JP5437554B2 - 多孔性金属錯体の製造方法、多孔性金属錯体、吸着材、分離材、ガス吸着材及び水素吸着材 - Google Patents

多孔性金属錯体の製造方法、多孔性金属錯体、吸着材、分離材、ガス吸着材及び水素吸着材 Download PDF

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Description

この発明は、多孔性金属錯体の製造方法、多孔性金属錯体、吸着材、分離材、ガス吸着材及び水素吸着材に関する。
近年、燃料電池車両に搭載するための固体高分子型燃料電池の開発競争が活発に繰り広げられている。このような燃料電池車両の実用化のために、低コスト、軽量で、かつ吸蔵密度の高い水素吸蔵材料を用いる効率的な水素吸蔵方法の開発が望まれている。
そこで、金属イオンと有機配位子からなる二次元格子構造を単位モチーフとして三次元的に積層した骨格構造を有する多孔性の有機金属錯体を用いた水素吸蔵材料が提案され(特許文献1、特許文献2参照。)、メタン、窒素、水素などのガス吸着材として注目されている。中でも特に安息香酸、トルイル酸などのモノカルボン酸化合物を有機配位子に用いた多孔性の有機金属錯体がガス吸蔵材として好適であることが見出されている(特許文献3、非特許文献1参照。)。モノカルボン酸化合物を用いた有機金属錯体は、圧力、温度等の外部環境に応じて柔軟に構造が変化する。このように柔軟な骨格構造を持つ金属錯体は、選択吸着性があり、ガス吸蔵材として好適である。また、有機配位子にテトラジン、トリアジンなどの含窒素複素環骨格を用いた有機金属錯体は水素とのアフィニティが向上するため、水素吸蔵材として好適であることが見出されている(特許文献4参照。)。
特開2001−348361号公報 米国特許出願公開第2003/0004364号明細書 特開2003−342260号公報 特開2005−93181号公報 森和亮,大村哲賜,佐藤智彦,「カルボン酸金属錯体の気体吸蔵とその応用」,ペトロテック(PETROTECH),「社団法人石油学会」,2003年,第26巻,第2号,p.105−112
カルボン酸化合物は、有機金属錯体を得るために使用される溶媒への溶解度が低く、溶媒必要量が多くなる。そして、一度に合成できる量が限られ、これを増やそうとすると多量の溶媒を必要とする。また、カルボン酸化合物は金属塩との反応性が低く、有機金属錯体を得るためには長い反応時間が必要である。この反応時間を短くするために反応温度を上げると副反応が多くなり、目的とする有機金属錯体の収率が低くなることがある。中間体が不安定な化合物では、収率の低下がより顕著に見られ、コスト、量産性の点で問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明に係る多孔性金属錯体の製造方法は、中心金属と、複素環骨格及びカルボキシレート基を有する有機配位子とからなる金属錯体の三次元的多孔性骨格構造を含む多孔性金属錯体の製造方法であって、有機配位子の塩を複素環モノカルボン酸金属塩として調製する工程と、中心金属の塩を第2の金属塩として調製する工程と、複素環モノカルボン酸金属塩及び第2の金属塩を反応させる工程と、を備える。そして、多孔性金属錯体は、中心金属とカルボキシレート基の酸素間との結合による集積を含み、複素環モノカルボン酸金属塩は、次の一般式(I)
XOOC−R ・・・(I)
(ただし、Rは複素環を含み、XはNa又はKを示す。)で表され、Rは、次の一般式(X
Figure 0005437554
表される置換基を含むことを特徴とする。
本発明に係る多孔性金属錯体は、上記本発明に係る多孔性金属錯体の製造方法により得られたことを特徴とする。
本発明に係る吸着材は、上記本発明に係る多孔性金属錯体を含むことを特徴とする。
本発明に係る分離材は、上記本発明に係る多孔性金属錯体を含むことを特徴とする。
本発明に係るガス吸着材は、上記本発明に係る多孔性金属錯体を含むことを特徴とする。
本発明に係る水素吸着材は、上記本発明に係る多孔性金属錯体を含むことを特徴とする。
本発明によれば、複素環カルボン酸金属塩はカルボン酸よりも解離しやすいため、従来に比べ、反応時間の低下、反応温度の低下、収率の増加が可能となる。また、有機溶媒への溶解度もあがるため、単位時間当たりの製造量や溶媒必要量の低下が可能となり、製造コストを削減できる。
本発明によれば、多孔性金属錯体が効率良く安価に得られる。
本発明によれば、本発明に係る多孔性金属錯体を用いるので、安価な吸着材、分離材、ガス吸着材及び水素吸着材が効率よく得られる。
以下、本発明の実施の形態に係る多孔性金属錯体の製造方法、多孔性金属錯体、吸着材、分離材、ガス吸着材及び水素吸着材を説明する。
図1は、多孔性金属錯体の一例の結晶構造の二次元格子構造1を示す模式図である。この二次元格子構造1は、2個の銅イオンを中心金属2とした二核錯体であり、中心金属2の周りに複素環カルボン酸イオンが有機配位子3として配位されている。各複素環カルボン酸イオンは2つのカルボキシレート基を有し、このカルボキシレート基の2つの酸素原子を介して中心金属2である銅イオンに配位することにより、2つの銅イオンを4つの格子点とする環(空隙)が縮合した格子状の2次元構造が形成されている。この二次元格子構造を単位モチーフ、つまり、基本的繰り返しパターンとして中心金属2とカルボキシレート基の酸素間との結合による集積により積層することにより三次元的多孔性骨格構造が形成されている。この構造では、複数の二次元構造の各空隙列が一列に整列するため、一次元のチャネルを複数形成している。
このような構造を有する多孔性金属錯体は、本発明に係る多孔性金属錯体の製造方法は、中心金属と、複素環骨格及びカルボキシレート基を有する有機配位子とを備える金属錯体の三次元的多孔性骨格構造を含む多孔性金属錯体の製造方法であって、有機配位子の塩を複素環モノカルボン酸金属塩として調製し、中心金属の塩を第2の金属塩として調製し、複素環モノカルボン酸金属塩及び第2の金属塩を反応させることによって製造する。この製造方法では、反応性の高い金属塩を使用しているため、複素環モノカルボン酸金属塩が解離しやすくなり、従来に比べ、反応時間の低下、反応温度の低下、収率の増加が可能となる。また、有機溶媒への溶解度もあがるため、単位時間当たりの製造量や溶媒必要量の低下が可能となり、製造コストを削減できる。
複素環モノカルボン酸金属塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩を含むことが好ましい。複素環モノカルボン酸金属塩がアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩である場合には、カルボン酸の脱プロトン化と比較して複素環カルボン酸金属塩が溶媒中でカルボキシレート基と金属イオンに解離しやすい。このため、複素環モノカルボン酸金属塩は、複素環カルボン酸よりも解離しやすく、溶解度が高いので、従来に比べて溶媒必要量が少なくてすみ、反応時間も短縮できる。また、複素環モノカルボン酸金属塩が解離しやすいため、第2の金属塩との反応性が高く、反応温度の低下、単位時間当たりの生産性及び収率の増加を期待でき、製造コストを削減できる。
ここで一例として、図2(a)に本発明の実施の形態に係る化学反応としてイソニコチン酸ナトリウムと酢酸銅(II)との反応を、図2(b)に従来例として安息香酸と酢酸銅(II)との反応を示す。図2(b)に示すように、従来例ではモノカルボン酸として安息香酸を用い、溶媒であるメタノール中で酢酸銅(II)と反応させている。この反応では、メタノール中における安息香酸の解離定数が低く、メタノールに対する溶解度が低いため、反応終了時間が長く、反応収率も低い。これに対し、図2(a)に示すように複素環モノカルボン酸金属塩であるイソニコチン酸ナトリウムを使用した場合には、この化合物はメタノール溶液に易溶であり、容易にイオン化して反応が進む。このため、従来例よりも短時間で反応が終了し、反応収率も従来例と比べて高い。
複素環モノカルボン酸金属塩は、次の一般式(I)
XOOC−R ・・・(I)
(ただし、Rは複素環を含み、Xはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。)で表されるモノカルボン酸誘導体を含むことが好ましい。
上記の一般式(I)において、Xは、Na(ナトリウム)又はK(カリウム)を含むことが好ましい。XがNa又はKである場合には、従来に比べ、多孔性金属錯体が効率良く安価に得られる。また、Rはアリール基もしくはアリーレン基を含むことが好ましく、アリール基、アリーレン基は置換基を有していても良い。また、Rは環骨格内にN、O、S、P、B、As、Si、Sb及びHgを含む元素群から選択される元素を含むことが好ましい。
このRは、次の一般式(II)〜(XXVII)
Figure 0005437554
のいずれか一つで表される置換基を含むことが好ましい。一般式(II)〜(XXVII)において、カルボキシレート基は環のどの位置に結合していても良く、このカルボキシレート基の2つの酸素原子が中心金属に配位することにより二次元格子構造を形成する。また、異なる複素環モノカルボン酸有機配位子を用いることができるため、水素とのアフィニティや細孔の形、径を変化させた複素環モノカルボン酸金属錯体を、従来に比べ、安価で高効率に製造することができる。
第2の金属塩は、2〜4価の金属を含む金属群から選択された金属を含むことが好ましく、特に、第2の金属塩は2価の金属を含むことが好ましい。この場合には、第2の金属塩が溶媒中で解離して金属がイオン化するため、複素環モノカルボン酸金属塩との反応が促進される。このため、従来に比べて反応時間を短縮でき、反応温度の低下、収率の増加が可能となる。なお、この第2の金属塩は、Cu、Zn、Mo、Ru、Cr、Ni及びRhを含む金属群から選択された金属を含むことがより好ましい。また、第2の金属塩は、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩及び蟻酸塩を含む金属塩群から選択される金属塩を含むことが好ましい。
有機配位子の塩の調製は、複素環モノカルボン酸金属塩を第1の溶媒に溶解して第1の溶液を得ることを含み、中心金属の塩の調製は、第2の金属塩を第2の溶媒に溶解して第2の溶液を得ることを含み、反応は、第1及び第2の溶液を混合することを含む。第1及び第2の溶液を混合することにより、複素環モノカルボン酸金属塩の解離により生成したカルボン酸イオンと第2の金属塩に解離により生成した金属イオンが反応し、金属錯体が生成する。なお、有機配位子の塩の調製、中心金属の塩の調製及び反応のいずれか一つは、第1又は第2の溶液に超音波を照射することを含んでいてもよい。この場合には、複素環モノカルボン酸金属塩と第2の金属塩との反応が促進されるため、従来に比べて反応時間の低下、反応温度の低下及び反応収率の増加が可能となる。
また、第1及び第2の溶媒の一方は、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’-ジエチルホルムアミド、水、アルコール類、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、アセトン及びアセトニトリルを含む溶媒群から選択された溶媒を含むことが好ましい。アルコールは、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等が使用可能である。これらの溶媒は、複素環モノカルボン酸金属塩及び第2の金属塩を溶解するが、目的物である金属錯体を溶解しないため、効率良く目的物を得ることが可能となる。中でも、第1及び第2の溶媒の一方は、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’-ジエチルホルムアミド、水、アルコール類を含む溶媒群から選択された溶媒を含むことが好ましい。また、第1及び第2の溶媒が同じ溶媒でも構わない。
多孔性金属錯体は、1[L]の水に500[mg]の割合で溶解したときに8〜10のpHを有することが好ましい。pHが8〜10の範囲にある場合には、複素環モノカルボン酸金属塩及び第2の金属塩が溶媒中で解離しやすくなるため溶媒への溶解度が上がり、反応が促進される。またpH8以下にするためには、化合物洗浄工程が必要となるためコスト高の原因となる。一方pH10以上では、残留イオンが多孔性金属錯体を用いた吸着材、分離材及びガス吸着材の性能に悪影響を与える場合がある。
反応は、1[L]の水に500[mg]の割合で溶解したときに10〜500[ppm]の濃度を有する硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、蟻酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム及び蟻酸カリウムを含む金属塩群から選択された、金属塩を副生成物として得る工程を含むことことが好ましい。これらの副生成物は反応速度が大きいため、複素環モノカルボン酸金属塩と第2の金属塩の反応が促進される。このため、反応時間の低下、反応温度の低下及び反応収率の増加が可能となる。
この多孔性金属錯体の製造方法により生成した多孔性金属錯体は、中心金属とカルボキシレート基を有する有機配位子とを備え、中心金属の周りに有機配位子が配位される。各有機配位子は1つのカルボキシレート基を有し、各カルボキシレート基がそれぞれ2つの酸素原子を介して異なる中心金属に配位することにより、中心金属を格子点とする環(空隙)が縮合した格子状の二次元構造が形成される。各有機配位子はπ−π相互作用、水素結合などの比較的弱い結合により結合され、この二次元格子構造を単位モチーフ、つまり、基本的繰り返しパターンとして積層することにより三次元的多孔性骨格構造が形成される。この多孔性金属錯体において、二次元格子構造の単位モチーフを積層した三次元的多孔性骨格構造は空隙を画成する骨格部であり、各空隙の細孔径は0.3〜2.0[nm]の大きさである。そして、この細孔径より小さな気体又は液体分子を骨格構造に取り込むことが可能である。また、有機配位子が比較的弱い結合により結合されているため、圧力、熱などの外部環境に応じてその結合がずれることにより骨格構造は可撓性を有した柔軟な構造を形成する。外部からの熱又は圧力によって骨格構造を変形させることにより、空隙は変形可能である。なお、この多孔性金属錯体は上記副生成物を残留物として含む。上記副生成物を残留物として含む場合には、出発物質が複素環モノカルボン酸金属塩と第2の金属塩であることが示される。
以上説明した多孔性金属錯体の製造方法では、複素環モノカルボン酸金属塩はカルボン酸よりも解離しやすく、溶解度が高いため、従来に比べて溶媒必要量が少なくてすみ、反応時間も短縮できる。また、複素環モノカルボン酸金属塩が解離しやすいため第2の金属塩との反応性が高く、反応温度の低下、単位時間当たりの生産性及び収率の増加を期待でき、製造コストを削減できる。このように、この製造方法により多孔性金属錯体を効率良く安価に得られる。また、この製造方法により得られた多孔性金属錯体を用いて吸着材、分離材、ガス吸着材及び水素吸着材を製造した場合には、従来に比べて効率良く安価に得られる。
以下、参考例1−1〜参考例3−1、実施例4及び参考例1〜参考例2により本発明の実施の形態に係る多孔性金属錯体の製造方法について更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
1.試料の調製
参考例1−1 イソニコチン酸銅の合成
複素環モノカルボン酸誘導体として、イソニコチン酸ナトリウムを用いた。イソニコチン酸ナトリウム2.9[g]のメタノール溶液に酢酸銅一水和物2.0[g]のメタノール溶液を濾過しながら加え、攪拌を行った。析出した固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥を行うことにより、目的物を得た。
参考例2−1 イソニコチン酸銅の合成
複素環モノカルボン酸誘導体として、イソニコチン酸ナトリウムの代わりに、イソニコチン酸のイオン交換により合成したイソニコチン酸カリウム3.2[g]を用い、参考例1−1と同様の処理を施したものを参考例2−1とした。
参考例3−1 イソニコチン酸ロジウムの合成
酢酸銅一水和物の代わりに酢酸ロジウム二水和物4.8[g]を用い、参考例1−1と同様の処理を施したものを参考例3−1とした。
実施例4 チオフェンカルボン酸銅の合成
複素環カルボン酸誘導体として、イソニコチン酸ナトリウムの代わりに、2−チオフェンカルボン酸ナトリウム3.0[g]を用い、参考例1−1と同様の処理を施したものを実施例4とした。
参考例1 安息香酸銅の合成
モノカルボン酸誘導体として安息香酸を、第2の金属塩として酢酸銅を用いた。まず、安息香酸2.44[g]と酢酸銅一水和物2.00[g]を水/メタノール溶液に溶解して攪拌後室温にて18[時間]放置した。析出した固体を吸引濾過により回収し、その後、80[℃]で2[時間]真空乾燥を行い、目的物である安息香酸銅を得た。
参考例2 {Cu(OOC−C−COO)−C12の合成
複素環カルボン酸として1,2,4,5−テトラジン−3,6−ジカルボンを用いた。まず、テトラジンジカルボン酸0.58[g]と硫酸銅五水和物0.85[g]を無水エタノールに溶解し、反応液を室温〜40[℃]で数日間加熱攪拌した。得られた反応混合物にトリエチレンジアミン0.19[g]の無水トルエン溶液を加え、オートクレーブを用いて120[℃]で3[時間]加熱攪拌した。得られた沈殿を濾過、メタノールで洗浄し、100[℃]にて減圧乾燥することによって目的物を得た。
2.ガス貯蔵能力の測定
参考例1−1、参考例2−1及び参考例2で得られた試料について、ガス貯蔵能力を測定し、水素吸着性能の評価をした。測定方法は、JIS H 7201の水素吸蔵放出測定試験に従った。試料を秤量して測定用耐圧試料管に入れ、200[℃]で3[時間]真空引きして試料管内に残留しているガスを放出させて、水素が吸蔵されていない原点を得た後測定を行った。測定温度は25[℃]とした。その後大気圧まで減圧して水素放出量の確認を行った。
3.結晶構造の確認
合成した試料の結晶構造の確認にはマックスサイエンス社製X線回折装置(MXP 18VAHF)を用い、電圧40[kV]、電流300[mA]、X線波長CuKαで測定を行った。
4.組成の確認
合成した試料の組成は、元素分析により確認した。炭素、水素、窒素の確認にはJPI-5S-65-2004に記載の方法を用い、金属元素の確認には誘導結合プラズマ発光分光分析法を用いた。
参考例1−1〜参考例3−1、実施例4、参考例1及び参考例2において合成された金属錯体、架橋配位子、有機配位子、第2の金属塩、反応の収率及び反応終了時間を表1に、参考例1−1参考例2−1及び参考例2で得られた試料の水素吸蔵能を表2に示す。
Figure 0005437554
Figure 0005437554
参考例1ではカルボン酸誘導体としてモノカルボン酸である安息香酸を用い、水/メタノール溶液中で酢酸銅と反応させている。この反応では、水/メタノール溶液における安息香酸の解離定数が低く、溶解度が低いため、表1に示すように反応終了時間が長く、反応収率もやや低い。これに対し、参考例1−1では複素環モノカルボン酸金属塩であるイソニコチン酸ナトリウムを使用している。このように、参考例1−1では参考例1よりも短時間で反応が終了し、反応収率も参考例1と比べて高い。イソニコチン酸ナトリウムの代わりにイソニコチン酸カリウムを用いた参考例2−1では、参考例1−1と比べて反応時間が倍になったものの、反応収率は参考例1−1と同様に高い。参考例2では、架橋配位子となるトリエチレンジアミンを中心金属である銅イオンに配位させるためには、オートクレーブにより温度及び圧力を高くする必要があり、しかも反応時間が長い。
図3に、参考例1−1参考例2−1、参考例1及び参考例2における反応速度と反応収率との関係を示す。ここで反応速度は、反応時間の逆数を示し、右にいく程反応速度が大きいことを示している。参考例1−1と参考例1とを比較すると、参考例1−1の反応速度は参考例1の12倍であり、反応収率は1.1倍であった。参考例2−1と参考例1とを比較すると、参考例2−1の反応速度は参考例1の6倍であり、反応収率は1.1倍であった。参考例1−1と参考例2とを比較すると、参考例1−1の反応速度は参考例1の112倍であり、反応収率は1.2倍であった。参考例2−1と参考例2とを比較すると、参考例2−1の反応速度は参考例2の56倍であり、反応収率は1.1倍であった。このように、有機配位子として複素環モノカルボン酸金属塩を用いた場合には、カルボン酸を使用するよりも反応時間が短く、収率の増加が可能となることがわかった。
また、第2の金属塩として酢酸ロジウムを用いた参考例3−1及びカルボン酸誘導体として2−チオフェンカルボン酸ナトリウムを用いた実施例4のいずれにおいても参考例1及び参考例2よりも反応時間が短く、しかも反応収率が高く、カルボン酸誘導体として複素環モノカルボン酸金属塩を使用したことによる効果がみられた。なお、参考例1−1及び参考例2−1での水素吸蔵能は、それぞれ0.89[wt%]及び0.83[wt%]であり、参考例2よりも高い値だった。
参考例1−1〜実施例4、参考例1及び参考例2の結果より、本発明の実施の形態に係る多孔性金属錯体の製造方法では、複素環モノカルボン酸金属塩はカルボン酸と比較して溶媒中で解離しやすく、溶解度が高いため、従来に比べて反応時間の短縮及び収率の増加が可能となることがわかった。
以上、本実施の形態について説明したが、上記実施の形態の開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
多孔性金属錯体の二次元構造を示す模式図である。 (a)本発明の実施の形態における化学反応を示す図である。(b)従来例における化学反応を示す図である。 多孔性金属錯体の製造における反応速度と反応収率との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 二次元格子構造
2 中心金属
3 有機配位子

Claims (11)

  1. 中心金属と、複素環骨格及びカルボキシレート基を有する有機配位子とからなる金属錯体の三次元的多孔性骨格構造を含む多孔性金属錯体の製造方法であって、
    前記有機配位子の塩を複素環モノカルボン酸金属塩として調製する工程と、
    前記中心金属の塩を第2の金属塩として調製する工程と、
    前記複素環モノカルボン酸金属塩及び第2の金属塩を反応させる工程と、
    を備え、
    前記多孔性金属錯体は、前記中心金属と前記カルボキシレート基の酸素間との結合による集積を含み、
    前記複素環モノカルボン酸金属塩は、次の一般式(I)
    XOOC−R ・・・(I)
    (ただし、Rは複素環を含み、XはNa又はKを示す。)で表され
    記Rは、次の一般式(X
    Figure 0005437554
    表される置換基を含むことを特徴とする多孔性金属錯体の製造方法。
  2. 前記第2の金属塩は、2〜4価の金属を含む金属群から選択された金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  3. 前記第2の金属塩は、2価の金属を含むことを特徴とする請求項2に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  4. 前記第2の金属塩は、Cu、Zn、Mo、Ru、Cr、Ni及びRhを含む金属群から選択された金属を含むことを特徴とする請求項3に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  5. 前記第2の金属塩は、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩及び蟻酸塩を含む金属塩群から選択される金属塩を含むことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  6. 前記有機配位子の塩の調製は、前記複素環モノカルボン酸金属塩を第1の溶媒に溶解して第1の溶液を得ることを含み、
    前記中心金属の塩の調製は、前記第2の金属塩を第2の溶媒に溶解して第2の溶液を得ることを含み、
    前記反応は、前記第1及び第2の溶液を混合することを含むことを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  7. 前記有機配位子の塩の調製、前記中心金属の塩の調製及び前記反応のいずれか一つは、前記第1又は第2の溶液に超音波を照射することを含むことを特徴とする請求項6に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  8. 前記第1及び第2の溶媒の一方は、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’-ジエチルホルムアミド、水、アルコール類、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、アセトン及びアセトニトリルを含む溶媒群から選択された溶媒を含むことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  9. 前記第1及び第2の溶媒の一方は、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’-ジエチルホルムアミド、水、アルコール類を含む溶媒群から選択された溶媒を含むことを特徴とする請求項8に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  10. 前記多孔性金属錯体は、1[L]の水に500[mg]の割合で溶解したときに8〜10のpHを有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
  11. 前記反応は、10〜500[ppm]の濃度を有する硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、蟻酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム及び蟻酸カリウムを含む金属塩群から選択された、金属塩を副生成物として得る工程を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の多孔性金属錯体の製造方法。
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