図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。
半導体装置1は、トレンチゲート型VDMOSFETの単位セルがマトリクス状に配置された構造を有している。なお、図1では、複数の単位セルのうちの一部が示されている。
半導体装置1は、その基体をなすN+型のシリコンからなる基板2を備えている。基板2上には、基板2よりもN型不純物が低濃度にドーピングされたN型のシリコンからなる、エピタキシャル層3が積層されている。エピタキシャル層3の基層部は、エピタキシャル成長後のままの状態が維持されたN型のドレイン領域4をなしている。また、エピタキシャル層3には、ドレイン領域4上に、P型のボディ領域5がドレイン領域4に接して形成されている。
エピタキシャル層3には、ゲートトレンチ6がその表面31から掘り下がって形成されている。ゲートトレンチ6は、図1における左右方向に一定の間隔を空けて複数形成され、それらが互いに平行をなして、図1の紙面と直交する方向(以下、この方向を「ゲート幅に沿う方向」ということがある。)に延びている。ゲートトレンチ6は、断面視において、互いに対向する平面状の1対の側面61と、1対の側面61の下端において、これらを連設する曲面状の底面62とが一体的に形成される断面視略U字状に形成されている。断面視略U字状のゲートトレンチ6は、ボディ領域5を層厚方向に貫通し、その最深部(底面62)がドレイン領域4に達している。なお、ゲートトレンチ6は、図1で示されない側面および底面を有している。以下では、特に断りがない限り、側面61および底面62は、図1で示されない側面および底面を含むものとする。
ゲートトレンチ6内には、側面61および底面62の全域を覆うように、酸化シリコンからなるゲート絶縁膜7が形成されている。
そして、ゲート絶縁膜7の内側をN型不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコンで埋めることにより、ゲートトレンチ6内にゲート電極8が埋設されている。
エピタキシャル層3には、ドレイン領域4にゲートトレンチ6の底面62からエピタキシャル層3の層厚方向に離間して、P型不純物を含むP型領域11が形成されている。P型領域11は、エピタキシャル層3の一部として基板2の表面21に接している。P型領域11は、ゲート幅と直交する方向(図1における左右方向)において、その中央部から両端部にかけてエピタキシャル層3の層厚方向における厚さが連続的に薄くなる断面視半楕円形状に形成されている。また、P型領域11は、ゲート幅と直交する方向(図1における左右方向)においてゲートトレンチ6の幅よりも広い幅を有している。したがって、ゲートトレンチ6よりも幅広のP型領域11は、側面61と底面62とにより形成されるゲートトレンチ6の両角部63に対向している。P型領域11のP型不純物濃度は、たとえば、1E16〜1E18cm−3である。
エピタキシャル層3の表層部には、ゲートトレンチ6に対してゲート幅と直交する方向(図1における左右方向)の両側に、ドレイン領域4のN型不純物濃度よりも高いN型不純物濃度(たとえば、1E19cm−3)を有するN+型のソース領域9が形成されている。ソース領域9は、ゲートトレンチ6に沿ってゲート幅に沿う方向に延び、その底部がボディ領域5に接している。
また、エピタキシャル層3には、その表面31から、ゲート幅と直交する方向におけるソース領域9の中央部を貫通し、ボディ領域5に接続されるP+型のボディコンタクト領域10が形成されている。ボディコンタクト領域10は、エピタキシャル層3の層厚方向におけるボディ領域5の底部にまで広がっている。
すなわち、ゲートトレンチ6およびソース領域9は、ゲート幅と直交する方向に交互に設けられ、それぞれゲート幅に沿う方向に延びている。そして、ソース領域9上に、そのソース領域9に沿って、ゲート幅と直交する方向に隣接するユニットセル間の境界が設定されている。ボディコンタクト領域10は、ゲート幅と直交する方向に隣接する2つのユニットセル間に跨って少なくとも1つ以上設けられている。また、ゲート幅に沿う方向に隣接するユニットセル間の境界は、各ユニットセルに含まれるゲート電極8が一定のゲート幅を有するように設定されている。
エピタキシャル層3上には、SiO2からなる層間絶縁膜13が積層されている。層間絶縁膜13上には、ソース配線14が形成されている。そして、ソース配線14は、層間絶縁膜13に形成されたコンタクトホール15を介して、ソース領域9およびボディコンタクト領域10に電気的に接続されている。
ゲート電極8には、層間絶縁膜13に形成されたコンタクトホール(図示せず)を介して、ゲート配線16が電気的に接続されている。
基板2の裏面には、ドレイン電極17が形成されている。
そして、半導体装置1を動作させるには、図1に示すように、ソース配線14を接地し、ドレイン電極17に適当な大きさの正電圧を印加する。これにより、N型のドレイン領域4とP型のボディ領域5との接合(pn接合)が逆方向バイアス状態となり、すなわち、ソース−ドレイン間が逆バイアス状態となる。この状態から、ゲート電極8の電位を制御することにより、ボディ領域5におけるゲート絶縁膜7との界面近傍に電子を誘起させてチャネルを形成することができる。
そして、このチャネルを介して、ソース−ドレイン間(ソース領域9とドレイン領域4との間)が導通状態(オン状態)となる。
ドレイン電極17からの電流は、基板2およびドレイン領域4をゲートトレンチ6の底面62へ向かって流れる。
半導体装置1では、ゲートトレンチ6の底面62からエピタキシャル層3の層厚方向に離間して、ゲートトレンチ6よりも幅広のP型領域11が形成されている。ソース−ドレイン間の導通状態では、N型のドレイン領域4とP型領域11との接合(pn接合)が逆バイアス状態になっている。
そのため、電流は、ゲートトレンチ6の底面62へ向かう方向の流れがP型領域11により阻止される。したがって、底面62へ向かう電流は、図1の矢印ID1で示されるように、底面62に対向するP型領域11を避けるように流れ、ボディ領域5に形成されたチャネルへ流れる。そのため、ゲートトレンチ6の角部63やその周辺への電流の集中を抑制することができる。その結果、ゲート絶縁膜7の絶縁破壊を抑制することができる。
図2A〜図2Kは、図1に示す半導体装置1の製造方法を工程順に示す模式的な断面図である。
まず、図2Aに示すように、基板2上に、基板2の表面21を選択的に露出させる開口18を有するSiO2からなるマスク12が形成される。次いで、図2Bに示すように、開口18から露出する表面21に対して、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)が垂直方向に入射される。これにより、P型不純物が、開口18を介して基板2の表層部に注入される。P型不純物を注入するときの注入エネルギーは、たとえば、10k〜100keVであり、ドーズ量は、たとえば、1E11〜1E14cm−2である。
P型不純物の注入後、マスク12が除去される。次いで、図2Cに示すように、エピタキシャル成長法により、基板2上に、エピタキシャル層3が形成される。
続いて、基板2が、たとえば、900〜1150℃でアニール処理される。これにより、基板2に注入されたP型不純物がエピタキシャル層3へ拡散し、図2Dに示すように、基板2に接するP型領域11がエピタキシャル層3内に形成される。
次いで、熱酸化処理により、エピタキシャル層3の表面31に、SiO2(酸化シリコン)からなる犠牲酸化膜19が形成される。その後、犠牲酸化膜19上にフォトレジスト20が形成される。次いで、フォトリソグラフィによるパターニングによって、エピタキシャル層3の層厚方向において、犠牲酸化膜19のP型領域11と対向する部分が除去される。これにより、図2Eに示すように、犠牲酸化膜19に、エピタキシャル層3の層厚方向にP型領域11と対向し、図2Eにおける左右方向においてP型領域11よりも狭い幅を有する(幅狭の)開口22が形成される。
そして、犠牲酸化膜19を利用して、エピタキシャル層3がエッチングされる。エピタキシャル層3は、その層厚方向において、エピタキシャル層3の厚さからP型領域11の厚さを差し引いた厚さよりも浅くエッチングされる。これにより、図2Eに示すように、側面61およびP型領域11から離間した底面62を有するゲートトレンチ6が形成される。P型領域11よりも幅狭の開口22を介したエッチングにより形成されたゲートトレンチ6は、その底面62と側面61とにより形成される角部63がP型領域11に対向する。
ゲートトレンチ6の形成後、フォトレジスト20および犠牲酸化膜19が除去される。
次いで、熱酸化処理により、図2Fに示すように、ゲートトレンチ6の内面(底面62および側面61)およびエピタキシャル層3の表面31に酸化膜23が形成される。
続いて、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法により、エピタキシャル層3上に、ゲート電極の材料としてのポリシリコンの堆積層(図示せず)が形成される。ゲートトレンチ6は、この堆積層により埋め尽くされ、エピタキシャル層3は、酸化膜23を介して堆積層により覆われる。
その後、エッチバックにより、堆積層のゲートトレンチ6外に存在する部分が除去される。堆積層は、図2Gに示すように、そのエッチバック面が、エピタキシャル層3の表面31に対して面一になるまでエッチバックされる。これにより、ゲートトレンチ6内に残存する堆積層が、ゲート電極8として形成される。
次いで、イオン注入法により、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)が、酸化膜23の表面を介してエピタキシャル層3の内部に注入される。そして、P型不純物を拡散させるための熱処理(ドライブイン拡散処理)が、たとえば、900〜1100℃で行なわれる。これにより、図2Hに示すように、ゲートトレンチ6の側方に、ゲートトレンチ6の上端から底部に至るボディ領域5が形成される。また、ゲートトレンチ6の底部から基板2に至るエピタキシャル層3の基層部には、ボディ領域5と分離され、エピタキシャル成長後のままの状態を維持するドレイン領域4が形成される。
次いで、酸化膜23上に、ソース領域9を形成すべき部分と対向する部分に開口を有するマスク(図示せず)が形成される。そして、そのマスクの開口を介して、エピタキシャル層3の表層部に、N型不純物(たとえば、ヒ素イオン)のイオンが注入される。このイオン注入後、マスクは除去される。そして、注入されたN型不純物が、たとえば、850〜1000℃でアニール処理されることにより活性化して、図2Iに示すように、ソース領域9が形成される。
次いで、酸化膜23上に、ボディコンタクト領域10を形成すべき部分と対向する部分に開口を有するマスク(図示せず)が形成される。そして、そのマスクの開口を介して、エピタキシャル層3の表層部に、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)のイオンが注入される。このイオン注入後、マスクは除去される。そして、注入されたP型不純物が、たとえば、850〜1000℃でアニール処理されることにより活性化して、図2Iに示すように、ボディコンタクト領域10が形成される。
以上の工程を経た後、酸化膜23のゲートトレンチ6外に存在する部分が除去され、ゲートトレンチ6の内面上のみに酸化膜23が残されることにより、図2Jに示すように、ゲート絶縁膜7が得られる。
その後、CVD法により、エピタキシャル層3上に層間絶縁膜13が積層される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、図2Jに示すように、層間絶縁膜13にコンタクトホール15が形成される。
次いで、スパッタ法により、エピタキシャル層3上に、導電材料が成膜される。導電材料は、コンタクトホール15を埋め尽くし、層間絶縁膜13上に薄膜を形成するように付着(堆積)される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、層間絶縁膜13上の導電材料がパターニングされる。これにより、図2Kに示すように、ソース配線14が形成される。また、ゲート電極8と電気的に接続されるゲート配線16が形成される。さらに、基板2の裏面にドレイン電極17が形成される。
以上の工程を経て、図1に示す半導体装置1が得られる。
上記のように、P型領域11を形成するには、まず、基板2上にマスク12が形成される(図2A参照。)。次いで、P型不純物が、所定の注入条件(注入エネルギーおよびドーズ量)で基板2の表層部に注入される(図2B参照。)。次いで、基板2上にエピタキシャル層3が形成される(図2C参照。)。そして、基板2が所定温度でアニール処理されることにより、エピタキシャル層3内にP型領域11が形成される(図2D参照。)。
このように、P型領域11が、基板2へのイオン注入および基板2のアニール処理により形成される。したがって、上記した工程を備える製造方法によれば、ゲートトレンチ6の角部63やその周辺への電流の集中を抑制できる半導体装置1を簡易に製造することができる。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。図3において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
図3の半導体装置41では、P型領域11は、互いにP型不純物の異なる第1領域24と、第2領域25とを有している。
第1領域24は、P型領域11のゲート幅と直交する方向(図3における左右方向)における両端部に形成されている。第1領域24は、エピタキシャル層3の層厚方向においてゲートトレンチ6の角部63に対向している。また、第1領域24は、たとえば、2E16〜2E18cm−3のP型不純物濃度を有している。
第2領域25は、P型領域11のゲート幅と直交する方向(図3における左右方向)における中央部に形成され、第1領域24により挟まれている。第2領域25は、エピタキシャル層3の層厚方向において、ゲートトレンチ6の角部63により挟まれる中央部64に対向している。また、第2領域25は、第1領域24よりも低いP型不純物濃度、たとえば、1E16〜1E18cm−3を有している。つまり、この半導体装置41では、第1領域24のP型不純物濃度は、第2領域25のP型不純物濃度よりも高い。
その他の構成は、前述の第1の実施形態の場合と同様であり、また、動作も同様である。
つまり、半導体装置41では、ソース−ドレイン間の導通状態において、N型のドレイン領域4とP型領域11との接合(pn接合)が逆バイアス状態になっている。したがって、ドレイン電極17から底面62へ向かう電流は、図3の矢印ID3で示されるように、底面62に対向するP型領域11を避けるように流れ、ボディ領域5に形成されたチャネルへ流れる。そのため、ゲートトレンチ6の角部63やその周辺への電流の集中を抑制することができる。その結果、ゲート絶縁膜7の絶縁破壊を抑制することができる。
さらに、第1領域24のP型不純物濃度が、第2領域25のP型不純物濃度よりも高い。そのため、ゲートトレンチ6の角部63近傍において、ゲートトレンチ6の底面62に向かって流れる電流を効果的にブロックすることができる。したがって、ゲートトレンチ6の角部63やその周辺への電流集中を一層防止することができる。
図4A〜図4Lは、図3に示す半導体装置41の製造方法を工程順に示す模式的な断面図である。
まず、図4Aに示すように、基板2上に、基板2の表面21を選択的に露出させる開口18を有するSiO2からなるマスク12が形成される。次いで、図4Bに示すように、開口18から露出する表面21に対して、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)が垂直方向に入射される。これにより、P型不純物が、開口18を介して基板2の表層部に注入される。P型不純物を注入するときの注入エネルギーは、たとえば、10k〜100keVであり、ドーズ量は、たとえば、1E11〜1E14cm−2である。
次いで、図4Cに示すように、マスク12を残存させた状態で、開口18を形成するマスク12の側面26と開口18から露出する表面21とにより形成される、基板2の表層部における角部27へ向けて、P型不純物が入射される。P型不純物は、表面21に対して、たとえば、15〜45°で傾斜する角度で入射される。これにより、P型不純物が、開口18を介して基板2の表層部における角部27に注入される。P型不純物を注入するときの注入エネルギーは、たとえば、10k〜100keVであり、ドーズ量は、たとえば、5E11〜5E14cm−2である。P型不純物が基板2の表層部に、垂直方向に注入された後、上記傾斜角度で注入されることにより、基板2の表層部では、角部27は、角部27により挟まれる中央部よりも大きいP型不純物のイオン濃度を有している。
その後、マスク12が除去される。次いで、図4Dに示すように、エピタキシャル成長法により、基板2上に、エピタキシャル層3が形成される。
続いて、基板2が、たとえば、900〜1150℃でアニール処理される。これにより、図4Eに示すように、基板2に注入されたP型不純物が、基板2の表層部におけるイオンの濃度分布を維持したままエピタキシャル層3へ拡散し、基板2に接するP型領域11がエピタキシャル層3内に形成される。イオンの濃度分布を維持したままP型不純物が拡散するので、P型領域11には、ゲート幅と直交する方向における両端部の第1領域24と、第1領域24により挟まれる第2領域25とが形成される。
次いで、熱酸化処理により、エピタキシャル層3の表面31に、SiO2(酸化シリコン)からなる犠牲酸化膜19が形成される。その後、犠牲酸化膜19上にフォトレジスト20が形成される。次いで、フォトリソグラフィによるパターニングによって、エピタキシャル層3の層厚方向において、犠牲酸化膜19のP型領域11と対向する部分が除去される。これにより、図4Fに示すように、犠牲酸化膜19に、エピタキシャル層3の層厚方向にP型領域11と対向し、図4Fにおける左右方向においてP型領域11よりも狭い幅を有する(幅狭の)開口22が形成される。
そして、犠牲酸化膜19を利用して、エピタキシャル層3がエッチングされる。エピタキシャル層3は、その層厚方向において、エピタキシャル層3の厚さからP型領域11の厚さを差し引いた厚さよりも浅くエッチングされる。これにより、側面61およびP型領域11から離間した底面62を有するゲートトレンチ6が形成される。P型領域11よりも幅狭の開口22を介したエッチングにより形成されたゲートトレンチ6は、その底面62と側面61とにより形成される角部63がP型領域11(具体的には、第1領域24)に対向する。
ゲートトレンチ6の形成後、フォトレジスト20および犠牲酸化膜19が除去される。次いで、熱酸化処理により、図4Gに示すように、ゲートトレンチ6の内面(底面62および側面61)およびエピタキシャル層3の表面31に酸化膜23が形成される。
続いて、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法により、エピタキシャル層3上に、ゲート電極の材料としてのポリシリコンの堆積層(図示せず)が形成される。ゲートトレンチ6は、この堆積層により埋め尽くされ、エピタキシャル層3は、酸化膜23を介して堆積層により覆われる。
その後、エッチバックにより、堆積層のゲートトレンチ6外に存在する部分が除去される。堆積層は、図4Hに示すように、そのエッチバック面が、エピタキシャル層3の表面31に対して面一になるまでエッチバックされる。これにより、ゲートトレンチ6内に残存する堆積層が、ゲート電極8として形成される。
次いで、イオン注入法により、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)が、酸化膜23の表面を介してエピタキシャル層3の内部に注入される。そして、P型不純物を拡散させるための熱処理(ドライブイン拡散処理)が、たとえば、900〜1000℃で行なわれる。これにより、図4Iに示すように、ゲートトレンチ6の側方に、ゲートトレンチ6の上端から底部に至るボディ領域5が形成される。また、ゲートトレンチ6の底部から基板2に至るエピタキシャル層3の基層部には、ボディ領域5と分離され、エピタキシャル成長後のままの状態を維持するドレイン領域4が形成される。
次いで、酸化膜23上に、ソース領域9を形成すべき部分と対向する部分に開口を有するマスク(図示せず)が形成される。そして、そのマスクの開口を介して、エピタキシャル層3の表層部に、N型不純物(たとえば、ヒ素イオン)のイオンが注入される。このイオン注入後、マスクは除去される。そして、注入されたN型不純物が、たとえば、850〜1000℃でアニール処理されることにより活性化して、図4Jに示すように、ソース領域9が形成される。
次いで、酸化膜23上に、ボディコンタクト領域10を形成すべき部分と対向する部分に開口を有するマスク(図示せず)が形成される。そして、そのマスクの開口を介して、エピタキシャル層3の表層部に、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)のイオンが注入される。このイオン注入後、マスクは除去される。そして、注入されたP型不純物が、たとえば、850〜1000℃でアニール処理されることにより活性化して、図4Jに示すように、ボディコンタクト領域10が形成される。
以上の工程を経た後、酸化膜23のゲートトレンチ6外に存在する部分が除去され、ゲートトレンチ6の内面上のみに酸化膜23が残されることにより、図4Kに示すように、ゲート絶縁膜7が得られる。
その後、CVD法により、エピタキシャル層3上に層間絶縁膜13が積層される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、図4Kに示すように、層間絶縁膜13にコンタクトホール15が形成される。
次いで、スパッタ法により、エピタキシャル層3上に、導電材料が成膜される。導電材料は、コンタクトホール15を埋め尽くし、層間絶縁膜13上に薄膜を形成するように付着(堆積)される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、層間絶縁膜13上の導電材料がパターニングされる。これにより、図4Lに示すように、ソース配線14が形成される。また、ゲート電極8と電気的に接続されるゲート配線16が形成される。さらに、基板2の裏面にドレイン電極17が形成される。
以上の工程を経て、図3に示す半導体装置41が得られる。
上記のように、第1領域24および第2領域25を有するP型領域11を形成するには、まず、基板2上にマスク12が形成される(図4A参照。)。次いで、P型不純物が、所定の注入条件(注入エネルギーおよびドーズ量)で基板2の表層部に垂直注入される(図4B参照。)。次いで、P型不純物が、所定の注入条件(注入エネルギーおよびドーズ量)、かつ、所定の傾斜角度で、基板2の表層部に傾斜注入される(図4C参照。)。次いで、基板2上にエピタキシャル層3が形成される(図4D参照。)。そして、基板2が所定温度でアニール処理されることにより、エピタキシャル層3内に、第1領域24と第2領域25とを有するP型領域11が形成される(図4E参照。)。
このように、第1領域24と第2領域25とを有するP型領域11が、基板2へのイオンの垂直注入および傾斜注入、ならびに基板2のアニール処理により形成される。したがって、上記した工程を備える製造方法によれば、ゲートトレンチ6の角部63やその周辺への電流集中を一層防止できる半導体装置41を簡易に製造することができる。
図5は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。図5において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
図5の半導体装置51では、P型領域11は、ゲートトレンチ6の底面62および基板2の表面21それぞれからエピタキシャル層3の層厚方向に離間して形成されている。P型領域11は、ゲート幅と直交する方向(図5における左右方向)において、その中央部から両端部にかけてエピタキシャル層3の層厚方向における厚さが連続的に薄くなる断面視楕円形状に形成されている。
その他の構成は、前述の第1の実施形態の場合と同様であり、また、動作も同様である。
つまり、半導体装置51では、ソース−ドレイン間の導通状態において、N型のドレイン領域4とP型領域11との接合(pn接合)が逆バイアス状態になっている。したがって、ドレイン電極17から底面62へ向かう電流は、図5の矢印ID5で示されるように、底面62に対向するP型領域11を避けるように流れ、ボディ領域5に形成されたチャネルへ流れる。そのため、ゲートトレンチ6の角部63やその周辺への電流の集中を抑制することができる。その結果、ゲート絶縁膜7の絶縁破壊を抑制することができる。
図6A〜図6Jは、図5に示す半導体装置51の製造方法を工程順に示す模式的な断面図である。
まず、図6Aに示すように、エピタキシャル成長法により、基板2の表面21に、エピタキシャル層3が形成される。
次いで、熱酸化処理により、エピタキシャル層3の表面31に、SiO2(酸化シリコン)からなる犠牲酸化膜28が形成される。その後、犠牲酸化膜28上にフォトレジスト29が形成される。次いで、フォトリソグラフィによるパターニングによって、エピタキシャル層3の層厚方向において、犠牲酸化膜28のゲートトレンチ6を形成すべき領域と対向する部分が除去される。これにより、図6Bに示すように、犠牲酸化膜28に開口30が形成される。
そして、犠牲酸化膜28を利用して、エピタキシャル層3がエッチングされる。これにより、図6Bに示すように、側面61および底面62ならびにこれらにより形成される角部63を有するゲートトレンチ6が形成される。
ゲートトレンチ6の形成後、犠牲酸化膜28を表面31の保護膜として残存させたまま、図6Cに示すように、ゲートトレンチ6内へ、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)がゲートトレンチ6の深さ方向に入射される。これにより、P型不純物が、開口30を介してゲートトレンチ6の底面62を形成する底壁に注入される。P型不純物を注入するときの注入エネルギーは、たとえば、20k〜100keVであり、ドーズ量は、たとえば、1E11〜1E13cm−2である。
P型不純物の注入後、フォトレジスト29および犠牲酸化膜28が除去される。次いで、基板2が、たとえば、1000〜1150℃でアニール処理される。これにより、ゲートトレンチ6の底壁に注入されたP型不純物が拡散し、図6Dに示すように、エピタキシャル層3にゲートトレンチ6の底面62からエピタキシャル層3の層厚方向に離間し、図6Dの左右方向においてゲートトレンチ6の幅よりも広い幅を有する(幅広の)P型領域11が形成される。
次いで、熱酸化処理により、図6Eに示すように、ゲートトレンチ6の内面(底面62および側面61)およびエピタキシャル層3の表面31に酸化膜23が形成される。
続いて、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法により、エピタキシャル層3上に、ゲート電極の材料としてのポリシリコンの堆積層(図示せず)が形成される。ゲートトレンチ6は、この堆積層により埋め尽くされ、エピタキシャル層3は、酸化膜23を介して堆積層により覆われる。
その後、エッチバックにより、堆積層のゲートトレンチ6外に存在する部分が除去される。堆積層は、図6Fに示すように、そのエッチバック面が、エピタキシャル層3の表面31に対して面一になるまでエッチバックされる。これにより、ゲートトレンチ6内に残存する堆積層が、ゲート電極8として形成される。
次いで、イオン注入法により、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)が、酸化膜23の表面を介してエピタキシャル層3の内部に注入される。そして、P型不純物を拡散させるための熱処理(ドライブイン拡散処理)が、たとえば、900〜1100℃で行なわれる。これにより、図6Gに示すように、ゲートトレンチ6の側方に、ゲートトレンチ6の上端から底部に至るボディ領域5が形成される。また、ゲートトレンチ6の底部から基板2に至るエピタキシャル層3の基層部には、ボディ領域5と分離され、エピタキシャル成長後のままの状態を維持するドレイン領域4が形成される。
次いで、酸化膜23上に、ソース領域9を形成すべき部分と対向する部分に開口を有するマスク(図示せず)が形成される。そして、そのマスクの開口を介して、エピタキシャル層3の表層部に、N型不純物(たとえば、ヒ素イオン)のイオンが注入される。このイオン注入後、マスクは除去される。そして、注入されたN型不純物が、たとえば、850〜1000℃でアニール処理されることにより活性化して、図6Hに示すように、ソース領域9が形成される。
次いで、酸化膜23上に、ボディコンタクト領域10を形成すべき部分と対向する部分に開口を有するマスク(図示せず)が形成される。そして、そのマスクの開口を介して、エピタキシャル層3の表層部に、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)のイオンが注入される。このイオン注入後、マスクは除去される。そして、注入されたP型不純物が、たとえば、850〜1000℃でアニール処理されることにより活性化して、図6Hに示すように、ボディコンタクト領域10が形成される。
以上の工程を経た後、酸化膜23のゲートトレンチ6外に存在する部分が除去され、ゲートトレンチ6の内面上のみに酸化膜23が残されることにより、図6Iに示すように、ゲート絶縁膜7が得られる。
その後、CVD法により、エピタキシャル層3上に層間絶縁膜13が積層される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、図6Iに示すように、層間絶縁膜13にコンタクトホール15が形成される。
次いで、スパッタ法により、エピタキシャル層3上に、導電材料が成膜される。導電材料は、コンタクトホール15を埋め尽くし、層間絶縁膜13上に薄膜を形成するように付着(堆積)される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、層間絶縁膜13上の導電材料がパターニングされる。これにより、図6Jに示すように、ソース配線14が形成される。また、ゲート電極8と電気的に接続されるゲート配線16が形成される。さらに、基板2の裏面にドレイン電極17が形成される。
以上の工程を経て、図5に示す半導体装置51が得られる。
上記のように、P型領域11を形成するには、P型不純物が、所定の注入条件(注入エネルギーおよびドーズ量)で、ゲートトレンチ6の底壁に注入される(図6C参照。)。そして、基板2が所定温度でアニール処理されることにより、エピタキシャル層3内にP型領域11が形成される(図6D参照。)。
このように、P型領域11が、ゲートトレンチ6の底壁へのイオン注入および基板2のアニール処理により形成される。したがって、上記した工程を備える製造方法によれば、ゲートトレンチ6の角部63やその周辺への電流の集中を抑制できる半導体装置51を簡易に製造することができる。
また、イオンを注入するときにエピタキシャル層3の表面31を保護するための保護膜として、ゲートトレンチ6の形成に利用した犠牲酸化膜28が利用される。そして、ゲートトレンチ6の形成に連続してP型領域11が形成される。エピタキシャル層3の表面31を保護するための保護膜を別途形成する必要がないので、工程数を減らすことができ、製造コストを低減することができる。
図7は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。図7において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
図7の半導体装置71では、P型領域11は、ゲートトレンチ6の底面62および基板2の表面21それぞれからエピタキシャル層3の層厚方向に離間して形成されている。P型領域11は、ゲート幅と直交する方向(図7における左右方向)において、その中央部から両端部にかけてエピタキシャル層3の層厚方向における厚さが連続的に薄くなる断面視楕円形状に形成されている。また、P型領域11は、互いにP型不純物の異なる第1領域24と、第2領域25とを有している。
第1領域24は、P型領域11のゲート幅と直交する方向(図7における左右方向)における両端部に形成されている。第1領域24は、エピタキシャル層3の層厚方向において、ゲートトレンチ6の角部63に対向している。また、第1領域24は、たとえば、2E16〜2E18cm−3のP型不純物濃度を有している。
第2領域25は、P型領域11のゲート幅と直交する方向(図7における左右方向)における中央部に形成され、第1領域24により挟まれている。第2領域25は、エピタキシャル層3の層厚方向において、ゲートトレンチ6の角部63により挟まれる中央部64に対向している。また、第2領域25は、第1領域24よりも低いP型不純物濃度、たとえば、1E16〜1E18cm−3を有している。つまり、この半導体装置41では、第1領域24のP型不純物濃度は、第2領域25のP型不純物濃度よりも高い。
その他の構成は、前述の第1の実施形態の場合と同様であり、また、動作も同様である。
つまり、半導体装置71では、ソース−ドレイン間の導通状態において、N型のドレイン領域4とP型領域11との接合(pn接合)が逆バイアス状態になっている。したがって、ドレイン電極17から底面62へ向かう電流は、図7の矢印ID7で示されるように、底面62に対向するP型領域11を避けるように流れ、ボディ領域5に形成されたチャネルへ流れる。そのため、ゲートトレンチ6の角部63やその周辺への電流の集中を抑制することができる。その結果、ゲート絶縁膜7の絶縁破壊を抑制することができる。
さらに、第1領域24のP型不純物濃度が、第2領域25のP型不純物濃度よりも高い。そのため、ゲートトレンチ6の角部63近傍において、ゲートトレンチ6の底面62に向かって流れる電流を効果的にブロックすることができる。したがって、ゲートトレンチ6の角部63やその周辺への電流集中を一層防止することができる。
図8A〜図8Kは、図7に示す半導体装置71の製造方法を工程順に示す模式的な断面図である。
まず、図8Aに示すように、エピタキシャル成長法により、基板2の表面21に、エピタキシャル層3が形成される。
次いで、熱酸化処理により、エピタキシャル層3の表面31に、SiO2(酸化シリコン)からなる犠牲酸化膜28が形成される。その後、犠牲酸化膜28上にフォトレジスト29が形成される。次いで、フォトリソグラフィによるパターニングによって、エピタキシャル層3の層厚方向において、犠牲酸化膜28のゲートトレンチ6を形成すべき領域と対向する部分が除去される。これにより、図8Bに示すように、犠牲酸化膜28に開口30が形成される。
そして、犠牲酸化膜28を利用して、エピタキシャル層3がエッチングされる。これにより、図8Bに示すように、側面61および底面62ならびにこれらにより形成される角部63を有するゲートトレンチ6が形成される。
ゲートトレンチ6の形成後、犠牲酸化膜28を表面31の保護膜として残存させたまま、図8Cに示すように、ゲートトレンチ6内へ、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)がゲートトレンチ6の深さ方向に入射される。これにより、P型不純物が、開口30を介してゲートトレンチ6の底面62を形成する底壁に注入される。P型不純物を注入するときの注入エネルギーは、たとえば、20k〜100keVであり、ドーズ量は、たとえば、1E11〜1E13cm−2である。
次いで、図8Dに示すように、ゲートトレンチ6の角部63へ向けてP型不純物が入射される。P型不純物は、ゲートトレンチ6の深さ方向に対して、たとえば、10〜30°で傾斜する角度で入射される。これにより、P型不純物が、開口30を介してエピタキシャル層3におけるゲートトレンチ6の角部63に注入される。P型不純物を注入するときの注入エネルギーは、たとえば、20k〜100keVであり、ドーズ量は、たとえば、2E11〜2E13cm−2である。P型不純物が、ゲートトレンチ6の底壁に注入された後、上記傾斜角度で角部63に注入されることにより、エピタキシャル層3では、角部63近傍の部分は、当該部分により挟まれる中央部よりも大きいP型不純物のイオン濃度を有している。
P型不純物の注入後、フォトレジスト29および犠牲酸化膜28が除去される。次いで、基板2が、たとえば、900〜1100℃でアニール処理される。これにより、図8Eに示すように、エピタキシャル層3に注入されたP型不純物が、イオンの上記濃度分布を維持したまま拡散し、ゲートトレンチ6の底面62および基板2の表面21それぞれから離間したP型領域11が形成される。イオンの濃度分布を維持したままP型不純物が拡散するので、P型領域11には、ゲートトレンチ6の角部63に対向する第1領域24と、第1領域24により挟まれる第2領域25とが形成される。
次いで、熱酸化処理により、図8Fに示すように、ゲートトレンチ6の内面(底面62および側面61)およびエピタキシャル層3の表面31に酸化膜23が形成される。
続いて、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法により、エピタキシャル層3上に、ゲート電極の材料としてのポリシリコンの堆積層(図示せず)が形成される。ゲートトレンチ6は、この堆積層により埋め尽くされ、エピタキシャル層3は、酸化膜23を介して堆積層により覆われる。
その後、エッチバックにより、堆積層のゲートトレンチ6外に存在する部分が除去される。堆積層は、図8Gに示すように、そのエッチバック面が、エピタキシャル層3の表面31に対して面一になるまでエッチバックされる。これにより、ゲートトレンチ6内に残存する堆積層が、ゲート電極8として形成される。
次いで、イオン注入法により、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)が、酸化膜23の表面を介してエピタキシャル層3の内部に注入される。そして、P型不純物を拡散させるための熱処理(ドライブイン拡散処理)が、たとえば、900〜1100℃で行なわれる。これにより、図8Hに示すように、ゲートトレンチ6の側方に、ゲートトレンチ6の上端から底部に至るボディ領域5が形成される。また、ゲートトレンチ6の底部から基板2に至るエピタキシャル層3の基層部には、ボディ領域5と分離され、エピタキシャル成長後のままの状態を維持するドレイン領域4が形成される。
次いで、酸化膜23上に、ソース領域9を形成すべき部分と対向する部分に開口を有するマスク(図示せず)が形成される。そして、そのマスクの開口を介して、エピタキシャル層3の表層部に、N型不純物(たとえば、ヒ素イオン)のイオンが注入される。このイオン注入後、マスクは除去される。そして、注入されたN型不純物が、たとえば、850〜1000℃でアニール処理されることにより活性化して、図8Iに示すように、ソース領域9が形成される。
次いで、酸化膜23上に、ボディコンタクト領域10を形成すべき部分と対向する部分に開口を有するマスク(図示せず)が形成される。そして、そのマスクの開口を介して、エピタキシャル層3の表層部に、P型不純物(たとえば、ホウ素イオン)のイオンが注入される。このイオン注入後、マスクは除去される。そして、注入されたP型不純物が、たとえば、850〜1000℃でアニール処理されることにより活性化して、図8Iに示すように、ボディコンタクト領域10が形成される。
以上の工程を経た後、酸化膜23のゲートトレンチ6外に存在する部分が除去され、ゲートトレンチ6の内面上のみに酸化膜23が残されることにより、図8Jに示すように、ゲート絶縁膜7が得られる。
その後、CVD法により、エピタキシャル層3上に層間絶縁膜13が積層される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、図8Jに示すように、層間絶縁膜13にコンタクトホール15が形成される。
次いで、スパッタ法により、エピタキシャル層3上に、導電材料が成膜される。導電材料は、コンタクトホール15を埋め尽くし、層間絶縁膜13上に薄膜を形成するように付着(堆積)される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、層間絶縁膜13上の導電材料がパターニングされる。これにより、図8Kに示すように、ソース配線14が形成される。また、ゲート電極8と電気的に接続されるゲート配線16が形成される。さらに、基板2の裏面にドレイン電極17が形成される。
以上の工程を経て、図7に示す半導体装置71が得られる。
上記のように、第1領域24および第2領域25を有するP型領域11を形成するには、P型不純物が、所定の注入条件(注入エネルギーおよびドーズ量)で、ゲートトレンチ6の底壁に注入される(図8C参照。)。次いで、P型不純物が、所定の注入条件(注入エネルギーおよびドーズ量)で、エピタキシャル層3におけるゲートトレンチ6の角部63に注入される(図8D参照。)。そして、基板2が所定温度でアニール処理されることにより、エピタキシャル層3内に、第1領域24および第2領域25を有するP型領域11が形成される(図8E参照。)。
このように、第1領域24と第2領域25とを有するP型領域11が、ゲートトレンチ6の底壁および角部63へのイオン注入、ならびに基板2のアニール処理により形成される。したがって、上記した工程を備える製造方法によれば、ゲートトレンチ6の角部63やその周辺への電流集中を一層防止できる半導体装置71を簡易に製造することができる。
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、半導体装置1、41、51および71の各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。すなわち、半導体装置1、41、51および71において、P型の部分がN型であり、N型の部分がP型であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。