JP2013216622A - 金属錯体、該金属錯体の製造方法および吸着材 - Google Patents

金属錯体、該金属錯体の製造方法および吸着材 Download PDF

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Abstract

【課題】優れたガス吸着特性を有する吸着材として使用することができる金属錯体を提供すること。
【解決手段】下記一般式(I);
【化1】

(式中、R〜Rは明細書に定義されるとおりである。)で表されるジカルボン酸化合物(I)と、少なくとも一種類の金属のイオンと、前記金属イオンに二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体であって、その組成が

(式中、Mは前記金属イオン、Aはジカルボン酸化合物(I)のジアニオン、Bは前記二座配位可能な有機配位子を示す)である、相互貫入した二次元シート構造を有することを特徴とする金属錯体。
【選択図】なし

Description

本発明は、特殊な構造を有する金属錯体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、特定のジカルボン酸化合物と、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、パラジウム、亜鉛およびカドミウムから選択される少なくとも1種の金属と、該金属に二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体に関する。本発明の金属錯体は、二酸化炭素、水素ガス、一酸化炭素、酸素ガス、窒素ガス、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気などを吸着するための吸着材として好ましい。
これまで、脱臭、排ガス処理などの分野で種々の吸着材が開発されている。活性炭はその代表例であり、活性炭の優れた吸着性能を利用して、空気浄化、脱硫、脱硝、有害物質除去など各種工業において広く使用されている。近年は半導体製造プロセスなどへ窒素ガスの需要が増大しており、かかる窒素を製造する方法として、分子ふるい炭を使用して圧力スイング吸着法(PSA法)や温度スイング吸着法(TSA法)により空気から窒素を製造する方法が使用されている。また、分子ふるい炭は、メタノール分解ガスからの水素精製など各種ガス分離精製にも応用されている。
圧力スイング吸着法や温度スイング吸着法により混合ガスを分離する際には、一般に、分離吸着材として分子ふるい炭やゼオライトなどを使用し、その平衡吸着量または吸着速度の差により分離を行っている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、平衡吸着量の差によって混合ガスを分離する場合、これまでの吸着材では除去したいガスのみを選択的に吸着することができないため分離係数が小さくなり、装置の大型化は不可避であった。また、吸着速度の差によって混合ガスを分離する場合、ガスの種類によっては除去したいガスのみを吸着できるが、吸着と脱着を交互に行う必要があり、この場合も装置は依然として大型にならざるを得なかった。
一方、より優れた吸着性能を与える吸着材として、高分子金属錯体が開発されている(非特許文献2参照)。高分子金属錯体は、(1)広い表面積と高い空隙率、(2)高い設計自由度、(3)外部刺激による動的構造変化、といった特徴を有しており、既存の吸着材にはない吸着特性が期待される。
高分子金属錯体の例として、イソフタル酸誘導体と金属イオンと該金属イオンに二座配位可能な中性有機配位子とからなる高分子金属錯体が開示されている(特許文献1、非特許文献3、非特許文献4および非特許文献5参照)。
しかしながら、吸着材や吸蔵材としての利用を考えた場合、絶対的な吸着量の増加が望まれている。
特開2010−158617公報
竹内雍監修、「最新吸着技術便覧」第1版、エヌ・ティー・エス、 84−163頁(1999年) 松田亮太郎、北川進、ペトロテック、第26巻、97〜104頁(2003年) Lu-Fang Ma, Li-Ya Wang, Jiang-Liang Hu, Yao-Yu Wang, and Guo-Ping Yang、Crystal Growth and Design、第9巻、5334〜5342頁(2009年) Susan A. Bourne, Jianjiang Lu, Brian Moulton and Michael J. Zaworotko、Chem. Comm.、861〜862項(2001年) Lu-Fang Ma, Xiu-Qin Li, Qing-Lei Meng, Li-Ya Wang, Miao Du, and Guo-Ping Yang、Crystal Growth and Design、第11巻、175〜184頁(2011年)
本発明の目的は、従来よりも優れたガス吸着特性を有する吸着材として使用することができる金属錯体を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討し、特定のジカルボン酸化合物と、特定の金属イオンと、該金属イオンに二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体により、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
[1]
下記一般式(I);
(式中、R、R、RおよびRはそれぞれ同一または異なっていてもよい、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン基、水酸基、炭素数1〜4のモノアルキルアミノ基、炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、炭素数2〜4のアシルアミノ基およびハロゲン原子のいずれかを示す。)で表されるジカルボン酸化合物(I)と、
マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛およびカドミウムから選択される少なくとも一種類の金属のイオン(「金属イオン」という。)と、
前記金属イオンに二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体であって、その組成が

(式中、Mは前記金属イオン、Aはジカルボン酸化合物(I)のジアニオン、Bは前記二座配位可能な有機配位子を示す)である、相互貫入した二次元シート構造を有することを特徴とする金属錯体。
[2]
前記二座配位可能な有機配位子が下記一般式(II);
(式中、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12はそれぞれ同一または異なっていてもよい、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ホルミル基、炭素数2〜4のアシロキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、炭素数1〜4のモノアルキルアミノ基、炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、炭素数2〜4のアシルアミノ基またはハロゲン原子のいずれである。)で表される[1]に記載の金属錯体。
[3]
前記金属イオンが亜鉛イオンである[1]または[2]に記載の金属錯体。
[4]
一般式(I)で示されるジカルボン酸化合物(I)が、R,R、R、Rのすべてが水素原子であるイソフタル酸、R,R、Rが水素原子、Rがメチル基である5−メチルイソフタル酸、R,R、Rが水素原子、Rがメトキシ基である5−メトキシイソフタル酸のいずれかである請求項[1]〜[3]のいずれかに記載の金属錯体。
[5]
一般式(II)で示される二座配位可能な有機配位子(II)が、R,R,R,R,R,R10,R11およびR12のすべてが水素原子である1,2−ビス(4−ピリジル)エタンである[1]〜[4]のいずれかに記載の金属錯体。
[6]
請求項[1]〜[5]のいずれかに記載の金属錯体からなる吸着材。
[7]
前記吸着材が、水素分子、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素分子、窒素分子、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気を吸着するための吸着材である[6]に記載の吸着材。
[8]
[1]〜[5]のいずれかに記載の金属錯体からなる吸蔵材。
[9]
前記吸蔵材が、水素分子、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素分子、窒素分子、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気を吸蔵するための吸着材である[8]に記載の吸蔵材。
[10]
前記ジカルボン酸化合物(I)と、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛およびカドミウムから選択される金属の塩から選択される少なくとも一種の金属塩と、前記金属イオンに二座配位可能な有機配位子(II)とを、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドの少なくとも一つを含む溶媒中で反応させ、金属錯体を析出させることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載の金属錯体の製造方法。
本発明により、相互貫入した二次元シート構造を有する金属錯体を提供することができる。本発明の金属錯体は各種ガスの吸着性能に優れているので、二酸化炭素、水素ガス、一酸化炭素、酸素ガス、窒素ガス、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気などを吸着するための吸着材または吸蔵材、貯蔵材として使用することができる。
相互貫入した2次元シート構造を示す図である。 単結晶X線構造解析に基づく、実施例1で得られた金属錯体の結晶のORTEP図(Oak Ridge Thermal Ellipsoid Program図)である。 単結晶X線構造解析に基づく、実施例2で得られた金属錯体の結晶のORTEP図である。 単結晶X線構造解析に基づく、実施例3で得られた金属錯体の結晶のORTEP図である。 実施例1の単結晶X線構造解析に基づく粉末X線回折パターンのシミュレーション結果と実施例4の金属錯体の粉末X線回折パターンとの比較図である。 実施例2の単結晶X線構造解析に基づく粉末X線回折パターンのシミュレーション結果と実施例5の金属錯体の粉末X線回折パターンとの比較図である。 実施例3の単結晶X線構造解析に基づく粉末X線回折パターンのシミュレーション結果と実施例6の金属錯体の粉末X線回折パターンとの比較図である。 非特許文献4記載の化合物1の単結晶X線構造解析に基づく粉末X線回折パターンのシミュレーション結果と比較例1の金属錯体の粉末X線回折パターンとの比較図である。 非特許文献3記載の化合物1の単結晶X線構造解析に基づく粉末X線回折パターンのシミュレーション結果と比較例2の金属錯体の粉末X線回折パターンとの比較図である。 実施例4〜6および比較例1〜2で得た金属錯体について、−78℃における二酸化炭素の吸着等温線である。 実施例4〜6および比較例1〜2で得た金属錯体について、−78℃におけるエチレンの吸着等温線である。 実施例4〜6および比較例1〜2で得た金属錯体について、−78℃におけるエタンの吸着等温線である。 実施例4の金属錯体の、−78℃における二酸化炭素における吸脱着等温線である。 実施例5の金属錯体の、−78℃における二酸化炭素における吸脱着等温線である。 比較例1の金属錯体の、−78℃における二酸化炭素における吸脱着等温線である。 比較例2の金属錯体の、−78℃における二酸化炭素における吸脱着等温線である。
本発明の金属錯体は、ジカルボン酸化合物(I)と、特定の金属イオンと、該金属イオンに二座配位可能な有機配位子(II)とからなる。金属錯体は、ジカルボン酸化合物(I)と、特定の金属イオンと、該金属イオンに二座配位可能な有機配位子(II)と、溶媒分子とからなるものであってもよい。
金属錯体は、ジカルボン酸化合物(I)と、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛およびカドミウムから選択される少なくとも1種の金属の塩と、該金属イオンに二座配位可能な有機配位子(II)とを、常圧下、溶媒中で数時間から数日間反応させ、析出させて製造することができる。例えば、前記金属塩の水溶液または有機溶媒溶液と、ジカルボン酸化合物(I)および二座配位可能な有機配位子(II)を含有する有機溶媒溶液とを、常圧下で混合して反応させることにより本発明の金属錯体を得ることができる。
<ジカルボン酸化合物(I)>
本発明に用いられるジカルボン酸化合物(I)は下記一般式(I);
一般式(I)
(式中、R、R、RおよびRはそれぞれ同一または異なっていてもよい、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン基、水酸基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基およびハロゲン原子のいずれかを示す)で表される。
炭素数1〜4のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などの直鎖または分岐を有するアルキル基が挙げられる。また、該アルキル基が有していてもよい置換基の例としては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基,n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基など)、アミノ基、モノアルキルアミノ基(メチルアミノ基など)、ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基など)、ホルミル基、エポキシ基、アシロキシ基(アセトキシ基、n−プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基など)、カルボン酸無水物基(−CO−O−CO−R基)(Rは炭素数1〜4のアルキル基である)などが挙げられる。アルキル基の置換基の数は、1〜3個が好ましく、1個がより好ましい。
炭素数2〜4のアルケニル基としてはビニル基、アリル基、1−プロペニル基、ブテニル基が挙げられる。
炭素数1〜4のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基,n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
アシロキシ基の例としては、アセトキシ基、n−プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基が挙げられる。
炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基が挙げられる。
炭素数1〜4のモノアルキルアミノ基の例としてはメチルアミノ基が挙げられる。炭素数1〜4のジアルキルアミノ基の例としては、ジメチルアミノ基が挙げられる。炭素数1〜4のアシルアミノ基の例としては、アセチルアミノ基が挙げられる。
ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
本発明の好ましい態様の一つにおいて、ジカルボン酸化合物(I)は下記一般式(I-1);
一般式(I-1)
(式中、RおよびRはそれぞれ同一または異なっていてもよい、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン基、水酸基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基およびハロゲン原子のいずれかを示す)で表される。
より好ましくは、下記一般式(I-2);
一般式(I-2)
(式中、Rは、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン基、水酸基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基およびハロゲン原子のいずれかを示す)で表される。
ジカルボン酸化合物(I)としては、R、R、R、Rのすべてが水素原子であるイソフタル酸、R,R、Rが水素原子であり、かつ、Rがメチル基である5−メチルイソフタル酸、R,R、Rが水素原子であり、かつ、Rがメトキシ基である5−メトキシイソフタル酸が好ましい。
<金属イオン>
本発明の金属錯体を構成する金属のイオンはマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛およびカドミウムから選択される少なくとも1種の金属のイオン(以下、「金属イオン」という。)である。当該金属イオンとしては2価のものが好ましい。これらの中でも亜鉛イオン、コバルトイオンが好ましく、亜鉛イオンがより好ましい。
本発明金属錯体を製造する際には前記金属の塩を用いることができる。金属塩は単一の金属塩を使用することが好ましいが、2種以上の金属塩を混合して用いてもよい。これらの金属塩としては、酢酸塩、ギ酸塩などの有機酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩などの無機酸塩を使用することができる。
<二座配位可能な有機配位子(II)>
本発明の金属錯体を構成する二座配位可能な有機配位子は、好ましくは下記一般式(II);
一般式(II)
(式中、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12はそれぞれ同一または異なっていてもよい、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ホルミル基、炭素数2〜8のアシロキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、炭素数1〜4のモノアルキルアミノ基、炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、炭素数2〜4のアシルアミノ基またはハロゲン原子のいずれである。)で表される。
以下、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12について説明する。
炭素数1〜4のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などの直鎖または分岐を有するアルキル基が挙げられる。また、該アルキル基が有していてもよい置換基の例としては、炭素数1〜4のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基,n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基など)、アミノ基、炭素数1〜4のモノアルキルアミノ基(メチルアミノ基など)、炭素数2〜8ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基など)、ホルミル基、エポキシ基、炭素数2〜8のアシロキシ基(アセトキシ基、n−プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基など)、カルボン酸無水物基(−CO−O−CO−R21基)(R21は炭素数1〜4のアルキル基である)などが挙げられる。アルキル基の置換基の数は、1〜3個が好ましく、1個がより好ましい。
炭素数2〜4のアルケニル基としてはビニル基、アリル基、1−プロペニル基、ブテニル基が挙げられる。
炭素数1〜4のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基,n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
炭素数2〜8のアシロキシ基の例としては、アセトキシ基、n−プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基が挙げられる。
炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基が挙げられる。
炭素数1〜4のモノアルキルアミノ基の例としてはメチルアミノ基が挙げられる。炭素数2〜8のジアルキルアミノ基の例としては、ジメチルアミノ基が挙げられる。炭素数2〜4のアシルアミノ基の例としては、アセチルアミノ基が挙げられる。
ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
、R、R、R、R、R10、R11およびR12は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子がさらに好ましい。
二座配位可能な有機配位子(II)としては、1,2−ビス(4−ピリジル)エタンが好ましい。ここで、二座配位可能な有機配位子とは非共有電子対で金属に対して配位する部位を2箇所持つ中性配位子を意味する。
<溶媒分子>
本発明の態様の一つにおいて、製造直後には溶媒分子が金属錯体に含まれる。溶媒の具体例としては、金属錯体の製造に用いる溶媒として用いることができる有機溶媒、水が挙げられる。より具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等の有機溶媒が挙げられる。なかでも、金属錯体のガス吸着性が優れるとの観点から、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)が好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドがより好ましい。
<製造方法>
本発明の相互貫入した2次元シート構造を有する金属錯体は、ジカルボン酸化合物(I)と、マグネシウム、カルシウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛およびカドミウムから選択される少なくとも1種の金属の塩から選択される少なくとも1種の金属塩と、該金属イオンに二座配位可能な有機配位子(II)とを、常圧下、溶媒中で、例えば、数時間から数日間反応させ、結晶を析出させて製造することができる。
金属塩としては、酢酸塩、ギ酸塩などの有機酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩などの無機酸塩を使用することができる。金属塩は単一の金属塩を使用することが好ましいが、2種以上の金属塩を混合して用いてもよい。
金属錯体を製造するときのジカルボン酸化合物(I)と二座配位可能な有機配位子(II)との混合比率は、ジカルボン酸化合物(I):二座配位可能な有機配位子(II)=1:5〜8:1のモル比の範囲内が好ましく、1:3〜6:1のモル比の範囲内がより好ましい。これ以外の範囲で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下し、副反応も増えることがある。
金属錯体を製造するときの金属塩と二座配位可能な有機配位子(II)の混合比率は、金属塩:二座配位可能な有機配位子(II)=3:1〜1:3のモル比の範囲内が好ましく、2:1〜1:2のモル比の範囲内がより好ましい。これ以外の範囲では目的とする金属錯体の収率が低下し、また、未反応の原料が残留して得られた金属錯体の精製が困難になる場合がある。
金属錯体を製造するための溶液中のジカルボン酸化合物(I)のモル濃度は、0.005〜5.0mol/Lが好ましく、0.01〜2.0mol/Lがより好ましい。これより低い濃度で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では溶解性が低下し、反応が円滑に進行しないことがある。
金属錯体を製造するための溶液中の金属塩のモル濃度は、0.005〜5.0mol/Lが好ましく、0.01〜2.0mol/Lがより好ましい。これより低い濃度で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では未反応の金属塩が残留し、得られた金属錯体の精製が困難になる。
金属錯体を製造するための溶液における二座配位可能な有機配位子(II)のモル濃度は、0.001〜5.0mol/Lが好ましく、0.005〜2.0mol/Lがより好ましい。これより低い濃度で反応を行っても目的とする金属錯体は得られるが、収率が低下するため好ましくない。また、これより高い濃度では溶解性が低下し、反応が円滑に進行しないことがある。
金属錯体の製造に用いる溶媒としては、有機溶媒、水またはそれらの混合溶媒を使用することができる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、水またはこれらの混合溶媒を使用することができる。なかでも、相互貫入した二次元シート構造を有する金属錯体が効率よく得られるとの観点から、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドの少なくとも一つを含む溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド若しくはN,N−ジメチルアセトアミドのみ、又はN,N−ジメチルホルムアミド若しくはN,N−ジメチルアセトアミドと水の混合溶媒が好ましい。N,N−ジメチルホルムアミドのみ、又はN,N−ジメチルホルムアミドと水の混合溶媒を用いることが特に好ましい。この際、金属錯体は、溶媒分子(特に、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド)をテンプレートとして、相互貫入した二次元シート構造が形成されると考えられるが、本発明はこれに拘束されるものではない。
なお、合成時にテンプレートとして作用し、金属錯体の相互貫入した二次元シート構造の形成に寄与した溶媒分子は、その後の真空乾燥などの操作により、金属錯体から除去されることがある。吸着材、吸蔵材としては溶媒分子が存在しなくても問題ない。
反応温度は、−20〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃である。反応温度が低すぎると反応時間が長くなり、製造コストの観点から不利である。また、反応温度が高すぎると加熱に要するコストが高くなるため、製造コストの観点から不利である。反応時間は1〜72hrが好ましく、6〜24hrがより好ましい。
反応圧力は常圧が好ましいが0.1〜0.99MPaの間で可能である。
反応が終了したことはガスクロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィーにより原料の残存量を定量することにより確認することができる。反応終了後、得られた混合液を吸引濾過に付して沈殿物を集め、有機溶媒による洗浄することにより、本発明の金属錯体を得ることができる。結晶性の良い金属錯体は、純度が高くて吸着性能が良い。結晶性を高めるには、適当な酸または塩基を原料の配位子に対して0.1〜100等量加えることで、結晶成長の速度を調整すればよい。
得られた金属錯体の結晶を、さらに真空乾燥することができる。金属錯体の結晶に吸着水、溶媒分子等が含まれる場合には、当該操作により、これらを除去しうる。真空乾燥は高温で行うことが好ましく、例えば、100℃以上、好ましくは120℃以上、特に150℃以上で行うことができる。真空条件としては、100Pa以下が好ましく、50Pa以下が特に好ましい。真空乾燥を行う時間は、1〜72hrが好ましく、6〜24hrがより好ましい。
<金属錯体の構造>
以上のようにして得られる本発明の金属錯体は、1つの金属イオンに対して2つのジカルボン酸化合物(I)のカルボキシラートイオンと2つの二座配位可能な有機配位子(II)が配位して形成される相互貫入した2次元シート構造が積層した構造を有する。相互貫入した2次元シート構造を図1に示す。
本発明の金属錯体の組成は、

(式中、Mは金属イオン、Aはジカルボン酸化合物(I)のジアニオン、Bは二座配位可能な有機配位子を示す。)
である。すなわち、M:A:B=1:1:1であることを意味する。
本発明の一つの態様において、本発明の金属錯体の組成は、

(式中、Mは金属イオン、Aはジカルボン酸化合物(I)のジアニオン、Bは二座配位可能な有機配位子、Lは溶媒分子を示す。)
である。すなわち、M:A:B:L=1:1:1:1であることを意味する。
本発明の金属錯体が溶媒分子を含まない場合において、金属錯体のガス吸着性が優れるとの観点から、溶媒分子に相当する空隙を有することが好ましい。
本発明の金属錯体において、金属イオンは2価の金属イオンであることが好ましい。この場合、本発明の金属錯体の好ましい一態様として、2価の陽電荷を有する金属イオン、2価の陰電荷を有するジカルボン酸化合物(I)のジアニオンおよび二座配位可能な有機配位子で金属錯体全体の電荷が中和した、無電荷の金属錯体が挙げられる。無論、本発明の金属錯体は、イオン電荷を有する陽イオン若しくは陰イオンであってもよい。この場合、本発明の金属錯体は、分子全体の電荷を中和する対イオン(カウンターイオン)を含むものであってもよい。
本明細書において、「相互貫入した二次元シート構造」とは、1つ金属イオンに対して2つのジカルボン酸化合物(I)のカルボキシラートイオンと2つの二座配位可能な有機配位子(II)が配位して形成される図1に示めすような三次元構造と定義する。金属錯体が「相互貫入した二次元シート構造」であることは、例えば結晶X線解析、粉末X線結晶構造解析などにより確認できる。
本発明では、一般式(I)で表されるジカルボン酸化合物を用いて細孔表面とガス分子の相互作用の強さを制御することで、高いガス吸着性能または吸蔵性能が発現する。
本発明の金属錯体は、各種ガスの吸着、吸蔵性能に優れているので、二酸化炭素、水素ガス、一酸化炭素、酸素ガス、窒素ガス、炭素数1〜4の炭化水素(メタン、エタン、エチレン、アセチレンなど)、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなど)、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン(ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなど)、水蒸気または有機蒸気などを吸着するための吸着材としても好ましく、特に、二酸化炭素、エチレン、エタンを吸着するのに適している。有機蒸気とは、常温、常圧で液体状の有機物質の気化ガスを意味する。このような有機物質としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;トリメチルアミンなどのアミン類;アセトアルデヒドなどのアルデヒド類;炭素数5〜16の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;塩化メチル、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例および比較例における分析および評価は次のようにして行った。
(1)単結晶X線結晶構造解析
得られた単結晶をゴニオヘッドにマウントし、単結晶X線回折装置(ブルカー・エイエックスエス株式会社製SMARTAPEX II Ultra)を用いて測定した。X線としてはMoのKα線(λ=0.71073)を用い、2θ=52°までの反射を用いた。反射強度はSADABSプログラム(Sheldrick, G. M., Siemens Area Correction AbsorptionProgram; University of Gottingen: Gottingen, Germany, 1994)を用いて補正した。構造はSHELXS−97(Sheldrick, G. M., Program for the Solution of Crystal Structure; Universityof Gottingen: Gottingen, Germany, 1997)による直接法により決定し、SHELXL−97により最適化した。水素以外の原子は異方的に最適化し、水素原子はAFIX Instructionを用いて配置した。
(2)粉末X線回折パターンの測定
株式会社リガク製マルチフレックスおよびブルカー・エイエックスエス株式会社製X線回折装置を用いて、回折角(2θ)=3〜50°の範囲を走査速度3°/分で走査し、対称反射法で測定した。
(3)吸脱着等温線の測定
ガス吸着量測定装置(日本ベル株式会社製BELSORP−HP)を用いて容量法(平衡待ち時間:500秒)で測定を行った。このとき、測定に先立って試料を150℃、50Paで6時間以上乾燥し、吸着水などを除去した。
<実施例1>
{[Zn(ip)(bpe)](DMF)}の単結晶合成:
1.5mlのバイアル瓶に硝酸亜鉛六水和物のDMF溶液0.2ml、イソフタル酸のDMF溶液0.2ml、1,2−ジ(4−ピリジル)エタンのDMF溶液0.2ml、水0.5mlを加え、混合した。得られた溶液を80℃の恒温槽で72時間加熱した。室温まで冷却した後、析出した結晶を取り出し、0℃において、単結晶X線構造解析を実施した。単結晶X線構造解析を行った結果を図2および表1に示す。構造解析の結果、本金属錯体が、図1に示す相互貫入した2次元シート構造を有し、かつ、空隙中にDMF分子を含有していることがわかった結晶構造における最小構造単位の分子式、分子量、単位格子の晶系、空間群、格子軸の長さおよび軸同士の角度、単位格子の体積、単位格子中に含まれる構造単位の数、測定結果に対する信頼度因子(R因子およびRw因子)を表1に示す。
<実施例2>
{[Zn(Meip)(bpe)](DMF)}の単結晶合成:
1.5mlのバイアル瓶に硝酸亜鉛六水和物のDMF溶液0.4ml、5−メチルイソフタル酸のDMF溶液0.4ml、1,2−ジ(4−ピリジル)エタンのDMF溶液0.2ml、DMF0.1mlを加え、混合した。得られた溶液を80℃の恒温槽で72時間加熱した。析出した結晶を取り出し、―173℃において、単結晶X線構造解析を実施した。単結晶X線構造解析を行った結果を図3および表1に示す。構造解析の結果、本金属錯体が、図1に示す相互貫入した2次元シート構造を有し、かつ、空隙中にDMF分子を含有していることがわかった。
<実施例3>
{[Zn(MeOip)(bpe)](DMF)}の単結晶合成:
1.5mlのバイアル瓶に硝酸亜鉛六水和物のDMF溶液0.3ml、5−メトキシイソフタル酸のDMF溶液0.3ml、1,2−ジ(4−ピリジル)エタンのDMF溶液0.3ml、DMF0.2mlを加え、混合した。得られた溶液を80℃の恒温槽で72時間加熱した。析出した結晶を取り出し、―173℃において、単結晶X線構造解析を実施した。単結晶X線構造解析を行った結果を図4および表1に示す。構造解析の結果、本金属錯体が、図1に示す相互貫入した2次元シート構造を有し、かつ、空隙中にDMF分子を含有していることがわかった。
<実施例4>
{[Zn(ip)(bpe)](DMF)}の合成:
300mLナスフラスコに硝酸亜鉛六水和物0.600g(2.02mmol)、イソフタル酸0.339g(2.04mmol)、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン0.393g(2.13 mmol)、DMF60 ml、水50 mlを加えた。得られた溶液を80℃のオイルバスで16時間加熱攪拌した。室温まで冷却した後、析出した固体を吸引ろ過し、DMF、メタノールで洗浄し、風乾した。目的の金属錯体を0.240g(収率:26%)得た。実施例1の単結晶構造解析の結果からシミュレーションして得られた粉末X線回折パターンと、得られた金属錯体の粉末X線回折パターンとの比較を図5に示す。図5では両者の粉末X線回折パターンが一致することから、実施例4で得られた固体が実施例1で示した相互貫入した2次元シート構造を有する金属錯体であることがわかる。
<実施例5>
{[Zn(Meip)(bpe)](DMF)}の合成:
300mLナスフラスコに硝酸亜鉛六水和物1.50g(5.04mmol)、5−メチルイソフタル酸0.901g(5.00mmol)、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン0.928g(5.04 mmol)、DMF100mlを加えた。得られた溶液を120℃のオイルバスで16時間加熱攪拌した。室温まで冷却した後、析出した固体を吸引ろ過し、DMF、メタノールで洗浄し、風乾した。目的の金属錯体を1.32g(収率:56%)得た。実施例2の単結晶構造解析の結果からシミュレーションして得られた粉末X線回折パターンと、得られた金属錯体の粉末X線回折パターンとの比較を図6に示す。図6では両者の粉末X線回折パターンが一致することから、実施例5で得られた固体が実施例2で示した相互貫入した2次元シート構造を有する金属錯体であることがわかる。
<実施例6>
{[Zn(MeOip)(bpe)](DMF)}の合成:
300mLナスフラスコに硝酸亜鉛六水和物1.49g(5.00mmol)、5−メトキシイソフタル酸0.932g(4.75mmol)、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン0.924g(5.02 mmol)、DMF100mlを加えた。得られた溶液を120℃のオイルバスで16時間加熱攪拌した。室温まで冷却した後、析出した固体を吸引ろ過し、DMF、メタノールで洗浄し、風乾した。目的の金属錯体を1.19g(収率:52%)得た。実施例3の単結晶構造解析の結果からシミュレーションして得られた粉末X線回折パターンと、得られた金属錯体の粉末X線回折パターンとの比較を図7に示す。図7より、両者の粉末X線回折パターンが一致することから、実施例6で得られた固体が実施例3で示した相互貫入した2次元シート構造を有する金属錯体であることがわかる。
<比較例1>
[Zn(ip)(bpe)]の合成:
300mLナスフラスコに硝酸亜鉛六水和物0.292g(0.98 mmol)、イソフタル酸0.334g(2.01 mmol)、エタノール100mlを加え、さらに、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン0.370g(2.03mmol)のメタノール溶液、50 mlを滴下しながら加えた。12時間攪拌した後、析出した固体を吸引ろ過し、DMF、エタノール、メタノールで洗浄した。目的の金属錯体を0.226g(収率:50%)得た。非特許文献4記載の化合物1の単結晶構造からシミュレーションして得られた粉末X線回折パターンと、得られた金属錯体の粉末X線回折パターンとの比較を図8に示す。図8より、両者の粉末X線回折パターンが一致することから、得られた固体が特許文献1に記載されている集積構造を有する金属錯体であり、かつ、相互貫入した2次元シート構造ではないことがわかる。
<比較例2>
[Zn(Meip)(bpe)]の合成:
100mLオートクレーブに5−メチルイソフタル酸0.182g(1.01mmol)、1M水酸化カリウム水溶液10mlを加えた後、酢酸亜鉛二水和物0.221g(1.01mmol)、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン0.187g(1.01mmol)、水30 mlを加え、混合した。得られた溶液を170℃で96時間加熱した。析出した固体を吸引ろ過し、エタノールで洗浄した。目的の金属錯体を0.370 g(収率:86%)得た非特許文献3記載の化合物1の単結晶構造からシミュレーションして得られた粉末X線回折パターンと、得られた金属錯体の粉末X線回折パターンとの比較を図9に示す。図9より、両者の粉末X線回折パターンが一致することから、得られた固体が非特許文献3に記載されている集積構造を有する金属錯体であり、かつ、相互貫入した2次元シート構造ではないことがわかる。
<吸着等温線>
実施例4〜6および比較例1〜2で得た金属錯体について、−78℃における二酸化炭素の吸着等温線を測定した。結果を図10に示す。
図10より、本発明の相互貫入した2次元シート構造をもつ金属錯体は二酸化炭素の吸着量が多いので、二酸化炭素の吸着材として優れていることは明らかである。
実施例4〜6および比較例1〜2で得た金属錯体について、−78℃におけるエチレンの吸着等温線を測定した。結果を図11に示す。
図11より、本発明の相互貫入した2次元シート構造をもつ金属錯体はエチレンの吸着量が多いので、エチレンの吸着材として優れていることは明らかである。
実施例4〜6および比較例1〜2で得た金属錯体について、−78℃におけるエタンの吸着等温線を測定した。結果を図12に示す。
図12より、本発明の相互貫入した2次元シート構造をもつ金属錯体はエタンの吸着量が多いので、エタンの吸着材として優れていることは明らかである。
実施例4、実施例5、比較例1、比較例2で得た金属錯体について、−78℃におけるCOの吸脱着等温線を測定した。結果をそれぞれ図13〜16に示す。
図13、図14、図15および図16より、本発明の相互貫入した2次元シート構造をもつ金属錯体は二酸化炭素の吸蔵量が多いので、二酸化炭素の吸蔵材として優れていることは明らかである。

Claims (10)

  1. 下記一般式(I);
    (式中、R、R、RおよびRはそれぞれ同一または異なっていてもよい、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン基、水酸基、炭素数1〜4のモノアルキルアミノ基、炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、炭素数2〜4のアシルアミノ基およびハロゲン原子のいずれかを示す。)で表されるジカルボン酸化合物(I)と、
    マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛およびカドミウムから選択される少なくとも一種類の金属のイオン(「金属イオン」という。)と、
    前記金属イオンに二座配位可能な有機配位子とからなる金属錯体であって、その組成が

    (式中、Mは前記金属イオン、Aはジカルボン酸化合物(I)のジアニオン、Bは前記二座配位可能な有機配位子を示す。)である、相互貫入した二次元シート構造を有することを特徴とする金属錯体。
  2. 前記二座配位可能な有機配位子が下記一般式(II);
    (式中、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12はそれぞれ同一または異なっていてもよい、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ホルミル基、炭素数2〜8のアシロキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、炭素数1〜4のモノアルキルアミノ基、炭素数2〜8のジアルキルアミノ基、炭素数2〜4のアシルアミノ基またはハロゲン原子のいずれである。)で表される請求項1に記載の金属錯体。
  3. 前記金属イオンが亜鉛イオンである請求項1または2に記載の金属錯体。
  4. 一般式(I)で示されるジカルボン酸化合物(I)が、R,R、R、Rのすべてが水素原子であるイソフタル酸、R,R、Rが水素原子、Rがメチル基である5−メチルイソフタル酸、R,R、Rが水素原子、Rがメトキシ基である5−メトキシイソフタル酸のいずれかである請求項1〜3のいずれかに記載の金属錯体。
  5. 一般式(II)で示される二座配位可能な有機配位子(II)が、R,R,R,R,R,R10,R11およびR12のすべてが水素原子である1,2−ビス(4−ピリジル)エタンである請求項1〜4のいずれかに記載の金属錯体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の金属錯体からなる吸着材。
  7. 前記吸着材が、水素分子、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素分子、窒素分子、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気を吸着するための吸着材である請求項6に記載の吸着材。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の金属錯体からなる吸蔵材。
  9. 前記吸蔵材が、水素分子、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素分子、窒素分子、炭素数1〜4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気または有機蒸気を吸蔵するための吸着材である請求項8に記載の吸蔵材。
  10. 前記ジカルボン酸化合物(I)と、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛およびカドミウムから選択される金属の塩から選択される少なくとも一種の金属塩と、前記金属イオンに二座配位可能な有機配位子(II)とを、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドの少なくとも一つを含む溶媒中で反応させ、金属錯体を析出させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の金属錯体の製造方法。
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