以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、この実施の形態にかかる液晶表示装置の構成を、等価回路図を以て示す図である。図示するように、この液晶表示装置は、液晶表示素子1と、ゲートドライバ2と、ドレインドライバ3と、コントローラ4とから構成されている。
液晶表示素子1は、画素基板とコモン基板との間に液晶を封入して構成されるものであり、表示領域11と、ダミー素子領域12とを備えている。画素基板上には、表示領域11に配されたn本のゲートラインGL1〜GLnと、ダミー素子領域12に配され、ゲートラインGL1〜GLnと同一材料からなり、ゲートラインGL1〜GLnと一括してパターニング形成された2本のダミーゲートライン(ダミー走査ライン)GLn+1、GLn+2とが、主走査方向(図では、横方向)に伸延して互いに平行に形成されている。また、m本のドレインラインDL1〜DLmが、表示領域11及びダミー素子領域12をまたがって副走査方向(図では、縦方向)に伸延して互いに平行に形成されている。
画素基板には、表示領域11においてゲートラインGL1〜GLnとドレインラインDL1〜DLmの交差位置に対応して形成されたマトリクス状の画素をそれぞれ構成するTFT、画素電極等が設けられている(詳細は後述)。また、ダミー素子領域12において、ダミー素子が設けられている(詳細は後述)。画素基板では、これらTFT、画素電極、ダミー素子の上に配向膜が形成されている。一方、コモン基板上には、コモン電極と配向膜とが形成されているが、コモン電極は、表示領域11の範囲にのみ形成されている。
図2(a)は、表示領域11に形成された各画素の構造を示す図である。図では、画素基板上に形成されたもののみを示しているが、実際にはこれにコモン基板のコモン電極が対向している。また、電極や配線を構成する金属層の間には絶縁層が形成されているが、図では省略している。図2(b)は、各画素の等価回路(横方向に隣接する2画素分)を示す図である。
表示領域11において画素基板上の1番下の層には、金属材料からなるゲートラインGL(GL1〜GLn)と、ゲートラインGLと一体に形成されたTFT111のゲート電極Gが形成されている。また、補償容量113を形成するための補償電極CEと、補償電極CEに定電圧を供給する補償電極ラインCLとが一体に形成される。ゲート電極Gの上には、SiNからなるゲート絶縁膜を介して、アモルファスシリコンによって構成され、TFT111の半導体層を形成するアモルファスシリコン半導体層a−Siが形成されている。半導体層の両側には、不純物層を介してソース電極S及びドレイン電極Dが設けられ、ソース電極Sは、透明のITO(Indium Tin Oxide)からなり、画素容量112を形成するための透明電極TEと接続されている。
ドレイン電極Dは、ゲートラインGLの延在方向と直交する方向に延在するデータラインDL(DL1〜DLm)と一体に形成されている。そして、これらTFT111上に再びSiNからなる絶縁保護膜が形成され、そしてその上に配向膜が設けられることとなる。透明電極TEは、少なくとも部分的に重なり合うように対向する位置にある補償電極CEと、この補償電極CEとの間のゲート絶縁膜と同じ膜とでコンデンサを構成すると共に補償容量113を形成し、対向する位置にあるコモン基板側のコモン電極の間の液晶をコンデンサとしたと共に画素容量112を形成する。
このようにして形成される構造により、各画素においては、ゲートラインGLによる配線抵抗114と、配線抵抗114にゲートが接続されたアクティブ素子としてのTFT111と、TFT111のドレインに並列に接続された画素容量112と補償容量113とから回路が構成されることとなる。そして、ゲートラインGL1〜GLnのそれぞれについて、このような各画素の回路が主走査方向の画素数分だけ接続された分布定数的な特性を有する電気回路が負荷として構成されることとなる。
図3(a)は、ダミー素子領域12に形成された各ダミー素子の構造を示す図である。このダミー素子には、表示領域11の画素と異なり、コモン電極は対向していない。もっとも、この図においても、電極や配線を構成する金属層の間に形成されている絶縁層は省略している。図3(b)は、各ダミー素子の等価回路(横方向に隣接する2つ分)を示す図である。
ダミー素子領域12において画素基板上の1番下の層には、ゲートライン(GLn+1、GLn+2)と、ゲートラインGLと一体に形成されたTFT121のゲート電極Gとが形成されている。また、ダミー容量123を形成するためのダミー容量電極DiE(iは1〜mのいずれか)と、ダミー容量電極DiEに定電圧を供給するダミー容量電極ラインDiLとが一体に形成される。これらは、表示領域11のゲートラインGL等と同じ金属材料で、同一プロセスにおいて形成されている。
ゲート電極Gの上には、アモルファスシリコンによって構成され、TFT121の半導体層を形成するアモルファスシリコン半導体層a−Siが形成されている。これらの上に、透明のSiNからなる絶縁層が形成され、さらにその上に、ITOからなり、ダミー容量電極DiEと共にダミー容量123を形成する透明電極TEが形成されている。これらも、表示領域11における対応するものと、同一の材料で同一プロセスにおいて形成されている。
その上に、再びSiNからなるゲート絶縁層が形成され、さらにその上に、金属材料からなるデータラインDL(DL1〜DLm:表示領域11のものと同一)と、データラインDLと一体に形成されたTFT121のドレイン電極Dと、TFT121のソース電極Sとが形成されている。ソース電極Sと透明電極TEとは、コンタクトホールを介して接続されている。そして、この上に再びSiNからなる絶縁保護膜が形成される。
ダミー容量123は、ダミー容量電極DiEと、透明電極TEと、ダミー容量電極DiEと透明電極TEとの間のゲート絶縁膜と同一の膜と、から構成され、このようにして形成される構造により、ダミーゲートラインGLによる配線抵抗124と、配線抵抗124にゲートが接続されたアクティブ素子としてのTFT121と、TFT121のドレインに接続されたダミー容量123からなるダミー素子が構成されることとなる。
TFT121は、形状、寸法、及びデータラインDLやゲートラインGLとの相対的配置がTFT111と全く同じため、TFT121における、接続されたデータラインDLとの間に生じる寄生容量やゲート−ドレイン間の寄生容量は、TFT111における、接続されたデータラインDLとの間に生じる寄生容量やゲート−ドレイン間の寄生容量に等しい。ダミー容量123は、表示領域11における画素容量112と補償容量113との合成容量に等しくなるように形成されている。そして、ゲートラインGLn+1、GLn+2のそれぞれについて、このようなダミー素子が主走査方向の画素数分だけ接続された分布定数的な特性を有する電気回路が負荷として構成されるが、これらはGL1〜GLnのそれぞれの負荷と同じ特性を有するものとなる。
ゲートドライバ2は、詳細を後述するシフトレジスタによって構成され、コントローラ4からの制御信号群Gcntに従って、ゲートラインGL1〜GLn+1に順次ハイレベルの選択信号を出力する。ドレインドライバ3は、コントローラ4からの制御信号群Dcntに従って、同じくコントローラ4から供給される画像データ信号Dataを1ライン分蓄積し、所定のタイミングでドレインラインDL1〜DLmに出力する。なお、ゲートドライバ2のa−Si又はp−Siからなる半導体層を有するTFT201〜206は、画素基板上に、液晶表示素子1の表示領域11のTFT111及びダミー素子領域12のTFT121と同一プロセスで形成される。コントローラ4は、ゲートドライバ2に制御信号群Gcntを供給すると共に、ドレインドライバ3に制御信号群Dcntと画像データ信号Dataとを供給する。
図4は、ゲートドライバ2を構成するシフトレジスタの回路構成を示す図である。図示するように、このシフトレジスタは、表示領域11に配されたn本のゲートラインGL1〜GLnと、ダミー素子領域12に配された2本のゲートラインGLn+1、GLn+2とにそれぞれ対応するn+2個の段200(1)〜200(n+2)から構成されている。
制御信号群Gcntに含まれる信号として、コントローラ4からクロック信号CK1、CK2、スタート信号Dst、終了信号Dend、正の電圧レベルを有する電源電圧Vdd、及び負の電圧レベルを有する基準電圧Vssが供給されている。各段200(1)〜200(n+2)の構成はほぼ同じであるため、1番目の段200(1)を例に採って説明すると、当該段内には、6個のnチャネル型の電界効果トランジスタであるTFT201〜206が形成されている。
TFT201のゲートには、スタート信号Dstが供給され、ドレインには、電源電圧Vddが常時供給されている。TFT201のソースは、TFT202のゲートと、TFT205のゲートとに接続されている。このTFT201のソース、TFT202のゲート及びTFT205のゲートで囲まれた配線を、ノードA1と呼ぶ(なお、2段目以降は、それぞれA2〜An+2とする)。ハイレベルのスタート信号Dstが供給されてTFT201がオンすると、ノードA1に電荷が蓄積される。
TFT202のドレインには、クロック信号CK1が供給され、TFT202がオンしている際に、クロック信号CK1のレベルがほぼそのまま出力信号OUTとして、そのソースから1番目のゲートラインGL1に出力される。また、TFT202のソースは、TFT203のドレインに接続されている。
TFT204のゲートとドレインとには、電源電圧Vddが供給され、常にオン状態となっている。TFT204は、電源電圧Vddを供給する際の負荷として機能し、そのソースから電源電圧VddをほぼそのままTFT205のドレインに供給する。TFT204は、TFT以外の抵抗素子などに置き換えることも可能である。TFT205のソースには、基準電圧Vssが供給されており、TFT205がオンした際に、TFT204のソースとTFT205のドレインとの間に蓄積された電荷を放出させる。
TFT206のゲートには、次の段である2番目の段200(2)の出力信号OUT2が供給される。TFT206のドレインはノードA1に接続されており、ソースには基準電圧Vssが供給されている。出力信号OUT2がハイレベルとなるとTFT206がオンし、ノードA1に蓄積されている電荷を放出させる。
他の奇数番目の段200(3),200(5),…,200(n+1)の構成は、TFT201のゲートに前の段の出力信号OUT2,OUT4,…,OUTnが供給される以外は、1番目の段200(1)と同じである。最後の段段以外の偶数番目の段200(2),200(4),…,200(n)の構成は、TFT201のゲートに前の段の出力信号OUT1,OUT3,…,OUTnが供給され、TFT202のドレインにクロック信号CK2が供給される以外は、1番目の段200(1)と同じである。最後の段200(n+2)の構成は、TFT201のゲートに前の段の出力信号OUTn+1が供給され、TFT206のゲートに制御信号群Gcntに含まれる終了信号Dendが供給される以外は、1番目の段200(1)と同じである。
以下、この実施の形態にかかる液晶表示装置における動作について説明する。図5は、ゲートドライバ2を構成するシフトレジスタの動作を示すタイミングチャートである。このタイミングチャートにおいて、Tの期間が、液晶表示素子1における1水平期間となる。また、各水平期間において、ドレインドライバ3は、コントローラ4からの制御信号群Dcntに従って、当該水平期間の次の水平期間に対応する1ライン分の画像データ信号Dataを取り込んでいる。
まず、タイミングT0からタイミングT1までの間でスタート信号Dstがハイレベルとなり、1番目の段200(1)のTFT201がオンし、1番目の段200(1)のノードA1に電荷が蓄積される。これにより、TFT202、205がオンし、TFT203がオフする。次に、タイミングT1においてクロック信号CK1がハイレベルに変化すると、この信号のレベルがほぼそのまま出力信号OUT1として表示領域11の1番目のゲートラインGL1に出力される。
ゲートラインGL1に出力された出力信号OUT1は、ゲートラインGL1及びこれに直接的または間接的に接続された各素子が構成する回路によって減衰されるが、ゲートラインGL1に接続された全てのTFT111をオン状態とするのに十分なレベルがある。ゲートラインGL1に接続された各TFT111がオンしているタイミングで、ドレインドライバ3は、ゲートラインGL1に対応する画素の画像データ信号をドレインラインDL1〜DLmにそれぞれ出力する。これにより、ゲートラインGL1に対応する画素容量112に画像データ信号が書き込まれるが、補償容量113を設けたことによってTFT111に起因する減衰を小さく抑えることができる。
また、タイミングT1からT2の間でハイレベルの出力信号OUT1が2番目の段200(2)のTFT201に供給されると、2番目の段200(2)のノードA2に電荷が蓄積され、TFT202、205がオンし、TFT203がオフする。次に、タイミングT2においてクロック信号CK2がハイレベルに変化すると、この信号のレベルがほぼそのま出力信号OUT2として表示領域11の2番目のゲートラインGL2に出力される。
ゲートラインGL2に出力された出力信号OUT2により、上記と同様にしてゲートラインGL2に接続された全てのTFT111がオン状態となり、ドレインドライバ3からドレインラインDL1〜DLmに出力された画像データ信号がゲートラインGL2に対応する画素容量112に書き込まれる。出力信号OUT2は、また、1番目の段200(1)のTFT206に供給され、TFT206をオン状態とさせることにより、1番目の段200(1)のノードA1に蓄積された電荷を放出させる。このとき、出力信号OUT2のゲートラインGL2の出力による減衰の影響を、1番目の段200(1)のTFT206も受けることとなる。
タイミングT3以降も同様の動作を繰り返し、タイミングTn−1からTnの間で前の段の出力信号がn番目の段200(n)のTFT201に供給されると、n番目の段200(n)のノードAnに電荷が蓄積され、TFT202、205がオンし、TFT203がオフする。次に、タイミングTnにおいてクロック信号CK2がハイレベルに変化すると、この信号のレベルがほぼそのまま出力信号OUTnとして表示領域11のn番目のゲートラインGLnに出力される。
ゲートラインGLnに出力された出力信号OUTnにより、上記と同様にしてゲートラインGLnに接続された全てのTFT111がオン状態となり、ドレインドライバ3からドレインラインDL1〜DLmに出力された画像データ信号がゲートラインGLnに対応する画素容量112に書き込まれる。出力信号OUTnは、また、n−1番目の段200(n−1)のTFT206に供給され、TFT206をオン状態とさせることにより、n−1番目の段200(n−1)のノードAn−1に蓄積された電荷を放出させる。
さらに、タイミングTnからTn+1の間で出力信号OUTnがn+1番目の段200(n+1)のTFT201に供給されることにより、n+1番目の段200(n+1)のノードAn+1に電荷が蓄積され、TFT202、205がオンし、TFT203がオフする。次に、タイミングTn+1においてクロック信号CK1がハイレベルに変化すると、この信号のレベルがほぼそのまま出力信号OUTn+1としてダミー素子領域12のn+1番目(ダミー素子領域12に限れば1番目)のゲートラインGLn+1に出力される。
ゲートラインGLn+1に出力された出力信号OUTn+1により、ゲートラインGLn+1に接続された全てのTFT121がオン状態となる。これにより、ゲートラインGLn+1及びこれに直接的または間接的に接続された素子が構成する負荷は、上記したゲートラインGL1〜GLnのものと同等になる。出力信号OUT2は、ゲートラインGLn+1及びこれに接続された素子からなる負荷によって減衰されながら、n番目の段200(n)のTFT206に供給され、TFT206をオン状態とさせることにより、n番目の段200(n)のノードAnに蓄積された電荷を放出させる。
また、タイミングTn+1からTn+2の間では出力信号OUTn+1がn+2番目の段200(n+2)のTFT201に供給され、n+2番目の段200(n+2)のノードAn+2に電荷が蓄積される。そして、タイミングTn+2においてクロック信号CK2がハイレベルに変化すると、この信号のレベルがほぼそのまま出力信号OUTn+2としてダミー素子領域12のn+2番目(ダミー素子領域12に限れば2番目)のゲートラインGLn+2に出力される。出力信号OUTn+2は、ゲートラインGLn+2及びこれに接続された素子からなる負荷によって減衰されながら、n+1番目の段200(n+1)のTFT206に供給され、n+1番目の段200(n+1)のノードAn+1に蓄積された電荷を放出させる。
さらに、タイミングTn+3になると、コントローラ4からの制御信号群Gcntとしてハイレベルの終了信号Dendがn+2番目の段200(n+2)のTFT206に供給され、TFT206がオンする。これにより、n+2番目の段200(n+2)のノードAn+2に蓄積された電荷が放出される。以下、垂直期間毎に上記のような動作を繰り返していく。
以上説明したように、この実施の形態にかかる液晶表示装置では、液晶表示素子1において表示領域11の外側にダミー素子領域12を設けている。ダミー素子領域12には、表示領域11の各ゲートラインGL1〜GLn及びこれに直接または間接に接続される素子による負荷と同じ分布定数的な特性を有する負荷が、ゲートラインGLn+1、GLn+2のそれぞれについて構成されることとなる。そして、ゲートドライバ2を構成するシフトレジスタは、ダミー素子領域12にあるゲートラインGLn+1、GLn+2についても同じように走査している。
このため、ゲートラインGLn+1、GLn+2のそれぞれの負荷並びにトランジスタ構成がゲートラインGL1〜GLnのそれぞれの負荷並びにトランジスタ構成と等しいので、ゲートラインGLn+1、GLn+2にそれぞれ供給される信号、電圧として、ゲートラインGL1〜GLnにそれぞれ供給される所定の振幅の信号CK1、CK2や電圧Vdd、Vssを利用することができる。また、ダミー段200(n+1)、200(n+2)用に新たな電圧値や振幅の信号を設定する必要がないので電圧生成回路及び配線設計を簡素化することができる。そして、表示領域11で最終のゲートラインGLnに対応するシフトレジスタのn+1、n+2番目のダミー段200(n+1)、200(n+2)が安定に動作できるので、n番目の段200(n)も、それより前の段と同様の動作特性を有するものとなり、画像の表示のために必要なシフトレジスタの動作を安定化させることができる。
また、ダミー素子領域12に形成されている各ダミー素子120は、表示領域11に形成されている各画素の画素容量112と補償容量113との合成容量に等しいダミー容量123を有している。ダミー容量123は、表示のために必要なものではないので画素開口率を考慮する必要がなく、同一の基板上にあるため画素容量112よりも電極間の間隔が小さいので、画素容量112よりも必要な面積を小さくすることができる。このため、ダミー素子領域12に表示領域11の各ゲートラインGL1〜GLnの負荷と同等の負荷を形成するために必要となる面積を小さくすることができ、表示領域11の面積を相対的に大きくすることができる。
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形態様について説明する。
上記の実施の形態では、ダミー素子領域12におけるゲートラインGLn+1、GLn+2は、表示領域11におけるゲートラインGL1〜GLnと同じ幅に構成して配線抵抗124が配線抵抗114と同じ抵抗値を有するものとし、画素容量112と補償容量113の合成容量に等しいダミー容量123を形成することで、ダミー素子120を構成するものとしていた。しかしながら、ダミー素子120の構成はこれに限られるものではない。
図6(a)は、ダミー素子の他の構造を示す図である。このダミー素子にもコモン電極は対向していない。また、この図においても、電極や配線を構成する金属層の間に形成されている絶縁層は省略している。図6(b)は、各ダミー素子の等価回路(横方向に隣接する2つ分)を示す図である。すなわち、各ダミー容量133は、図2(a)に示す画素を有する液晶表示装置において、TFT111のゲートラインGLとの寄生容量、ドレインラインDLとの寄生容量からなるTFT(アクティブ素子)111の寄生容量と、画素容量112の容量と、補償容量113の容量と、の合成容量となるように設定されている。
この場合には、ダミー素子領域12において画素基板上の1番下の層には、ゲートラインGL1〜GLnと同一材料からなり、ゲートラインGL1〜GLnと一括してパターニング形成され、各ゲートラインGL1〜GLnとそれぞれ等しい容量の2本のダミーゲートラインGLn+1、GLn+2が形成されている。ゲートラインGLの上には、SiNからなる絶縁層が1層以上形成され、その上にデータラインDL(DL1〜DLm:表示領域11のものと同一)と、各データラインDLには、各データラインDLと一体に形成され、ダミーゲートラインGLn+1、GLn+2に向けて突出するダミー容量電極DiE(iは1〜mのいずれか)が形成されている。ダミー容量電極DiEとダミーゲートラインGLn+1、GLn+2との重なり部分によってダミー容量133が形成される。すなわち、各データラインDLi(iは1〜mのいずれか)は、ダミーゲートラインGLと交差する箇所毎にでダミー容量電極DiEと接続されている。
このように形成される構造により、ダミーゲートラインGLn+1、GLn+2のダミー容量電極DiEと重ならない部分による配線抵抗134と、これに接続されたダミー容量133とからなるダミー素子が構成されることとなる。配線抵抗134の抵抗値とダミー容量133の容量値とは、ダミーゲートラインGLn+1、GLn+2の幅wd1とダミー容量電極DiEの長さln1を調整することによって、調整される。そして、ダミーゲートラインGLn+1、GLn+2のそれぞれについて、このようなダミー素子が主走査方向の画素数分だけ接続された負荷が構成されるが、これらはゲートラインGL1〜GLnのそれぞれの負荷と同等の分布定数的な電気特性を有するものとなる。
これによっても、ゲートドライバ2を構成するシフトレジスタのn番目の段200(n)を、それより前の段と同様に安定して動作させることが可能となる。また、以上のような構成を有するダミー素子は、上記の実施の形態で示したダミー素子よりも、さらに小さく構成することが可能となる。このため、液晶表示素子1における表示領域11の面積の割合を、上記の実施の形態よりもさらに大きくすることが可能となる。
上記の実施の形態では、ダミー素子領域12には、2本のゲートラインGLn+1、GLn+2を設けるものとしていた。しかしながら、任意の数のゲートラインをダミー素子領域12に付加するものとすることができる。ダミー素子領域12におけるゲートラインの数を多くすれば多くするほど、ゲートドライバ2を構成するシフトレジスタを安定動作させることができ、少なくすれば少なくするほど、表示領域11の面積比を大きくすることができる。ここで、ダミー素子領域12にどれくらいの数のゲートラインを形成するかは、回路の安定動作と表示領域の面積との間のバランスによって選ぶことができる。
また、上記実施の形態で示した図6(a)のダミー容量電極DiEの代わりに図6(c)に示すように、ダミーゲートラインGLn+1、GLn+2と一体的に設けられたダミー容量電極GjE(jは1〜mのいずれか)としてもよい。すなわち、ダミーゲートラインGLn+1、GLn+2のそれぞれは、データラインDL1、DL2、DL3、……、DLmと交差する箇所毎に設けられたダミー容量電極G1E、G2E、G3E、……、GmEと接続されている。ここでデータラインDLの幅の長さをwd2とし、ダミー容量電極GjEの縦方向(DLデータラインの延在方向)の長さをln2とすると、ダミー容量電極GjEにおけるデータラインDLとの重なり部分の面積(wd2×ln2)は、上記実施の形態における面積(wd1×ln1)に等しいように設計されている。
なお、ダミー容量電極GjEは、ダミーゲートラインGLに跨って2箇所に設けられているが、上記のような面積に設定されれば、図6(a)のようにどちらか一方のみに設けてもよい。同様に、図6(a)に示すダミー容量電極DiEは、データラインDLに跨って横方向(ダミーゲートラインGLの延在方向)の2箇所に設けてもよい。
また、上記各実施形態では液晶表示装置について説明したが、ゲートドライバ2の構成を撮像素子のゲートドライバに応用することができる。
図7は、第3の実施の形態における、フォトセンサとしてダブルゲートトランジスタを適用した撮像素子を有する撮像装置の構成を示すブロック図である。この撮像装置は、例えば指紋センサとして使用されるもので、図示するように、コントローラ70、撮像素子71、トップゲートドライバ72、ボトムゲートドライバ73及びドレインドライバ74から構成されている。
トップゲートドライバ72は、撮像素子領域71aに設けられたトップゲートラインTGL1〜TGLnと接続され、ダミー素子領域71bに設けられたダミートップゲートラインTGLn+1、TGLn+2と接続され、図4に示すシフトレジスタと同一の構成からなる。一方、ボトムゲートドライバ73は、撮像素子領域71aに設けられたボトムゲートラインBGL1〜BGLnと接続され、ダミー素子領域71bに設けられたダミーボトムゲートラインBGLn+1、BGLn+2と接続され、図4に示すシフトレジスタと同一の構成からなる。
撮像素子71は、マトリクス状に配置された複数のダブルゲートトランジスタ81で構成される。ダブルゲートトランジスタ81のトップゲート電極91はトップゲートラインTGLに、ボトムゲート電極92はボトムゲートラインBGLに、ドレイン電極93はドレインラインDLに、ソース電極94は接地されたグラウンドラインGrLにそれぞれ接続されている。撮像素子71の下方には、ダブルゲートトランジスタ81の半導体層を励起する波長域の光は発光するバックライトが載置されている。
このような各トップゲートラインTGL1〜TGLnの合成容量は、接続されたダブルゲートトランジスタ81における、トップゲート電極91とドレイン電極93との間の寄生容量Ctgd、トップゲート電極91とソース電極94との間の寄生容量Ctgs、トップゲート電極91とボトムゲート電極92との間の寄生容量Cge、並びにトップゲートラインTGLとボトムゲートラインBGLとの間の重なり容量Cglの和となる。各ダミートップゲートライン(ダミー走査ライン)TGLn+1、GLn+2は、各トップゲートラインTGL1〜TGLnの上記合成容量と等しくなるように、交差するドレインラインDLとの間の重なり面積を、図6(a)又は図6(c)のようにすることで設定されている。
そして、各ボトムゲートラインBGL1〜BGLnの合成容量は、接続されたダブルゲートトランジスタ81における、ボトムゲート電極91とドレイン電極93との間の寄生容量Cbgd、ボトムゲート電極91とソース電極94との間の寄生容量Cbgs、ボトムゲート電極91とボトムゲート電極92との間の寄生容量Cge、並びにボトムゲートラインBGLとボトムゲートラインBGLとの間の重なり容量Cglの和となる。各ダミーボトムゲートライン(ダミー走査ライン)BGLn+1、GLn+2は、各ボトムゲートラインBGL1〜BGLnの上記合成容量と等しくなるように、交差するドレインラインDLとの間の重なり面積を、図6(a)又は図6(c)のようにすることで設定されている。
撮像素子71を構成するダブルゲートトランジスタ81は、トップゲート電極91に印加されている電圧が+25(V)で、ボトムゲート電極92に印加されている電圧が0(V)であると、トップゲート電極91と半導体層との間に配置される窒化シリコンからなるゲート絶縁膜と半導体層とに蓄積されている正孔が吐出され、リセットされる。ダブルゲートトランジスタ81は、ソース、ドレイン電極93、94間が0(V)で、トップゲート電極91に印加されている電圧が−15(V)で、ボトムゲート電極92に印加されている電圧が0(V)となり、半導体層への光の入射によって発生した正孔−電子対のうちの正孔が上記半導体層及び上記ゲート絶縁膜に蓄積されるフォトセンス状態となる。この所定期間に蓄積される正孔の量は光量に依存している。
フォトセンス状態において、バックライトがダブルゲートトランジスタ81に向け光を照射するが、このままではダブルゲートトランジスタ81の半導体層の下方の位置するボトムゲート電極92が遮光するので半導体層には十分なキャリアが生成されない。このとき、ダブルゲートトランジスタ81上方の絶縁膜上に指を載置すると、指の凹部(指紋形状を決める溝にあたる)の直下にあたるダブルゲートトランジスタ81の半導体層には、絶縁膜等で反射された光があまり入射されない。
このように光の入射量が少なくて十分な量の正孔が半導体層内に蓄積されずに、トップゲート電極91に印加されている電圧が−15(V)で、ボトムゲート電極92に印加されている電圧が+10(V)となると、半導体層内に空乏層が広がり、nチャネルがピンチオフされ、半導体層が高抵抗となる。一方、フォトセンス状態において指の凸部(指の溝と溝の間の山)の直下にあたるダブルゲートトランジスタ81の半導体層には、絶縁膜等で反射された光が入射され十分な量の正孔が半導体層内に蓄積された状態で、このような電圧が印加された場合は、蓄積されている正孔がトップゲート電極91に引き寄せられて保持されることにより、半導体層のボトムゲート電極92側にnチャネルが形成され、半導体層が低抵抗となる。これらの読み出し状態における半導体層の抵抗値の違いが、ドレインラインDLの電位の変化となって現れる。
トップゲートドライバ72は、撮像素子71のトップゲートラインTGLに接続され、コントローラ70からの制御信号群Tcntに従って、各トップゲートラインTGLに+25(V)または−15(V)の信号を選択的に出力する。トップゲートドライバ72は、出力信号のレベルの相違、これに応じた入力信号のレベルの相違、並びに出力信号及び入力信号の位相の違いを除き、上記したゲートドライバ52を構成するシフトレジスタと実質的に同一の構成を有している。
ボトムゲートドライバ73は、撮像素子71のボトムゲートラインBGLに接続され、コントローラ70からの制御信号群Bcntに従って、各ボトムゲートラインBGLに+10(V)または0(V)の信号を出力する。ボトムゲートドライバ73は、出力信号のレベルの相違、これに応じた入力信号のレベルの相違、並びに出力信号及び入力信号の位相の違いを除き、上記したゲートドライバ52を構成するシフトレジスタと実質的に同一の構成を有している。
ドレインドライバ74は、撮像素子71のドレインラインDLに接続され、コントローラ70からの制御信号群Dcntに従って、後述する所定の期間において全てのドレインラインDLに定電圧(+10(V))を出力し、電荷をプリチャージさせる。ドレインドライバ74は、プリチャージの後の所定の期間においてダブルゲートトランジスタ81の半導体層に光の入射、非入射に応じてチャネルが形成されているか否かによって変化する各ドレインラインDLの電位を読み出し、画像データDATAとしてコントローラ70に供給する。
コントローラ70は、制御信号群Tcnt、Bcntによってそれぞれトップゲートドライバ72、ボトムゲートドライバ73を制御して、両ドライバ72、73からライン毎に所定のタイミングで所定レベルの信号を出力させる。これにより、撮像素子71の各ラインを順次リセット状態、フォトセンス状態、読み出し状態とさせる。コントローラ70は、また、制御信号群Dcntによりドレインドライバ74にドレインラインDLの電位変化を読み出させ、画像データDATAとして順次取り込んでいく。
上記の各実施の形態では、本発明のアクティブ素子としてTFTを適用した場合を例として説明したが、MIM(Metal Insulator Metal)等の他のアクティブ素子も適用することができる。また、液晶表示素子や撮像素子と同一の基板上にゲートドライバ、ドレインドライバが形成された電子装置だけでなく、別途形成され、液晶表示素子や撮像素子に取り付けられた電子装置にも本発明を適用することができる。
なお、上記各実施の形態では、ダミー素子領域12のゲートラインGLn+1、GLn+2のそれぞれの負荷の一部として補償容量が設けられているが、表示領域11に配されたn本のゲートラインGL1〜GLnにそれぞれ接続された画素に補償電極CEが設けられていない構造でのダミー素子領域12のゲートラインGLn+1、GLn+2のそれぞれの負荷は、上記各実施の形態でのダミー素子領域12のゲートラインGLn+1、GLn+2のそれぞれの負荷から各画素の補償容量が除かれたものに相当するように設定すればよい。
なお、上記各実施の形態では、ダミー素子領域12のゲートラインGLn+1、GLn+2の2本を設けたが、ゲートラインGLn+1の1本のみとし、ゲートドライバ2も段200(1)〜200(n+1)とした構成にしてもよい。