JP5176323B2 - イットリウム化合物による無機陰イオン交換体およびそれを用いた電子部品封止用樹脂組成物 - Google Patents

イットリウム化合物による無機陰イオン交換体およびそれを用いた電子部品封止用樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、無機陰イオン交換体、特に電子部品封止用樹脂組成物に好適に使用される無機陰イオン交換体に関する。さらに、該無機陰イオン交換体を含有する電子部品封止用樹脂組成物、これを硬化してなる樹脂および該組成物により素子を封印してなる電子部品に関する。また、本発明は、該無機陰イオン交換体を含有するワニス、接着剤およびペースト並びにこれらを含む製品に関する。
従来、無機陰イオン交換体としては、ハイドロタルサイト、含水酸化ビスマス、含水酸化マグネシウム、および含水酸化アルミニウム等が知られている。
近年、無機陰イオン交換体は、電子部品封止用樹脂、電気部品封止用樹脂、および電気製品用樹脂等に配合されている。
例えば、LSI、IC、ハイブリッドIC、トランジスタ、ダイオード、およびサイリスタやこれらのハイブリッド部品の多くは、エポキシ樹脂を用いて封止されている。このような電子部品封止材には、原材料中のイオン性不純物または外部より侵入する水分に起因する不良を抑止すると共に、難燃性、高密着性、耐クラック性および高体積抵抗率等の電気特性等、種々の特性が要求されている。
電子部品封止材として多用されているエポキシ樹脂は、主成分であるエポキシ化合物の他、エポキシ化合物硬化剤、硬化促進剤、無機充填物、難燃剤、顔料、およびシランカップリング剤等により構成されている。
更に、近年半導体の高集積化に伴い、ICチップ上のアルミニウム配線幅の縮小により、アルミニウムの腐食が早期に発生するようになった。この腐食は、主に、封止材として用いられているエポキシ樹脂中に浸入した水分により助長されるものである。また、配線幅の縮小により、使用中に発生する熱が多くなったため、該エポキシ樹脂に酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂、および無機水酸化物等の難燃剤が多量に配合されるようになり、これらの難燃剤成分により、アルミニウム等配線の腐食が更に助長されるようになってきている。
上記の腐食を防止するためエポキシ樹脂に対し耐湿信頼性を更に向上させることが要求されてきた。既に、この耐湿信頼性を高める要求に応えるために、問題となる不純物イオン、特にハロゲンイオンを捕捉する目的で無機陰イオン交換体であるハイドロタルサイト類をエポキシ樹脂等に配合することが提案されている(例えば特許文献1、特許文献2、および特許文献3等参照)。
この化合物は陰イオンとして水酸イオンおよび炭酸イオン等の陰イオンをすでに有しているため、陰イオン交換性能は充分とは言えない。
このハイドロタルサイト化合物を焼成することにより、構造内の陰イオンが脱離し、ハイドロタルサイト焼成物となる。ハイドロタルサイト焼成物は化合物内に陰イオンを含まないため、ハイドロタルサイト化合物に比べ陰イオン交換性能に優れる。このものは水を吸収して再び層状構造をとる。
このハイドロタルサイト焼成物をエポキシ樹脂等に配合する提案もなされている(例えば特許文献4参照)。このものは陰イオン交換性能に優れ、電子部品の耐湿信頼性向上に有効であるものの、吸湿性が非常に高く、空気中において吸湿しやすいため、電子部品中で吸湿、および吸湿に伴なう体積増加がある。よって、はんだバスやリフロー装置処理等で高温にさらされた時等に、基板等の熱膨張係数の違いによって発生する熱応力や、吸湿水分が気化して発生する蒸気圧によって、素子、リードフレーム等のインサート品と封止用成形材料との間で剥離が発生し、パッケージクラック、チップ損傷等の原因になる恐れがある。
ビスマス化合物が陰イオン交換体になることが知られている(例えば特許文献5、特許文献6参照)。陰イオン交換体であるビスマス化合物を配合した半導体封止用エポキシ樹脂組成物が知られている(例えば特許文献7参照)。
また、陰イオン交換体は一般的に周囲の環境が酸性側では陰イオンをよく吸着するが、中性付近あるいはアルカリ性側では陰イオンを吸着しにくい。封止材に配合される添加剤によっては樹脂組成物のpHが中性付近になることがあり、陰イオン交換体の効果が十分に発揮できない場合がある。
この対策として、陰イオン交換体に固体酸である陽イオン交換体を混合して見かけのpHを下げ、イオン交換性を向上させて使用する方法が提案されている(例えば特許文献8参照)。しかし、固体酸を樹脂に添加した場合、樹脂の物性を損ねたりすることがある。また、陽イオン交換体には重金属を含むものが多く、最近では環境への配慮から陽イオン交換体を併用できない場合もある。
プリント配線板に用いるエポキシ樹脂に陽イオン交換体、陰イオン交換体、および両イオン交換体等の無機イオン交換体を配合したものが知られている(例えば特許文献9参照)。
アラミド繊維にエポキシ樹脂あるいはポリフェニレンオキサイド樹脂とイオン捕捉剤を含有させたプリント基板が知られている。このイオン捕捉剤は、イオン交換樹脂や無機イオン交換体が例示されていて、無機イオン交換体としては、アンチモン−ビスマス系のものやジルコニウム系のものが記載されている(例えば特許文献10参照)。
イオン捕捉剤を含有する絶縁ワニスが知られていて、この絶縁ワニスを用いて多層プリント配線板を作製している。このイオン捕捉剤としては、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性白土、水和五酸化アンチモン、リン酸ジルコニウム、およびハイドロタルサイト等が例示されている(例えば特許文献11参照)。
多層配線板用の接着フィルムに無機イオン吸着体を配合しているものが知られている。この無機イオン吸着剤としては、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性白土、水和五酸化アンチモン、リン酸ジルコニウム、およびハイドロタルサイト等が例示されている(例えば特許文献12参照)。
イオントラップ剤を含有させたエポキシ樹脂接着剤が知られている。このイオントラップ剤として、陰イオン交換体または陽イオン交換体が例示されている(例えば特許文献13参照)。
イオン捕捉剤と銀粉等を含有させた導電性エポキシ樹脂ペーストが知られている。このイオン捕捉剤としては、水和硝酸ビスマス、マグネシウムアルミニウムハイドロタルサイト、酸化アンチモン等が例示されている(例えば特許文献14参照)。
これらに記載のイオン交換体・イオン捕捉剤の中で、ハイドロタルサイトを用いることが記載されているものがあるが、これらはそのままのものまたは焼成体を用いている。
このうち、ハイドロタルサイトや含水酸化ビスマスは陰イオン交換性が高く、耐薬品性や耐熱性も比較的優れているため、様々な用途に利用されている。例えば電子産業分野における半導体の封止樹脂に混入させ、半導体部品などの信頼性を向上させる目的で使用している。
しかし、ハイドロタルサイトは100℃以上の熱水中など高温高湿下では溶解性が大きい。また、吸湿性が高く封止樹脂の物性に悪影響を与えるため、使用範囲が限られている。
一方、含水酸化ビスマスなどのビスマス化合物は優れた性能を持ち、広い範囲での使用が可能であったが、銅と合金をつくり易くリサイクルの面などから使用を制限することもある。
特開昭63−252451号公報 特開昭64−64243号公報 特開昭60−40124号公報 特開昭60−42418号公報 特開昭63−060112号公報 特開平02−293325号公報 特開平02−294354号公報 特開昭60−23901号公報 特開平05−140419号公報 特開平09−314758号公報 特開平10−287830号公報 特開平10−330696号公報 特開平10−013011号公報 特開平10−007763号公報
現在知られている高性能な無機陰イオン交換体は、上記のような問題等がある。本発明が解決しようとする課題は、環境に優しく高性能な新しい無機陰イオン交換体を提供することである。
本発明者は、電子産業分野における半導体封止剤等に使用できる新規な無機陰イオン交換体を見出すため鋭意検討を行なった結果、下記式(1)で表されるイットリウム化合物が高い陰イオン交換性を持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
2x(OH)y(NO3z・nH2O (1)
式(1)のx、y、およびzは0または正の数であり、2x+y+z=6であり、nは0または正の数である。
本発明の他の一つの側面は、任意成分として無機陽イオン交換体を含有する、本発明の無機陰イオン交換体を含有する電子部品封止用樹脂組成物である。
本発明のさらに他の一つの側面は、エポキシ樹脂および硬化剤を含有する上記記載の電子部品封止用樹脂組成物である。
本発明の他の一つの側面は、上記記載の電子部品封止用樹脂組成物を硬化してなる樹脂である。
本発明の他の一つの側面は、上記記載の電子部品封止用樹脂組成物により素子を封止してなる電子部品である。
本発明の他の一つの側面は、無機陽イオン交換体を含有することもある、本発明の無機陰イオン交換体を含有するワニス、接着剤、またはペーストである。
本発明のさらに他の一つの側面は、上記記載のワニス、接着剤、またはペーストを含有する製品である。
本発明によれば、環境に優しく高性能な新しい無機陰イオン交換体を提供することができる。
また、本発明によれば、前記無機陰イオン交換体を用いた電子部品封止用樹脂組成物、電子部品封止用樹脂、および、電子部品を提供することができる。
さらに、本発明によれば、前記無機陰イオン交換体を用いたワニス、接着剤、ペースト、並びに、これらを含有する製品を提供することができる。
本発明の無機陰イオン交換体は、上記式(1)で表されるイットリウム化合物からなる無機陰イオン交換体であるため、環境に優しく高性能であり、また、ハイドロタルサイト系陰イオン交換体やビスマス系陰イオン交換体等が使用できない用途にも好適に用いることができるため好ましい。
○イットリウム化合物
本発明におけるイットリウム化合物は、上記式(1)で表されるものである。
式(1)のxとしては、0または3以下の正数であり、好ましくは3以下の正数であり、より好ましくは2.5以下の正数である。
式(1)のyとしては、0または6以下の正数であり、好ましくは0または5.5以下の正数であり、より好ましくは5以下の正数である。
式(1)のzとしては、0または6以下の正数であり、好ましくは0または4以下の正数であり、より好ましくは3以下の正数である。
本発明におけるイットリウム化合物の具体例としては、Y2(OH)5.1(NO30.9・H2O、Y22(NO32、Y23、などが挙げられ、また、Y2(OH)6、Y2(OH)4(NO32、Y2(OH)3(NO33、Y2(OH)2(NO34、Y2(OH)(NO35、Y2O(OH)4、Y2O(OH)3(NO3)、Y2O(OH)2(NO32、Y2O(OH)(NO33、Y2O(NO34、Y22(OH)2、Y22(OH)(NO3)、Y22(NO32等も例示できる。
本発明におけるイットリウム化合物を得るための原料は、式(1)で表され陰イオン交換性を有するものが得られるならば、どのようなものでも使用することができる。例えば、本発明におけるイットリウム化合物は、硝酸イットリウムの水溶液を塩基性に調整して沈殿を生成させ、これを乾燥後加熱することにより得ることができる。また、例えば酸化イットリウムを硝酸を用いて可溶化し、これを上記記載の処理を行うことにより本発明のイットリウム化合物を得ることができる。
本発明におけるイットリウム化合物は、例えば硝酸イットリウムの水溶液を塩基性に調整して沈殿を生成させ、これを乾燥後加熱することにより得ることができる。このpHとしては、pH7.5〜12が好ましく、pH8〜11がより好ましく、更にpH8.5〜10が好ましい。この処理を行うときの水温は、1〜80℃が好ましく、10〜60℃がより好ましく、15〜40℃が更に好ましい。pH調整するものとしては、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属塩、炭酸水素アルカリ金属塩、アンモニア、および加熱によりアンモニアが発生する化合物(例えば尿素やヘキサメチレンテトラミン等)等が好ましいものとして例示できる。このアルカリ金属としては、ナトリウムおよびカリウムが好ましい。pH調整するものとして更に好ましいものは、アンモニア、加熱によりアンモニアが発生する化合物(例えば尿素やヘキサメチレンテトラミン等)等である。
本発明におけるイットリウム化合物は、例えば硝酸イットリウムの水溶液を塩基性に調整して沈殿を生成させ、これを加熱熟成処理し、その後、乾燥し、加熱処理することにより得ることができる。この加熱熟成処理の加熱温度は、加熱時間により好ましい温度がある。例えば、加熱温度としては、100〜300℃が好ましく、130〜250℃がより好ましく、150〜200℃が更に好ましい。
加熱熟成処理の加熱時間は、加熱温度により好ましい時間が異なる。高温ほど加熱時間は短くて良いが、一般的には、2〜72時間が好ましく、10〜48時間がより好ましく、15〜30時間が更に好ましい。
乾燥は、室温で行っても乾燥炉内で加熱して行っても良い。即ち、沈殿物から余分な水分が除ければどのような処理を行っても良い。例えば、本発明における乾燥温度としては、80〜250℃が好ましく、110〜200℃がより好ましい。なお、この乾燥と加熱とを同時に行っても良い。この場合、水分が除去されるまで低めの温度にし、その後加熱温度に上昇させることが好ましい。
本発明におけるイットリウム化合物は、上記の沈殿を乾燥後、加熱処理することにより得ることができる。この加熱温度は、加熱時間により好ましい温度がある。例えば、加熱温度としては、150〜1,000℃が好ましく、180〜900℃がより好ましく、200〜850℃が更に好ましい。
この加熱処理の加熱時間は、加熱温度により好ましい時間が異なる。高温ほど加熱時間は短くて良いが、一般的には、1〜72時間が好ましく、2〜48時間がより好ましく、3〜30時間が更に好ましい。
上記のようにして得られた本発明におけるイットリウム化合物は、目的に応じて粉砕処理を行って、希望する粒子径にすることができる。
本発明におけるイットリウム化合物の粒径はとくに限定しないが、好ましくは平均粒径が0.01〜10μm、より好ましくは0.05〜3μmである。粒径が0.01〜10μmであると、粒子同士が凝集することがなく、また、樹脂に添加した場合に物性を損ねることがないので好ましい。
○陰イオン交換容量
本発明における陰イオン交換容量とは、塩酸を用いて測定したものである。この測定は、1gの検体と50mlの0.1M/リットル濃度の塩酸とを100mlのポリエチレン製の瓶に入れ、40℃で24時間振盪し、その後、上清の塩素イオン濃度をイオンクロマトグラフィーで測定した。検体を入れないで同様の操作を行って塩素イオン濃度を測定したものをブランク値として陰イオン交換容量を算出した。
本発明の無機陰イオン交換体の陰イオン交換容量は、1meq/g以上が好ましく、1.5meq/g以上がより好ましく、更に好ましくは1.8meq/g以上であり、また4.5meq/g以下が好ましく、4.3meq/g以下がより好ましく、4meq/g以下が更に好ましい。
イオン交換量が上記範囲内であると、本発明の陰イオン交換体を配合した樹脂の性能を損なうことが少ないので好ましい。
○電導度
上清の電導度とは、検体に純水を入れて撹拌し、この上清の電導度を測定したものである。この測定は、0.5gの検体と50mlの純水とを100mlのポリプロピレン製の瓶に入れ、100℃で24時間保持し、その後、この上清の電導度を測定したものである。
本発明の無機陰イオン交換体における上清の電導度は、200μS/cm以下が好ましく、150μS/cm以下がより好ましく、100μS/cm以下が更に好ましく、また1μS/cm以上が好ましく、3μS/cm以上がより好ましく、5μS/cm以上が更に好ましい。
上清の電導度が上記範囲であると、本発明の無機陰イオン交換体を配合した樹脂の性能を損なうことが少ないので好ましい。
例えば、本発明の無機陰イオン交換体は、陰イオン交換容量が1meq/g以上であり、かつ、上清の電導度が200μS/cm以下の無機陰イオン交換体であることが好ましい。
○電子部品封止用樹脂組成物
本発明の無機陰イオン交換体を配合する電子部品封止用樹脂組成物に用いられる樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラニン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、およびエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であっても、ポリエチレン、ポリスチレン、塩化ビニル、およびポリプロピレン等の熱可塑性樹脂であってもよく、好ましくは熱硬化性樹脂である。本発明の電子部品封止用樹脂組成物に用いる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂またはエポキシ樹脂が好ましく、特に好ましくはエポキシ樹脂である。
○電子部品封止用エポキシ樹脂組成物
本発明に用いるエポキシ樹脂は、電子部品封止用樹脂に用いることのできるものであれば限定なく用いることができる。例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、硬化可能なものであれば特に種類は問わず、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等、成形材料として用いられているものをいずれも使用できる。また、本発明の組成物の耐湿性を高めるためには、エポキシ樹脂として、塩化物イオン含有量が10ppm以下、加水分解性塩素含有量が1,000ppm以下のものを用いることが好ましい。
本発明において、電子部品封止用エポキシ樹脂組成物は、硬化剤および硬化促進剤を含有することが好ましい。
本発明に用いる硬化剤はエポキシ樹脂組成物の硬化剤として知られているものをいずれも使用可能であり、好ましい具体例として、酸無水物、アミン系硬化剤およびノボラック系硬化剤等がある。
本発明に用いる硬化促進剤はエポキシ樹脂組成物の硬化促進剤として知られているものをいずれも使用可能であり、好ましい具体例として、アミン系、リン系、およびイミダゾール系の促進剤等がある。
本発明の電子部品用樹脂組成物は、必要に応じて成形用樹脂に配合する成分として知られたものを配合することもできる。この成分としては、無機充填物、難燃剤、無機充填物用カップリング剤、着色剤、および離型剤等が例示できる。これらの成分はいずれも成形用エポキシ樹脂に配合する成分として知られたものである。無機充填物の好ましい具体例として、結晶性シリカ粉、石英ガラス粉、熔融シリカ粉、アルミナ粉およびタルク等が挙げられ、中でも結晶性シリカ粉、石英ガラス粉および熔融シリカ粉が安価で好ましい。難燃剤の例としては、酸化アンチモン、ハロゲン化エポキシ樹脂、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、赤燐系化合物、リン酸エステル系化合物等があり、無機充填物用カップリング剤の例としては、シラン系およびチタン系等があり、離型剤の例としては、脂肪族パラフィン、高級脂肪族アルコール等のワックスがある。
上記の成分の他に、反応性希釈剤、溶剤やチクソトロピー性付与剤等を含有することもできる。具体的には、反応性希釈剤としてはブチルフェニルグリシジルエーテル、溶剤としてはメチルエチルケトン、チクソトロピー性付与剤としては有機変性ベントナイトが例示できる。
本発明の無機陰イオン交換体の好ましい配合割合は、電子部品封止用樹脂組成物100重量部当たり0.1〜10重量部であり、より好ましくは1〜5重量部である。配合割合が0.1重量部以上であると、陰イオン除去性や耐湿信頼性を高める効果が大きいので好ましい。一方、10重量部以下であると、十分な効果が得られると共に、コストアップにつながることがないので好ましい。
本発明の無機陰イオン交換体に対し無機陽イオン交換体を併用することにより、本発明の無機陰イオン交換体の陰イオン捕捉能を増加させ、且つ陽イオン性イオンの捕捉効果を追加することができる。無機陽イオン交換体は、無機物であって、陽イオン交換性を有する物質である。
本発明の無機陰イオン交換体と無機陽イオン交換体との配合比は、特に限定はないが、重量比で100:0〜20:80が好ましい。本発明の無機陰イオン交換体と無機陽イオン交換体との配合は、電子部品封止用樹脂組成物を作製する際に別個に配合してもよく、これらを予め均一に混合してから行うこともできる。好ましくは混合物を用いるものである。このようにすることにより、これらの成分を併用する効果をさらに発揮させることができるからである。
無機陽イオン交換体の具体例として、アンチモン酸(五酸化アンチモン水和物)、ニオブ酸(五酸化ニオブ水和物)、マンガン酸化物、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、リン酸スズ、リン酸セリウム、ゼオライト、および粘土鉱物等が挙げられ、アンチモン酸(五酸化アンチモン水和物)、リン酸ジルコニウム、およびリン酸チタンが好ましい。
本発明の電子部品封止用樹脂組成物は、上記の原料を公知の方法で混合することにより容易に得ることができ、例えば上記各原料を適宜配合し、この配合物を混練機にかけて加熱状態で混練し、半硬化状の樹脂組成物とし、これを室温に冷却した後、公知の手段により粉砕し、必要に応じて打錠することにより得られるものである。
本発明の無機陰イオン交換体は、電子部品または電気部品の封止、被覆、および絶縁等の様々な用途に使用することが可能である。
さらに、ポリ塩化ビニル等の樹脂の安定剤、防錆剤等にも本発明の無機陰イオン交換体は使用可能である。
本発明の無機陰イオン交換体を配合した電子部品用樹脂組成物は、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載したものなどに使用することができる。また、プリント回路板にも本発明の電子部品封止用樹脂組成物は有効に使用できる。本発明の無機陰イオン交換体を配合した電子部品封止用エポキシ樹脂組成物も同様に用いることができる。
本発明の電子部品封止用樹脂組成物または電子部品封止用エポキシ樹脂組成物を用いて素子を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
○配線板への適用について
エポキシ樹脂等の熱硬化性を用いてプリント配線基板とし、これに銅箔等を接着し、これをエッチング加工等して回路を作製して配線板を作製している。しかし近年、回路の高密度化、回路の積層化および絶縁層の薄膜化等により腐食や絶縁不良が問題となっている。配線板を作製するときに本発明の無機陰イオン交換体を添加することによりこのような腐食を防止することができる。また、配線板用の絶縁層にも本発明の無機陰イオン交換体を添加することにより、配線板の腐食等を防止することができる。このようなことから本発明の無機陰イオン交換体を含有する配線板は、腐食等に起因する不良品発生を抑制することができる。この配線板や配線板用の絶縁層中の樹脂固形分100重量部に対し、0.1〜5重量部の本発明の無機陰イオン交換体を添加することが好ましい。ここに無機陽イオン交換体を含有させても良い。
○接着剤への配合について
配線板等の基板に接着剤を用いて電子部品等を実装している。このとき用いる接着剤に本発明の無機陰イオン交換体を添加することにより、腐食等に起因する不良品発生を抑制することができる。この接着剤中の樹脂固形分100重量部に対し、0.1〜5重量部の本発明の無機陰イオン交換体を添加することが好ましい。ここに無機陽イオン交換体を含有させても良い。
配線板に電子部品等を接続するまたは配線するときに用いる伝導性接着剤等に本発明の無機陰イオン交換体を添加することにより腐食等に起因する不良を抑制することができる。この伝導性接着剤とは、銀等の伝導性金属を含むものが例示できる。この伝導性接着剤中の樹脂固形分100重量部に対し0.1〜5重量部の本発明の無機陰イオン交換体を添加することが好ましい。ここに無機陽イオン交換体を含有させても良い。
○ワニスへの配合について
本発明の無機陰イオン交換体を含有したワニスを用いて電気製品、プリント配線板、または電子部品等を作製することができる。このワニスとしては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とするものが例示できる。この樹脂固形分100重量部に対し0.1〜5重量部の本発明の無機陰イオン交換体を添加することが好ましい。ここに無機陽イオン交換体を含有させても良い。
○ペーストへの配合について
銀粉等を含有させたペーストに本発明の無機陰イオン交換体を添加することができる。ペーストとは、ハンダ付け等の補助剤として接続金属同士の接着を良くするために用いられるものである。このことにより、ペーストから発生する腐食性物質の発生を抑制することができる。このペースト中の樹脂固形分100重量部に対し0.1〜5重量部の本発明の無機陰イオン交換体を添加することが好ましい。ここに無機陽イオン交換体を含有させても良い。
イットリウム化合物による無機陰イオン交換体の製造方法に関する好ましい実施態様の例を以下に示す。
(1)硝酸イットリウムの水溶液を塩基性に調整して沈殿を生成させる工程、この沈殿物を加熱熟成処理させた後に乾燥させ、この乾燥した物を加熱する工程、またはこの沈殿物を直接乾燥させ、この乾燥した物を加熱する工程を含むことを特徴とする陰イオン交換活性を有するイットリウム化合物の製造方法、
(2)硝酸イットリウムの水溶液を塩基性に調整して沈殿を生成させる工程、この沈殿物を加熱熟成処理させた後に乾燥させる工程、この乾燥した物を加熱する工程を含むことを特徴とする陰イオン交換活性を有するイットリウム化合物の製造方法、
(3)硝酸イットリウムの水溶液を塩基性に調整して沈殿を生成させる工程、この沈殿物を直接乾燥させる工程、この乾燥した物を加熱する工程を含むことを特徴とする陰イオン交換活性を有するイットリウム化合物の製造方法、
(4)硝酸イットリウムの水溶液をpH7.5〜12に調整して1〜80℃の水温で沈殿を生成させる工程、この沈殿物を100〜300℃で加熱熟成処理させた後に乾燥させ、この乾燥した物を150〜1,000℃で加熱する工程、またはこの沈殿物を直接乾燥させ、この乾燥した物を150〜1,000℃で加熱する工程を含むことを特徴とする陰イオン交換活性を有するイットリウム化合物の製造方法、
(5)硝酸イットリウムの水溶液をpH7.5〜12に調整して1〜80℃の水温で沈殿を生成させる工程、この沈殿物を100〜300℃で加熱熟成処理させた後に80〜250℃で乾燥させ、この乾燥した物を150〜1,000℃で加熱する工程、またはこの沈殿物を直接80〜250℃で乾燥させ、この乾燥した物を150〜1,000℃で加熱する工程を含むことを特徴とする陰イオン交換活性を有するイットリウム化合物の製造方法。
上記(1)〜(5)何れか1つに記載の製造方法で得られた陰イオン交換活性を有するイットリウム化合物。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、%は重量%であり、部は重量部である。
<実施例1>
10gの硝酸イットリウムを100mlの純水に溶解し、この溶液を25℃に保ちながら、アンモニア水溶液でpH9に調整した。そして、この溶液を1時間撹拌後、沈殿物を濾過し、純水で洗浄した。
この沈殿物を乾燥機に入れ、200℃で24時間加熱した。その後、粉砕し、イットリウム化合物(化合物1)を得た。この化合物1の分析を行なったところ、Y2(OH)5.1(NO30.9・H2Oであった。
<実施例2>
実施例1で合成した化合物1を更に400℃で4時間加熱して、化合物2を得た。この化合物の分析を行なったところ、Y22(NO32であった。
<実施例3>
10gの硝酸イットリウムを100mlの純水に溶解し、この溶液を25℃に保ちながら、アンモニア水溶液でpH9に調整した。そしてこの溶液を1時間撹拌後、ポリテトラフルオロエチレン製の密閉容器に入れ、180℃で24時間加熱処理した。その後、室温まで放冷し、沈殿物を濾過し、純水で洗浄した。
これを乾燥機に入れ、200℃で24時間加熱し、更に500℃で4時間加熱した。ついで粉砕し、イットリウム化合物(化合物3)を得た。この化合物3の分析を行なったところ、Y23であった。
<比較例1>
10gの硝酸ランタンを100mlの純水に溶解し、この溶液を25℃に保ちながら、アンモニア水溶液でpH9に調整した。そして、1時間撹拌後、沈殿物を濾過し、純水で洗浄した。
この沈殿物を乾燥機に入れ、200℃で24時間加熱した。その後、粉砕し、ランタン化合物(比較化合物1)を得た。この比較化合物1の分析を行なったところ、La2(OH)4(NO32・2H2Oであった。
<比較例2>
比較例1で合成した比較化合物1を更に400℃で4時間加熱して、比較化合物2を得た。この化合物の分析を行なったところ、La22(NO32であった。
<比較例3>
10gの硝酸ランタンを100mlの純水に溶解し、この溶液を25℃に保ちながら、アンモニア水溶液でpH9に調整した。そしてこの溶液を1時間撹拌後、ポリテトラフルオロエチレン製の密閉容器に入れ、180℃で24時間加熱処理した。その後、室温まで放冷し、沈殿物を濾過し、純水で洗浄した。
これを乾燥機に入れ、200℃で24時間加熱し、更に500℃で4時間加熱した。ついで粉砕し、ランタン化合物(比較化合物3)を得た。この比較化合物3の分析を行なったところ、La23であった。
<参考例1>
三酸化ビスマスBi23を参考化合物1として用いた。
<参考例2>
ビスマス系陰イオン交換体IXE−500(東亞合成株式会社製)を参考化合物2として用いた。
<イオン交換容量測定試験>
1.0gの化合物1を100mlのポリエチレン製の瓶に入れ、更に50mlの0.1M/リットルの塩酸を投入し、密栓して40℃で24時間振盪した。その後、ポアサイズ0.1μmのメンブレンフィルターで溶液を濾過し、濾液の塩素イオン濃度をイオンクロマトグラフィーで測定した。なにも固形分を入れないで同様の操作を行って塩素イオン濃度を測定したものと比較して陰イオン交換容量(meq/g)を測定した。この結果を表1に示す。
化合物2、3、比較化合物1〜3、及び参考化合物1、2についても同様に操作し、イオン交換容量を測定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 0005176323
<実施例4>
80部のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)、20部のブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量275)、50部のフェノールノボラック樹脂(分子量700〜1,000)、2部のトリフェニルホスフィン、1部のカルナバワックス、1部のカーボンブラック、370部の溶融シリカ、および2部の化合物1を配合し、これを80℃〜90℃の熱ロールで3〜5分間混練りした。その後、冷却し、粉砕して、粉末状エポキシ樹脂組成物Aを得た。そして、この組成物Aを100メッシュの篩で篩い分けし、100メッシュパスの試料を作製した。
この100メッシュパスの試料を用いて、170℃で硬化させ、樹脂練込体1を作製した。この樹脂練込体1を2〜3mmの大きさに粉砕した。この粉砕試料を用いて塩素イオンの溶出試験を行った。
<実施例5>
化合物1の代わりに化合物2を用いた以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、樹脂練込体2の粉砕試料を作製した。
<実施例6>
化合物1の代わりに化合物3を用いた以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、樹脂練込体3の粉砕試料を作製した。
<比較例4>
化合物1の代わりに比較化合物1を用いた以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、比較樹脂練込体1の粉砕試料を作製した。
<比較例5>
化合物1の代わりに比較化合物2を用いた以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、比較樹脂練込体2の粉砕試料を作製した。
<比較例6>
化合物1の代わりに比較化合物3を用いた以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、比較樹脂練込体3の粉砕試料を作製した。
<比較例7>
化合物1を用いない以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、比較樹脂練込体0の粉砕試料を作製した。即ち、比較樹脂練込体0は化合物1含まないものである。
<参考例3>
化合物1の代わりに参考化合物1を用いた以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、参考樹脂練込体1の粉砕試料を作製した。
<参考例4>
化合物1の代わりに参考化合物2を用いた以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、参考樹脂練込体2の粉砕試料を作製した。
<樹脂練込体からの塩素イオン抽出試験>
上記で作製した5gの各樹脂練込体、比較樹脂練込体または参考樹脂練込体と50mlの純水とをポリテトラフルオロエチレン製耐圧容器に入れて密閉し、125℃で100時間加熱した。冷却後、水を取り出し、水に溶出した塩素イオンの濃度をイオンクロマトグラフィーで測定した。またこの水のpHを測定した。これらの結果を表2に示す。
Figure 0005176323
<吸湿性の測定>
実施例1で作製した化合物1 2.0gをアルミ製容器に入れ、35℃、湿度90%の恒温恒湿器内に24時間放置した。そして24時間後の重量を測定し、増加率を求めた。この結果を表3に示す。
化合物2および3、比較化合物1〜3、参考化合物1および2についても同様に試験した。この結果を表3に示す。
<上清の電導度の測定>
0.5gの化合物1を100mlのポリプロピレン製の瓶に入れ、更に50mlの純水を投入し、栓をして、100℃で24時間保持した。尚、瓶には小孔を設けてある。
24時間後、冷却し、0.1μmのメンブレンフィルターでこの溶液を濾過し、濾液の電導度を測定した。この結果を表3に示す。
化合物2および3、比較化合物1〜3、参考化合物1および2についても同様に試験した。この結果を表3に示す。
Figure 0005176323
<陽イオン交換体との配合>
実施例1で合成した化合物1と陽イオン交換体であるα燐酸ジルコニウムとを重量比1:1で良く混合して、混合物1を作製した。この混合物1を用いてイオン交換率の測定に用いた。
化合物2、化合物3、参考化合物1、および参考化合物2についても上記と同様に操作して、混合物2、混合物3、参考混合物4、および参考混合物5を作製した。これらの物についてイオン交換率の測定に用いた。
<イオン交換率測定試験>
1.0gの混合物1を100mlのポリプロピレン製の瓶に入れ、50mlの0.02M塩化ナトリウム水溶液を投入し、密栓して40℃で24時間振とうした。その後、ポアサイズ0.1μmのメンブレンフィルターで溶液を濾過し、濾液中の塩素イオン濃度を測定した。塩化ナトリウム水溶液だけのもので同様の操作を行って塩素イオン濃度を測定した。混合物1の陰イオン交換率は、これら測定した値から算出して、表4に示した。
混合物2、混合物3、参考混合物1、および参考混合物2についても同様に操作して、イオン交換率を算出し、表4に示した。また、化合物1、化合物2、化合物3、参考化合物1、および参考化合物2についても同様に操作して、イオン交換率を算出し、表4に示した。
Figure 0005176323
表1〜4から明らかなように、本発明の無機陰イオン交換体は、イオン交換容量が大きく、高温高湿下においても溶解性が低く、さらに吸湿性が低い。また、封止材樹脂に添加しても、塩素イオンの溶出を抑える効果がある。これにより、幅広い範囲で信頼性の高い封止材組成物の提供が可能である。
また、陽イオン交換体を含む樹脂組成物とすることにより、より高いイオン交換率を示す。
本発明の無機陰イオン交換体は、環境製や陰イオン交換性に優れたものである。また、本発明の無機陰イオン交換体は、吸湿性またはリサイクルの面で問題のあるハイドロタルサイトやビスマス化合物を用いない無機陰イオン交換体である。そして、樹脂に本発明の無機陰イオン交換体を配合してもこれからの陰イオンの溶出を抑える効果がある。このことから、本発明の無機陰イオン交換体は、幅広い範囲で信頼性の高い電子部品または電気部品の封止、被覆、および絶縁等の様々な用途に使用することができる。また、本発明の無機陰イオン交換体は、塩化ビニルなどの樹脂の安定剤、防錆剤などにも使用することができる。

Claims (15)

  1. 下記式(1)で表される無機陰イオン交換体。
    2x(OH)y(NO3z・nH2O (1)
    (式(1)のx、y、およびzは0または正の数であり、2x+y+z=6であり、nは0または正の数である。)
  2. 前記式(1)中、xが0または2.5以下の正数であり、yが0または5.5以下の正数であり、zが0または4以下の正数である請求項1に記載の無機陰イオン交換体。
  3. 請求項に記載の無機陰イオン交換体を含有する電子部品封止用樹脂組成物。
  4. 無機陽イオン交換体を含有する請求項に記載の電子部品封止用樹脂組成物。
  5. 請求項またはに記載の電子部品封止用樹脂組成物を硬化してなる樹脂。
  6. 請求項またはに記載の電子部品封止用樹脂組成物により素子を封止してなる電子部品。
  7. 請求項に記載の無機陰イオン交換体を含有するワニス。
  8. 無機陽イオン交換体を含有する請求項に記載のワニス。
  9. 請求項またはに記載のワニスを含む製品。
  10. 請求項に記載の無機陰イオン交換体を含有する接着剤。
  11. 無機陽イオン交換体を含有する請求項10に記載の接着剤。
  12. 請求項10または11に記載の接着剤を含む製品。
  13. 請求項に記載の無機陰イオン交換体を含有するペースト。
  14. 無機陽イオン交換体を含有する請求項13に記載のペースト。
  15. 請求項13または14に記載のペーストを含む製品。
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