JP2012076387A - 液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び圧電アクチュエーター - Google Patents

液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び圧電アクチュエーター Download PDF

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勝人 島田
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Abstract

【課題】変位量を向上して、剥離等の破壊の発生を抑制することができる液体噴射ヘッド
、液体噴射装置及び圧電アクチュエーターを提供することを目的とする。
【解決手段】ノズル開口に連通する圧力発生室12が形成された流路形成基板10と、該
流路形成基板10に設けられて下電極60、該下電極60上に形成された圧電体層70及
び該圧電体層60上に形成された上電極80を有する圧電アクチュエーター300と、を
具備し、前記上電極80が複数の電極層81、82で構成され、当該上電極80を構成す
る1つの前記電極層81が圧縮応力を有すると共に、当該上電極80を構成するその他の
電極層82は、当該圧縮応力を有する前記電極層81の圧縮応力よりも小さい圧縮応力を
有し、当該上電極80全体の内部応力が圧縮応力を有する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び圧電アク
チュエーターに関する。
液体噴射ヘッド等に用いられる圧電素子は、電気機械変換機能を呈する圧電材料、例え
ば、結晶化した誘電材料からなる圧電体層を、2つの電極で挟んで構成されたものがある
。なお、液体噴射ヘッドの代表例としては、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連
通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力
発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘ
ッド等がある。また、インクジェット式記録ヘッドに搭載される圧電素子としては、例え
ば、振動板の表面全体に亘って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料
層をリソグラフィー法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて圧力発生室毎に独立
するように圧電素子を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−163387号公報
しかしながら、圧電アクチュエーターの上電極の内部応力が比較的大きな圧縮応力だと
、圧電体層と上電極との間で剥離等の破壊が発生しやすいという問題がある。
また、圧電アクチェーターの上電極の内部応力が比較的大きな圧縮応力だと、圧電体層
の変形を阻害し、変位量が低下してしまうという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑み、変位量を向上して、剥離等の破壊の発生を抑制するこ
とができる液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び圧電アクチュエーターを提供することを目
的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室が形成された流
路形成基板と、該流路形成基板に設けられて下電極、該下電極上に形成された圧電体層及
び該圧電体層上に形成された上電極を有する圧電アクチュエーターと、を具備し、前記上
電極が複数の電極層で構成され、当該上電極を構成する1つの前記電極層が圧縮応力を有
すると共に、当該上電極を構成するその他の電極層は、当該圧縮応力を有する前記電極層
の圧縮応力よりも小さい圧縮応力を有し、当該上電極全体の内部応力が圧縮応力を有する
ことを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、上電極の内部応力を比較的小さい圧縮応力にすることができるため、
同じ駆動電圧で大きな変位量を得ることができると共に、圧電体層と上電極との剥離等の
破壊を抑制することができる。
ここで、前記上電極が前記電極層として、前記圧電体層に接する第1上電極と、該第1
上電極上に設けられた第2上電極と、を具備し、前記第1上電極が、圧縮応力を有し、前
記第2上電極が、前記第1上電極よりも小さい圧縮応力を有することが好ましい。これに
よれば、圧電体層とは反対側の第2上電極の内部の圧縮応力を小さく又は引張応力にする
ことで、圧電アクチュエーターの変形を阻害する力をさらに弱めて、圧電アクチュエータ
ーの変位量を向上することができる。
また、前記第1上電極がイリジウムを主成分とする材料からなることが好ましい。これ
によれば、圧電体層に鉛が含まれている場合、第1上電極が鉛の拡散防止層として機能し
、圧電体層と上電極との間に鉛の異相が形成されるのを抑制して、さらに剥離等の破壊を
抑制することができる。
また、前記第2上電極がモリブデン、タンタル、ニッケル、銀、白金、クロム、ニオブ
、イリジウムからなる群から選択される材料を主成分とする材料からなることが好ましい
。これによれば、第1上電極よりも圧縮応力が小さい第2上電極を容易に形成することが
できる。
さらに本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液
体噴射装置にある。
かかる態様では、圧電アクチュエーターの破壊を抑制して、液体噴射特性を向上するこ
とができる液体噴射装置を実現できる。
また、本発明の他の態様は、下電極と、該下電極上に形成された圧電体層と、該圧電体
層上に形成された上電極と、を具備し、前記上電極が複数の電極層で構成され、当該上電
極を構成する1つの前記電極層が圧縮応力を有すると共に、当該上電極を構成するその他
の電極層は、当該圧縮応力を有する前記電極層の圧縮応力よりも小さい圧縮応力を有する
ことを特徴とする圧電アクチュエーターにある。
かかる態様では、上電極の内部応力を比較的小さい圧縮応力にすることができるため、
同じ駆動電圧で大きな変位量を得ることができると共に、圧電体層と上電極との剥離等の
破壊を抑制することができる。
実施形態1に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの要部拡大断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの要部拡大断面図である。 一実施形態に係る記録装置の概略構成を示す図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録
ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面
図であり、図3及び図4は、要部拡大断面図である。
本実施形態の流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなり、その一方の面には酸
化シリコンを主成分とする弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、複数の圧力発生室12が隔壁11によって区画されて、その幅
方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域
には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に
設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後
述する保護基板のリザーバー部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となる
リザーバー100の一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅
で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に
保持している。なお、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14
を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流
路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。
なお、本実施形態では、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク
供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられていることになる。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反
対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や
熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラ
スセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等からなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、弾性膜50が形成され、
この弾性膜50上には、酸化ジルコニウムを主成分とする絶縁体膜55が形成されている
。さらに、この絶縁体膜55上には、下電極膜60と、圧電体層70と、上電極膜80と
、が積層形成されて圧電アクチュエーター300を構成している。ここで、圧電アクチュ
エーター300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一
般的には、圧電アクチュエーター300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極
及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここでは
パターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の
印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。
本実施形態では、図2及び図3に示すように、下電極膜60を複数の圧力発生室12に
相対向する領域に亘って連続して設けることで、複数の圧電アクチュエーター300の共
通電極とし、上電極膜80及び圧電体層70を各圧電アクチュエーター300毎に切り分
けることで、上電極膜80を各圧電アクチュエーター300の個別電極としている。すな
わち、圧電体能動部320は、パターニングされた下電極膜60及び上電極膜80によっ
て、圧力発生室12に相対向する領域にのみ設けられていることになる。
また、本実施形態では、下電極膜60を圧電アクチュエーター300の共通電極とし、
上電極膜80を圧電アクチュエーター300の個別電極としているが、駆動回路や配線の
都合でこれを逆にしても支障はない。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55
及び下電極膜60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例え
ば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみが振動板として作用する
ようにしてもよい。また、圧電アクチュエーター300自体が実質的に振動板を兼ねるよ
うにしてもよい。
圧電体層70は、下電極膜60上に形成される電気機械変換作用を示す圧電材料、特に
圧電材料の中でも一般式ABOで示されるペロブスカイト構造を有する金属酸化物から
なる。圧電体層70としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電体材
料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケル又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加した
もの等が好適である。具体的には、チタン酸鉛(PbTiO)、チタン酸ジルコン酸鉛
(Pb(Zr,Ti)O)、ジルコニウム酸鉛(PbZrO)、チタン酸鉛ランタン
((Pb,La),TiO)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr
,Ti)O)又は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti
)(Mg,Nb)O)等を用いることができる。圧電体層70の厚さについては、製造
工程でクラックが発生しない程度に厚さを抑え、且つ十分な変位特性を呈する程度に厚く
形成する。圧電体層70は、1〜5μm前後の厚さが好ましく、本実施形態では、1.3
μmで形成した。また、圧電体層70の製造方法としては、例えば、ゾル−ゲル法、MO
D(Metal-Organic Decomposition)法、スパッタリング法又はレーザーアブレーション
法等のPVD(Physical Vapor Deposition)法等で形成することができる。
上電極膜80は、金属又は金属酸化物からなる複数の電極層が積層されて構成されたも
のである。本実施形態では、上電極膜80は、電極層として、圧電体層70側に設けられ
た第1上電極膜81と、第1上電極膜81上に設けられた第2上電極膜82と、を具備す
る。
第1上電極膜81は、導電性を有し、内部応力が圧縮応力を有する材料、例えば、イリ
ジウム(Ir)を主成分とする材料が挙げられる。
また、第2上電極膜82は、導電性を有し、第1上電極膜81の圧縮応力よりも低い圧
縮応力を有する材料、例えば、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni
)、銀(Ag)、白金(Pt)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、イリジウム(Ir)
を主成分とする材料が挙げられる。本実施形態では、第2上電極膜82として内部応力が
引張応力のニッケル(Ni)を用いた。ここで、第2上電極膜82が第1上電極膜81の
圧縮応力よりも低い圧縮応力を有するとは、第1上電極膜81の圧縮応力よりも小さい圧
縮応力を有する場合と、内部応力として引張応力(圧縮応力が0)の場合と、を含むもの
である。また、第2上電極膜82として、第1上電極膜81と同じ材料(例えば、イリジ
ウム)を用いたとしても、その製造方法によって内部応力は変化するものであるため特に
問題がなく、同じ材料を用いることで2つの電極層の密着性が高く、電極層を単層で用い
る場合と略同じ抵抗値とすることができる。ちなみに、例えば、イリジウムをスパッタリ
ング法によって形成する場合、スパッタリング法で成膜する際の加熱温度を高くすること
や成膜後に加熱することで、イリジウムの内部応力を引張応力とすることができる。逆に
、スパッタリング法によって成膜する際の加熱を低温とすることで、イリジウムの内部応
力を圧縮応力とすることができる。
このような第1上電極膜81と第2上電極膜82とで構成される上電極膜80は、全体
として内部応力が圧縮応力となるようになっている。すなわち、第2上電極膜82が引張
応力を有する場合であっても、第1上電極膜81の圧縮応力を完全に打ち消さない程度の
大きさである必要がある。
このように、上電極膜80を内部応力が圧縮応力の第1上電極膜81と、第1上電極膜
81の圧縮応力よりも小さい圧縮応力を有する第2上電極膜82とで構成することで、上
電極膜80の全体の圧縮応力を小さくして、圧電アクチュエーター300の変位特性を向
上することができる。すなわち、上電極膜として、第1上電極膜81のみを単層で設けた
場合、上電極膜の全体の圧縮応力が大きくなり、圧電アクチュエーター300を圧力発生
室12側が凸となるように変位させた際に、変位する方向と圧縮応力の方向とが反対向き
となるため、変位を阻害してしまう。これに対して、本実施形態では、図4(a)に示す
ように、上電極膜80が圧力発生室12側が凸となるように変位した際に、上電極膜80
の圧縮応力が比較的小さいため、変位の阻害を抑制して、同じ印加電圧で大きな変位量を
得ることができる。
また、本実施形態では、圧電体層70とは反対側に配置された第2上電極膜82の内部
応力を第1上電極膜81の内部応力よりも小さく(圧縮応力を小さく又は引張応力)にす
ることで、大きな変位量を得ることができる。すなわち、図4(b)に示すように、圧電
アクチュエーター300を圧力発生室12側に凸となるように変形させた際に、振動板か
ら最も遠い第2上電極膜82には、外部から引っ張り方向に最も大きな応力が印加される
が、第2上電極膜82の内部の圧縮応力を小さく又は引張応力とすることで、第2上電極
膜82が圧電アクチュエーター300の変位を阻害する力が弱くなり変位量を向上するこ
とができる。
また、圧電体層70の内部応力が引張応力の場合、上電極膜80として内部の圧縮応力
が比較的小さなものを用いることで、圧電体層70と上電極膜80との間で反対向きに作
用する応力が小さくなるため、圧電体層70と上電極膜80との間での層間剥離を抑制す
ることができる。ちなみに、上電極膜80の第1上電極膜81と第2上電極膜82とは金
属からなるため、たとえ引張応力の第2上電極膜82を設けたとしたとしても、密着力が
強く電極層間での層間剥離は発生し難い。
なお、上電極膜80の圧縮応力を小さくするために、上電極膜80の厚さを薄くするこ
とも考えられるが、導電性が低下すると共に、繰り返し駆動した際に上電極膜80が破壊
されてしまうという問題がある。また、上電極膜80を第2上電極膜82のみで構成して
、上電極膜80全体を引張応力にすることも考えられるが、上電極膜80を引張応力にす
ると、圧電アクチュエーター300を駆動していない状態で、圧電アクチュエーター30
0が圧力発生室12側に凸となるように変形してしまい、インク吐出特性が低下してしま
う。すなわち、上電極膜80の全体の内部応力が圧縮応力としておくことで、図4(a)
に示すように、圧電アクチュエーター300を駆動していない状態では、圧力発生室12
とは反対側に凸となるように変形させ、圧電アクチュエーター300を駆動した際に図4
(a)に示す状態から図4(b)に示す状態まで大きく変形させることができ、優れたイ
ンク吐出特性を得ることができる。
また、第1上電極膜81としてイリジウムを用いることで、第1上電極膜81が圧電体
層70に含まれる鉛の拡散防止層(鉛の上電極膜80側への拡散防止)として機能し、鉛
の異相が形成されないため、圧電アクチュエーター300を繰り返し駆動しても、上電極
膜80の破壊が発生しないと考えられる。
このような圧電アクチュエーター300の上電極膜80には、例えば、金(Au)等か
らなるリード電極90が設けられている。リード電極90は、一端部が上電極膜80に接
続されると共に、他端部が流路形成基板10のインク供給路14側まで延設され、延設さ
れた先端部は、後述する圧電アクチュエーター300を駆動する駆動回路120と接続配
線121を介して接続されている。
このような圧電アクチュエーター300が形成された流路形成基板10上、すなわち、
下電極膜60、絶縁体膜55及びリード電極90上には、リザーバー100の少なくとも
一部を構成するリザーバー部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されて
いる。このリザーバー部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧
力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部
13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバー100を構成して
いる。また、流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、リザ
ーバー部31のみをリザーバーとしてもよい。さらに、例えば、流路形成基板10に圧力
発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば
、弾性膜50、絶縁体膜55等)にリザーバーと各圧力発生室12とを連通するインク供
給路14を設けるようにしてもよい。
また、保護基板30の圧電アクチュエーター300に対向する領域には、圧電アクチュ
エーター300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられて
いる。圧電素子保持部32は、圧電アクチュエーター300の運動を阻害しない程度の空
間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例え
ば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板
10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられて
いる。そして、各圧電アクチュエーター300から引き出されたリード電極90の端部近
傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
また、保護基板30上には、並設された圧電アクチュエーター300を駆動するための
駆動回路120が固定されている。この駆動回路120としては、例えば、回路基板や半
導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極9
0とは、ボンディングワイヤー等の導電性ワイヤーからなる接続配線121を介して電気
的に接続されている。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプラ
イアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する
材料からなり、この封止膜41によってリザーバー部31の一方面が封止されている。ま
た、固定板42は、比較的硬質の材料で形成されている。この固定板42のリザーバー1
00に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザ
ーバー100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部のインク供
給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバー100からノズル開口
21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの記録信号に従い、圧力
発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾
性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより
、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
(実施例)
上述した実施形態1と同様に、第1上電極膜81として内部応力が圧縮応力(1700
MPa)のイリジウム(Ir)を10nmの厚さで形成し、第2上電極膜82として内部
応力が引張応力(300MPa)のニッケル(Ni)を40nmの厚さで形成し、これら
第1上電極膜81と第2上電極膜82とで構成される上電極膜80を設けたものを実施例
の圧電アクチュエーターとした。
(比較例)
比較のため、上電極膜として、内部応力が圧縮応力(1700MPa)のイリジウム(
Ir)を50nmの厚さで形成したものを比較例の圧電アクチュエーターとした。
(試験例)
これら実施例及び比較例の圧電アクチュエーターについて25Vの電圧を印加して、そ
の変位量を測定した。なお、変位量の測定は、レーザードップラー変位計により測定した
。この結果、実施例の圧電アクチュエーターは、変位量が530nmであったのに対し、
比較例の圧電アクチュエーターは、変位量が480nmであった。この結果から分かるよ
うに、上電極膜80として、内部応力が圧縮応力の第1上電極膜81と、内部応力が引張
応力の第2上電極膜82を設け、上電極膜80の全体の内部応力が圧縮応力である実施例
の圧電アクチュエーターは、比較例のように引張応力を有する単層の上電極膜を設けた場
合に比べて、同じ印加電圧で高い変位量を得ることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定
されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、流路形成基板10としてシリコ
ン単結晶基板を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、結晶面方位が(100)面
、(110)面等のシリコン単結晶基板を用いるようにしてもよく、また、SOI基板、
ガラス等の材料を用いるようにしてもよい。
また、上述した実施形態1では、上電極膜80として、圧電体層70に接する第1上電
極膜81と、第1上電極膜81上に設けられた第2上電極膜82とを設けるようにしたが
、特にこれに限定されず、例えば、第2上電極膜82を圧電体層70側に設けるようにし
てもよい。ただし、圧電体層70として鉛を含有する材料を用いた場合、圧電体層70に
接する電極層の材料によっては鉛の異相が形成される可能性があるため、鉛の異相が形成
されない材料、例えば、イリジウム(Ir)を用いるのが好ましい。また、上電極膜80
を構成する第1上電極膜81及び第2上電極膜82等の電極層の数は、3層以上であって
もよく、電極層の1つが圧縮応力を有し、その他の電極層が圧縮応力よりも小さい圧縮応
力を有するものであれば、高い変位量を得ることができると共に剥離等の破壊を抑制する
ことができるという効果を奏する。
また、これらのインクジェット式記録ヘッドIは、インクカートリッジ等と連通するイ
ンク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に
搭載される。図5は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図5に示すインクジェット式記録装置IIにおいて、インクジェット式記録ヘッドIを有
する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及
び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッ
ジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている
。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及び
カラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を
介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキ
ャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5
に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙
等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになって
いる。
また、上述したインクジェット式記録装置IIでは、インクジェット式記録ヘッドI(ヘ
ッドユニット1A、1B)がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示
したが、特にこれに限定されず、例えば、インクジェット式記録ヘッドIが固定されて、
紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置
にも本発明を適用することができる。
また、上述した実施形態1では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘ
ッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、イ
ンク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体
噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッ
ド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機E
Lディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴
射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。また
、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、上述した他
の液体噴射ヘッドを用いた液体噴射装置にも用いることが可能である。
さらに、本発明は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに搭載さ
れる圧電アクチュエーターに限られず、他の装置に搭載される圧電アクチュエーターにも
適用することができる。
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 II インクジェット式記録装
置(液体噴射装置)、 10 流路形成基板(基板)、 12 圧力発生室、 13 連
通部、 14 インク供給路、 15 連通路、 20 ノズルプレート、 21 ノズ
ル開口、 30 保護基板、 31 リザーバー部、 40 コンプライアンス基板、
50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電
極膜、 81 第1上電極膜(電極層)、 82 第2上電極膜(電極層)、 90 リ
ード電極、 100 リザーバー、 120 駆動回路、 300 圧電アクチュエータ

Claims (6)

  1. ノズル開口に連通する圧力発生室が形成された流路形成基板と、該流路形成基板に設け
    られて下電極、該下電極上に形成された圧電体層及び該圧電体層上に形成された上電極を
    有する圧電アクチュエーターと、を具備し、
    前記上電極が複数の電極層で構成され、当該上電極を構成する1つの前記電極層が圧縮
    応力を有すると共に、当該上電極を構成するその他の電極層は、当該圧縮応力を有する前
    記電極層の圧縮応力よりも小さい圧縮応力を有し、当該上電極全体の内部応力が圧縮応力
    を有することを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記上電極が前記電極層として、前記圧電体層に接する第1上電極と、該第1上電極上
    に設けられた第2上電極と、を具備し、
    前記第1上電極が、圧縮応力を有し、
    前記第2上電極が、前記第1上電極よりも小さい圧縮応力を有することを特徴とする請
    求項1記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記第1上電極がイリジウムを主成分とする材料からなることを特徴とする請求項1又
    は2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記第2上電極がモリブデン、タンタル、ニッケル、銀、白金、クロム、ニオブ、イリ
    ジウムからなる群から選択される材料を主成分とする材料からなることを特徴とする請求
    項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴
    射装置。
  6. 下電極と、該下電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層上に形成された上電極と、
    を具備し、
    前記上電極が複数の電極層で構成され、当該上電極を構成する1つの前記電極層が圧縮
    応力を有すると共に、当該上電極を構成するその他の電極層は、当該圧縮応力を有する前
    記電極層の圧縮応力よりも小さい圧縮応力を有することを特徴とする圧電アクチュエータ
    ー。
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