JP5176323B2 - イットリウム化合物による無機陰イオン交換体およびそれを用いた電子部品封止用樹脂組成物 - Google Patents
イットリウム化合物による無機陰イオン交換体およびそれを用いた電子部品封止用樹脂組成物 Download PDFInfo
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Description
例えば、LSI、IC、ハイブリッドIC、トランジスタ、ダイオード、およびサイリスタやこれらのハイブリッド部品の多くは、エポキシ樹脂を用いて封止されている。このような電子部品封止材には、原材料中のイオン性不純物または外部より侵入する水分に起因する不良を抑止すると共に、難燃性、高密着性、耐クラック性および高体積抵抗率等の電気特性等、種々の特性が要求されている。
電子部品封止材として多用されているエポキシ樹脂は、主成分であるエポキシ化合物の他、エポキシ化合物硬化剤、硬化促進剤、無機充填物、難燃剤、顔料、およびシランカップリング剤等により構成されている。
更に、近年半導体の高集積化に伴い、ICチップ上のアルミニウム配線幅の縮小により、アルミニウムの腐食が早期に発生するようになった。この腐食は、主に、封止材として用いられているエポキシ樹脂中に浸入した水分により助長されるものである。また、配線幅の縮小により、使用中に発生する熱が多くなったため、該エポキシ樹脂に酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂、および無機水酸化物等の難燃剤が多量に配合されるようになり、これらの難燃剤成分により、アルミニウム等配線の腐食が更に助長されるようになってきている。
この化合物は陰イオンとして水酸イオンおよび炭酸イオン等の陰イオンをすでに有しているため、陰イオン交換性能は充分とは言えない。
アラミド繊維にエポキシ樹脂あるいはポリフェニレンオキサイド樹脂とイオン捕捉剤を含有させたプリント基板が知られている。このイオン捕捉剤は、イオン交換樹脂や無機イオン交換体が例示されていて、無機イオン交換体としては、アンチモン−ビスマス系のものやジルコニウム系のものが記載されている(例えば特許文献10参照)。
イオン捕捉剤を含有する絶縁ワニスが知られていて、この絶縁ワニスを用いて多層プリント配線板を作製している。このイオン捕捉剤としては、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性白土、水和五酸化アンチモン、リン酸ジルコニウム、およびハイドロタルサイト等が例示されている(例えば特許文献11参照)。
多層配線板用の接着フィルムに無機イオン吸着体を配合しているものが知られている。この無機イオン吸着剤としては、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性白土、水和五酸化アンチモン、リン酸ジルコニウム、およびハイドロタルサイト等が例示されている(例えば特許文献12参照)。
イオントラップ剤を含有させたエポキシ樹脂接着剤が知られている。このイオントラップ剤として、陰イオン交換体または陽イオン交換体が例示されている(例えば特許文献13参照)。
イオン捕捉剤と銀粉等を含有させた導電性エポキシ樹脂ペーストが知られている。このイオン捕捉剤としては、水和硝酸ビスマス、マグネシウムアルミニウムハイドロタルサイト、酸化アンチモン等が例示されている(例えば特許文献14参照)。
これらに記載のイオン交換体・イオン捕捉剤の中で、ハイドロタルサイトを用いることが記載されているものがあるが、これらはそのままのものまたは焼成体を用いている。
しかし、ハイドロタルサイトは100℃以上の熱水中など高温高湿下では溶解性が大きい。また、吸湿性が高く封止樹脂の物性に悪影響を与えるため、使用範囲が限られている。
一方、含水酸化ビスマスなどのビスマス化合物は優れた性能を持ち、広い範囲での使用が可能であったが、銅と合金をつくり易くリサイクルの面などから使用を制限することもある。
Y2Ox(OH)y(NO3)z・nH2O (1)
式(1)のx、y、およびzは0または正の数であり、2x+y+z=6であり、nは0または正の数である。
本発明の他の一つの側面は、任意成分として無機陽イオン交換体を含有する、本発明の無機陰イオン交換体を含有する電子部品封止用樹脂組成物である。
本発明のさらに他の一つの側面は、エポキシ樹脂および硬化剤を含有する上記記載の電子部品封止用樹脂組成物である。
本発明の他の一つの側面は、上記記載の電子部品封止用樹脂組成物を硬化してなる樹脂である。
本発明の他の一つの側面は、上記記載の電子部品封止用樹脂組成物により素子を封止してなる電子部品である。
本発明の他の一つの側面は、無機陽イオン交換体を含有することもある、本発明の無機陰イオン交換体を含有するワニス、接着剤、またはペーストである。
本発明のさらに他の一つの側面は、上記記載のワニス、接着剤、またはペーストを含有する製品である。
また、本発明によれば、前記無機陰イオン交換体を用いた電子部品封止用樹脂組成物、電子部品封止用樹脂、および、電子部品を提供することができる。
さらに、本発明によれば、前記無機陰イオン交換体を用いたワニス、接着剤、ペースト、並びに、これらを含有する製品を提供することができる。
本発明におけるイットリウム化合物は、上記式(1)で表されるものである。
式(1)のxとしては、0または3以下の正数であり、好ましくは3以下の正数であり、より好ましくは2.5以下の正数である。
式(1)のyとしては、0または6以下の正数であり、好ましくは0または5.5以下の正数であり、より好ましくは5以下の正数である。
式(1)のzとしては、0または6以下の正数であり、好ましくは0または4以下の正数であり、より好ましくは3以下の正数である。
本発明におけるイットリウム化合物の具体例としては、Y2(OH)5.1(NO3)0.9・H2O、Y2O2(NO3)2、Y2O3、などが挙げられ、また、Y2(OH)6、Y2(OH)4(NO3)2、Y2(OH)3(NO3)3、Y2(OH)2(NO3)4、Y2(OH)(NO3)5、Y2O(OH)4、Y2O(OH)3(NO3)、Y2O(OH)2(NO3)2、Y2O(OH)(NO3)3、Y2O(NO3)4、Y2O2(OH)2、Y2O2(OH)(NO3)、Y2O2(NO3)2等も例示できる。
加熱熟成処理の加熱時間は、加熱温度により好ましい時間が異なる。高温ほど加熱時間は短くて良いが、一般的には、2〜72時間が好ましく、10〜48時間がより好ましく、15〜30時間が更に好ましい。
この加熱処理の加熱時間は、加熱温度により好ましい時間が異なる。高温ほど加熱時間は短くて良いが、一般的には、1〜72時間が好ましく、2〜48時間がより好ましく、3〜30時間が更に好ましい。
本発明におけるイットリウム化合物の粒径はとくに限定しないが、好ましくは平均粒径が0.01〜10μm、より好ましくは0.05〜3μmである。粒径が0.01〜10μmであると、粒子同士が凝集することがなく、また、樹脂に添加した場合に物性を損ねることがないので好ましい。
本発明における陰イオン交換容量とは、塩酸を用いて測定したものである。この測定は、1gの検体と50mlの0.1M/リットル濃度の塩酸とを100mlのポリエチレン製の瓶に入れ、40℃で24時間振盪し、その後、上清の塩素イオン濃度をイオンクロマトグラフィーで測定した。検体を入れないで同様の操作を行って塩素イオン濃度を測定したものをブランク値として陰イオン交換容量を算出した。
本発明の無機陰イオン交換体の陰イオン交換容量は、1meq/g以上が好ましく、1.5meq/g以上がより好ましく、更に好ましくは1.8meq/g以上であり、また4.5meq/g以下が好ましく、4.3meq/g以下がより好ましく、4meq/g以下が更に好ましい。
イオン交換量が上記範囲内であると、本発明の陰イオン交換体を配合した樹脂の性能を損なうことが少ないので好ましい。
上清の電導度とは、検体に純水を入れて撹拌し、この上清の電導度を測定したものである。この測定は、0.5gの検体と50mlの純水とを100mlのポリプロピレン製の瓶に入れ、100℃で24時間保持し、その後、この上清の電導度を測定したものである。
本発明の無機陰イオン交換体における上清の電導度は、200μS/cm以下が好ましく、150μS/cm以下がより好ましく、100μS/cm以下が更に好ましく、また1μS/cm以上が好ましく、3μS/cm以上がより好ましく、5μS/cm以上が更に好ましい。
上清の電導度が上記範囲であると、本発明の無機陰イオン交換体を配合した樹脂の性能を損なうことが少ないので好ましい。
例えば、本発明の無機陰イオン交換体は、陰イオン交換容量が1meq/g以上であり、かつ、上清の電導度が200μS/cm以下の無機陰イオン交換体であることが好ましい。
本発明の無機陰イオン交換体を配合する電子部品封止用樹脂組成物に用いられる樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラニン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、およびエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であっても、ポリエチレン、ポリスチレン、塩化ビニル、およびポリプロピレン等の熱可塑性樹脂であってもよく、好ましくは熱硬化性樹脂である。本発明の電子部品封止用樹脂組成物に用いる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂またはエポキシ樹脂が好ましく、特に好ましくはエポキシ樹脂である。
本発明に用いるエポキシ樹脂は、電子部品封止用樹脂に用いることのできるものであれば限定なく用いることができる。例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、硬化可能なものであれば特に種類は問わず、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等、成形材料として用いられているものをいずれも使用できる。また、本発明の組成物の耐湿性を高めるためには、エポキシ樹脂として、塩化物イオン含有量が10ppm以下、加水分解性塩素含有量が1,000ppm以下のものを用いることが好ましい。
本発明に用いる硬化剤はエポキシ樹脂組成物の硬化剤として知られているものをいずれも使用可能であり、好ましい具体例として、酸無水物、アミン系硬化剤およびノボラック系硬化剤等がある。
本発明に用いる硬化促進剤はエポキシ樹脂組成物の硬化促進剤として知られているものをいずれも使用可能であり、好ましい具体例として、アミン系、リン系、およびイミダゾール系の促進剤等がある。
本発明の無機陰イオン交換体と無機陽イオン交換体との配合比は、特に限定はないが、重量比で100:0〜20:80が好ましい。本発明の無機陰イオン交換体と無機陽イオン交換体との配合は、電子部品封止用樹脂組成物を作製する際に別個に配合してもよく、これらを予め均一に混合してから行うこともできる。好ましくは混合物を用いるものである。このようにすることにより、これらの成分を併用する効果をさらに発揮させることができるからである。
さらに、ポリ塩化ビニル等の樹脂の安定剤、防錆剤等にも本発明の無機陰イオン交換体は使用可能である。
本発明の電子部品封止用樹脂組成物または電子部品封止用エポキシ樹脂組成物を用いて素子を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
エポキシ樹脂等の熱硬化性を用いてプリント配線基板とし、これに銅箔等を接着し、これをエッチング加工等して回路を作製して配線板を作製している。しかし近年、回路の高密度化、回路の積層化および絶縁層の薄膜化等により腐食や絶縁不良が問題となっている。配線板を作製するときに本発明の無機陰イオン交換体を添加することによりこのような腐食を防止することができる。また、配線板用の絶縁層にも本発明の無機陰イオン交換体を添加することにより、配線板の腐食等を防止することができる。このようなことから本発明の無機陰イオン交換体を含有する配線板は、腐食等に起因する不良品発生を抑制することができる。この配線板や配線板用の絶縁層中の樹脂固形分100重量部に対し、0.1〜5重量部の本発明の無機陰イオン交換体を添加することが好ましい。ここに無機陽イオン交換体を含有させても良い。
配線板等の基板に接着剤を用いて電子部品等を実装している。このとき用いる接着剤に本発明の無機陰イオン交換体を添加することにより、腐食等に起因する不良品発生を抑制することができる。この接着剤中の樹脂固形分100重量部に対し、0.1〜5重量部の本発明の無機陰イオン交換体を添加することが好ましい。ここに無機陽イオン交換体を含有させても良い。
配線板に電子部品等を接続するまたは配線するときに用いる伝導性接着剤等に本発明の無機陰イオン交換体を添加することにより腐食等に起因する不良を抑制することができる。この伝導性接着剤とは、銀等の伝導性金属を含むものが例示できる。この伝導性接着剤中の樹脂固形分100重量部に対し0.1〜5重量部の本発明の無機陰イオン交換体を添加することが好ましい。ここに無機陽イオン交換体を含有させても良い。
本発明の無機陰イオン交換体を含有したワニスを用いて電気製品、プリント配線板、または電子部品等を作製することができる。このワニスとしては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とするものが例示できる。この樹脂固形分100重量部に対し0.1〜5重量部の本発明の無機陰イオン交換体を添加することが好ましい。ここに無機陽イオン交換体を含有させても良い。
銀粉等を含有させたペーストに本発明の無機陰イオン交換体を添加することができる。ペーストとは、ハンダ付け等の補助剤として接続金属同士の接着を良くするために用いられるものである。このことにより、ペーストから発生する腐食性物質の発生を抑制することができる。このペースト中の樹脂固形分100重量部に対し0.1〜5重量部の本発明の無機陰イオン交換体を添加することが好ましい。ここに無機陽イオン交換体を含有させても良い。
(1)硝酸イットリウムの水溶液を塩基性に調整して沈殿を生成させる工程、この沈殿物を加熱熟成処理させた後に乾燥させ、この乾燥した物を加熱する工程、またはこの沈殿物を直接乾燥させ、この乾燥した物を加熱する工程を含むことを特徴とする陰イオン交換活性を有するイットリウム化合物の製造方法、
(2)硝酸イットリウムの水溶液を塩基性に調整して沈殿を生成させる工程、この沈殿物を加熱熟成処理させた後に乾燥させる工程、この乾燥した物を加熱する工程を含むことを特徴とする陰イオン交換活性を有するイットリウム化合物の製造方法、
(3)硝酸イットリウムの水溶液を塩基性に調整して沈殿を生成させる工程、この沈殿物を直接乾燥させる工程、この乾燥した物を加熱する工程を含むことを特徴とする陰イオン交換活性を有するイットリウム化合物の製造方法、
(4)硝酸イットリウムの水溶液をpH7.5〜12に調整して1〜80℃の水温で沈殿を生成させる工程、この沈殿物を100〜300℃で加熱熟成処理させた後に乾燥させ、この乾燥した物を150〜1,000℃で加熱する工程、またはこの沈殿物を直接乾燥させ、この乾燥した物を150〜1,000℃で加熱する工程を含むことを特徴とする陰イオン交換活性を有するイットリウム化合物の製造方法、
(5)硝酸イットリウムの水溶液をpH7.5〜12に調整して1〜80℃の水温で沈殿を生成させる工程、この沈殿物を100〜300℃で加熱熟成処理させた後に80〜250℃で乾燥させ、この乾燥した物を150〜1,000℃で加熱する工程、またはこの沈殿物を直接80〜250℃で乾燥させ、この乾燥した物を150〜1,000℃で加熱する工程を含むことを特徴とする陰イオン交換活性を有するイットリウム化合物の製造方法。
上記(1)〜(5)何れか1つに記載の製造方法で得られた陰イオン交換活性を有するイットリウム化合物。
10gの硝酸イットリウムを100mlの純水に溶解し、この溶液を25℃に保ちながら、アンモニア水溶液でpH9に調整した。そして、この溶液を1時間撹拌後、沈殿物を濾過し、純水で洗浄した。
この沈殿物を乾燥機に入れ、200℃で24時間加熱した。その後、粉砕し、イットリウム化合物(化合物1)を得た。この化合物1の分析を行なったところ、Y2(OH)5.1(NO3)0.9・H2Oであった。
実施例1で合成した化合物1を更に400℃で4時間加熱して、化合物2を得た。この化合物の分析を行なったところ、Y2O2(NO3)2であった。
10gの硝酸イットリウムを100mlの純水に溶解し、この溶液を25℃に保ちながら、アンモニア水溶液でpH9に調整した。そしてこの溶液を1時間撹拌後、ポリテトラフルオロエチレン製の密閉容器に入れ、180℃で24時間加熱処理した。その後、室温まで放冷し、沈殿物を濾過し、純水で洗浄した。
これを乾燥機に入れ、200℃で24時間加熱し、更に500℃で4時間加熱した。ついで粉砕し、イットリウム化合物(化合物3)を得た。この化合物3の分析を行なったところ、Y2O3であった。
10gの硝酸ランタンを100mlの純水に溶解し、この溶液を25℃に保ちながら、アンモニア水溶液でpH9に調整した。そして、1時間撹拌後、沈殿物を濾過し、純水で洗浄した。
この沈殿物を乾燥機に入れ、200℃で24時間加熱した。その後、粉砕し、ランタン化合物(比較化合物1)を得た。この比較化合物1の分析を行なったところ、La2(OH)4(NO3)2・2H2Oであった。
比較例1で合成した比較化合物1を更に400℃で4時間加熱して、比較化合物2を得た。この化合物の分析を行なったところ、La2O2(NO3)2であった。
10gの硝酸ランタンを100mlの純水に溶解し、この溶液を25℃に保ちながら、アンモニア水溶液でpH9に調整した。そしてこの溶液を1時間撹拌後、ポリテトラフルオロエチレン製の密閉容器に入れ、180℃で24時間加熱処理した。その後、室温まで放冷し、沈殿物を濾過し、純水で洗浄した。
これを乾燥機に入れ、200℃で24時間加熱し、更に500℃で4時間加熱した。ついで粉砕し、ランタン化合物(比較化合物3)を得た。この比較化合物3の分析を行なったところ、La2O3であった。
三酸化ビスマスBi2O3を参考化合物1として用いた。
ビスマス系陰イオン交換体IXE−500(東亞合成株式会社製)を参考化合物2として用いた。
1.0gの化合物1を100mlのポリエチレン製の瓶に入れ、更に50mlの0.1M/リットルの塩酸を投入し、密栓して40℃で24時間振盪した。その後、ポアサイズ0.1μmのメンブレンフィルターで溶液を濾過し、濾液の塩素イオン濃度をイオンクロマトグラフィーで測定した。なにも固形分を入れないで同様の操作を行って塩素イオン濃度を測定したものと比較して陰イオン交換容量(meq/g)を測定した。この結果を表1に示す。
化合物2、3、比較化合物1〜3、及び参考化合物1、2についても同様に操作し、イオン交換容量を測定した。これらの結果を表1に示す。
80部のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)、20部のブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量275)、50部のフェノールノボラック樹脂(分子量700〜1,000)、2部のトリフェニルホスフィン、1部のカルナバワックス、1部のカーボンブラック、370部の溶融シリカ、および2部の化合物1を配合し、これを80℃〜90℃の熱ロールで3〜5分間混練りした。その後、冷却し、粉砕して、粉末状エポキシ樹脂組成物Aを得た。そして、この組成物Aを100メッシュの篩で篩い分けし、100メッシュパスの試料を作製した。
この100メッシュパスの試料を用いて、170℃で硬化させ、樹脂練込体1を作製した。この樹脂練込体1を2〜3mmの大きさに粉砕した。この粉砕試料を用いて塩素イオンの溶出試験を行った。
化合物1の代わりに化合物2を用いた以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、樹脂練込体2の粉砕試料を作製した。
化合物1の代わりに化合物3を用いた以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、樹脂練込体3の粉砕試料を作製した。
化合物1の代わりに比較化合物1を用いた以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、比較樹脂練込体1の粉砕試料を作製した。
化合物1の代わりに比較化合物2を用いた以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、比較樹脂練込体2の粉砕試料を作製した。
化合物1の代わりに比較化合物3を用いた以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、比較樹脂練込体3の粉砕試料を作製した。
化合物1を用いない以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、比較樹脂練込体0の粉砕試料を作製した。即ち、比較樹脂練込体0は化合物1含まないものである。
化合物1の代わりに参考化合物1を用いた以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、参考樹脂練込体1の粉砕試料を作製した。
化合物1の代わりに参考化合物2を用いた以外は樹脂練込体1の作製と同様に操作し、参考樹脂練込体2の粉砕試料を作製した。
上記で作製した5gの各樹脂練込体、比較樹脂練込体または参考樹脂練込体と50mlの純水とをポリテトラフルオロエチレン製耐圧容器に入れて密閉し、125℃で100時間加熱した。冷却後、水を取り出し、水に溶出した塩素イオンの濃度をイオンクロマトグラフィーで測定した。またこの水のpHを測定した。これらの結果を表2に示す。
実施例1で作製した化合物1 2.0gをアルミ製容器に入れ、35℃、湿度90%の恒温恒湿器内に24時間放置した。そして24時間後の重量を測定し、増加率を求めた。この結果を表3に示す。
化合物2および3、比較化合物1〜3、参考化合物1および2についても同様に試験した。この結果を表3に示す。
0.5gの化合物1を100mlのポリプロピレン製の瓶に入れ、更に50mlの純水を投入し、栓をして、100℃で24時間保持した。尚、瓶には小孔を設けてある。
24時間後、冷却し、0.1μmのメンブレンフィルターでこの溶液を濾過し、濾液の電導度を測定した。この結果を表3に示す。
化合物2および3、比較化合物1〜3、参考化合物1および2についても同様に試験した。この結果を表3に示す。
実施例1で合成した化合物1と陽イオン交換体であるα燐酸ジルコニウムとを重量比1:1で良く混合して、混合物1を作製した。この混合物1を用いてイオン交換率の測定に用いた。
化合物2、化合物3、参考化合物1、および参考化合物2についても上記と同様に操作して、混合物2、混合物3、参考混合物4、および参考混合物5を作製した。これらの物についてイオン交換率の測定に用いた。
1.0gの混合物1を100mlのポリプロピレン製の瓶に入れ、50mlの0.02M塩化ナトリウム水溶液を投入し、密栓して40℃で24時間振とうした。その後、ポアサイズ0.1μmのメンブレンフィルターで溶液を濾過し、濾液中の塩素イオン濃度を測定した。塩化ナトリウム水溶液だけのもので同様の操作を行って塩素イオン濃度を測定した。混合物1の陰イオン交換率は、これら測定した値から算出して、表4に示した。
混合物2、混合物3、参考混合物1、および参考混合物2についても同様に操作して、イオン交換率を算出し、表4に示した。また、化合物1、化合物2、化合物3、参考化合物1、および参考化合物2についても同様に操作して、イオン交換率を算出し、表4に示した。
また、陽イオン交換体を含む樹脂組成物とすることにより、より高いイオン交換率を示す。
Claims (15)
- 下記式(1)で表される無機陰イオン交換体。
Y2Ox(OH)y(NO3)z・nH2O (1)
(式(1)のx、y、およびzは0または正の数であり、2x+y+z=6であり、nは0または正の数である。) - 前記式(1)中、xが0または2.5以下の正数であり、yが0または5.5以下の正数であり、zが0または4以下の正数である請求項1に記載の無機陰イオン交換体。
- 請求項2に記載の無機陰イオン交換体を含有する電子部品封止用樹脂組成物。
- 無機陽イオン交換体を含有する請求項3に記載の電子部品封止用樹脂組成物。
- 請求項3または4に記載の電子部品封止用樹脂組成物を硬化してなる樹脂。
- 請求項3または4に記載の電子部品封止用樹脂組成物により素子を封止してなる電子部品。
- 請求項2に記載の無機陰イオン交換体を含有するワニス。
- 無機陽イオン交換体を含有する請求項7に記載のワニス。
- 請求項7または8に記載のワニスを含む製品。
- 請求項2に記載の無機陰イオン交換体を含有する接着剤。
- 無機陽イオン交換体を含有する請求項10に記載の接着剤。
- 請求項10または11に記載の接着剤を含む製品。
- 請求項2に記載の無機陰イオン交換体を含有するペースト。
- 無機陽イオン交換体を含有する請求項13に記載のペースト。
- 請求項13または14に記載のペーストを含む製品。
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