JP2008266269A - 多孔性金属錯体、多孔性金属錯体の製造方法、吸着材、分離材、ガス吸着材及び触媒材料 - Google Patents

多孔性金属錯体、多孔性金属錯体の製造方法、吸着材、分離材、ガス吸着材及び触媒材料 Download PDF

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仁 伊藤
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Abstract

【課題】純度及び表面積の高い多孔性金属錯体を効率良く得ることが可能な多孔性金属錯体の製造方法を提供する。
【解決手段】中心金属と、この中心金属に配位し、カルボキシレート基を有する有機配位子とを備える金属錯体の三次元的多孔性骨格構造を含む多孔性金属錯体の製造方法であって、中心金属の塩、又は中心金属の酸化物とエステル化反応するカルボン酸ハライド又はカルボン酸アルコキシドを、有機配位子のモノマーとして反応させる。
【選択図】なし

Description

この発明は、多孔性金属錯体、多孔性金属錯体の製造方法、吸着材、分離材、ガス吸着材及び触媒材料に関する。
近年、燃料電池車両に搭載するための固体高分子型燃料電池の開発競争が活発に繰り広げられている。このような燃料電池車両の実用化のために、低コスト、軽量で、かつ吸蔵密度の高い水素吸蔵材料を用いる効率的な水素吸蔵方法の開発が望まれている。
そこで、金属イオン、又は金属酸化物とカルボン酸有機配位子からなる二次元格子構造を単位モチーフとして三次元的に積層した骨格構造を有する多孔性の有機金属錯体を用いた水素吸蔵材料が提案され(特許文献1、特許文献2参照。)、メタン、窒素、水素等のガス吸着材として注目されている。中でも、例えば、テトラジン、トリアジン等の含窒素複素環骨格を有機配位子として用いた有機金属錯体は、水素とのアフィニティが向上するため、水素吸蔵材料として好適であることが見出されている(特許文献3、非特許文献1、非特許文献2参照。)。
特開2001−348361号公報 米国特許出願公開第2003/0004364号明細書 特開2005−93181号公報 エム・エダウディ(M.Eddaoudi),エイチ・リー(H.Li), オウ・エム・ヤギ(O.M.Yaghi)著,「ジャーナル・オブ・アメリカン・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)」,2000年,第122号,p.1391−1397 エヌ・エル・ロージー(N.L.Rosi)外,「サイエンス(Science)」,2003年,第300号,p.1127−1129
上記したガス吸着又はその他の用途に適した金属錯体は、三次元構造が発達、つまり高分子化した金属錯体であり、特に、BET表面積が1000[m/g]以上であるが、金属種によっては、錯体化反応の活性化エネルギーが高いことが予想されるため、より厳しい反応条件、例えば高温、高圧又はpH条件が必要となる。しかしながら、厳しい反応条件では副反応も同時に起こり、目的とする錯体化反応が進行しない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明に係る多孔性金属錯体の製造方法は、中心金属と、この中心金属に配位し、カルボキシレート基を有する有機配位子とを備える金属錯体の三次元的多孔性骨格構造を含む多孔性金属錯体の製造方法であって、中心金属の塩、又は中心金属の酸化物とエステル化反応するカルボン酸ハライド又はカルボン酸アルコキシドを、有機配位子のモノマーとして反応させることを特徴とする。
本発明に係る多孔性金属錯体は、上記本発明に係る多孔性金属錯体の製造方法により得られたことを特徴とする。
本発明に係る吸着材は、上記本発明に係る多孔性金属錯体を含むことを特徴とする。
本発明に係る分離材は、上記本発明に係る多孔性金属錯体を含むことを特徴とする。
本発明に係るガス吸着材は、上記本発明に係る多孔性金属錯体を含むことを特徴とする。
本発明に係る触媒材料は、上記本発明に係る多孔性金属錯体を含むことを特徴とする。
本発明によれば、カルボン酸ハライド又はカルボン酸アルコキシド、特にカルボン酸クロリド又はカルボン酸アルコキシドを有機配位子のモノマーとして用いることにより、錯体化反応、つまり、高分子化反応の活性化エネルギーを下げることが可能となる。これにより、より優しい条件での反応が可能となり、副反応を防止でき、純度及び表面積の大きな高品質の三次元金属錯体を得ることが可能となる。また、従来の合成反応と比較して、反応時間を短縮でき、コスト削減の効果もある。
本発明によれば、純度の高い多孔性金属錯体が得られる。
本発明によれば、本発明に係る多孔性金属錯体を用いるので、高効率な吸着材、分離材、ガス吸着材及び触媒材料が得られる。
以下、本発明の実施の形態に係る多孔性金属錯体、多孔性金属錯体の製造方法、吸着材、分離材、ガス吸着材及び触媒材料を説明する。
図1に、本発明の実施の形態に係る多孔性金属錯体(以下、しばしば「多孔性架橋金属錯体」と呼ぶ。)の一例の結晶構造1を模式的に示す。ここでは、中心金属の間の結合には、有機配位子と架橋配位子の二種類を配位子として用いている。この結晶構造1を有する多孔性金属錯体は、2個の銅イオンを中心金属2とした二核錯体であり、中心金属2の周りにはRで示す構造を有するカルボン酸イオンが有機配位子として配位されて配位結合部3を形成している。各カルボン酸イオンは2つのカルボキシレート基を有し、このカルボキシレート基の2つの酸素原子を介して中心金属2である銅イオンに配位することにより、2つの銅イオンを4つの格子点とする環(空隙)が縮合した格子状の2次元構造(カルボン酸金属錯体)M1が形成されている。この二次元格子構造M1を単位モチーフ、つまり、基本的繰り返しパターンとして積層し、各二次元格子構造M1を架橋配位子4であるトリエチレンジアミンで架橋することにより三次元的多孔性骨格構造からなる多孔性架橋金属錯体が形成されている。架橋配位子4であるトリエチレンジアミンは、2個の配位基で中心金属2である銅イオンに配位している二座配位子である。この構造1では、中心金属2と配位結合部3によって画成された空隙GP1を有し、複数の二次元構造M1の各空隙列がc軸方向に一列に整列し、一次元のチャネルを複数形成している。
このような構造を有する多孔性架橋金属錯体は、中心金属の塩、又は中心金属の酸化物とエステル化反応するカルボン酸ハライド又はカルボン酸アルコキシドを、有機配位子のモノマーとして反応させることにより得られる。このように、カルボン酸ハライド又はカルボン酸アルコキシド、特にカルボン酸クロリド又はカルボン酸アルコキシドを有機配位子のモノマーとして用いることにより、錯体化反応、つまり、高分子化反応の活性化エネルギーを下げることが可能となる。これにより、純度及び表面積の高い多孔性金属錯体が得られる。
反応の一例を示す。例えば、下記反応式(1)に示すように、金属塩(ここでは、金属酢酸塩を例示している。)と、有機配位子となるカルボン酸(ここでは、ジカルボン酸を例示している。)とを反応させることにより、多孔性架橋金属錯体が得られる。
nM(CHCOO)+HOOC−R−COOH→
{M(OOC−R−COO)} +2nCHCOOH・・・(1)
この反応により得られる多孔性金属錯体が、大きな表面積を得るためには、更に、各二次元格子構造M1を架橋配位子4であるトリエチレンジアミン等で架橋することにより(反応(2))、図1に示す三次元的多孔性骨格構造を形成させる。架橋配位子4であるトリエチレンジアミンは、2個の配位基で中心金属2である銅イオンに配位している二座配位子である。
{M(OOCCOO)}+1/2nC12
[{M(OOCCOO)}−1/2C12・・・(2)
この反応(2)では、銅イオンと複素環カルボン酸イオンとから形成される二次元格子構造M1からなる単位モチーフが形成されると同時に、中心金属2に2座配位可能な架橋配位子4を加えることことにより、架橋配位子4が中心金属2と複素環骨格及びカルボキシレート基を有する有機配位子3によって形成された二次元構造M1間を架橋して三次元的多孔性骨格構造1を形成する。
なお、反応(1)と反応(2)の反応は工程を分けて行うことも可能であるが、同時に出発物質を加えて反応させることも可能である。反応(1)及び反応(2)の高分子化反応は、一般的に平衡反応であり、反応を右側にシフトさせるが、必要に応じて反応の際に、加熱、加圧又はアルカリの添加を必要とする。しかしながら、金属種、カルボン酸有機配位子に選択によっては、特に反応(1)の高分子化反応において、大きな活性化エネルギーが必要となり、厳しい反応条件が必要となる。この厳しい反応条件下においては、副反応も併発し、目的の多孔性金属錯体を得られない。
そこで、反応における活性化エネルギーを低下させる手段として、従来はカルボン酸を反応させて有機配位子としていたが、出発原料としてカルボン酸ではなくカルボン酸クロリドを代表とする反応性に優れたカルボン酸モノマーを用いることにより、厳しい反応条件を避けることが可能となり、副反応も防止できる(反応(3)、(4))。
nM(CHCOO)+n(ClOC−R−COCl)+2nNaOH→
M(OOC−R−COO) +2nCHCOOH+2nNaCl・・・(3) nM(OH)+n(ClOC−R−COCl)→
M(OOC−R−COO)+2nHCl・・・(4)
カルボン酸モノマーをカルボン酸アルコキシドとした場合には、以下の反応式となる(反応(5))。
nM(CHCOO)+n(HCOOC−R−COOCH)→
M(OOC−R−COO)+2nCHCOOCH・・・(5)
このように、出発原料としてカルボン酸ではなくカルボン酸クロリドを代表とする反応性に優れたカルボン酸モノマーを用いることにより、より優しい条件反応を右側にシフトすることが可能となる。ここにおいて、金属種によっては成立し得なかった反応も可能となる他、成立していた反応においても、反応温度の低下、単位時間当たりの生産性及び収率の増加を期待でき、製造コストの削減も期待できる。
上記した本発明の実施の形態の一例として、図2(a)に本発明の実施の形態に係る反応を、図2(b)に従来例における反応を示す。図2(b)に示すように、従来例では、有機配位子となる化合物であるテレフタル酸21と、中心金属の塩である酢酸銅22と、架橋配位子となる化合物であるトリエチレンジアミン23とを溶媒に溶解して反応させて、架橋金属錯体24と、副生成物である酢酸25が得られていた。これに対し、本発明の実施の形態に係る反応では、図2(a)に示すように、カルボン酸クロリドであるテレフタル酸クロリド11と、中心金属の塩である酢酸銅12と、反応促進剤、つまり触媒機能を有する水酸化ナトリウム13と、架橋配位子となる化合物であるトリエチレンジアミン14とを溶媒に溶解させて反応させて、架橋金属錯体15と、副生成物である塩化ナトリウム16と酢酸17が得られる。この反応では、カルボン酸の脱プロトン化反応と、金属のイオン化反応により反応が進行する。ここで、有機配位子の出発物質としてカルボン酸クロリド又はカルボン酸アルコキシドを用いることにより、反応開始の障害となっているカルボン酸の脱プロトン化を回避することが可能となり、錯体化反応、つまり、高分子化反応の活性化エネルギーを下げることが可能となる。このように、反応性を改善し、錯体の結晶成長が容易となることにより、結果として、得られた多孔性架橋金属錯体の表面積が大きくなる。
有機配位子のモノマーは、次の一般式(I)
R−(COX)n ・・・(I)
(ただし、Rは任意の炭化水素系置換基を含んでもよく、nは整数を示し、1≦n≦4、Xはハロゲン又はアルコキシドを表す。)で表される化合物であることが好ましい。炭化水素系置換基は、元素としてN、O、S、P、B、As、Si、Sb及びHgから選ばれる元素を含むことが好ましく、炭化水素系置換基は、環骨格内にN、O、S、P、B、As、Si、Sb及びHgから選ばれる元素を含む複素環骨格を含むことが好ましい。
上記有機配位子のモノマーは、次の一般式(II)
R−(COCl)n・・・(II)
(ただし、nは整数を示し、2≦n≦4である。)で表されるカルボン酸クロリドであることが好ましく、有機配位子のモノマーは、次の一般式(III)
R−(COOC2m+1)n・・・(III)
(ただし、mは整数を示し、1≦m≦3である。)で表されるカルボン酸アルコキシドであることであっても良い。
上記Rは、次の一般式(IV)〜(XXXVIII)
Figure 2008266269
のいずれか一つで表される置換基を含むことが好ましい。一般式(IV)〜(XXXVIII)において、カルボキシレート基は環のどの位置に結合していても良く、このカルボキシレート基の2つの酸素原子が中心金属に配位することにより二次元格子構造を形成する。
中心金属は、2〜3価の金属を含む金属群から選択される金属を含むことが好ましく、特に、2価の金属を含むことが好ましい。この場合には、中心金属の塩が溶媒中で解離して金属がイオン化するため、カルボン酸誘導体との反応が促進される。このため、従来に比べ、反応時間も短縮でき、反応温度の低下、収率の増加が可能となる。なお、中心金属は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Ru、Rh、Pd、Cd、W、Re及びIrを含む金属群から選択される金属を含むことがより好ましい。
中心金属の塩は、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩及び蟻酸塩を含む金属塩群から選択される金属塩を含むことが好ましい。また、出発物質が中心金属の酸化物である場合には、水酸化金属を含むことが好ましい。反応は、カルボン酸誘導体であるカルボン酸ハライド又はカルボン酸アルコキシドと金属塩を溶媒に溶解して、必要に応じてアルカリ等の反応促進剤を加えることにより行う。この反応において、3次元的な大きな多孔性金属錯体を得るために、中心金属に2座配位可能な架橋配位子を加えることを含む。架橋配位子としては、例えばトリエチレンジアミン又はピラジンが上げられる。各モノマー、つまり出発物質を溶解した溶液を混合することにより、例えば、カルボン酸クロリドの解離により生成した活性なカルボニルイオンと、金属塩の解離により生成した金属イオンとが反応し、金属錯体が生成する。また、架橋配位子を加えることにより、二次元格子構造からなる金属錯体の形成と同時に、架橋配位子による架橋反応が進み、三次元的多孔性骨格構造を含む多孔性金属錯体が形成される。このように、活性なモノマーを用いることにより、単位時間当たりの生産性及び収率の増加が期待でき、製造コストを削減できる。なお、架橋配位子はカルボン酸モノマー、金属塩を反応させた後に加えても構わないし、同時に加えてもよい。
なお、この反応の際には、超音波による照射を行ってもよい。この場合には、カルボン酸誘導体と金属塩との反応、また架橋配位子との反応が促進されるため、従来に比べて反応時間の低下、反応温度の低下及び反応収率の増加が可能となる。また、反応を促進するため、必要に応じて、触媒として水酸化アルカリ金属又は水酸化アルカリ土類金属を含む水酸化物(例えばNaOH。)を添加することも可能である。反応を触媒存在下で行うことにより、反応が効率良く進行する。
溶媒としては、特に限定されないが、カルボン酸モノマーと反応しないことが最優先であり、その他の用件としては、カルボン酸モノマーと金属塩の双方の溶解度が高いことが望ましい。例えば、溶媒は、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’-ジエチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、アセトン及びアセトニトリルを含む溶媒群から選択された溶媒を含むことが好ましい。中でも、溶媒は、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’-ジエチルホルムアミド、水、アルコール類を含む溶媒群から選択された溶媒を含むことが好ましい。
この多孔性金属錯体の製造方法により生成した多孔性金属錯体は、中心金属とカルボキシレート基を有する有機配位子とを備え、中心金属の周りに有機配位子が配位される。各有機配位子は2つのカルボキシレート基を有し、各カルボキシレート基がそれぞれ2つの酸素原子を介して異なる中心金属に配位することにより、中心金属を格子点とする環(空隙)が縮合した格子状の二次元構造が形成される。この二次元格子構造を単位モチーフ、つまり、基本的繰り返しパターンとして積層し、各二次元格子構造を架橋配位子で架橋することにより三次元的多孔性骨格構造が形成される。架橋配位子は、2個の配位基で中心金属に配位している二座配位子である。この構造では、複数の二次元構造の各空隙列が一列に整列するため、一次元のチャネルを複数形成する。
この多孔性金属錯体において、二次元格子構造の単位モチーフを積層した三次元的多孔性骨格構造は空隙を画成する骨格部であり、各空隙の細孔径は0.3〜2.0[nm]の大きさである。そして、この細孔径より小さな気体又は液体分子を骨格構造に取り込むことが可能である。この骨格構造は比較的強い結合である配位結合により形成されているため強固であり、気体又は液体分子を除去してもその骨格構造が安定に維持される。このため、気体又は液体分子を可逆的に取り込むことが可能である。なお、この多孔性金属錯体は、出発物質が反応性に富んだカルボン酸クロリド又はカルボン酸アルコキシド等のモノマーと金属塩であり、これにより錯体形成反応の活性化エネルギーが低減し、よりやさしい条件での反応が可能となり、副反応も防止され、高表面積の金属錯体が得られるようになる。
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る多孔性金属錯体の製造方法では、純度及び表面積の高い多孔性金属錯体の製造が可能となり、更には単位時間当たりの生産性及び収率が増加し、製造コストを削減できる。また、この製造方法により、純度及び表面積の高い多孔性金属錯体が得られ、この多孔性金属錯体を用いて吸着材、分離材、ガス吸着材及び触媒材料を製造した場合には、従来に比べて高効率な吸着材、分離材、ガス吸着材及び触媒材料が得られる。
以下、実施例1、2及び比較例1〜4及び参考例1〜15により本発明の実施の形態に係る多孔性金属錯体の製造方法について更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
1.試料の調製
実施例1 {Cu(II)(OOC−C64−COO)−1/2C12の合成
カルボン酸モノマーとしてテレフタル酸クロリドを、金属塩として酢酸銅一水和物を、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを用いた。まず、テレフタル酸クロリド2.03[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸銅一水和物2.00[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加えた。常温にて攪拌しながら、反応促進剤として0.80[g]の水酸化ナトリウムを含むジメチルホルムアミド溶液を徐々に加え、その後混合物にトリエチレンジアミン0.67[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌した。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行い、目的物を得た。
実施例2 {Rh(II)(OOC−C64−COO)−1/2C12の合成
ジカルボン酸モノマーとしてテレフタル酸クロリドを、金属塩として酢酸ロジウムを、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを用いた。まず、テレフタル酸クロリド2.03[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸ロジウム2.21[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加えた。常温にて攪拌しながら、反応促進剤として0.80[g]の水酸化ナトリウムを含むジメチルホルムアミド溶液を徐々に加え、その後混合物にトリエチレンジアミン0.67[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌した。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行い、目的物を得た。
比較例1{Cu(II)(OOC−C64−COO)−1/2C12の合成
カルボン酸モノマーとしてテレフタル酸を、金属塩として酢酸銅一水和物を、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを用いた。まず、テレフタル酸1.66[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸銅一水和物2.00[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加えた。常温にて攪拌しながら、その後混合物にトリエチレンジアミン0.67[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌した。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行い、目的物を得た。
比較例2 {Rh(II)(OOC−C64−COO)−1/2C12の合成
ジカルボン酸モノマーとしてテレフタル酸を、金属塩として酢酸ロジウムを、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを用いた。まず、テレフタル酸1.66[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸ロジウム2.21[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加えた。常温にて攪拌しながら、その後混合物にトリエチレンジアミン0.67[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌した。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行い、目的物を得た。
比較例3 {Pd(II)(OOC−C64−COO)−1/2C12の合成
ジカルボン酸モノマーとしてテレフタル酸を、金属塩として酢酸ロジウムを、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを用いた。まず、テレフタル酸1.66[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸ロジウム2.21[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加えた。常温にて攪拌しながら、その後混合物にトリエチレンジアミン0.67[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌した。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行い、目的物を得た。
比較例4 {Ru(II)(III)(OOC−C−COO)−1/2Cl}の合成
ジカルボン酸モノマーとしてテレフタル酸を、金属塩として塩化ルテニウムを、を用いた。まず、テレフタル酸1.66[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に塩化ルテニウム2.62[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加えた。その後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行い、目的物を得た。
以下に示す参考例1〜参考例15は実際に反応は行っていないが、理論的に以下に示す方法により合成反応が進むものと考えられる。
参考例1 {Pd(II)(OOC−C64−COO)−1/2C12の合成
ジカルボン酸モノマーとしてテレフタル酸クロリドを、金属塩として酢酸パラジウムを、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを用いる。まず、テレフタル酸クロリド2.03[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸パラジウム2.25[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加え、常温にて攪拌しながら、反応促進剤として0.80[g]の水酸化ナトリウムを含むジメチルホルムアミド溶液を徐々に加え、その後混合物にトリエチレンジアミン0.67[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌する。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物が得られる。
参考例2 {Ru(II)(III)(OOC−C64−COO)−1/2Cl}の合成
ジカルボン酸モノマーとしてテレフタル酸クロリドを、金属塩として塩化ルテニウムを、を用いる。まず、テレフタル酸2.03[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に塩化ルテニウム2.62[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加える。常温にて攪拌しながら、反応促進剤として0.80[g]の水酸化ナトリウムを含むジメチルホルムアミド溶液を徐々に加え、常温にて攪拌する。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物が得られる。
参考例3 {Ni(II)(OOC−C64−COO)−1/2C12の合成
ジカルボン酸モノマーとしてテレフタル酸クロリドを、金属塩として酢酸ニッケル四水和物を、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを用いる。まず、テレフタル酸クロリド2.03[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸ニッケル四水和物2.49[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加える。常温にて攪拌しながら、反応促進剤として0.80[g]の水酸化ナトリウムを含むジメチルホルムアミド溶液を徐々に加え、その後混合物にトリエチレンジアミン0.67[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌する。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物が得られる。
参考例4 {Mo(II)(OOC−C64−COO)−1/2C12の合成
ジカルボン酸モノマーとしてテレフタル酸クロリドを、金属塩として酢酸モリブデンダイマーを、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを用いる。まず、テレフタル酸クロリド2.03[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸モリブデンダイマー2.14[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加える。常温にて攪拌しながら、反応促進剤として0.80[g]の水酸化ナトリウムを含むジメチルホルムアミド溶液を徐々に加え、その後混合物にトリエチレンジアミン0.67[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌する。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物が得られる。
参考例5 {Cu(II)(OOC−C64−COO)−1/2C12の合成
参考例5では実施例1と目的物は一緒であるが、出発物質として水酸化銅を用いた場合を示す。ジカルボン酸モノマーとしてテレフタル酸クロリドを、金属塩として水酸化銅を、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを用いる。まず、テレフタル酸クロリド2.03[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に水酸化銅0.98[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加える。常温にて攪拌しながら、参考例5では反応促進剤を用いず、混合物にトリエチレンジアミン0.67[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌する。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物が得られる。
参考例6 {Cu(II)(OOC−iC64−COO)−1/2C12の合成
カルボン酸モノマーとしてイソフタル酸クロリドを、金属塩として酢酸銅一水和物を、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを用いる。まず、テレフタル酸クロリド2.03[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸銅一水和物2.00[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加える。常温にて攪拌しながら、反応促進剤として0.80[g]の水酸化ナトリウムを含むジメチルホルムアミド溶液を徐々に加え、その後混合物にトリエチレンジアミン0.67[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌する。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物が得られる。
参考例7 {Rh(II)(OOC−iC64−COO)−1/2C12の合成
ジカルボン酸モノマーとしてイソフタル酸クロリドを、金属塩として酢酸ロジウムを、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを用いる。まず、テレフタル酸クロリド2.03[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸ロジウム2.21[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加える。常温にて攪拌しながら、反応促進剤として0.80[g]の水酸化ナトリウムを含むジメチルホルムアミド溶液を徐々に加え、その後混合物にトリエチレンジアミン0.67[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌する。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物が得られる。
参考例8{Cu(II)(OOC−C5NH3−COO)−1/2C12の合成
ジカルボン酸モノマーとしてピリジンジカルボン酸クロリドを、金属塩として酢酸銅一水和物を、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを用いる。まず、ピリジンジカルボン酸クロリド2.04[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸銅一水和物2.00[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加える。常温にて攪拌しながら、反応促進剤として0.80[g]の水酸化ナトリウムを含むジメチルホルムアミド溶液を徐々に加え、その後混合物にトリエチレンジアミン0.67[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌する。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物が得られる。
参考例9{Rh(II)(OOC−C5NH3−COO)−1/2C12の合成
ジカルボン酸モノマーとしてピリジンジカルボン酸クロリドを、金属塩として酢酸ロジウムを、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを用いる。まず、ピリジンジカルボン酸クロリド2.04[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸ロジウム2.21[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加える。常温にて攪拌しながら、反応促進剤として0.80[g]の水酸化ナトリウムを含むジメチルホルムアミド溶液を徐々に加え、その後混合物にトリエチレンジアミン0.67[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌する。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物が得られる。
参考例10{Cu(II)(OOC−C64−COO)−1/2Cの合成
ジカルボン酸モノマーとしてテレフタル酸クロリドを、金属塩として酢酸銅一水和物を、架橋配位子としてピラジンを用いる。まず、テレフタル酸クロリド2.03[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸銅一水和物2.00[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加える。常温にて攪拌しながら、反応促進剤として0.80[g]の水酸化ナトリウムを含むジメチルホルムアミド溶液を徐々に加え、その後混合物にピラジン0.48[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌する。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物が得られる。
参考例11{Rh(II)(OOC−C64−COO)−1/2Cの合成
ジカルボン酸モノマーとしてテレフタル酸クロリドを、金属塩として酢酸ロジウムを、架橋配位子としてピラジンを用いる。まず、テレフタル酸クロリド2.03[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸ロジウム2.21[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加える。常温にて攪拌しながら、反応促進剤として0.80[g]の水酸化ナトリウムを含むジメチルホルムアミド溶液を徐々に加え、その後混合物にピラジン0.48[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌する。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物が得られる。
参考例12 [Cu(II)3{(C63−(COO) 32}]の合成
トリカルボン酸モノマーとしてトリメシン酸クロリドを、金属塩として酢酸銅一水和物を用いる。まず、トリメシン酸クロリド1.77[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸銅一水和物2.00[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加える。常温にて攪拌しながら、反応促進剤として0.80[g]の水酸化ナトリウムを含むジメチルホルムアミド溶液を徐々に加え、常温にて攪拌する。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物が得られる。
参考例13 [Rh(II)3{(C63−(COO) 32}]の合成
トリカルボン酸モノマーとしてトリメシン酸クロリドを、金属塩として酢酸ロジウムを用いる。まず、トリメシン酸クロリド1.77[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸銅一水和物2.21[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加えた。常温にて攪拌しながら、反応促進剤として0.80[g]の水酸化ナトリウムを含むジメチルホルムアミド溶液を徐々に加え、常温にて攪拌する。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物が得られる。
以上の例においては、各カルボン酸クロリドを用いた合成例を示したが、これに限定されるわけではない。カルボン酸クロリドの製法としては、反応(6)、反応(7)に示すように、対応するカルボン酸に塩化チオニルを反応させて得ることが可能である。
R−COOH+SOCl→R−COCl+SO+HCl・・・(6)
HOOC−R−COOH+2SOCl
ClOC−R−COCl+2SO+2HCl・・・(7)
参考例14 {Cu(II)(OOC−C64−COO)−1/2C12の合成
参考例14では、カルボン酸モノマーとしてテレフタル酸ジメチルを、金属塩として酢酸銅一水和物を、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを用いる。まず、テレフタル酸ジメチル1.94[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸銅一水和物2.00[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加える。80[℃]にて攪拌しながら、その後混合物にトリエチレンジアミン0.67[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌する。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物が得られる。
参考例15 {Rh(II)(OOC−C64−COO)−1/2C12の合成
ジカルボン酸モノマーとしてテレフタル酸ジメチルを、金属塩として酢酸ロジウムを、架橋配位子としてトリエチレンジアミンを用いる。まず、テレフタル酸ジメチル1.94[g]を含むジメチルホルムアミド溶液に酢酸ロジウム2.21[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を濾過しながら加える。80[℃]にて攪拌しながら、その後混合物にトリエチレンジアミン0.67[g]を含むジメチルホルムアミド溶液を加え、常温にて攪拌した。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物が得られる。
参考例14、参考例15に示すカルボン酸アルコキシドをモノマーとして用いる場合には、反応の進行状況を見ながらラジカル開始剤等を加えて反応させても構わない。
2.有効水素吸蔵能の測定
実施例1、2及び比較例1〜4で得られた試料について、有効水素吸蔵能を測定し、水素吸着性能の評価をした。測定方法は、JIS H 7201の水素吸蔵放出測定試験に従った。試料を秤量して測定用耐圧試料管に入れ、100[℃]で4[時間]真空引きして試料管内に残留しているガスを放出させて、水素が吸蔵されていない原点を得た後測定を行った。測定温度は25[℃]とした。その後大気圧まで減圧して水素放出量の確認を行った。
3.結晶構造の確認
合成した試料の結晶構造の確認にはマックスサイエンス社製X線回折装置(MXP 18VAHF)を用い、電圧40[kV]、電流300[mA]、X線波長CuKαで測定を行った。
4.組成の確認
合成した試料の組成は、元素分析により確認した。炭素、水素、窒素の確認にはJPI-5S-65-2004に記載の方法を用い、金属元素の確認には誘導結合プラズマ発光分光分析法を用いた。
5.BET比表面積の確認
合成した試料の表面積測定にはマイクロメリティックス社製、比表面積・細孔分布測定装置(ASAP−2010)を用い、窒素吸着BET多点法にて評価した。測定前に60[℃]で15[時間]の減圧脱ガス処理を行った。
実施例1、2及び比較例1〜4で得られた試料の合成された金属錯体、有機配位子モノマー、金属塩、架橋配位子、反応促進剤、BET比表面積及び10MPaの圧力における水素吸蔵能を表1に示す。参考例1〜15における金属錯体、有機配位子モノマー、金属塩、架橋配位子及び反応促進剤を表2に示す。
Figure 2008266269
Figure 2008266269
Cuをベースとした比較例1と実施例1のBET比表面積は、それぞれ2150、2340[m/g]、水素圧10MPaにおける水素吸蔵能は、0.61[wt%]、0.65[wt%]である。Cuをベースとした金属錯体においては、合成手法に関わらず、
2000[m/g]以上の比表面積が得られ、純度の高い多孔性金属錯体の合成が可能であることが分かった。Rhをベースとした比較例2の合成品のBET比表面積は560[m/g]であったが、実施例2の合成品は、2130[m/g]であった。水素吸蔵能は、それぞれ0.2[wt%]、0.62[wt%]であり、実施例2による合成品の方が高純度で良好な性能を示した。このことは、(1)式で示した高分子化反応より、(3)式で示した高分子化反応が進行し易すいことを示しており、モノマーとして酸クロリドが有用であることを示している。
高分子化反応の活性化エネルギーは、中心金属種によって異なり、活性化エネルギーが高いほど、圧力及び温度を高くして反応条件を厳しくする必要があるが、同時に副反応を招く。実験結果より、Cuの高分子化反応よりRh高分子化反応の方が活性化エネルギーが高いと予想される。テレフタル酸とテレフタル酸クロリドを比較した場合、エステル化反応は一結合当たり30[kJ/mol]程度有利であることが分っており、活性化エネルギーの高いRhベースとした場合、特に良好な結果が得られたと考えられる。また、実施例1及び2の製造方法では、比較例1と比較して反応に要する時間は1/5程度であり、合成プロセスの短縮化、単位時間当たりの生産性、収率の増加及び製造コストの削減が可能となることが示唆された。比較例3及び4に示したPd及びRuにおいても、Rh同様に活性化エネルギーが高いと予想され、比表面積、並びに水素吸蔵能を見る限り、ジカルボン酸を用いた反応では十分に反応しないことが分った。これらの金属についても参考例に示す方法により、所望の多孔性金属錯体が得られるものと考えられる。
以上、本実施の形態について説明したが、上記実施の形態の開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
多孔性金属錯体の三次元構造を示す模式図である。 (a)本発明の実施の形態に係る反応の一例を示す図である。(b)従来例における反応を示す図である。
符号の説明
1 三次元的多孔性骨格構造
2 中心金属
3 配位結合部
4 架橋配位子
M1 二次元格子構造
GP1 空隙

Claims (19)

  1. 中心金属と、前記中心金属に配位し、カルボキシレート基を有する有機配位子とを備える金属錯体の三次元的多孔性骨格構造を含む多孔性金属錯体の製造方法であって、
    前記中心金属の塩、又は前記中心金属の酸化物とエステル化反応するカルボン酸ハライド又はカルボン酸アルコキシドを、前記有機配位子のモノマーとして反応させることを特徴とする多孔性金属錯体の製造方法。
  2. 前記有機配位子のモノマーは、次の一般式(I)
    R−(COX)n ・・・(I)
    (ただし、Rは任意の炭化水素系置換基を含んでもよく、nは整数を示し、1≦n≦4、Xはハロゲン又はアルコキシドを表す。)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  3. 前記炭化水素系置換基は、元素としてN、O、S、P、B、As、Si、Sb及びHgから選ばれる元素を含むことを特徴とする請求項2に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  4. 前記炭化水素系置換基は、環骨格内にN、O、S、P、B、As、Si、Sb及びHgから選ばれる元素を含む複素環骨格を含むことを特徴とする請求項3に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  5. 前記有機配位子のモノマーは、次の一般式(II)
    R−(COCl)n・・・(II)
    (ただし、nは整数を示し、2≦n≦4である。)で表されるカルボン酸クロリドであることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  6. 前記有機配位子のモノマーは、次の一般式(III)
    R−(COOC2m+1)n・・・(III)
    (ただし、mは整数を示し、1≦m≦3である。)で表されるカルボン酸アルコキシドであることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  7. 前記Rは、次の一般式(IV)〜(XXXVIII)
    Figure 2008266269
    のいずれか一つで表される置換基を含むことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  8. 前記中心金属は、2〜3価の金属を含む金属群から選択される金属を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  9. 前記中心金属は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Ru、Rh、Pd、Cd、W、Re及びIrを含む金属群から選択される金属を含むことを特徴とする請求項8に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  10. 前記中心金属の塩は、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩及び蟻酸塩を含む金属塩群から選択される金属塩を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  11. 前記中心金属の酸化物は、水酸化金属を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  12. 前記中心金属に2座配位可能な架橋配位子を加えることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  13. 前記架橋配位子は、トリエチレンジアミン又はピラジンを含むことを特徴とする請求項12に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  14. 請求項1乃至請求項13のいずれか一項に係る多孔性金属錯体の製造方法により得られたことを特徴とする多孔性金属錯体。
  15. 前記骨格構造内に取り込まれた気体又は液体を有することを特徴とする請求項14に記載の多孔性金属錯体。
  16. 請求項1乃至請求項13のいずれか一項に係る多孔性金属錯体を含むことを特徴とする吸着材料。
  17. 請求項1乃至請求項13のいずれか一項に係る多孔性金属錯体を含むことを特徴とする分離材料。
  18. 請求項1乃至請求項13のいずれか一項に係る多孔性金属錯体を含むことを特徴とするガス吸着材料。
  19. 請求項1乃至請求項13のいずれか一項に係る多孔性金属錯体を含むことを特徴とする触媒材料。
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