JP2010162848A - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエーター装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性の低下を抑制して圧電特性を向上することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエーター装置を提供する。
【解決手段】ノズル開口に連通する圧力発生室12と、該圧力発生室12に圧力変化を生じさせると共に、下電極60と該下電極60上に形成された圧電体層70と該圧電体層70上に形成された上電極80とを具備する圧電素子300と、を具備し、前記上電極80は、イリジウム含有層81と、前記イリジウム含有層81上に形成され、イリジウムよりもヤング率の低い材料からなる電極層82と、を有する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、下電極、圧電体層及び上電極を有する圧電素子を具備する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエーター装置に関する。
液体噴射ヘッド等に用いられる圧電素子は、電気機械変換機能を呈する圧電材料、例えば、結晶化した誘電材料からなる圧電体層を、2つの電極で挟んで構成されたものがある。なお、液体噴射ヘッドの代表例としては、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド等がある。また、インクジェット式記録ヘッドに搭載される圧電素子としては、例えば、振動板の表面全体に亘って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−163387号公報
しかしながら、圧電素子の圧電特性を向上して、インク吐出特性を向上したいという更なる要望があるものの、圧電素子の耐久性を維持した状態で圧電特性を向上するのは困難であるという問題がある。
なお、このような問題は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに搭載されるアクチュエーター装置だけではなく、他の装置に搭載されるアクチュエーター装置においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、耐久性の低下を抑制して圧電特性を向上することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエーター装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室と、該圧力発生室に圧力変化を生じさせると共に、下電極と該下電極上に形成された圧電体層と該圧電体層上に形成された上電極とを具備する圧電素子と、を具備し、前記上電極は、イリジウム含有層と、前記イリジウム含有層上に形成され、イリジウムよりもヤング率の低い材料からなる電極層と、を有することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、電極層を用いることにより、電気抵抗率を確保しつつ、上電極全体のヤング率を低下させることができ、圧電素子の変位量を向上することができる。また、上電極と圧電体層との界面にイリジウム含有層を設けることで、圧電素子の繰り返し駆動による上電極の破壊を抑制して、耐久性を向上することができる。
ここで、前記イリジウム含有層は、20nm以上であることが好ましい。これによれば、イリジウム含有層によって圧電素子の繰り返し駆動による上電極の破壊をより確実に抑制することができる。
また、前記電極層は、銅、アルミニウム、ロジウム、ニッケル、ルテニウム、オスミウム、白金及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。所定の材料を用いることにより、圧電素子の変位量の向上、耐久性の向上を実現できる。
さらに本発明の他の態様は、上記態様に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、変位量を向上して印刷品質を向上すると共に耐久性を向上した液体噴射装置を実現できる。
また、本発明の他の態様は、下電極と、該下電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層上に形成された上電極とを有する圧電素子を具備し、前記上電極は、イリジウム含有層と、該イリジウム含有層上に形成され、イリジウムよりもヤング率の低い材料からなる電極層と、を有することを特徴とするアクチュエーター装置にある。
かかる態様では、電極層を用いることにより、電気抵抗率を確保しつつ、上電極全体のヤング率を低下させることができ、圧電素子の変位量を向上することができる。また、上電極と圧電体層との界面にイリジウム含有層を設けることで、圧電素子の繰り返し駆動による上電極の破壊を抑制して、耐久性を向上することができる。
実施形態1に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの要部拡大断面図である。 試験例1の試験結果を示すグラフである。 試験例2の試験結果を示すグラフである。 試験例3の試験結果を示すグラフである。 一実施形態に係る記録装置の概略構成を示す図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面図であり、図3は、要部拡大断面図である。
本実施形態の流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなり、その一方の面には酸化シリコンを主成分とする厚さがの弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板のリザーバー部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバーの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。
なお、本実施形態では、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられていることになる。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等からなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、酸化ジルコニウムを主成分とする絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、下電極膜60と、圧電体層70と、上電極膜80と、が積層形成されて圧電素子300(本実施形態の圧力発生素子)を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。
本実施形態では、図2及び図3に示すように、下電極膜60を複数の圧力発生室12に相対向する領域に亘って連続して設けることで、複数の圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80及び圧電体層70を各圧電素子300毎に切り分けることで、上電極膜80を各圧電素子300の個別電極としている。すなわち、圧電体能動部320は、パターニングされた下電極膜60及び上電極膜80によって、圧力発生室12に相対向する領域にのみ設けられていることになる。
また、本実施形態では、下電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエーター装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
圧電体層70は、下電極膜60上に形成される電気機械変換作用を示す圧電材料、特に圧電材料の中でも一般式ABOで示されるペロブスカイト構造を有する金属酸化物からなる。圧電体層70としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電体材料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケル又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加したもの等が好適である。具体的には、チタン酸鉛(PbTiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)、ジルコニウム酸鉛(PbZrO)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La),TiO)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O)又は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O)等を用いることができる。
圧電体層70の厚さについては、製造工程でクラックが発生しない程度に厚さを抑え、且つ十分な変位特性を呈する程度に厚く形成する。圧電体層70は、1〜5μm前後の厚さが好ましく、本実施形態では、1.3μmで形成した。
上電極膜80は、本実施形態では、圧電体層70側に設けられたイリジウムを含有するイリジウム含有層81と、イリジウム含有層81上に設けられてイリジウムよりもヤング率の低い材料からなる電極層82と、を具備する。
イリジウム含有層81は、主成分としてイリジウムを含有するものであれば、特に限定されず、例えば、イリジウムの単層であっても、その他の金属材料を含有していてもよい。また、イリジウム含有層に含有されるイリジウムは酸化イリジウムであってもよい。
電極層82は、イリジウムよりもヤング率が低く、且つ導電性を有する材料であればよく、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)からなる群から選択される少なくとも一種を含むものである。中でも、銅(Cu)やアルミニウム(Al)は電気抵抗率が低いため、上電極膜80としてさらに好適に用いることができる。ちなみに、電極層82は、上述した材料が2種以上でもよく、また他の材料を含んでいてもよい。ただし、電極層82は、上述した材料を主成分とするものである。
このように、上電極膜80として、イリジウム含有層81と、イリジウム含有層81よりもヤング率が低い材料からなる電極層82とで構成することで、上電極膜80全体のヤング率を低下させて、圧電素子300の変位特性を向上することができる。すなわち、硬い上電極膜を用いた圧電素子は、上電極膜による大きな拘束力によって、所定の電圧に対する変位量が低くなってしまうが、柔らかい上電極を用いた圧電素子では、上電極膜の拘束力が低いため、所定の電圧に対する変位量を大きくすることができる。
ちなみに、上電極膜80をヤング率の低い電極層82のみで構成することで、変位特性をさらに向上することができるが、圧電素子300の繰り返し駆動によって上電極膜80(電極層82)が破壊されてしまう。これは、上電極膜80と圧電体層70との界面における鉛による異相の形成が一つの要因だと考えられる。すなわち、上電極膜80として、イリジウム含有層81を設けていないと、圧電体層70と上電極膜80との界面には鉛による異相が形成されてしまう。これに対して、本実施形態のように、上電極膜80として、圧電体層70側にイリジウム含有層81を設けることによって、イリジウム含有層81が鉛の拡散防止層(鉛の上電極膜80側への拡散防止)として機能し、鉛の異相が形成されないため、圧電素子300を繰り返し駆動しても、上電極膜80の破壊が発生しないと考えられる。なお、本実施形態の圧電素子300では、イリジウム含有層81を20nm以上の厚さで設けることで、圧電素子300の繰り返し駆動による上電極膜80の破壊を効果的に抑制できる。また、本実施形態では、圧電素子300の一方の電極として上電極膜80は、50nm程度の厚さが必要である。すなわち、イリジウム含有層81を20nm程度の厚さで設けた場合には、電極層82の厚さは30nm程度となる。この上電極膜80の厚さは、特に限定されるものではなく、抵抗率や変位量などに応じて適宜決定すればよい。
このような圧電素子300は、耐湿性を有する絶縁材料からなる保護膜200によって覆われている。本実施形態では、保護膜200を圧電体層70の側面と上電極膜80の側面及び上面の周縁部を覆い、且つ複数の圧電素子300に亘って連続して設けるようにした。すなわち、上電極膜80の上面の略中心領域である主要部は、保護膜200が設けられておらず、上電極膜80の上面の主要部を開口する開口部201が設けられている。
開口部201は、保護膜200を厚さ方向に貫通して圧電素子300の長手方向に沿って矩形状に開口するものであり、例えば、流路形成基板10上の全面に亘って保護膜200を形成した後、保護膜200を選択的にイオンミリングや反応性ドライエッチングなどのドライエッチングをすることにより形成することができる。
このように圧電素子300を保護膜200で覆うことにより、大気中の水分等に起因する圧電素子300の破壊を防止することができる。ここで、このような保護膜200の材料としては、耐湿性を有する材料であればよいが、例えば、酸化シリコン(SiO)、
酸化タンタル(TaO)、酸化アルミニウム(AlO)等の無機絶縁材料を用いるのが好ましく、特に、無機アモルファス材料である酸化アルミニウム(AlO)、例えば、アルミナ(Al)を用いるのが好ましい。保護膜200の材料として酸化アルミニウムを用いた場合、保護膜200の膜厚を100nm程度と比較的薄くしても、高湿度環境下での水分透過を十分に防ぐことができる。本実施形態では、保護膜200としてアルミナ(Al)を用いた。なお、本実施形態では、圧電素子300を覆う保護膜200としてアルミナを用いたため、電極層82としてアルミニウム(Al)を用いることで、同じ金属材料の酸化物であるアルミナで形成された保護膜200と電極層82との密着力が高くなり、剥離し難くなる。
また、保護膜200に開口部201を設けることにより、圧電素子300(圧電体能動部)の変位を阻害することなく、インク吐出特性を良好に保持することができる。
なお、保護膜200は、圧電素子300の少なくとも圧電体層70の表面を覆うように設ければよく、各圧電素子300毎に保護膜を設け、複数の圧電素子300に亘って不連続となるようにしてもよい。
この保護膜200上には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が設けられている。リード電極90は、保護膜200に設けられた接続孔202を介して一端部が上電極膜80に接続されると共に、他端部が流路形成基板10のインク供給路14側まで延設され、延設された先端部は、後述する圧電素子300を駆動する駆動回路120と接続配線121を介して接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、下電極膜60、絶縁体膜55及びリード電極90上には、リザーバー100の少なくとも一部を構成するリザーバー部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このリザーバー部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバー100を構成している。また、流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、リザーバー部31のみをリザーバーとしてもよい。さらに、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、絶縁体膜55等)にリザーバーと各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設けるようにしてもよい。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
また、保護基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路120が固定されている。この駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極90とは、ボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料からなり、この封止膜41によってリザーバー部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、比較的硬質の材料で形成されている。この固定板42のリザーバー100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバー100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部のインク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバー100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
(試験例1)
上電極膜としてイリジウムだけを用いた場合の圧電素子300の変位量を基準として、上電極膜としてイリジウムよりも低いヤング率の材料を50nmの厚さで用いた場合の圧電素子の変位量について算出した。この結果を図4に示す。
図4に示すように、上電極膜80としてイリジウムよりもヤング率の低い材料を用いることで、圧電素子300の変位量を向上することができることが分かった。
(試験例2)
上電極膜として、それぞれイリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)を用いた圧電素子を繰り返し駆動し、各圧電素子の飽和分極Pmを測定し、飽和分極の低下率を求めた。この結果を図5に示す。
図5に示すように、上電極膜として、それぞれ白金、金、パラジウムを用いた各圧電素子は、上電極膜としてイリジウムを用いた圧電素子に比べて、上電極の破壊による飽和分極の低下が早い時期で発生した。したがって、上電極膜としてイリジウムを用いることで、圧電素子の破壊を抑制して、耐久性を向上していることが分かった。
(実施例1)
上電極膜80として、イリジウムからなり厚さが10nmのイリジウム含有層81と、パラジウムからなり厚さが40nmの電極層82とを設けた以外、上述した実施形態1と同様の構成の圧電素子を形成した。
(実施例2)
上電極膜80として、イリジウムからなり厚さが15nmのイリジウム含有層81と、パラジウムからなり厚さが35nmの電極層82とを設けた以外、上述した実施形態1と同様の構成の圧電素子を形成した。
(実施例3)
実施形態1と同様に、上電極膜80として、イリジウムからなり厚さが20nmのイリジウム含有層81と、パラジウムからなり厚さが30nmの電極層82とを設けた圧電素子を形成した。
(試験例3)
上述した実施例1〜3の圧電素子300を繰り返し駆動し、各圧電素子の飽和分極Pmを測定し、飽和分極の低下率を求めた。この結果を図6に示す。
図6に示すように、イリジウム含有層81を20nmの厚さで設けた実施例3の圧電素子は、上電極膜80の破壊による飽和分極の低下が長時間に亘って発生せずに、耐久性が高くなった。このため、本実施形態の構成、特に1.3μmの厚さのPZTからなる圧電体層70を用いた場合には、イリジウム含有層81を20nm以上の厚さで設けることで、圧電素子300の耐久性を著しく向上することができることが分かった。
以上、試験例1〜3の結果から分かるように、上電極膜80をイリジウム含有層81と、イリジウムよりもヤング率の低い材料からなる電極層82とで構成することにより、圧電素子300の変位量を向上すると共に、圧電素子300の破壊を抑制して、耐久性を向上することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、流路形成基板10としてシリコン単結晶基板を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、結晶面方位が(100)面、(110)面等のシリコン単結晶基板を用いるようにしてもよく、また、SOI基板、ガラス等の材料を用いるようにしてもよい。
また、これらのインクジェット式記録ヘッドIは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図7は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図7に示すインクジェット式記録装置IIにおいて、インクジェット式記録ヘッドIを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
また、上述したインクジェット式記録装置IIでは、インクジェット式記録ヘッドI(ヘッドユニット1A、1B)がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、インクジェット式記録ヘッドIが固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
また、上述した実施形態1では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。また、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、上述した他の液体噴射ヘッドを用いた液体噴射装置にも用いることが可能である。
さらに、本発明は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに搭載されるアクチュエーター装置に限られず、他の装置に搭載されるアクチュエーター装置にも適用することができる。
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 II インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 10 流路形成基板(基板)、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 15 連通路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 リザーバー部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 81 イリジウム含有層、 82 電極層、 90 リード電極、 100 リザーバー、 120 駆動回路、 300 圧電素子

Claims (5)

  1. ノズル開口に連通する圧力発生室と、
    該圧力発生室に圧力変化を生じさせると共に、下電極と該下電極上に形成された圧電体層と該圧電体層上に形成された上電極とを具備する圧電素子と、を具備し、
    前記上電極は、イリジウム含有層と、前記イリジウム含有層上に形成され、イリジウムよりもヤング率の低い材料からなる電極層と、を有することを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記イリジウム含有層は、20nm以上であることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記電極層は、銅、アルミニウム、ロジウム、ニッケル、ルテニウム、オスミウム、白金及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
  5. 下電極と、該下電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層上に形成された上電極とを有する圧電素子を具備し、
    前記上電極は、イリジウム含有層と、該イリジウム含有層上に形成され、イリジウムよりもヤング率の低い材料からなる電極層と、を有することを特徴とするアクチュエーター装置。
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