JP2010089470A - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエータ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】変位特性を向上した液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエータ装置を提供する。
【解決手段】液滴を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成された流路形成基板と、第1電極60と、該第1電極60上に形成された圧電体層70と、該圧電体層70の前記第1電極60とは反対側に形成された第2電極80と、を備え、前記圧力発生室に圧力を発生させて前記ノズル開口から液滴を吐出する圧電素子300と、を具備し、前記第1電極60及び前記第2電極80に電圧が印加されていない状態において、前記圧電体層70の内部電界が、前記第1電極60側又は第2電極80側に偏っている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエータ装置に関する。
液体噴射ヘッド等に用いられる圧電素子は、電気機械変換機能を呈する圧電材料、例えば、結晶化した誘電材料からなる圧電体層を、複数の電極で挟んで構成されたものがある。なお、液体噴射ヘッドの代表例としては、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド等がある。また、インクジェット式記録ヘッドに搭載される圧電素子としては、例えば、振動板の表面全体に亘って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−127366号公報
しかしながら、この圧電体層を用いて圧電素子を設けたとしても十分な電圧で大きな変位量を得ることができず、低い電圧に対して大きな変異量を得ることはできないのが現状である。なお、このような問題は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに限定されず、他の装置に搭載されるアクチュエータ装置においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、高い変位特性を有する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエータ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、液滴を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成された流路形成基板と、第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極と、を備え、前記圧力発生室に圧力を発生させて前記ノズル開口から液滴を吐出する圧電素子と、を具備し、前記第1電極及び前記第2電極に電圧が印加されていない状態において、前記圧電体層の内部電界が、前記第1電極側又は第2電極側に偏っていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、内部電界を規定することによって、圧電素子を低い駆動電圧で駆動して大きな変位量を得る、いわゆる変位特性を向上して、液体噴射特性を向上することができる。
また、本発明の態様は、液滴を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が設けられた流路形成基板と、第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極と、を備え、前記圧力発生室に圧力を発生させて前記ノズル開口から液滴を吐出する圧電素子と、を具備し、前記圧電体層の残留分極モーメントが、前記第1電極側又は第2電極側に偏っていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、残留分極モーメントを規定することによって、圧電素子を低い駆動電圧で駆動して大きな変位量を得る、いわゆる変位特性を向上して、液体噴射特性を向上することができる。
また、前記圧電体層は、ペロブスカイト構造を有し、鉛、ジルコニウム及びチタンを含むことが好ましい。これによれば、優れた変位特性を有する圧電素子を実現できる。
また、前記圧電体層は単斜晶系構造を有することが好ましい。さらに、前記圧電体層は、(100)面に優先配向していることが好ましい。これによれば、優れた変位特性を有する圧電素子を実現できる。
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、液体噴射特性を向上した液体噴射装置を実現できる。
また、本発明の他の態様は、基板上に変異可能に設けられて、第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極と、を備える圧電素子を具備し、前記第1電極及び前記第2電極に電圧が印加されていない状態において、前記圧電体層の内部電界が、前記第1電極側又は第2電極側に偏っていることを特徴とするアクチュエータ装置にある。
かかる態様では、内部電界を規定することによって、圧電素子を低い駆動電圧で駆動して大きな変位量を得る、いわゆる変位特性を向上することができる。
また、本発明の他の態様は、基板上に変異可能に設けられて、第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極と、を備える圧電素子を具備し、前記圧電体層の残留分極モーメントが、前記第1電極側又は第2電極側に偏っていることを特徴とするアクチュエータ装置にある。
かかる態様では、残留分極モーメントを規定することによって、圧電素子を低い駆動電圧で駆動して大きな変位量を得る、いわゆる変位特性を向上することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面図である。
図示するように、本実施形態の流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなり、その一方の面には二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板のリザーバ部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。
なお、本実施形態では、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられていることになる。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等からなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80とが、積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、第1電極60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエータ装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び第1電極60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
圧電体層70は、第1電極60上に形成される分極構造を有する一般式ABOで示される酸化物の圧電材料からなるペロブスカイト型構造を有する結晶膜である。圧電体層70としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電体材料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケル又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加したもの等が好適である。具体的には、チタン酸鉛(PbTiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)、ジルコニウム酸鉛(PbZrO)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La),TiO)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O)又は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O)等を用いることができる。本実施形態では、圧電体層70として、Pb(ZrTi1−x)Oで、xが0.5のPZTを用いた。
また、圧電体層70は、結晶の配向面が擬キュービック表示で(100)面に優先配向しており、その結晶構造は、単斜晶系(monoclinic)となっている。圧電体層70の結晶構造は、製造条件等により大きく左右されるが、圧電体層70の膜厚が5μm以下の場合、例えば、xの範囲を0.45〜0.55程度とすることで、単斜晶系を取ることができる。なお、本発明で「結晶が(100)面に優先配向している」とは、全ての結晶が(100)面に配向している場合と、ほとんどの結晶(例えば、90%以上)が(100)面に配向している場合と、を含むものである。また、本発明で「結晶構造が、単斜晶系(monoclinic)となっている」とは、全ての結晶が単斜晶系である場合と、ほとんど全ての結晶(例えば、90%以上)が単斜晶系であり、単斜晶系ではない残りの結晶が正方晶系(tetragonal)等である場合と、を含むものである。
さらに、圧電体層70は、分極モーメントの方向が膜面垂直方向(圧電体層70の厚さ)に対して所定角度傾いているものである。
また、圧電体層70は、内部電界が、第1電極60側又は第2電極80側に偏っているものである。圧電体層70の内部電界が第1電極60側又は第2電極80側に偏っているとは、第1電極60、第2電極80に電圧が印加されていない状態で、内部電界の膜面垂直方向(圧電体層70の厚さ方向)の成分が、第1電極60側又は第2電極80側でほぼ均等ではなく、何れか一方側が他方側に比べて絶対値が大きくなっていることを言う。すなわち、内部電界の膜面垂直方向は、第1電極60と第2電極80との並び方向や、外部から電圧が印加されて発生する電界の方向などに言い換えることもできる。本実施形態では、内部電界の膜面垂直方向の成分のことをz方向の成分(図3参照)と称する。
電極により圧電体層70に印加する電圧の極性を反転させたとき、分極モーメントは反転するが、本実施形態では、この様子は上下対称ではない。つまり、分極モーメントが上側に向けられているときと下側に向けられているときとで、分極モーメントのZ方向の成分の絶対値が異なる。この場合の分極モーメントの測定値は、第1電極60及び第2電極80に電圧が印加されていない状態での値になるため、残留分極モーメントとも呼ばれている。残留分極モーメントは電気測定のP−Vヒステリシスループで測定することができ、ここではPは電束密度、Vは電圧である。
図3に示すように、本実施形態において、圧電体層70の分極モーメントが、P1、P2と向いている場合、P1のz方向の成分Pup(残留分極モーメントPup)と、P2のz方向の成分Pdown(残留分極モーメントPdown)とに差がある。この分極モーメントP1、P2は、マイナス(−)電荷からプラス(+)電荷に向かうものであり、この分極モーメントP1、P2によって発生する内部電界E1、E2のz方向の成分Eup、Edownにも差が出る。本実施形態では、分極モーメントP2のz方向の成分であるPdownは、分極モーメントP1のz方向の成分であるPupよりも大きい。そして、分極モーメントP2(Pdown)に対応する内部電極P1のz方向の成分であるEupは、分極モーメントP1(Pup)に対応する内部電界E1のz方向の成分であるEdownよりも大きくなっている。すなわち、分極モーメントが、z方向で図3中下方向に偏っていた場合、内部電界は、z方向で図3中上方向に偏っていることになる。言い換えると、圧電体層70の分極モーメントは第1電極60側に偏っており、逆に内部電界は第2電極80側に偏っていることになる。
このような分極モーメントP1、P2の偏りは、圧電体層70の組成比や格子定数、酸素欠陥層の有無や厚さなどにより調整することができる。圧電体層70の組成比は、PZTの場合には、チタンとジルコニウムに対する鉛(Pb)の量や、チタン(Ti)とジルコニウム(Zr)との比率などが挙げられる。
圧電体層70の格子定数による分極モーメントの偏りとは、圧電体層70の格子定数を変化させ、分極モーメントの方向を調整することをいう。例えば、第1電極60として、ランタンニッケル酸化物(LNO)などを用いると、このLNOの面内の格子定数は、一般的な圧電体層70の面内の格子定数に比べて小さいため、このLNO上には面内の格子定数が収縮された圧電体層70が形成される。このように下地として用いる材料によって、圧電体層70の面内の格子定数は伸張・収縮されるものであり、このような格子定数の伸張・収縮によっても分極モーメントの方向をずらすことができる。また、圧電体層70の格子定数は、圧電体層70を形成する際の製造条件によっても変化するものである。圧電体層70の製造条件とは、例えば、焼成時の温度、時間及び湿度などのことである。そして、分極モーメントの方向が変化すれば、それに伴いz方向の成分も変化するため、分極モーメントがz方向の上下(第1電極60側又は第2電極80側)に偏らせることができる。
さらに、圧電体層70の酸素欠陥層の有無や厚さによる分極モーメントの偏りとは、図4に示すように、圧電体層70の第2電極80側に酸素欠陥層71を設けると、酸素欠陥層がプラス2価の原子サイトとして働き、圧電体層70には、第2電極80から第1電極60に向かって常に実効的な内部電界E0が印加される。この実効的な内部電界E0によって、分極モーメントは回転を起こし、分極モーメントの方向を第1電極60側に偏らせることもできる。すなわち、第2電極80側に向かう分極モーメントP1のZ軸成分であるPupは、第1電極60側に向かう内部電界E0によって小さくなる。一方、第1電極60側に向かう分極モーメントP2のZ軸成分であるPdownは、第1電極60側に向かう内部電界E0によって大きくなる。このように、酸素欠陥層71の存在の有無や酸素欠陥層71による内部電界E0の大きさによって、分極モーメントの方向を調整することができる。
すなわち、圧電体層70の内部電界とは、例えば、酸素欠陥層71等による内部電界E0と、この内部電界E0の影響により偏った分極モーメントにより発生した内部電界とを合計したものである。ちなみに、本実施形態では、酸素欠陥層71によって第1電極60側に向かう内部電界E0が存在するものの、分極モーメントによって発生する内部電界Eup、Edownは、Eupの方が大きく、分極モーメントによって発生する内部電界は、第2電極80側に偏っている。したがって、第1電極60側に向かう酸素欠陥層71による内部電界E0及び分極モーメントによる内部電界Edownの合計の絶対値と、第2電極80側に向かう分極モーメントによる内部電界Eupの絶対値とに差を生じさせて、何れか一方に偏らせている。ただし、上述したように、分極モーメントの偏りは、酸素欠陥層71の内部電界E0による影響だけではなく、圧電体層70の組成比や格子定数などの要因によっても変化し、調整することができるものである。
また、圧電体層70の内部電界は、透過電子顕微鏡を用いて、強度輸送方程式による電子線の位相計測と、それに基づいた電場計測とを行うことにより測定することができる。
具体的には、透過電子顕微鏡の明視野像(透過波だけの結像)を利用する。正焦点の像に対して、アンダーとオーバーの両側に同じでフォーカスをした3枚の像を用意し、強度の伝播方向の微分を観測強度の差分で近似(強度輸送方程式)し、位相を測定する。この位相から電場ベクトルを求めるために位相を微分する。
そして、電場ベクトル(内部電界のベクトル方向)は、分極モーメントのベクトル方向とは互いに反平行となっているため、圧電体層70の電場ベクトルを測定することにより、圧電体層70の分極モーメントの方向も測定することができる。
また、内部電界の絶対値と分極モーメントの絶対値は比例するため、内部電界の絶対値の相対比較で分極モーメントの絶対値の相対比較が可能となる。
ここで、酸素欠陥層71が作る内部電解E0の大きさが十分小さい場合、酸素欠陥層71が作る内部電解E0を無視し、本測定方式から得られた内部電解の方向および大きさを、そのまま分極モーメントの方向(向きは逆方向となる)および大きさに対応すると近似することもできる。
このように、圧電体層70に内部電界の偏りを設けることにより、圧電体層70の変位特性を向上させることができる。
なお、圧電体層70の厚さについては、製造工程でクラックが発生しない程度に厚さを抑え、且つ十分な変位特性を呈する程度に厚く形成する。例えば、本実施形態では、圧電体層70を1〜2μm前後の厚さで形成した。
また、圧電体層70の製造方法は特に限定されず、例えば、有機金属化合物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成することができる。もちろん、圧電体層70の製造方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法やスパッタリング法等を用いてもよい。
(実施例)
圧電体層70の酸素欠陥層71の厚みを調整し、圧電体層70に内部電界の偏りを設けた圧電素子300を形成した。圧電体層70の形成方法としては、ゾル−ゲル法により形成した。具体的には、(100)面のシリコン単結晶基板からなる流路形成基板10上に厚さが1000nmの二酸化シリコン(SiO)からなる弾性膜50を形成し、弾性膜50上に厚さが500nmの酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜55を形成する。そして、絶縁体膜55上に白金(Pt)とイリジウム(Ir)とを順次積層することで厚さ200nmの第1電極60をスパッタリング法により形成する。その後、第1電極60上に圧電体層70となる組成液を塗布する塗布工程、塗布された組成液を乾燥して圧電体前駆体膜を形成する乾燥工程、乾燥した圧電体前駆体膜を結晶化しない程度に加熱して脱脂する脱脂工程、脱脂された圧電体前駆体膜を焼成する焼成工程を、組成液を200nm塗布する毎に繰り返し行い、厚さが1.1μmの圧電体層70を形成した。各焼成工程では、酸素が20%の雰囲気下で、780℃で30秒の加熱を3回行った。また、圧電体層70上には、厚さが200nmのイリジウム(Ir)からなる第2電極80をスパッタリング法により形成した。
(比較例)
圧電体層70の焼成工程において、酸素100%の雰囲気下で、700℃で60秒間の加熱を1回行った以外、実施例と同じ構成及び製造方法とした。
(試験例)
実施例及び比較例の圧電体層70の第2電極80側の酸素量をエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX:Energy Dispersive X-ray Fluorescence Spectrometer)によって相対比較した。酸素欠陥量を比較する具体的な位置Xは、第2電極80との界面から50nm圧電体層70側に入った位置である。この位置を第2電極界面側の組成を表す位置とする。そして、圧電体層70の厚さの中心部分の酸素量を基準(1.0)とし、位置Xでの酸素量の信号強度をOxとする。このOxを実施例と比較例とで相対比較する。具体的には下記表1に比較例のOxを100%とした場合の実施例のOxを百分率の相対値の結果を示す。
また、実施例及び比較例の圧電体層70について、透過電子顕微鏡を用いて、強度輸送方程式による電子線の位相計測と、それに基づいた電場計測とにより内部電界と分極モーメントのz方向の成分(残留分極モーメント)とを測定した。
さらに、実施例及び比較例の圧電体層70について、圧電体層70の面内方向の格子定数(a軸)と、厚さ方向の格子定数(b軸)を測定した。格子定数の測定は、X線回折法(XRD)によって測定したX線の回折ピークから測定した。
また、実施例及び比較例の圧電素子70について、上限電圧30V、下限電圧−2V、50kHzの矩形波を印加し、圧電素子70の変位量をレーザー変位計で測定した。これらの結果を下記表1に示す。
Figure 2010089470
表1に示すように、実施例の圧電体層70は、第2電極80側の酸素量が少ない(酸素欠陥量が多い)のに対して、比較例の圧電体層70は、厚さ方向において酸素量は均一となっている。
このように酸素欠陥層71を設けたことにより、実施例の圧電体層70では内部電界がEup_total>Edown_totalと第2電極80側に偏っているのに対して、比較例の圧電体層70では、内部電界がEup_total=Edown_totalとなっており第1電極60側又は第2電極80側の何れの方向にも内部電界が偏っていない。また、実施例の圧電体層70の分極モーメントの大きさは、Pdown>Pupとなり、したがって分極モーメントの大きさは第1電極60側に偏っている。これに対して、比較例の圧電体層70では、Pdown=Pupとなっており、第1電極60側及び第2電極80側の何れの方向にも分極モーメントの大きさが偏っていない。
そして、実施例の内部電界が第2電極80側に偏った圧電体層70を有する圧電素子300では、変位量が430nmと、比較例に対して大きな変位量が得られた。
この現象は1つの要因として、分極モーメントがピニングされることによる圧電素子300の変異低下を抑えることができたためだと考えられる。圧電素子300に電圧を印加した際、その上限電圧では圧電体層70のほとんどの領域で、分極モーメントのZ方向成分は印加した電圧のベクトル方向に向く。しかし、印加電圧が0V付近に低下すると、圧電体層70の反電界により、圧電体層70の一部領域で分極反転が起こり始める。そして、この印加電圧とは逆方向に反転した分極モーメントに対して分極ピニングが発生する場合がある。この異常反転領域は、圧電変位を低下させる抵抗勢力として寄与するが、実施例のように、分極モーメントの大きさを予め片側に偏らせておくことで、逆方向にピニングされた領域の分極モーメントの値を小さくでき、圧電変位の低下を抑えることができる。この結果、高い変位量が得られるものと考えられる。
つまり、圧電体層70の内部電界が第1電極60側又は第2電極80側に偏ることで、変位特性に優れた、すなわち、低い駆動電圧で大きな変位量を得ることができる。
加えて、実施例及び比較例の格子定数(a軸、b軸)は同じであるため、この実施例及び比較例においては、格子定数や組成比による内部電界の方向(分極モーメントの方向)の変化は現れておらず、酸素欠陥層71の有無や厚さの調整によって内部電界の方向を変化させているものの、もちろん、これに限られたものではなく、組成比や格子定数を調整することや、それらを複合させることにより、内部電界の方向(分極モーメントの方向)を変化させることもできる。
また、第2電極80は、例えば、厚さが200nmのイリジウム(Ir)からなる。この第2電極80は、圧電素子300の個別電極として機能する。また、第2電極80には、インク供給路14側の端部近傍から引き出され、絶縁体膜55上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、第1電極60、絶縁体膜55及びリード電極90上には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このリザーバ部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。また、流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、リザーバ部31のみをリザーバとしてもよい。さらに、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、絶縁体膜55等)にリザーバ100と各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設けるようにしてもよい。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
また、保護基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路110が固定されている。この駆動回路110としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路110とリード電極90とは、ボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線110aを介して電気的に接続されている。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、比較的硬質の材料で形成されている。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部のインク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路110からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、第1電極60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、流路形成基板10として、シリコン単結晶基板を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、結晶面方位が(100)面、(110)面等のシリコン単結晶基板を用いるようにしてもよく、また、SOI基板、ガラス等の材料を用いるようにしてもよい。
また、上述した実施形態1では、圧電体層70の内部電界が第2電極80側に偏ったものを例示したが、もちろん、圧電体層の内部電界は、第1電極60側に偏っていてもよい。
さらに、上述したインクジェット式記録ヘッドIは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図5は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図5に示すインクジェット式記録装置IIにおいて、インクジェット式記録ヘッドIを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
また、インクジェット式記録装置IIには、図示しない駆動手段が設けられている。ここで、インクジェット式記録装置IIの制御構成について説明する。なお、図6は、本実施形態のインクジェット式記録装置IIの制御構成を示すブロック図である。
インクジェット式記録装置は、図6に示すように、プリンタコントローラ111とプリントエンジン112とから概略構成されている。プリンタコントローラ111は、外部インターフェース113(以下、外部I/F113という)と、各種データを一時的に記憶するRAM114と、制御プログラム等を記憶したROM115と、CPU等を含んで構成した制御部116と、クロック信号を発生する発振回路117と、インクジェット式記録ヘッドIへ供給するための駆動信号を発生する駆動信号発生回路119と、駆動信号や印刷データに基づいて展開されたドットパターンデータ(ビットマップデータ)等をプリントエンジン112に送信する内部インターフェース120(以下、内部I/F120という)とを備えている。
外部I/F113は、例えば、キャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータ等によって構成される印刷データを、図示しないホストコンピュータ等から受信する。また、この外部I/F113を通じてビジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)が、ホストコンピュータ等に対して出力される。RAM114は、受信バッファ121、中間バッファ122、出力バッファ123、及び、図示しないワークメモリとして機能する。そして、受信バッファ121は外部I/F113によって受信された印刷データを一時的に記憶し、中間バッファ122は制御部116が変換した中間コードデータを記憶し、出力バッファ123はドットパターンデータを記憶する。なお、このドットパターンデータは、階調データをデコード(翻訳)することにより得られる印字データによって構成してある。
駆動信号発生回路119は、本発明の駆動信号発生手段に相当し、駆動信号COMを発生する。そして、駆動信号COMは、インクを吐出させるように圧電素子300を駆動(吐出駆動)する吐出パルスを1記録周期内に有する信号であり、記録周期T毎に繰り返し発生される。
また、ROM115には、各種データ処理を行わせるための制御プログラム(制御ルーチン)の他に、フォントデータ、グラフィック関数等を記憶させてある。制御部116は、受信バッファ121内の印刷データを読み出すと共に、この印刷データを変換して得た中間コードデータを中間バッファ122に記憶させる。また、中間バッファ122から読み出した中間コードデータを解析し、ROM115に記憶させているフォントデータ及びグラフィック関数等を参照して、中間コードデータをドットパターンデータに展開する。そして、制御部116は、必要な装飾処理を施した後に、この展開したドットパターンデータを出力バッファ123に記憶させる。
そして、インクジェット式記録ヘッドIの1行分に相当するドットパターンデータが得られたならば、この1行分のドットパターンデータは、内部I/F120を通じてインクジェット式記録ヘッドIに出力される。また、出力バッファ123から1行分のドットパターンデータが出力されると、展開済みの中間コードデータは中間バッファ122から消去され、次の中間コードデータについての展開処理が行われる。
プリントエンジン112は、インクジェット式記録ヘッドIと、紙送り機構124と、キャリッジ機構125とを含んで構成してある。紙送り機構124は、紙送りモータとプラテン8等から構成してあり、記録紙等の記録シートSをインクジェット式記録ヘッドIの記録動作に連動させて順次送り出す。即ち、この紙送り機構124は、記録シートSを副走査方向に相対移動させる。
キャリッジ機構125は、インクジェット式記録ヘッドIを搭載可能なキャリッジ3と、このキャリッジ3を主走査方向に沿って走行させるキャリッジ駆動部とから構成してあり、キャリッジ3を走行させることによりインクジェット式記録ヘッドIを主走査方向に移動させる。なお、キャリッジ駆動部は、上述したように駆動モータ6及びタイミングベルト7等で構成されている。
インクジェット式記録ヘッドIは、副走査方向に沿って多数のノズル開口21を有し、ドットパターンデータ等によって規定されるタイミングで各ノズル開口21から液滴を吐出する。そして、このようなインクジェット式記録ヘッドIの圧電素子300には、図示しない外部配線を介して電気信号、例えば、駆動信号COMや印字データ(SI)等が供給される。
なお、このように構成されるプリンタコントローラ111及びプリントエンジン112では、プリンタコントローラ111と、駆動信号発生回路119から出力された所定の駆動波形を有する駆動信号を選択的に圧電素子300に入力するラッチ132、レベルシフタ133及びスイッチ134等を有する駆動回路110とが圧電素子300に所定の駆動信号を印加する駆動手段となる。
また、これらのシフトレジスタ131、ラッチ132、レベルシフタ133、スイッチ134及び圧電素子300は、それぞれ、インクジェット式記録ヘッドIの各ノズル開口21毎に設けられており、これらのシフトレジスタ131、ラッチ132、レベルシフタ133及びスイッチ134は、駆動信号発生回路119が発生した駆動信号COMから駆動パルスを生成する。ここで、駆動パルスとは実際に圧電素子300に印加される印加パルスのことである。
ここで、駆動パルスの一例を図7に示す。なお、図7は、駆動パルスを示す。駆動パルス200は、図7に示すように、第1電極60を基準電位V0として、第2電極80に印加されるものである。駆動パルス200は、駆動電位Vを基準電位V0よりも高い第1電位V1から、この第1電位V1よりも高い第2電位V2まで上昇させて圧力発生室12の容積を収縮させる収縮工程400と、第2電位V2を所定の期間保持する第1保持工程401と、駆動電位Vを第2電位V2から第1電位V1よりも低く、且つ基準電位V0よりも低い第3電位V3まで降下させて圧力発生室12の容積を膨張させる膨張工程402と、第3電位V3を所定の期間保持する第2保持工程403と、駆動電位Vを第3電位V3から第1電位V1まで上昇させる工程404とで構成されている。
そして、このような駆動パルス200が圧電素子300に出力されると、収縮工程400によって圧電素子300が圧力発生室12の容積を収縮させる方向に変形することにより、ノズル開口21のメニスカスが押し出される。次いで、膨張工程402によって圧電素子300が圧力発生室12の容積を膨張させる方向に変形して、ノズル開口21のメニスカスが圧力発生室12側に急激に引き込まれることで、ノズル開口21から押し出されていたインクが千切れ、ノズル開口21から吐出されたインクがインク滴となって飛翔する。すなわち、この駆動パルス200は、いわゆる引き打ち式のものである。
なお、上述した実施形態1では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
また、本発明は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに搭載される圧電素子に限られず、他の装置に搭載される圧電素子にも適用することができる。
実施形態1に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 実施形態1に係る内部電界と分極モーメントとを示すグラフである。 実施形態1に係る内部電界と分極モーメントとを示す断面図である。 一実施形態に係る記録装置の概略構成を示す図である。 一実施形態に係る制御構成を示すブロック図である。 一実施形態に係る駆動パルスを示す波形図である。
符号の説明
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 II インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 15 連通路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 リザーバ部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 第1電極、 70 圧電体層、 80 第2電極、 90 リード電極、 100 リザーバ、 110 駆動回路、 300 圧電素子、 E0、E1、E2 内部電界、 P1、P2 分極モーメント

Claims (8)

  1. 液滴を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成された流路形成基板と、
    第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極と、を備え、前記圧力発生室に圧力を発生させて前記ノズル開口から液滴を吐出する圧電素子と、を具備し、
    前記第1電極及び前記第2電極に電圧が印加されていない状態において、前記圧電体層の内部電界が、前記第1電極側又は第2電極側に偏っていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 液滴を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が設けられた流路形成基板と、
    第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極と、を備え、前記圧力発生室に圧力を発生させて前記ノズル開口から液滴を吐出する圧電素子と、を具備し、
    前記圧電体層の残留分極モーメントが、前記第1電極側又は第2電極側に偏っていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  3. 前記圧電体層は、ペロブスカイト構造を有し、鉛、ジルコニウム及びチタンを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記圧電体層は単斜晶系構造を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  5. 前記圧電体層は、(100)面に優先配向していることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置。
  7. 基板上に変異可能に設けられて、第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極と、を備える圧電素子を具備し、
    前記第1電極及び前記第2電極に電圧が印加されていない状態において、前記圧電体層の内部電界が、前記第1電極側又は第2電極側に偏っていることを特徴とするアクチュエータ装置。
  8. 基板上に変異可能に設けられて、第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極と、を備える圧電素子を具備し、
    前記圧電体層の残留分極モーメントが、前記第1電極側又は第2電極側に偏っていることを特徴とするアクチュエータ装置。
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