JP5188688B2 - ボックス柱のダイアフラム溶接用開先構造 - Google Patents

ボックス柱のダイアフラム溶接用開先構造 Download PDF

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Description

本発明はダイアフラム貫通型ボックス柱の製造技術に係り、特に同ボックス柱のダイアフラム溶接用開先構造に関するものである。
近年建設されている高層ビル等の支柱には多くの場合、断面四角形状のボックス柱が適用されている。このボックス柱は一般に、所定長さのスキンプレートの溶接により構成されたボックス柱と梁支持用ダイアフラムとを溶接した単位柱体を、ビル等の階数に対応して溶接接続することにより組立てられる。単位体および所要本数の接続体は、例えば工場等において製造される。ボックス柱には、その開口端部にこれよりも幅広のダイアフラムを溶接するダイアフラム貫通型ボックス柱と、ボックス柱をダイアフラムに貫通させるボックス柱貫通型とがある。
ダイアフラム貫通型ボックス柱の場合、ダイアフラムの周辺長さがボックス柱の周辺長さよりも大きく、ボックス柱の軸方向開口端部の四辺全ての外面側に開先を設けてダイアフラムの表面に対してボックス柱の外側から溶接が行われる。
図13〜図18によって従来のボックス柱のダイアフラム溶接用裏当金、開先構造および四面回転自動溶接工法について説明する。図13〜図15に示すように、ボックス柱1は4枚のスキンプレート1a,1b,1c,1dを溶接して構成されており、ダイアフラム貫通型ボックス柱用のダイアフラム2はボックス柱1よりも周辺寸法が大きく設定されている。
ボックス柱1の各内側角隅部には、角鋼3がそれぞれ溶接固定されている。これら角鋼3の端部3aはスキンプレート1a‥の各内面角隅部との間に隙間が生じるように部分的に細く形成されている。そして、これらの隙間部分に組み合うように、ボックス柱1と角鋼4との間に矩形断面状の鋼材により製作された4枚の裏当金4が配置され、溶接により固定される。
図16はボックス柱1とダイアフラム2とを接合して溶接用開先5を形成した状態を示している。この図16に示すように、開先5はボックス柱1の長さ方向端部外周を所定角度で傾斜状に研削して形成され、この研削された傾斜面と裏当金4とに溶接肉盛が行なわれる。
図17は、従来の裏当金4およびそれにより形成される開先5の部分を拡大して示している。図17に示すように、従来ではボックス柱1の各スキンプレート端面が板面に沿う直線状の傾斜面として研削され、その直線状の2つの傾斜面が角部で交差する形状となっている。したがって、このような直線的な傾斜面が交差した部分では稜線が直角となるため、この部分では大幅なトーチの向きの変更が必要となり、ボックス柱1を回転させつつ連続溶接することができない。したがって、回転自動溶接機による四面自動溶接を適用することが極めて困難であり、従来では溶接技術者による手作業で角溶接を行なうのが一般的である。
図18は、図17に示した従来の角溶接用部分を回転自動溶接できるか否かの可能性を示すため、グラインダ等によってボックス柱1の角部における開先部分を湾曲状に研削(切削)し、角落しにより湾曲状態となった角部開先状態を示している。この場合には、図18に示したように、隣接する裏当金4,4の角部に欠落部分6が生じてしまう。このような欠落部分6が生じると、溶接漏れが起こり、回転自動溶接を行なうことはできない。
このように、従来ではボックス柱の直角断面において周方向の回転移動による溶接が困難であるため、溶接ロボットを使用した回転溶接を行なうことができず、手溶接に依存せざるを得ず、極めて多くの作業手間および作業時間を要している。
この点に関し、従来技術として、ボックス柱の端部とダイアフラムとの当接部の外側に溶接用タブを配置して開先加工を省略するとともに、溶接用トーチを溶接方向(ボックス柱の周辺方向)に沿う配置で溶接するようにし、ボックス柱の端部への開先加工を省略できる方法が提案されている。(例えば特許文献1参照)。
特開平8−197289号公報
しかしながら、上述の従来技術では、溶接トーチをボックス柱の周辺方向に沿って配置することにより、直線方向の溶接が行われるだけであり、やはりボックス柱を軸心周りで回転させる回転自動溶接を適用することはできない。このため、ボックス柱を軸心周りに回転させる間に全連続操作としての溶接を行なう自動溶接を可能とするまでには至っていない。したがって、上述したように多くの作業手間や作業時間を要するという従来の課題を解決することはできない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ボックス柱を角部を含めて軸心周りに回転させつつ全連続操作としての溶接を行なう自動溶接を可能とし、作業手間および作業時間を大幅に減少して極めて能率よく、かつ高精度でボックス柱とダイアフラムとを溶接することができるボックス柱のダイアフラム溶接用開先構造を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、請求項1に係る発明では、扁平な矩形断面を有する棒鋼の少なくとも長手方向1箇所の扁平な面に、当該棒鋼の長手方向と直交する方向に沿うスリット状の平行かつ相互に隣接する複数の切込み線を形成し、この切込み線の部位を前記扁平な面が前記棒鋼の長手方向に沿って円弧状に湾曲して略直角に折曲し得る折曲部とし、かつ前記棒鋼の折曲部における前記切込み線に沿う方向の一側縁部に凹形の開口部を形成し、この開口部を、ボックス柱の内側角隅部に配置される角鋼の端部に組合せ可能としたボックス柱のダイアフラム溶接用開先構造であって、前記ボックス柱の各内側角隅部に角鋼がそれぞれ溶接固定され、これら角鋼の端部はそれぞれ前記ボックス柱のダイアフラム溶接用開口端部から一定長さ引込めた位置に設けられ、前記棒鋼により裏当金が構成される一方、前記ボックス柱のダイアフラム溶接用開口端部のスキンプレート内面に、前記裏当金の折曲部を折曲した状態で扁平な面の一側縁部が溶接固定され、前記裏当金の折曲部における湾曲した部位を前記角鋼に嵌合して組合せ、前記ボックス柱の溶接用開口端部の各辺のスキンプレート外表面を研削して前記ボックス柱の開口端部の角隅部に湾曲したダイアフラム溶接用開先を形成したことを特徴とするボックス柱のダイアフラム溶接用開先構造を提供する。
請求項2に係る発明では、前記棒鋼の長さは前記ボックス柱の1枚のスキンプレート幅と略同一とし、前記棒鋼の長手方向の中央部に前記折曲部をそれぞれ形成し、全体として略L字形に折曲可能とした請求項1記載のボックス柱のダイアフラム溶接用開先構造を提供する。
前記棒鋼の長さは前記ボックス柱の2枚のスキンプレート幅と略同一とし、前記棒鋼の長手方向に沿う各端部から略1/4の長さ位置に前記折曲部を1箇所ずつ計2ヶ所形成し、全体として略U字形に折曲可能とした請求項1記載のボックス柱のダイアフラム溶接用開先構造を提供する。
本発明に係るボックス柱のダイアフラム溶接用裏当金によれば、従来の開先構造に見られたような開先部分の研削加工時に角落して隣接する裏当金の角部に欠落部分が生じてしまうことがない。このため、欠落部分の発生が防止され、溶接漏れが起こることがなくなり、回転自動溶接を行なうことが可能となる。そして、ボックス柱11の直角断面において周方向の回転移動による溶接が可能となり、溶接ロボットを使用した回転溶接を行なうことができるようになる。したがって、手溶接に依存する必要がなくなり、作業手間が軽減され、作業性の向上が図れるようになる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1(a)〜(c)は、本発明の第1実施形態によるボックス柱ダイアフラム溶接用裏当金を説明するための構成図である。図1(a)は折曲前の裏当金の構成を示す斜視図であり、図1(b)は折曲状態の裏当金の構成を示す斜視図であり、図1(c)は裏当金を取付けるためのボックス柱を示す斜視図である。
図1(c)に示すように、ボックス柱11は4枚のスキンプレート11a,11b,11c,11dを溶接して構成されている。このボックス柱11の各内側角隅部には、第1の裏当金として角鋼12がそれぞれ溶接固定されている。これら角鋼12の端部12aはスキンプレート1a…の長手方向端部よりも所定寸法短く形成され、この部分に下記の本実施形態の裏当金である第2の裏当金21との組合せ用隙間13が設定されている。
第2の裏当金である本実施形態の裏当金21は、図1(a)に示すように、扁平な矩形断面を有する棒鋼により構成されている。この裏当金21を構成する棒鋼の長さは、例えば図1(c)に示したボックス柱11の1枚のスキンプレート幅と略同一長さに設定されている。そして、裏当金21の長手方向1箇所、例えば棒鋼の中央部には、棒鋼の長手方向と直交する方向に沿うスリット状の平行かつ相互に隣接する複数の切込み線22が形成され、この部分が折曲部となっている。
この切込み線22を挟む部位に、扁平な板厚方向に沿って作業者の人力を加えることにより、裏当金21を構成する棒鋼の扁平な面が長手方向に沿って円弧状に湾曲して、略直角に折曲し得る折曲部となっている。すなわち、裏当金21は棒鋼の中央部に折曲部を1箇所形成することにより、全体として略L字形に折曲することが可能となっている。なお、切込み線22は例えば棒鋼の扁平な両側面およびこれに直交する一側縁に形成されているが、棒鋼を構成する材質等によっては切込み線22を少なくとも棒鋼の扁平な一側面のみに形成してもよい。また、裏当金21を構成する棒鋼の折曲部における切込み線22に沿う方向の一側縁部には、角鋼12との組合せ用として凹形の開口部23が形成されている。この開口部23の寸法は、裏当金21を略直角に折曲した状態で、角鋼12の隣接する2面が食い込む寸法となっている。
図1(b)には折曲後の裏当金21、すなわち4本の裏当金21を折曲して、溶接用としてボックス柱11に向き合わせた状態を示している。この図1(b)に示すように、4本の折曲した裏当金21は枠状に組合せ、それぞれ開口部23をボックス柱11側に向けることにより、ボックス柱11の開口端部の内面に嵌合し得る状態となる。
図2(a)〜(c)は、本発明の第2実施形態によるボックス柱ダイアフラム溶接用裏当金21を説明するための構成図である。図2(a)は折曲前の裏当金21の構成を示す斜視図であり、図2(b)は折曲状態の裏当金21の構成を示す斜視図であり、図2(c)は裏当金21を取付けるためのボックス柱11を示す斜視図である。
この第2実施形態の裏当金21が第1実施形態の裏当金21と異なる点は、棒鋼の長さをボックス柱11の2枚のスキンプレート幅と略同一とし、棒鋼の長手方向に沿う各端部から略1/4の長さ位置に切込み線22からなる折曲部を1箇所ずつ計2ヶ所形成し、全体として略U字形に折曲可能とした点にある。
すなわち、図2(a)に示すように、第2の裏当金である本実施形態の裏当金21は、扁平な矩形断面を有する棒鋼により構成されている。この裏当金21を構成する棒鋼の長さは第1実施形態の裏当金21を二本複合した長さ、すなわち図1(c)に示したボックス柱11の2枚のスキンプレート幅と略同一とされている。そして、裏当金21の長手方向2箇所に、棒鋼の長手方向と直交する方向に沿うスリット状の平行かつ相互に隣接する複数の切込み線22が形成されている。
これらの切込み線22を挟む部位に扁平な板厚方向に沿って作業者の人力を加えることにより、棒鋼の扁平な面が長手方向に沿って円弧状に湾曲して2ヶ所をそれぞれ略直角に折曲し得る折曲部として構成されている。すなわち、裏当金21は棒鋼の離れた2ヶ所に折曲部を形成することにより、全体として略U字形に折曲可能となっている。なお、切込み線22は例えば棒鋼の扁平な両側面およびこれに直交する一側縁に形成されているが、棒鋼を構成する材質等によっては切込み線22を少なくとも棒鋼の扁平な一側面のみに形成してもよい。また、裏当金21を構成する棒鋼の折曲部における切込み線22に沿う方向の一側縁部には、角鋼12との組合せ用として凹形の開口部23が2ヶ所形成されている。これらの開口部23の寸法は、裏当金21を略直角にU字形に折曲した状態で、2本の角鋼12における各隣接する2面が食い込む寸法となっている。
図2(b)には、2本の裏当金21を折曲し、溶接用としてボックス柱11に向き合わせた状態を示している。この図2(b)に示すように、2本の折曲した裏当金21を枠状に組合せ、それぞれ開口部23をボックス柱11側に向けることにより、ボックス柱11の開口端部の内面に嵌合し得る状態となる。
以上の実施形態で示した裏当金21によれば、作業者が折曲部を人力等により容易に折曲することができ、ボックス柱11の溶接用開口端のそれぞれの角隅部とその両辺とに裏当金を容易かつ確実に固定し、しかも角鋼12との組合せによりボックス柱11の角隅部に湾曲したダイアフラム溶接用開先を形成することが可能となる。
図3は、ボックス柱11に裏当金21を取付けた状態を示す一部の拡大斜視図であり、図4は、同じく全体斜視図である。これらの図3および図4に示すように、ボックス柱11の各内側角隅部には角鋼12がそれぞれ溶接固定されており、これら角鋼12の端部はそれぞれボックス柱11のダイアフラム溶接用開口端部から一定長さ引込めた位置に配置されている。これらの角鋼12が無いボックス柱11のダイアフラム溶接用開口端部のスキンプレート内面には、裏当金21の切込み線22からなる折曲部を折曲した状態で、これらの裏当金21の扁平な面の一側縁部が溶接により固定されている。
裏当金21の折曲部における湾曲した部位は、角鋼12の端部に嵌合して組み合った状態となり、ボックス柱11の溶接用開口端部のスキンプレート外表面および角隅部外面には緩やかな円弧状の曲面となった開先が形成された状態となる。
このように、本実施形態では、各角隅部が直角で少なくとも長さ方向一端が開口するボックス柱11内の各角隅部に、長さ方向に沿って4本の棒状の第1裏当金である角鋼12が配置固定され、ボックス柱11の開口部側の内側全周に沿ってボックス柱11の四角隅部内側に沿ってボックス柱11の開口から辺縁の一部が突出する。そして、ボックス柱11の各角隅部の直角内面に対してR形状とされ、このR形状部位にはボックス柱11の内面側から一部食い込ませた状態で連結された第2裏当金が配置固定される。
図5は、ボックス柱に開先を形成した状態を示す斜視図である。この図5に示すように、ボックス柱11の開口部の4辺には、その各辺縁および角隅部の全体に研削加工が施され、これにより一定の傾斜角度をもつ開先41が形成される。このボックス柱11の開口部に形成された傾斜面状の開先41部位の内側に、上述の裏当金21が角鋼12の先端部13に組み合った状態で配置される。そして、ダイアフラム31が当接され、仮溶接により一体化される。
図6は、上述のように開先が形成されたボックス柱11の溶接用開口端部の角隅部を拡大して示す斜視図である。この図6に示すように、ボックス柱11の溶接用開口端部の角隅部は研削加工により角落しされて緩やかな円弧状をなし、この角部を挟む直線状両辺部分から滑らかな曲面が形成されている。そして、この開先41の内側には、本実施形態による裏当金21がスキンプレート11a,11bと平行な向きに所定長さ突出している。裏当金21の内側角隅部分には、角鋼12が配置されており、研削により角落された外縁側の面が欠如した部位が角鋼12で内側から塞がれた形状となっている。したがって、ボックス柱11の溶接用開口部先端は外面角部全体に亘って緩やかな面として形成されるとともに、開先形状部は外側から完全に閉塞された状態となっている。
すなわち、本実施形態では、ボックス柱11の各内側角隅部に角鋼12をそれぞれ溶接固定し、これら角鋼12の端部はそれぞれボックス柱11のダイアフラム溶接用開口端部から一定長さ引込めて位置させておく。そして、これらの角鋼12が無いボックス柱11のダイアフラム溶接用開口端部のスキンプレート内面に、第1実施形態および第2実施形態による裏当金21の折曲部を折曲した状態で、扁平な面の一側縁部を溶接固定する。この状態で、裏当金21の折曲部における湾曲した部位を角鋼12に嵌合して組合せ、ボックス柱11の溶接用開口端部のスキンプレート外表面および角隅部外面を緩やかな円弧状の曲面とした開先を形成する。
このように、本実施形態によれば、従来の開先構造に見られたような開先部分の研削加工時に角落して隣接する裏当金の角部に欠落部分が生じてしまうことがない。このため、欠落部分の発生が防止され、溶接漏れが起こることがなくなり、回転自動溶接を行なうことが可能となる。そして、ボックス柱11の直角断面において周方向の回転移動による溶接が可能となり、溶接ロボットを使用した回転溶接を行なうことができるようになる。したがって、手溶接に依存する必要がなくなり、作業手間が軽減され、作業性の向上が図れるようになる。
すなわち、本実施形態によるボックス柱のダイアフラム溶接用開先構造によれば、ボックス柱11の開口端部の角隅部に湾曲したダイアフラム溶接用開先41を形成することができ、それによりボックス柱11とこのボックス柱11よりも周囲寸法が大きいダイアフラム31との角溶接を溶接ロボットによる自動回転式の連続溶接が可能となり、自動溶接による高能率、高品質の溶接を行なうことができる。
図7は、以上の開先構造に基づき、自動溶接機を用いてボックス柱11およびダイアフラム31を同一中心周りで回転させつつ全周に亘ってロボットによる四面自動溶接を行なう状態を示す斜視図である。
図7に示すように、ボックス柱11は開口部に形成した開先にダイアフラム31を当接して予め仮溶接され、一体化される。この一体化されたボックス柱11が自動溶接機50の作業位置に回転支持装置54,55を介して支持される。回転支持装置54は駆動用モータ51、ギア装置52,53を介して回転力を付与され、一定方向aに所定速度で回転する。自動溶接機50は、三次元動作が可能なアーム42の先端に溶接トーチを備え、図示省略の制御装置により駆動され、溶接動作を行なう。
図8は、図7に示した自動溶接機50による溶接部位を拡大して示す断面図であり、図9は溶接後の状態を示す側面図である。
図8に示すように、本実施形態では隣接する1対のボックス柱11,11間にダイアフラム31が配置され、各ボックス柱11の溶接部となる開口端の外側に傾斜した開先41が形成される。これらの開先41部には、上述の裏当金21が角鋼12の先端部13と組み合った状態で固定配置されている。これにより、ボックス柱11,11およびダイアフラム31間の接合部全周に亘って開先41部が完全に封止する状態となっている。この状態で、回転するボックス柱11,11およびダイアフラム31間の開先41部に溶接トーチ43が配置され、各ボックス柱11,11に対するダイアフラム31への溶接が1パス毎に交互に行なわれる。
この場合、上述したように、ボックス柱11の溶接用開口端部のスキンプレート外表面および角隅部外面を緩やかな円弧状の曲面とした開先41が成され、開先部分が密封状態となっているため、欠落部分の発生が防止され、溶接漏れが起こることがなく円滑かつ確実な回転自動溶接を行なうことができる。そして、図9に示すように、連続溶接による溶接ビード70が得られる。
次に、図10〜図12も参照してボックス柱・ダイアフラム四面回転自動溶接工法について説明する。
本実施形態では、大別して、各角隅部が直角で少なくとも長さ方向一端が開口するボックス柱11内の各角隅部に長さ方向に沿って4本の棒状の第1裏当金である角鋼12を配置固定する工程を備える。また、ボックス柱11の開口部側の内側全周に沿ってボックス柱11の四角隅部内側に沿ってボックス柱11の開口から辺縁の一部が突出するとともにボックス柱11の各角隅部の直角内面に対してR形状として、当該R形状部位にボックス柱11の内面側から一部食い込ませた状態で連結された第2裏当金である裏当金21を配置固定する工程を備える。
また、ボックス柱11の開口部の辺縁および角隅部の全体に傾斜角度をもつ開先41を形成する開先形成工程と、ボックス柱11の開口部に形成した開先41にダイアフラム31を当接して仮溶接して一体とする一体化工程とを備える。
さらに、一体化したボックス柱11およびダイアフラム31を同一中心周りで回転させる工程を採用しつつ、全周に亘ってロボットによる四面を自動溶接する工程を備える。以下、具体的に説明する。
図10は、全体工程を示す工程図である。この図10に示すように、本実施形態では、まず、原板(鋼板)を切断してスキンプレートを用意し(S1)、各スキンプレートに開先加工を行なう(S2)。次いでボックスの組立てを行い(S3)、溶接してボックス柱11とし、第1の裏当金である角鋼12の溶接を行なう(S4)。このボックス柱11に上述した開先形成をしてダイアフラムとの組立てを行い(S5)、その後、上述の自動溶接を行なう(S6)。
図11は、柱体組立て(S5)における詳細工程を示す工程図である。この図11に示すように、まず、図1(a)および図2(a)に示した棒鋼からなる裏当金21を製作する(S11)。次に、図1(b)および図2(b)に示したように、裏当金21の曲げ加工を行い(S12)、この裏当金21をボックス柱(ボックス鋼材)11にセットする(S13)。その後、ボックス柱(ボックス鋼材)11と裏当金21との密着度を確認しながら、これらを溶接して組立てを行い(S14)、裏当金21を固定する(S15)。そして、ボックス柱(ボックス鋼材)11の溶接用開口端の加工(研削、切削)および角隅部(コーナ部)の外面のR加工(研削、切削)を行なう(S16)。これにより、図1〜図6の工程が実施される。
図12は、図7〜図9に示した自動溶接工程を示す工程図である。図12に示すように、まず、ボックス柱・ダイアフラム組立体を回転機にセットし(S21)、溶接ロボットの起動準備を行なう(S22)。次に、プログラム入力を行い(S23)、溶接ルー等のティーチング(ロボットと溶接位置の確認)を行なう(S24)。その後、ワーク回転開始し(S25)、溶接を開始する(S26)。この場合、回転機、ロボット動作確認を行なう(多間接ロボットの動作、溶接電流等)。溶接時には、ダイアフラ31の両面につき交互に溶接する(S27)。この溶接により、溶接歪の発生防止が図れる。
以上の実施形態によれば、ロボット溶接を行なうことにより、従来の人力による角溶接に比較して作業が容易、かつ高能率で行なえるうえ、プログラム入力、ティーチングによって高精度で均質な溶接が得られるようになる。そして、ボックス柱11を軸心周りに回転させる間に全連続操作としての溶接を行なう自動溶接を可能とし、作業手間および作業時間を大幅に減少して極めて能率よく、かつ高精度でボックス柱11とダイアフラム21とを溶接することができる。
(a),(b)は本発明に係る裏当金の第1実施形態を示す斜視図、(c)はボックス柱を示す斜視図。 (a),(b)は本発明に係る裏当金の第2実施形態を示す斜視図、(c)はボックス柱を示す斜視図。 本発明における裏当金装着状態の実施形態を示す拡大斜視図。 本発明における裏当金装着状態の実施形態を示す全体斜視図。 本発明における裏当金の開先形成状態を示す全体斜視図。 図5の部分拡大図。 本発明の溶接方法に適用する自動溶接機を示す斜視図。 本発明の溶接方法を説明する断面図。 本発明の溶接方法により実施された溶接部を示す側面図。 本発明に係る溶接工法を示す工程図。 本発明に係る溶接工法を示す工程図。 本発明に係る溶接工法を示す工程図。 従来例を示す斜視図 従来例を示す拡大図。 従来例を示す拡大図。 従来例を示すボックス柱・ダイアフラム接合状態図。 従来例を示す拡大図。 従来例を示す拡大図。
符号の説明
11 ボックス柱
12 角鋼
13 隙間
24 裏当金
22 切込み線
23 開口部
41 開先
50 自動溶接機

Claims (3)

  1. 扁平な矩形断面を有する棒鋼の少なくとも長手方向1箇所の扁平な面に、当該棒鋼の長手方向と直交する方向に沿うスリット状の平行かつ相互に隣接する複数の切込み線を形成し、この切込み線の部位を前記扁平な面が前記棒鋼の長手方向に沿って円弧状に湾曲して略直角に折曲し得る折曲部とし、かつ前記棒鋼の折曲部における前記切込み線に沿う方向の一側縁部に凹形の開口部を形成し、この開口部を、ボックス柱の内側角隅部に配置される角鋼の端部に組合せ可能としたボックス柱のダイアフラム溶接用開先構造であって、
    前記ボックス柱の各内側角隅部に角鋼がそれぞれ溶接固定され、これら角鋼の端部はそれぞれ前記ボックス柱のダイアフラム溶接用開口端部から一定長さ引込めた位置に設けられ、
    前記棒鋼により裏当金が構成される一方、前記ボックス柱のダイアフラム溶接用開口端部のスキンプレート内面に、前記裏当金の折曲部を折曲した状態で扁平な面の一側縁部が溶接固定され、
    前記裏当金の折曲部における湾曲した部位を前記角鋼に嵌合して組合せ、前記ボックス柱の溶接用開口端部の各辺のスキンプレート外表面を研削して前記ボックス柱の開口端部の角隅部に湾曲したダイアフラム溶接用開先を形成したことを特徴とするボックス柱のダイアフラム溶接用開先構造。
  2. 前記棒鋼の長さは前記ボックス柱の1枚のスキンプレート幅と略同一とし、前記棒鋼の長手方向の中央部に前記折曲部をそれぞれ形成し、全体として略L字形に折曲可能とした請求項1記載のボックス柱のダイアフラム溶接用開先構造。
  3. 前記棒鋼の長さは前記ボックス柱の2枚のスキンプレート幅と略同一とし、前記棒鋼の長手方向に沿う各端部から略1/4の長さ位置に前記折曲部を1箇所ずつ計2ヶ所形成し、全体として略U字形に折曲可能とした請求項1記載のボックス柱のダイアフラム溶接用開先構造。
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