JP5176286B2 - 多孔性金属錯体の製造方法 - Google Patents
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XOOC−R−COOX’ ・・・ (II)
(ただし、Rはアリーレン基を示し、Xは水素原子、Na又はKを示し、X’はNa又はKを示す。)で表されるカルボン酸誘導体を含み、前記第1及び第2の金属塩の一方は、2〜4価の金属を含む金属群から選択された金属を含み、上記カルボン酸金属塩は、2,6−ナフタレンジカルボン酸二ナトリウムであり、上記中心金属は、Znであることを特徴とする。
図1に、本発明の第一実施形態に係る多孔性金属錯体の一例であるテレフタル酸亜鉛(II)を模式的に示す。ここでは、中心金属の間を結合する有機配位子としてテレフタル酸のみを用いている。図1(a)は、テレフタル酸亜鉛(II)の結晶1を示す顕微鏡写真、図1(b)は、図1(a)のIb部の模式的拡大図、図1(c)は、図1(b)のIc部の模式的拡大図であり、図2は、多孔性金属錯体の三次元骨格を二次元的に示すモチーフ図である。
(XOOC)n1−R−(COOX’)n2 ・・・(I)
(ただし、Rはアルキレン基、アルキニレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を示し、Xは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を示し、X’はXと同一又は異なるアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示し、n1、n2は1〜4の整数を示す。)で表されるカルボン酸誘導体を含むことが好ましい。この場合、アルキレン基、アルキニレン基、アルケニレン基又はアリーレン基は置換基を有していても良い。
XOOC−R−COOX’ ・・・(II)
で表されるジカルボン酸誘導体からなることが好ましい。X又はX’は、Na(ナトリウム)又はK(カリウム)からなることが好ましい。X又はX’がNa又はKである場合には、従来に比べ、安価で効率良く多孔性金属錯体を製造することが可能となる。一般式(II)において、Rはアリーレン基を含むことが好ましく、アリーレン基は置換基を有していても良い。
図4に、本発明の第二実施形態に係る多孔性金属錯体(以下、しばしば「多孔性架橋金属錯体」と呼ぶ。)の一例であるテレフタル酸銅(II)−トリエチレンジアミンの結晶構造11を模式的に示す。ここでは、中心金属の間の結合には、有機配位子と架橋配位子の二種類を配位子として用いている。
(XOOC)n1−R−(COOX’)n2 ・・・(I)
(ただし、Rはアルキレン基、アルキニレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を示し、Xは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を示し、X’はXと同一又は異なるアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示し、n1、n2は1〜4の整数を示す。)で表されるカルボン酸誘導体を含むことが好ましい。この場合、アルキレン基、アルキニレン基、アルケニレン基又はアリーレン基は置換基を有していても良い。
XOOC−R−COOX’ ・・・(II)
で表されるジカルボン酸誘導体からなることが好ましい。X又はX’は、Na(ナトリウム)又はK(カリウム)からなることが好ましい。X又はX’がNa又はKである場合には、従来に比べ、安価で効率良く多孔性金属錯体を製造することが可能となる。一般式(II)において、Rはアリーレン基を含むことが好ましく、アリーレン基は置換基を有していても良い。
参考例1 {Zn4O(OOC−C6H4−COO)3}nの合成
カルボン酸塩(第1の金属塩)としてテレフタル酸二ナトリウムを、第2の金属塩として硝酸亜鉛用いた。まず、テレフタル酸二ナトリウム2.10[g]と硝酸亜鉛四水和物2.60[g]をジエチルホルムアミドに溶解し、攪拌後室温にて24[時間]放置した。析出した固体を吸引濾過により回収し、ジエチルホルムアミドで洗浄した。その後、180[℃]で2[時間]真空乾燥を行い、目的物である{Zn4O(OOC−C6H4−COO)3}nを得た。
カルボン酸塩として2,6−ナフタレンジカルボン酸のイオン交換により合成した2,6−ナフタレンジカルボン酸二ナトリウムを、第2の金属塩として硝酸亜鉛用いた。2,6−ナフタレンジカルボン酸二ナトリウム2.60[g]と硝酸亜鉛四水和物2.60[g]をジエチルホルムアミドに溶解し、攪拌後室温にて36[時間]放置した。その後、180[℃]で2[時間]真空乾燥を行い、目的物である{Zn4O(OOC−C10H6−COO)3}nを得た。
カルボン酸塩としてテレフタル酸のイオン交換により合成したテレフタル酸二カリウムを、第2の金属塩として硝酸亜鉛用いた。テレフタル酸二カリウム2.42[g]と硝酸亜鉛四水和物2.60[g]をジエチルホルムアミドに溶解し、攪拌後室温にて48[時間]放置した。析出した固体を吸引濾過により回収し、ジエチルホルムアミドで洗浄した。その後、180[℃]で2[時間]真空乾燥を行い、目的物である{Zn4O(OOC−C6H4−COO)3}nnを得た。
カルボン酸塩(第1の金属塩)としてテレフタル酸二ナトリウムを、第2の金属塩として硝酸亜鉛用いた。まず、テレフタル酸二ナトリウム1.57[g]と硝酸亜鉛四水和物2.60[g]をジエチルホルムアミドに溶解し、攪拌後室温にて24[時間]放置した。析出した固体を吸引濾過により回収し、ジエチルホルムアミドで洗浄した。その後、80[℃]で2[時間]真空乾燥を行い、目的物である{Zn4O(OOC−C6H4−COO)3}nを得た。
カルボン酸塩として2,6−ナフタレンジカルボン酸のイオン交換により合成した2,6−ナフタレンジカルボン酸二ナトリウムを、第2の金属塩として硝酸亜鉛用いた。2,6−ナフタレンジカルボン酸二ナトリウム1.94[g]と硝酸亜鉛四水和物2.60[g]をジエチルホルムアミドに溶解し、攪拌後室温にて36[時間]放置した。その後、80[℃]で2[時間]真空乾燥を行い、目的物である{Zn4O(OOC−C10H6−COO)3}nを得た。
カルボン酸塩としてテレフタル酸のイオン交換により合成したテレフタル酸二カリウムを、第2の金属塩として硝酸亜鉛用いた。テレフタル酸二カリウム1.81[g]と硝酸亜鉛四水和物2.60[g]をジエチルホルムアミドに溶解し、攪拌後室温にて48[時間]放置した。析出した固体を吸引濾過により回収し、ジエチルホルムアミドで洗浄した。その後、80[℃]で2[時間]真空乾燥を行い、目的物である{{Zn4O(OOC−C6H4−COO)3}nを得た。
カルボン酸塩(第1の金属塩)としてテレフタル酸二ナトリウムを、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを、第2の金属塩としてギ酸銅を用いた。まず、テレフタル酸二ナトリウム1.05 [g]、トリエチレンジアミン0.28[g]、ギ酸銅四水和物0.77 [g]をメタノールに溶解し、攪拌後室温にて18[時間]放置した。析出した固体を吸引濾過により回収し、メタノールで洗浄した。その後、80[℃]で2[時間]真空乾燥を行い、目的物である{Cu(OOC−C6H4−COO)−1/2C6H12N2}nを得た。
カルボン酸塩として2,6−ナフタレンジカルボン酸のイオン交換により合成した2,6−ナフタレンジカルボン酸二ナトリウムを、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを、第2の金属塩としてギ酸銅四水和物を用いた。2,6−ナフタレンジカルボン酸二ナトリウム 1.30[g]、トリエチレンジアミン0.28[g]、ギ酸銅四水和物0.77[g]をメタノールに溶解し、攪拌後室温にて24[時間]放置した。その後、80[℃]で2[時間]真空乾燥を行い、目的物である{Cu(OOC−C10H6−COO)−1/2C6H12N2}nを得た。
カルボン酸塩としてテレフタル酸のイオン交換により合成したテレフタル酸二カリウムを、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを、第2の金属塩としてギ酸銅四水和物を用いた。テレフタル酸二カリウム1.21 [g]、トリエチレンジアミン0.28[g]、ギ酸銅四水和物0.77[g]をメタノールに溶解し、攪拌後室温にて24[時間]放置した。析出した固体を吸引濾過により回収し、メタノールで洗浄した。その後、80[℃]で2[時間]真空乾燥を行い、目的物である{Cu(OOC−C6H4−COO)−1/2C6H12N2}nを得た。
カルボン酸塩としてテレフタル酸二ナトリウムを、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを、第2の金属塩として酢酸ロジウム二水和物を用いた。テレフタル酸二ナトリウム 1.05[g] 、トリエチレンジアミン0.28[g]、酢酸ロジウム二水和物2.39[g]をメタノールに溶解し、攪拌後室温にて48[時間]放置した。析出した固体を吸引濾過により回収し、メタノールで洗浄した。その後、80[℃]で2[時間]真空乾燥を行い、目的物である{Rh(OOC−C6H4−COO)−1/2C6H12N2}nを得た。
カルボン酸としてテレフタル酸を用いた。まず、テレフタル酸0.033[g]と硝酸亜鉛四水和物0.156[g]をジエチルホルムアミドに溶解し、攪拌後室温にて168[時間]放置した。析出した固体を吸引濾過により回収し、ジエチルホルムアミドで洗浄した。その後、180[℃]で2[時間]真空乾燥を行い、目的物である{Zn4O(OOC−C6H4−COO)3}nを得た。
カルボン酸として2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いた。まず、2,6−ナフタレンジカルボン酸0.012[g]と硝酸亜鉛四水和物0.110[g]をジエチルホルムアミドに溶解し、攪拌後室温にて168[時間]放置した。析出した固体を吸引濾過により回収し、ジエチルホルムアミドで洗浄した。その後、180[℃]で2[時間]真空乾燥を行い、目的物である{Zn4O(OOC−C10H6−COO)3}nを得た。
カルボン酸としてテレフタル酸を用いた。まず、テレフタル酸 0.033[g]とギ酸銅四水和物 0.030[g]をメタノールに溶解し、攪拌後室温にて168[時間]放置した。析出した固体を吸引濾過により回収し粗結晶を得た。粗結晶をアセトンに溶解し、トリエチレンジアミン0.011[g]を加えて室温で10[時間]攪拌し、吸引濾過を行った。その後、180[℃]で2[時間]真空乾燥を行い、目的物である{Cu(OOC−C6H4−COO)−1/2C6H12N2}nを得た。
カルボン酸として、テレフタル酸を用いた。まず、テレフタル酸 0.033[g]と酢酸ロジウム二水和物 0.094[g]をメタノールに溶解し、攪拌後室温にて168[時間]放置した。析出した固体を吸引濾過により回収し粗結晶を得た。粗結晶をアセトンに溶解し、トリエチレンジアミン0.011[g]を加えて室温で10[時間]攪拌し、吸引濾過を行った。ジエチルホルムアミドで洗浄した。その後、180[℃]で2[時間]真空乾燥を行い、目的物である{Rh(OOC−C6H4−COO)−1/2C6H12N2}nを得た。
参考例1及び実施例2で得られた試料について、ガス貯蔵能力を測定した。測定方法は、JIS H 7201の水素吸蔵放出測定試験に従った。試料を秤量して測定用耐圧試料管に入れ、200[℃]で3[時間]真空引きして試料管内に残留しているガスを放出させて、水素が吸蔵されていない原点を得た後測定を行った。測定温度は25[℃]とした。その後大気圧まで減圧して水素放出量の確認を行った。
2 格子点
3 配位結合部
4 球体
Claims (9)
- 中心金属と有機配位子とを備える金属錯体の三次元的多孔性骨格構造からなる多孔性金属錯体の製造方法であって、
前記有機配位子の塩を第1の金属塩として調製する工程と、
前記中心金属の塩を第2の金属塩として調製する工程と、
前記第1及び第2の金属塩を反応させる工程と、
を備え、
前記反応においては、前記中心金属の塩に2座配位可能な架橋配位子が加えられ、
前記第1及び第2の金属塩の一方は、カルボン酸金属塩を含み、
前記カルボン酸金属塩は、次の一般式(II)
XOOC−R−COOX’ ・・・ (II)
(ただし、Rはアリーレン基を示し、Xは水素原子、Na又はKを示し、X’はNa又はKを示す。)で表されるカルボン酸誘導体を含み、
前記第1及び第2の金属塩の一方は、2〜4価の金属を含む金属群から選択された金属を含み、
前記カルボン酸金属塩は、2,6−ナフタレンジカルボン酸二ナトリウムであり、
前記中心金属は、Znであることを特徴とする多孔性金属錯体の製造方法。 - 前記カルボン酸誘導体のカルボキシレート基を、イオン交換により調製することを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
- 前記一方の金属塩は、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩及び蟻酸塩を含む金属塩群から選択される金属塩を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
- 前記第1の金属塩の調製は、前記第1の金属塩を第1の溶媒に溶解して第1の溶液を得ることを含み、
前記第2の金属塩の調製は、前記第2の金属塩を第2の溶媒に溶解して第2の溶液を得ることを含み、
前記反応は、前記第1及び第2の溶液を混合することを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多孔性金属錯体の製造方法。 - 前記第1の金属塩の調製、前記第2の金属塩の調製及び前記反応のいずれか一つは、前記第1又は第2の溶液に超音波を照射することを含むことを特徴とする請求項4に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
- 前記第1及び第2の溶媒の一方は、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’-ジエチルホルムアミド、水、アルコール類、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、アセトン及びアセトニトリルを含む溶媒群から選択された溶媒を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
- 前記一方の溶媒は、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’-ジエチルホルムアミド、水、アルコール類を含む溶媒群から選択された溶媒を含むことを特徴とする請求項6に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
- 前記反応は、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、蟻酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム及び蟻酸カリウムを含む金属塩群から選択された金属塩を副生成物として得ることを含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
- 前記多孔性金属錯体は、8〜10のpHを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
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