JP6948630B2 - 繊維材料及び繊維材料の製造方法並びに複合材料及び複合材料の製造方法 - Google Patents

繊維材料及び繊維材料の製造方法並びに複合材料及び複合材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セルロースナノファイバーを用いた繊維材料及び繊維材料の製造方法並びに複合材料及び複合材料の製造方法に関する。
近年、天然セルロース繊維をナノサイズに解繊したセルロースナノファイバーが注目されている。天然セルロース繊維は、木材などのパルプを原料とするバイオマスであって、これを有効利用することによって、環境負荷低減が期待される。
セルロースナノファイバーは、水分散液として市場に提供されているが、エラストマーや合成樹脂との複合化のための加工が困難であった。セルロースナノファイバーは、水分散液から水を除去する乾燥工程において水素結合を形成して凝集するため、複合化過程において、セルロースナノファイバーが高度に解繊された状態で存在できず、複合材料をセルロースナノファイバーによって十分に補強することができなかった。
そこで、セルロースナノファイバー水分散液とゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンとを混合する方法が提案された(特許文献1,2参照)。
しかしながら、これらの方法で製造された複合材料は、ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンの特性に影響されることがあった。また、ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンとして市場に流通していないゴムや樹脂への適用ができなかった。
特開2015−98576号公報 特開2016−29169号公報
本発明の目的は、セルロースナノファイバーを複合化するための加工性に優れた繊維材料及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、当該繊維材料を用いた複合材料及びその製造方法を提供することにある。
[適用例1]本適用例に係る繊維材料の製造方法は、
セルロースナノファイバーが水溶液中に分散されているセルロースナノファイバー分散
液に、金属塩を混合し、前記セルロースナノファイバーと前記金属塩と水系溶媒とを含む分散液を得る混合工程と、
前記混合工程で得られた前記散液から水系溶媒を除去して繊維材料を得る乾燥工程と、
を含み、
前記金属塩は、1価金属塩、2価金属塩及び3価金属塩の少なくとも1種を含む不飽和酸金属塩モノマーであり、
前記散液における前記金属塩の前記セルロースナノファイバーに対する質量比が0.1倍〜2倍であることを特徴とする。
[適用例2]
前記適用例に係る繊維材料の製造方法において、
前記金属塩は、1価金属塩及び2価金属塩の少なくとも一方を含むことができる。
[適用例3]
前記適用例に係る繊維材料の製造方法において、
前記金属塩が1価金属塩であり、
前記散液における前記1価金属塩の前記セルロースナノファイバーに対する質量比が0.2倍〜2倍であることができる。
[適用例4]
前記適用例に係る繊維材料の製造方法において、
前記金属塩が2価金属塩であり、
前記散液における前記2価金属塩の前記セルロースナノファイバーに対する質量比が0.1倍〜2倍であることができる。
[適用例5]
本適用例に係る複合材料の製造方法は、
セルロースナノファイバーが水溶液中に分散されているセルロースナノファイバー分散液に、金属塩を混合し、前記セルロースナノファイバーと前記金属塩と水系溶媒とを含む分散液を得る混合工程と、
前記混合工程で得られた前記分散液から水分が前記セルロースナノファイバーに対する質量比で0.5倍〜4倍になるまで水系溶媒を除去して繊維材料を得る乾燥工程と、
記繊維材料をエラストマーに混合して複合材料を得る混練工程と、
含み、
前記金属塩は、1価金属塩、2価金属塩及び3価金属塩の少なくとも1種を含む不飽和酸金属塩モノマーであり、
前記分散液における前記金属塩の前記セルロースナノファイバーに対する質量比が0.1倍〜2倍であり、
前記混練工程は、ロール間隔が0.1mm〜0.5mmでロール温度が0℃〜50℃に設定されたオープンロールを用いて薄通しする工程を含ことを特徴とする。
[適用例6]
本適用例に係る複合材料の製造方法は、
セルロースナノファイバーが水溶液中に分散されているセルロースナノファイバー分散液に、金属塩を混合し、前記セルロースナノファイバーと前記金属塩と水系溶媒とを含む分散液を得る混合工程と、
前記混合工程で得られた前記分散液から水分が前記セルロースナノファイバーに対する質量比で0.5倍〜4倍になるまで水系溶媒を除去して繊維材料を得る乾燥工程と、
記繊維材料を合成樹脂に混合して複合材料を得る混練工程と、
含み、
前記金属塩は、1価金属塩、2価金属塩及び3価金属塩の少なくとも1種を含む不飽和酸金属塩モノマーであり、
前記分散液における前記金属塩の前記セルロースナノファイバーに対する質量比が0.1倍〜2倍であることを特徴とする。
[適用例7]
前記適用例に係る複合材料の製造方法において、
前記合成樹脂は、熱可塑性樹脂であり、
前記混練工程は、前記熱可塑性樹脂の融点(Tm℃)付近における熱可塑性樹脂組成物の貯蔵弾性率における加工領域発現温度から当該貯蔵弾性率における平坦領域発現温度(T3℃)の1.06倍(T3℃×1.06)の温度までの範囲の混練温度で混練する工程を含むことができる。
[適用例8]
前記適用例に係る複合材料の製造方法において、
前記合成樹脂は、熱硬化性樹脂であり、
前記混練工程は、前記熱硬化性樹脂の主剤に前記繊維材料を混合し、前記主剤の軟化点より20℃低い温度から前記軟化点より10℃高い温度までの範囲の混練温度で混練した後、さらに硬化剤を混合する工程を含むことができる。
[適用例9]
前記適用例に係る複合材料の製造方法において、
前記混練工程で得られた複合材料を脱水する脱水工程をさらに含むことができる。
[適用例10]
本適用例に係る繊維材料は、
金属塩由来の金属イオンイオン結合したセルロースナノファイバーを含み、
前記金属塩は、1価金属塩、2価金属塩及び3価金属塩の少なくとも1種を含む不飽和酸金属塩モノマーである
[適用例11]
前記適用例に係る繊維材料において、
前記金属塩は、1価金属塩及び2価金属塩の少なくとも一方を含むことができる。
[適用例12]
本適用例に係る複合材料は、
前記適用例の前記繊維材料から解繊されたセルロースナノファイバーとエラストマーまたは合成樹脂とを含むことを特徴とする。
[適用例13]
前記適用例に係る複合材料において、
前記複合材料は、最大幅が50μm以上のセルロースナノファイバー凝集塊を含まないことができる。
本発明によれば、セルロースナノファイバーを複合化するための加工性に優れた繊維材料及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、当該繊維材料を用いた複合材料及びその製造方法を提供することができる。
一実施の形態に係る繊維材料の製造方法を示すフローチャートである。 一実施の形態に係る複合材料の製造方法を示すフローチャートである。 一実施の形態に係る複合材料の製造方法における混練工程を模式的に示す図である。 一実施の形態に係る複合材料の製造方法における混練工程を模式的に示す図である。 一実施の形態に係る複合材料の製造方法における混練工程を模式的に示す図である。 実施例2の複合材料の引張破断面の電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例4の複合材料の引張破断面の電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例11の複合材料の引張破断面の電子顕微鏡写真を示す図である。 比較例3の複合材料の引張破断面の電子顕微鏡写真を示す図である。 比較例6の複合材料の引張破断面の電子顕微鏡写真を示す図である。 比較例14の複合材料の引張破断面の電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例21,22の複合材料の応力−ひずみのグラフを示す図である。 実施例23の複合材料の線膨張係数−温度のグラフを示す図である。 第2温度の範囲を得るための方法を説明する実施例24のサンプルの貯蔵弾性率と温度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.繊維材料の製造方法
図1を用いて、一実施の形態に係る繊維材料の製造方法について説明する。図1は、一実施の形態に係る繊維材料の製造方法を示すフローチャートである。
図1に示すように、本実施形態に係る繊維材料の製造方法は、セルロースナノファイバーが水溶液中に分散されているセルロースナノファイバー分散液に、金属塩を混合し、セルロースナノファイバーと金属塩と水系溶媒とを含む分散液(以下、「CNF分散液」)を得る混合工程(S10)と、混合工程(S10)で得られたCNF分散液から水系溶媒を除去して繊維材料を得る乾燥工程(S12)と、を含む。ここで、CNF分散液における金属塩のセルロースナノファイバーに対する質量比が0.1倍〜2倍である。
1−1.混合工程
混合工程(S10)は、セルロースナノファイバーと金属塩と水系溶媒とを混合してCNF分散液を得る工程である。
混合工程(S10)は、原料となるセルロースナノファイバー分散液に金属塩を投入し、公知の攪拌機例えば、プロペラ式攪拌機、ロータリー式攪拌機、三本ロールなどを用いて混合することができる。セルロースナノファイバー分散液と金属塩が溶解または分散した金属塩分散液とを混合してもよい。
1−1−1.セルロースナノファイバー分散液
原料となるセルロースナノファイバー分散液は、第一工業製薬社などから市場で入手できるものを用いることができる。一般に、市場で入手できるセルロースナノファイバーは、例えば2%濃度等で水溶液中に分散されている状態で提供される。
原料となるセルロースナノファイバー分散液は、例えば天然セルロース繊維を酸化して酸化セルロース繊維を得る酸化工程と、酸化セルロース繊維を微細化処理する微細化工程と、を含む製造方法によって得ることができる。ここでは、酸化工程を用いたセルロースナノファイバー分散液の製造方法について説明するが、他の製造方法で得られたものでもよい。
まず、酸化工程は、原料となる天然セルロース繊維に対して水を加え、ミキサー等で処理して、水中に天然セルロース繊維を分散させたスラリーを調製する。
ここで、天然セルロース繊維としては、例えば、木材パルプ、綿系パルプ、バクテリアセルロース等が含まれる。より詳細には、木材パルプとしては、例えば針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ等を挙げることができ、綿系パルプとしては、コットンリンター、コットンリントなどを挙げることができ、非木材系パルプとしては、麦わらパルプ、バガスパルプ等を挙げることができる。天然セルロース繊維は、これらの少なくとも1種以上を用いることができる。
天然セルロース繊維は、セルロースミクロフィブリル束とその間を埋めているリグニン及びヘミセルロースから構成された構造を有する。すなわち、セルロースミクロフィブリル及び/又はセルロースミクロフィブリル束の周囲をヘミセルロースが覆い、さらにこれをリグニンが覆った構造を有していると推測される。リグニンによってセルロースミクロフィブリル及び/又はセルロースミクロフィブリル束間は、強固に接着しており、植物繊維を形成している。そのため、植物繊維中のリグニンはあらかじめ除去されていることが、植物繊維中のセルロース繊維の凝集を防ぐことができるという点で好ましい。具体的には、植物繊維含有材料中のリグニン含有量は、通常40質量%程度以下、好ましくは10質量%程度以下である。また、リグニンの除去率の下限は、特に限定されるものではなく、0質量%に近いほど好ましい。なお、リグニン含有量の測定は、Klason法により測定することができる。
セルロースミクロフィブリルとしては、幅4nm程のセルロースミクロフィブリルが最小単位として存在し、これをシングルセルロースナノファイバーと呼ぶことができる。本発明において、「セルロースナノファイバー」とは、天然セルロース繊維及び/又は酸化セルロース繊維をナノサイズレベルまで解きほぐしたものであり、特に繊維径の平均値が1nm〜200nmであることができ、さらに1nm〜150nmであることができ、特
に1nm〜100nmのセルロースミクロフィブリル及び/又はセルロースミクロフィブリル束であることができる。すなわち、セルロースナノファイバーは、シングルセルロースナノファイバー単体、またはシングルセルロースナノファイバーが複数本集まった束を含むことができる。
セルロースナノファイバーのアスペクト比(繊維長/繊維径)は、平均値で、10〜1000であることができ、さらに10〜500であることができ、特に100〜350であることができる。
なお、セルロースナノファイバーの繊維径及び繊維長の平均値は、電子顕微鏡の視野内のセルロースナノファイバーの少なくとも50本以上について測定した算術平均値である。
次に、酸化工程として、水中においてN−オキシル化合物を酸化触媒として天然セルロース繊維を酸化処理して酸化セルロース繊維を得る。セルロースの酸化触媒として使用可能なN−オキシル化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(以下、TEMPOとも表記する)、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4−フォスフォノオキシ−TEMPO等を用いることができる。
酸化工程後、例えば水洗とろ過を繰り返す精製工程を実施し、未反応の酸化剤や各種副生成物等の、スラリー中に含まれる酸化セルロース繊維以外の不純物を除去することができる。酸化セルロース繊維を含む溶媒は、例えば水に含浸させた状態であり、この段階では酸化セルロース繊維はセルロースナノファイバーの単位まで解繊されていない。溶媒は、水を用いることができるが、例えば、水以外にも目的に応じて水に可溶な有機溶媒(アルコール類、エーテル類、ケトン類等)を使用することができる。
酸化セルロース繊維は、セルロースナノファイバーの水酸基の一部がカルボキシル基を有する置換基で変性され、カルボキシル基を有する。酸化セルロース繊維は、繊維径の平均値が10μm〜30μmであることができる。なお、酸化セルロース繊維の繊維径の平均値は、電子顕微鏡の視野内の酸化セルロース繊維の少なくとも50本以上について測定した算術平均値である。酸化セルロース繊維は、セルロースミクロフィブリルの束であることができる。酸化セルロース繊維は微細化工程においてセルロースナノファイバーに解繊することができる。
微細化工程は、酸化セルロース繊維を水等の溶媒中で撹拌処理することができ、セルロースナノファイバーを得ることができる。
微細化工程において、分散媒としての溶媒を水とすることができる。また、水以外の溶媒として、水に可溶な有機溶媒、例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類等を単独でまたは組み合わせて使用することができる。
微細化工程における撹拌処理は、例えば、離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等を用いることができる。
また、微細化処理における酸化セルロース繊維を含む溶媒の固形分濃度は、例えば50質量%以下とすることができる。この固形分濃度が50質量%を超えると、分散に高いエネルギーを必要とすることになる。
微細化工程によってセルロースナノファイバーを含むセルロースナノファイバー分散液を得ることができる。セルロースナノファイバー分散液は、無色透明又は半透明な懸濁液であることができる。懸濁液には、表面酸化されると共に解繊されて微細化した繊維であるセルロースナノファイバーが水中に分散されている。すなわち、この分散液においては、ミクロフィブリル間の強い凝集力(表面間の水素結合)を、酸化工程によるカルボキシル基の導入によって弱め、更に微細化工程を経ることで、セルロースナノファイバーが得られる。そして、酸化工程の条件を調整することにより、カルボキシル基含有量、極性、平均繊維径、平均繊維長、平均アスペクト比等を制御することができる。
このようにして得られたセルロースナノファイバー分散液は、セルロースナノファイバーを0.1質量%〜10質量%含むことができる。また、例えば、セルロースナノファイバーの固形分1質量%に希釈した分散液であることができる。さらに、分散液は、光透過率が40%以上であることができ、さらに光透過率が60%以上であることができ、特に80%以上であることができる。分散液の透過率は、紫外可視分光硬度計を用いて、波長660nmでの透過率として測定することができる。
1−1−2.金属塩
金属塩は、セルロースナノファイバー分散液と混合されることで金属イオンがセルロースナノファイバーとイオン結合することができる。金属塩は、1価金属塩、2価金属塩及び3価金属塩の少なくとも1種を含む不飽和酸金属塩モノマーである。金属塩としては、1価金属塩及び2価金属塩が好ましい。1価金属塩としては、ナトリウム、カリウム、銀を含む塩であり、例えば、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウムなどの不飽和酸金属塩モノマーを挙げることができる。2価金属塩としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、銅、鉄、鉛、ニッケル、マンガン、スズなどを含む塩であり、例えば、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸カルシウム、メタクリル酸亜鉛、メタクリル酸マグネシウム、メタクリル酸カルシウムなどの不飽和酸金属塩モノマーを挙げることができる。3価金属塩としては、例えば、メタクリル酸ネオジムなどを挙げることができる。金属塩は、水溶性であっても、非水溶性であってもよい。
CNF分散液における金属塩のセルロースナノファイバーに対する質量比が0.1倍〜2倍である。金属塩がセルロースナノファイバーに対する質量比で0.1倍未満であると、後述する混練工程における加工性が低下する。すなわち、混練工程でセルロースナノファイバーの凝集塊を解繊させることが困難になる。また、金属塩がセルロースナノファイバーに対する質量比で2倍を超えると、繊維材料の段階でセルロースナノファイバーと結合しなかった金属塩が析出する。析出した金属塩は、後述する混練工程でエラストマー等の物性に影響を与える可能性がある。金属塩は、さらにセルロースナノファイバーに対する質量比が0.2倍〜1.5倍であることができる。
金属塩が1価金属塩である場合には、CNF分散液における1価金属塩のセルロースナノファイバーに対する質量比が0.2倍〜2倍であることができ、さらに0.5倍〜1.5倍であることができる。金属塩が2価金属塩である場合には、CNF分散液における2価金属塩のセルロースナノファイバーに対する質量比が0.1倍〜2倍であることができ、さらに0.2倍〜1.5倍であることができる。実験の結果、1価金属塩または2価金属塩とセルロースナノファイバーとの配合量により後述する混練工程における加工性に影響があると推測できる。
水系溶媒としては、水または水溶性成分を含有する水溶液であってもよい。
1−1−3.CNF分散液
CNF分散液は、セルロースナノファイバーと金属塩と水系溶媒とが混合されたものであり、水溶性の金属塩はイオン化して金属イオンがセルロースナノファイバーに結合し、非水溶性の金属塩も金属イオンがセルロースナノファイバーと結合すると考えられる。CNF分散液は、金属塩を含んでいない原料としてのセルロースナノファイバー分散液と区別するために「CNF分散液」と表記する。金属イオンは、セルロースナノファイバーのカルボキシ基とイオン結合しているNaと置換してイオン結合している。CNF分散液中において水溶性の金属イオンは複数の金属イオンが寄り集ってイオンクラスターを形成していると考えられる。そして、そのイオンクラスターにセルロースナノファイバーが結合していると考えられる。また、非水溶性の金属塩を用いても複合材料の物性が水溶性の金属塩と同様に向上していることから、金属イオンがイオンクラスターを形成し、そのイオンクラスターにセルロースナノファイバーが結合していると考えられる。イオンクラスターの大きさは、数十nm〜数百nmである。
水溶性の金属イオンは、CNF分散液中において解繊された状態のセルロースナノファイバーに結合して全体に分散している。非水溶性の金属イオンは、解繊された状態のセルロースナノファイバーに結合しているが、CNF分散液の水系溶媒の一部が分離した状態でCNF分散液中に分散している。
1−2.乾燥工程
乾燥工程(S12)は、混合工程(S10)で得られたCNF分散液から水系溶媒を除去して繊維材料を得る工程である。CNF分散液から水系溶媒を除去する方法は、公知の方法を用いることができ、例えば加熱によって乾燥してもよい。
例えば、CNF分散液を容器(バット等)に流し込み、その容器をオーブンに入れて30℃〜100℃で水系溶媒を蒸発させる。繊維材料を後述する複合材料の製造方法で用いる場合には、繊維材料に所定量の水分を含んだ状態まで乾燥させて、膨潤繊維材料としてもよい。膨潤繊維材料については、後述する膨潤工程で説明する。
1−3.繊維材料
乾燥工程で得られた繊維材料は、金属塩由来の金属イオンイオン結合したセルロースナノファイバーを含む。
繊維材料は、混練工程における加工性を考慮して粉末状に粉砕することができる。
水系溶媒が除去されたことにより、繊維材料中のセルロースナノファイバーは再びセルロースナノファイバー表面で水素結合が形成されるため、再凝集して例えばシート状の固形物となる。繊維材料をこのままエラストマーなどに混合してもセルロースナノファイバーに解繊されることはなく、粉砕された固形物がエラストマーに分散されるだけである。
繊維材料をエラストマー等に混合して、ナノサイズの繊維であるセルロースナノファイバーの補強等の効果を得るためには、CNF分散液中と同様にセルロースナノファイバーが一本一本にほぐれた状態で複合材料中に分散させる必要がある。
2.複合材料の製造方法
図2を用いて、一実施の形態に係る複合材料の製造方法について説明する。図2は、一実施の形態に係る複合材料の製造方法を示すフローチャートである。
本実施形態に係る複合材料の製造方法は、膨潤繊維材料を、エラストマーまたは合成樹脂に混合して複合材料を得る混練工程(S16)をさらに含む。混練工程(S16)に用いる膨潤繊維材料は、乾燥工程(S12)で得られた繊維材料が所定量の水分を含む膨潤
繊維材料であってもよい。また、例えば、図2に示すように、複合材料の製造方法は、繊維材料を水で膨潤させる膨潤工程(S14)と、膨潤した膨潤繊維材料とエラストマーまたは合成樹脂とを混合して複合材料を得る混練工程(S16)と、複合材料から水分を除去する脱水工程(S18)と、を含むことができる。
2−1.膨潤工程
膨潤工程(S14)は、繊維材料を水で膨潤させる工程である。
繊維材料に所定量の水を含ませることにより、繊維材料中で強固に結合したセルロースナノファイバー同士の剥離性を向上させる。繊維材料に吸収された水によってセルロースナノファイバーに結合した金属が再びイオン化し、セルロースナノファイバー同士の水素結合及び金属イオンクラスターとのイオン結合を弱めると考えられる。
膨潤工程(S14)は、繊維材料と所定量の水を密閉容器に入れ、所定時間加熱して保持する。例えば、70℃で1時間程度である。密閉容器内で飽和水蒸気となった水が繊維材料に吸収され、繊維材料が膨潤する。密閉容器はガラス容器を用いることができ、また、オートクレーブ用の装置を用いることができる。
膨潤工程(S14)において繊維材料に含ませる所定量の水は、繊維材料に含まれるセルロースナノファイバーに対する質量比で0.5倍〜4倍であることができる。水のセルロースナノファイバーに対する質量比が0.5倍未満であると、混練工程(S16)における加工性が低下する。水のセルロースナノファイバーに対する質量比が4倍を超えると、エラストマー等に対して混ざりにくくなり、加工時間が長くなる。膨潤工程(S14)において繊維材料に含ませる所定量の水は、さらにセルロースナノファイバーに対する質量比が1倍〜3.5倍であることができ、特にセルロースナノファイバーに対する質量比が1倍〜3倍であることができる。
膨潤工程(S14)は、混練工程における加工性及び解繊性を向上させるためのものである。そのため、膨潤工程(S14)を経なくても混練工程に用いる際の繊維材料が所定量の水を含んでいればよく、例えば、乾燥工程(S12)において所定の水分量になるまで水を除去してもよい。所定量の水を含む繊維材料は、膨潤繊維材料という。膨潤繊維材料における所定量の水は、乾燥工程(S14)で膨潤繊維材料を得る場合であっても、膨潤工程(S14)で得られた膨潤繊維材料に含まれる水の量と同じである。
2−2.混練工程
混練工程(S16)は、複合材料のマトリクスとなる材料によって条件が異なる。エラストマー、合成樹脂として熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂についてそれぞれ説明する。
2−2−1.エラストマーを用いた混練工程
図3〜図5を用いて、繊維材料をエラストマーと混練する混練工程(S16)について説明する。図3〜図5は、一実施の形態に係る複合材料の製造方法を模式的に示す図である。混練工程(S16)は、ロール間隔が0.1mm〜0.5mmでロール温度が0℃〜50℃に設定されたオープンロールを用いて薄通しする薄通し工程を含むことを特徴とする。
まず、薄通し工程の前に、図3に示すように、第1のロール10に巻き付けられたエラストマー30の素練りを行なうことができ、エラストマー30の分子鎖を適度に切断してフリーラジカルを生成する。素練りによって生成されたエラストマー30のフリーラジカルがセルロースナノファイバーと結びつきやすい状態となる。エラストマー30としては、天然ゴム、合成ゴム及び熱可塑性エラストマーを用いることができる。
次に、図4に示すように、第1のロール10に巻き付けられたエラストマー30のバンク34に、膨潤繊維材料80を徐々に投入し、混練して中間混合物を得る工程を行うことができる。ここで膨潤繊維材料80はセルロースナノファイバーの他に、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤、受酸剤などを含むことができる。これらのセルロースナノファイバー以外の配合剤は、混合の過程の適切な時期にエラストマー30に投入することができる。
図3及び図4の中間混合物を得る工程については、オープンロール法に限定されず、例えば密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。
さらに、図5に示すように、薄通し工程を行うことができる。薄通し工程は、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール2を用いて、0℃〜50℃で薄通しを行って未架橋の複合材料50を得る工程を行うことができる。この工程では、第1のロール10と第2のロール20とのロール間隔dを、例えば0.5mm以下、より好ましくは0.1mm〜0.5mmの間隔に設定し、図2で得られた中間混合物36をオープンロール2に投入して薄通しを1回〜複数回行なうことができる。薄通しの回数は、例えば1回〜10回程度行なうことができる。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、薄通しにおける両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05〜3.00であることができ、さらに1.05〜1.2であることができる。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。
このように狭いロール間から押し出された複合材料50は、エラストマーの弾性による復元力で図5のように大きく変形し、その際にエラストマーと共にセルロースナノファイバーが大きく移動する。薄通しして得られた複合材料50は、ロールで圧延されて所定厚さ、例えば100μm〜500μmのシート状に分出しされる。
この薄通し工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、ロール温度を例えば0℃〜50℃に設定して行うことができ、さらに5℃〜30℃の比較的低い温度に設定して行うことができる。複合材料50の実測温度も0℃〜50℃に調整されることができ、さらに5℃〜30℃に調整されることができる。
このような温度範囲に調整することによって、エラストマーの弾性を利用してセルロースナノファイバーを解繊し、解繊されたセルロースナノファイバーを複合材料50中に分散することができる。
この薄通し工程における高い剪断力により、エラストマーに高い剪断力が作用し、膨潤繊維材料中のセルロースナノファイバーがエラストマーの分子に1本ずつ引き抜かれるように相互に分離し、エラストマー中に分散される。繊維材料の膨潤によってセルロースナノファイバーに結合した金属がイオン化し、セルロースナノファイバー同士の結合力を弱めているからである。特に、エラストマーは、弾性と、粘性と、を有するため、セルロースナノファイバーを解繊し、分散することができる。そして、セルロースナノファイバーの分散性および分散安定性(セルロースナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れた複合材料50を得ることができる。
より具体的には、オープンロールでエラストマーとセルロースナノファイバーとを混合すると、粘性を有するエラストマーがセルロースナノファイバーの相互に侵入する。セルロースナノファイバーの表面が例えば酸化処理によって適度に活性が高いと、特にエラストマーの分子と結合し易くできる。次に、エラストマーに強い剪断力が作用すると、エラストマーの分子の移動に伴ってセルロースナノファイバーも移動し、さらに剪断後の弾性
によるエラストマーの復元力によって、凝集していたセルロースナノファイバーが分離されて、エラストマー中に分散されることになる。特に、オープンロール法は、ロール温度の管理だけでなく、混合物の実際の温度を測定し管理することができるため、好ましい。
次に、合成樹脂を用いた場合の複合材料の製造方法について説明する。
2−2−2.熱可塑性樹脂を用いた混練工程
合成樹脂として熱可塑性樹脂を用いた混練工程について説明する。混練工程は、熱可塑性樹脂の融点(Tm℃)付近における熱可塑性樹脂組成物の貯蔵弾性率における加工領域発現温度から当該貯蔵弾性率における平坦領域発現温度(T3℃)の1.06倍(T3℃×1.06)の温度までの範囲の混練温度で混練する工程を含むことができる。
混練工程は、熱可塑性樹脂を溶融して成形加工するための装置、例えば、オープンロール、密閉式混練機、押出機、射出成形機などを用いることができる。例えば、コニカル型スクリュウを有する押出成形機や、図3〜図5に示すようなオープンロール2を用いて行うことができる。
混練工程は、例えば、熱可塑性樹脂と膨潤繊維材料とを第1温度で混練して第1の混合物を得る第1温度混合工程と、第1の混合物を第2温度に温度調節する低温化工程と、前記第1の混合物を前記第2温度で混練する低温混練工程と、を含むことができる。第1温度は、第2温度より高い温度であり、第2温度は、熱可塑性樹脂の融点(Tm℃)付近における複合材料の貯蔵弾性率における加工領域発現温度から当該貯蔵弾性率における平坦領域発現温度(T3℃)の1.06倍(T3℃×1.06)の温度までの範囲である。
2−2−2−1.第1温度混合工程
第1温度混合工程は、熱可塑性樹脂と膨潤繊維材料とを第1温度で混練して第1の混合物を得る。
第1温度混合工程は、熱可塑性樹脂に予定した配合量の膨潤繊維材料を投入し終わるまでの工程であり、好ましくは、作業者が目視してセルロースナノファイバーが熱可塑性樹脂の全体に混合されたことを認識するまでの工程であることができる。前述したエラストマーの場合と同様に図3及び図4のように実施することができる。
第1温度は、熱可塑性樹脂の融点(Tm)より高い温度である。第1温度は、第2温度より高い温度である。第1温度は、熱可塑性樹脂の融点(Tm)より25℃以上高い温度であることができる。第1温度は、熱可塑性樹脂の融点(Tm)より25℃以上70℃以下高い温度であることができ、融点(Tm)より25℃以上60℃以下高い温度であることができる。第1温度は、第1温度混合工程中の熱可塑性樹脂の実際の温度であり、加工装置の温度ではない。熱可塑性樹脂の成形加工温度は、一般的に、加工装置の例えば押出機や射出成形機であれば加熱筒の設定温度で表わされるが、通常、混練時のせん断発熱によって加工装置の設定温度よりも実際の樹脂の温度は高温になる。第1温度は加工中の温度であるため、できるだけ実際の樹脂の表面温度を測定することが望ましいが、測定できない場合は加工装置から第1の混合物を取り出した直後の樹脂の表面温度を測定してその温度とすることができる。第1温度は、樹脂を加工装置に投入した直後の温度ではなく、膨潤繊維材料を投入し終わって混合しているときの温度である。
本発明において「融点(Tm)」は、示差走査熱量測定(DSC)を用いてJIS K7121に準拠して測定した融解ピーク値をいう。
第1温度混合工程で得られた第1の混合物中におけるセルロースナノファイバーは、原
料と同じ凝集体のまま全体に分散して存在する。したがって、第1の混合物は、その材料中に欠陥を有することになり、例えば引張試験などを行うと、原料の熱可塑性樹脂単体のときよりも切断時伸びが著しく低下する。
2−2−2−2.低温化工程
低温化工程は、第1の混合物を第2温度に温度調節する。
ここで第2温度について説明する。
第1温度混合工程における一般的な加工設定温度すなわち加工装置の設定温度は、熱可塑性樹脂を短時間で十分に溶融させ、迅速に加工するために、熱可塑性樹脂の加工設定温度として推奨されている温度よりも高い温度である。したがって、熱可塑性樹脂は、その融点付近で加工は行なわない。加工時の熱可塑性樹脂の表面温度は、そのような加工設定温度よりも高くなることは前述のとおりである。
特に、熱可塑性樹脂にセルロースナノファイバーのような充填剤が配合されている場合には、その加工設定温度は一般的な加工設定温度よりもさらに高い温度で加工を行うことになるのが通常である。また、セルロースナノファイバーの配合量が増えると剪断による発熱によって、第1温度混合工程における第1の混合物の温度が急激に上昇する。
したがって、低温混練工程を実施するためには、第1の混合物の温度を下げる必要がある。混練を行うと第1の混合物の温度は上昇するので、混練を続けながら温度を下げることが困難な場合がある。そのため、低温化工程は、混練後、混練機を所定時間停止し、または混練機から第1混合物を取り出して、第2温度まで放冷することができる。また、第1の混合物を扇風機、スポットクーラー、チラー等の冷却機構などを備えた冷却装置を用いて積極的に冷却することができる。積極的に冷却することで加工時間を短縮することができる。
第2温度は、この製造方法に用いる熱可塑性樹脂の融点(Tm℃)付近における複合材料の貯蔵弾性率における加工領域発現温度から当該貯蔵弾性率における平坦領域発現温度(T3℃)の1.06倍(T3℃×1.06)の温度までの範囲である。
発明者等の研究により、複合材料について、動的粘弾性試験(以下、DMA試験という。)を行うと、原料の熱可塑性樹脂とは異なる挙動を示すことがわかった。原料の熱可塑性樹脂は、融点(Tm)付近で貯蔵弾性率(E’)が急激に低下し、流動する。しかし、セルロースナノファイバーを混合した複合材料は、所定量以上のセルロースナノファイバーを分散させることにより、融点を超えても貯蔵弾性率(E’)がほとんど低下しない平坦領域、すなわちエラストマーのようなゴム弾性領域が発現することがわかった。
低温混練工程は、融点付近の温度からこの平坦領域の一部までを利用して、凝集しているセルロースナノファイバーをほぐすように解繊して、熱可塑性樹脂中に分散させるものである。第2温度の範囲を設定するためには、その配合の複合材料のサンプルについてあらかじめDMA試験を行う必要がある。具体的には以下のとおりである。
まず、所定の配合で前記2−2−2−1の第1温度混合工程を実施して第1の混合物を得る。次に、第1の混合物に対し、マトリクスとなる熱可塑性樹脂の融点付近の温度(例えば融点の+10〜+20℃の加工できる範囲)を混練温度として後述する低温混練工程と同様の工程を実施して複合材料サンプルを得る。このサンプルにおいてセルロースナノファイバー等は解繊されて分散していることが望ましいが、解繊が不十分であっても変曲点や平坦領域発現温度付近で明らかな特性の変化が確認できる。この複合材料サンプルに
ついてDMA試験を行い、貯蔵弾性率(E’)と温度(℃)との関係をグラフ化して平坦領域が確認されればこのDMA試験結果を用いる。又、この複合材料サンプルでは平坦領域が確認できなければ、変曲点と思われる温度付近を第2温度として上記方法で複合材料サンプルを新たに得て、DMA試験を行って同様にグラフ化する。このような作業を平坦領域が明確に発現するまで繰り返す。
このようにして得られた混練温度を用いて作製された後述する実施例24の複合材料サンプルのDMA試験結果を用いて、低温混練工程における混練温度(第2温度)の設定方法について説明する。図14は、実施例24のサンプルにおけるDMA測定結果(貯蔵弾性率E’の温度依存性)を示すグラフである。図14において、横軸は温度(℃)であり、左側の縦軸は貯蔵弾性率(E’)の対数の値(log(E’))であり、log(E’)のグラフは実線で示した。図14において、右側の縦軸は貯蔵弾性率(E’)の対数の値(log(E’))の微分値(d(log(E’))/dT)であり、d(log(E’))/dTのグラフは破線で示した。
実施例24の熱可塑性樹脂は融点が115℃の直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)であり、log(E’)のグラフは121.5℃に変曲点P1を有する。変曲点P1は、d(log(E’))/dTのグラフに明確に現れる。変曲点はセルロースナノファイバーの配合量を変えることによりわずかに異なる温度で現れる。又、変曲点P1は熱可塑性樹脂の融点によっても異なる。
次に、図14のlog(E’)のグラフから貯蔵弾性率(E’)における「加工領域発現温度T2」を求める。log(E’)のグラフは、78℃以下ではグラフの傾きが一定であり、融点(Tm)である115℃付近で貯蔵弾性率(E’)が急激に低下し流動が始まる。セルロースナノファイバーが配合されていない熱可塑性樹脂単体では流動し始めるとそのまま貯蔵弾性率(E’)が低下し続けて流動するが、複合材料ではlog(E’)のグラフの急激な低下が停止して平坦領域となって流動しない。流動が始まる前の融点未満の領域における傾きが一定の第1の領域W1は、d(log(E’))/dTのグラフに明確に現れ、62℃〜78℃の範囲であることがわかる。第1の領域W1におけるlog(E’)のグラフの外挿接線L2と、変曲点P1におけるlog(E’)のグラフの接線L1との第1の交点P2における温度が加工領域発現温度T2(108℃)である。加工領域発現温度T2は、低温混練工程における混練加工が可能となる下限の温度である。
さらに、図14のlog(E’)のグラフから貯蔵弾性率(E’)における「平坦領域(ゴム弾性領域)発現温度T3」を求める。図14では、128℃〜142℃の範囲で傾きが一定である。融点を超えた温度でlog(E’)のグラフの急激な低下が終わったところから始まる傾きが一定の第2の領域W2は、d(log(E’))/dTのグラフに明確に現れる。第2の領域W2におけるlog(E’)のグラフの外挿接線L3と、変曲点P1におけるlog(E’)のグラフの接線L1との第2の交点P3の温度が平坦領域発現温度T3である。
なお、傾きが一定である領域(W1,W2)は、log(E’)のグラフの傾きが一定になる領域が少なくとも10℃以上の温度範囲で存在するものとする。平坦領域は、第2の領域W2である。
こうして得られた変曲点P1の温度T1より高い温度であって、かつ複合材料サンプルの粘度が低くなって流れ出さない程度の温度、例えば平坦領域発現温度T3(図14では125℃)の1.06倍(T3℃×1.06)の温度T4(図14では132.5℃)を混練温度の上限とする。平坦領域発現温度T3の1.06倍(T3℃×1.06)の温度T4までであれば、あらゆる熱可塑性樹脂でセルロースナノファイバーの凝集塊を解繊す
ることができると考えられる。
加工領域発現温度T2から平坦領域発現温度T3の1.06倍(T3℃×1.06)の温度T4までの温度範囲であれば、第2の混合物は適度な弾性と適度な粘性とを有しているため、加工が可能であって、かつ、セルロースナノファイバーを解繊することができる。本発明者等の研究により、融点が高くなるにつれてT3からT4までの温度幅が広くなる傾向がわかっている。
低温混練工程の混練温度の下限は、変曲点P1における変曲点温度T1以上としてもよい。第2の混合物の加工がより容易になるからである。なお、セルロースナノファイバーの配合量を変えることにより、温度T2及び温度T4はわずかに異なる温度となる。
本発明者らの研究によって、変曲点温度T1よりわずかに低い温度から平坦領域発現温度T3の1.06倍(T3℃×1.06)の温度T4までの範囲を混練温度として低温混練工程を実施することで、凝集しているセルロースナノファイバーをほぐすように解繊して、熱可塑性樹脂中に分散させることができることを確信するに至った。
第2温度は、熱可塑性樹脂の加工温度として採用されない比較的低い温度であり、特に、第2の混合物の加工温度としてはこれまで採用されなかった低い温度範囲となる。
第2温度まで温度が下がった第1の混合物は、例えば、第2温度に設定されたオーブン内に入れ、第2温度の範囲で所定温度に維持することができる。混練機から取り出された第1の混合物は降温が進行するので、加工品質の安定化のためである。
また、第1の混合物として市販のセルロースナノファイバーが入ったペレットを用いる場合には、第1温度混合工程と低温化工程との間に再加熱工程が必要となる。再加熱工程は、熱可塑性樹脂の溶融温度以上に加熱することにより行うことができる。
2−2−2−3.低温混練工程
低温混練工程は、第1の混合物を第2温度で混練する。
第1の混合物としては、前記2−2−2−1の第1温度混合工程によって得られたものを用いることができる。
この工程では、例えば、ロール温度以外の条件をエラストマーを用いた図5と同様に、第1のロール10と第2のロール20とのロール間隔dを、例えば0.5mm以下、より好ましくは0mm〜0.5mmの間隔に設定し、第1温度混合工程で得られた第1の混合物をオープンロール2に投入して混練を行なうことができる。
このように狭いロール間から押し出された第1の混合物は、第2温度が適度な弾性を有し、かつ、適度な粘性を有している温度範囲であることから、熱可塑性樹脂の弾性による復元力で大きく変形し、その際の熱可塑性樹脂の変形と共にセルロースナノファイバーが大きく移動することができる。
第2温度は、低温混練工程における第1の混合物の表面温度であり、加工装置の設定温度ではない。第1温度でも説明したように、第2温度もできるだけ実際の樹脂の表面温度を測定することが望ましいが、測定できない場合は加工装置から複合材料を取り出した直後の樹脂の表面温度を測定してその温度から加工中の第2温度とすることができる。
オープンロール2の場合は、非接触温度計を用いて表面温度を測定することができ、非
接触温度計40の配置は、ニップを通過した直後の位置以外であればよく、好ましくは第1のロール10の上方である。ニップを通過した直後は、第1の混合物の温度が急激に変化する不安定な温度であるため、避けた方が望ましい。
また、密閉式混練機や押出機などのように、低温混練工程における第1の混合物の表面温度を測定することができない場合には、混練した後装置から取り出した直後の複合材料の表面温度を測定し、第2温度の範囲内にあることを確認することができる。
低温混練工程は、第2温度において、例えば4分間〜20分間であることができ、さらに5分間〜12分間であることができる。第2温度での混練時間を十分にとることによって、セルロースナノファイバーの解繊をより確実に実施することができる。
第1の混合物は、セルロースナノファイバーが配合されたことによって加工性が低下しており、これを混練することによるせん断発熱によって、第1の混合物の温度は装置の設定温度よりもさらに高くなる。そのため、低温混練工程に適した第2温度範囲に第1の混合物の表面温度を維持するために、オープンロールであればロールの温度を調節して第1の混合物の温度が高くならないように、積極的に冷やすように温度調節しなければならない。これは密閉式混練機、押出機または射出成形機などにおいても同様であり、装置の加工設定温度を積極的に冷やすように調節することで第1の混合物の表面温度を第2温度範囲に一定時間維持することができる。例えば、押出機においては材料を供給する付近においては加熱筒の設定温度を一般的な加工温度よりも高い温度に設定し、他のゾーンを第2温度よりも低温に設定し、加工中の樹脂の表面温度が第2温度になるように調節することができる。
低温混練工程によって得られた複合材料は、例えば、金型内に投入されてプレス加工することができ、あるいは、例えば、さらに押出機を用いてペレットに加工するなどして、公知の熱可塑性樹脂の加工方法を用いて所望の形状に成形することができる。
低温混練工程において得られた剪断力により、熱可塑性樹脂に高い剪断力が作用し、凝集していたセルロースナノファイバーが熱可塑性樹脂の分子に1本ずつ引き抜かれるように相互に分離し、解繊され、熱可塑性樹脂中に分散される。繊維材料の膨潤によってセルロースナノファイバーに結合した金属がイオン化し、セルロースナノファイバー同士の結合力を弱めているからである。特に、熱可塑性樹脂は、第2温度範囲における弾性と、粘性と、を有するため、セルロースナノファイバーを解繊し、分散することができる。そして、セルロースナノファイバーの分散性および分散安定性(セルロースナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れた複合材料を得ることができる。
2−2−3.熱硬化性樹脂を用いた混練工程
合成樹脂として熱硬化性樹脂を用いた混練工程について説明する。ここでは熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂などの主剤および硬化剤を用いた2液混合型の樹脂について説明するがこれに限定するものでない。
混練工程は、熱硬化性樹脂の主剤に膨潤繊維材料を混合し、主剤の軟化点より20℃低い温度から軟化点より10℃高い温度までの範囲の混練温度で混練した後、さらに硬化剤を混合する工程を含むことができる。主剤の軟化点付近の温度であれば、完全に液体状になっておらず、試験結果によれば軟化点より20℃低い温度から軟化点より10℃高い温度までの範囲の混練温度において適度な弾性及び粘性を有することができる。
エポキシ樹脂の場合は、主剤として例えばビスフェノールA型などの室温では固形でありかつ軟化点100℃以下のものを用いることができる。主剤の軟化点は、環球法により求めることができる。環球法は、例えば、JIS K 7234に規定される軟化点試験方法を用いることができる。また、エポキシ樹脂の硬化剤として例えばアミン系、アミド
アミン系など室温で液状のものを用いることができる。熱硬化性樹脂の主剤に混合する繊維材料は、膨潤繊維材料であることができる。
フェノール樹脂の場合は、主剤として例えばノボラック樹脂を用いることができ、硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等を用いることができる。主剤の軟化点は、環球法により求めることができる。
室温では固形でありかつ軟化点が100℃以下の主剤であれば、混練加工性に優れ、特に、混練時にせん断力を与えることで主剤の弾性による復元力を利用して加工しやすい。
混練工程は、例えば、オープンロール、密閉式混練機、押出機などを用いることができる。例えば、図3〜図5に示すようなオープンロール2を用いて行うことができる。
基本的な手順はエラストマーの場合と同様であるが、ここでは、エポキシ樹脂の場合について、ビスフェノールA型主剤(室温では固形で軟化点64℃)を例に説明する。まず、第1のロール10は60〜70℃及び第2のロール20は50〜60℃の温度として図3の素練りを行う。次に図4のように主剤に膨潤繊維材料を徐々に投入し混合する。その後、図5に示すような薄通し工程を、例えば、ロール間隔dを0mm〜0.5mmに設定して行うことができる。ロールの表面速度比はエラストマーの場合と同様である。エラストマーを用いた薄通し工程と同様に、主剤の適度な弾性と適度な粘性を利用してセルロースナノファイバーを解繊するためである。
ロール温度を主剤の軟化点付近で制御し、且つロール10とロール20に約10℃の温度差を持たせているのは、主剤の加工性による。このような主剤を用いた場合、ロールに付着しやすいため、2本のロール10,20が同じ温度の場合には両方のロール10,20に単純に分かれて付着する。そのため、主剤にせん断力が掛かりにくく、セルロースナノファイバーが解繊されにくい。そこで、このような温度差を設けることにより、低温側の第2のロール20に主剤が巻き付くことができ、主剤に所望のせん断力を与えることができ、その結果、セルロースナノファイバーを有効に解繊することができる。
また、この混練工程において、膨潤繊維材料の水分によってセルロースナノファイバーに結合した金属がイオン化している。そのため、金属イオンによりセルロースナノファイバー同士の結合力を弱めている状態で混練のせん断力を付加し、さらに薄通しの工程における主剤の弾性による復元力を利用してセルロースナノファイバーの間隔を広げることが可能になり、セルロースナノファイバーの均一な解繊、分散が行われる。
硬化剤を混合する工程は、脱水工程の後に行うことが望ましい。加工後の製品の品質向上のためである。
主剤とセルロースナノファイバーとの混練後、さらに、硬化剤(例えば、ポリアミドアミン)を添加して、再度、主剤の場合と同様の方法、条件で混錬し、硬化剤を均一に混合することができる。硬化剤の混合方法も主剤の混練方法と同様に行うことで、主剤中のセルロースナノファイバーの解繊状態を悪化せず、均一な混合、分散状態を保持する。その後、成型(プレス加工、圧縮成型、押し出し成型等)を行い、例えば、室温で1日置いて硬化させ、その後、ポストベーク(80℃、15時間)を行い、複合材料を得ることができる。
2−3.脱水工程
脱水工程(S18)は、混練工程(S16)で得られた複合材料を脱水する工程である。また、熱硬化性樹脂を用いた複合材料の製造方法においては、上述のとおり、主剤とセルロースナノファイバーとの混練工程の後に脱水工程(S18)を経てから硬化剤を混合して複合材料を得ることが好ましい。
脱水工程(S18)は、複合材料を加熱して水分を蒸発させることができる。例えば、オーブン中に複合材料を入れ、加熱するとともに、オーブンの内部を真空引きしてもよい。
また、混練工程(S16)の途中で繊維材料中の水が除去される場合には脱水工程(S18)を設ける必要はない。例えば、混練工程(S16)をオープンロールで行う場合には薄通し後にロールを加熱して水を除去してもよいし、密閉式の混練機である場合には脱水機能のある装置を用いてもよい。
エラストマーを用いた複合材料の場合には、さらに、加硫促進剤、加硫剤、老化防止剤、補強剤、カップリング剤等の公知のゴム薬品を配合し、加熱プレス等にて加硫して所望形状に成形してもよい。また、ゴム製品の所望の物性を得るために、混練工程(S16)中のエラストマーに、カーボンブラック、シリカ、カーボンナノチューブなどの公知の補強剤を配合してもよい。
2−4.複合材料
複合材料は、最大幅が50μm以上のセルロースナノファイバー凝集塊を含まないことを特徴とする。セルロースナノファイバー凝集塊は、複数のセルロースナノファイバーが寄り集って粒子状に凝集したままマトリックス中に点在するものである。セルロースナノファイバー凝集塊の最大幅は、走査型電子顕微鏡で複合材料の割断面を観察することでマトリックス材料中に点在する粒子状の凝集塊を観察して最大幅を計測する。
複合材料は、CNF分散液における金属塩由来の金属が結合したセルロースナノファイバーを含む。複合材料の剛性が高いことから、複合材料中の金属塩由来の金属は互いに近接して存在し、イオンクラスターを形成する。イオンクラスターを形成する金属に結合するセルロースナノファイバーが複合材料中に3次元に擬似的にネットワークをつくることで繊維による補強構造が得られると推測できる。シランカップリング剤と反応しないポリマーにおいては、イオンクラスターを形成しないシランカップリング剤等によってセルロースナノファイバーを解繊した状態で複合材料を製造しても、複合材料の剛性は向上しないからである。
複合材料は、繊維材料に含まれていたセルロースナノファイバーが混練工程によってセルロースナノファイバー同士の水素結合に抗して1本1本に分かれて複合材料中に分散される。
複合材料は、繊維材料から解繊されたセルロースナノファイバーとエラストマーまたは合成樹脂とを含むことができる。複合材料の中の繊維材料は、エラストマーまたは合成樹脂のマトリックスの中で解繊された状態のセルロースナノファイバーとして存在する。複合材料の中のセルロースナノファイバーの全てが解繊されていることが好ましいが、少なくとも電子顕微鏡で引張破断面を観察しても、最大幅が50μm以上のセルロースナノファイバー凝集塊を含まないことが好ましい。このような凝集塊を含むと繊維としての補強効果が得られないばかりでなく、引張試験における破断起点となる可能性もあるためである。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(A)エラストマーを用いたサンプルの作製
(A−1)実施例1〜15,17〜20及び参考例1のサンプルの作製
混合工程:セルロースナノファイバー分散液(第一工業製薬社製2%濃度TEMPO酸化セルロースナノファイバー)を水で希釈してセルロースナノファイバー1%濃度の分散液(溶媒は水)として、その分散液に、表1〜表5に示す種類の金属塩をプロペラ式攪拌機にて撹拌することで混合してCNF分散液を得た。
表1〜表5において、
「CNF」:TEMPO酸化セルロースナノファイバー(セルロースナノファイバーの平均繊維径は3.3nm、平均アスペクト比は225)、
「メタクリル酸Na」:浅田化学工業社製メタクリル酸ナトリウム(金属分19〜21%、メタクリル酸分75〜80%)、
「メタクリル酸Zn」:浅田化学工業社製メタクリル酸亜鉛 R−20S(金属分25〜27%、メタクリル酸分60〜64%)、
「アクリル酸Zn」:浅田化学工業社製アクリル酸亜鉛 RSS(金属分27%以上、アクリル酸分56%以上)、
「アクリル酸Ca」:浅田化学工業社製アクリル酸カルシウム(金属分18〜22%、アクリル酸分60〜75%)、
「CaCl」:和光純薬工業社製塩化カルシウム(試薬特級、純度95%以上)
であった。
表1〜表5における「繊維材料の配合」は、膨潤工程後の膨潤繊維材料におけるCNFを1としたときの各配合量の比で表している。
乾燥工程:CNF分散液から水系溶媒を除去して繊維材料を得た。より具体的には、CNF分散液をバットに流し込み、オーブンにて80℃、24時間で乾燥して水系溶媒を除去し、繊維材料を得た。実施例1〜15,17〜20及び参考例1に用いた繊維材料は、目視によって表面に金属塩の析出は確認できなかった。
膨潤工程:繊維材料を水で膨潤させて膨潤繊維材料を得た。より具体的には、繊維材料と所定量の水をガラス製の密閉容器に入れ、密閉容器内で70℃で1時間保持して膨潤させて膨潤繊維材料を得た。水の量は、表1〜表5に示すCNFを1としたときの配合量の比で示した。
混練工程:膨潤繊維材料を、表1〜表5に示すエラストマーに混合して複合材料を得た。より具体的には、二本ロールを用いて素練りしたエラストマーに膨潤繊維材料を徐々に投入し、混練して中間混合物を得て、薄通し(ロール温度10℃〜30℃、ロール間隔0.3mm、ロール速度比1.1)して複合材料を得た。
表1〜表5における「複合材料の配合」は、混練工程における膨潤繊維材料に含まれるセルロースナノファイバーと金属塩との配合量を質量部(phr)で表している。複合材料のサンプルは、100gのエラストマーを用いて作製した。
表1〜表5において、
「HNBR」:日本ゼオン社製ゼットポール2010(ゼットポールは登録商標)(結合アクリロニトリル量中心値11(%)、ヨウ素価中心値7以下(mg/100mg)、ムーニー粘度(中心値)85)、
「EPDM」:JSR社製JSR EP24(JSRは登録商標)(ENB含量4.5(%)、エチレン含量54(%)、ムーニー粘度42(ML(1+4)100℃)、油展量0(PHR))、
であった。
脱水工程:混練工程で得られた複合材料を脱水した。より具体的にはオーブンにて40℃〜90℃で12時間乾燥して、膨潤工程で追加した水を複合材料から除去した。
プレス工程:脱水した複合材料に架橋剤、老化防止剤等を二本ロールで配合した後、複合材料を金型に入れ、真空下で加圧成形して、サンプルを作製した。真空加圧成形は、金型を165℃に加熱し、加圧(金型に対して)しながら25分間プレス成型し、金型を冷却プレスに移動して加圧(金型に対して)しながら室温まで冷却し、厚さ1mmの実施例1〜15,17〜20及び参考例1のシート状サンプルを得た。
(A−2)比較例1〜15のサンプルの作製
比較例1〜15のサンプルは、表6〜表9の配合量に従って、作製した。
比較例1,15のサンプルは、純ゴムを実施例と同様にプレス化成型してサンプルを得た。比較例1は「HNBR」、比較例15は「EPDM」であった。
比較例2,3のサンプルは、金属塩を添加しないサンプルであった。比較例2,3のサンプルは、混合工程を(比較例2はさらに膨潤工程も)省いて、金属塩を含まない樹脂材料を用いて他は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
比較例4−7のサンプルは、実施例1と同様にしてサンプルを得た。比較例4は金属塩を少量とした場合であり、比較例5−7は金属塩の量は実施例3〜実施例5のサンプルと同じで膨潤工程の水を変量した場合である。なお、比較例5は膨潤工程を行わなかった。
比較例8〜14のサンプルは、金属塩に代えてシランカップリング剤を用いて、他は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
表8及び表9において、
カップリング剤1が「3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン」:信越化学工業社製KBM−503、
カップリング剤2が「3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン」:信越化学工業社製KBM−403、
カップリング剤3が「N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン」:信越化学工業社製KBM−603、
カップリング剤4が「3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン」:信越化学工業社製KBE−9007、
カップリング剤5が「3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン」:信越化学工業社製KBM−803、
であった。
(B)評価方法
(B−1)硬度測定
実施例及び比較例のサンプルについて、ゴム硬度(Hs(JIS A))をJIS K6253試験に基づいて測定した。測定結果を表1〜表9に示した。
(B−2)引張試験
実施例及び比較例のサンプルについて、JIS6号のダンベル形状に打ち抜いた試験片について、島津製作所社製オートグラフAG−Xの引張試験機を用いて、23±2℃、標準線間距離20mm、引張速度500mm/minでJIS K6251に基づいて引張試験を行い、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))及び50%モジュラス(σ50(MPa))を測定した。測定結果を表1〜表9に示した。
(B−3)加工性評価
実施例及び比較例のサンプルについて、HNBR100gまたはEPDM100gでの試作時の上記混練工程における加工性の評価を行った。評価結果(○は加工時間30分以
内、ロール巻き付き性良好であり、△は加工時間30分超〜1時間、ロール巻き付き性良好であり、×は加工時間1時間超、ロール巻き付き性悪いであった)を表1〜表9に示した。
(B−4)解繊性及び分散性の評価
実施例及び比較例のサンプルについて、上記複合材における解繊性及び分散性の評価を行った。走査型電子顕微鏡で各サンプルの引張破断面を観察した。評価結果(○は最大幅が50μm以上の凝集塊なし、△は最大幅が50〜100μmの凝集塊あり、×は100μm幅以上の凝集塊ありであった)を表1〜表9に示した。また、「○」のサンプルとして実施例2,4,11の電子顕微鏡写真を図6〜図8に示し、「×」のサンプルとして比較例3の電子顕微鏡写真を図9に示し、「△」のサンプルとして比較例6,14の電子顕微鏡写真を図10,図11に示した。
Figure 0006948630
Figure 0006948630
Figure 0006948630
Figure 0006948630
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Figure 0006948630
(C)評価結果
表1〜表5に示すように、実施例1〜15,17〜20及び参考例1のサンプルは、混練工程における「加工性」の評価及び「解繊性、分散性」の評価が「○」であった。図6〜図8に示すように、「解繊性、分散性」の評価が「○」のサンプルでは、最大幅が50μm以上の繊維材料の凝集塊が残っておらず、セルロースナノファイバーが解繊されていることがわかった。
表1〜表4に示すHNBRを用いた実施例1〜14のサンプルは、表6に示す比較例1の純ゴムのサンプルに比べて「σ50」及び「TS」の値が大きく、セルロースナノファイバーによる補強効果があることが分かった。また、表1〜表4に示すHNBRを用いた実施例1〜5,8〜14のサンプルは、表5に示すCNF量が同じ比較例2,3に比べて「σ50」が大きく、金属塩によって解繊されたセルロースナノファイバーによって補強効果が得られることが分かった。表7に示す比較例4のサンプルはメタクリル酸Naが少なすぎるため、セルロースナノファイバーを解繊するのが困難となり、「加工性」が「△」、「解繊性、分散性」が「×」であった。表7に示す比較例5〜7のサンプルは、膨潤工程における水の量を変量したが、特に「加工性」に問題があった。
表8及び表9に示す比較例8〜比較例14のサンプルは、金属塩の代わりに各種のシランカップリング剤を用いたが、所定量のシランカップリング剤を配合することで「加工性」は向上することがわかったが、「解繊性、分散性」は金属塩を用いた実施例1〜15及び参考例1のサンプルには及ばなかった。
表5に示すEPDMを用いた実施例17〜20のサンプルは、表9に示す比較例15のサンプルに比べて「σ50」及び「TS」の値が大きく、セルロースナノファイバーによる補強効果があることが分かった。
(D)熱硬化性樹脂を用いたサンプルの作製
実施例21のサンプルを以下のように作成した。エポキシ樹脂の主剤(ビスフェノールA、三菱化学社製固形タイプjER1001(「jER」は登録商標)、エポキシ当量450〜500、軟化点(環球法)64℃、比重1.19、分子量900)を二本ロールに投入し、その後、上記実施例15の水を4.0に変更した配合で作成された膨潤繊維材料(CNF1:アクリル酸Ca0.1:水4.0)を主剤に徐々に投入して、第1のロール10の温度を60〜70℃に設定、第2のロール20の温度を50〜60℃に設定し他は実施例15と同様に混練工程を行った。その後、混練工程で得られた混合物を乾燥し、粉末化させ、再び二本ロールに投入し、硬化剤jER ST12(ポリアミドアミン、「jER」は登録商標))を加えてさらに混錬し、減圧プレス成型して1日室温で硬化し、次に80℃、15時間硬化(ポストベーク)して複合材料(エポキシ樹脂100phr:CNF20phr)のサンプルを得た。
また、実施例22のサンプルとして、アクリル酸Caの配合量を0.5として、実施例21と同様に複合材料のサンプルを得た。
実施例23のサンプルを以下のように作成した。フェノール樹脂(旭有機材社製、AVライト(登録商標))の主剤(ノボラック樹脂、軟化点(環球法)80℃(推定))を二本ロールに投入し、その後、上記実施例4と同様の工程で作成された膨潤繊維材料(CNF1:アクリル酸Na1:水2.5)を主剤に徐々に投入して、ロール温度を60℃に設定し他は実施例4と同様に混練工程を行った。その後、混練工程で得られた混合物に硬化剤を加えてさらに混練し、さらに押出機に投入し混練して押出成形してキュアして複合材料(フェノール樹脂100phr:CNF20phr)のサンプルを得た。
(E)評価方法
実施例21,22の複合材料のサンプルについて、上記(B−2)と同様の方法で引張試験を行った。引張試験の結果を応力−歪曲線として図12に示した。
実施例23の複合材料のサンプルについて、エスアイアイ・ナノテクノロジ―株式会社社製の熱分析レオロジー装置を用いて、応力100kPaの条件で、膨張係数を測定し、−10℃〜190℃の温度範囲における線膨張係数の変化を図13のグラフに示した。
(F)評価
図12に示すように、実施例21,22のサンプルは、エポキシ単体のサンプルに比べて2%歪み時における応力が1.7倍に増大した。解繊されたセルロースナノファイバーによって複合材料が補強された。
図13に示すように、実施例23のサンプルは、30℃〜120℃の範囲における平均線膨張係数がフェノール単体のサンプルの平均線膨張係数の5分の1以下だった。解繊されたセルロースナノファイバーによって複合材料の熱膨張変形が抑えられることがわかった。
(G)熱可塑性樹脂を用いたサンプルの作製
第1温度混合工程:熱可塑性樹脂をXplore Instruments社製の卓上二軸混練機MC15に投入し溶融させた。次いで、実施例5の膨潤繊維材料を卓上二軸混練機に投入して第1温度で混練し、第1混合物を得た。卓上二軸混練機の設定温度は165℃、実測樹脂温度155℃、及び混練時間3分間であった。又、各実施例の配合量(単位は「wt%」及び「phr」)は、表10に示した。
低温化工程:卓上混練機の設定温度を低温混練工程の設定温度(137℃)まで下げた。
低温混練工程:卓上混練機の設定温度が137℃(実測樹脂温度130℃)で第1の混合物を卓上二軸混練で混練した。混練時間は8分間であった。
押出工程:卓上混練機の設定温度が165℃(実測樹脂温度155℃)まで昇温した後、卓上二軸混練機で射出成形し、複合材料で成形されたJIS K7161 1BAダンベル試験片を得た。
比較例16は、熱可塑性樹脂単体(LLDPE)で同様のダンベル試験片を射出成形し、比較例17は、膨潤繊維材料の代わりにアクリル酸Naを配合しない原料のセルロースナノファイバー分散液を乾燥した粉末を用いて実施例24と同様の方法でダンベル試験片を作製した。
なお、各表において、
・「LLDPE」:プライムポリマー製ウルトゼックス15150J、融点115℃、
・「CNF」:第一工業製薬社製TEMPO酸化セルロースナノファイバー(セルロースナノファイバーの平均繊維径は3.3nm、平均アスペクト比は225)、
・「メタクリル酸Na」:浅田化学工業社製メタクリル酸ナトリウム(金属分19〜21%、メタクリル酸分75〜80%)であった。
表10における第2温度は、各サンプルの第2温度の範囲内に設定しなければならないため、低温混練工程の第2温度として130℃(実測樹脂温度)となるように設定して上記の通りに実施して複合材料の第2温度測定用サンプルを得た。各実施例の配合の第2温度測定用サンプルについて、下記(H)と同様の方法でDMA測定した。その測定結果から、貯蔵弾性率(E’)と温度とのグラフを作成し、上述した方法で、例えば実施例24のサンプルの場合には、変曲点温度T1(121.5℃)、加工温度発現温度T2(108℃)と平坦領域発現温度T3(125℃)の1.06倍(T3℃×1.06)の温度T4(132.5℃)とを求めた。各サンプルの第2温度の範囲の求め方については上述した通りであり、実施例24のDMA測定した貯蔵弾性率の温度依存性は図14の通りであった。
実施例24〜26の第2温度測定用サンプルをDMA測定した結果、全てのサンプルの温度T2〜温度T4の範囲が低温混練工程で用いた第2温度を含んでいた。
(H)評価方法
(H−1)引張試験
実施例24〜26及び比較例16,17のサンプルについて、JIS K7161 1BAのダンベル試験片について、島津製作所社製オートグラフAG−Xの引張試験機を用いて、23±2℃、標準線間距離25mm、引張速度25mm/minでJIS K7161に基づいて引張試験を行い、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%)
)、及び降伏点引張応力(σy(MPa))を測定した。測定結果を表10に示した。
Figure 0006948630
(H−2)DMA測定
実施例24〜26及び比較例16,17のサンプルについて、短冊形(30×5×2mm)に切り出した試験片について、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離10mm、測定温度20〜200℃、昇温ペース1.5℃、動的ひずみ±0.05%、周波数1HzでJIS K7244に基づいてDMA試験(動的粘弾性試験)を行った。実施例24のサンプルの貯蔵弾性率の温度依存性を図14に示した。
(I)評価
実施例24〜実施例26のサンプルは、比較例16,17に比べて、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))及び降伏点引張応力(σy(MPa))が大きかった。
2…オープンロール、10…第1のロール、20…第2のロール、30…エラストマー、34…バンク、36…中間混合物、50…複合材料、80…膨潤繊維材料

Claims (13)

  1. セルロースナノファイバーが水溶液中に分散されているセルロースナノファイバー分散液に、金属塩を混合し、前記セルロースナノファイバーと前記金属塩と水系溶媒とを含む分散液を得る混合工程と、
    前記混合工程で得られた前記分散液から水系溶媒を除去して繊維材料を得る乾燥工程と、
    を含み、
    前記金属塩は、1価金属塩、2価金属塩及び3価金属塩の少なくとも1種を含む不飽和酸金属塩モノマーであり、
    前記分散液における前記金属塩の前記セルロースナノファイバーに対する質量比が0.1倍〜2倍である、繊維材料の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記金属塩は、1価金属塩及び2価金属塩の少なくとも一方を含む、繊維材料の製造方法。
  3. 請求項1において、
    前記金属塩が1価金属塩であり、
    前記分散液における前記1価金属塩の前記セルロースナノファイバーに対する質量比が0.2倍〜2倍である、繊維材料の製造方法。
  4. 請求項1において、
    前記金属塩が2価金属塩であり、
    前記分散液における前記2価金属塩の前記セルロースナノファイバーに対する質量比が0.1倍〜2倍である、繊維材料の製造方法。
  5. セルロースナノファイバーが水溶液中に分散されているセルロースナノファイバー分散液に、金属塩を混合し、前記セルロースナノファイバーと前記金属塩と水系溶媒とを含む分散液を得る混合工程と、
    前記混合工程で得られた前記分散液から水分が前記セルロースナノファイバーに対する質量比で0.5倍〜4倍になるまで水系溶媒を除去して繊維材料を得る乾燥工程と、
    記繊維材料をエラストマーに混合して複合材料を得る混練工程と、
    含み、
    前記金属塩は、1価金属塩、2価金属塩及び3価金属塩の少なくとも1種を含む不飽和酸金属塩モノマーであり、
    前記分散液における前記金属塩の前記セルロースナノファイバーに対する質量比が0.1倍〜2倍であり、
    前記混練工程は、ロール間隔が0.1mm〜0.5mmでロール温度が0℃〜50℃に設定されたオープンロールを用いて薄通しする工程を含、複合材料の製造方法。
  6. セルロースナノファイバーが水溶液中に分散されているセルロースナノファイバー分散液に、金属塩を混合し、前記セルロースナノファイバーと前記金属塩と水系溶媒とを含む分散液を得る混合工程と、
    前記混合工程で得られた前記分散液から水分が前記セルロースナノファイバーに対する質量比で0.5倍〜4倍になるまで水系溶媒を除去して繊維材料を得る乾燥工程と、
    記繊維材料を合成樹脂に混合して複合材料を得る混練工程と、
    含み、
    前記金属塩は、1価金属塩、2価金属塩及び3価金属塩の少なくとも1種を含む不飽和酸金属塩モノマーであり、
    前記分散液における前記金属塩の前記セルロースナノファイバーに対する質量比が0.1倍〜2倍である、複合材料の製造方法。
  7. 請求項6において、
    前記合成樹脂は、熱可塑性樹脂であり、
    前記混練工程は、前記熱可塑性樹脂の融点(Tm℃)付近における熱可塑性樹脂組成物の貯蔵弾性率における加工領域発現温度から当該貯蔵弾性率における平坦領域発現温度(T3℃)の1.06倍(T3℃×1.06)の温度までの範囲の混練温度で混練する工程を含む、複合材料の製造方法。
  8. 請求項6において、
    前記合成樹脂は、熱硬化性樹脂であり、
    前記混練工程は、前記熱硬化性樹脂の主剤に前記繊維材料を混合した後、前記主剤の軟化点より20℃低い温度から前記軟化点より10℃高い温度までの範囲の混練温度で混練した後、さらに硬化剤を混合する工程を含む、複合材料の製造方法。
  9. 請求項5〜8のいずれか1項において、
    前記混練工程で得られた複合材料を脱水する脱水工程をさらに含む、複合材料の製造方法。
  10. 金属塩由来の金属イオンがイオン結合したセルロースナノファイバーを含み、
    前記金属塩は、1価金属塩、2価金属塩及び3価金属塩の少なくとも1種を含む不飽和酸金属塩モノマーである、繊維材料。
  11. 請求項10において、
    前記金属塩は、1価金属塩及び2価金属塩の少なくとも一方を含む、繊維材料。
  12. 請求項10または11の前記繊維材料から解繊されたセルロースナノファイバーとエラストマーまたは合成樹脂とを含む、複合材料。
  13. 請求項12において、
    前記複合材料は、最大幅が50μm以上のセルロースナノファイバー凝集塊を含まない、複合材料。
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