この発明は、例えばパチンコ遊技機(以下、パチンコ機と称す)の球を貯留する球貯留装置に関し、さらに詳しくは貯留されている多数個の貯留球を抜き取る球抜機構の占有する領域を小さくした球貯留装置、貯留タンク一体型球払出装置及び遊技機に関する。
一般に、パチンコ機はパチンコ球(以下、球と称す)をパチンコ機の背面側から前面側に球を供給している。この球の供給に際しては、パチンコ機の背面側上部に多数の球を貯留する貯留タンクを設置しており、この貯留タンクへはパチンコ機上方の図示しない補給機構から球を補給させて貯留し、貯留タンクから球を整列する球整列装置を介して、下流の球払出装置(入賞球処理装置)に導き、ここで球の払出時にパチンコ機の制御部より払出指令された球数をパチンコ機の前面下部に位置する上皿に払い出している。
また、パチンコ機には、パチンコ機の内部に有する球を回収して、空にする球抜機構や球抜通路が備えられている。この種の球抜機構は切替えレバーを備えて球払出装置や球整列装置などに一体化、もしくは近接して配設されている(例えば特許文献1参照)。そして、パチンコ機の出荷検査時、または遊技ホール内でのパチンコ機の移動(入れ替え)時、もしくはパチンコ機の撤去(廃棄)時等に、該パチンコ機の内部に残っている球を全て回収して空にすることが必要になり、このようなときに球抜機構が使用される。
ところで近年、遊技における趣向性を高めるために、液晶画面の大型化、遊技領域の拡大、演出効果部品の大型化などの対応が図られている。よって、このような対応を実現するにはパチンコ機の背面側での搭載部品及びユニットの配置自由度を高めることが必要になり、趣向性を高める部品の配置スペースを確保するためには球払出装置等の既存の部品のコンパクト化と貯留タンクと球払出装置を含むユニットの占有する領域の省スペース化が求められている。
前記特許文献1に示すようなパチンコ機では、その背面側に、球通路35と球抜通路42とが併設され、さらに球払出装置24を下方に配置しているため、パチンコ機の背面側ではこれらの搭載部品の占有する領域が大きくなり、特に趣向性を高める部品を配置するために貯留タンク、球払出装置及び球整列通路等の配設スペースが制限され、配置自由度が小さくなっていた。また、球抜時に重錘部49を操作して球抜用の可動部材43を回動させるが、該可動部材43が回動する範囲も考慮しなければならないため、可動部材43の占有する領域も必然的に大きくなってしまう。
このような問題に着目して、払い出し用の排出部を貯留タンク近傍に配設した遊技機が提案されている(例えば特許文献2参照)。ところが、この場合においても払い出し通路24と球抜通路としての回収通路25を併設する必要があることと、通路の切替え部材である開閉板58と、回収通路25自体の配置スペースとが必要になり、液晶ユニットやその基板ケース16の配置の妨げとなっていた。また、球抜時に操作部61を操作して開閉板58を回動させることになるが、回動する範囲も考慮しなければならないため、開閉板58が占有する領域が大きくなってしまう問題を有していた。なお、ここで記載している符号については各々の特許文献1、2に記載されている符号を示す。
特開2003−164631
特開2000−300773
そこでこの発明は、このような問題に鑑み、球抜機構をコンパクト化し、球抜時の球抜機構の動作範囲を少なくすることにより、その周辺の配置領域が広く確保でき、趣向性を高める部品の配置自由度を向上することができる球貯留装置、貯留タンク一体型球払出装置及び遊技機を提供することを目的とする。
この発明は、多数個の球を貯留する貯留タンクと、該貯留タンクに貯留された球を1列に整列して流下させる球整列通路とを一体化したユニットを、基台を介して遊技機の背面側上部に設置した球貯留装置であって、前記遊技機の背面側上部から水平に突出する水平摺動ガイド部材と、前記水平摺動ガイド部材に沿って前記球整列通路を遊技機の背面に対して前記球の1通路の幅長さ分離間させるように遊技機の奥行き方向へと平行に水平移動させるスライド機構とを備えた水平移動手段を設け、前記水平移動手段により前記球整列通路の終端側に有する球排出口を第1の球排出位置から該第1の球排出位置と並行して前記球の1通路の幅長さ分奥行き方向側に配設された第2の球排出位置へと平行に水平移動させて前記球整列通路の球排出位置を切替える構成としたことを特徴とする。
前記水平移動手段は、球貯留装置の上下方向の移動スペースが確保できない場合の移動手段であり、球整列通路を遊技機背面側の奥行き方向へと水平移動させることで球貯留装置の排出通路を切替えることができる。これにより、1通路の球整列通路を、第1の球排出位置と第2の球排出位置との何れか一方に切替えて接続させることができる構成のため、球整列通路は1通路あればよく、2通路分を形成する必要がなくなり、球整列通路の省スペース化に伴い球貯留装置の小型化が図れる。ことに、球貯留装置の上部及び下部に既設部材が配設されている場合であっても、その設置領域内で球整列通路を水平移動させれば、設置領域の上下領域を回避した移動が可能になり、水平移動によって容易に排出位置を切替えることができる。
前記スライド機構は、少なくとも球整列通路がスライドすればよく、該球整列通路と貯留タンクとを一体化している場合は、これらが一体にスライドするので安定してスライド移動させることができる。よって、球整列通路を水平移動させて球排出位置を切替えた際は、球排出位置を精度よく切替えることができる。
この発明の態様として、前記水平移動手段を、前記貯留タンクを前記遊技機に係止させて、前記球整列通路が移動するのを規制する移動規制手段と、前記移動規制手段の係止状態を解除して、前記球整列通路が移動するのを許容させる移動解除手段とを備えて構成することができる。
前記球整列通路は、移動規制手段によって移動前の本来の位置に固定されている。これに対し、球整列通路を移動させる際は、移動解除手段によって球整列通路の移動規制を解除させれば、球整列通路を容易に移動させることができ、排出位置を切替える操作は球整列通路を水平移動させるだけでよい。
この発明の別の構成として、多数個の球を貯留する貯留タンクと、該貯留タンクに貯留された球を1列に整列して流下させる球整列通路と、球整列通路から整列されて流下される球を回転体の回転送り動作により下流側に払い出す球払出装置とを同傾斜方向に連設してなる一体型ユニットを遊技機の背面側上部に設置した球貯留装置であって、前記球整列通路を遊技機の奥行き方向へと水平移動させる水平移動手段を設け、前記水平移動手段により前記球整列通路を、球払出通路との接続位置より球抜通路との接続位置へと移動させる構成とした貯留タンク一体型球払出装置であることを特徴とする。
前記貯留タンク一体型球払出装置を用いれば、遊技機の背面側上部に配設する場合に、貯留タンクと球整列通路と球払出装置とを同傾斜方向に一体に連設させて配置することができる。ことに、高さを低くして背面側の上部スペースに効率よく配設することができる。また、取付けに際しても、貯留タンク一体型球払出装置を単一のユニットとして遊技機の背面側に簡単に取付けることができる。
このように構成された球貯留装置または貯留タンク一体型球払出装置を遊技機に組込めば、小型化して組み込むことができるため遊技機の背面側では配置スペースの拡大が図れ、大型化した部品の配置が可能になる。よって、遊技の趣向性の改善を図る場合に容易に実現できる。
この発明によれば、球整列通路を水平移動させるだけで球の排出位置を一方から他方に切替えることができる。ことに、球整列通路は一方と他方の球排出位置に共通利用できるので該球整列通路は1通路でよく、2つの球整列通路を併設する必要がなくなり、球整列通路の占有領域を縮小化できる。この結果、遊技機の背面側の縮小化が図れ、趣向性を高める各種部品の配置自由度を向上できる。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて説明する。
図1はパチンコ機11の起立した遊技台盤面の背面側上部に設置される貯留タンク一体型球払出装置13を示す要部背面図であり、図2はパチンコ機11の遊技台盤面の背面側上部に設置される貯留タンク一体型球払出装置13を示す要部斜視図である。
この貯留タンク一体型球払出装置13は、上方の図示しない補給機構から補給された球を遊技台盤面の背面側上部に有し後述する貯留タンク16で貯留し、ここで貯留した球を流下させて受け渡す下流端部には、下流通路14が接続され、遊技台盤面の前面側下部に設けられている受皿(上皿)へと払い出される。さらに、遊技台盤面の背面側中央部には、大型の表示装置や制御部等を備えた基板部15が配設される。
次に、貯留タンク一体型球払出装置13について具体的に説明する。
図3は貯留タンク一体型球払出装置13の外観斜視図であり、図4は貯留タンク一体型球払出装置13の分解斜視図である。
この貯留タンク一体型球払出装置13は、上流側の貯留タンク16と下流側の球整列通路17とを一体化してなる可動ユニットU1と、該可動ユニットU1を搭載した状態で前記遊技台盤面の背面側上部に固定設置される固定ユニットU2とから構成される。
前記可動ユニットU1は、横長に設置した大きな貯留タンク16と、この貯留タンク16の台端側に突出する球整列通路17とを一体に連結した単体構成をとっている。そして、図示しない前記補給機構から補給された球を貯留タンク16で一時的に貯留し、球の払出時に貯留タンク16から球を球整列通路17で一条(1列)に整列して流下させ、流下された球を球整列通路17に隣接される球払出部18で送り出し、払出指令された球数を計数して受皿へと払出処理する。
前記貯留タンク16は、上方の図示しない補給機構から供給された球を受け取れるように、上方が開口された箱型の形状を有している。また、貯留タンク16の底面は、球が自重により転動して下流側の球整列通路17へ向かうよう緩やかに傾斜している。さらに、貯留タンク16の下流側の底面近傍の側壁は、複数の球が球整列通路17の入口で球詰まりが生じないように、球整列通路17に近づくにつれて徐々に幅が狭くなるハの字型に形成している。そして、底面近傍の側壁の間隔が球1個分より若干広い程度になったところから下流側の球整列通路17に連通するように通路状に形成されている。
また、貯留タンク16の下流側上部には、球高さ制限用のタンク天板19を備えている。このタンク天板19は、貯留タンク16内に積み重なった状態で流下する球の上層部分を受け止めて、その上層部分が流下することを阻止する。そのため、多数の球が重なったまま球整列通路17に流下することが防止される。
前記球整列通路17は、貯留タンク16の下流側に連結され、貯留タンク16と一体化されて貯留タンク16から流下される球を、その傾斜面上の下流端部に隣接された球払出部18へと1個ずつ導くように、球1個分よりも若干広い通路幅を有している。さらに、球整列通路17の底面は、球が自重によって転動し、貯留タンク16から球払出部18へ向かうように、下流側が低くなる緩やかな傾斜角度を有している。
前記球整列通路17は底面の傾斜角度が小さ過ぎると、球整列通路17を流下する球の流下速度が遅くなり、流下する球同士の間隔が空いてしまう。そのため、球払出部18では球噛み、球抜け、といった不具合を生じるおそれがある。逆に、球整列通路17の底面の傾斜角度が大き過ぎると、球整列通路17を流下する球に後続の球が当たり、このときに加わる球圧が大きくなり過ぎてしまい、球がうまく整列されず、球詰まりの発生原因になる。そこで、球整列通路17の底面の傾斜角度は、球の材質や大きさの関係からパチンコ球の場合、5度〜8度の範囲内に設定することが好ましい。球整列通路17の傾斜角度がこの範囲内に設定されていれば、球整列通路17を流下する球同士の間隔が広くなり過ぎず、球を連続的に流下させることができ、過剰な球圧が掛かることを防止することができる。
また、球整列通路17には球を1列に整列した際に、球整列通路17内で上下方向に複数段に積まれた球を上下2段の高さに整列するための通路天板20が配設されている。この通路天板20により上下2段に整列された下流側の球に対しては、さらに1段の高さに整列するための整列ローラ21が配設されている。このようにして球整列通路17を流下する球は1条1段に整列されて、その下流側の球払出部18へと導かれる。また、球整列通路17の一方の側壁には球検知センサS1が配設され、球整列通路17内の球の有無を検知する。そして、検知した信号は、貯留タンク一体型球払出装置13の動作を制御する制御部に送信される。
図5は貯留タンク一体型球払出装置13の球払出状態を示す要部平面図であり、図6は貯留タンク一体型球払出装置13の球払出状態を示す図5のA−A線矢視断面図である。
前記球払出部18は、後述する固定ユニットU2に支持され、該固定ユニットU2より可動ユニットU1側の球整列通路17上へと延設されるものであって、球整列通路17の終端部上面に球払出部18のスプロケット22を対設し、このスプロケット22と球整列通路17の終端部底面との間に導かれた球Pを払出回転方向に1個ずつ連続的に送り出すものである。
そして、球整列通路17の終端部のスプロケット22の位置に導かれた球Pは、スプロケット22の回転に伴って1個ずつ下流側に送られる。このスプロケット22は、球送りに適した送り爪を周方向に等分配設して形成しており、図示しない払出モータ及び動力伝達機構を介して伝達された動力により、スプロケット22を払い出しに適した一定速度で回転させる。
これにより、ここに導かれた球Pは該スプロケット22の回転に伴って1個ずつ送り爪で仕切って個別送りする。この場合、制御部によって指示された球の個数分だけスプロケット22は回転し、球整列通路17を流下してきた球Pを該球整列通路17の終端側開口部17aに接続される接続通路31の終端側開口部31aより落下させて放出させ、放出された球Pを受皿に通じる下流通路14へと送り出して払い出す。
このスプロケット22の回転量は、スプロケット22に近接して設けられた図示しない回転検知センサによって検知され、その検知した情報は制御部に送られる。また、スプロケット22の下流側には、スプロケット22により払い出された球Pを計数する球計数センサS2を配設している。
前記固定ユニットU2はL型状を有し、L型垂直片側の一方の平面的な垂直面12aが固定設置面として遊技台盤面の背面側上部にビス止め等によって固定設置される。
また、L型垂直片側の他方となる垂直面12b側には、その流下方向の中央部と下流端部側にL型水平片と同方向に突出して前記可動ユニットU1をスライド支持する第1水平摺動ガイド軸26と第2水平摺動ガイド軸28を有している。さらに、L型水平片には、貯留タンク16と対応する上流側に重量の掛かる貯留タンク16の底面を支えるタンク支持片30を突設させている。また、球整列通路17と対応する下流側には、前記通路天板20、整列ローラ21、球検知センサS1、球払出部18、球計数センサS2及び接続通路31、球抜通路カバー32、通路仕切板33等が一体に備えられている。
ところで、貯留タンク一体型球払出装置13には、ここに払出待機されている全ての球を球抜回収して、空にする球抜機構23を備えている。この球抜機構23は、パチンコ機11の出荷検査時や遊技ホール内でのパチンコ機11の移動(入れ替え)時、もしくはパチンコ機の撤去(廃棄)時等に使用される。
この球抜機構23は、貯留タンク一体型球払出装置13の可動ユニットU1を固定ユニットU2から離れる奥行き方向にスライドさせるスライド機構24と、このスライド機構24を操作者がスライド操作させる操作部25とから構成される。
前記スライド機構24は、固定ユニットU2より水平に突出させた第1水平摺動ガイド軸26に、可動ユニットU1の第1摺動軸孔27を摺動自在に挿通させ、同じく固定ユニットU2より水平に突出させた第2水平摺動ガイド軸28に、可動ユニットU1の第2摺動軸孔29を摺動自在に挿通させている。これにより、可動ユニットU1は、固定ユニットU2に水平にスライド自由に支持される。よって、可動ユニットU1は垂直な遊技台盤面の裏側よりパチンコ機11の奥行き方向へと水平にスライド許容される。
このスライド機構24によって可動ユニットU1をスライドさせたとき、該可動ユニットU1の球整列通路17の終端側開口部17aが、接続通路31を介して球払出通路14aと対応している接続位置から球抜通路14bとの接続位置に切替えられる(図10参照)。
次に、スライド機構24を操作する操作部25について説明する。
図7は操作部25のロックレバー34を示す斜視図であり、図8はロックレバー34による可動ユニットU1のスライド規制状態と規制解除状態を示す要部縦断面図である。
前記操作部25は、樹脂材等の弾性変形可能な材質で形成されるロックレバー34を可動ユニットU1の中央部上面に備えている。このロックレバー34は、図7に示すように、一端部の上面に指先で押下操作する小さな押下操作面35を有し、その押下操作面35の中央寄りに軸支孔36を開口し、該軸支孔36から他端部側に向けて上下に平行して延びる長尺の上レバー37と短尺の下レバー38とを延設している。また、上レバー37の先端部下面には固定ユニットU2に係止させる鉤型の下向き係止部37aを形成しており、下レバー38の先端部上面にはロックレバー34の回動を規制するレバーストッパ38aを形成している。
このように構成されたロックレバー34の軸支孔36にレバー軸39を横貫させた状態(図4参照)で、該ロックレバー34を可動ユニットU1の中央部上面に凹部形成したレバー収納部40に収納させている。この場合、レバー収納部40はスライド方向(奥行き方向)に沿って凹部形成され、スライド方向と直交するレバー収納部40をまたいだ両側の位置に形成されるレバー軸支部41に、レバー軸39をそれぞれ軸支させ、そのレバー軸39を回動中心としてロックレバー34の上レバー37を上下方向に回動自由に軸支してロックレバー34を収納させている。
通常、ロックレバー34は、図8(A)に示すように、上レバー37の下向き係止部37aが固定ユニットU2側に延出しており、この下向き係止部37aと対応する固定ユニットU2の上面に形成されている上向き係止部42に該下向き係止部37aが係止されて下向きの回動が規制されている。また、下レバー38のレバーストッパ38aがその上方に対応する可動ユニットU1に設けられている下面ストッパ部43に当接して上向きの回動が規制されている。このため、該ロックレバー34は上下方向の回動が規制されている。よって、可動ユニットU1はロックレバー34により固定ユニットU2にロックされ、両ユニットU1,U2は一体に連結されて固定された状態にある。
これに対し、図8(B)に示すように、ロックレバー34の押下操作面35を押し込むように押下操作すると、該ロックレバー34はレバー軸39を中心に上下レバー37,38が上向きに回動しようとし、このうち上レバー37のみが上方に回動し、上向き係止部42との係止が外れてロック解除される。これに対し、下レバー38は押下操作面35が押し込まれても下面ストッパ部43に当接して回動規制されたままである。これにより、両ユニットU1,U2間の連結が解除されて可動ユニットU1のスライドが許容される。そして、押し込み操作を止めると、押下力が除去されて弾性たわみを生じていた下レバー38の弾性力でロックレバー34は押下前の図8(A)に示す元の状態に復帰する。
従って、可動ユニットU1は最も遊技台盤面の裏側(奥側)に位置する場合、固定ユニットU2に具備した上向き係止部42にロックレバー34から延出された上レバー37の下向き係止部37aが係止しており、ロックレバー34の押下操作面35を押下操作し、下向き係止部37aを固定ユニットU2の上向き係止部42から解除しなければ、遊技台盤面の裏側と離れる方向(手前方向)にスライド移動できない構造になっている。
また、可動ユニットU1を固定ユニットU2に装着後、固定ユニットU2の第1水平摺動ガイド軸26の先端部には抜け防止ストッパ44がビス45で固定されており、第2水平摺動ガイド軸28には球抜通路カバー32の上流側端部に一体化して備えられる抜止部32a及び通路仕切板33が各ビス45でそれぞれ固定されている。これにより、可動ユニットU1が遊技台盤面の裏側と離れる方向に引き出されると、可動ユニットU1に具備されたリブ(図示せず)に抜け防止ストッパ44の径方向に突出したリブ44aの内面側が当接し、また同時に可動ユニットU1の第2摺動軸孔29が球抜通路カバー32と一体化されている抜止部32aの内面側に当接するため、これより手前には引き出せない構造になっている。
このように構成された貯留タンク一体型球払出装置13の球抜操作について説明する。
通常、パチンコ機11が遊技利用されている稼動状態では、図5に示すように、可動ユニットU1が最も遊技台盤面の裏側に近い側(奥側)に位置した状態にある。この場合、図8(A)に示すように、可動ユニットU1はロックレバー34が固定ユニットU2側に係止されていることで、可動ユニットU1が固定ユニットU2に連結されてスライド移動が規制されている。
このとき、球整列通路17はその上方に通路天板20及び整列ローラ21が対向した状態となり、その下流側には球払出部18が位置し、球検知センサS1にて球整列通路17の球を検知するので、制御部からの払出信号に基づき、一連の球払出動作が実行される。そして、球払出部18によって払い出された球は、図2に示すように、下流通路14の球払出通路14aへと流下し、パチンコ機11の前面下部に位置する受皿(上皿または下皿)へと払い出される。
ところで、例えばパチンコ機11の出荷検査時や遊技ホール内でのパチンコ機の移動(入れ替え)時、もしくはパチンコ機の撤去(廃棄)時等のために、貯留タンク一体型球払出装置13内の球を全て抜き取る場合は、まず図8(B)に示すように、ロックレバー34の押下操作面35を押下操作して可動ユニットU1側の下向き係止部37aと固定ユニットU2側の上向き係止部42との係止を解除し、固定ユニットU2に連結されていた可動ユニットU1を規制解除してスライド自由にする。その状態で可動ユニットU1を遊技台盤面の裏側より離れる方向に水平にスライドさせると、図9及び図10に示すように、可動ユニットU1が、固定ユニットU2と一体の抜け防止ストッパ44及び抜止部32aに当接するまで引き出されて1通路の幅長さ分が動かされる。
この場合、図6に示すように、球整列通路17内の球Pはスプロケット22により流下を規制されているため、可動ユニットU1を引き出すことで、スプロケット22より上流側の球P、すなわち、この貯留タンク一体型払出装置13内の全ての球Pを手前に引き出すことができる。このとき、引き出した位置が下方の垂直な球抜通路14bの位置と一致して停止される。
前記球抜通路14bは、球払出通路14aと並行して配設されており、球抜通路14bにはスプロケット22などの通路規制部材がないため、引き出された後の球Pは、球抜通路14bを流下することが可能になり、球抜通路14bの下流は下方に排出させるように配設されているため、貯留タンク一体型払出装置13内の球を全てパチンコ機11の外部へと抜き取ることができる。
参考例
次に、貯留タンク一体型球払出装置113の可動ユニットU11を回動させて通路を切替える回動機構141について説明する。図11は参考例の貯留タンク一体型球払出装置113の外観斜視図であり、図12は参考例の貯留タンク一体型球払出装置113の分解斜視図である。
この貯留タンク一体型球払出装置113は可動ユニットU11を水平に回動させることで通路を切替えることができる回動機構141を有している。前記実施例1とは可動ユニットU11を回動させて球抜きする部分のみが異なり、他の構造は同一であるため異なる部分についてのみ説明する。
この回動機構141は、可動ユニットU11の回動支点となる軸支部142と、可動ユニットU11の回動ガイド部143とを備えて構成される。前記軸支部142は固定ユニットU12のタンク支持片130の上流側端部に支軸144を立設し、該支軸144と対応する可動ユニットU11の貯留タンク上流側端部に、下面を開口し、上面を閉鎖して前記支軸144を被嵌した状態に挿通させる回転軸孔を内周面に有する軸支筒体145を設けている。
そして、固定ユニットU12に可動ユニットU11を搭載する際に、固定ユニットU12の支軸144に、可動ユニットU11の軸支筒体145の回転軸孔を挿通させる。これにより、可動ユニットU11は固定ユニットU12の支軸144を中心に回動自由に軸支されて配設されることになる。
前記回動ガイド部143は、回動ガイド溝146と、抜止レバー147とを備えて構成される。前記回動ガイド溝146は、可動ユニットU11の中央部上面に、前記軸支部142を中心に該可動ユニットU11が回動した際に、緩やかな円弧形の軌跡に沿って形成される溝であり、この回動ガイド溝146の内部に後述する抜止レバー147が収納ガイドされる。また、回動ガイド溝146の溝方向の中間部には回動規制ストッパ148を有している。
上述の抜止レバー147は、前記回動ガイド溝146と対応する固定ユニットU12の上面にビス149止めして一体に固定され、該固定位置より回動ガイド溝146の円弧形の軌跡に沿う円弧形のレバーを延設し、そのレバー先端部に係止用としてL型に屈曲した回動規制片150を設けている。
これにより、貯留タンク116の上面に設けた回動ガイド溝146に合わせて、抜止レバー147を装着し、抜止レバー147は可動ユニットU11が回動するときの案内ガイドとしての機能と、可動ユニットU11の上方への抜け防止の機能とを備え、さらには可動ユニットU11が予め設定された通路切替え位置の規定の角度を回動した時に、抜止レバー147の先端部の回動規制ストッパ148が、回動ガイド溝146内の回動規制ストッパ148に係止されることになり、回動ストッパとしての機能も備えている。
なお、回動機構141が実施例1の通路を切替える役目の代りをするため、実施例1のスライド機構24を構成していた第1水平摺動ガイド軸26、その第1摺動軸孔27、抜け防止ストッパ44、第2摺動軸孔29等のスライド構成部は省略される。
次に、参考例の貯留タンク一体型球払出装置113における球抜操作について説明する。
通常、パチンコ機が遊技利用されている稼動状態では、図11及び図13(A)に示すように、可動ユニットU11が最も遊技台盤面の裏側に近い側(奥側)に位置した状態にある。この場合、可動ユニットU11はロックレバー134が固定ユニットU12側に係止されていることで、可動ユニットU11が固定ユニットU12に連結されて回動が規制されている(図8(A)参照)。
このとき、球整列通路117はその上方に通路天板120及び整列ローラ121が対向した状態となり、その下流側には球払出部118が位置し、球検知センサS11にて球整列通路117の球を検知するので、制御部からの払出信号に基づき、一連の球払出動作が実行される。そして、球払出部118によって払い出された球は、下流通路の球払出通路(図2の14a参照)へと流下し、パチンコ機の前面下部に位置する受皿(上皿)へと払い出される。
ところで、例えばパチンコ機の出荷検査時や遊技ホール内でのパチンコ機の移動(入れ替え)時、もしくはパチンコ機の撤去(廃棄)時等のために、貯留タンク一体型球払出装置113内の球を全て抜き取る場合は、ロックレバー134を押下操作して固定ユニットU12に連結されていた可動ユニットU11を規制解除して回動自由にする。その状態で可動ユニットU11を遊技台盤面の裏側より離れる方向に水平に回動させると、図13(B)に示すように、可動ユニットU11の回動規制ストッパ148が、固定ユニットU12と一体の抜止レバー147の回動規制片150に当接するまで回動して引き出され、1通路の幅長さ分が動かされる。
この場合、球整列通路117内の球Pはスプロケット122により流下を規制されているため、可動ユニットU11を引き出すことで、スプロケット122より上流側の球P、すなわち、この貯留タンク一体型払出装置113内の全ての球Pを手前に引き出すことができる。このとき、引き出した位置が下方の垂直な球抜通路(図2の14b参照)の位置と対応して停止される。
前記球抜通路は、球払出通路と並行して配設されており、球抜通路にはスプロケット122などの通路規制部材がないため、引き出された後の球Pは、球抜通路を流下することが可能になり、球抜通路の下流は下方に排出させるように配設されているため、貯留タンク一体型払出装置113内の球を全てパチンコ機の外部へと抜き取ることができる。
また、回動機構141は可動ユニットU11の全体を回動させる例を示したが、これに限らず、例えば球整列通路117の上流側端部を回動自由に軸支して設け、該軸支部を回動支点に球整列通路117を首振りするように部分的に回動させても構成することができる。
上述のように、可動ユニットを水平にスライド移動または回動移動させるだけで球の排出位置を一方から他方に切替えることができる。よって、可動ユニットの移動によって切替えられる球整列通路は、一方の球払出通路と他方の球抜通路との何れかに対応させて切替えるという共通利用が図れるので球整列通路は1通路でよくなり、球整列通路の占有する領域を小さくできる。この結果、パチンコ機の背面側の縮小化が図れ、趣向性を高める際の各種部品の配置自由度を向上できる。
この発明の構成と、上述の実施例の構成との対応において、
この発明の遊技機は、実施例のパチンコ機11に対応し、
以下同様に、
ユニットは、可動ユニットU1に対応し、
基台は、固定ユニットU2に対応し、
球貯留装置及び一体型ユニットは、貯留タンク一体型球払出装置13に対応し、
水平移動手段は、スライド機構24に対応し、
球排出口は、終端側開口部17aに対応し、
第1の球排出位置は、球払出通路14aに対応し、
第2の球排出位置は、球抜通路14bに対応し、
水平摺動ガイド部材は、第1水平摺動ガイド軸26と第2水平摺動ガイド軸28に対応し、
移動規制手段は、下向き係止部37a及び上向き係止部42に対応し、
移動解除手段は、操作部25に対応するも、この発明は上述の実施例の構成に限定されるものではなく、請求項に記載される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
実施例1の貯留タンク一体型球払出装置を示すパチンコ機の要部背面図。
実施例1の貯留タンク一体型球払出装置を示すパチンコ機の要部斜視図。
実施例1の貯留タンク一体型球払出装置の外観斜視図。
実施例1の貯留タンク一体型球払出装置の分解斜視図。
実施例1の貯留タンク一体型球払出装置の球払出状態を示す要部平面図。
図5のA−A線矢視断面図。
実施例1の操作部のロックレバーを示す斜視図。
(A)は実施例1のロックレバーによる可動ユニットのスライド規制状態を示す要部縦断面図、(B)は実施例1のロックレバーによる可動ユニットのスライド解除状態を示す要部縦断面図。
実施例1の可動ユニットをスライドさせたスライド後の通路切替え状態を示す貯留タンク一体型球払出装置の要部平面図。
実施例1の可動ユニットをスライドさせたスライド後の通路切替え状態を示すパチンコ機の要部斜視図。
参考例の回動機構を備えた貯留タンク一体型球払出装置を示すパチンコ機の要部斜視図。
参考例の貯留タンク一体型球払出装置の分解斜視図。
(A)は参考例の貯留タンク一体型球払出装置の球払出状態を示す要部平面図、(B)は参考例の可動ユニットを回動させた回動後の通路切替え状態を示す貯留タンク一体型球払出装置の要部平面図。
11…パチンコ機
13,113…貯留タンク一体型球払出装置
14a…球払出通路
14b…球抜通路
16,116…貯留タンク
17,117…球整列通路
17a…終端側開口部
18,118…球払出部
23…球抜機構
24…スライド機構
25…操作部
141…回動機構
142…軸支部
U1,U11…可動ユニット
U2,U12…固定ユニット