JP5188627B2 - エンジン始動装置 - Google Patents

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Description

この発明は、所定のアイドルストップ条件が成立するとエンジンのアイドルストップを行い、再始動条件が成立するとエンジンを再始動させる自動アイドルストップシステムのためのエンジン始動装置に関するものである。
従来、自動車の燃費改善・環境負荷低減等を目的として、所定の条件が満たされると自動でアイドルストップを行う自動アイドルストップシステムが開発されてきた。例えば、下記特許文献1に記載のスタータピニオンをリングギアに噛み合わせるための方法およびスタータ制御装置では、リングギアの回転数が所定の範囲内かつ回転方向が順方向である場合にピニオンギアをリングギアに噛み合わせており、早期のピニオンギアとリングギアとの噛み合い状態を実現している。
また、下記特許文献2においては、一度逆転したリングギアがまた正転方向に移行するときにピニオンギアを噛み合わせている。
特開2007−107527号公報 特開2005−315197号公報
しかしながら、上記特許文献1においてはピストンの圧縮・膨張によるトルク変動を考慮しているとは言えず、例えば所定範囲の最大回転数を下回った直後に、膨張行程に入った気筒が存在すればリングギア回転数が上昇し、ピニオンギアがリングギアに当接する時点になると、所定の回転数範囲を超えており、噛み合い性が低下する場合があった。
また上記特許文献2においては、逆回転中にドライバからの再始動要求が来た場合に、逆回転しているリングギアが正回転となるまで待つ必要があり、ドライバが再始動時に違和感を感じる可能性があった。
この発明は係る問題を解決するためになされたものであり、自動アイドルストップシステムにおけるエンジンの惰性回転中のピニオンギアとリングギアとの噛み合わせを、スムーズ(噛み合い性良く)にかつ速やかに行うことを可能にしたエンジン始動装置を提供することを可能にする。
この発明は、所定のアイドルストップ条件が成立するとアイドルストップを行い再始動条件が成立するとエンジンを再始動させる自動アイドルストップシステムのためのエンジン始動装置であって、エンジンのクランク角を検出するクランク角センサと、エンジンのクランク軸に連結しエンジンの回転を伝達するリングギアと、前記リングギアの回転数を検出するリングギア回転数検出手段と、エンジンを始動するためのスタータモータと、前記スタータモータの回転を前記リングギアに伝達するピニオンギアと、前記ピニオンギアを押し出し前記リングギアと噛み合わせるピニオンギア押し出し手段と、前記リングギア回転数検出手段のリングギア回転数が所定の閾値を下回ったときに前記ピニオン押し出し手段を駆動して前記ピニオンギアとリングギアとを噛み合わせるピニオンギア押し出し制御手段を備え、前記所定の閾値は、クランク角、ギアレンジのうち少なくとも一つにより、決定されることを特徴とするエンジン始動装置にある。
この発明では、ピニオンギアとリングギアとの噛み合わせをスムーズかつ速やかに行うことで、ドライバに違和感を与えず、さらに部品の長寿命化を達成できる。
この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置の概略構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1におけるアイドルストップ制御の流れを示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1におけるピニオンギア押し出し制御の流れを示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1におけるクランク角と4気筒エンジンにおける各気筒の吸排気行程を示すイメージ図である。 この発明の実施の形態1におけるアイドルストップ開始からエンジンが惰性回転により回転数が降下していく際の、リングギア回転数およびクランク角を示すイメージ図である。 エンジン惰性回転中のリングギア回転数、クランク角および一定の閾値とした場合のそれぞれの時間的変化を示すイメージ図である。 この発明の実施の形態1におけるエンジン惰性回転中のリングギア回転数、クランク角およびクランク角毎に設定した閾値とした場合のそれぞれの時間的変化を示すイメージ図である。 この発明の実施の形態2によるエンジン始動装置の概略構成を示すブロック図である。 アイドルストップによるエンジン惰性回転中のギアレンジ毎のリングギア回転数降下特性の違いを示す図である。 クランク角のパルスとリングギア回転数の時間的変化を示す図である。
この発明では、ピニオンギアとリングギアとを噛み合わせるタイミングを、エンジンのピストンの圧縮、膨張動作が反映されているクランク角毎に設定された閾値、トランスミッションのギアレンジ毎に設定された閾値、再始動条件を考慮して設定された閾値、さらにはこれらのうちの所望の複数を組み合わせて考慮した閾値に基づきを決めている。これにより、例えばクランク角毎に発生するピストンの圧縮・膨張によるトルク変動を予測することができ、それに合わせてピニオンギア押し出し制御手段によりピニオンギア押し出し手段を駆動することにより、ピニオンギア押し出し開始後に、リングギア回転数が上昇に転じ、ピニオンギアとリングギアとが実際に当接する時点において、リングギア回転数が噛み合い可能な範囲外となることを防ぎ、ピニオンギアとリングギアをスムーズに噛み合わせることが可能となる。
以下この発明によるエンジン始動装置を各実施の形態に従って図を用いて説明する。なお各図において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し重複する説明は省略する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエンジン始動装置の概略構成を示すブロック図である。図1において、エンジンECU10はアイドルストップ条件(例えば時速5km/h以下かつドライバがブレーキを踏んでいる等)が成り立つか否かを判定し、これをエンジン始動装置19のコントローラ13へと入力する。エンジン始動装置19は、エンジンのクランク軸(図示省略)に連結しエンジンの回転を伝えるリングギア11と、エンジンのクランク角を検出するクランク角センサ12と、スタータ18と、スタータモータ17とソレノイド16への通電を制御するコントローラ13とを備える。スタータ18は、スタータモータ17の回転を伝えるピニオンギア14と、ピニオンギア14を押し出しリングギア11と噛み合わせるためのプランジャ15と、通電することによりプランジャ15を可動させることができるソレノイド16を備える。コントローラ13による通電の制御は、スタータモータ17への通電とソレノイド16への通電を制御することができる。
なお、図1ではコントローラ13とエンジンECU10を別々のものとして示しているが、コントローラ13を備える代わりに、エンジンECU10が処理を行っても良い。従ってエンジン始動装置19はエンジンECU10を含み得る。また、コントローラ13およびエンジンECU10がリングギア回転数検出手段とピニオンギア押し出し制御手段を構成し、プランジャ15とソレノイド16がピニオンギア押し出し手段を構成する。
ここで図2、図3のフローチャートを参照しながら、この発明におけるコントローラ13およびエンジンECU10での処理を説明する。まず図2を用いてピニオンギア14とリングギア11を噛み合せる前までのアイドルストップ制御の動作を説明する。エンジンECU10へ入力される信号でアイドルストップ条件が成立しているか否かを判定する(S110)。成立していなければ次の制御周期へと進む。ステップS110でアイドルストップ条件が成立していたならば、アイドルストップ制御を開始し(S111)、エンジンECU10の制御によりエンジンへの燃料供給をストップさせる。そして、エンジンの惰性回転によりリングギア回転数が降下する間に、エンジンECU10への信号でドライバからのエンジン再始動要求(例えばブレーキペダルから足を離す等)があるかを判定する(S112)。再始動要求があった場合には、ステップS113に進み、リングギア回転数Nrがエンジン自己復帰可能回転数(例えば500rpm)以上か判定を行う。
ここでリングギア回転数Nrは、クランク角センサ12からのセンサ入力周期よりコントローラ13で演算しているが、代わりにエンコーダやパルス発生器からの信号のFV(周波数−電圧)変換等による、別の手段を用いてリングギア回転数Nrを検出してもよい。
なお、エンジン自己復帰可能回転数とは、スタータ18によるクランキングを行わずに、燃料を噴射し着火するだけで再始動可能な回転数のことであり、例えば燃料を多めに噴射することで、燃焼させやすくする等の制御があるが、エンジン自己復帰の制御の詳細に関しては、この発明の範囲ではない。
ステップS113においてリングギア回転数がエンジン自己復帰回転数以上と判定されたならば、ステップS114に進みエンジンをエンジン自己復帰制御を行い、エンジンを再始動させる。また、ステップS112においてドライバからの再始動要求がなかった場合、およびステップS113においてリングギア回転数がエンジン自己復帰可能回転数より小さかった場合は、ステップS115へと進み、ピニオンギア14をリングギア11と噛み合わせる制御を行う。
次に図3を用いて、ピニオンギアを押し出してピニオンギア14とリングギア11とを噛み合わせる制御の説明を行う。アイドルストップ条件が成立してアイドルストップによりエンジンの回転が降下していく。そしてまず再始動要求があるか否かを判定する(S120)。再始動要求がないと判定された場合は、ステップS122へと進み、リングギア回転数Nrと閾値Tr1との比較を行う。リングギア回転数Nrの方が小さいならば、ステップS123へと進む。ステップS123では、ソレノイド16へと通電を開始して、プランジャ15を駆動させ、ピニオンギア14とリングギア11とを噛み合せる(S124)。また、ステップS122においてリングギア回転数Nrが閾値Tr1以上であった場合には、ステップS120へと戻り、リングギア回転数Nrが閾値Tr1より小さくなるまでステップS120〜ステップS122を繰り返す。
ここでTr1について簡単に説明する。一般的にソレノイド16へと通電を開始してから、実際にリングギア11とピニオンギア14が当接するまでには時間遅れがあり、その時間遅れの間にもリングギア回転数Nrは変化する。そこで、この時間遅れの間のリングギア回転数Nrの変化量を閾値Tr1として、エンジン特性より予め設定しておくことにより、ギア当接時のリングギア回転数を小さくし、静粛に噛み合わせることが可能となる。
リングギア回転数Nrが閾値Tr1を下回るまでの間にステップS120で再始動要求があるならばステップS121に進み、リングギア回転数Nrと閾値Tr2との比較を行い、リングギア回転数Nrの方が小さいならば、ステップS123へと進む。ステップS123では、ソレノイド16へと通電を開始して、プランジャ15を駆動して、ピニオンギア14とリングギア11とを噛み合せる(S124)。また、ステップS121においてリングギア回転数Nrが閾値Tr2以上であった場合には、リングギア回転数Nrが低下し、閾値Tr2より小さくなるまで待機する。
ここで、閾値Tr1、Tr2について4気筒のエンジンを例に説明する。図4に例として4気筒エンジンにおける1サイクル中の各気筒の行程を示す。各気筒ともに2回転(720deg)で1サイクル(圧縮、膨張、排気、吸気の4行程)となっているが、ハッチングの部分で示したように、各気筒の上死点付近では1つの気筒のみ吸気弁と排気弁が閉じている。さらに、この両弁とも閉じている期間は、上死点を通過する際の膨張、圧縮によるトルク変動が最も大きい期間であり、この上死点近傍のクランク角ではリングギア回転数の脈動が大きくなる。
そこで閾値Tr1、Tr2は、クランク角センサ12により検出されたクランク角Cang毎に設定されており、この閾値Tr1、Tr2はエンジンが複数の気筒を有する場合は、膨張行程によるリングギア回転数を上昇させようとするトルクが摩擦等に起因するリングギア回転数を下降させようとするトルクより大きくなるクランク角から、膨張行程によるリングギア回転数を上昇させようとするトルクより摩擦等に起因するリングギア回転数を下降させようとするトルクの方が大きくなるクランク角までの期間(角度領域)(例えば、図4において気筒1のBTDC(上死点前)10degから気筒1のATDC(上死点後)30deg(気筒2のBTDC150deg)まで)はその他のクランク角での閾値よりもリングギア回転数閾値Tr(Tr1,Tr2も含む、以下同様)を低くしてもよい。
また、上述の上死点近傍のクランク角度領域は、エンジン回転の角加速度が増加傾向であるクランク角度領域としてもよい。
アイドルストップによる惰性回転中のリングギア回転数Nrは、吸排気行程等のトルク変動により、図5に示すようにクランク角毎に周期的に脈動を起こしながら降下する。図5の(a)はクランク角、(b)はその時のリングギア回転数を示す。図6はエンジン惰性回転中のリングギア回転数、クランク角および一定の閾値とした場合のそれぞれの時間的変化を示すイメージ図である。(a)にはクランク角、(b)にはリングギア回転数および一定閾値(”一定回転数閾値”および”噛み合い可能回転数”参照)を示す。クランク角度毎に閾値Trを決めず、閾値Trを一定としていたとすると、図6に示すようにピニオンギア14とリングギア11とを噛み合わせるためにピニオンギア14を押し出した後、実際にピニオンギア14とリングギア11とが当接する時点で、膨張行程による回転数を上昇させるトルクが発生し、リングギア回転数Nr(図6の(b)参照)が噛み合い可能な回転数より大きくなってしまう場合があり、スムーズに噛み合わず部品の寿命を縮めたり、ギア同士の衝突音が発生することがある。
図7はこの発明の実施の形態1におけるエンジン惰性回転中のリングギア回転数、クランク角およびクランク角毎に設定した閾値とした場合のそれぞれの時間的変化を示すイメージ図である。(a)にクランク角、(b)にリングギア回転数および可変閾値(”本発明における回転数閾値”および”噛み合い可能回転数”参照)を示す。図7に示すようにクランク角Cang毎に回転数閾値を変化させることで、ピニオンギア14を押し出した後、回転数が上昇し、実際にピニオンギア14とリングギア11が当接する時に、噛み合い可能な範囲外となることを防ぐことができる。
また、閾値Tr2をTr1より高い回転数に設定することにより、再始動要求があった場合にはより早くピニオンギア14とリングギア11とを噛み合わせることができ、再始動要求がない場合にはより小さい回転数で噛み合わせることにより、静かに噛み合わせることが可能となる。
このように、クランク角Cang毎に閾値Trを設定し、上死点近傍のクランク角においては閾値Trを低く設定することにより、ピニオン押し出し開始後に、リングギア回転数Nrが上昇に転じ、ピニオンギア14とリングギア11とが実際に当接する時点において、リングギア回転数Nrが噛み合い可能な範囲外となることを防ぐ。
以上のように、この発明の実施の形態1に係るエンジン始動装置は、エンジン始動装置19は、エンジンの回転を伝えるリングギア11と、エンジンのクランク角を検出するクランク角センサ12と、スタータ18と、スタータ18とソレノイド16への通電を制御するコントローラ13とを備え、スタータ18はスタータモータ17の回転を伝えるピニオンギア14と、ピニオンギア14を押し出しリングギア11と噛み合わせるためのプランジャ15と、通電することによりプランジャ15を可動させることができるソレノイド16を備えており、コントローラ13による通電の制御は、スタータモータ17への通電とソレノイド16への通電を制御することができる。
コントローラ13およびエンジンECU10は、図2、図3のフローチャートに従い、クランク角センサ12により検出されるクランク角毎に閾値を有し、上記クランク角から求められるリングギア回転速度が上記閾値より低くなった時点でソレノイド16への通電を行い、ピニオンの押し出しを開始する。
このようにこの実施の形態によれば、エンジンECU10によりアイドルストップ条件の成立がコントローラ13に入力され、エンジンが惰性回転により回転数が降下していく際に、クランク角毎に閾値を設定し、上死点近傍のクランク角においては閾値を低く設定することにより、ピニオンギア押し出し開始後に、リングギア回転数が上昇に転じ、ピニオンギア14とリングギア11とが実際に当接する時点において、リングギア回転数が噛み合い可能な範囲外となることを防ぐことにより、リングギア11とピニオンギア14の噛み合い音を小さくし、さらに衝撃を低減することにより部品の寿命をも伸ばすことができる。
また、この実施の形態では上死点近傍に相当するクランク角Cangにおいて、閾値Trを低く設定するとしたが、代わりにピニオンの押し出しを禁止してもよい。また、図1ではコントローラ13とエンジンECU10を別々のものとしているが、コントローラ13を備える代わりに、エンジンECU10が処理を行っても良い。また、この実施の形態における上死点近傍の角度とは、ピストンの吸気弁および排気弁が両方とも閉まっている気筒が1つだけとなっているクランク角度としてもよい。
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2によるエンジン始動装置の概略構成を示すブロック図である。図8のエンジン始動装置では、さらにトランスミッションのギアレンジがどこに設定されているかを検出するギアレンジセンサ20(ギアレンジ検出手段を構成する)を備え、このギアレンジ毎に各閾値Tr(Tr1,Tr2を含む、以下同様)を設定してもよい。これによりコントローラはコントローラ13Aとなっている。
図9はアイドルストップによるエンジン惰性回転中のギアレンジ毎のリングギア回転数降下特性を示している。図9に示すように、D(ドライブ)レンジにギアを入れている場合には、N(ニュートラル)レンジに入れている場合に比べて、Dレンジ選択によりエンジンと駆動系への接続がなされているため、タイヤや変速機等からの摩擦トルクや粘性トルクが伝達され、惰性回転中のエンジン回転数の降下が早くなる場合がある。そのためギアレンジセンサ20によりDレンジであると検出された場合には、Nレンジにある場合に比して閾値Trを高く設定する。
これにより、Dレンジにおいてアイドルストップする場合においても、目標とするリングギア回転数の範囲内で噛み合いを行うことが可能となり、よりスムーズにピニオンギア14とリングギア11を噛み合わせることが可能となる。
実施の形態3.
また、上記クランク角センサ12で検出するパルスは、クランク角やカム角の基準位置を見つけるためにパルスが出力されない角度域、いわゆる歯欠けの角度がある。図10の(a)に歯欠け角度域を含むクランク角パルスの時間的変化、(b)その際のリングギア回転数の時間的変化を示す。図10に示すように、通常の2倍あるいは3倍の角度分だけクランク角によるパルスが検出されず、その間リングギア回転数Nrが変化してしまい、場合によってはエンジンが完全に停止するまでパルスが入力されず、リングギア回転数が更新されないことが起こりうる。
そこで、上記歯欠けとなる角度域の直前の角度域における閾値Tr(Tr1,Tr2を含む、以下同様)を高く設定し、ピニオンギアを早期に押し出しても良い。これにより、歯欠けの角度域でクランク角からのパルス信号が入力されず待ち状態にある時に、実際のリングギア回転数Nrが大きく変化しているもしくは完全に停止することを防ぐことができる。
また、バッテリ電圧や車速に応じて上述の各閾値を変更してもよく、例えばバッテリ電圧が低い場合にはソレノイド16に流れる電流が小さくなるためピニオンギア14を移動させる力が弱くなり、ソレノイド16への通電開始からリングギアとピニオンギアが当接するまでの時間が長くなる。よって、バッテリ電圧が低い場合に閾値を高く設定することにより、ギア当接時のリングギア回転数を小さくすることができる。
これは例えばピニオンギア押し出し制御手段を構成するコントローラ13およびエンジンECU10が電源電圧検出手段も構成し、通常のエンジン制御のために外部のバッテリ電圧センサ等(図示省略)からエンジンECU10に入力される電源電圧信号からバッテリ電圧を得て、バッテリ電圧に従って上述のように各閾値を設定する。
一方、車速が高い場合には、例えばギアレンジがDレンジに設定されている場合に、タイヤの回転等から順回転方向のトルクがエンジンに伝わり、リングギア回転数の変化量が小さくなる場合がある。よって、車速が高い場合に上述の各閾値を小さく設定することにより、ギア当接時のリングギア回転数を小さくすることができる。
これは例えばピニオンギア押し出し制御手段を構成するコントローラ13およびエンジンECU10が車速検出手段も構成し、通常のエンジン制御のために外部の車速センサ等(図示省略)からエンジンECU10に入力される車速信号から車速、またはさらにギアレンジセンサ20からギアレンジ信号を得て、車速またはさらにギアレンジに従って上述のように各閾値を設定する。
なお、この発明は上記個々の実施の形態に限定されるものではなく、これらの可能な組み合わせを全て含むことは云うまでもない。従ってピニオンギアとリングギアとを噛み合わせるタイミングを決める閾値は、クランク角毎に設定するものとする、トランスミッションのギアレンジを考慮する、再始動条件の有無を考慮する、クランク角センサの歯欠け角度域を考慮する、のうちの所望の複数を考慮して設定された閾値とする。例えば全てを考慮した場合、閾値は、クランク角毎に設定し、かつトランスミッションのギアレンジ毎に設定し、さらにそれぞれ再始動条件の有無に従ってそれぞれ設定し、かつクランク角センサの歯欠け角度域を考慮して設定したものとなる。
10 エンジンECU、11 リングギア、12 クランク角センサ、13,13A コントローラ、14 ピニオンギア、15 プランジャ、16 ソレノイド、17 スタータモータ、18 スタータ、19 エンジン始動装置、20 ギアレンジセンサ。

Claims (12)

  1. 所定のアイドルストップ条件が成立するとアイドルストップを行い再始動条件が成立するとエンジンを再始動させる自動アイドルストップシステムのためのエンジン始動装置であって、
    エンジンのクランク角を検出するクランク角センサと、
    エンジンのクランク軸に連結しているリングギアと、
    前記リングギアの回転数を検出するリングギア回転数検出手段と、
    エンジンを始動するためのスタータモータと、
    前記スタータモータの回転を前記リングギアに伝達するピニオンギアと、
    前記ピニオンギアを押し出し前記リングギアと噛み合わせるピニオンギア押し出し手段と、
    前記リングギア回転数検出手段のリングギア回転数が所定の閾値を下回ったときに前記ピニオン押し出し手段を駆動して前記ピニオンギアとリングギアとを噛み合わせるピニオンギア押し出し制御手段を備え、
    前記所定の閾値は、クランク角、ギアレンジのうち少なくとも一つにより、決定されることを特徴とするエンジン始動装置。
  2. 前記ピニオンギア押し出し制御手段が、アイドルストップ条件が成立してアイドルストップによりエンジンの回転が降下していき、前記リングギア回転数が第1の閾値を下回った時に前記ピニオン押し出し手段を駆動して前記ピニオンギアとリングギアとを噛み合わせ、リングギア回転数が前記第1の閾値を下回るまでの間に、前記再始動条件が成立した時に、リングギア回転数が前記第1の閾値より高い第2の閾値より下回る時に再始動のために前記ピニオン押し出し手段を駆動して前記ピニオンギアとリングギアとを噛み合わせることを特徴とする請求項1記載のエンジン始動装置。
  3. エンジンのためのトランスミッションのギアレンジの現在設定位置を検出するギアレンジ検出手段をさらに備え、前記ピニオンギア押し出し制御手段の前記閾値又は前記第1及び第2の閾値が、前記ギアレンジ検出手段により検出されたギアレンジ毎に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジン始動装置。
  4. 前記ピニオンギア押し出し制御手段の前記閾値又は前記第1及び第2の閾値が、エンジンの各気筒の上死点近傍の所定のクランク角度領域では、値を下げて設定されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のエンジン始動装置。
  5. 前記ピニオンギア押し出し制御手段が、エンジンの各気筒の上死点近傍の所定のクランク角度領域では、前記ピニオンギア押し出し手段を駆動しないことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のエンジン始動装置。
  6. 前記上死点近傍の所定のクランク角度領域が、エンジン回転の角加速度が増加傾向であるクランク角度領域であることを特徴とする請求項4または5に記載のエンジン始動装置。
  7. 前記上死点近傍の所定のクランク角度領域が、エンジンのピストンの吸気弁および排気弁が両方とも閉まっている気筒に対応するクランク角度領域であることを特徴とする請求項4または5に記載のエンジン始動装置。
  8. クランク角の基準のためのクランク角センサのパルスが検出されない角度域が存在する場合に、前記パルスが検出されない角度域の直前の角度域での前記閾値又は前記第1及び第2の閾値がより高く設定されていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載のエンジン始動装置。
  9. 電源電圧を検出する電源電圧検出手段を備え、前記ピニオンギア押し出し制御手段が、前記電源電圧検出手段により検出された電源電圧が所定の電圧よりも低い場合に、前記閾値又は前記第1及び第2の閾値を高く設定することを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載のエンジン始動装置。
  10. 車速を検出する車速検出手段を備え、前記ピニオンギア押し出し制御手段が、前記車速検出手段により検出された車速により、前記閾値又は前記第1及び第2の閾値を変更することを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載のエンジン始動装置。
  11. 所定のアイドルストップ条件が成立するとアイドルストップを行い再始動条件が成立するとエンジンを再始動させる自動アイドルストップシステムのためのエンジン始動装置であって、
    エンジンのクランク角を検出するクランク角センサと、
    エンジンのクランク軸に連結しているリングギアと、
    前記リングギアの回転数を検出するリングギア回転数検出手段と、
    エンジンを始動するためのスタータモータと、
    前記スタータモータの回転を前記リングギアに伝達するピニオンギアと、
    前記ピニオンギアを押し出し前記リングギアと噛み合わせるピニオンギア押し出し手段と、
    前記リングギア回転数検出手段のリングギア回転数が所定の閾値を下回ったときに前記ピニオン押し出し手段を駆動して前記ピニオンギアとリングギアとを噛み合わせるピニオンギア押し出し制御手段を備え、
    前記所定の閾値は、再始動条件により決定されるエンジン始動装置において、
    電源電圧を検出する電源電圧検出手段を備え、前記ピニオンギア押し出し制御手段が、前記電源電圧検出手段により検出された電源電圧が所定の電圧よりも低い場合に、前記閾値を高く設定することを特徴とするエンジン始動装置。
  12. 所定のアイドルストップ条件が成立するとアイドルストップを行い再始動条件が成立するとエンジンを再始動させる自動アイドルストップシステムのためのエンジン始動装置であって、
    エンジンのクランク角を検出するクランク角センサと、
    エンジンのクランク軸に連結しているリングギアと、
    前記リングギアの回転数を検出するリングギア回転数検出手段と、
    エンジンを始動するためのスタータモータと、
    前記スタータモータの回転を前記リングギアに伝達するピニオンギアと、
    前記ピニオンギアを押し出し前記リングギアと噛み合わせるピニオンギア押し出し手段と、
    前記リングギア回転数検出手段のリングギア回転数が所定の閾値を下回ったときに前記ピニオン押し出し手段を駆動して前記ピニオンギアとリングギアとを噛み合わせるピニオンギア押し出し制御手段を備え、
    前記所定の閾値は、再始動条件により決定されるエンジン始動装置において、
    車速を検出する車速検出手段を備え、前記ピニオンギア押し出し制御手段が、前記車速検出手段により検出された車速により、前記閾値を変更することを特徴とするエンジン始動装置。
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