JP5152139B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トレンチ内にエピタキシャル成長膜を埋め込むことで形成される半導体装置及びその製造方法に関するものである。
半導体装置の製造方法において、半導体基板にトレンチを形成した後、このトレンチ内にエピタキシャル成長膜を形成する方法がある。
例えば、表面がSi{100}面であるシリコン基板を用いて、4つの側面がSi{110}面で、底面がSi{100}面であるトレンチを形成した後、このトレンチ内にエピタキシャル成長膜を形成する。これにより、半導体基板中に半導体層を形成することができる。
具体的には、トレンチの4つの側面を、それぞれSi(011)面、Si(0−1−1)面、Si(01−1)面、Si(0−11)面とすることができる。この場合、4つの側面同士は、結晶学的に等価であるが、側面と底面とは異なる結晶面である。
他の例として、基板面方位をSi{110}面とし、KOH等による異方性のウェットエッチングを用いることにより、4つの側面がSi{111}面であり、底面がSi{110}面であるトレンチを形成し、このトレンチ内にエピタキシャル成長膜を形成することもできる(例えば特許文献1参照)。
なお、ウェットエッチングによりトレンチを形成する場合、基板面方位によるエッチングレート差を利用するため、用いる基板及びトレンチの面方位が限定される。したがって、基板面方位がSi{110}面である基板を用いたときでは、必然的に、形成されるトレンチの側面はSi{111}面、底面はSi{110}面となる。
このようなトレンチ内へのエピタキシャル成長膜の埋め込み技術は、例えば、基板の深さ方向をチャネル幅方向とするチャネル領域を有し、電流を主に半導体基板表面と平行な方向に流す、いわゆる3次元構造MOS(例えば特許文献2参照)やP/Nコラム層を内包するスーパージャンクションMOS(例えば特許文献3参照)を有する半導体装置の製造方法に適用可能である。
ところで、いわゆる3次元構造MOSやスーパージャンクションMOS等を有する半導体装置においては、トレンチ内にゲート酸化膜を介してゲート電極が形成されたトレンチゲートを有するものがある。
トレンチゲート用のトレンチを形成する場合、例えば、表面がSi{100}面である基板を用いたときでは、上記したエピタキシャル成長膜が埋め込まれるトレンチと同様に、4つの側面がSi{110}面であり、底面がSi{100}面であるトレンチゲート用のトレンチを形成することができる。
一方、表面がSi{110}面である基板を用いたとき、上記したエピタキシャル成長膜が埋め込まれるトレンチと同様に、トレンチゲート用のトレンチを形成する上でも、異方性のウェットエッチングを用いてトレンチを形成することができる(例えば特許文献1参照)。この場合、トレンチゲート用トレンチも4つの側面がSi{111}面、底面がSi{110}面となる。
なお、結晶学的面方位を示す場合、本来ならば所望の数字の上にバー(−)を付すべきであるが、本明細書では、表現の制約上、所望の数字の前にバーを付して示している。また、{}は、通常の表記法通り、結晶学的に等価な面を表している。例えば、{100}面は、(100)面、(010)面、(001)面、(−100)面、(0−10)面、(00−1)面を含む。
特開2001−168327号公報 特開2001−274398号公報 特開2001−127289号公報
上記した従来技術において、課題が3つある。第1の課題は、上記したトレンチ内へのエピタキシャル成長膜の埋め込み技術において、エピタキシャル成長膜に発生する結晶性不良(結晶欠陥)を抑制することである。
この対策として、従来、エピタキシャル成長膜を形成する前に、トレンチ内壁表面にある結晶欠陥を除去する方法がある。トレンチ内壁表面に結晶欠陥が存在すると、この表面上に形成したエピタキシャル成長膜に結晶欠陥が発生してしまう。そこで、予め、トレンチ内壁表面の結晶欠陥を除去することで、エピタキシャル成長膜に結晶欠陥が発生するのを抑制する。
他の方法として、ドライエッチングでなく、ウェットエッチングによりトレンチを形成する方法もある。ウェットエッチングを用いた場合、ドライエッチングを用いた場合と比較して、トレンチの内壁に与えるダメージが小さいため、トレンチの内壁表面に発生する結晶欠陥は少ない。また、ドライエッチングを用いた場合と比較して、基板中に発生するダメージや反応生成物の残存が少ない。
これにより、ドライエッチングによりトレンチを形成する場合と比較して、トレンチ内に成膜するエピタキシャル成長膜に結晶欠陥が発生するのを抑制することができる。
本発明者らは、これらの方法以外でも結晶欠陥の抑制効果を有する方法を得るために、結晶欠陥の発生原因及びその抑制方法を鋭意検討した。その結果、従来では、トレンチ底面での結晶面と側壁面での結晶面とが異なっていることも、結晶欠陥の発生原因の1つであることがわかった。
トレンチ底面と側壁面との結晶面が異なっていると、底面と側壁面上とでは、エピタキシャル膜の成長速度に差が生じる。このため、エピタキシャル膜を形成したとき、エピタキシャル膜のうち、トレンチ下側のコーナー近辺の領域に応力が発生する。この応力が原因となって、結晶欠陥が発生するのである。
第2の課題は、トレンチゲートにおけるゲート酸化膜の耐圧を向上させることである。トレンチゲートを有する半導体装置を製造するとき、上記従来技術の欄にて説明したように、基板面方位をSi{100}面、トレンチゲート用のトレンチの4つの側面及び底面の面方位をそれぞれSi{110}面及びSi{100}面とした場合、トレンチの内壁に熱酸化法によりゲート酸化膜を形成すると、ゲート酸化膜はトレンチの底面上での膜厚がトレンチの側面上での膜厚よりも小さくなる。
同様に、基板面方位をSi{110}面、トレンチゲート用のトレンチの4つの側面及び底面の面方位をそれぞれSi{111}面及びSi{110}面とした場合も、ゲート酸化膜はトレンチの底面上での膜厚がトレンチの側面上での膜厚よりも小さくなる。
このようにトレンチ底面上でのゲート酸化膜の膜厚がトレンチ側面上での膜厚より小さい場合、ゲート酸化膜の耐圧の大きさは、トレンチ底面上でのゲート酸化膜の膜厚によって決定される。このため、ゲート酸化膜の耐圧を向上させるためには、トレンチ底面上での膜厚を大きくする必要がある。
しかし、デバイスを設計する上では、トレンチの側面をチャネルとして用いるため、トレンチの側面上でのゲート酸化膜の膜厚からデバイスの設計を行う。このため、トレンチゲート用のトレンチの側面及び底面の面方位を上記した面方位とした場合、トレンチの側面上でのゲート酸化膜の膜厚を変えることなく、単にトレンチの底面上におけるゲート酸化膜の膜厚のみを大きくすることは困難である。なお、ゲート酸化膜の膜厚は、ゲート酸化膜の耐圧向上の観点から、トレンチの底面上での膜厚がトレンチの側面上での膜厚と同等かそれよりも厚いことが望ましい。
第3の課題は、いわゆる3次元構造MOSやスーパージャンクションMOS等のパワーデバイスにて、チップサイズを従来よりも大きくすることなく、チャネルを流れる電流を増加させることである。電流を増加させる方法としては、電流経路の断面積を大きくする方法が考えられる。しかし、この場合、チップサイズを増加させる必要があるため好ましくない。
本発明は上記点に鑑みて、基板に形成されたトレンチ内にエピタキシャル成長膜を成膜する際、エピタキシャル成長膜に結晶欠陥が発生するのを抑制することを第1の目的とする。
また、第1の目的に加えて、トレンチゲートを有する構造の半導体装置において、ゲート酸化膜の耐圧を従来よりも向上させることを第2の目的とする。
また、第1の目的に加えて若しくは第1、第2の目的に加えて、いわゆる3次元構造MOSにて、チップサイズを従来よりも大きくすることなく、チャネルを流れる電流を増加させることを第3の目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に示すように、例えば、ソース領域を構成する半導体基板(1)にトレンチ(2)を形成し、そのトレンチ(2)内にベース領域(3)を形成することで、いわゆる3次元構造の半導体装置を製造する場合では、次のように行う。
すなわち、請求項1に記載の発明では、主表面(1a)がSi{100}面であり、ソース領域を構成する第1導電型の半導体基板(1)を用意し、半導体基板(1)の所定領域にて、主表面(1a)側から垂直方向に、底面(2c)及び4つの側面のうち、少なくともトレンチ幅が長い方の向かい合う一対の側面(2a)がSi{100}面である第1のトレンチ(2)を形成する。
この第1のトレンチ(2)の内壁を覆うように、かつ、第1のトレンチの凹みが残るように、第2導電型のベース領域(3)を構成するベース形成用膜(12)をエピタキシャル成長法により成膜する。
これにより、ベース領域(3)の形成時にて、エピタキシャル成長時の底面と側面上の成長速度の違いによって発生する応力を抑制することができる。この結果、結晶欠陥の発生を抑制して、ベース領域(3)を形成することができる。
また、請求項2に示すように、例えば、ドレイン領域を構成する半導体基板(1)にトレンチ(2)を形成し、このトレンチ(2)内にドリフト領域を形成することで、3次元構造の半導体装置を製造する場合では、次のように行う。
すなわち、請求項2に記載の発明では、主表面(1a)がSi{100}面であり、ドレイン領域を構成する第1導電型の半導体基板(1)を用意し、この半導体基板(1)の所定領域にて、主表面(1a)側から垂直方向に、底面(2c )及び4つの側面のうち、少なくともトレンチ幅が長い方の向かい合う一対の側面(2a)がSi{100}面である第1のトレンチ(2)を形成する。
この第1のトレンチ(2)の内壁を覆うように、かつ、第1のトレンチ(2)の凹みが残るように、第1導電型のドリフト領域(31)を構成するドリフト形成用膜をエピタキシャル成長法により成膜する。
これにより、ドリフト領域(31)の形成時にて、エピタキシャル成長時の底面と側面上の成長速度の違いによって発生する応力を抑制することができる。この結果、結晶欠陥の発生を抑制して、ドリフト領域(31)を形成することができる。
また、請求項3に示すように、請求項1及び2の製造方法において、例えば、ドリフト領域(4、31)にて、主表面から垂直方向に、底面及び4つの側面のうち、少なくともトレンチ幅が長い方の向かい合う一対の側面(21a)がSi{100}面である第3のトレンチ(21)を形成し、この第3のトレンチ(21)内に、エピタキシャル成長法により、第2導電型のリサーフ層(20)を形成することもできる。
これにより、リサーフ層(20)の形成においても、エピタキシャル成長時の底面と側面上の成長速度の違いによって発生する応力を抑制することができる。この結果、結晶欠陥の発生を抑制して、リサーフ層(20)を形成することができる。
また、請求項に示すように、請求項1〜請求項にて、第2のトレンチ()を形成する工程では、第2のトレンチ()の内壁がSi{100}面となるように第2のトレンチ()を形成することもできる。
これにより、第2のトレンチ()の側面がSi{100}面でない場合と比較して、ゲート電極がオンのときにベース領域(3、32)に形成されるチャネル領域と、ゲート絶縁膜との界面準位を低くすることができ、チャネル領域におけるキャリアの移動度を向上させることができる。この結果、チップサイズを大きくすることなく、チャネル領域を流れる電流を増加させることができる。
また、第2のトレンチの側面及び底面の面方位を同じSi{100}面とすることから、第2のトレンチの内壁上に熱酸化によりゲート酸化膜を形成したとき、トレンチの底面上でのゲート酸化膜の膜厚と、トレンチの側面上でのゲート酸化膜の膜厚とを同じ大きさとすることができる。
これにより、トレンチの側面上でのゲート酸化膜の膜厚でチャネル構造を設計しても、上記従来技術の欄にて説明したように、トレンチゲート用の第2のトレンチの側面をSi{110}面、底面をSi{100}面とした場合と比較して、トレンチの底面上におけるゲート酸化膜の膜厚を大きくすることができる。この結果、上記従来技術の欄にて説明した場合と比較して、ゲート酸化膜の耐圧を向上させることができる。
また、請求項に示すように、請求項1〜請求項に記載の第1のトレンチ()を形成する工程では、側面(2a、2b)は全て、Si{100}面となるように第1のトレンチ()を形成することが好ましい。
また、請求項に示すように、第1のトレンチ()を形成する工程では、例えば、半導体基板()として、位置合わせ用の切り欠き(1c)がSi{100}面と平行に形成された半導体ウェハを用い、切り欠き(1c)に対して、4つの側面のうち、トレンチ幅が長い方の向かい合う一対の側面(2a)が平行若しくは垂直となるように形成することができる。
これにより、トレンチ幅が長い方の向かい合う一対の側面(2a)がSi{100}面である第1のトレンチ(2)を形成することができる。
また、請求項の代わりに、請求項に示すように、例えば、半導体基板()として、位置合わせ用の切り欠き(1c)がSi{110}面と平行に形成された半導体ウェハを用い、切り欠き(1c)に対して、トレンチ幅が長い方の向かい合う一対の側面(2a)が45°の角度をなすように、第1のトレンチ()を形成することもできる。
また、請求項に示すように、第1のトレンチ()を形成する工程では、例えば、異方性のドライエッチング工程により、第1のトレンチ()を形成することができる。
また、請求項に記載の半導体装置では、主表面(1a)がSi{100}面であり、第1導電型のソース領域を構成する半導体基板(1)と、半導体基板のうち、主表面(1a)から垂直方向に延設され、底面及び4つの側面を有し、底面と側面のうち少なくとも主表面(1a)と平行な方向の幅が長い方の一対の側面とがSi{100}面である第2導電型のベース領域(3)と、ベース領域(3)内に形成された第1導電型のドリフト領域(4)と、ドリフト領域内に形成されたドレイン領域(5)と、主表面(1a)から垂直方向に延設されていると共に、主表面(1a)と平行な方向において、ソース領域を構成する半導体基板(1)からベース領域(3)を貫通して、ドリフト領域(4)に達するように形成され、ベース領域(3)における側面がSi{100}面であるトレンチ(6)と、トレンチ(6)の表面に形成されたゲート絶縁膜(7)と、ゲート絶縁膜(7)の表面に形成されたゲート電極(8)とを備えていることを特徴としている。
このいわゆる3次元構造の半導体装置は、請求項1及び請求項の製造方法により、製造される。
また、トレンチ(6)の側面のうち、ベース領域(3)における側面がSi{100}面であることから、トレンチ(6)の内壁がSi{100}面でない場合と比較して、ゲート電極がオンのときにベース領域(3)に形成されるチャネル領域と、ゲート絶縁膜との界面準位密度を低くすることができる。この結果、チャネル領域におけるキャリアの移動度を向上させることができる。
請求項10に記載の発明では、主表面(1a)がSi{100}面であり、第1導電型のドレイン領域を構成する半導体基板(1)と、半導体基板(1)のうち主表面(1a)から主表面(1a)の垂直方向に延設され、底面及び4つの側面を有し、底面と、側面のうち少なくとも基板表面と平行な方向の幅が長い方の一対の側面とがSi{100}面であり、半導体基板(1)よりも低濃度な第1導電型のドリフト領域(31)と、ドリフト領域内に形成された第2導電型のベース領域(32)と、ベース領域内に形成された第1導電型のソース領域(33)と、主表面(1a)側から掘られ、主表面(1a)と平行を成す一方向において、ソース領域(33)からベース領域(32)を貫通するように形成され、ベース領域(33)における側面がSi{100}面であるトレンチ(6)と、トレンチ(6)の表面に形成されたゲート絶縁膜(7)と、ゲート絶縁膜の表面に形成されたゲート電極(8)とを備えていることを特徴としている。
この半導体装置は、請求項2及び請求項の製造方法により製造される。
また、トレンチ(6)の側面のうち、ベース領域(32)における側面がSi{100}面であることから、トレンチ(6)の内壁がSi{100}面でない場合と比較して、ゲート電極がオンのときにベース領域(32)に形成されるチャネル領域と、ゲート絶縁膜との界面準位密度を低くすることができる。この結果、チャネル領域におけるキャリアの移動度を向上させることができる。
また、請求項11に示すように、ドリフト領域(4、31)には、主表面(1a)から垂直方向に延設され、底面及び4つの側面を有し、底面と側面のうち少なくとも、主表面(1a)と平行な方向の幅が長い方の側面がSi{100}面である第2導電型のリサーフ層(20)を備える構造とすることもできる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態における第1の例としての3次元パワーMOSFETの平面構造を示す図である。 図1中における領域Aの斜視断面図である。 第1実施形態における第1の例としての3次元パワーMOSFETの製造工程を示す図である。 半導体ウェハにエピ用トレンチ2を形成したときの平面図である。 半導体ウェハにエピ用トレンチ2を形成したときの平面図である。 従来の製造方法でトレンチ内にエピタキシャル膜を形成したときのエピタキシャル膜の断面を、走査型電子顕微鏡にて観察したときの様子を簡略化して示す図である。 本実施形態の製造方法でトレンチ内にエピタキシャル膜を形成したときのエピタキシャル膜の断面を、走査型電子顕微鏡にて観察したときの様子を簡略化して示す図である。 第1実施形態における第2の例としての3次元パワーMOSFETの平面図である。 図8中の領域Cにおける斜視断面図である。 第1実施形態における第3の例としての3次元パワーMOSFETの平面図である。 図10中の領域Dにおける斜視断面図である。 第1実施形態の第4の例としての3次元パワーMOSFETの平面図である。 図12中の領域Eの斜視断面図である。 第2実施形態におけるスーパージャンクション構造のパワーMOSFETの平面図である。 図14中のF−F’断面図である。 第2実施形態におけるスーパージャンクション構造のパワーMOSFETの製造工程を示す図である。 図16に続くスーパージャンクション構造のパワーMOSFETの製造工程を示す図である。 図17に続くスーパージャンクション構造のパワーMOSFETの製造工程を示す図である。 図18に続くスーパージャンクション構造のパワーMOSFETの製造工程を示す図である。 第2実施形態の第2の例におけるスーパージャンクション構造のパワーMOSFETの平面図である。 (a)、(b)はそれぞれ第3実施形態におけるスーパージャンクション構造のパワーMOSFETのp/nコラムの平面レイアウト、トレンチゲートの平面レイアウトを示す図である。 第3実施形態におけるスーパージャンクション構造のパワーMOSFETの斜視断面図である。 第3実施形態におけるスーパージャンクション構造のパワーMOSFETの製造工程を示す断面図である。 図23に続くパワーMOSFETの製造工程を示す断面図である。 半導体ウェハのオリエンテーションフラットと、エピ用トレンチの面方位と、ゲート用のトレンチの面方位との位置関係を示す図である。 半導体ウェハのオリエンテーションフラットと、エピ用トレンチの面方位と、ゲート用のトレンチの面方位との位置関係を示す図である。 各実施形態におけるパワーMOSFETのチャネル領域での電子移動度、界面準位、及びトレンチ側面上と底面上でのゲート酸化膜の膜厚の比較を示した図表である。 第4実施形態におけるスーパージャンクション構造のパワーMOSFETの平面図である。
以下に説明する第1、第2実施形態が特許請求の範囲に記載した発明の実施形態であり、第3、第4実施形態は参考例である。
(第1実施形態)
図1に本実施形態における第1の例としての3次元構造パワーMOSFETの平面図を示す。また、図2に図1中における領域Aの斜視断面図を示す。このパワーMOSFETは、図1中の幅Bが複数回繰り返された構造である。
本実施形態のパワーMOSFETは、主表面1aがSi(100)面であるn型基板1が用いられている。また、このn型基板1は、主表面1aに対して反対面となる裏面1bを有している。なお、本実施形態では、このn型基板1が特許請求の範囲に記載の半導体基板に相当する。
型基板1は、n型不純物であるP又はAs又はSbが1×1018〜1×1020cm−3程度ドーピングされて構成され、基板1深さ方向及び基板平面方向にて、ほぼ均一な不純物濃度となっている。このn型基板1がn型ソース領域を構成している。
そして、図2に示すように、n型基板1の主表面1aから所定深さ、例えば1〜100μmまで第1のトレンチとしてのエピ用トレンチ2が形成されている。このエピ用トレンチ2は後に説明するがトレンチ内にエピタキシャル成長膜が形成される。本実施形態では、このエピ用トレンチ2は、図1に示すように、基板表面の上側から見ると開口形状が長方形であり、また、トレンチ幅が長い方の側面2aと短い方の側面2bの両方がSi{100}面となっている。
具体的には、一対の長い方の側面2aでは、1つの面がSi(001)面であり、この面に対向する面がSi(00−1)面である。また、一対の短い方の側面2bでは、1つの面がSi(010)面であり、この面に対向する面がSi(0−10)面である。
また、エピ用トレンチ2の底面2cは、基板表面1aと平行な面であり、Si(100)面である。したがって、エピ用トレンチ2の内壁面は、全て、Si{100}面となっている。
また、このエピ用トレンチ2の内壁には、p型不純物であるBが1×1015〜1×1018cm−3程度ドーピングされ、エピ用トレンチ2の内壁上での厚さが0.1〜5μm程度とされたp型ベース領域(p型ウェル層)3が形成されている。このp型ベース領域3の不純物濃度は基板深さ方向にも基板平面方向にもほぼ均一となっている。
このp型ベース領域3の底面3c及び側面3aは、これらの面が接しているエピ用トレンチ2の底面2c及び側面2aと同一の結晶面となっており、すなわち、Si{100}面となっている。また、このようにエピ用トレンチ2内に形成されたp型ベース領域3は、アスペクト比、つまり、基板表面と平行な方向の幅に対する深さ方向の比が1以上となっている。
通常、イオン注入などによる不純物を拡散させることで得られる不純物領域では、このアスペクト比は1よりも大きくなることはない。すなわち、このp型ベース領域3はトレンチ内に形成されているので、このアスペクト比が1以上となっている。なお、以下に示す各実施形態においても、同様のことが言える。
このp型ベース領域3の内壁には、n型不純物であるP又はAsが1×1014〜1×1017cm−3程度ドーピングされて構成されたn型ドリフト領域4が形成されている。このn型ドリフト領域4の不純物濃度は基板深さ方向にも基板平面方向にもほぼ均一となっている。このn型ドリフト領域4の厚さは、例えば耐圧確保に必要な程度に設定されている。
型ドリフト領域4の内壁には、n型不純物であるP又はAsが1×1018〜1×1020cm−3程度ドーピングされ、n型ドリフト領域4の内壁上での厚さが0.1〜5μm程度とされたn型ドレイン領域5が形成されている。このn型ドレイン領域5の不純物濃度は基板深さ方向にも基板平面方向にもほぼ均一となっている。
また、n型基板1の主表面1aから垂直に、つまり基板深さ方向に略平行に第2のトレンチとしてのゲート用トレンチ6が形成されている。このゲート用トレンチ6は、エピ用トレンチ2のうち、トレンチ幅が長い方の側面2aと垂直な方向に延びており、n型基板1からp型ベース領域3を貫通している。
そして、基板1の主表面において、ゲート用トレンチ6のうち、トレンチ幅の長い方の側面6aは、Si(010)面及びSi(0−10)面、すなわち、Si{100}面となっている。
このゲート用トレンチ6の表面にはゲート絶縁膜としてのゲート酸化膜7が形成されており、ゲート用トレンチ6の側面上でのゲート酸化膜7の膜厚と、ゲート用トレンチ6の底面上でのゲート酸化膜7の膜厚とは同じ大きさである。また、このゲート酸化膜7を介してゲート用トレンチ6の内部がゲート電極8で埋め込まれた構成となっている。
このような構成により、n型基板1の主表面1aと平行な一方向において、n型ソース領域、p型ベース領域3、ドリフト領域4、n型ドレイン領域5が順に配列され、かつ、n型基板1の主表面1aと垂直な基板深さ方向において、ゲート用トレンチ6の深さとほぼ同等な深さまで、この配列をなすようになっている。
なお、p型ベース領域3、n型ドリフト4、n型ドレイン領域5それぞれの深さは、ゲート用トレンチ6の深さに相応して設定されており、ゲート用トレンチ6が深くされる程それに伴って深くなるように設定されている。
また、図1に示すように、n型基板1の主表面1a上には、酸化膜を介して、ゲート電極8と電気的に接続されたゲート配線9がパターニングされている。また、n型ドレイン領域5には、ドレインコンタクト領域10が形成されており、図示していないが、n型基板1の表面上には、層間絶縁膜を介してドレイン電極が備えられている。
このように構成されたパワーMOSFETのゲート電極8に正電圧を印加すると、p型ベース領域3のうちゲート用トレンチ6に隣接している部分全面において、ゲート酸化膜7の近傍に電子が誘起され、p型ベース領域3の反転層からなるチャネル領域が形成される。すなわち、ゲート用トレンチ6の深さ方向をチャネル幅方向とするチャネル領域が形成される。これにより、ソース・ドレイン間において基板平面と平行な一方向にドレイン電流が流れる。
なお、本実施形態では、ゲート酸化膜7は、側面がSi{100}面であるゲート用トレンチ6上に形成されている。言い換えると、チャネル領域のうち、ゲート絶縁膜と接している面は、Si{100}面となっている。
したがって、チャネル領域とゲート絶縁膜との界面準位は、その面がSi{100}面でない構造のものと比較して、低くなっている。このため、チャネル領域におけるキャリアの移動度を向上させることができる。これにより、チャネル領域を流れる電流を増加させることができる。
続いて、このパワーMOSFETの製造方法を説明する。図3に上記構成のパワーMOSFETの製造工程を示す。
〔図3(a)に示す工程〕
まず、主表面1aの面方位がSi(100)面の半導体ウェハを用意する。この半導体ウェハがn型ソース領域を構成するn型基板1である。そして、n型基板1の上にシリコン酸化膜11を熱酸化又はCVD法等によって形成する。そして、フォトリソグラフィ工程により、シリコン酸化膜11のうちp型ベース領域3の形成予定領域をエッチングして開口させる。
〔図3(b)に示す工程〕
次に、シリコン酸化膜11をマスクとして、例えば10〜100μmの深さのトレンチエッチングを行う。このとき、エッチングは、ドライエッチングにて行う。エッチングガスをプラズマ化させ、基板1にバイアスをかけることで、エッチングする。エッチングガスは、エッチング時にトレンチの側面を保護するためのガスとして、例えば、SF6を用い、トレンチの底面をエッチングするためのガスとして、例えば、CF4を用いる。
これにより、n型基板1のうち、n型ソース領域となる領域以外が除去され、エピ用トレンチ2が形成される。
ここで、図3(a)、(b)に示す工程でのエピ用トレンチ2の面方位の選択方法を説明する。図4、図5に半導体ウェハ上でのエピ用トレンチ2の平面パターンを示す。例えば、図4に示すように、オリエンテーションフラット1cがSi(00−1)面に形成されている場合、図中にて実線で示すように、オリエンテーションフラット1cと平行な方向にエピ用トレンチ2を形成する。
これにより、トレンチ幅が長い方の側面2aは、Si(001)面及びSi(00−1)面となる。なお、このオリエンテーションフラットが特許請求の範囲に記載されている位置合わせ用の切り欠きである。オリエンテーションフラットは、面方位を指定するためのマークであり、このマークはノッチであっても良い。
また、トレンチ幅の短い方の側面2bを、長い方の側面2aと垂直な方向に形成する。これにより、トレンチ幅の短い方の側面2bはSi(010)面及びSi(0−10)面となる。したがって、エピ用トレンチ2の側面は全てSi{100}面となっている。また、エピ用トレンチ2の底面を基板1の表面と平行とする。これにより、エピ用トレンチ2の底面もSi{100}面となる。
なお、エピ用トレンチ2の形成方法としては、上記の方法に限らず、例えば、図4中にて点線で示すように、オリエンテーションフラット1cと垂直な方向にエピ用トレンチ2を形成することもできる。このときのエピ用トレンチ2の側面も、それぞれ、実線に示すトレンチの側面と全て平行となっていることから、全てSi{100}面となる。
また、図5に示すように、オリエンテーションフラット1cがSi(0−1−1)面に形成されている場合では、オリエンテーションフラット1cに対して45°をなす方向にトレンチを形成すれば良い。
具体的には、図中にて実線で示すように、オリエンテーションフラット1cに対して、反時計回りの方向で45°をなす方向にトレンチを形成する。言い換えると、オリエンテーションフラット1cとトレンチ幅が長い方の側面2aとのなす角度が45°となるように、トレンチ2を形成する。
また、図中にて点線で示すように、オリエンテーションフラット1cから、反時計回りの方向で135°をなす方向にトレンチを形成することもできる。言い換えると、オリエンテーションフラット1cに対して、トレンチ幅が長い方の側面2aが反時計回りの方向の角度で135°をなすように、トレンチ2を形成する。なお、この場合でも、オリエンテーションフラット1cとトレンチ幅が長い方の側面2aとのなす角度のうち、鋭角な方の角度は45°となっている。
〔図3(c)に示す工程〕
例えば、非酸窒化性雰囲気中にて、熱処理することで、エピ用トレンチ2の内壁を平坦化させる。その後、エピタキシャル成長法によって、エピ用トレンチ2の内壁面にベース領域形成用膜としてのp型膜12を成膜する。このp型膜12がp型ベース領域3に相当する。なお、非酸窒化性雰囲気中の熱処理に先立って、マスク酸化膜11をHF水溶液エッチング等により取り除いた後であっても、同様にエピタキシャル膜の形成が可能である。
このため、p型膜12は、Si{100}面方向にて形成される。なお、このとき、エピ用トレンチ2の凹みが残るように、p型膜12を形成する。エピ用トレンチ2内にて、p型膜12上にn型ドリフト領域4を形成するためである。
さらに、p型膜12を覆うように、エピタキシャル成長法によって、ドリフト領域形成用膜としてのn型膜13を成膜する。このn型膜13がn型ドリフト領域4に相当する。このため、n型ドリフト領域4も、Si{100}面方向にて形成される。なお、このときも、エピ用トレンチ2の凹みが残るように、n型膜13を形成する。
〔図3(d)に示す工程〕
次に、n型膜13を覆うと共に、エピ用トレンチ2をすべて埋め込むように、ドレイン領域形成用膜としてのn型膜14を、エピタキシャル成長法により成膜する。このn型膜14はn型ドレイン領域5に相当する。このため、n型ドレイン領域5も、Si{100}面方向にて形成される。そして、このとき、n型膜14の表面同士が接して、エピ用トレンチ2が完全に埋め込まれる。
〔図3(e)に示す工程〕
続いて、基板表面側から平坦化のための研磨処理を行い、例えばシリコン酸化膜11をエッチングストッパーとして、p型膜12、n型膜13、及びn型膜14を平坦化する。これにより、p型ベース領域3、n型ドリフト領域4、n型ドレイン領域5が形成される。
この後、製造工程については図示しないが、図1、2に示すように、選択的エッチングによって、基板表面1a側から基板表面1aに対して垂直な方向に延びるように、かつ、開口形状が長方形であるゲート用トレンチ6を形成する。
このとき、基板表面1aと平行な方向において、n型ソース領域を構成する基板1からp型ベース領域3を貫通するように形成する。すなわち、p型ベース領域3にチャネル領域が形成されるように、ゲート用トレンチ6を形成する。また、基板1主表面において、エピ用トレンチ2のうち、トレンチ幅が長い方の側面2aと垂直な方向に、ゲート用トレンチ6を形成する。
これにより、図1に示すように、ゲート用トレンチ6の側面のうち、トレンチ幅が長い方の側面6aを例えば、Si(010)面及びSi(0−10)面、すなわち、Si{100}面とすることができる。言い換えると、p型ベース領域3のうち、ゲート用トレンチ6が形成された面がSi{100}面となる。
続いて、例えば、熱酸化法により、ゲート用トレンチ6の内壁上にゲート酸化膜7を形成し、さらに、ゲート酸化膜6内をn型ポリシリコンで埋め込むことによりゲート電極8を形成する。
最後に、基板表面側にn型ドレイン領域5に接するドレイン電極と、基板裏面側にn型ソース領域に接するソース電極を形成したのち、ゲート電極8等と外部との電気的導通を図るための電気配線をパターニングし、さらに、基板表面側を保護膜で覆うことによって本実施形態におけるパワーMOSFETが完成する。
本実施形態では、図3(b)に示す工程にて、基板1に内壁面が全て、Si{100}面であるエピ用トレンチ2を形成している。このため、図3(c)に示す工程で、エピ用トレンチ2の内壁上にエピタキシャル成長法によりp型ベース領域3を形成する際に、エピ用トレンチ2底面上と側壁面上とで同一の成長速度でエピタキシャル成長させることができる。
これにより、エピ用トレンチ2内にエピタキシャル成長膜の形成時において、トレンチ下側のコーナー近辺にてエピタキシャル成長膜に発生する応力を抑制することができる。このことから、結晶欠陥の発生を抑制し、良好な結晶性を有するp型ベース領域3を形成することができる。
また、従来では、表面がSi{100}面である半導体ウェハは、オリエンテーションフラットがSi{110}面であった。そして、トレンチは、このオリエンテーションフラットに対して平行若しくは垂直な方向に形成されていたため、トレンチの側壁は、Si{110}面であった。
一般的に、平らな基板表面上にエピタキシャル膜を形成する場合において、基板表面の結晶面がSi{110}面やSi{111}面の場合よりもSi{100}面のときの方が、結晶性が良いことが知られている。これは、Si{100}面は、Si{110}面やSi{111}面と比較して、その面におけるステップ密度が大きいため、その面上において、エピタキシャル成長時の結晶核の形成が容易に進むからである。このため、結晶欠陥の発生が少ない。
本実施形態では、Si{100}面上に、エピタキシャル膜を形成している。これらのことから、従来の製造方法と比較して、良好な結晶性のエピタキシャル膜を形成することができる。
また、本実施形態では、図3(c)に示す工程にて、エピタキシャル成長により、p型膜12を形成する前に、エピ用トレンチ2の内壁を平坦化させている。これは、エピ用トレンチ2の内壁表面に存在する結晶欠陥を除去するためである。本発明は、このように、他の結晶欠陥の発生を抑制する方法と併用することもでき、これにより、結晶欠陥の発生をより抑制することができる。
このようにして、Si{100}面上にて、p型ベース領域3が形成され、さらに、n型ドリフト領域4、n型ドレイン領域5が順に、Si{100}面方向にて形成されるため、良好な結晶性を有するp型ベース領域3、n型ドリフト領域4、及びn型ドレイン領域5が形成される。
図6に従来の製造方法でトレンチ内にエピタキシャル膜を形成したときのエピタキシャル膜の断面を、走査型電子顕微鏡にて観察したときの様子を簡略化して示す。また、同様に、図7に本実施形態の場合での観察したときの様子を簡略化して示す。なお、これらの図は、エピタキシャル成長させた試料について、断面をフッ酸及び硝酸によるステンエッチを行い、結晶欠陥を顕在化させて観察したときの図である。
従来では、図6にて円で囲んで示すように、欠陥が発生しているのが確認できた。これに対して、本実施形態の場合では、図7に示すように、結晶欠陥は発生していなかった。このように、本発明者らは、本実施形態での製造方法によれば、結晶欠陥の発生が抑制できることを確認している。
また、本実施形態では、図3(e)の工程の後、基板1の主表面において、エピ用トレンチ2のうち、トレンチ幅が長い方の側面2aと垂直な方向にゲート用トレンチ6を形成している。トレンチ幅が長い方の側面2aがSi{100}面であるため、ゲート用トレンチ6にて、トレンチ幅の長い方の側面6aを容易にSi{100}面とすることができる。すなわち、チャネル領域のうち、ゲート絶縁膜と接している面をSi{100}面とすることができる。なお、この面を以下ではチャネル面と呼ぶ。
図27にチャネル面をSi{100}面としたときの特性を示す。チャネル面をSi{100}面したときでは、チャネル領域とゲート絶縁膜との界面準位密度は2×1010cm−2となり、チャネル領域でのキャリア移動度(電子移動度)は600cm/V・sとなる。
本実施形態のようにチャネル面をSi{100}面とすることで、チャネル面がSi{100}面以外の場合と比較して、界面準位密度を低下させることができる。このため、チャネル領域でのキャリア損失を低減させることができる。言い換えると、キャリアの移動度を向上させることができる。したがって、オン状態において、チャネル領域を流れる電流を増加させることができ、ソース・ドレイン間により多くの電流を流すことができる。
また、ゲート用トレンチ6の側面6a、6bと、ゲート用トレンチ6の底面とを同じ面方位としていることから、熱酸化法によりゲート用トレンチ6の内壁上にゲート酸化膜7を形成したとき、ゲート用トレンチ6の側面上でのゲート酸化膜7の膜厚と、ゲート用トレンチ6の底面上でのゲート酸化膜7の膜厚とを同じ大きさとすることができる。
これにより、ゲート用トレンチ6の側面上でのゲート酸化膜7の膜厚からデバイスの設計をしても、上記従来技術の欄にて説明したように、基板面方位をSi{100}面、ゲート用のトレンチの側面及び底面の面方位をそれぞれSi{110}面及びSi{100}面とした場合と比較して、ゲート用トレンチ6の底面上でのゲート酸化膜7の膜厚を大きくすることができる。したがって、ゲート酸化膜7の耐圧を向上させることができる。
なお、本実施形態では、基板表面がSi(100)面であり、エピ用トレンチ2の側面がSi(001)面、Si(00−1)面、Si(010)面、Si(0−10)面である場合を説明してきたが、これらの結晶面に限らず、Si{100}面であれば、他の結晶面とすることもできる。
また、エピ用トレンチ2の側面のうち、トレンチ幅が長い方の一対の側壁2aのみがSi{100}面となるように形成しても良い。トレンチ幅が短い方の側壁2bは、トレンチ幅が長い方と比較して、この半導体装置内に形成されている面積はかなり小さい。このため、少なくとも、トレンチ幅が長い方の一対の側壁2aがSi{100}面となるように、エピ用トレンチ2を形成しても、結晶欠陥を抑制する効果を有する。
図8に本実施形態における第2の例としての3次元パワーMOSFETの平面図を示す。また、図9に図8中の領域Cにおける斜視断面図を示す。このパワーMOSFETは、第1の例のパワーMOSFETに対して、p型リサーフ層20を備えており、いわゆるスーパージャンクション構造となっている。
このp型リサーフ層20は、n型ドリフト領域4内において主表面1a側から垂直方向に複数本離間して延設された構造、すなわちストライプ状の構造となっており、各p型リサーフ層20が電流の流れる方向と平行な方向に延設された構成となっている。言い換えると、n型ドリフト領域4とp型リサーフ層20との互層構造となっており、このようにしてp/nコラム層が構成されている。なお、この他の構成については第1の例のパワーMOSFETと同様であり、同様の部分には、第1の例と同一の符号を付している。
このパワーMOSFETは、第1の例のパワーMOSFETの製造工程に、このp型リサーフ層20を形成する工程を追加することで形成される。
例えば、図2(e)に示す工程の後、ドリフト領域に主表面1a側から垂直方向に複数本離間して、エピ用トレンチ21を形成する。
このとき、平面構造において、エピ用トレンチ2のうち、トレンチ幅の長い方の側面2aと垂直な方向にトレンチ21を形成する。すなわち、トレンチ21のうち、トレンチ幅が長い方の側面21aが、エピ用トレンチ2のトレンチ幅の長い方の側面2aと垂直となり、トレンチ幅が短い方の側面21bが、エピ用トレンチ2のトレンチ幅の長い方の側面2aと平行となるようにトレンチ21を形成する。
これにより、トレンチ21の側面は、全て、Si{100}面となる。また、トレンチ21の底面も基板表面1aと平行に形成されるので、トレンチ21の内壁は全て、Si{100}面となる。その後、このトレンチ21内にエピタキシャル成長法により、p型リサーフ層20を形成する。その後、第1の例と同様に、トレンチゲートを形成する。
この第2の例では、p型リサーフ層20も、内壁面が全てSi{100}面であるトレンチ21内壁上に形成される。このため、図1のパワーMOSFETの場合における効果に加え、p型リサーフ層20の形成においても、トレンチ下側のコーナー部における応力を緩和することができる。また、Si{100}面上に形成されていることからも、このp型リサーフ層20を良好な結晶性とすることができる。
次に、図10に本実施形態における第3の例としての3次元パワーMOSFETの平面図を示す。また、図11に図10中の領域Dにおける斜視断面図を示す。第1の例では、外側から内側に向かって、ソース領域1、ベース領域3、ドリフト領域4、ドレイン領域5が順に配置されていた。これに対して、このパワーMOSFETは、第1の例とは反対に、外側から内側に向かって、ドレイン領域を構成するn型基板1、n型ドリフト領域31、p型ベース領域32、n型ソース領域33が順に配置されている。
また、n型基板1の主表面1aから垂直に、つまり基板深さ方向に略平行にゲート用トレンチ6が形成されている。このゲート用トレンチ6は、n型基板表面1aと平行な方向と、ゲート用トレンチ6の深さ方向において、n型ソース領域33からp型ベース領域32を貫通している。そして、このゲート用トレンチ6の内壁上には、ゲート絶縁膜7を介して、ゲート電極8が形成されている。
このパワーMOSFETでは、基板表面1aがSi(100)面であるn型基板1に形成されたエピ用トレンチ2の内壁上に、n型ドリフト領域31が形成されている。なお、第1の例と同様に、このエピ用トレンチ2の底面2c及び側壁2a、2bは全て、Si{100}面となっている。n型ソース領域33には、ソースコンタクト領域34が形成されている。
また、トレンチゲートにおいても、第1の例と同様に、ベース領域32のうち、ゲート絶縁膜7と接している面は、Si{100}面となっており、第1の例と同様の効果を有している。
次に、このパワーMOSFETの製造工程を説明する。この例では、n型基板1にエピ用トレンチ2を形成した後に、このエピ用トレンチ2内に各層を形成するが、この各層の形成する順序が、第1の例と異なっている。
まず、表面がSi(100)面であるn型基板1を用意する。その後、n型基板1の主表面1aから所定深さのエピ用トレンチ2を形成する。このとき、第1の例と同様に、底面2cと、トレンチ幅が長い方の側面2a及び短い方の側面2bとが、Si{100}面となるように形成する。
その後、エピ用トレンチ2の内壁上に、n型ドリフト領域31、p型ベース領域32、n型ソース領域33を順に、エピタキシャル成長法により形成する。続いて、エピ用トレンチ2の側面のうち、トレンチ幅が長い方の側面2aと垂直な方向と、基板の深さ方向とにおいて、n型ソース領域33からp型ベース領域32を貫通して、第1の例と同様に、ゲート用トレンチ6を形成する。その後、ゲート絶縁膜7、ゲート電極8を形成する。また、n型ソース領域33に、ソースコンタクト領域34を形成する。
このパワーMOSFETの製造方法においても、第1の例と同様の効果を有する。
また、図12に本実施形態の第4の例としての3次元パワーMOSFETの平面図を示す。また、図13に図12中の領域Eの斜視断面図を示す。第3の例のパワーMOSFETは、ソース領域33を挟んで、対称的にゲート電極8が形成されていたが、このように、ゲート電極8がソース領域33にて連続した構造とすることもできる。
そして、さらに、ドリフト層31中にリサーフ層20を備えた構造とすることもでき、第2の例と同様に、いわゆるスーパージャンクション構造とすることができる。このようなパワーMOSFETにおいても、本発明を適用することができる。
(第2実施形態)
図14に第2実施形態の第1の例におけるスーパージャンクション構造のパワーMOSFETの平面図を示す。また、図15に図14中のF−F’断面図を示す。このパワーMOSFETは、幅Gに示す範囲内の構造が一つの単位となっており、実際には、この単位構造が、複数回繰り返して形成されている。
このパワーMOSFETは、半導体基板としてのn型基板41と、p/nコラム層51と、第2半導体領域としてのp型ベース領域44と、上部n型シリコン領域45と、n型ソース領域46と、ゲート電極47とを備えている。なお、p/nコラム層51はn型ドリフト領域42と、第1半導体領域としてのp型シリコン領域43とにより構成されている。
型基板41は、主表面がSi(100)面であり、上下方向の厚さは例えば2μmである。また、このn型基板41は、n型ドレイン領域を構成している。なお、このn型基板41が特許請求の範囲に記載の半導体基板に相当する。
n型ドリフト領域42は、n型基板41上に形成されており、n型基板41と同じ結晶面を有して形成されている。そして、不純物濃度は例えば2.8×1016cm−3であり、幅は例えば1μmであり、厚さは例えば10μmである。なお、これらの数値は、所望の耐圧時にn型ドリフト領域42を完全空乏化できる数値に選択されている。
そして、このn型ドリフト領域42には、第1のトレンチとしてのエピ用トレンチ50が形成されている。本実施形態では、このエピ用トレンチ50は、図14に示すように、開口形状が長方形であり、トレンチ幅が長い方の側面50aと短い方の側面50bの両方がSi{100}面となっている。
具体的には、一対の長い方の側面50aは、1つの面がSi(001)面であり、この面に対向する面がSi(00−1)面である。また、一対の短い方の側面50bは、1つの面がSi(010)面であり、この面に対向する面がSi(0−10)面である。
また、エピ用トレンチ50の底面50cは、n型基板41表面と平行な面であり、Si(100)面である。このように、エピ用トレンチ50の内壁面は、全て、Si{100}面となっている。
そして、このエピ用トレンチ50内に、p型シリコン領域43が形成されている。このp型シリコン領域43の不純物濃度は例えば1×1016cm−3である。また、幅は例えば3μmであり、厚さは例えば10μmである。ただし、後述する上部n型シリコン領域45に挟まれた領域の幅は例えば1μmである。なお、これらの数値は、所望の耐圧時にp型シリコン領域43を完全空乏化できる数値に選択されている。
また、このp型シリコン領域43の底面43c及び側面43a、43bは、これらの面が接しているエピ用トレンチ50の底面50c及び側面50a、50bと同一の結晶面、すなわちSi{100}面となっている。
このようにn型ドリフト領域42とp型シリコン領域43とは、キャリアの移動方向に直交する方向、すなわち、図15では横方向に交互に配置されている。言い換えると、n型ドリフト領域42とp型シリコン領域43は上記したエピ用トレンチ50の側壁でもあるpn接合部50で接合している。
n型ドリフト領域42とp型シリコン領域43の互層構造によって、pn接合部50が横方向に断続的に形成されている。なお、n型ドリフト領域42とp型シリコン領域43との接続面50a、50bのうち、この互層構造が構成されている方向と垂直な方向の接続面50aは、Si{100}面となっている。
これらのn型ドリフト領域42とp型シリコン領域43の互層構造によって、いわゆるスーパージャンクション構造51が形成されている。
p型ベース領域44は、p型シリコン領域43上にて、p型シリコン領域43と直に接して形成されている。この不純物濃度は例えば5×1016cm−3であり、厚さは1.5μmである。p型ベース領域44の表面には、厚さ0.5μmのp型のベースコンタクト領域52が形成されている。
上部n型シリコン領域45は、n型ドリフト領域42の上面と、p型ベース領域44の下面の間、n型ドリフト領域42と第2のトレンチとしてのゲート用トレンチ53の底面53cとの間に配置されている。なお、この上部n型シリコン領域45は、n型ドリフト領域42とp型ベース領域44を繋ぐキャリア通路のほぼ全体を含む領域に配置されている。
本実施形態では、上部n型シリコン領域45の不純物濃度は、例えば1×1016cm−3となっており、n型ドリフト領域42と異なっている。なお、この上部n型シリコン領域45の不純物濃度をn型ドリフト領域42と同様に、2.8×1016cm−3としても良い。
また、上部n型シリコン領域45は、p型ベース領域44とも接しており、さらにp型ベース領域44のうち、n型チャネルが形成される領域44aとも接している。上部n型シリコン領域45は、n型ドリフト領域42およびゲート用トレンチ53より幅広である。
具体的な幅の一例は3μmであり、厚さは1μmである。上部n型シリコン領域45は、n型ドリフト領域42およびゲート用トレンチ53よりも左右方向にほぼ同じ長さだけ幅広である。上部n型シリコン領域45は、ゲート用トレンチ53の底面の2箇所のコーナー部53dを覆っている。
型ソース領域46は、p型ベース領域44の表面に接している。n型ソース領域46の厚さは0.5μmである。
また、ゲート電極47は、表面からベース領域44を貫通するゲート用トレンチ53の内壁上にゲート絶縁膜としてのゲート酸化膜54を介して形成されている。
このゲート用トレンチ53は、図14に示すように、開口形状が長方形であり、n基板1に形成されたエピ用トレンチ50と平行に配置されている。すなわち、このゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の側面53aは、エピ用トレンチ50のトレンチ幅が長い方の側面50aと平行であり、Si{100}面となっている。また、ゲート用トレンチ53の側面上でのゲート酸化膜54aの膜厚と、ゲート用トレンチ53の底面上でのゲート酸化膜54cの膜厚とは同じ大きさである。
なお、図15に示す断面構造においては、例えば、ゲート電極47の幅は1μmであり、深さは2.5μmである。ゲート酸化膜54の幅は0.1μmである。
次に、本実施形態のパワーMOSFETの動作を説明する。図15に示すn型ドレイン領域41には正電圧が印加されており、n型ソース領域46とp型ベースコンタクト領域52は接地されている。この状態でパワーMOSFETをオンすると、すなわち、トレンチゲート電極47に正電圧が印加されると、p型ベース領域44中の電子は領域44aに集まり、n型チャネルが形成される。
これにより、n型ソース領域46から供給された電子は、n型チャネル44a、上部n型シリコン領域45、n型ドリフト領域42の順に流れ、n型ドレイン領域41に達する。
次に本実施形態における半導体装置の製造方法を説明する。図16(a)〜(c)、図17(a)、(b)、図18(a)、(b)、図19に本実施形態における半導体装置の製造工程を示す。
〔図16(a)に示す工程〕
まず、主表面がSi(100)面であり、n型ドレイン領域を構成するn型基板41を用意する。そして、このn型基板41上に、エピタキシャル成長法によってn型ドリフト領域42となるn型層42を形成する。これにより、n型層42の表面はSi(100)面となる。
〔図16(b)に示す工程〕
次に、レジストをマスクにして、第1実施形態における図3(b)、図4、図5に示す工程と同様にドライエッチングを行う。これにより、n型ドリフト領域42を貫通してn型ドレイン領域41に達するエピ用トレンチ50を形成する。このとき、トレンチ幅が長い方の側面50a及び短い方の側面50bの両方がSi{100}面となるように形成する。また、底面50cもSi{100}面となるように形成する。
〔図16(c)に示す工程〕
続いて、エピタキシャル成長法によってエピ用トレンチ50内にp型シリコン層63を形成する。このとき、エピ用トレンチ50の底面50c及び側面50a、50bは、全てSi{100}面であることから、p型シリコン層63を底面50c上と側面50a、50b上にて同一の成長速度でエピタキシャル成長させることができる。
〔図17(a)、(b)に示す工程〕
その後、図17(a)に示すように、n型ドリフト領域42の上面の高さまで、p型シリコン層63を例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化する。このようにして、p/nコラム層51を形成する。
次に、図17(b)に示すように、例えばエピタキシャル成長法によって厚さAのn型層65を成膜する。なお、このn型層65の厚さAは、後の工程にて形成予定の上部n型シリコン領域45の厚さと、p型ベース領域44の厚さを合計した厚さとする。
〔図18(a)に示す工程〕
そして、n型層65のうち、p型シリコン領域43の上に配置された領域の中央付近に例えばイオン注入法によってp型の不純物を添加する。この結果、p型接続領域55が形成され、同時に、p型接続領域55によって区画された上部n型シリコン領域45が形成される。
また、上部n型シリコン領域45の上部の全体の領域に例えばイオン注入法によってp型の不純物を添加する。この結果、p型ベース領域44が形成される。なお、上記したイオン注入法では、イオン注入の速度やドーズ量等を、上部n型シリコン領域45およびp型接続領域55の厚さがCとなるように、また、p型ベース領域44の厚さがBとなるように制御する。
〔図18(b)に示す工程〕
次に、p型ベース領域44のうち、n型ドリフト領域42の直上であって、上部n型シリコン領域45の中央付近の上方に、レジストをマスクにして、ドライエッチングによってp型ベース領域44を貫通して上部n型シリコン領域45に達するゲート用トレンチ53を形成する。
このとき、図14に示すように、エピ用トレンチ50と平行な方向に延びるようにゲート用トレンチ53を形成する。すなわち、ゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の側面53aとエピ用トレンチ50のトレンチ幅が長い方の側面50aとが平行となるようする。
これにより、ゲート用トレンチ53の側面のうち、トレンチ幅が長い方の側面53aをSi{100}面とすることができる。言い換えると、p型ベース領域44のうち、ゲート用トレンチ53が形成された面をSi{100}面とすることができる。
なお、本実施形態では、図18(b)に示すように、ゲート用トレンチ53の開口幅をn型ドリフト領域42の横方向の幅よりも大きくしている。
〔図19に示す工程〕
続いて、ゲート用トレンチ53の側面上と底面上に、例えば熱酸化法により、シリコン酸化膜54を形成する。その後、ゲート用トレンチ53内に形成されたシリコン酸化膜54上に例えばCVD法によってポリシリコンからなるゲート電極47を成膜する。
最後に、図15に示すように、ベース領域44の表面に例えばヒ素やリン等をイオン注入してn型のソース領域46を形成する。また、ベース領域44の表面に例えばボロン等をイオン注入してp型のベースコンタクト領域52を形成する。以上の工程により図14、15に示されるパワーMOSFETが製造される。
本実施形態では、図16(b)に示す工程にて、内壁が全て、Si{100}面であるエピ用トレンチ50を形成している。このため、図16(c)に示す工程で、エピ用トレンチ50の内壁上にエピタキシャル成長法によりp型シリコン領域43を形成する際、エピ用トレンチ50の底面上と側面上にて、同一の成長速度でエピタキシャル成長させることができる。
これにより、p型シリコン領域43の形成において、第1実施形態と同様に、結晶欠陥の発生を抑制し、良好な結晶性のp型シリコン領域43を形成することができる。
また、本実施形態においても、ゲート用トレンチ53の側面53a、53bの面方位と、底面53cの面方位を同じSi{100}面としていることから、熱酸化法でゲート酸化膜54を形成したとき、ゲート用トレンチ53の底面53上でのゲート酸化膜54cの膜厚と、ゲート用トレンチ53の側面53a、53b上でのゲート酸化膜54aの膜厚とを同じ大きさとすることができる。
これにより、ゲート用トレンチ53の側面上でのゲート酸化膜54aの膜厚からデバイスの設計をしても、上記従来技術の欄にて説明したように、基板面方位をSi{100}面、ゲート用トレンチの4つの側面及び底面の面方位をそれぞれSi{110}面及びSi{100}面とした場合と比較して、ゲート用トレンチ53の底面上でのゲート酸化膜54cの膜厚を大きくすることができる。したがって、ゲート酸化膜54の耐圧を向上させることができる。
また、ゲート用トレンチ53の側面をSi{100}、すなわち、チャネル面をSi{100}面としていることから、チャネル領域とゲート絶縁膜との界面準位密度や、電子移動度を、図27に示すように、第1実施形態と同様の大きさとすることができる。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、エピ用トレンチ50の側面のうち、トレンチ幅が長い方の一対の側壁50aのみをSi{100}面となるように形成しても良い。また、ゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の一対の側面53aがSi{100}面であれば、トレンチ幅が短い方の側面53bはSi{100}面に限らず他の面方位とすることもできる。このようにしても、従来と比較して、チャネル移動度を向上させることができ、チャネル領域に流れる電流を増加させることができる。
なお、本実施形態では、n型ドリフト層42に形成されたトレンチ内にp型シリコン層63を埋め込むことで、p/nコラム層51を形成する場合を説明したが、これとは逆の手順にてp/nコラム層51を形成することもできる。すなわち、p型シリコン領域43を先に形成し、このp型シリコン領域43に形成されたトレンチ内にn型ドリフト領域42を埋め込むことで、p/nコラム層51を形成することもできる。
この場合、図16(a)〜(c)の製造工程に替えて、次の工程を行う。まず、主表面がSi(100)面であるn型基板上に、エピタキシャル成長法により、p型シリコン層を形成する。続いて、図16(b)と同様に、p型シリコン層に複数のエピ用トレンチを形成する。このとき、このエピ用トレンチの内壁も全て、Si{100}面となる。
その後、エピ用トレンチ内に、エピタキシャル成長法により、n型層を形成し、CMPを行うことで、図17(a)に示すように、p/nコラム層51が形成される。その後は、図17(b)以下の工程を行う。
この方法においても、内壁が全てSi{100}面であるエピ用トレンチ内にn型ドリフト領域42を形成していることから、結晶欠陥を抑制し、良好な結晶性のn型ドリフト領域42を得ることができる。
また、本実施形態では、エピ用トレンチ50とゲート用トレンチ53とを平行に配置した場合を説明したが、以下にて説明するように、エピ用トレンチ50とゲート用トレンチ53とを垂直に配置することもできる。
図20に本実施形態の第2の例におけるパワーMOSFETの平面図を示す。なお、図20では図14と同様の構成部には同一の符号を付している。図20に示すパワーMOSFETは、トレンチゲート部では、幅G1に示す範囲内の構造が一単位となって、この単位構造が複数回繰り返して形成されており、p/nコラム部では、幅G2に示す範囲内の構造が一単位となって、この単位構造が複数回繰り返して形成された構造となっている。
図20に示すパワーMOSFETでは、ゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の側面53aとエピ用トレンチ50のトレンチ幅が長い方の側面50aとが垂直となるようにゲート用トレンチ53が配置されている。また、ゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の側面53aとトレンチ幅が短い方の側面53bとのなす角が垂直となっている。このようにしても、ゲート用トレンチ53の内壁面を全てSi{100}面とすることができる。
また、本実施形態の第1、第2の例では、n型ドリフト領域42の上に上部n型シリコン領域45が配置された構造を例として説明したが、この上部n型シリコン領域45が配置されていない構造とすることもできる。この場合、ゲート用トレンチ53がn型ドリフト領域42に到達している構造とする。
なお、上部n型シリコン領域45が配置された構造と配置されない構造とでは、上部n型シリコン領域45が配置された構造とする方が好ましい。これは、以下の理由による。
図15に示す構造において、上部n型シリコン領域45が配置されていない場合、トレンチ53の底面コーナー部53dはp型シリコン領域43に存在する。この場合、p型シリコン領域43中のトレンチ53の底面コーナー部53d近傍にて電界集中するため、耐圧が低下してしまう。これに対して、図15に示すように、上部n型シリコン領域45が配置された場合では、電界集中する領域が上部n型シリコン領域45に位置し、p型シリコン領域43に存在しない。この結果、上部n型シリコン領域45が配置されない場合と比較して、耐圧を向上させることができる。
更に、エピ用トレンチ50とゲート用トレンチ53を垂直に配置することによって、マスクの位置合わせズレが生じてもゲート用トレンチとn型ドリフト領域42と接する面積はほぼ一定となるため、素子特性のバラツキは発生しなくなるといった利点がある。
(第3実施形態)
第2実施形態ではスーパージャンクション構造のパワーMOSFETにて、基板面方位がSi{100}面である基板を用いた場合について説明したが、本実施形態では、基板面方位がSi{110}面である基板を用いる場合について説明する。
図21、22に本実施形態におけるスーパージャンクション構造のパワーMOSFETを示す。図21(a)はP/Nコラム層の平面レイアウトを示しており、図21(b)はトレンチゲートの平面レイアウトを示している。また、図22は斜視断面図であり、図21(a)中のH−H’線断面を含む図である。なお、図21、22では、図14、15に示すパワーMOSFETと同様の構成部には同一の符号を付している。
本実施形態のパワーMOSFETが第2実施形態のパワーMOSFETと主に異なるのは、n型基板41表面の面方位と、エピ用トレンチ50及びゲート用トレンチ53の内壁の面方位である。
図21、22に示すパワーMOSFETは、具体的に、基板面方位がSi{100}面であるn型基板41と、p/nコラム層51と、p型ベース領域44と、p型チャネル層61と、n型ソース領域46と、ゲート電極47とを備えている。なお、このパワーMOSFETは、ベース領域44がp型からp型に代わり、上部n型シリコン領域45を有さず、新たにp型チャネル層61を備えている点も第2実施形態のパワーMOSFETと異なる。なお、ベース領域44及びp型チャネル層61本発明の第2導電型の第2半導体領域に相当する。
本実施形態においても、p/nコラム層51はn型ドリフト領域42及びp型シリコン領域43により構成されている。n型ドリフト領域42はn型基板41の上に形成されており、n型ドリフト領域42の表面及び底面はn型基板41と同じ面方位である。p型シリコン領域43はn型ドリフト領域42に形成されたエピ用トレンチ50にエピタキシャル成長膜が埋め込まれることで形成されている。
図21(a)に示すように、n型ドリフト領域42に形成された1つのエピ用トレンチ50の開口形状は、隣り合う辺の長さが異なり、かつ、内角の1つが70.5°である平行四辺形である。また、エピ用トレンチ50の平面レイアウトは、複数のエピ用トレンチ50が平行に並んだストライプ状となっている。
そして、平行四辺形の各辺、すなわち、トレンチ幅が長い方の側面50aと短い方の側面50bの両方とも、Si{111}面となっている。具体的には、トレンチ幅が長い方の側面50aの1つはSi(−111)面、トレンチ幅が短い方の側面50bの1つはSi(−11−1)面となっている。また、エピ用トレンチ50の底面50cは、n型基板41表面と平行な面であり、Si(110)面となっている。
したがって、エピ用トレンチ50の内部に形成されているp型シリコン領域43の平面レイアウトも、細長い平行四辺形のp型シリコン領域43が、複数互いに平行に並んでいるストライプ状となっている。p型シリコン領域43の側面43a、43b及び底面43cは、これらの面が接しているエピ用トレンチ50の側面50a、50b及び底面50cと同一の結晶面となっている。
このように本実施形態では、p/nコラム層51を構成するn型ドリフト領域42及びp型シリコン領域43との接続面50のうち、互層構造が構成されている横方向と垂直な面50aがSi{111}面となっている。なお、本実施形態では、残りの接続面50bもSi{111}面となっている。
また、ゲート電極47は、図21(a)、(b)に示すように、アクティブ領域62にてストライプ状に配置されており、表面からp型チャネル層61及びベース領域44を貫通し、p/nコラム層51に到達する深さであるゲート用トレンチ53の内部にゲート酸化膜54を介して形成されている。
ここで、図21(b)に示すように、ゲート用トレンチ53の開口形状は長方形であり、複数のゲート用トレンチ53が平行に配置されている。すなわち、ゲート用トレンチ53の平面パターンはストライプ状となっている。ゲート用トレンチ53は、長方形の長い方の辺、つまり、トレンチ幅が長い方の側面53aが、Si{100}面となるように配置されている。
具体的には、ゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の側面53aはSi(001)面、トレンチ幅が短い方の側面53bはSi(110)面となっている。この場合、ゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の側面53aと、エピ用トレンチ50のトレンチ幅が長い方の側面50aとのなす角度は54.7°である。
また、ゲート酸化膜54は、ゲート用トレンチ53の底面53c上での膜厚54cが、ゲート用トレンチ53の側面53a、53b上での膜厚54a、54bよりも大きくなっている。
また、本実施形態では、図22に示すように、n型ソース領域46及びp型のベースコンタクト領域52の平面レイアウトも、ゲート電極47と同様に、ストライプ状となっている。
上述したように、本実施形態のパワーMOSFETでは、ストライプ状に配置されているp型シリコン領域43と、同じくストライプ状に配置されているゲート電極47とにおいて、ストライプの向きが異なっている。
次に本実施形態における半導体装置の製造方法を説明する。図23(a)〜(d)、図24(a)〜(c)に本実施形態における半導体装置の製造工程を示す。
〔図23(a)に示す工程〕
主表面がSi{110}面であるn型基板41を用意する。なお、このn型基板41がドレイン領域となる。そして、n型基板41の上にエピタキシャル成長法によってn型ドリフト領域42を形成する。
〔図23(b)に示す工程〕
図示しないが、n型ドリフト領域42の表面上にシリコン酸化膜を形成し、フォトリソグラフィによりパターニングする。このパターニングされたシリコン酸化膜をマスクとして、n型ドリフト領域42に対してエッチングを行い、開口形状が例えば平行四辺形であるエピ用トレンチ50を形成する。このときのエッチング方法は、TMAH、KOH等の異方性のウェットエッチング溶液を用いた異方性ウェットエッチングとする。
ここで、エピ用トレンチ50の内壁の面方位について説明する。図25、26に半導体ウェハのオリエンテーションフラットとエピ用トレンチ50との位置関係を示し、また、後述するゲート用トレンチ53も合わせて示す。
なお、図25、26には、マスク設計の容易化の観点より、オリエンテーションフラット41cを、エピ用トレンチ50の側面50a、50b若しくはゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の側面53aに対して、平行又は垂直とする場合を示している。また、図中ではオリエンテーションフラットをオリフラ、OFと記している。
以下では、一例として図25中の丸付き数字1に示す位置関係にて、エピ用トレンチ50を形成する場合を説明する。基板面方位がSi(110)面であり、オリエンテーションフラット41cがSi(−111)面である半導体ウェハ41を用いる場合、トレンチ幅が長い方の側面50aをオリエンテーションフラット41cと平行とする。また、トレンチ幅が短い方の側面50bとオリエンテーションフラット41cとのなす角度が、オリエンテーションフラット41cを基準にして反時計回り方向で109.5°となるようにエピ用トレンチ50を形成する。
これにより、トレンチ幅が長い方の側面50aはSi(−111)面、トレンチ幅が短い方の側面50bをSi(−11−1)面となる。すなわち、エピ用トレンチ50の側面50a及び50bの面方位はSi{111}面となる。
また、エピ用トレンチ50の底面50cを基板表面と平行とすることで、底面50cの面方位をSi(110)面とする。なお、エピ用トレンチ50の幅は0.1〜50μmとする。また、エピ用トレンチ50の深さは1〜50μmとし、n型ドリフト領域42の厚さ以下とする。
エピ用トレンチ50を形成した後、例えば、HF水溶液を用いたエッチングにより、トレンチエッチングにてマスクとして用いたシリコン酸化膜を除去する。
〔図23(c)に示す工程〕
LP−CVDでのエピタキシャル成長法により、エピ用トレンチ50内にp型シリコン層63を形成する。
〔図23(d)に示す工程〕
p型シリコン層63の表面をCMP法により、n型ドリフト領域42と同じ高となるように研磨し平坦化する。このようにしてn型ドリフト領域42及びp型シリコン領域43とによって構成されたp/nコラム層51を形成する。なお、CMP法による研磨の代わりに、ドライエッチングによるエッチバックにてp型シリコン層63を平坦化することもできる。
〔図24(a)に示す工程〕
p/nコラム層51の上にLP−CVD法でのエピタキシャル成長法により、p型ベース領域44となるp型シリコン層64を形成する。
〔図24(b)に示す工程〕
イオン注入及び熱拡散により、p型シリコン層64の表層にp型チャネル層61及びn型ソース領域46を形成する。
なお、図23(c)〜図24(b)に示す工程は次のように変更することもできる。例えば、図23(d)に示す工程にて、n型ドリフト領域42よりも上側に位置するp型シリコン層63を完全に除去せず、n型ドリフト領域42よりも上側にp型シリコン層63を残すことで、図24(a)に示す工程を省略することもできる。この場合、残されたp型シリコン層63をp型チャネル層61として用いることができる。
また、他の例として、図23(d)に示す工程の後、図24(a)に示す工程を省略し、p/nコラム層51の表層に対してイオン注入することで、p/nコラム層51の表面に直接p型チャネル層61、n型ソース領域46を形成することもできる。
〔図24(c)に示す工程〕
エッチングによりゲート電極用のゲート用トレンチ53を形成する。エッチング方法はRIEによるドライエッチングとする。このとき、ゲート用トレンチ53の開口形状を長方形とし、ゲート用トレンチ53の側面53aの面方位をSi{100}面、ゲート用トレンチ53の底面53cの面方位をSi{110}面とする。
具体的には、図25中の丸付き数字1に示すように、オリエンテーションフラット41cがSi(−111)面のとき、オリエンテーションフラット41cに対して、トレンチ幅が長い方の側面53aが54.7°をなすようにゲート用トレンチ53を形成する。これにより、トレンチ幅が長い方の側面53aはSi(001)面、すなわち、Si{100}面となる。
また、トレンチ幅が短い方の側面53bをトレンチ幅が長い方の側面53aに対して垂直となるようにする。これにより、トレンチ幅が短い方の側面53bは、ゲート用トレンチ53の底面53cと同様に(110)面となる。
その後、熱酸化法により、ゲート用トレンチ53の内壁上にゲート酸化膜54を形成する。さらに、ゲート酸化膜54を介して、ゲート用トレンチ53内にゲート電極47を形成する。そして、n型ソース領域46中にp型ベースコンタクト領域52を形成する。また、図示しないが、ソース電極、ドレイン電極等を形成する。このようにして、図21、22に示すパワーMOSFETを製造することができる。
本実施形態では、図23(b)に示す工程にて、ウェットエッチングによりエピ用トレンチ50を形成している。このため、ドライエッチングによりエピ用トレンチを形成する場合と比較して、エピ用トレンチ50の内壁へのダメージを小さくし、結晶欠陥の生成を少なくすることができる。
これにより、エピ用トレンチ50の内部にエピタキシャル成長法でp型シリコン層63を形成した場合、ドライエッチングにてエピ用トレンチ50を形成したときと比較して、p型シリコン層63に結晶欠陥が発生するのを抑制することができる。
また、ウェットエッチング処理はバッチ式のエッチング漕を用いることが可能である。このため、枚葉式に処理されることが一般的であるRIE等のドライエッチングにてエピ用トレンチ50を形成した場合と比較して、工程コストを低減することができる。
また、本実施形態ではゲート電極用のゲート用トレンチ53において、トレンチ幅が長い方の側面53aの面方位をSi{100}面、ゲート用トレンチ53の底面53cの面方位をSi{110}面としている。すなわち、本実施形態のパワーMOSFETにおいても、第1、第2実施形態と同様に、チャネル面をSi{100}面としている。
ここで、図27に本実施形態におけるチャネル領域での電子移動度及び界面準位密度の大きさと、トレンチ底面上とトレンチ側面上とにおけるゲート酸化膜の膜厚の比較結果とを示す。また、同様に、上記従来技術の欄にて説明したように、チャネル面をSi{111}面としたときの電子移動度、界面準位密度等を図27に示す。
本実施形態では、ゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の側面53a及び底面53cの面方位をそれぞれ、Si{100}面及びSi{110}面としていることから、熱酸化法にてゲート酸化膜54を形成したとき、ゲート用トレンチ53の底面53上でのゲート酸化膜54cの膜厚を、ゲート用トレンチ53の側面53a上でのゲート酸化膜54aの膜厚よりも大きくすることができる。
また、ゲート用トレンチ53のトレンチ幅が短い方の側面53bをSi{111}面としていることから、ゲート用トレンチ53の底面53上でのゲート酸化膜54cの膜厚と、ゲート用トレンチ53の側面53b上でのゲート酸化膜54bの膜厚とを同じ大きさとすることができる。
これにより、ゲート用トレンチ53の側面上でのゲート酸化膜54aの膜厚からデバイスの設計をしても、上記従来技術の欄にて説明したように、基板面方位をSi{110}面、トレンチゲート用のトレンチの側面をSi{111}面とした場合と比較して、ゲート用トレンチ53の底面上でのゲート酸化膜54の膜厚を大きくすることができる。したがって、ゲート酸化膜54の耐圧を向上させることができる。
また、図27に示すように、従来のようにチャネル面をSi{111}面とした場合、チャネル領域とゲート絶縁膜との界面準位密度は1.7×1011cm−2、電子移動度は430cm/V・sであった。
これに対して、本実施形態では、チャネル領域とゲート絶縁膜との界面準位密度は2×1010cm−2となり、チャネル領域での電子移動度は600cm/V・sとなる。
このように、本実施形態では主なチャネル面をSi{100}面としているので、チャネル面をSi{111}面とした場合と比較して、界面準位密度を小さくし、電子移動度を大きくすることができる。
また、本実施形態では、基板面方位がSi{110}面である基板を用いて、図25中の丸付き数字1に示す位置関係にて、エピ用トレンチ50及びゲート用トレンチ53を形成したが、図25中の丸付き数字2〜丸付き数字4、図26中の丸付き数字5〜丸付き数字8に示す位置関係にて、エピ用トレンチ50及びゲート用トレンチ53を形成することもできる。
なお、図25、26中の丸付き数字2〜丸付き数字8では、エピ用トレンチ50の開口形状を1つの内角が70.5である平行四辺形とし、ゲート用トレンチ53の開口形状を長方形とする場合を示している。また、図25中の丸付き数字1、丸付き数字2はオリエンテーションフラット41cをSi{111}面とした場合、図25中の丸付き数字3、丸付き数字4はオリエンテーションフラット41cをSi{112}面とした場合、図26中の丸付き数字5、6はオリエンテーションフラット41cをSi{100}面とした場合、図26中の丸付き数字7、丸付き数字8はオリエンテーションフラット41cをSi{110}面とした場合を示している。
図25中の丸付き数字2に示すように、オリエンテーションフラット41cをSi(−11−1)面とした場合では、エピ用トレンチ50のトレンチ幅が長い方の側面50aをオリエンテーションフラット41cと平行とし、ゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の側面53aとオリエンテーションフラット41cとのなす角度を125.2°とする。
なお、ここでいうオリエンテーションフラット41cとのなす角度とは、オリエンテーションフラット41cの延長線と、各側面を構成する辺の延長線とがなす角度であって、オリエンテーションフラット41cを基準にして反時計回り方向でなす角度を意味し、以下においても同様である。
図25中の丸付き数字3に示すように、オリエンテーションフラット41cをSi(2−1−1)面とした場合では、エピ用トレンチ50のトレンチ幅が長い方の側面50aをオリエンテーションフラット41cと垂直とし、ゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の側面53aとオリエンテーションフラット41cとのなす角度を144.7°とする。
また、図25中の丸付き数字4に示すように、オリエンテーションフラット41cをSi(121)面とした場合では、エピ用トレンチ50のトレンチ幅が長い方の側面50aをオリエンテーションフラット41cと垂直とし、ゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の側面53aとオリエンテーションフラット41cとのなす角度を35.2°とする。
また、図26中の丸付き数字5、丸付き数字6に示すように、オリエンテーションフラット41cをSi(001)面とした場合では、エピ用トレンチ50のトレンチ幅が長い方の側面50aとオリエンテーションフラット41cとのなす角度を125.3°若しくは54.8°とし、ゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の側面53aをオリエンテーションフラット41cと平行とする。
また、図26中の丸付き数字7、丸付き数字8に示すように、オリエンテーションフラット41cをSi(−1−10)面とした場合では、エピ用トレンチ50のトレンチ幅が長い方の側面50aとオリエンテーションフラット41cとのなす角度を35.3°若しくは144.8°とし、ゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の側面53aをオリエンテーションフラット41cと垂直とする。
なお、図25、26中の丸付き数字1〜丸付き数字8に示すように、エピ用トレンチ50のトレンチ幅が長い方の側面50aは、丸付き数字1、丸付き数字3、丸付き数字5、丸付き数字7のとき、Si(−111)面となり、丸付き数字2、丸付き数字4、丸付き数字6、丸付き数字8のとき、Si(−11−1)面となる。また、エピ用トレンチ50のトレンチ幅が長い方の側面50aと、ゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の側面53aとのなす角は、丸付き数字1、丸付き数字3、丸付き数字5、丸付き数字7のとき、54.7°となり、丸付き数字2、丸付き数字4、丸付き数字6、丸付き数字8のとき、125.2°となる。
また、本実施形態においても、エピ用トレンチ50の側面50a、50bのうち、トレンチ幅が長い方の一対の側面50aのみをSi{111}面となるように形成しても良い。また、ゲート用トレンチ53のトレンチ幅が長い方の一対の側面53aがSi{100}面であれば、トレンチ幅が短い方の側面53bはSi{110}面に限らず他の面方位とすることもできる。このようにしても、従来と比較して、チャネル移動度を向上させることができ、チャネル領域に流れる電流を増加させることができる。
また、本実施形態では、図23(a)〜(d)に示す工程にて、n型ドリフト層42に形成されたトレンチ内にp型シリコン層63を埋め込むことで、p/nコラム層51を形成する場合を説明したが、これとは逆の手順にてp/nコラム層51を形成することもできる。すなわち、p型シリコン領域43を先にn型基板41の上にエピタキシャル成長法により形成し、このp型シリコン領域43に形成されたトレンチ内にn型ドリフト領域42を埋め込むこともできる。このとき、トレンチの側面及び底面の面方位は本実施形態と同様とする。
(第4実施形態)
図28に本実施形態におけるパワーMOSFETの平面図を示す。なお、図中のI−I‘線断面図は図14と同様であり、また、図28では図20、21、22に示すパワーMOSFETと同様の構成部には同一の符号を付している。
本実施形態のパワーMOSFETは、第3実施形態における図21、22に示すパワーMOSFETに対して、p/nコラム層51の上にn型ドリフト領域42よりも横方向の幅が広い上部n型シリコン領域45を配置したものである。すなわち、第3実施形態におけるパワーMOSFETに対して、図14に示すように、チャネルとなるp型ベース領域44とp/nコラム層51との間に上部n型シリコン領域45を配置することもできる。
なお、本実施形態におけるパワーMOSFETの製造方法は、第2実施形態にて説明した製造方法に対してトレンチゲートの配置を変更したものであり、その他は第2実施形態と同じであるため説明を省略する。
(他の実施形態)
第2、第3、第4実施形態では、n型基板41の上にn型ドリフト領域42となるエピタキシャル成長膜を形成し、そのエピタキシャル成長膜にエピ用トレンチ50を形成する場合を説明したが、n型基板41及びn型ドリフト領域42の代わりにN型基板を用いることもできる。この場合、N型基板のうち、表面からエピ用トレンチ50の深さと同じ深さまでの領域がn型ドリフト領域42となり、エピ用トレンチ50よりも深い領域がドレイン領域となる。
なお、上記した各実施形態では、第1導電型をn型、第2導電型をp型として、nチャネル型のパワーMOSFETについて説明してきたが、各構成要素の導電型が逆となるpチャネル型パワーMOSFETについても、本発明を適用することができる。また、上記した各実施形態ではパワーMOSFETを例に挙げて説明してきたが、ドレインがコレクタに代わり、ソースがエミッタに代わったIGBTやサイリスタについても本発明を適用することができる。
1、41 n型基板
2、6、50、53 トレンチ
3、32、44 p型ベース領域
4、31 n型ドリフト領域
5 n型ドレイン領域
7、54 ゲート酸化膜
8、47 ゲート電極
33、46 n型ソース領域
20 リサーフ層
42 n型ドリフト領域
43 p型シリコン領域
45 上部n型シリコン層
61 p型チャネル層
62 アクティブ領域
63 p型シリコン層
64 p型シリコン層。

Claims (11)

  1. 主表面(1a)がSi{100}面であり、ソース領域を構成する第1導電型の半導体基板(1)を用意する工程と、
    前記半導体基板(1)の所定領域にて、前記主表面(1a)側から垂直方向に、底面(2c)と、4つの側面のうち、少なくともトレンチ幅が長い方の向かい合う一対の側面(2a)とがSi{100}面である第1のトレンチ(2)を形成する工程と、
    前記第1のトレンチ(2)の内壁を覆うように、かつ、前記第1のトレンチの凹みが残るように、第2導電型のベース領域(3)を構成するベース形成用膜(12)をエピタキシャル成長法により成膜する工程と、
    前記第1のトレンチ(2)内の前記ベース領域(3)を覆うように、かつ、前記第1のトレンチ(2)の凹みが残るように、第1導電型のドリフト領域(4)を構成するドリフト形成用膜(13)を成膜する工程と、
    前記第1のトレンチ(2)内の前記ドリフト領域(4)を覆うように、第1導電型のドレイン領域(5)を構成するドレイン形成用膜(14)を成膜する工程と、
    前記ベース形成用膜(12)、前記ドリフト形成用膜(13)、及び前記ドレイン形成用膜(14)のそれぞれを平坦化する工程と、
    前記主表面(1a)と平行な方向において、前記ソース領域(1)から前記ベース領域(3)を貫通するように、かつ、前記主表面(1a)側から該主表面(1a)に対して垂直な方向に第2のトレンチ(6)を形成する工程と、
    前記第2のトレンチ(6)内にゲート絶縁膜(7)を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜(7)の表面にゲート電極(8)を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 主表面(1a)がSi{100}面であり、ドレイン領域を構成する第1導電型の半導体基板(1)を用意する工程と、
    前記半導体基板(1)の所定領域にて、前記主表面(1a)側から垂直方向に、底面(2c)と、4つの側面のうち、少なくともトレンチ幅が長い方の向かい合う一対の側面(2a)とがSi{100}面である第1のトレンチ(2)を形成する工程と、
    前記第1のトレンチ(2)の内壁を覆うように、かつ、前記第1のトレンチ(2)の凹みが残るように、第1導電型のドリフト領域(31)を構成するドリフト形成用膜をエピタキシャル成長法により成膜する工程と、
    前記第1のトレンチ(2)内の前記ドリフト領域(31)を覆うように、かつ、前記第1のトレンチ(2)の凹みが残るように、第2導電型のベース領域(32)を構成するベース形成用膜を成膜する工程と、
    前記第1のトレンチ(2)内の前記ベース領域(32)を覆うように、第1導電型のソース領域(33)を構成するソース形成用膜を成膜する工程と、
    前記ドリフト形成用膜、前記ベース形成用膜、及び前記ソース形成用膜のそれぞれを平坦化する工程と、
    前記主表面(1a)と平行な方向において、前記ソース領域(33)から前記ベース領域(32)を貫通するように、かつ、前記主表面(1a)側から該主表面(1a)に対して垂直な方向に第2のトレンチ(6)を形成する工程と、
    前記第2のトレンチ(6)内にゲート絶縁膜(7)を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜(7)の表面にゲート電極(8)を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 前記ドリフト形成用膜を成膜する工程の後に、
    前記ドリフト領域(4、31)にて、前記主表面から垂直方向に、底面及び4つの側面のうち、少なくともトレンチ幅が長い方の向かい合う一対の側面(21a)がSi{100}面である第3のトレンチ(21)を形成する工程と、
    前記第3のトレンチ(21)内に、エピタキシャル成長法により、第2導電型のリサーフ層(20)を形成する工程とを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記第2のトレンチ()を形成する工程では、前記第2のトレンチ()の内壁がSi{100}面となるように前記第2のトレンチ()を形成することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記第1のトレンチ()を形成する工程では、前記側面(2a、2b)は全て、Si{100}面となるように前記第1のトレンチ()を形成することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記半導体基板()として、位置合わせ用の切り欠き(1c)がSi{100}面と平行に形成された半導体ウェハを用い、
    前記第1のトレンチ()を形成する工程では、前記切り欠き(1c)に対して、前記トレンチ幅が長い方の向かい合う一対の側面(2a)が平行若しくは垂直となるように、前記第1のトレンチ()を形成することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記半導体基板()として、位置合わせ用の切り欠き(1c)がSi{110}面と平行に形成された半導体ウェハを用い、
    前記第1のトレンチ()を形成する工程では、前記切り欠き(1c)に対して、前記トレンチ幅が長い方の向かい合う一対の側面(2a)が45°の角度をなすように、前記第1のトレンチ()を形成することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記第1のトレンチ()を形成する工程では、ドライエッチングにより、前記第1のトレンチ()を形成することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  9. 主表面(1a)がSi{100}面であり、第1導電型のソース領域を構成する半導体基板(1)と、
    前記半導体基板のうち、前記主表面(1a)から垂直方向に延設され、底面及び4つの側面を有し、前記底面と前記側面のうち少なくとも前記主表面(1a)と平行な方向の幅が長い方の一対の側面とがSi{100}面である第2導電型のベース領域(3)と、
    前記ベース領域(3)内にて、前記主表面(1a)から垂直方向に延設され、前記半導体基板(1)よりも低濃度な第1導電型のドリフト領域(4)と、
    前記ドリフト領域内において、前記ベース領域(3)から離れるように配置され、前記主表面(1a)から垂直方向に延設されたドレイン領域(5)と、
    前記主表面(1a)から垂直方向に延設されていると共に、前記主表面(1a)と平行な方向において、前記ソース領域を構成する半導体基板(1)から前記ベース領域(3)を貫通して、前記ドリフト領域(4)に達するように形成され、前記ベース領域(3)における側面がSi{100}面であるトレンチ(6)と、
    前記トレンチ(6)の表面に形成されたゲート絶縁膜(7)と、
    前記ゲート絶縁膜(7)の表面に形成されたゲート電極(8)とを備えていることを特徴とする半導体装置。
  10. 主表面(1a)がSi{100}面であり、第1導電型のドレイン領域を構成する半導体基板(1)と、
    前記半導体基板(1)のうち前記主表面(1a)から該主表面(1a)の垂直方向に延設され、底面及び4つの側面を有し、前記底面と、前記側面のうち少なくとも前記基板表面と平行な方向の幅が長い方の一対の側面とがSi{100}面であり、前記半導体基板(1)よりも低濃度な第1導電型のドリフト領域(31)と、
    前記ドリフト領域内にて、前記主表面(1a)から垂直方向に延設された第2導電型のベース領域(32)と、
    前記ベース領域内に形成され、前記主表面から垂直方向に延設された第1導電型のソース領域(33)と、
    前記主表面(1a)側から掘られ、前記主表面(1a)と平行を成す一方向において、前記ソース領域(33)から前記ベース領域(32)を貫通するように形成され、前記ベース領域(33)における側面がSi{100}面であるトレンチ(6)と、
    前記トレンチ(6)の表面に形成されたゲート絶縁膜(7)と、
    前記ゲート絶縁膜の表面に形成されたゲート電極(8)とを備えていることを特徴とする半導体装置。
  11. 前記ドリフト領域(4、31)には、前記主表面(1a)から垂直方向に延設され、底面及び4つの側面を有し、前記底面と前記側面のうち少なくとも、前記主表面(1a)と平行な方向の幅が長い方の側面がSi{100}面である第2導電型のリサーフ層(20)が備えられていることを特徴とする請求項又は10に記載の半導体装置。
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