JP2013254966A - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに圧電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】クラックや膜剥がれ等の破壊を防止すると共に、圧電特性を向上することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに圧電素子を提供する。
【解決手段】ノズル開口21に連通する圧力発生室12と、第1電極60と、該第1電極60上に形成された圧電体層70と、該圧電体層70の前記第1電極60とは反対側に形成された第2電極80と、を備え、前記圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧電素子300と、を具備し、前記第1電極60は白金及び酸化チタンを含み、該酸化チタンのルチル構造の結晶形の部分を76.5mol%以上とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに第1電極、圧電体層及び第2電極を具備する圧電素子に関する。
液体噴射ヘッドに用いられる圧電素子としては、電気的機械変換機能を呈する圧電材料、例えば、結晶化した誘電材料からなる圧電体層を、2つの電極で挟んで構成されたものがある。このような圧電素子は、撓み振動モードのアクチュエータ装置として液体噴射ヘッドに搭載される。なお、液体噴射ヘッドの代表例としては、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴として吐出させるインクジェット式記録ヘッドがある。
また、インクジェット式記録ヘッドに搭載される圧電素子は、例えば、振動板の表面全体に亘って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)
特開2003−127366号公報(第4〜7頁、第1〜4図)
しかしながら、圧電素子は、その駆動により膜剥がれやクラックが発生する可能性があるという問題がある。また、消費電力抑制の要望から、小さな駆動電圧で重量の大きなインク滴を吐出できる液体噴射ヘッドが求められている。
なお、このような問題は、インクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも同様に存在する。また、液体噴射ヘッドに用いられる圧電素子に限定されず、他のデバイスに用いられる圧電素子においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、クラックや膜剥がれ等の破壊を防止すると共に、圧電特性を向上することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに圧電素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室と、第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極と、を備え、前記圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧電素子と、を具備し、前記第1電極は白金及び酸化チタンを含み、該酸化チタンは、ルチル構造の結晶形の部分が76.5mol%以上であることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、第1電極の酸化チタンの熱膨張による内部応力を低減すると共に、格子定数を白金や圧電体層と揃えて、クラックや膜剥がれが発生するのを防止することができる。また、酸化チタンの比誘電率を比較的高くすることができるため、圧電体層に大きな電圧を印加することができる。これにより、小さい駆動電圧で大きな圧電変位を得ることができる。
ここで、前記第1電極が酸化イリジウムを含むことが好ましい。これによれば、圧電体層を形成する際の高温の熱処理により圧電体層を構成する成分が第1電極及びその下地側に拡散するのを防止することができる。
また、前記圧電体層は、鉛、ジルコニウム及びチタンを含むことが好ましい。これによれば、所望の圧電特性を有する圧電体層を容易に且つ高精度に形成することができる。
また、前記酸化チタンは、ルチル構造が90mol%以上であることが好ましい。これによれば、さらに酸化チタンの熱膨張による応力集中を低減すると共に、格子定数を揃えて、且つ比誘電率を低くすることができる。
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、耐久性及び吐出特性に優れた液体噴射装置を実現できる。
また、本発明の他の態様は、第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極とを具備し、前記第1電極は白金及び酸化チタンを含み、該酸化チタンは、ルチル構造の結晶形の部分が76.5mol%以上であることを特徴とする圧電素子にある。
かかる態様では、第1電極の酸化チタンの熱膨張による内部応力を低減すると共に、格子定数を白金や圧電体層と揃えて、クラックや膜剥がれが発生するのを防止することができる。また、酸化チタンの比誘電率を比較的高くすることができるため、圧電体層に大きな電圧を印加することができる。これにより、小さい駆動電圧で大きな圧電変位を得ることができる。
実施形態1に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの算出結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る記録装置の概略構成を示す図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面図である。
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12がその幅方向(短手方向)に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、インク供給路14と連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、連通路15の一端には、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられている。
インク供給路14は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12より小さい断面積を有する。例えば、本実施形態では、インク供給路14は、リザーバ100と各圧力発生室12との間の圧力発生室12側の流路を幅方向に絞ることで、圧力発生室12の幅より小さい幅で形成されている。なお、このように、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路15は、インク供給路14の圧力発生室12とは反対側に連通し、インク供給路14の幅方向(短手方向)より大きい断面積を有する。本実施形態では、連通路15を圧力発生室12と同じ断面積で形成した。
すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12と、圧力発生室12の短手方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の短手方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路15とが複数の隔壁11により区画されて設けられている。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの第1電極60と、厚さが例えば、約1.1μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの第2電極80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施形態では、第1電極60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエータ装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び第1電極60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
第1電極60は、酸化チタン(TiOx)及び白金(Pt)を含むものである。本実施形態では、第1電極60は、さらに、酸化イリジウム(IrOx)を有する。なお、酸化チタンは、詳しくは後述するが、例えば、第1電極60と下地である絶縁体膜55との密着力を向上させるための密着層として設けられている。また、白金は、熱処理により圧電体層70を形成する際に、同時に高温の熱処理が行われても導電性を喪失しない材料として選定される。また、酸化イリジウムは、圧電体層70を形成する際の高温の熱処理により圧電体層70を構成する成分が第1電極60及びその下地側に拡散するのを防止するためのものである。
このような第1電極60は、酸化チタン、白金及び酸化イリジウム等の材料が、合金化又は混合化されたものである。合金化とは、金属元素と他の金属元素とが金属結合している状態を言い、混合化とは、金属元素と他の金属元素とが金属結合していない状態を言う。
ここで、本発明の第1電極60の酸化チタン(TiOx)は、ルチル構造の結晶形の部分が、76.5mol%以上である。ちなみに、酸化チタンのルチル構造の結晶形の部分が76.5mol%以上とは、酸化チタンの結晶形の全体に対して、ルチル構造の部分が76.5mol%以上であることを言う。したがって、第1電極60に含まれるルチル構造以外のその他の構造であるアナターゼ構造やブルカイト構造の結晶形の部分は、23.5mol%以下となっている。もちろん、酸化チタンは、結晶形以外に非晶質の部分を含むようにしてもよい。
なお、酸化チタンの結晶形の違いによる熱膨張係数、比誘電率及び格子定数を下記表1に示す。また、白金及び圧電体層70(PZT)の格子定数についても下記表1に示す。
Figure 2013254966
表1に示すように、酸化チタンは、結晶形がアナターゼ構造の場合、格子定数がc軸方向に大きいため、この格子定数(9.514Å)では、白金の格子定数(3.9231Å)や、圧電体層70の格子定数(4.05Å)との整合性が悪い。
これに対して、ルチル構造の酸化チタンは、c軸方向の格子定数が2.959Åと、白金や圧電体層70の格子定数に近く、整合性がよい。
また、アナターゼ構造の酸化チタンの熱膨張係数は、結晶軸(a軸、c軸)方向によって2倍以上異なっており、アナターゼ構造周辺に大きな応力不均一性を与えてしまい、クラックの発生や膜剥がれが生じてしまう。
これに対して、ルチル構造の酸化チタンの熱膨張係数は、結晶軸(a軸、c軸)方向に大きな差がなく、ルチル構造周辺の応力は均一となる。したがって、クラックの発生や膜剥がれなどを低減できる。
さらに、アナターゼ構造の酸化チタンは、ルチル構造の酸化チタンに比べて比誘電率が半分以下となっている。このため、圧電体層70と第1電極60との界面に存在する酸化チタンは、圧電体層70を駆動する際に電圧が印加されるのに伴い、酸化チタン自身も電圧が印加される。このとき、酸化チタンの比誘電率が低いと、印加された電圧の多くが酸化チタンに集中し、圧電体層70に所望の電圧を印加することができなくなる。これに対して、酸化チタンの比誘電率が高いと、酸化チタンに印加される電圧が低くなり、圧電体層70に印加される電圧が大きくなり、少ない駆動電圧で大きな圧電変位量を得ることができる、良好なデバイスとすることができる。したがって、比誘電率から比較しても酸化チタンは、ルチル構造が好適である。
そして、第1電極60に含まれる酸化チタンは、ルチル構造の結晶形の部分が、76.5mol%以上となっている。これは、酸化チタンの破壊に至る応力は、0.07〜0.1GPaであるため(文献;CRC Materials Science and Engineering Handbook, P.55より)、酸化チタンのルチル構造とアナターゼ構造との混合比(mol%)の変化と、熱膨張により発生する応力との関係を算出すると図3に示す結果となる。
すなわち、図3に示すように、酸化チタンは、アナターゼ構造の結晶形の部分が23.5mol%よりも多くなると、引っ張り応力が0.07GPaよりも大きくなってしまう。このため、酸化チタンの破壊を防止するためには、引っ張り応力を0.07GPa以下となるように、アナターゼ構造の結晶形の部分を23.5mol%以下とする。したがって、酸化チタンは、ルチル構造の結晶形の部分を76.5mol%以上とすることで、熱膨張により発生する応力を低減させて、クラックや膜剥がれなどの破壊を防止することができる。もちろん、酸化チタンは、全てルチル構造の結晶形、すなわち、ルチル構造の結晶形の部分が100mol%とすることで、より好適となる。なお、酸化チタンのルチル構造の結晶形が100mol%とは、高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)を用いて測定した結果の100mol%のことを言う。ここで、高分解能透過型電子顕微鏡を用いて酸化チタンの結晶形を測定しても、10%以下の結晶形の測定は不可能である。したがって、ここで言う酸化チタンのルチル構造の結晶形の部分がルチル構造のみからなるとは、実質的にはルチル構造の結晶形の部分が90mol%〜100mol%のことを言う。
このような結晶形の酸化チタンを有する第1電極60は、例えば、圧電体層70を形成する前に、絶縁体膜55上にチタン(Ti)からなる密着層と、白金(Pt)からなる白金層と、イリジウム(Ir)からなるイリジウム層とを順次積層形成した後、圧電体層70を熱処理により形成する際に密着層、白金層及びイリジウム層が同時に加熱処理されることにより形成することができる。すなわち、密着層のチタンが、第1電極60と絶縁体膜55との境界部分に残留して酸化チタンとなると共に、圧電体層70側(イリジウムが酸化することで形成された酸化イリジウムの拡散防止層側)に移動して熱酸化されて酸化チタンとなる。
なお、チタンからなる密着層の厚さを厚くし過ぎると、圧電体層70を熱処理により形成した際に、チタンに酸化されない領域ができてしまう可能性があるため、酸化チタンを圧電体層70の熱処理によって形成する場合には、50nm以下とするのが好ましい。
ここで、一般的に、ブルカイト構造の酸化チタンは、650℃以上でルチル構造に転移する。また、アナターゼ構造の酸化チタンは、900℃以上でルチル構造に転移する。したがって、圧電体層70の熱処理が、例えば、600〜800℃の場合、ルチル構造、アナターゼ構造、ブルカイト構造の3種類の結晶構造が混在したものとなる。そして、圧電体層70の熱処理によって、同時に加熱してルチル構造の結晶形の部分が76.5mol%以上の酸化チタンを形成するためには、熱処理前に形成するチタンからなる密着層を、例えば、高レートのスパッタリング法により疎に形成することで、比較的低温で酸化され易く、且つルチル構造で形成することができる。
もちろん、第1電極60に含まれる酸化チタンは、圧電体層70の熱処理によってチタンを加熱して形成する方法に限定されず、例えば、第1電極60を形成する際に、酸化チタンを直接積層形成するようにしてもよい。このような酸化チタンは、例えば、RFスパッタリング法により直接形成することができる。
また、チタンからなる密着層の熱処理は、圧電体層70の熱処理とは別に行ってもよい。すなわち、密着層、白金層及びイリジウム層等を積層形成した後、圧電体層70を形成する前にこれらの各層を加熱することで酸化チタン及び白金を含む第1電極60を形成するようにしてもよい。
また、圧電体層70は、第1電極60上に形成される分極構造を有する酸化物の圧電材料からなるペロブスカイト構造の結晶膜である。圧電体層70としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電体材料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケル又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加したもの等が好適である。具体的には、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、ジルコニウム酸鉛(PbZrO3)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La),TiO3)ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O3)又は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O3)等を用いることができる。圧電体層70の厚さについては、製造工程でクラックが発生しない程度に厚さを抑え、且つ十分な変位特性を呈する程度に厚く形成する。例えば、本実施形態では、圧電体層70を1〜2μm前後の厚さで形成した。
さらに、圧電素子300の個別電極である各第2電極80には、インク供給路14側の端部近傍から引き出され、絶縁体膜55上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、第1電極60、弾性膜50及びリード電極90上には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このリザーバ部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
また、保護基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路120が固定されている。この駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極90とは、ボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、第1電極60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、第1電極60が、白金、酸化チタン及び酸化イリジウムが合金化又は混合化されたものを例示したが、各材料が主成分となる層が積層された構成であってもよい。このような第1電極60としては、例えば、絶縁体膜55側から、酸化チタンを主成分とする密着層と、白金を主成分とする白金層と、酸化イリジウムを主成分とする拡散防止層と、酸化チタンを主成分とする結晶種層とが積層された構成のものなどが挙げられる。このような構成の場合、例えば、上述した酸化チタンの比誘電率については、圧電体層70側に設けられた結晶種層が大きく影響するものである。
また、上述した実施形態1では、流路形成基板10として、結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、結晶面方位が(100)面のシリコン単結晶基板を用いるようにしてもよく、また、SOI基板、ガラス等の材料を用いるようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態1では、基板(流路形成基板10)上に第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を順次積層した圧電素子300を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電素子にも本発明を適用することができる。
また、これら実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図4は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図4に示すインクジェット式記録装置IIにおいて、インクジェット式記録ヘッドIを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
なお、上述した実施形態1では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
また、本発明は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに搭載される圧電素子に限られず、他の装置に搭載される圧電素子にも適用することができる。
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 II インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 リザーバ部、 32 圧電素子保持部、 40 コンプライアンス基板、 60 第1電極、 70 圧電体層、 80 第2電極、 90 リード電極、 100 リザーバ、 120 駆動回路、 121 接続配線、 300 圧電素子。
また、前記酸化チタンは、ルチル構造が90mol%以上であることが好ましい。これによれば、さらに酸化チタンの熱膨張による応力集中を低減すると共に、格子定数を揃えて、且つ比誘電率を低くすることができる。また、前記液体噴射ヘッドは、第1電極と、前記第1電極上に形成された圧電体層と、前記圧電体層上に形成された第2電極とを有する圧電素子を具備し、前記第1電極は白金、及び酸化チタンを含み、前記酸化チタンに含まれるアナターゼ構造の割合は、23.5mol%以下であることが好ましい。これによれば、白金、圧電体層、及び酸化チタン間の格子定数の値が近くなり、整合性がよくなる。

Claims (6)

  1. ノズル開口に連通する圧力発生室と、
    第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極と、を備え、前記圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧電素子と、を具備し、
    前記第1電極は白金及び酸化チタンを含み、
    該酸化チタンは、ルチル構造の結晶形の部分が76.5mol%以上であることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記第1電極が酸化イリジウムを含むことを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記圧電体層は、鉛、ジルコニウム及びチタンを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記酸化チタンは、ルチル構造が90mol%以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
  6. 第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極とを具備し、
    前記第1電極は白金及び酸化チタンを含み、
    該酸化チタンは、ルチル構造の結晶形の部分が76.5mol%以上であることを特徴とする圧電素子。
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