が高いために、溶融混練する場合の添加量に制限を受ける。このため、通常の二軸混練押出機などの溶融混練では、セルロースナノファイバーの添加量はマトリックス樹脂に対して10重量%程度となり、補強効果が得られにくいという問題がある。また、セルロースナノファイバーと混合した樹脂の溶融状態で強力なせん断力を作用させると、セルロースナノファイバーの繊維が切断され、十分な補強効果が得られないという問題がある。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、セルロースナノファイバーを補強材として多量に添加することが可能で、前記セルロースナノファイバーに含まれる水分を容易に除去することが可能で、既存の設備を使用して安価に製造が可能なフェノール樹脂組成物、およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係るフェノール樹脂組成物の製造方法は、木質パルプを機械的に開繊させて得た平均直径1〜10nmの短繊維であるセルロースナノファイバーを固形分として5〜50重量%含み、残余が水である混合物、および硬化剤を含んでいないノボラック型フェノール樹脂を、ロール混練機を用いて大気に対してオープンな状態で、前記含水状態のセルロースナノファイバーを前処理することなくフェノール樹脂にそのまま添加して直接溶融混練し、フェノール樹脂中にセルロースナノファイバーを分散させるとともに、水分を蒸発・放出して常圧下で水を除去した後、硬化剤を添加し、更に混練することを特徴とする。
また、本発明に係るフェノール樹脂組成物の製造方法の第2の態様は、前記ロール混練機として二本オープンロールを用い、前ロールの温度を70〜90℃、後ロールの温度を80〜100℃に設定して前記混合物とフェノール樹脂とを直接溶融混練することを特徴とする。
また、本発明に係るフェノール樹脂組成物の製造方法の第3の態様は、前記フェノール樹脂をロール混練機にて溶融混練し、フェノール樹脂が溶融した後、前記混合物を投入し、溶融混練することを特徴とする。
また、本発明に係るフェノール樹脂組成物の製造方法の第4の態様は、前記フェノール樹脂が、溶剤を含まず、かつ固形分90重量%以上であることを特徴とする。
また、本発明に係るフェノール樹脂組成物の製造方法の第5の態様は、前記混合物、前記フェノール樹脂に加えて、木粉、ガラス、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、タルク、ウォラスナイト、二硫化モリブデン、グラファイト、ナットシェル粉末から選択されるいずれか1種以上の充填材を直接溶融混練することを特徴とする。
また、本発明に係るフェノール樹脂組成物は、セルロースナノファイバーが木質パルプを機械的に開繊させて得た平均直径1〜10nmの短繊維であり、前記セルロースナノファイバーを固形分として5〜50重量%含み、残余が水である混合物と硬化剤を含んでいないノボラック型フェノール樹脂とを、ロール混練機を用いて大気に対してオープンな状態で、前記含水状態のセルロースナノファイバーを前処理することなくフェノール樹脂にそのまま添加して直接溶融混練し、フェノール樹脂中にセルロースナノファイバーを分散させるとともに、水分を蒸発・放出して常圧下で水を除去した後、硬化剤を添加し、更に混練することにより得られることを特徴とする。
また、本発明に係るフェノール樹脂組成物の第2の態様は、前記フェノール樹脂が、溶剤を含まず、かつ固形分90重量%以上であることを特徴とする。
また、本発明に係るフェノール樹脂組成物の第3の態様は、前記混合物、前記フェノール樹脂に加えて、木粉、ガラス、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、タルク、ウォラスナイト、二硫化モリブデン、グラファイト、ナットシェル粉末から選択されるいずれか1種以上の充填材を直接溶融混練することを特徴とする。
本発明によれば、フェノール樹脂と水分などを含むセルロースナノファイバーをロール混練機などにより、直接溶融混練する方法を採用するため、樹脂が溶融する高温で水分が自然蒸発し、水分を除去するための特別な装置を要することなく、安価にフェノール樹脂組成物を製造可能である。また、このようにして得られたフェノール樹脂組成物は、良好な成型加工性を有するものであり、圧縮成形のほか、トランスファ成形、射出成形等の一般的な熱成形に幅広く使用可能なものである。
更に、フェノール樹脂と水分を含むセルロースナノファイバーとを直接溶融混練することにより、セルロースナノファイバーは、繊維がせん断されることなく、樹脂中に均一に分散され、かつ比較的多量のセルロースナノファイバーを含有することが可能であるため、得られる成形品は良好な強度を有するものとなる。
本発明における、セルロースナノファーバーは、木材、麻、布、古紙などの植物由来の繊維を公知の方法により微細繊維化することにより得ることができる。
例えば、クラフト用パルプや古紙再生パルプを所定の化学処理および機械的処理を施した後、更に、媒体攪拌ミル処理、振動ミル処理、超高圧ホモジナイザー処理などにより機械的せん断力を加えて所望のナノファイバーを得ることができる。
また、前記セルロースナノファイバーは、平均直径が1〜10nmの短繊維であり、通常、固形分として5〜50重量%、残余が水を主成分とする液体からなるものである。このようなセルロースナノファイバーは、成形品の力学特性を向上させる効果が高く、補強材として特に好適である。
本発明におけるフェノール樹脂を構成しているフェノール類は、特に限定されず、アルキルフェノール(クレゾール、キシレノールなど)、多価フェノール類(レゾルシンなど)、フェニルフェノール、アミノフェノールなどが挙げられる。また、アルデヒド類は、特に限定されず、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどが挙げられる。
また、フェノール樹脂としては、フェノール類とアルデヒド類をアルカリ触媒下で反応させたレゾール型、酸触媒下で反応させたノボラック型のいずれでもよい。
また、本発明における充填材としては、木粉、ガラス、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、タルク、ウォラスナイト、二硫化モリブデン、グラファイト、ナットシェル粉末などが好適に使用される。中でも、木粉、ガラス、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、タルクは、コストの点から好適である。これらの充填材は、1種もしくは2種以上添加することが可能である。また、前記ガラスには、ガラスビーズ、ガラス繊維、ガラス中空球などが含まれ、ミルドガラス繊維が好適に使用される。
また、添加量としては、充填材全体として、前記フェノール樹脂100重量部に対して0〜100重量部添加することが好ましい。100重量部より多いと充填材に対するフェノール樹脂の濡れ性が十分に確保できず、組成物の強度が低下するほか、成形時の樹脂組成物の溶融粘度が過剰に高くなり、成形性を著しく低下させる。
本発明におけるフェノール樹脂組成物は、セルロースナノファイバーと水とを主成分とする混合物、およびフェノール樹脂を直接溶融混練することにより製造することが可能である。
本発明における、直接溶融混練するとは、含水状態のセルロースナノファイバーを前処理することなく、フェノール樹脂にそのまま添加し、溶融混練することを意味する。従って、本発明によれば、セルロースナノファイバーとフェノール樹脂の予備混合、セルロースナノファイバーの水分調整、予備乾燥、などの工程が不要となる
具体的には、以下のような工程を経て、本発明のフェノール樹脂組成物を製造することができる。溶剤を含まず、かつ固形分90重量%以上であるノボラック型フェノール樹脂をロール混練機の2本ロール部に投入する。この際、前ロールの温度を70〜90℃、後ロールの温度を80〜100℃に設定する。ここで、溶剤を含まず、かつ固形分90重量%以上であるノボラック型フェノール樹脂とは、硬化剤を含んでいないノボラック型フェノール樹脂を意味する。また、このようなノボラック型フェノール樹脂であれば、セルロースナノファイバーに含まれる水分を充分に蒸発・放散できるため、特に好適である。
前記フェノール樹脂が溶融した後、セルロースナノファイバーと50〜90重量%の水とからなる混合物を投入し、直接溶融混練する。
この際、添加量としては、前記フェノール樹脂100重量部に対し、前記混合物が5〜100重量部となるようにするのが好ましい。5重量部より少ないと補強効果が得られず、100重量部より多いと成形性を著しく低下させる。
続いて、混練を開始すると、2本のロール間にからみついた材料の表面から水蒸気が発生し始める。そして、混練物からの水蒸気の放出が認められなくなるまで混練を続ける。この後、ロール温度を樹脂が溶融状態を保つことができる程度にまで下げ、さらに溶融混練する。その際、前ロール温度は50℃で、後ロールの温度は60℃である。その後、セルロースナノファイバーの分散性が向上し、セルロースナノファイバーが1本1本ほぐれてフェノール樹脂マトリックス中に独立して存在するようにする。このようなセルロースナノファイバーの分散状態は、例えば光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡により確認する。
このようにロール温度を下げずに樹脂の粘度が低い状態で混練を続けた場合、セルロースナノファイバーの分散性は充分ではなく、材料中にセルロースナノファイバーの凝集塊が目視により確認できる。このような混合物はセルロースナノファイバーの補強効果が充分に発揮されずに、成形品の力学特性が低くなる。
その後、前記フェノール樹脂100重量部に対し硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを5〜15重量部添加し、さらに5分間混練し続ける。その後、ロール混練装置付属のドクターブレード等を使って混練した材料をシート状に引き出す。シート化した材料は、15〜25℃、湿度40〜65%RH)にて冷却固化させた後、粉砕機により直径1mm前後の成形用材料とすることが出来る。
前記の説明では、溶融混練をする装置として、ロール混練機を例示したが、その他大気に対してオープンな状態で直接溶融混練可能な装置であれば、前記混合物に含まれる水分を常圧下で放散除去可能であるため、どのようなものであっても本発明による製造方法を実現可能である。
また、前記粉砕機としては、ハンマーミル、カッターミル、ピンミルなどの、回転刃と固定刃を備え、回転刃が高速で回転して粉砕する方式の一般のプラスチック用粉砕機が用いられる。特に、回転式粉砕機の材料出口に一定メッシュのスクリーンを備え、粉砕物の最大粒度を所望レベル以下にそろえることができるものが好ましい。
このようにして得られた粉砕材料は、一般に用いられる成形プロセス、すなわち圧縮成形、トランスファ成形、射出成形などに好適に使用可能である。
以下に、実施例により更に詳細に本発明を説明するが、本発明は、それらの内容に制限されるものではない。
(実施例1)
ノボラック樹脂(住友べ一クライトPR HF-3)94重量%、ステアリン酸亜鉛(試薬1級、キシダ化学)1重量%、セルロースナノファイバー(セリッシュKY-100G、ダイセル化学工業)5重量%となるように混合し、二本オープンロール(8インチ熱ロール、関西ロール(株))を用いてロール温度前側80℃、後側90℃にて溶融混練した。
この際、最初にノボラック樹脂をロールに投入し、樹脂が充分溶けたところでセルロースナノファイバーを投入した。セルロースナノファイバーに含まれている水分が充分に放散し、水蒸気が発生しなくなってからロール温度を樹脂が溶融状態を保つぎりぎりまで下げ(前/後:50/60℃)、30分間混練を行った。
その後、再度、ロール温度を前/後:80/90℃に上げ、ヘキサメチレンテトラミンを投入し、前記温度で5分間混練した。混練後冷却固化した材料をトランスファ成形機で曲げテストピース(13×120×6.5mm)を成形し、170℃で2時間ポストキュアした。このテストピースを用いてJIS K7171に準拠して曲げ試験を行った。また、成形品を中央部で切断した断面を#1500耐水エメリー紙及びバフにて研磨し、光学顕微鏡を用いて500倍にて断面を観察し、セルロースナノファイバーの分散状態を確認した。この際、セルロースナノファイバーが1本ずつ分散し、凝集塊(ダマ)のない状態を「凝集塊なし」とし、セルロースナノファイバーの塊が観察され、いたる所にダマ状の白い斑点が観察される状態を「凝集塊あり」とした。この基準は以下の実施例、比較例においても同様である。
これらの評価結果を表1に示す。
(実施例2)
ノボラック樹脂(住友べ一クライトPR HF-3)79重量%、ステアリン酸亜鉛(試薬1級、キシダ化学)1重量%、セルロースナノファイバー(セリッシュKY-100G、ダイセル化学工業)20重量%となるように混合し、二本オープンロール(8インチ熱ロール、関西ロール(株))を用いてロール温度前側80℃、後側90℃にて溶融混練した。
この際、最初にノボラック樹脂をロールに投入し、樹脂が充分溶けたところでセルロースナノファイバーを投入した。セルロースナノファイバーに含まれている水分が充分に放散し、水蒸気が発生しなくなってからロール温度を樹脂が溶融状態を保つぎりぎりまで下げ(前/後:50/60℃)、30分間混練を行った。
その後、再度、ロール温度を前/後:80/90℃に上げ、ヘキサメチレンテトラミンを投入し、前記温度で5分混練した。混練後冷却固化した材料をトランスファ成形機で曲げテストピース(13×120×6.5mm)を成形し、170℃で2時間ポストキュアした。このテストピースを用いてJIS K7171に準拠して曲げ試験を行った。また、成形品を中央部で切断した断面を#1500耐水エメリー紙及びバフにて研磨し、光学顕微鏡を用いて500倍にて断面を観察し、セルロースナノファイバーの分散状態を確認した。
これらの評価結果を表1に示す。
(実施例3)
ノボラック樹脂(住友べ一クライトPR HF-3)50重量%、ステアリン酸亜鉛(試薬1級、キシダ化学)1重量%、セルロースナノファイバー(セリッシュKY-100C、ダイセル化学工業)5重量%、木粉(フェノール樹脂充填用、旭有機材)44重量%を、二本オープンロール(8インチ熱ロール、関西ロール)を用いてロール温度前側80℃、後側90℃にて溶融混練した。
この際、最初にノボラック樹脂をロールに投入し、樹脂が充分溶けたところでセルロースナノファイバーを投入した。セルロースナノファイバーに含まれている水分が充分に放散し、水蒸気が発生しなくなってからロール温度を樹脂が溶融状態を保つぎりぎりまで下げ(前/後:50/60℃)、30分間混練を行った。
その後、再度、ロール温度を前/後:80/90℃に上げ、ヘキサメチレンテトラミンを投入し、前記温度で5分混練した。混練後冷却固化した材料をトランスファ成形機で曲げテストピース(13×120×6.5mm)を成形し、170℃で2時間ポストキュアした。このテストピースを用いてJIS K7171に準拠して曲げ試験を行った。また、成形品を中央部で切断した断面を#1500耐水エメリー紙及びバフにて研磨し、光学顕微鏡を用いて500倍にて断面を観察し、セルロースナノファイバーの分散状態を確認した。
これらの評価結果を表1に示す。
(実施例4)
ノボラック樹脂(住友べ一クライトPR HF-3)50重量%、ステアリン酸亜鉛(試薬1級、キシダ化学)1重量%、セルロースナノファイバー(セリッシュKY-100G、ダイセル化学工業)10重量%、ミルドガラス繊維(直径10μm、目東紡)39重量%を、二本オープンロール(8インチ熱ロール、関西ロール(株))を用いてロール温度前側80℃、後側90℃にて溶融混練した。
この際、最初にノボラック樹脂をロールに投入し、樹脂が充分溶けたところでセルロースナノファイバーを投入した。セルロースナノファイバーに含まれている水分が充分に放散し、水蒸気が発生しなくなってからヘキサメチレンテトラミンを投入し、前記温度で5分混練した。混練後冷却固化した材料をトランスファ成形機で曲げテストピース(13×120×6.5mm)を成形し、170℃で2時間ポストキュアした。このテストピースを用いてJIS K7171に準拠して曲げ試験を行った。また、成形品を中央部で切断した断面を#1500耐水エメリー紙及びバフにて研磨し、光学顕微鏡を用いて500倍にて断面を観察し、セルロースナノファイバーの分散状態を確認した。
これらの評価結果を表1に示す。
(比較例1)
ノボラック樹脂(住友べ一クライトPR HF-3)94重量%、ステアリン酸亜鉛(試薬1級、キシダ化学)1重量%、セルロースナノファイバー(セリッシュKY−100G、ダイセル化学工業)5重量%を、ヘンシェルミキサ(三井鉱山(株)製)で混合し、二軸混練押出機(PCM-30、池貝製)を用いてバレル温度90℃にて溶融混練した。溶融混練した材料を、圧縮成形してφ100×4mm厚の板状成形品を作製し、ダイヤモンドカッターで幅10mmに切り出して、JIS K7171に準拠して曲げ試験を行った。
また、成形品を中央部で切断した断面を#1500耐水エメリー紙及びバフにて研磨し、光学顕微鏡を用いて500倍にて断面を観察し、セルロースナノファイバーの分散状態を確認した。
これらの評価結果を表1に示す。
(比較例2)
ノボラック樹脂(住友べ一クライトPR HF-3)94重量%、ステアリン酸亜鉛(試薬1級、キシダ化学)1重量%、メタノールで水分をアルコール置換したセルロースナノファイバー(セリッシュKY-100G、ダイセル化学工業)5重量%を、ヘンシェルミキサ(三井鉱山(株)製)で混合し、そのまま圧縮成形してφ100×4mm厚の板状成形品を作製し、ダイヤモンドカッターで幅10mmに切り出して、JIS K7171に準拠して曲げ試験を行った。
また、成形品を中央部で切断した断面を#1500耐水エメリー紙及びバフにて研磨し、光学顕微鏡を用いて500倍にて断面を観察し、セルロースナノファイバーの分散状態を確認した。
これらの評価結果を表1に示す。
Figure 0005207500
表1より、大気に対してオープンな、ロール混練機を用いて直接溶融混練を行った実施例1〜4においては、良好な評価結果が得られているが、大気に対してオープンではないヘンシェルミキサー、あるいはそれと二軸混練押出機を使用した比較例では、成型加工性が悪く、力学的特性も低いことがわかる。


Claims (8)

  1. 木質パルプを機械的に開繊させて得た平均直径1〜10nmの短繊維であるセルロースナノファイバーを固形分として5〜50重量%含み、残余が水である混合物、および硬化剤を含んでいないノボラック型フェノール樹脂を、ロール混練機を用いて大気に対してオープンな状態で、前記含水状態のセルロースナノファイバーを前処理することなくフェノール樹脂にそのまま添加して直接溶融混練し、フェノール樹脂中にセルロースナノファイバーを分散させるとともに、水分を蒸発・放出して常圧下で水を除去した後、硬化剤を添加し、更に混練することを特徴とするフェノール樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記ロール混練機として二本オープンロールを用い、前ロールの温度を70〜90℃、後ロールの温度を80〜100℃に設定して前記混合物とフェノール樹脂とを直接溶融混練することを特徴とする請求項1に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記フェノール樹脂をロール混練機にて溶融混練し、フェノール樹脂が溶融した後、前記混合物を投入し、溶融混練することを特徴とする請求項1または2に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記フェノール樹脂が、溶剤を含まず、かつ固形分90重量%以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフェノール樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記混合物、前記フェノール樹脂に加えて、木粉、ガラス、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、タルク、ウォラスナイト、二硫化モリブデン、グラファイト、ナットシェル粉末から選択されるいずれか1種以上の充填材を直接溶融混練することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフェノール樹脂組成物の製造方法。
  6. セルロースナノファイバーが木質パルプを機械的に開繊させて得た平均直径1〜10nmの短繊維であり、前記セルロースナノファイバーを固形分として5〜50重量%含み、残余が水である混合物と硬化剤を含んでいないノボラック型フェノール樹脂とを、ロール混練機を用いて大気に対してオープンな状態で、前記含水状態のセルロースナノファイバーを前処理することなくフェノール樹脂にそのまま添加して直接溶融混練し、フェノール樹脂中にセルロースナノファイバーを分散させるとともに、水分を蒸発・放出して常圧下で水を除去した後、硬化剤を添加し、更に混練することにより得られるフェノール樹脂組成物。
  7. 前記フェノール樹脂が、溶剤を含まず、かつ固形分90重量%以上である請求項6に記載のフェノール樹脂組成物。
  8. 前記混合物、前記フェノール樹脂に加えて、木粉、ガラス、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、タルク、ウォラスナイト、二硫化モリブデン、グラファイト、ナットシェル粉末から選択されるいずれか1種以上の充填材を直接溶融混練することを特徴とする請求項6または7に記載のフェノール樹脂組成物。
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