JP5157157B2 - アクチュエータ装置及びその製造方法並びにその駆動方法、液体噴射ヘッド - Google Patents

アクチュエータ装置及びその製造方法並びにその駆動方法、液体噴射ヘッド Download PDF

Info

Publication number
JP5157157B2
JP5157157B2 JP2006345417A JP2006345417A JP5157157B2 JP 5157157 B2 JP5157157 B2 JP 5157157B2 JP 2006345417 A JP2006345417 A JP 2006345417A JP 2006345417 A JP2006345417 A JP 2006345417A JP 5157157 B2 JP5157157 B2 JP 5157157B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric
layer
film
oxygen
potential
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006345417A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008159735A (ja
Inventor
浩二 角
本規 ▲高▼部
直人 横山
浩一 両角
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2006345417A priority Critical patent/JP5157157B2/ja
Publication of JP2008159735A publication Critical patent/JP2008159735A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5157157B2 publication Critical patent/JP5157157B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、基板上に設けられた圧電素子を具備するアクチュエータ装置及びその製造方法並びにその駆動方法、液体噴射ヘッドに関する。
アクチュエータ装置に用いられる圧電素子としては、電気機械変換機能を呈する圧電材料、例えば、結晶化した誘電材料からなる圧電体層を、下電極と上電極との2つの電極で挟んで構成されたものがある。このようなアクチュエータ装置は、一般的に、撓み振動モードのアクチュエータ装置と呼ばれ、例えば、液体噴射ヘッド等に搭載されて使用されている。なお、液体噴射ヘッドの代表例としては、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド等がある。また、インクジェット式記録ヘッドに搭載されるアクチュエータ装置としては、例えば、振動板の表面全体に亘って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−127366号公報(第4〜7頁、第1〜4図)
しかしながら、圧電体層を構成する圧電材料は、駆動中に分極の回転伸縮を繰り返すため、時間の経過と共にその分極方向が一部固定される、いわゆる疲労現象が発生し、歪み及び変位が減少してしまうという問題がある。
なお、このような問題はインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドに搭載されるアクチュエータ装置だけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドに搭載されるアクチュエータ装置や、液体噴射ヘッド以外に搭載されるアクチュエータ装置においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、変位低下を防止して耐久性を向上することができるアクチュエータ装置及びその製造方法並びにその駆動方法及び液体噴射ヘッドを提供することを目的とする。
本発明の態様は、基板上に変位可能に設けられて、分極構造を有する酸化物からなる圧電材料で形成された圧電体層と、該圧電体層を挟んで設けられた一対の電極とを具備する圧電素子を具備し、前記圧電体層の一方の電極に隣接する領域に、他の領域よりも酸素が欠損した酸素欠損層が設けられていることを特徴とするアクチュエータ装置にある。
かかる態様では、酸素欠損層が設けられることによって、この酸素欠損層に電子が注入されて電荷が蓄積されることによってバイアスがかかり、一対の電極に印加される電圧に加えて酸素欠損層に蓄積された分だけ実質的に電圧を上昇させることができる。このため、分極の回転伸縮を繰り返し行って時間の経過と共にその分極方向が一部固定される、いわゆる疲労現象が発生したとしても、変位低下が発生するのを防止して、耐久性を向上することができる。
ここで、前記酸素欠損層の酸素量が、他の領域よりも0%より多く20%以下欠損していることが好ましい。これによれば、酸素欠損層の酸素量を規定することで、酸素欠損層の圧電特性を維持した状態で、電子が注入される機能を有することができる。
また、前記酸素欠損層が、前記圧電体層の1μmの厚さに対して5〜100nmの厚さで設けられていることが好ましい。これによれば、酸素欠損層に十分な電荷を蓄積することができると共に、圧電体層全体の変位特性に悪影響を与えて、変位低下が発生するのを防止することができる。
さらに、本発明の他の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が設けられた流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に前記圧力発生室に圧力変化を生じさせる液体噴射手段として上記態様のアクチュエータ装置とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、繰り返し駆動による変位低下を防止して耐久性を向上した液体噴射ヘッドを実現できる。
また、本発明の他の態様は、上記態様のアクチュエータ装置を駆動する駆動波形として、前記酸素欠損層に隣接する一方の電極に印加する電位が他方の電極に印加する電位に対して相対的に負極性で且つこの電位差と印加時間とで規定される充電要素と、前記酸素欠損層に隣接する一方の電極に印加する電位が他方の電極に印加する電位に対して相対的に正極性で且つこの電位差と印加時間とで規定される放電要素とを具備すると共に前記充電要素が前記放電要素よりも大きい駆動波形を用いることを特徴とするアクチュエータ装置の駆動方法にある。
かかる態様では、酸素欠損層に十分に電荷が蓄積した状態とすることができ、駆動時のバイアスを確実にかけることができる。
また、本発明の他の態様は、基板上に下電極を形成する工程と、該下電極上に圧電体前駆体膜を塗布し、該圧電体前駆体膜を焼成することで圧電体膜を形成する圧電体膜形成工程を複数回繰り返し行って複数層の前記圧電体膜からなる前記圧電体層を形成する工程と、該圧電体層上に前記上電極を形成する工程とを具備し、前記圧電体膜形成工程では、前記下電極側又は前記上電極側に隣接する前記圧電体膜を形成する際に、前記圧電体前駆体膜を窒素雰囲気下で焼成することで他の領域よりも酸素が欠損した酸素欠損層を形成することを特徴とするアクチュエータ装置の製造方法にある。
かかる態様では、酸素欠損層を容易に且つ高精度な厚さで形成することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面図であり、図3は、図2の要部拡大断面図である。
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12がその幅方向(短手方向)に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、インク供給路14と連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、連通路15の一端には、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられている。
インク供給路14は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12より小さい断面積を有する。例えば、本実施形態では、インク供給路14は、リザーバ100と各圧力発生室12との間の圧力発生室12側の流路を幅方向に絞ることで、圧力発生室12の幅より小さい幅で形成されている。なお、このように、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路15は、インク供給路14の圧力発生室12とは反対側に連通し、インク供給路14の幅方向(短手方向)より大きい断面積を有する。本実施形態では、連通路15を圧力発生室12と同じ断面積で形成した。
すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12と、圧力発生室12の短手方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の短手方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路15とが複数の隔壁11により区画されて設けられている。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.1μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエータ装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
圧電体層70は、下電極膜60上に形成される分極構造を有する酸化物の圧電材料からなるペロブスカイト構造の結晶膜である。圧電体層70としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電体材料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケル又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加したもの等が好適である。具体的には、チタン酸鉛(PbTiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)、ジルコニウム酸鉛(PbZrO)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La),TiO)ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O)又は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O)等を用いることができる。圧電体層70の厚さについては、製造工程でクラックが発生しない程度に厚さを抑え、且つ十分な変位特性を呈する程度に厚く形成する。例えば、本実施形態では、圧電体層70を1〜2μm前後の厚さで形成した。
また、圧電体層70の上電極膜80側には、他の領域よりも酸素が欠損した酸素欠損層71が設けられている。すなわち、圧電体層70は、圧電体層本体72と、圧電体層本体72よりも酸素が欠損した酸素欠損層71とで構成されている。
このような酸素欠損層71は、圧電体層70としてPZTを用いた場合には、Pb(TiZr)O3(1−x)であり、0<x≦0.2であるのが好ましい。すなわち、酸素欠損層71は、その酸素量が、他の領域(圧電体層本体72)よりも0%より多く20%以下欠損しているのが好ましい。ちなみに、酸素欠損層71の酸素量が他の領域よりも20%より大きく欠損していると、酸素欠損層71が圧電体層70としての圧電特性がなくなり、圧電体層70の一部を構成しなくなってしまう。
また、酸素欠損層71は、圧電体層70の厚さ1μm当たり5〜100nmの厚さであるのが好ましい。本実施形態では、圧電体層70の厚さが1〜2μmであるため、酸素欠損層71の厚さは5〜200nmが好適である。ちなみに、酸素欠損層71の厚さが5nmより薄いと、詳しくは後述するが、酸素欠損層71に十分な電荷が蓄積されず、バイアスをかけることができない。また、酸素欠損層71の厚さが100nmより厚いと、酸素欠損層71は圧電特性を有するものの、圧電体層70全体の変位特性に悪影響を与え、変位低下が発生する虞がある。
このような酸素欠損層71は、柱状結晶である圧電体層70の結晶構造とは異なる構造のものである。
このように圧電体層70の電極側、本実施形態では、上電極膜80側に酸素欠損層71を設けることによって、圧電素子300の下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加して圧電素子300を駆動した際に、酸素欠損層71に電荷が蓄積される。そして、酸素欠損層71に蓄積された電荷はすぐに逃げないため、下電極膜60及び上電極膜80の間に電圧を印加すると、この下電極膜60及び上電極膜80に印加された入力電圧に酸素欠損層71に蓄積された電荷により生ずる電位差が加えられて印加され、圧電体層70に印加される電圧は実質的に上昇する。このため、下電極膜60及び上電極膜80に印加される入力電圧が酸素欠損層71が設けられていない圧電素子と同じであっても、酸素欠損層71が設けられていない圧電素子に比べて、酸素欠損層71が設けられた圧電体層70に印加される電圧は実質的に上昇し、圧電体層70に大きな変位を行わせることができる。したがって、圧電体層70の変位を繰り返すことによって、圧電体層70の分極が固定が進んだとしても、分極の固定に伴う変位低下を印加電圧の上昇によって防止することができる。すなわち、圧電体層70の分極の固定が進行したとしても、分極が固定されていない領域を上昇した印加電圧で駆動できるため、酸素欠損層71が設けられていない圧電素子と同じ変位を行わせることができる。これにより、圧電素子300の変位低下を防止して耐久性を向上することができ、経時変化のない印刷物を印刷することができると共に、印刷物の品質を維持することができる。
なお、酸素欠損層71に電荷を蓄積させるには、負極性の電位を印加する必要があり、このように酸素欠損層71に負極性の電位を印加するには、酸素欠損層71が圧電素子300の一方の電極、本実施形態では上電極膜80に接して設けられ、且つ酸素欠損層71側の一方の電極(上電極膜80)に他方の電極(本実施形態では下電極膜60)に対して相対的に負極性の電位が印加される駆動波形を用いる必要がある。駆動波形については詳しくは後述する。
さらに、圧電素子300の個別電極である各上電極膜80には、インク供給路14側の端部近傍から引き出され、絶縁体膜55上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、下電極膜60、弾性膜50及びリード電極90上には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このリザーバ部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
また、保護基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路120が固定されている。この駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極90とは、ボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
なお、本実施形態では、圧電体層70の電極側(本実施形態では、上電極膜80側)に酸素欠損層71を設けることによって、圧電素子300の下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加して圧電素子300を駆動した際に、酸素欠損層71に電荷が蓄積される。酸素欠損層71に電荷を蓄積するには、負極性の電位を印加する必要があり、このように酸素欠損層71に負極性の電荷を印加するには、酸素欠損層71が圧電素子300の一方の電極、本実施形態では上電極膜80に接して設けられ、且つ酸素欠損層71側の一方の電極(上電極膜80)に他方の電極(本実施形態では下電極膜60)に対して相対的に負極性の電位が印加される駆動波形を用いる必要がある。
ここで、圧電素子300に印加する駆動電圧パルスの違いによる変位低下率を測定した。なお、図4は、駆動電圧パルスを示す波形図である。
図4(a)に示すように、駆動電圧パルス200は、下電極膜60を基準電位(本実施形態では0V)として、上電極膜80に印加される。駆動電圧パルス200は、駆動電位Vを下電極膜60に印加する基準電位よりも低く且つ正極性(+)の第1電位V1から、この第1電位V1よりも高い第2電位V2まで上昇させて圧力発生室12の容積を収縮させる収縮工程400と、第2電位V2を所定の期間保持する第1の保持工程401と、駆動電位Vを第2電位V2から第1電位V1よりも低く、且つ基準電位よりも低く、負極性(−)の第3電位V3まで降下させて圧力発生室12の容積を膨張させる膨張工程402と、第3電位V3を所定の期間保持する第2の保持工程403と、駆動電位Vを第3電位V3から第1電位まで上昇させる工程404とで構成されている。そして、このような駆動電圧パルス200が圧電素子300に出力されると、収縮工程400によって圧電素子300が圧力発生室12の容積を収縮させる方向に変形することにより、ノズル開口21のメニスカスが押し出される。次いで、膨張工程402によって圧電素子300が圧力発生室12の容積を膨張させる方向に変形して、ノズル開口21のメニスカスが圧力発生室12側に急激に引き込まれることで、ノズル開口21から押し出されていたインクが千切れ、ノズル開口21から吐出されたインクがインク滴となって飛翔する。すなわち、この駆動電圧パルス200は、いわゆる引き打ち式のものである。
これに対して、図4(b)に示すように、駆動電圧パルス201は、下電極膜60を基準電位(本実施形態では0V)として、上電極膜80に印加されるものである。駆動電圧パルス201は、駆動電位Vを基準電位よりも低い(相対的に負極性となる)第1電位V11から、この第1電位V11よりも低い第2電位V12まで降下させて圧力発生室12の容積を膨張させる膨張工程410と、第2電位V12を所定の期間保持する第1の保持工程411と、駆動電位Vを第1電位V12から基準電位よりも高く、且つ正極性(+)の第3電位V13まで上昇させて圧力発生室12の容積を収縮させる収縮工程412と、第3電位V13を所定の期間保持する第2の保持工程413と、駆動電位Vを第3電位V13から第1電位V11まで戻す工程414とで構成されている。そして、このような駆動電圧パルス201が圧電素子300に出力されると、膨張工程410によって圧電素子300が圧力発生室12の容積を膨張させる方向に変形して、ノズル開口21内のメニスカスが圧力発生室12側に引き込まれる。次いで、収縮工程412で、圧電素子300が圧力発生室12の容積を収縮させる方向に変形することにより、ノズル開口21内のメニスカスが圧力発生室12側から大きく押し出され、ノズル開口21からインク滴が吐出される。すなわち、この駆動電圧パルス201は、いわゆる押し打ち式のものである。
ここで、圧電体層70を詳しくは後述するゾル−ゲル法で形成する際に、ゾルの鉛(Pb)量を変更して形成した3種類の圧電素子300のサンプルを用意した。3種類のサンプルは、鉛の量が異なるものを用意した。具体的には、各サンプルのジルコニウムとチタンとの比率は同一(Zr/Ti=55.5/44.5)で、それぞれのゾルの鉛量を、Pb=1.14、1.21、1.28、とし、鉛(Pb)の焼成温度を700℃とした。
そして、3種類のサンプルに駆動電圧パルス200及び201を50kHzで13分20秒(0.4億ショット)加えて耐久試験を行った。その後の、各サンプルについて、図4(c)及び図4(d)に示す変位測定パルスを加えて圧電素子300の変位量を測定した。すなわち、各サンプルについて、2つの駆動電圧パルス200及び201と、2つの変位測定パルスを組み合わせて、合計4種類の試験を行った。なお、図4(c)に示す変位測定パルスは、酸素欠損層71に隣接する一方の電極に他方の電極よりも負極性となる電位から、正極性となる電位を比較的長く(200μsec)印加したものである。また、図4(d)に示す変位測定パルスは、酸素欠損層71に隣接する一方の電極に他方の電極よりも正極性となる電位から、負極性となる電位を比較的長く(200μsec)印加したものである。
さらに、サンプルに駆動電圧パルスを加えた後、1日放置してから図4(c)及び図4(d)に示す変位測定パルスを加えて圧電素子300の変位量を測定した。これらの結果を下記表1に示す。
Figure 0005157157
表1に示すように、圧電体層70を形成する際の鉛(Pb)の量に関わらず、図4(a)に示す駆動電圧パルス200を印加した後、図4(c)に示す変位測定パルスを印加すると、変位低下率が高くなってしまう。
また、図4(b)の駆動電圧パルス201を印加した後、図4(d)に示す変位測定パルスを印加すると、変位低下率を低くすることができる。
なお、図4(a)に示す駆動電圧パルス200を印加した後、図4(d)に示す変位測定パルスを印加すると、図4(b)及び図4(d)の組み合わせに比べて変位低下率が低下する。
これらの結果から、圧電素子300に印加する駆動電圧パルスは、図4(b)に示すように、酸素欠損層71に隣接する一方の電極(本実施形態では上電極膜80)に他方の電極(下電極膜60)に対して負極性となる電位を印加して、酸素欠損層71に電子を注入して酸素欠損層71を蓄積する充電要素Aと、酸素欠損層71に隣接する一方の電極(上電極膜80)に他方の電極(下電極膜60)に対して正極性となる電位を印加して酸素欠損層71に注入された電子を酸素欠損層71から放出させる放電要素Bとを具備し、充電要素Aが放電要素Bよりも大きいことが好ましい。ここで、充電要素A及び放電要素Bは、酸素欠損層71に隣接する電極に印加される電位の他方の電極を基準とした大きさ(電圧)と、印加時間とによって表されるものである。すなわち、下電極膜60に印加される電位(本実施形態では、0V)を基準として、駆動電圧パルス201の積分で表されるものである。
このように、充電要素Aが放電要素Bよりも大きい駆動電圧パルス201を用いることで、充電要素Aによって酸素欠損層71に注入された電子が、放電要素Bによって完全に放出されることがなく、次の駆動電圧パルスで酸素欠損層71に注入された電子によってバイアスをかけて、圧電素子300に印加する電圧を実質的に上昇させることができる。
なお、酸素欠損層71に隣接する一方の電極に印加する電位が、他方の電極に対して相対的に負極性とは、他方の電極の電位が正極性(+)で、酸素欠損層71に隣接する電極に他方の電極の電位(+)よりも小さい正極性(+)の電位を印加した場合も含むものである。このような場合であっても圧電素子300の変位を向上することができる。
また、本実施形態では、圧電素子300に図4(b)に示す駆動電圧パルス201を印加した後、図4(d)に示す変位測定パルスを印加した方が、変位低下率が増大するのを防止することができる。これは、図4(d)に示す変位測定パルスも、図4(d)の駆動電圧パルス201と同様に、充電要素が放電要素よりも大きいからだと考えられる。
なお、本実施形態では、駆動電圧パルス201を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、図5に示すような駆動電圧パルス202を用いるようにしてもよい。
ここで、駆動電圧パルス202は、充電要素A′を放電要素B′よりも大きくしたいわゆる引き打ち式の波形図であり、駆動電圧パルス202は、下電極膜60を基準電位(本実施形態では0V)として、上電極膜80に印加されるものである。駆動電圧パルス202は、駆動電位Vを基準電位よりも低い(相対的に負極性となる)第1電位V21から、基準電位よりも高く(相対的に正極性となり)且つ正極性(+)となる電位V22まで上昇させて圧力発生室12の容積を収縮させる収縮工程420と、第2電位V22を所定の期間保持する第1の保持工程421と、駆動電位Vを第1電位V22から基準電位よりも低く、且つ負極性(−)の第3電位V23まで降下させて圧力発生室12の容積を膨張させる膨張工程422と、第3電位V23を所定の期間保持する第2の保持工程423と、駆動電位Vを第3電位V23から第1電位V21まで戻す工程424とで構成されている。
このような駆動電圧パルス202は、図4(a)に示す駆動電圧パルス200と波形の形状としては同一のようになるが、下電極膜60に印加する基準電位に対する相対的な電位が違うため、駆動電圧パルス200に比べて充電要素A′が放電要素B′よりも大きく、酸素欠損層71に十分な電子の注入を行わせることができ、上述したようにバイアスをかけることができる。
以下、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図6〜図11を参照して説明する。なお、図6〜図11は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す圧力発生室の長手方向の断面図である。まず、図6(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110を熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン(SiO)からなる二酸化シリコン膜51を形成する。
次いで、図6(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。
次いで、図6(c)に示すように、例えば、白金及びイリジウムからなる下電極膜60を絶縁体膜55の全面に亘って形成する。
次に、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層70を形成する。ここで、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成している。なお、圧電体層70の製造方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法等を用いてもよい。
圧電体層70の具体的な形成手順としては、まず、図7(a)に示すように、下電極膜60上にPZT前駆体膜である圧電体前駆体膜73を成膜する。すなわち、下電極膜60が形成された流路形成基板10上に金属有機化合物を含むゾル(溶液)を塗布する(塗布工程)。次いで、この圧電体前駆体膜73を所定温度に加熱して一定時間乾燥させる(乾燥工程)。例えば、本実施形態では、圧電体前駆体膜73を170〜180℃で8〜30分間保持することで乾燥することができる。
次に、乾燥した圧電体前駆体膜73を所定温度に加熱して一定時間保持することによって脱脂する(脱脂工程)。例えば、本実施形態では、圧電体前駆体膜73を300〜400℃程度の温度に加熱して約10〜30分保持することで脱脂した。なお、ここで言う脱脂とは、圧電体前駆体膜73に含まれる有機成分を、例えば、NO、CO、HO等として離脱させることである。
次に、図7(b)に示すように、圧電体前駆体膜73を所定温度に加熱して一定時間保持することによって結晶化させ、圧電体膜74を形成する(焼成工程)。焼成工程では、圧電体前駆体膜73を680〜900℃の加熱を行って圧電体前駆体膜73を焼成して圧電体膜74を形成した。
なお、このような乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程で用いられる加熱装置としては、例えば、ホットプレートや、赤外線ランプの照射により加熱するRTP(Rapid Thermal Processing)装置などを用いることができる。
そして、図7(c)に示すように、下電極膜60上に圧電体膜74の1層目を形成した段階で、下電極膜60及び1層目の圧電体膜74を同時にパターニングする。なお、下電極膜60及び圧電体膜74のパターニングは、例えば、イオンミリング等のドライエッチングにより行うことができる。
この下電極膜60及び1層目の圧電体膜74をパターニングした後、上述した塗布工程、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程からなる圧電体膜形成工程を複数回繰り返すことで、図8(a)に示すように複数層の圧電体膜74を形成し、圧電体層本体72を形成する。
次に、図8(b)に示すように、圧電体層本体72上に酸素欠損層71を形成して圧電体層70を形成する。本実施形態では、最上層の圧電体膜を形成する際に、圧電体前駆体膜73を窒素(N)雰囲気下で焼成する。これにより、圧電体層70の最上層に他の領域(圧電体層本体72)よりも酸素が欠損した酸素欠損層71を形成することができる。すなわち、圧電体膜を焼成により形成する際に、圧電体前駆体膜73を酸素雰囲気下(酸素分圧15〜100%)で焼成すると、通常のPZTからなる圧電体膜74が形成されるが、圧電体前駆体膜73を酸素を含まない窒素(N)雰囲気下(窒素100%)で焼成すると、酸素が欠損したPZTからなる酸素欠損層71を形成することができる。ちなみに、酸素欠損層71には、酸素が全く含有していない訳ではなく、圧電体前駆体膜73を焼成する際に、下地となる圧電体膜74から酸素が供給される。
このような酸素欠損層71は、焼成温度や昇温レート等の各種条件を設定することで、Pb(TiZr)O3(1−x)、0<x≦0.2で形成することができる。すなわち、酸素欠損層71は、その酸素量が、他の領域(圧電体層本体72)よりも0%より多く20%以下欠損しているのが好ましい。ちなみに、酸素欠損層71の酸素量が他の領域よりも20%より大きく欠損していると、酸素欠損層71が圧電体層70としての圧電特性がなくなり、圧電体層70の一部を構成しなくなってしまう。
また、酸素欠損層71は、圧電体層70の厚さ1μm当たり5〜100nmの厚さであるのが好ましい。本実施形態では、圧電体層70全体の厚さが1〜2μmであるため、酸素欠損層71の厚さは5〜200nmが好適である。ちなみに、酸素欠損層71の厚さが5nmより薄いと、酸素欠損層71に十分な電荷が蓄積されず、バイアスをかけることができない。また、酸素欠損層71の厚さが100nmより厚いと、酸素欠損層71は圧電特性を有するものの、圧電体層70全体の変位特性に悪影響を与え、変位低下が発生する虞がある。
次に、図9(a)に示すように、圧電体層70上(酸素欠損層71上)に亘って上電極膜80を形成する。
次に、図9(b)に示すように、圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。圧電体層70及び上電極膜80のパターニングとしては、例えば、反応性イオンエッチングやイオンミリング等のドライエッチングが挙げられる。
次に、リード電極90を形成する。具体的には、図9(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の全面に亘ってリード電極90を形成後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して各圧電素子300毎にパターニングすることで形成される。
次に、図10(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300側に、シリコンウェハであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハ130を接着剤35を介して接合する。
次に、図10(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みに薄くする。
次いで、図11(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110にマスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、図11(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をマスク膜52を介してKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、圧電素子300に対応する圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等を形成する。
その後は、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハ110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、酸素欠損層71を上電極膜80側に設けるようにしたが、特にこれに限定されず、酸素欠損層を圧電体層70の下電極膜60側に設けるようにしてもよい。このように下電極膜60側に酸素欠損層を形成するには、例えば、基板上に上電極膜、圧電体層本体、酸素欠損層及び下電極膜からなる圧電素子を順次積層形成した後、流路形成基板10上に圧電素子を転写することで形成することができる。
また、上述した実施形態1では、圧電体前駆体膜73を塗布、乾燥及び脱脂した後、焼成して圧電体膜74を形成するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、圧電体前駆体膜73を塗布、乾燥及び脱脂する工程を複数回、例えば、2回繰り返し行った後、焼成することで圧電体膜74を形成するようにしてもよい。
また、上述した実施形態1では、流路形成基板10として、結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、結晶面方位が(100)面のシリコン単結晶基板を用いるようにしてもよく、また、SOI基板、ガラス等の材料を用いるようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態1では、基板(流路形成基板10)上に下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を順次積層した圧電素子300を具備するアクチュエータ装置を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電素子を具備するアクチュエータ装置にも本発明を適用することができる。
なお、上述した実施形態1では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
また、本発明は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに搭載されるアクチュエータ装置及びその製造方法並びにその駆動方法に限られず、他の装置に搭載されるアクチュエータ装置及びその製造方法並びにその駆動方法にも適用することができる。
実施形態1に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの要部拡大断面図である。 実施形態1に係る駆動電圧パルスを示す波形図である。 実施形態1に係る駆動電圧パルスを示す波形図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 リザーバ部、 32 圧電素子保持部、 40 コンプライアンス基板、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 71 酸素欠損層、 72 圧電体層本体、 74 圧電体膜、 80 上電極膜、 90 リード電極、 100 リザーバ、 120 駆動回路、 121 接続配線、 300 圧電素子

Claims (7)

  1. 圧電体層と、該圧電体層を挟んで設けられた複数の電極とを有する圧電素子であって、
    前記圧電体層は、一方の電極に隣接する領域に、他の領域よりも酸素が欠損した酸素欠損層を含むことを特徴とする圧電素子。
  2. 前記酸素欠損層の酸素量が、他の領域よりも0%より多く20%以下欠損していることを特徴とする請求項1記載の圧電素子
  3. 前記酸素欠損層が、前記圧電体層の1μmの厚さに対して5〜100nmの厚さで設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の圧電素子
  4. 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が設けられた流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に前記圧力発生室に圧力変化を生じさせる液体噴射手段として請求項1〜3の何れか一項に記載の圧電素子とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッド。
  5. 請求項4に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の圧電素子を駆動する駆動波形として、前記酸素欠損層に隣接する一方の電極に印加する電位が他方の電極に印加する電位に対して相対的に負極性で且つこの電位差と印加時間とで規定される充電要素と、前記酸素欠損層に隣接する一方の電極に印加する電位が他方の電極に印加する電位に対して相対的に正極性で且つこの電位差と印加時間とで規定される放電要素とを具備すると共に前記充電要素が前記放電要素よりも大きい駆動波形を用いることを特徴とする圧電素子の駆動方法。
  7. 基板上に下電極を形成する工程と、該下電極上に圧電体前駆体膜を塗布し、該圧電体前駆体膜を焼成することで圧電体膜を形成する圧電体膜形成工程を複数回繰り返し行って複数層の前記圧電体膜からなる前記圧電体層を形成する工程と、該圧電体層上に前記上電極を形成する工程とを具備し、
    前記圧電体膜形成工程では、前記下電極側又は前記上電極側に隣接する前記圧電体膜を形成する際に、前記圧電体前駆体膜を窒素雰囲気下で焼成することで他の領域よりも酸素が欠損した酸素欠損層を形成することを特徴とする圧電素子の製造方法。
JP2006345417A 2006-12-22 2006-12-22 アクチュエータ装置及びその製造方法並びにその駆動方法、液体噴射ヘッド Active JP5157157B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006345417A JP5157157B2 (ja) 2006-12-22 2006-12-22 アクチュエータ装置及びその製造方法並びにその駆動方法、液体噴射ヘッド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006345417A JP5157157B2 (ja) 2006-12-22 2006-12-22 アクチュエータ装置及びその製造方法並びにその駆動方法、液体噴射ヘッド

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008159735A JP2008159735A (ja) 2008-07-10
JP5157157B2 true JP5157157B2 (ja) 2013-03-06

Family

ID=39660345

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006345417A Active JP5157157B2 (ja) 2006-12-22 2006-12-22 アクチュエータ装置及びその製造方法並びにその駆動方法、液体噴射ヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5157157B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5453960B2 (ja) * 2008-09-19 2014-03-26 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエーター装置
JP5733374B2 (ja) * 2008-09-19 2015-06-10 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエーター装置
JP2010089470A (ja) * 2008-10-10 2010-04-22 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエータ装置
JP5435206B2 (ja) * 2009-02-25 2014-03-05 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP5196183B2 (ja) * 2009-02-25 2013-05-15 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに圧電アクチュエーター
JP5305027B2 (ja) * 2009-07-16 2013-10-02 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに圧電素子
JP5458896B2 (ja) * 2010-01-08 2014-04-02 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び圧電素子
JP2011255604A (ja) 2010-06-10 2011-12-22 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置
JP2013140852A (ja) * 2011-12-28 2013-07-18 Seiko Epson Corp 液体噴射装置
WO2015045845A1 (ja) * 2013-09-24 2015-04-02 コニカミノルタ株式会社 圧電アクチュエータ、インクジェットヘッド、インクジェットプリンタおよび圧電アクチュエータの製造方法
JP6597959B2 (ja) 2015-10-05 2019-10-30 セイコーエプソン株式会社 圧電デバイス及び圧電デバイスの駆動方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3757808B2 (ja) * 2001-03-23 2006-03-22 セイコーエプソン株式会社 インクジェット式プリンタのヘッド駆動装置及び駆動方法
WO2003022582A1 (fr) * 2001-09-11 2003-03-20 Seiko Epson Corporation Procede d'alimentation d'une tete d'ejection de liquide et dispositif d'ejection de liquide
JP2005101512A (ja) * 2002-10-24 2005-04-14 Seiko Epson Corp 強誘電体膜、強誘電体メモリ、圧電素子、半導体素子、液体噴射ヘッド、プリンタ及び強誘電体膜の製造方法
JP2004214275A (ja) * 2002-12-27 2004-07-29 Canon Inc 圧電素子
JP2005005689A (ja) * 2003-05-20 2005-01-06 Matsushita Electric Ind Co Ltd 圧電体素子およびその製造方法
JP4600650B2 (ja) * 2003-11-05 2010-12-15 セイコーエプソン株式会社 圧電体膜、圧電素子、圧電アクチュエーター、圧電ポンプ、インクジェット式記録ヘッド、インクジェットプリンター、表面弾性波素子、薄膜圧電共振子、周波数フィルタ、発振器、電子回路、および電子機器
JP4665477B2 (ja) * 2004-10-20 2011-04-06 パナソニック株式会社 圧電体アクチュエータの制御方法および位置制御機構並びにディスク装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008159735A (ja) 2008-07-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5157157B2 (ja) アクチュエータ装置及びその製造方法並びにその駆動方法、液体噴射ヘッド
JP4296441B2 (ja) アクチュエータ装置の製造方法
JP2006245247A (ja) 圧電素子及びその製造方法、液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置
US7520038B2 (en) Piezoelectric element, method of manufacturing the same, liquid-jet head, method of manufacturing the same, and liquid-jet apparatus
JP2006278489A (ja) 圧電素子及びアクチュエータ装置並びに液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP5297576B2 (ja) 圧電素子及びアクチュエータ装置並びに液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
US8197035B2 (en) Actuator device and liquid ejecting head including the same
US8079677B2 (en) Liquid ejecting head, liquid ejecting apparatus, and piezoelectric actuator
US7514854B2 (en) Piezoelectric element, liquid-jet head using piezoelectric element and liquid-jet apparatus
JP2010201830A (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに圧電素子
JP2010199339A (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射装置及びアクチュエーター装置
US7498724B2 (en) Piezoelectric element, liquid-jet head and liquid-jet apparatus
JP2010221434A (ja) 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置
US8141991B2 (en) Liquid ejecting head, liquid ejecting apparatus, and piezoelectric actuator
JP2009049433A (ja) 圧電素子及びその製造方法、液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置
JP2010173197A (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、アクチュエーター装置及び液体噴射ヘッドの製造方法
JP2011238710A (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法及びこれを用いた液体噴射装置、並びに圧電素子の製造方法
JP2006245248A (ja) 圧電素子及びその製造方法、液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置
JP2009061729A (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP2009170467A (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法及びアクチュエータ装置の製造方法
JP5196183B2 (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに圧電アクチュエーター
JP2008041826A (ja) アクチュエータ装置及びその製造方法並びに液体噴射ヘッド
JP2007059817A (ja) アクチュエータ装置の製造方法及びアクチュエータ装置並びに液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP2012187872A (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法及び圧電素子のエージング方法
JP2012054486A (ja) 圧電素子、液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20090903

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20090904

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20090904

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090914

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120828

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120830

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121026

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121113

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121126

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5157157

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151221

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350