WO2023218814A1 - 中間体及び中間体の製造方法 - Google Patents

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隼人 加藤
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Abstract

本発明の一実施形態に係る中間体は、ゴム成分と、カルボキシ基を含有するセルロースナノファイバーと、3価以上の陽イオンと、を含み、前記セルロースナノファイバーは、N-オキシル化合物を用いて酸化された酸化セルロースに由来するものを含む。また、本発明の一実施形態に係る中間体は、ゴム成分と、カルボキシ基を含有するセルロースナノファイバーと、1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩及び/または1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体と、を含み、前記セルロースナノファイバーは、N-オキシル化合物を用いて酸化された酸化セルロースに由来するものを含む。

Description

中間体及び中間体の製造方法
 本発明は、セルロースナノファイバーを含む中間体及び中間体の製造方法に関する。
 近年、SDGs(持続可能な開発目標)における環境負荷の少ない植物由来のセルロースナノファイバーが注目されている。こうした中、セルロースナノファイバーを繊維補強材として利用したゴム複合材料も提案されている(特許文献1)。
特開2017-95611号公報
 しかしながら、セルロースナノファイバーは一般に水分散液として市場に提供されるため、ゴム成分の分散液(ラテックス)と混合した後に乾燥して固形物のゴム複合材料を得なければならない。そして、この乾燥工程の間にセルロースナノファイバー同士が結合して凝集しまうため、ゴム複合材料には多数の凝集塊が残りやすい。これらの凝集塊は、ゴム製品における引張強さや切断時伸びといった基礎物性に影響を及ぼすことがわかっている。
 そこで、本発明は、セルロースナノファイバーの凝集塊を減少させ、ゴム製品に適用しやすいセルロースナノファイバーを含む中間体及び中間体の製造方法を提供することを目的とする。
 本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
 [1]本発明に係る中間体の一態様は、
 ゴム成分と、
 カルボキシ基を含有するセルロースナノファイバーと、
 3価以上の陽イオンと、
を含み、
 前記セルロースナノファイバーは、N-オキシル化合物を用いて酸化された酸化セルロースに由来するものを含むことを特徴とする。
 [2]前記中間体の一態様において、
 前記3価以上の陽イオンは、アルミニウムイオン及び/または鉄イオンであることができる。
 [3]本発明に係る中間体の一態様は、
 ゴム成分と、
 カルボキシ基を含有するセルロースナノファイバーと、
 1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩及び/または1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体と、
を含み、
 前記セルロースナノファイバーは、N-オキシル化合物を用いて酸化された酸化セルロースに由来するものを含むことを特徴とする。
 [4]前記中間体の一態様において、
 前記不飽和カルボン酸塩は、アクリル酸ナトリウム及び/またはメタクリル酸ナトリウムであることができる。
 [5]前記中間体の一態様において、
 前記ゴム成分は、天然ゴム、カルボキシ変性ニトリルゴムまたはカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムであることができる。
 [6]前記中間体の一態様において、
 前記セルロースナノファイバーは、セルロースを構成するグルコピラノース環の第6位の水酸基が酸化されてカルボキシ基が導入された構造を有することができる。
 [7]前記中間体の一態様において、
 前記ゴム成分100質量部と、
 前記セルロースナノファイバー10質量部以上100質量部未満と、
 前記セルロースナノファイバーが含有するカルボキシ基に対して0.50倍当量~6.00倍当量の、前記3価以上の陽イオン、前記1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩、及び前記1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体から選択される少なくとも一種と、
を含み、
 前記セルロースナノファイバーは、平均繊維径が2nm以上8nm以下であり、かつ、平均繊維長が200nm以上800nm以下であり、
 前記セルロースナノファイバーは、カルボキシ基の含有量が1.2mmol/g~1.7mmol/gであることができる。
 [8]本発明に係る中間体の製造方法の一態様は、
 100質量部のゴム成分を含むゴムラテックスと、水系溶媒にカルボキシ基を含有するセルロースナノファイバー10質量部以上100質量部未満が分散したCNF水分散液と、3価以上の陽イオンを含む無機酸多価金属塩、1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩及び前記1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体から選択される少なくとも一種と、を混合して混合液を得る工程と、
 前記混合液を混練する工程と、
 前記混練する工程後の前記混合液を乾燥して水分率が3%以下の混合物を得る工程と、
 前記混合物を混練して中間体を得る工程と、
を含み、
 前記セルロースナノファイバーは、N-オキシル化合物を用いて酸化された酸化セルロースに由来するものを含むことを特徴とする。
 本発明に係る中間体の一態様によれば、セルロースナノファイバーの凝集塊が少ないので補強性に優れ、かつ、ゴム製品のマスターバッチとして用いることでセルロースナノファイバーをゴム製品に適用しやすい。また、本発明に係る中間体の製造方法の一態様によれば、セルロースナノファイバーの凝集塊が少ない中間体を製造することができ、かつ、中間体をゴム製品のマスターバッチとして用いることでセルロースナノファイバーをゴム製品に適用しやすい。
図1は、一実施形態に係る中間体の製造方法のフローチャートである。 図2は、実施例1-1の架橋体サンプルの引張破断面のSEM画像である。 図3は、実施例1-4の架橋体サンプルの引張破断面のSEM画像である。 図4は、比較例1-3の架橋体サンプルの引張破断面のSEM画像である。
 以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
 A.中間体
 第1実施形態に係る中間体は、ゴム成分と、カルボキシ基を含有するセルロースナノファイバーと、3価以上の陽イオンと、を含み、前記セルロースナノファイバーは、N-オキシル化合物を用いて酸化された酸化セルロースに由来するものを含む。なお、「~」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
 第2実施形態に係る中間体は、ゴム成分と、カルボキシ基を含有するセルロースナノファイバーと、1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩及び/または1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体と、を含み、前記セルロースナノファイバーは、N-オキシル化合物を用いて酸化された酸化セルロースに由来するものを含む。
 第1実施形態及び第2実施形態に係る中間体は、ゴム製品にセルロースナノファイバーを配合するためのマスターバッチとして用いてもよい。中間体は、後述する乾燥工程により水分がないかまたは水分が少ない状態にあるため、通常であればセルロースナノファイバー同士が水素結合により凝集しやすいが、ゴム成分と3価以上の陽イオン及び/または不飽和カルボン酸塩とにより当該凝集が抑制される。そのため、中間体には少なくとも目視(走査型電子顕微鏡の画像における目視観察)で確認できるようなセルロースの凝集塊が存在しない。目視で確認できるセルロースの凝集塊としては、凝集塊が10μm以上の最大幅を有するものであれば判別できる場合が多く、凝集塊が50μm以上の最大幅を有するものであれば確実に判別できる。
 また、中間体のセルロースナノファイバーは、中間体をマスターバッチとしてマトリックス材料に混合した際に、ゴム成分と無機酸多価金属塩由来の3価以上の陽イオン及び/または不飽和カルボン酸塩由来の1価以上の金属イオンとにより解繊及び分散が容易である。そのため、中間体によれば、セルロースナノファイバーの凝集塊が少ないのでゴム製品の補強性に優れ、かつ、ゴム製品のマスターバッチとして用いてゴム成分で希釈するだけでセルロースナノファイバーをゴム製品に適用しやすい。中間体の良否判断は少なくとも目視観察において凝集塊が確認されないことであるが、中間体の一部を目視観察して凝集塊を確認するだけでは全体の状態を判断できないため十分とは言えない。そのため、中間体の物性検査によりセルロースナノファイバーの解繊と分散を判断することが好ましい。中間体の物性としては、セルロースナノファイバーの配合により引張試験による50%モジュラス(σ50)が大きく向上することを判断基準とすることができ、引張強さ(TS)の向上も併せて中間体の判断基準として用いることができる。切断時伸び(Eb)の向上も重要な要素であるが、セルロースナノファイバーの含有量が多くなると切断時伸び(Eb)が低下してしまうため、50%モジュラスの増大率に合わせて判断基準を変更することが好ましい。なお、中間体をマスターバッチとして用いて希釈したゴム製品は、中間体のときよりも切断時伸び(Eb)が向上するためゴム製品の使用時において問題はない。中間体の良否判断の基準としては、後述する実施例の総合判定の基準を用いることができる。
 中間体をマスターバッチとして用いるためには中間体におけるセルロースナノファイバーの含有量が多いことが取り扱い上望ましいが、セルロースナノファイバーの含有量が多くなると中間体の製造が難しくなる。そのため、中間体におけるセルロースナノファイバーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上100質量部未満であり、例えば20質量部~50質量部であることができる。実際のゴム製品ではセルロースナノファイバーが10質量部未満となることが予想されるため、セルロースナノファイバーの含有量が10質量部以上、より好ましくは20質量部以上であれば少量の中間体でゴム製品を製造することができるため有利である。また、セルロースナノファイバーの含有量が100質量部以上になると加工がほとんど不可能であり、100質量部未満であれば加工可能となり、50質量部以下であればより加工が容易となる。
 中間体は、セルロースナノファイバーが含有するカルボキシ基に対して0.50倍当量~6.00倍当量の、3価以上の陽イオン、1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩、及び1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体から選択される少なくとも一種を含むことができる。
 B.原料
 次に、第1実施形態及び第2実施形態に係る中間体の製造に用いる各原料について説明する。
 B-1.セルロースナノファイバー
 セルロースナノファイバーは、カルボキシ基を含有する。セルロースナノファイバーがカルボキシ基を有することにより、セルロース原料から解繊する工程においてアニオン性基であるカルボキシ基同士の反発作用によって解繊しやすい。セルロースナノファイバーは、カルボキシ基の含有量が1.2mmol/g~1.7mmol/gであることができる。セルロースナノファイバーのカルボキシ基の含有量が1.2mmol/g以下であるとセルロースナノファイバーが解繊不足となりやすく、1.7mmol/gを超えるとTEMPO酸化によるダメージでセルロースナノファイバーの分子量が低下したり、一部が水溶性多糖成分となって繊維成分から分離して水洗時に溶解し収率が低下したりすることがある。カルボキシ基の含有量は、乾燥質量を精秤したセルロースナノファイバーの試料から0.5~1質量%スラリーを調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して電気伝導度測定を行う。測定はpHが約11になるまで続ける。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記式を用いてカルボキシ基含有量を決定する。
カルボキシ基含有量(mmol/g)=V(ml)×0.05/セルロース試料の乾燥質量(g)
 セルロースナノファイバーは、平均繊維径が2nm以上8nm以下であることが好ましく、2nm以上6nm以下であることがより好ましい。また、平均繊維長が200nm以上800nm以下であることが好ましく、300nm以上600nm以下であることがより好ましい。平均繊維径と平均繊維長がこの範囲であると、ゴム製品の補強効果として例えば剛性、引張強さ、切断時伸び等が向上するため好ましい。平均繊維径及び平均繊維長は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、各繊維を観察した結果から得られる繊維径及び繊維長の算術平均値である。
 セルロースナノファイバーは、水分散液として市場で入手することができる。セルロースナノファイバー水分散液は、セルロースナノファイバーの固形分が0.01質量%~5質量%であることができ、好ましくは0.1質量%~2質量%であることができる。水分散液におけるセルロースナノファイバー固形分が0.01質量%未満であると後述する乾燥工程に時間を要することになり、5質量%を超えると後述する無機酸多価金属塩及び不飽和カルボン酸塩を均一に処理できずセルロースナノファイバーの凝集塊が生じやすい。
 セルロースナノファイバーの原料としては、木材等の植物性材料に由来するものでもよいし、植物性材料以外の例えばホヤなどの動物性材料やバクテリアなどの微生物に由来するものでもよい。また、植物性材料の原料を用いるセルロースナノファイバーの作成方法としては、例えば、原料に化学的処理を施して解繊しやすい状態にした後に機械的なせん断力による物理的処理を施して原料を解繊し製造したものや、高圧ホモジナイザー法、グラインダー摩砕法、凍結粉砕法、強剪断力混練法、ボールミル粉砕法など公知の機械的な高せん断力を用いた方法により物理的に原料を解繊し製造したものを使用することができる。
 セルロース原料を酸化するための方法は特に限定されないが、1つの例としては、N-オキシル化合物、及び、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群より選択される物質の存在下で酸化剤を用いて水中でセルロース原料を酸化する方法が挙げられる。この方法によれば、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、アルデヒド基、カルボキシ基、及びカルボキシレート基からなる群より選ばれる基が生じる。反応時のセルロース原料の濃度は特に限定されないが、5質量%以下が好ましい。
 N-オキシル化合物とは、ニトロキシルラジカルを発生しうる化合物をいう。ニトロキシルラジカルとしては例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(TEMPO)が挙げられる。N-オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。
 N-オキシル化合物の使用量は、原料となるセルロースを酸化できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.01mmol以上が好ましく、0.02mmol以上がより好ましい。上限は、10mmol以下が好ましく、1mmol以下がより好ましく、0.5mmol以下が更に好ましい。従って、N-オキシル化合物の使用量は絶乾1gのセルロースに対して、0.01mmol~10mmolが好ましく、0.01mmol~1mmolがより好ましく、0.02mmol~0.5mmolがさらに好ましい。
 臭化物とは臭素を含む化合物であり、例えば、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属、例えば臭化ナトリウム等が挙げられる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、例えば、ヨウ化アルカリ金属が挙げられる。臭化物又はヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択すればよい。臭化物及びヨウ化物の合計量は絶乾1gのセルロースに対して、0.1mmol以上が好ましく、0.5mmol以上がより好ましい。上限は、100mmol以下が好ましく、10mmol以下がより好ましく、5mmol以下が更に好ましい。従って、臭化物及びヨウ化物の合計量は絶乾1gのセルロースに対して、0.1~100mmolが好ましく、0.1~10mmolがより好ましく、0.5~5mmolがさらに好ましい。
 酸化剤は、特に限定されないが例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸、それらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などが挙げられる。中でも、安価で環境負荷が少ないことから、次亜ハロゲン酸又はその塩を用いることができ、次亜塩素酸又はその塩がより好ましく、次亜塩素酸ナトリウムが更に好ましい。酸化剤の使用量は、絶乾1gのセルロースに対して、0.5mmol以上が好ましく、1mmol以上がより好ましく、3mmol以上が更に好ましい。上限は、500mmol以下が好ましく、50mmol以下がより好ましく、25mmol以下が更に好ましい。従って、酸化剤の使用量は絶乾1gのセルロースに対して、0.5mmol~500mmolが好ましく、0.5mmol~50mmolがより好ましく、1mmol~25mmolがさらに好ましく、3~10mmolが最も好ましい。N-オキシル化合物を用いる場合、酸化剤の使用量はN-オキシル化合物1molに対して1mol以上が好ましい。上限は、40molが好ましい。従って、酸化剤の使用量はN-オキシル化合物1molに対して1mmol~40molが好ましい。
 酸化反応時のpH、温度等の条件は特に限定されず、一般に、比較的温和な条件であっても酸化反応は効率よく進行する。反応温度は4℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましい。上限は40℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。従って、温度は4℃~40℃が好ましく、15℃~30℃程度、すなわち室温であってもよい。反応液のpHは、8以上が好ましく、10以上がより好ましい。上限は、12以下が好ましく、11以下がより好ましい。従って、反応液のpHは、好ましくは8~12、より好ましくは10~11程度である。通常、酸化反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシ基が生成するため、反応液のpHは低下する傾向にある。そのため、酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを上記の範囲に維持することが好ましい。酸化の際の反応媒体は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等の理由から、水が好ましい。
 酸化における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5時間以上である。上限は通常は6時間以下、好ましくは4時間以下である。従って、酸化における反応時間は通常0.5時間~6時間、例えば0.5時間~4時間程度である。
 酸化は、2段階以上の反応に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一又は異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化させることができる。
 カルボキシル化(酸化)方法の別の例として、オゾン処理により酸化する方法が挙げられる。この酸化反応により、セルロースを構成するグルコピラノース環の少なくとも2位及び6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾン処理は通常、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより行われる。気体中のオゾン濃度は、50g/m以上であることが好ましい。上限は、250g/m以下であることが好ましく、220g/m以下であることがより好ましい。従って、気体中のオゾン濃度は、50g/m~250g/mであることが好ましく、50g/m~220g/mであることがより好ましい。オゾン添加量は、セルロース原料の固形分100質量%に対し、0.1量部以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。上限は、通常30質量%以下である。従って、オゾン添加量は、セルロース原料の固形分100質量%に対し、0.1質量%~30質量%であることが好ましく、5質量%~30質量%であることがより好ましい。オゾン処理温度は、通常0℃以上であり、好ましくは20℃以上である。上限は通常50℃以下である。従って、オゾン処理温度は、0℃~50℃であることが好ましく、20℃~50℃であることがより好ましい。オゾン処理時間は、通常は1分以上であり、好ましくは30分以上である。上限は通常360分以下である。従って、オゾン処理時間は、通常は1分~360分程度であり、30分~360分程度が好ましい。オゾン処理の条件が上述の範囲内であると、セルロースが過度に酸化及び分解されることを防ぐことができ、酸化セルロースの収率が良好となる。
 オゾン処理後に得られる結果物に対しさらに、酸化剤を用いて追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが例えば、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物;酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。追酸化処理の方法としては例えば、これらの酸化剤を水又はアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作成し、酸化剤溶液中にセルロース原料を浸漬させる方法が挙げられる。
 セルロースナノファイバーに含まれるカルボキシ基、カルボキシレート基、アルデヒド基の量は、酸化剤の添加量、反応時間等の酸化条件をコントロールすることで調整することができる。
 B-2.ゴム成分
 中間体のゴム成分は、ゴム成分を含むゴムラテックスが原料として提供される。ゴム成分は、天然ゴム(NR)、カルボキシ変性ニトリルゴム(X-NBR)またはカルボキシ変性スチレンブタジエンゴム(X-SBR)である。ゴム成分の重量平均分子量は、50,000~3,000,000であることが好ましく、100,000~2,000,000であることがより好ましい。なお、本発明において、「重量平均分子量」とは、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算で測定したものを意味する。
 カルボキシ変性ニトリルゴム(カルボキシ変性アクリロニトリルブタジエンゴム)またはカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムは、カルボキシ基によって官能化されたカルボキシ基を有する変性ジエン系ゴムである。カルボキシ変性ニトリルゴムまたはカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムは、カルボキシ基を有することでカルボキシ基を有するセルロースナノファイバーとの親和性を高めることができるため、混練の際にカルボキシ基がセルロースナノファイバーと結合することによって解繊能力を高めるという機能を発揮する。また、天然ゴムは、素練りにより生成されるフリーラジカルとセルロースナノファイバーとの相互作用により解繊能力が高まると考えられる。
 また、中間体は、ゴム組成物に配合される公知の充填材が配合されてもよい。充填材としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、クレイ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸バリウム、レシチン等を例示することができる。これらの充填材は、単数または複数を組み合わせて配合することができるが、中間体はマトリックス材料に配合するためのマスターバッチとして利用されるため、マトリックス材料と中間体との混合時に充填材を配合してもよい。
 B-3.無機酸多価金属塩
 3価以上の陽イオンを含む無機酸多価金属塩は、中間体の製造に用いられる。そのため、無機酸多価金属塩は水溶性である。無機酸多価金属塩は、20℃における水100mlに対する溶解度が10g/100ml以上であることができる。水溶性の無機酸多価金属塩をCNF水分散液及びラテックスと混合することにより、3価以上の陽イオンがセルロースナノファイバーのカルボキシ基と反応することにより、無機酸多価金属塩はセルロースナノファイバー同士の擬似的な架橋として働く。多価金属としては、3価以上の陽イオンとなる、例えば、鉄及びアルミニウム等の3価以上の金属から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。このような多価金属を含むことにより、セルロースナノファイバー同士の擬似的な架橋という機能を有する。無機酸としては、例えば、硝酸、硫酸、塩化水素(塩酸)から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
 無機酸多価金属塩としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化鉄、硝酸アルミニウム、硝酸鉄(III)、硫酸アルミニウム、硫酸鉄(III)、硫酸アルミニウムカリウム、及びこれらの水和物から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
 水溶性の無機酸多価金属塩の配合量は、塩種や配合目的に応じて適宜調整でき、中間体における3価以上の陽イオンがセルロースナノファイバーのカルボキシ基に対して0.50倍当量~6.00倍当量となるように配合することができる。無機酸多価金属塩の含有量は、「C.中間体の製造方法」で説明する。
 第1実施形態に係る中間体は、3価以上の陽イオンを含有する。3価以上の陽イオンは、無機酸多価金属塩に由来することができる。3価以上の陽イオンは、アルミニウムイオン及び/または鉄イオンであることができる。中間体における無機酸は、洗浄によって除去されてもよい。
 B-4.不飽和カルボン酸塩
 1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩は、中間体の製造に用いられる。そのため、不飽和カルボン酸塩は水溶性である。不飽和カルボン酸塩としては、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、クロトン酸及びこれらの塩等を示すことができる。水溶性の1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩をCNF水分散液及びラテックスと混合することにより、カルボキシ基およびカルボニル基がセルロースナノファイバーのカルボニル基もしくは水酸基と水素結合することにより、セルロースナノファイバー同士の擬似的な架橋という働きをする。これらの塩を形成する金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等の1価の金属を示すことができる。これは、無機酸多価金属塩とは異なり1価の金属でもカルボキシ基およびカルボニル基が水素結合するためと考えられる。ここで、「(メタ)アクリル酸」は、メタクリル酸およびアクリル酸の総称である。不飽和カルボン酸塩は、アクリル酸ナトリウム及び/またはメタクリル酸ナトリウムであることができる。また、不飽和カルボン酸塩の化合物を形成するにあたり、上記金属の中で、1種の金属を用いて金属塩化合物を形成してもよいし2種以上を用いてもよい。不飽和カルボン酸塩の含有量は、「C.中間体の製造方法」で説明する。
 B-5.不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体
 1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体は、中間体の製造に用いられる。そのため、不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体は水溶性である。不飽和カルボン酸塩としては、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、クロトン酸及びこれらの塩等を示すことができる。水溶性の1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体をセルロースナノファイバー水分散液及びラテックスと混合することにより、カルボキシ基およびカルボニル基がセルロースナノファイバーのカルボニル基もしくは水酸基と水素結合することにより、セルロースナノファイバー同士の擬似的な架橋という働きをする。これらの塩を形成する金属としては、たとえば、ナトリウム、カリウム、リチウム等の1価の金属を示すことができる。当該重合体の繰り返し単位である不飽和カルボン酸塩は、アクリル酸ナトリウム及び/またはメタクリル酸ナトリウムであることができる。当該重合体は、不飽和カルボン酸塩以外の単量体に由来する繰り返し単位を含んでもよい。また、当該重合体を形成するにあたり、上記金属の中で、1種の金属を用いて金属塩化合物を形成してもよいし2種以上を用いてもよい。当該重合体の含有量は、「C.中間体の製造方法」で説明する。
 第2実施形態に係る中間体は、1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩及び/または1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体を含む。金属イオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等の1価の金属イオンを示すことができる。
 C.中間体の製造方法
 次に、中間体の製造方法について説明する。図1は、一実施形態に係る中間体の製造方法のフローチャートである。中間体の製造方法は、上記Bの原料を用いることができる。中間体の製造方法は、上記Aで説明した第1実施形態または第2実施形態の中間体を得ることができる。
 図1に示すように、中間体の製造方法は、混合液を得る工程(S10)と、混練する工程(S20)と、混合物を得る工程(S30)と、中間体を得る工程(S40)と、を含む。
 S10:混合液を得る工程は、100質量部のゴム成分を含むゴムラテックスと、水系溶媒にカルボキシ基を含有するセルロースナノファイバー10質量部以上100質量部未満が分散したCNF水分散液と、3価以上の陽イオンを含む無機酸多価金属塩、1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩及び前記1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体から選択される少なくとも一種と、を混合して混合液を得る工程である。ゴムラテックス、CNF水分散液、無機酸多価金属塩及び不飽和カルボン酸塩は、いずれも水系溶媒で提供され、公知の攪拌機を用いて混合することができる。攪拌機としては、例えば、マグネチックスターラー、プロペラ式攪拌機等を用いることができる。
 混合液を得る工程におけるセルロースナノファイバーの配合量は、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上であることにより、高濃度のセルロースナノファイバーを含むマスターバッチとして中間体を市場に提供することができ、20質量部以上であることが好ましい。また、100質量部未満であれば、作業時間がかかるものの攪拌や混練が可能であり、作業性を向上するために50質量部以下であることが好ましい。ゴム成分は、ゴムラテックスとして使用可能であれば制限されないが、天然ゴム、カルボキシ変性ニトリルゴム、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴムであることが好ましい。
 無機酸多価金属塩、不飽和カルボン酸塩及び不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体は、組み合わせて配合することができるが、それぞれ単独で配合することが好ましい。無機酸多価金属塩、不飽和カルボン酸塩及び不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体の配合量は、塩種や配合目的に応じて適宜調整できる。混合液は、セルロースナノファイバーが含有するカルボキシ基に対して0.50倍当量~6.00倍当量の、3価以上の陽イオン、1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩、及び1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体から選択される少なくとも一種を含むように配合される。理論的には1倍当量が適正であるが、ラテックスの種類やゴム製品の要求特性によっては1倍当量より少ない配合とすることができ、また、添加剤の偏在や局部構造の不適合などから1倍当量より多く配合することができる。上記のように、0.50倍当量以上であれば擬似的な架橋構造の発達によってセルロースナノファイバーの凝集を抑制できるようになるため好ましく、6.00倍当量以下であれば余剰となった無機酸多価金属塩、不飽和カルボン酸塩及び不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体の凝集がゴム製品に与える影響が比較的少ないため好ましい。また、金属イオンの量は、セルロースナノファイバーの凝集と余剰材の凝集の抑制の観点から、セルロースナノファイバーのカルボキシ基に対して2.00倍当量~3.50倍当量であることがより好ましい。
 ここで、金属イオンの量は、セルロースナノファイバーに含まれるカルボキシ基のモル量に応じて算出することができ、例えば、S10に用いるセルロースナノファイバーのカルボキシ基が1.5mmol/gであれば、そのモル量に対して0.50倍当量~6.00倍当量となるように無機酸多価金属塩、不飽和カルボン酸塩及び不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体の量を算出することができる。
 例えば、セルロースナノファイバーのカルボキシ基が1.5mmol/gであればセルロースナノファイバー20g(20質量部)で30mmol/gとなり、純度70%の水和物である硫酸鉄(III)であれば3価の鉄イオン由来の電荷を10.5mmol/gを含むので、3倍当量(30×3/10.5)で8.6gの硫酸鉄の水和物を配合して、前処理液中における硫酸鉄の濃度が4.7質量%となる。また、無機酸多価金属塩の含有量は、例えば、純度70%の硫酸鉄の水和物の場合、鉄イオンがセルロースナノファイバーのカルボキシ基に対して0.50倍当量~6.00倍当量なので、前処理液中に固形分換算で1.15質量%~12.4質量%であり、好ましくは4.5質量%~7.7質量%(2.00倍当量~3.50倍当量)である。
 S20:混練する工程は、S10で得た混合液を混練りする工程である。混合液を混練する工程において、JIS Z8803(2011)に準拠して振動粘度計により測定した25℃の混合液の粘度が200mPa・s~500mPa・sであることが好ましい。振動粘度計としては、例えば、音叉振動式レオメータを用いることができる。混合液の粘度が上記範囲内であれば、混合液の弾性による復元力を利用した混練を行うことができる。混合液が弾性を示す領域は、動的粘弾性試験により応力歪曲線を求め、弾性率が応力によらず一定の範囲であって、かつ、応力と歪みが比例する範囲である。このような弾性領域は、混合液の粘度からも推定することができる。混練は、ある程度のせん断力を混合液に与えることができる装置、例えば、自公転攪拌機、3本ロール、2本ロール等により実行できる。S10は、混合液の粘度が非線形性を有する状態(非ニュートン流体のようになった状態)になるまで実行することができる。
 S30:混合物を得る工程は、S20の混練する工程後の混合液を乾燥して水分率が3%以下の混合物を得る工程である。乾燥後の混合物の水分率が3%以下であれば、S40の混練加工が可能である。また、乾燥後の混合物の水分率は、2%以下であることが好ましい。水分率は、加熱乾燥式水分計を用いて測定することができる。また、水分率は、乾燥前と乾燥後の質量を測定して配合量から算出してもよい。S30の乾燥は、混合液中の水系溶媒を効率よく除去できる方法であれば公知の方法を採用でき、例えば、加熱しながら脱気する等してもよい。
 S40:中間体を得る工程は、S30で得た混合物を混練して中間体を得る工程である。混合物は、S30の乾燥によってセルロースナノファイバーの集合した凝集塊を多数有している。混合物中のゴム成分と金属イオンや不飽和カルボン酸塩等の存在によってセルロースナノファイバー同士の接合は抑制していることが推測される。この状態で混合物に高いせん断力を与えて混練することにより、セルロースナノファイバーがゴム成分中に解繊されて分散する。S40の混練は、混合物を圧縮させた後にゴム成分の弾性による復元を用いてセルロースナノファイバーを大きく移動させることにより実行することができる。
 S40の混練は、例えば、ロール間隔が0mmを超え0.5mm以下に設定されかつロール温度が0℃~50℃に設定されたオープンロールを用いて薄通しすることができる。
 まず、薄通し工程の前に、混合物を一方のロールに巻き付けて混練りを行い、ゴム成分の分子鎖を適度に切断してフリーラジカルを生成する。このゴム成分、特に天然ゴムのフリーラジカルがセルロースナノファイバーと結びつきやすいため、天然ゴムを用いた中間体の製造方法ではこの工程を含むことが好ましい。
 次に、薄通し工程を行うことができる。薄通し工程は、ロール間隔が0mmを超え0.5mm以下に設定された2本ロールを用いて、0℃~50℃で薄通しを行う。ロール間隔は設定値であり、混合物がロール間のわずかな隙間に入り込むことができればそのわずかな隙間から混合物を押し出すことができる。この工程では、例えば、ロール間隔を、例えば0.1mm~0.5mmに設定し、混合物をオープンロールに投入して薄通しを1回~10回程度行なうことができる。2本のロールの表面速度比は、1.05~3.00であることができ、さらに1.05~1.2であることができる。このような表面速度比を用いることにより、所望の高い断力を得ることができる。
 このように狭いロール間から押し出された混合物は、ゴム成分の弾性による復元力で大きく変形し、その際にゴム成分と共にセルロースナノファイバーが大きく移動する。薄通しして得られた中間体は、ロールで圧延されて所定厚さ、例えば100μm~500μmのシート状に分出しされる。
 この薄通し工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、ロール温度を例えば0℃~50℃に設定して行うことができ、さらに5℃~30℃の比較的低い温度に設定して行うことができる。中間体(混合物)の実測温度も0℃~50℃に調整されることができ、さらに5℃~30℃に調整されることができる。このような温度範囲に調整することによって、ゴム成分の弾性を利用してセルロースナノファイバーを解繊し、解繊されたセルロースナノファイバーを中間体中に分散することができる。
 この薄通し工程により、中間体は目視で確認できるセルロースナノファイバーの凝集塊を有しない。このような凝集塊は、最大幅が10μm以上である。中間体に凝集塊がないことにより、中間体をマスターバッチとして用いたゴム製品にも破壊起点となりやすい凝集塊が存在しないため、機械的性質に優れるゴム製品を製造することができる。
 S40の中間体を得る工程は、上記のオープンロール法に限定されず、例えば密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。そして、この製造方法により得られた中間体は、マスターバッチとしてマトリクスとなる高分子物質に混合することができる。
 本明細書および特許請求の範囲において用いられる、1つまたはそれよりも多くの要素の列挙に関連する「A、B及びCの少なくとも一つ」又は「A、B及びCの一つ以上」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBの組、A及びCの組、B及びCの組、A、B及びCの組、などを含むものと意図される。
 本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
 本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
 以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
 (セルロースナノファイバーの製造)
 針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、次亜塩素酸ナトリウムが6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物を塩酸を用いて酸性化処理した後、ガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水で洗浄することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。これを水で1.0%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150Mpa)で3回処理して、TEMPO酸化セルロースナノファイバー(TOCN)の分散液を得た。TOCNは、平均繊維径は3nm、平均繊維長は550nmであった。
 (1)サンプルの作製
 (1-1)実施例1-1~実施例1-4
 表1に示すゴムラテックスと、TOCN1%濃度(0.4%~0.7%に希釈してもよい)のセルロースナノファイバー水分散液(溶媒は水)と、約30%に溶解した硫酸鉄(III)または硫酸アルミニウムの水溶液と、を自公転攪拌機(シンキー社製、自転公転ミキサー)で混練して混合液を得た。
 次に、混合液をバットに流し込み、オーブンにて40~50℃、約24時間で乾燥して水系溶媒を除去し混合物を得た。得られた混合物の水分率は、全ての混合物において5%以下であった。
 次に、オープンロール(二本ロール、安田精機社製、191-TH テストミキシングロール)に混合物を巻き付けて混練した後、混合物を薄通し(ロール温度10℃~30℃、ロール間隔0.3mm以下、ロール速度比1.1)して中間体を得た。
 さらに、中間体の機械的性質を評価するために、混合物をオープンロールに再び巻き付けて架橋剤を投入して混合し、分出ししたシートを165℃、30分間加圧成形して厚さ1mmのシート状の各実施例の架橋体サンプルを得た。
 ここで、
「XNBR」:カルボキシ変性NBRラテックス、日本ゼオン社製、Nipol1571C2、固形分45質量%、
「TOCN」:TEMPO酸化セルロースナノファイバー、日本製紙社製、TOCNセレンピア、カルボキシ基量1.6mmol/g、平均繊維径3nm、平均繊維長550nm、
「Fe(SO」:関東化学社製、硫酸鉄(III)n水和物、実施例1-1には3.03倍当量、実施例1-2には3.01倍当量、実施例1-3には1.51倍当量を配合、
「Al(SO」:富士フィルム和光社製、硫酸アルミニウム(無水)、実施例1-4には5.87倍当量を配合、
また表に記載しないが各実施例に架橋剤として日本油脂社製、パークミルD、3.2phrを配合した。
 (1-2)比較例1-1~比較例1-5
 表2に示すゴムラテックスと、TEMPO酸化セルロースナノファイバー1%濃度のセルロースナノファイバー(0.4%~0.7%に希釈してもよい)の水分散液(溶媒は水)と、硫酸鉄(III)、硫酸アルミニウムまたは硫酸亜鉛の水溶液と、を用いて、実施例1-1~実施例1-4と同様にして中間体及びシート状の各比較例のサンプルを得た。なお、比較例1-1はセルロースナノファイバーを含まない純ゴム配合であり、比較例1-3はセルロースナノファイバーを配合せず硫酸鉄を実施例1-2と同量配合した。
 ここで、
「ZnSO」:和光純薬工業社製、硫酸亜鉛、比較例1-4には2.31倍当量を配合した。
 (1-3)凝集評価
 各中間体を架橋した架橋体の各サンプルの引張試験後の破断面を走査型電子顕微鏡で目視観察して凝集塊の有無を確認した。凝集塊は、セルロースナノファイバーの解繊が不十分な部分であり、目視可能な凝集塊は10μm以上の最大幅を有する。評価基準は、サンプルの引張破断面を目視で観察して、凝集塊がなければ「〇」、それ以外を目視による凝集塊の大きさに応じて、最大幅が50μm以上のものを「×」、最大幅が10μm以上50μm未満のものを「△」と表1及び表2に記入した。また、図2~図4は、実施例1-1、実施例1-4及び比較例1-3の架橋体サンプルの引張破断面を撮影したSEM画像である。図2及び図3の実施例1-2及び実施例1-4のSEM画像には凝集塊が確認できない。図4の比較例1-3のSEM画像には最大幅が50μm以上の凝集塊が確認できる。
 (1-4)引張試験
 各シート状の架橋体サンプルについて、JIS6号のダンベル形状に打ち抜いた試験片について、島津製作所社製オートグラフAG-Xの引張試験機を用いて、23±2℃、標線間距離20mm、引張速度500mm/minでJIS K6251に基づいて引張試験を行い、50%モジュラス(σ50(MPa))、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))を測定した。また、50%モジュラス(σ50(MPa))、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))のそれぞれについて、純ゴム配合である比較例1-1の測定結果と比較して増大率((A-B)×100/B(%)、ここでAは実施例の測定値、Bは比較例1-1の測定値)を計算した。測定結果及び計算結果を表1及び表2に示した。
 (1-5)総合判定
 上記凝集評価と上記引張試験の結果を組み合わせて総合判定を行った。総合判定における「〇」は下記の(a)~(c)のいずれかの条件を満たす良品であり、それ以外は「×」の不良品である。
(a)架橋体サンプルの凝集評価が「〇」であって、σ50増大率が50%以上300%未満であり、TS増大率が低下しない(マイナスにならない)こと、
(b)架橋体サンプルの凝集評価が「〇」であって、σ50増大率が300%以上900%未満であり、Eb増大率が-50%以上であること、
(c)架橋体サンプルの凝集評価が「〇」であって、σ50増大率が900%以上であり、Eb増大率が-70%以上であること、とした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 実施例1-1~実施例1-4の架橋体サンプルは、10μm以上の凝集塊が目視で確認されなかった。また、実施例1-1~実施例1-4の架橋体サンプルは、比較例1-1の架橋体サンプルに比べて50%モジュラス(σ50)の増大率が80%以上であった。特に、無機酸多価金属塩を3倍当量以上配合した実施例1-1,2,4の50%モジュラス(σ50)の増大率は170%以上であった。また、実施例1-1~実施例1-4の架橋体サンプルは、比較例1-1の架橋体サンプルに比べて引張強さ(TS)及び切断時伸び(Eb)が増大した。
 実施例1-1~実施例1-4の架橋体サンプルは、セルロースナノファイバーを含む比較例1-2及び比較例1-4の架橋体サンプルのように切断時伸び(Eb)が低下しなかった。
 比較例1-3の架橋体サンプルは、硫酸鉄を含むが、セルロースナノファイバーを含まないため50%モジュラス(σ50)及び引張強さ(TS)が低下した。また、比較例1-5の架橋体サンプルは、加工が困難でしかも凝集塊の存在が顕著であったので架橋体サンプルを製造しなかった。
 (2-1)実施例2-1~実施例2-5
 表3に示すゴムラテックスと、TEMPO酸化セルロースナノファイバー1%濃度のセルロースナノファイバー(0.4%~0.7%に希釈してもよい)の水分散液(溶媒は水)と、アクリル酸ナトリウム(AANa)の水溶液またはアクリル酸ナトリウム(AANa)及び硫酸鉄(III)との混合液と、を用いて、実施例1-1~実施例1-4と同様にして架橋体及びシート状の架橋体のサンプルを得た。ここで、実施例2-1の「AANa」は3.47倍当量を配合し、実施例2-2の「AANa」は1.74倍当量を配合し、実施例2-3の「AANa」は0.85倍当量を配合し、実施例2-4の「AANa」は3.44倍当量を配合した。また、実施例2-5は「Fe(SO」が0.91倍当量と「AANa」が1.72倍当量を配合した。なお、「XNBR」、「TOCN」、「Fe(SO」は、実施例1-1等と同じ材料を用いた。
 ここで、
「AANa」:浅田化学工業社製、アクリル酸ナトリウム。
 (2-2)比較例2-1
 表4に示すゴムラテックスと、TEMPO酸化セルロースナノファイバー1%濃度のセルロースナノファイバー(0.4%~0.7%に希釈してもよい)の水分散液(溶媒は水)と、アクリル酸カルシウム(AACa)の水溶液と、を用いて、実施例2-1~実施例2-5と同様にして架橋体及びシート状の各比較例のサンプルを得た。
 ここで、
「AACa」:浅田化学工業社製、アクリル酸カルシウム、比較例2-1には4.03倍当量を配合。
 (2-3)凝集評価及び引張試験
 各架橋体のサンプルを目視して凝集塊の有無を確認し、実施例1-1等と同様に評価した。また、各シート状の架橋体サンプルについて、実施例1-1等と同様に引張試験を行い、50%モジュラス(σ50(MPa))、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))を測定した。なお、各増大率は、実施例2-1~2-5及び比較例2-1の各測定値をAとし、比較例1-1の測定値をBとして計算した。測定結果及び計算結果を表3及び表4に示した。
 (2-4)総合判定
 総合判定の基準は、上記(1-5)と同じとした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 実施例2-1~実施例2-5の架橋体サンプルは、10μm以上の凝集塊が目視で確認されなかった。また、実施例2-1~実施例2-5の架橋体サンプルは、比較例1-1の架橋体サンプルに比べて50%モジュラス(σ50)の増大率が300%以上であった。特に、実施例2-3のように、無機酸多価金属塩に比べて不飽和カルボン酸塩は少量でも50%モジュラス(σ50)の増大に大きく影響した。また、実施例2-1~実施例2-5の架橋体サンプルは、比較例1-1の架橋体サンプルに比べて引張強さ(TS)の増大率が14%以上であり、切断時伸び(Eb)の増大率が-50%以上であった。
 比較例2-1の架橋体サンプルは、アクリル酸カルシウムを含むが、凝集塊の存在が目視で明らかであり、切断時伸び(Eb)が-50%未満であった。
 (3-1)実施例3-1~実施例3-4
 表5に示すゴムラテックスと、TEMPO酸化セルロースナノファイバー1%濃度のセルロースナノファイバー(0.4%~0.7%に希釈してもよい)の水分散液(溶媒は水)と、硫酸鉄(III)、アクリル酸ナトリウム(AANa)、メタクリル酸ナトリウム(MANa)またはポリアクリル酸ナトリウム(PAANa)の水溶液と、を用いて、実施例1-1~実施例1-4と同様にして架橋体及びシート状の架橋体のサンプルを得た。ここで、実施例3-1の「Fe(SO」は3.01倍当量を配合し、実施例3-2の「AANa」は3.47倍当量を配合し、実施例3-3の「MANa」は3.45倍当量を配合し、実施例3-4の「PAANa」は3.47倍当量を配合した。なお、「TOCN」、「Fe(SO」は、実施例1-1等と同じ材料を用い、「AANa」は、実施例2-1等と同じ材料を用いた。
 ここで、
「NR」:レジテックス社製、天然ゴムラテックス、ULACOL、固形分61質量%、「MANa」:浅田化学工業社製、メタクリル酸ナトリウム、CAS No.5536-61-8、
「PAANa」:東亞合成社製、ポリアクリル酸ナトリウム、アロンT50。
 (3-2)比較例3-1~比較例3-4
 表6及び表7に示すゴムラテックスと、TEMPO酸化セルロースナノファイバー1%濃度のセルロースナノファイバー(0.4%~0.7%に希釈してもよい)の水分散液(溶媒は水)と、硫酸鉄(III)またはアクリル酸カルシウム(AACa)の水溶液と、を用いて、実施例3-1~実施例3-4と同様にして架橋体及びシート状の各比較例のサンプルを得た。なお、比較例3-1はセルロースナノファイバーを含まない純ゴム配合であった。
 (3-3)凝集評価及び引張試験
 各架橋体のサンプルを目視して凝集塊の有無を確認し、実施例1-1等と同様に評価した。また、各シート状の架橋体サンプルについて、実施例1-1等と同様に引張試験を行い、50%モジュラス(σ50(MPa))、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))を測定した。なお、各増大率は、実施例3-1~3-4及び比較例3-2~3-4の各測定値をAとし、比較例3-1の測定値をBとして計算した。測定結果及び計算結果を表5及び表6に示した。
 (3-4)総合判定
 総合判定の基準は、上記(1-5)と同じとした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 実施例3-1~実施例3-4の架橋体サンプルは、10μm以上の凝集塊が目視で確認されなかった。また、実施例3-1~実施例3-4の架橋体サンプルは、比較例3-1の架橋体サンプルに比べて50%モジュラス(σ50)の増大率が400%以上であった。実施例3-1~実施例3-4の架橋体サンプルは、比較例3-1の架橋体サンプルに比べて引張強さ(TS)の増大率が350%以上であり、切断時伸び(Eb)の増大率が-39%以上であった。
 比較例3-2の架橋体サンプルは、10μm以上50μm未満の凝集塊が目視で多数確認された。
 

Claims (8)

  1.  ゴム成分と、
     カルボキシ基を含有するセルロースナノファイバーと、
     3価以上の陽イオンと、
    を含み、
     前記セルロースナノファイバーは、N-オキシル化合物を用いて酸化された酸化セルロースに由来するものを含む、中間体。
  2.  請求項1において、
     前記3価以上の陽イオンは、アルミニウムイオン及び/または鉄イオンである、中間体。
  3.  ゴム成分と、
     カルボキシ基を含有するセルロースナノファイバーと、
     1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩及び/または1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体と、
    を含み、
     前記セルロースナノファイバーは、N-オキシル化合物を用いて酸化された酸化セルロースに由来するものを含む、中間体。
  4.  請求項3において、
     前記不飽和カルボン酸塩は、アクリル酸ナトリウム及び/またはメタクリル酸ナトリウムである、中間体。
  5.  請求項1~請求項4のいずれか一項において、
     前記ゴム成分は、天然ゴム、カルボキシ変性ニトリルゴムまたはカルボキシ変性スチレンブタジエンゴムである、中間体。
  6.  請求項1~請求項4のいずれか一項において、
     前記セルロースナノファイバーは、セルロースを構成するグルコピラノース環の第6位の水酸基が酸化されてカルボキシ基が導入された構造を有する、中間体。
  7.  請求項1~請求項4のいずれか一項において、
     前記ゴム成分100質量部と、
     前記セルロースナノファイバー10質量部以上100質量部未満と、
     前記セルロースナノファイバーが含有するカルボキシ基に対して0.50倍当量~6.00倍当量の、前記3価以上の陽イオン、前記1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩、及び前記1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体から選択される少なくとも一種と、
    を含み、
     前記セルロースナノファイバーは、平均繊維径が2nm以上8nm以下であり、かつ、平均繊維長が200nm以上800nm以下であり、
     前記セルロースナノファイバーは、カルボキシ基の含有量が1.2mmol/g~1.7mmol/gである、中間体。
  8.  100質量部のゴム成分を含むゴムラテックスと、水系溶媒にカルボキシ基を含有するセルロースナノファイバー10質量部以上100質量部未満が分散したCNF水分散液と、3価以上の陽イオンを含む無機酸多価金属塩、1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩及び前記1価の金属イオンを含む不飽和カルボン酸塩に由来する繰返し単位を有する重合体から選択される少なくとも一種と、を混合して混合液を得る工程と、
     前記混合液を混練する工程と、
     前記混練する工程後の前記混合液を乾燥して水分率が3%以下の混合物を得る工程と、
     前記混合物を混練して中間体を得る工程と、
    を含み、
     前記セルロースナノファイバーは、N-オキシル化合物を用いて酸化された酸化セルロースに由来するものを含む、中間体の製造方法。
     
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