[画像形成装置の全体構成及び動作]
先ず、本発明の実施例1に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。図3は、本実施例の画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。本実施例では、画像形成装置100として、電子写真方式のレーザビームプリンタについて説明する。
画像形成装置100は、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(感光体)、即ち、感光ドラム1を備えている。感光ドラム1の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ(帯電装置)2、現像手段としての現像装置3、転写手段としての転写ローラ(転写装置)4、クリーニング部材としてのクリーニングブレード5等が設置されている。クリーニン
グブレード5は、廃トナー収納容器13に取り付けられており、クリーニングブレード5と廃トナー収納容器13とにより、クリーニング手段としてのクリーナ(クリーニング装置)21が構成されている。
本実施例では、感光ドラム1と、帯電ローラ2と、現像装置3と、クリーナ21とが一体的にカートリッジ化されて、画像形成装置本体20に対して着脱自在なプロセスカートリッジ19が構成されている。プロセスカートリッジ19は、感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電手段、現像手段及びクリーニング手段のうちの少なくとも1つと、が一体的にカートリッジ化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能とされたものである。
又、帯電ローラ2と現像装置3との間のプロセスカートリッジ19の外側には、露光手段(静電潜像形成手段)としての露光装置(静電潜像形成装置)6が配設されている。又、感光ドラム1と転写ローラ4との間の転写部(転写ニップ)Nに対して記録材Pの搬送方向下流側には、定着手段としての定着器7が配設されている。
感光ドラム1は、本実施例では、直径30mmの負帯電性の有機感光体であり、アルミニウム製のドラム基体上に感光体層を有している。感光ドラム1は、所定の周速で図3に示す矢印方向(時計方向)に回転駆動され、その回転過程において帯電ローラ2により負極性に一様に帯電させられる。感光ドラム1の表面移動速度(周速)は、50mm/s以上600mm/s以下であることが好ましい。
帯電ローラ2は、回転自在であり、感光ドラム1の表面に接触して配設されている。帯電ローラ2は、帯電バイアス電源(図示せず)から印加される帯電バイアスによって、感光ドラム1を負極性の所定の電位に均一に帯電させる。
現像装置3は、現像剤としての非磁性一成分現像剤、即ち、非磁性トナー(トナー)Tで現像を行う接触一成分現像装置である。本実施例では、トナーTの正規の帯電極性は負極性である。
転写ローラ4は、感光ドラム1に対して所定の押圧力で接触して転写部(転写ニップ)Nを形成する。転写ローラ4には、転写バイアス電源(図示せず)から転写バイアスが印加される。これにより、本実施例では、転写ローラ4から正極性の電荷が記録材Pに印加される。この電荷による電界により、感光ドラム1に接触中の記録材Pに、感光ドラム1上の負極性のトナーTが転写される。
クリーニングブレード5の材料としては、シリコーンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム等のゴム弾性を有するものが挙げられるが、耐摩耗性、永久変形性等の観点から、ポリウレタンゴムが好ましい。クリーニングブレード5の自由端側の先端部は、感光ドラム1の回転方向に対して、所謂、カウンタ方向にて、所定の圧力をもって感光ドラム1に当接されている。即ち、クリーニングブレード5は、自由端側の先端が感光ドラム1の回転方向上流側を向き、感光ドラム1に対する当接部よりも感光ドラム1の回転方向下流側において感光ドラム1との間隔が徐々に開くように廃トナー収納容器13に取り付けられている。クリーニングブレード5の先端部には、回転する感光ドラム1の表面との摩擦力を低減することを目的として、予め潤滑剤としての微粉体が塗布されている。
尚、クリーニングブレード5の先端部分に塗布する微粉体としては、様々な材料、形状のものが提案されている。本実施例では、クリーニングブレード5の先端部分に予め塗布する潤滑剤として、次のものを用いた。それは、球形を有する平均粒径3μm、円形度0.93のシリコーン樹脂粒子と不定形(具体的には鱗片形状)を有する平均粒径2μmの
フッ化黒鉛とを所定の割合で混合したものである。ここで、円形度0.93のシリコーン樹脂粒子には、商品名トスパール(東芝シリコーン株式会社製)を用い、平均粒径2μmのフッ化黒鉛には、商品名セフボン(セントラル硝子株式会社製)を用いた。
円形度に関しては、例えば東亜医用電子株式会社製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000等を用いて測定することが可能である。又、微粉体を塗布する方法としては、単一物質をアルコール等の揮発性液体に分散し、この溶液をクリーニングブレード5の先端部に塗布する方法を用いた。クリーニングブレード5のエッジ先端からの塗布幅は概ね1mmとした。クリーニングブレード5は、転写後に感光ドラム1の表面に残ったトナー(転写残トナー(転写残現像剤))を感光ドラム1の表面から除去する。
露光装置6は、レーザドライバ、レーザダイオード、ポリゴンミラー14などを備えている。レーザドライバに入力された画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して変調されたレーザ光Lが、レーザダイオードから出力される。感光ドラム1の表面は、高速回転するポリゴンミラー14によって光学レンズ系15を介して走査される上記レーザ光Lによって露光される。これにより、感光ドラム1の表面に画像情報に対応した静電潜像が形成される。
定着器7は、回転自在な定着ローラ7aと加圧ローラ7bとを有している。そして、定着器7は、定着ローラ7aと加圧ローラ7bとの間の定着ニップにて記録材Pを挟持搬送しながら、記録材Pの表面に転写されたトナー像を加熱及び加圧する。これにより、記録材P上のトナー像が記録材Pに定着される。
画像形成(動作)時には、感光ドラム1は駆動手段(図示せず)により図3に示す矢印方向に、周速200mm/sで回転駆動される。感光ドラム1の表面は、帯電バイアス(例えば、−1300VのDC電圧)が印加された帯電ローラ2により一様に帯電される。
帯電した感光ドラム1の表面は、露光装置6により画像情報に応じたレーザ光Lによって露光される。これにより、画像形成装置100に入力された画像情報に応じた静電潜像が、感光ドラム1上(像担持体上)に形成される。この際、感光ドラム1上の露光されない部分の暗部電位は−700V、露光された部分の明部電位は−150Vとなるように露光装置6のレーザパワーが調整されている。
感光ドラム1上の静電潜像は、現像装置3によりトナー像として可視化される。本実施例では、現像装置3が備える現像剤担持体としての現像ローラ9には、感光ドラム1の帯電極性(本実施例では負極性)と同極性の現像バイアスが印加される。これにより、感光ドラム1の帯電極性(本実施例では負極性)と同極性に帯電されたトナーTが、現像ローラ9から感光ドラム1上の静電潜像の明部電位部分に転移して付着する。こうして、感光ドラム1上の静電潜像は反転現像される。現像装置3及びトナーTの詳細については後述する。
感光ドラム1上のトナー像が感光ドラム1と転写ローラ4の間の転写ニップNに到達すると、このタイミングに合わせて記録用紙などの記録材Pが転写ニップNに搬送される。記録材Pは、ピックアップローラ16によって記録材収納部としてのカセット等から1枚ずつ送り出され、レジストローラ(図示せず)等によって搬送される。そして、トナーTと逆極性(本実施例では正極性)の転写バイアスが印加された転写ローラ4により、感光ドラム1上のトナー像が記録材Pに転写される。
トナー像が転写された記録材Pは定着器7に搬送され、定着ローラ7aと加圧ローラ7bとの間の定着ニップにて加熱、加圧される。これによって、トナー像が記録材P上に熱
定着される。その後、記録材Pは、排出トレイ17上に排出される。
又、トナー像の転写工程後の感光ドラム1の表面に残留した転写残トナーは、クリーニングブレード5によって除去されて、廃トナー収納容器13内に回収される。
[現像装置]
図2は、本実施例の現像装置3の概略構成を示す断面図である。
本実施例では、現像装置3は、非磁性一成分DC接触現像方式によって現像を行う接触一成分現像装置である。斯かる方式の現像装置3は、現像剤担持体として半導電性(中抵抗:例えば体積抵抗率が109〜1011Ω・cm)の現像ローラ、又は表面に誘電層を形成した現像ローラを用いて、これを感光ドラム1の表面層に押し当てて現像を行うものである。
現像装置3は、一成分現像剤としての非磁性のトナーTで現像を行う接触一成分現像装置である。現像装置3は、現像剤担持体としての現像ローラ9、現像剤供給部材としての弾性ローラ10、層厚規制部材としての規制ブレード11、現像室31、現像室攪拌部材32、現像剤収容室としてのトナー収容室33、及びトナー収容室攪拌部材34を備えている。
ここで、現像ローラ9は、現像容器8の開口部に感光ドラム1と対向配置され、図2に示す矢印方向(反時計方向)に回転自在に設けられている。弾性ローラ10は、回転自在であって、現像ローラ9に圧接するように設けられている。規制ブレード11は弾性を有し、現像ローラ9に当接するように設けられている。現像室31は、現像ローラ9を含むように設けられている。現像室攪拌部材32は、現像室31内のトナーTを攪拌するように回転可能に設けられている。トナー収容室33は、開口42を介して現像室31とつながる(連通する)ように設けられている。トナー収容室攪拌部材34は、トナー収容室33内のトナーTを攪拌するように設けられている。
また、規制ブレード11は、現像ローラ9と弾性ローラ10との圧接部に対して現像ローラ9の回転方向下流側で現像ローラ9に当接している。
トナー収容室33は、トナー収容室攪拌部材34と、トナー補給ローラ41を備える。トナー収容室攪拌部材34で攪拌されたトナーTは、トナー補給ローラ41に供給される。トナー補給ローラ41は、後述のトナー補給制御時に回転し、開口42を介して、現像室31にトナーTを補給する。
現像室攪拌部材32で攪拌されたトナーTは、現像ローラ9に圧接して回転する弾性ローラ10によって現像ローラ9表面に供給される。現像ローラ9表面に供給されたトナーTは、現像ローラ9の回転に伴い搬送され、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部で摩擦により電荷を付与されて、現像ローラ9表面に薄層化される。
薄層化されたトナーTは現像ローラ9の回転によって担持搬送され、感光ドラム1との当接部(現像部)にて感光ドラム1上に形成された静電潜像に付着して顕像化する。なお、現像ローラ9上の現像に寄与しなかったトナーTは、弾性ローラ10で剥ぎ取られる。
更に説明すると、現像ローラ9は、トナーTを収容した現像容器8の長手方向に延在する開口部に位置して、感光ドラム1と対向して配置される。現像ローラ9は、感光ドラム1と所定の当接幅を持って接触し、感光ドラム1の周速(200mm/s)よりも速い周速(300mm/sec)で図2に示す矢印方向(反時計方向)に回転駆動される。本実
施例では、感光ドラム1と現像ローラ9とは、当接部においてそれぞれの表面移動方向が同方向となるように回転する。
現像ローラ9の表面は、トナーTとの摺擦確率を高くし、且つ、トナーTの搬送を良好に行うために、適度な凹凸を有している。本実施例では、現像ローラ9は、直径16mm、長さ240mmであり、芯金の上に設けられた肉厚4mmのシリコーンゴム層上に、アクリル・ウレタン系の薄層がコートされて構成されている。
現像ローラ9には、第1電圧印加手段としての現像バイアス電源が接続されており、本実施例では、この現像バイアス電源から現像ローラ9に負極性の所定電位の現像バイアスが印加される。又、現像ローラ9は、電気抵抗値が104〜106Ω、表面粗さ[算術平均粗さ:JIS中心線平均粗さ(JIS B 0601:2001)]Raが0.3〜5.0μm、硬度がアスカーC硬度で40°〜70℃(加重1kg)に調整されている。
本実施例では、電気抵抗105Ω、表面粗さRaが2.0μm、アスカーC硬度が55°の現像ローラ9を用いた。
尚、現像ローラ9の電気抵抗値は、次のようにして測定されたものである。直径30mmのアルミローラ(図示せず)と現像ローラ9とを当接荷重500gf(4.9N)で長手方向全域にて当接させ、このアルミローラを0.5rpsで回転させる。そして、現像ローラ9に、−400Vの直流電圧を印加して、アース側に10kΩの抵抗を配置する。そして、この抵抗の両端の電圧を測定し、測定した電圧値から電流値を算出して現像ローラ9の抵抗値を算出する。
又、現像ローラ9と感光ドラム1との当接部(現像部)よりも現像ローラ9の回転方向下流側において、可撓性のシール部材23が設けられている。シール部材23は、未現像トナーTの現像容器8内への通過を許容すると共に、現像容器8内のトナーTが、現像ローラ9と感光ドラム1との当接部よりも現像ローラ9の回転方向下流側から漏出するのを防止する。
弾性ローラ10は、規制ブレード11と現像ローラ9との当接部よりも現像ローラ9の回転方向上流側において現像ローラ9に当接し、図2に示す矢印方向(反時計方向)に回転駆動される。
弾性ローラ10としては、発泡骨格状スポンジ構造のものが、現像ローラ9へのトナーTの供給及び現像ローラ9からの未現像トナーTの剥ぎ取り性能の点で好ましい。本実施例では、芯金上にポリウレタンフォーム(ポリウレタンから成るスポンジ)を設けた直径16mmの弾性ローラ10を用いた。
弾性ローラ10の現像ローラ9に対する当接幅としては、1〜6mmが好ましい。又、弾性ローラ10は、現像ローラ9との当接部において、現像ローラ9に対して相対速度を持たせることが好ましい。本実施例では、現像ローラ9との当接幅を2mmに設定した。又、この時の弾性ローラ10と現像ローラ9との当接圧(線圧)は40gf/cm(0.392N/cm)であった。
又、本実施例では、弾性ローラ10は、現像動作時に周速が200mm/secとなるように、駆動手段(図示せず)により所定のタイミングで回転駆動される。弾性ローラ10と現像ローラ9とは、接触位置においてそれぞれの表面移動方向が逆方向となるように回転する。又、弾性ローラ10の電位と現像ローラ9の電位は等電位である。
規制ブレード11は弾性を有しており、現像ローラ9と弾性ローラ10との当接部よりも現像ローラ9の回転方向下流側において、その自由端側の先端近傍が現像ローラ9の外周面に面接触にて当接するように設けられている。規制ブレード11は、導電性を有し、バネ弾性を有するSUS又はリン青銅の金属薄板から構成されることが好ましい。シリコーン、ウレタン等のゴム材料や、バネ弾性を有するSUS又はリン青銅の金属薄板を基体として、現像ローラ9への当接面側に導電性ゴム材料等を接着して構成してもよい。
本実施例では、厚さ0.1mmの板状のリン青銅金属薄版で形成された規制ブレード11を用いた。又、規制ブレード11の現像ローラ9に対する当接圧(線圧)は、本実施例では、25gf/cm(0.245N/cm)以上35gf/cm(0.343N/cm)以下に設定した。
規制ブレード11の現像ローラ9に対する当接方向は、規制ブレード11の自由端側の先端が現像ローラ9との当接部に対して現像ローラ9の回転方向上流側に位置する、所謂、カウンター方向になっている。
尚、本実施例において、線圧は、次のようにして測定したものである。即ち、摩擦係数が既知の金属薄板を3枚当接部に挿入し、その中央の1枚をばね計りで引き抜いた時の値から線圧を換算した。
規制ブレード11に第2電圧印加手段により電圧を印加することで、規制ブレードニップに電界を形成することができる。
ここで、規制ブレード11に印加する電圧をVb、現像ローラ9に印加する電圧をVdevとし、
ΔVb=Vb−Vdev
と定義する。
例えば、ΔVbが正極性の場合、規制ブレードニップにおいて、負極性に帯電したトナーを、規制ブレード11側に引き付ける電界が形成される。
逆に、ΔVbが負極性の場合、規制ブレードニップにおいて、負極性に帯電したトナーを、現像ローラ9側に引き付ける電界が形成される。
本実施例中では、ΔVbを変化させて、画像不良の有無を確認した。
現像動作時には、現像室31内のトナーTは、現像室攪拌部材32の図2に示す矢印方向(時計方向)の回転に伴い弾性ローラ10側に送られる。このトナーTは、弾性ローラ10の図2に示す矢印方向(反時計方向)の回転によって、現像ローラ9の近傍に搬送される。弾性ローラ10上に担持されているトナーTは、現像ローラ9と弾性ローラ10との当接部において現像ローラ9と摺擦されることによって摩擦帯電を受け、現像ローラ9上に付着する。
そして、現像ローラ9の図2に示す矢印方向(反時計方向)の回転に伴い、トナーTが規制ブレード11の圧接下に送られ、現像ローラ9上で薄層化され、感光ドラム1との対向部である現像部へ搬送される。本実施例では、トナーTの良好な帯電電荷量は、−40〜−70mC/kgとなるように設定されている。
現像ローラ9上(現像剤担持体上)に薄層形成されたトナーTは、現像ローラ9に、−300Vの現像バイアスが印加されることによって、現像部において感光ドラム1上に形
成されている静電潜像に付着する。これにより、感光ドラム1上の静電潜像は、トナー像として現像される。
又、現像ローラ9上の現像に寄与しなかったトナーTは、弾性ローラ10との当接部において現像ローラ9の表面から剥ぎ取られる。この剥ぎ取られたトナーTの大部分は、弾性ローラ10の回転に伴って搬送され、現像容器8内のトナーTと混ざり合い、トナーTの帯電電荷が分散される。そして、同時に弾性ローラ10の回転により現像ローラ9上に新たなトナーTが供給され、上述した現像動作が繰り返される。
[一成分現像剤]
続いて、本実施例の特徴であるトナーTについて説明する。
本実施例のトナーTは、体積平均粒径が4.0μm以上10.0μm以下であり、平均円形度が0.950以上であることを特徴とする。
本実施例のトナーの体積平均粒径が4μm未満である場合にはトナー粒子の流動性が悪化することによる帯電性が不均一になり易く、例えば、高湿環境下において画像かぶりが発生し易くなるためことが懸念される。又、トナーの体積平均粒径が10μmを超える場合には高精細な出力が困難となり、要求される画質を満足できなくなることが懸念される。
トナーTの体積平均粒径の測定には、例えばコールターカウンターTA−II型、又はコールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター株式会社製)等を用いている。これらに個数分布、体積分布を出力するインターフェース(日科機バイオス株式会社製)及びパーソナルコンピュータを接続した測定装置でトナーTの体積平均粒径を測定することができる。この測定では電解液が用いられるが、この電解液には、例えば1級塩化ナトリウムを用いて調製された1%NaCl水溶液や、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン株式会社製)が使用できる。
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、前記コールターカウンターTA−II型により2μm以上のトナーの体積を測定して体積分布を算出する。それから、本実施例の体積分布から求めた体積平均粒径を求める。
本実施例のトナーにおける形状制御は、フロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数基準の相当径−円形度スキャッタグラムにおける該トナーの平均円形度が0.950以上の範囲が好ましい。
トナーの平均円形度が0.950未満のトナーとは、形状が球形から離れて不定形に近づいたトナーを意味する。このような不定形トナーは、現像中に現像器内でトナーが破砕され易いために、粒度分布が変動したり、帯電量分布がブロードになったりするため、その結果、画像濃度低下やカブリの増加といった現像上不都合な現象を生じ易くなるため好ましくない。
本実施例におけるトナーTの円形度とは、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものである。本実施例では、フロー式粒子像測定装置FPIA−1000型(東亜医用電子(現シスメックス)株式会社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出した。尚、測定条件としては、測定時のトナー粒子濃度が5000〜15000個/
μlとなるように調整し、トナー粒子を1000個以上計測することで行った。
円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物等を除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料約0.02gを加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機UH−50型(株式会社エスエムテー製)に振動子としてφ5mmのチタン合金チップを装着したものを用い、分散の条件としては5分間処理で行い、測定用の分散液とする。
本実施例の体積平均粒径、平均円形度を本発明の好ましい範囲にするための達成手段としては、いわゆる粉砕方法による製造方法の他に、次のような方法等を用いてトナーを製造することも可能である。それは、特開昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報に開示されている懸濁重合方法を用いて直接トナーを生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合方法である。又、水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法である。
本実施例では、トナーの形状を容易にコントロールでき、比較的容易に粒度分布がシャープで体積平均粒径が4〜10μmの微粒子トナーが得られる常圧下での、又は加圧下での懸濁重合方法を用いた。そして、モノマーとしてスチレンとn−ブチルアクリレート、荷電制御剤としてサリチル酸金属化合物、極性レジンとして飽和ポリエステル、更にワックスと着色剤を加え、着色懸濁粒子を製造した。
このトナー粒子の体積平均粒径は、6.5μmであり、平均円形度は0.980である。
続いて、本実施例の特徴である現像剤母体粒子(以下、トナー母体粒子)に付着させる外添剤について以下に説明する。
平均一次粒径が5nm以上100nm未満であるシリカ微粒子が、トナー母体粒子100質量部(現像剤母体粒子100質量部)に対し、1.0質量部以上3.0質量部未満外添されている。かつ、平均一次粒径が5nm以上500nm未満であるシリカ以外の微粒子が、トナー母体粒子100質量部に対し、0.5質量部未満外添されている。
平均一次粒径が5nm以上100nm未満であるシリカ微粒子が外添されていない場合には、良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が十分に行われにくくなることが懸念される。良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が十分に行われない場合には、カブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛散等の問題が発生しやすいことが懸念される。
また、平均一次粒径が5nm未満であるシリカ微粒子が外添されている場合には、シリカ微粒子の凝集性が強まり、一次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易い。このため、凝集体の現像や、定着部材あるいは像担持体或いは現像剤担持体等を傷つけるなどによる画像欠陥を生じ易くなることが懸念される。
平均一次粒径が5nm以上100nm未満であるシリカ微粒子をトナー母体粒子100
質量部に対し、1.0質量部未満外添させる場合、現像器を長期間に渡って使用する場合には、現像器の使用後半時に、良好なトナーの流動性が得られないことが懸念される。このような場合、トナー粒子への帯電付与が十分に行われにくくなることが懸念される。トナー粒子への帯電付与が十分に行われない場合には、カブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛散等の問題が発生しやすい。
また、平均一次粒径が5nm以上100nm未満であるシリカ微粒子をトナー母体粒子100質量部に対し、3.0質量部以上外添させる場合、感光体表面や現像剤担持体表面へのシリカ汚染が生じやすくなることが懸念される。感光体表面や現像剤担持体表面へのシリカ汚染が生じた場合には、画像の連続印字において、感光体表面への融着や現像剤担持体の下層汚染が生じることにより、現像弊害を生じることが懸念される。
このように、平均一次粒径が5nm以上100nm未満であるシリカ微粒子が、トナー母体粒子100質量部に対し、1.0質量部以上3.0質量部未満外添されていることで、良好なトナーの流動性を得ることができる。したがって、トナー粒子への帯電付与を十分に行うことができる。
ここで、現像、転写、定着、クリーニングの各プロセスの性能を維持するために、他の微粒子を少量外添して、トナーの流動性及び帯電性を微調整しても良い。
ただし、微粒子の平均一次粒径が500nm以上であるとトナー表面から脱離し易いため、トナーの流動性及び帯電性を長期間維持することが困難となるので、平均一次粒径が5nm以上500nm未満である微粒子を外添することが好ましい。
また、平均一次粒径が5nm未満である微粒子が外添されている場合には、微粒子の凝集性が強まり、一次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易い。このため、凝集体の現像や、定着部材あるいは像担持体或いは現像剤担持体等を傷つけるなどによる画像欠陥を生じ易くなることが懸念される。
通常、平均一次粒径が5nm以上500nm未満である微粒子を、トナー母体粒子100質量部に対し、0.5質量部未満外添される程度ならば、平均一次粒径が5nm以上100nm未満であるシリカ微粒子の効果が大きい。このため、良好なトナーの流動性及び帯電性を得ることができる。これにより、十分に良好な画像を出力することができる。
平均一次粒径が5nm以上500nm未満である微粒子としては、次のようなものを例示することができる。それは、テフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末である。また、それは、酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤である。また、それは、例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤である。また、それは、ケーキング防止剤である。また、それは、球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等の無機又は有機の球状に近い微粒子などのクリーニング助剤である。また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることが可能である。
本実施例における、外添剤微粒子の平均一次粒径の測定法を次に示す。それは、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって外添剤微粒子の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照して行われる。そして、これらの写真を対照しつつ、トナー表面に付着或いは遊離して存在している外添剤微粒子の一次粒子を100個以上測定し、個数平均粒径を求め
ることによる。
シリカ微粒子は、疎水化処理されていることが好ましい。
例えば、シリカ微粒子の表面をシリコーンオイル処理することで、疎水化処理できる。
シリカ微粒子は、一般にトナーの流動性改良及びトナー母体粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粒子を本実施例のようにシリコーンオイルによって疎水化処理することにより、次のような機能を付与することができる。それは、トナーの帯電量の調整、環境安定性だけでなく、本実施例の定着ベルトに対する離型性の向上等の機能である。
なお、シリカ微粒子を疎水化処理したものが高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する上でより好ましい。
表1中の外添処方は、トナー母体粒子100質量部に対する外添剤の質量部数を示す。
表1のシリカAの平均一次粒径は10nm、シリカBの平均一次粒径は50nm、酸化チタンの平均一次粒径は10nm、ハイドロタルサイトの平均一次粒径は200nmである。
既述のトナー母体粒子100質量部に対し、表1に記載の外添処方を混合して、ヘンシェルミキサーで乾式混合して、実施例及び比較例のトナーとした。
表1の飽和摩擦帯電量の測定方法は、下記の通りである。
図5は飽和摩擦帯電量測定装置の概略構成図である。
23℃,50%RH環境下、キャリアとしてF813−2535(パウダーテック株式会社製)を用い、キャリア19.6gにトナー0.4gを加えた混合物を50ml容量のポリエチレン製の瓶に入れ200回手で震盪する。次いで、底に500メッシュ(目開き25μm)のスクリーン53のある金属製の測定容器52に前記混合物0.4〜0.5gを入れ、金属製のフタ54をする。この時の測定容器52全体の質量を量りWa1(g)とする。
次に、吸引機(測定容器52と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口57から吸引し風量調節弁56を調節して真空計55の圧力を250mmAqとする。この状態で一分間吸引を行い、トナーを吸引除去する。この時の電位計59の電位をV(ボルト)とする。ここで、58はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。また、吸引後の測定機全体の質量を量りWa2(g)とする。このトナー(現像剤)の飽和摩擦帯電量(
mC/kg;μC/g)は、下式の如く計算される。
飽和摩擦帯電量(mC/kg)=CV/(Wa1−Wa2)。
表1のトナー凝集度測定の測定方法は、下記の通りである。
ここで、本実施例における凝集度は、従来公知のパウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製PT−E型)により以下の方法をとって測定した。測定環境を23℃,50%RHとする。
(1)トナー5.0gを正確に計り取る。
(2)振動台に、上から100メッシュ(目開き150μm)、200メッシュ(目開き75μm)、400メッシュ(目開き38μm)のふるいを重ねてセットする。
(3)精秤した5.0gのトナーを静かにふるい(100メッシュ上)にのせ、振動系に18Vの電圧を印加して15秒間振動させる。
(4)静かに各ふるいの上に残ったトナー量を精秤する。
以上の測定結果を用いて、トナーの凝集度(%)は、下式により算出される。
凝集度(%)=x+y+z
x=100×((100メッシュ上に残ったトナー量[g])/5)
y=100×((200メッシュ上に残ったトナー量[g])/5)×3/5
z=100×((400メッシュ上に残ったトナー量[g])/5)×1/5
このトナーTのトナー体積抵抗値としては1014Ω・cm以上である。
トナーTの体積抵抗値の測定条件は、直径φ:6mm、測定電極板面積:0.283cm2、圧力:1500gの錘を用い、圧力:96.1kPa、測定時の粉体層厚:0.5〜1.0mmとした。そして、400Vの直流電圧を微小電流計(YHP(横河ヒューレットパッカード株式会社製)4140pA METER/DC VOLTAGE SOUCE)で電流値を測定し、測定した電流値より体積抵抗値(比抵抗)を算出する。
本実施例においては、トナー結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜70℃であることがよい。Tgが40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、70℃を超える場合にはトナーの定着点の上昇をもたらす。フルカラー画像を形成するためのカラートナーの場合においては各色トナーの定着時の混色性が低下し色再現性にやや劣り、OHP画像の透明性が低下する。特に、45〜65℃であることが好ましい。本実施例では、Tgが60℃のトナーを用いた。
トナーに含まれるワックスの最大吸熱ピークは、45〜75℃であることが好ましい。ワックスの最大吸熱ピークが45℃未満の場合、本実施例に用いられる樹脂のガラス転移温度よりも低くなるために、高温環境に放置した際にトナー表面に溶け出すため、耐ブロッキング性能が大幅に悪くなることが懸念される。
一方、最大吸熱ピークが75℃より大きい場合、トナー定着溶融時にワックスが迅速に溶融トナー表面に移行できず、離型性が悪くなるために、高温オフセットが発生し易くなることが懸念される。特に、50〜70℃であることが好ましい。本実施例では、最大吸熱ピークが65℃のトナーを用いた。
尚、本実施例において、Tgの測定には、例えばパーキンエルマー社製示差走査熱量計「DSC−7」を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定試料は2〜10mg、好ましくは5mgを精密に秤量する。測定試料はアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、測定温度範囲30〜200℃の間で、
昇温速度10℃/minで常温常湿下測定を行う。2回目の昇温過程で得られる、温度30〜200℃の範囲におけるDSC(示差走査熱量測定)曲線をもって解析を行う。
ガラス転移温度(Tg)については、得られたDSC曲線より中点法で解析を行った値を用いる。また、ワックスの融点ついては、得られたDSC曲線の吸熱メインピークの温度値を用いる。
[現像ローラ融着防止方法及び画像不良防止方法]
現像ローラ9に劣化トナーが融着すると、現像ローラ9上のトナーコート量が増えて、未帯電トナーがコートされ、画像白地部にトナーが付着するカブリが発生する。
ここでは、現像ローラ9に劣化トナーが融着して、カブリが発生する状態になった使用済み現像器を準備する。
表1に準備したトナー8種類をトナー収容室33に入れて、トナー収容室33から現像室31へ5gのトナー補給を行い、1分間現像器を回転駆動した。その後に、規制ブレード11に印加する電圧Vbを6種類変化させて、ベタ白画像を出力し、カブリ評価を行った。
カブリ評価方法は以下の通りである。
プリントアウト画像の白地部分の白色度(反射率Ds(%))と記録材の白色度(平均反射率Dr(%))との差から、カブリ濃度(%)(=Dr(%)−Ds(%))を算出し、画像カブリを評価した。ここで、白色度は、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(有限会社東京電色製)により測定した。
本実施例では、測定時に使用するフィルタとして、シアンの場合はアンバーライト、イエローの場合はブルー、マゼンタ及びブラックの場合はグリーンのフィルタを用いた。また、カブリの評価は、以下に示す基準で行った。
○:良好 1.5%未満
△:やや難あり 1.5%以上、3.0%未満
×:問題あり 3.0%以上
使用済み現像器の作り方は、以下の通りである。
現像容器8内の現像室31に、画像比率5%のA4サイズの画像1000枚相当である25gのトナーを充填する。トナーは、表1の比較例1−2に記載のトナーを用いる。文字パターンを印字して、耐久試験を行った。厳しい条件として、低画像印字比率画像の出力が多い場合を想定して、評価用の画像は画像印字比率1%のA4サイズの文字パターンとした。又、2枚画像出力する毎に1回、5秒停止する間欠モードとした。試験環境は、温度23℃、湿度50%RHの環境で行った。2000枚の文字画像を出力した時点で、カブリ評価を行った。表1のトナーの種類に合わせて、48回耐久試験を行ったところ、カブリの平均値は7.8%で、全てカブリ評価が“問題あり”の現像器が得られた。
表1のトナーを現像室31に補給して、規制ブレード11に電圧を印加して、カブリ評価を行ったが、規制ブレード11に印加する電圧Vbは、−300V、−350V、−400V、−500V、−600V、−700Vの6種類で実験を行った。この時、現像ローラに印加した電圧Vdevは、−300Vであった。
したがって、ΔVbで表記すると、0V、−50V、−100V、−200V、−30
0V、−400Vの6種類で実験を行った。
表2に、表1に記載したトナーのカブリ評価結果を示す。
表1及び表2より、ΔVbの符号が、トナーの正規帯電極性と同じ負、かつΔVbの絶対値が50V以上300V以下で、補給するトナーの飽和摩擦帯電量の絶対値が40mC/kg以上100mC/kg以下である場合、カブリが良好な状態に回復する。
これは、次に述べる理由による。
現像室31に新品トナーを補給することにより、主に現像ローラ9と弾性ローラ10の当接ニップにおいて、補給した新品トナーを、現像ローラ9に付着した劣化トナーと摺擦させることができる。
この時に、補給するトナーの飽和摩擦帯電量の絶対値が40mC/kg以上100mC/kg以下である場合、補給した新品トナーと、現像ローラ9に付着した劣化トナーの帯電性が耐久劣化に伴い大きく異なるために、静電凝集させることができる。
これにより、現像ローラ9に劣化トナーが付着した場合でも、現像ローラ9から劣化トナーを引き剥がすことができ、現像ローラ9へのトナー融着を軽減できる。
これにより、現像ローラ9へのトナー融着に起因した画像不良を無くすことができる。
また、トナー補給時に、補給した新品トナーと劣化トナーが静電凝集する。静電凝集状態では、正規極性に帯電した新品トナーと同程度に、逆極性に帯電した劣化トナーが存在する。
静電凝集した状態で規制ブレードニップを通過し、現像部に到達すると、逆極性に帯電したトナーが、静電潜像の白地部に現像され、カブリが発生する。
したがって、ΔVb=0Vで、規制ブレードニップにおいて電界を形成しない場合、カブリが発生する。
しかし、正規極性に帯電した新品トナーを現像ローラ9側に、逆極性に帯電した劣化トナーを規制ブレード11側に引き付けるように、規制ブレードニップにおいて電界を形成することで、新品トナーと劣化トナーの静電凝集をほぐすことができる。
また、逆極性に帯電した劣化トナーを正規極性に帯電するまで、規制ブレードニップに滞留させることができ、正規極性に帯電したトナーのみ規制ブレードニップを通過して現像ローラ9にコートすることができる。
ただし、ΔVbの符号が、トナーの帯電極性と同じ負、かつΔVbの絶対値が50Vより小さい場合、規制ブレードニップに形成する電界が小さすぎ、十分に新品トナーと劣化トナーの静電凝集をほぐすことができない。その結果、規制ブレードニップ通過後の現像ローラ上に逆極性に帯電したトナーが多くなり、静電潜像の白地部に現像され、カブリが発生する。
また、ΔVbの符号が、トナーの帯電極性と同じ負、かつΔVbの絶対値が300Vより大きい場合、規制ブレードニップに形成する電界が大きくなりすぎ、正規極性に帯電したトナーの電荷が現像ローラに移動してしまう。その結果、規制ブレードニップ通過後の現像ローラ上に逆極性に帯電したトナーが多くなり、静電潜像の白地部に現像され、カブリが発生する。
したがって、ΔVbの符号が、トナーの帯電極性と同じ負、かつΔVbの絶対値が50V以上300V以下の場合、補給した新品トナーと劣化トナーの凝集によるカブリを防止することができる。
まとめると、画像形成動作時において、現像ローラ9へのトナー融着によりカブリが発生する状態でも、次のような動作(制御)により、現像ローラ9へのトナー融着によるカブリの発生を防止することができる。それは、飽和摩擦帯電量の絶対値が40mC/kg以上100mC/kg以下であるトナーを現像室に補給して、規制ブレード11に、ΔVbの符号が、トナーの正規帯電極性と同じ、かつΔVbの絶対値が50V以上300Vの電圧を印加することである。
このように、表1に記載の実施例1−1から実施例1−5までのトナーを補給することで、現像ローラ9への劣化トナーの融着を軽減して、カブリの発生を防止できる。
表1と、現像剤に関する既述の知見から、次に示す(5)かつ(6)の場合に、次のような効果が得られることがわかる。
すなわち、規制ブレードニップにおいて、補給した新品トナーを、現像ローラ9に付着した劣化トナーと摺擦させた時に、凝集させることができ、現像ローラ9から劣化トナーを引き剥がすことができ、現像ローラ9へのトナー融着を軽減できる。これにより、長期間に渡って、カブリの発生を防止できることが分かる。
(5)平均一次粒径が5nm以上100nm未満であるシリカ微粒子が、トナー母体粒子100質量部に対し、1.0質量部以上3.0質量部未満外添されている。
(6)平均一次粒径が5nm以上500nm未満であるシリカ以外の微粒子が、トナー母体粒子100質量部に対し、0.5質量部未満外添されているトナーを補給する。
さらに、新品トナーの凝集度が5%以上30%未満である場合、良好な流動性を有しているため、摩擦帯電機会が多い。これに比べて、劣化トナーの流動性は低く、摩擦帯電機会が少なくなるため、補給した新品トナーと、劣化トナーの帯電性が耐久劣化に伴い大きく異なりやすく、静電凝集しやすい。したがって、新品トナーの凝集度が5%以上30%未満である場合、規制ブレードニップにおいて、補給した新品トナーを現像ローラ9に付着した劣化トナーと摺擦させた時、より強く凝集させることができ、現像ローラ9から劣化トナーを引き剥がす効果が大きい。
[劣化トナー検知方法]
次に、現像室31内の劣化トナーの有無を検知する方法を示す。
図8は、トナー劣化情報検知装置67を説明するための図である。
トナー劣化情報検知装置67は、画像信号処理回路61、現像ローラ走行距離測定回路62、カウンタ63、CPU64、RAM65、ROM66から構成される。また、トナー劣化情報検知装置67は、制御手段、判定手段、走行距離導出手段を構成している。
印字されるデジタル画像信号は、画像信号処理回路61に送られ、ここで画素毎にその画素の濃度に対応した出力レベルを有する8bit(256値)の画素画像信号に変換される。
各画素の濃度に対応した画素画像信号は、カウンタ63によって積算される。ここで、カウンタ63からの積算信号S1は、トナー像を形成するために現像容器8から消費されるトナー量に対応している。
そこで、この積算信号S1をCPU64に供給すると共にRAM65に記憶する。
ここで、A4サイズで、画像印字比率5%の画像を8000枚出力した場合に、200g消費されるように画像形成装置を設定する。
この時、600dpiで印字した場合、A4サイズ、7128×5040dotで、8000枚印字した場合の画素画像信号の積算信号をT1とする。
これにより、
(積算信号S1の時の推定トナー消費量)=200×(S1/T1)g
と算出可能になる。
そこで、T1をROM66に記録する。
本発明の発明者は、トナーの劣化レベルは、現像ローラ走行距離の積算値すなわち“回転時間×周速”にほぼ比例していることを確認している。
ここでは、現像ローラ9の周速を、現像ローラ表面の回転速度と定義する。
そこで、現像室31から消費または排出されるトナー量及び、トナー収容室33から現像室31に補給されるトナー量を考慮したトナー劣化指標をS3とする。
すなわち、この値が大きいほど、現像室31内のトナーが劣化していると判定する。
トナー劣化指標S3(現像剤劣化指標S3)の算出方法を以下に示す。
現像ローラ走行距離の積算値S2は、現像ローラ9の回転時間及び周速を測定し、回転時間と周速の乗算を算出可能である、現像ローラ走行距離測定回路62によって算出される。
本実施例では、A4サイズで、2枚画像出力する毎に、1回停止する間欠モードで、画像印字比率1.5%画像を出力し続けた場合、トナーが劣化していると判定する。
本実施例では、トナー劣化の判定は100枚印字する毎に行った。
また、現像室31には最大50gのトナーを入れることができる。
A4サイズで、画像印字比率100%のベタ画像を100枚出力した場合に、推定トナ
ー消費量は50gである。従って、100枚印字した時の現像室31からの推定トナー消費量をw1、現像室31のトナー量(現像室31に収容可能なトナーの最大量)をW2とすると、常に、
W2≧w1
を満たす。
印字枚数のカウントは、印字枚数カウンタ69で行った。
ここで、A4サイズで、2枚画像出力する毎に、1回停止する間欠モードで、画像を100枚出力した場合の現像ローラ走行距離の積算値をT2とする。
そこで、T2をROM66に記録する。
この場合、上記画像出力条件では、
(100枚出力時の推定トナー消費量)
=(100/8000)×(1.5/5)×200
=0.75g
(100枚出力時の現像ローラ走行距離)=T2
となる。
従って、画像印字比率1.5%画像を100枚印字した場合、0.75gトナーが消費されると推定される。
現像室31内のトナーを消費した場合、トナー補給ローラ41を回転駆動し、現像室31内に設けられたトナー残量検知センサ43が現像室に50gのトナーが入っていることを示すまで、トナー収容室33から現像室31に新品トナーを逐次補給する。ここで、トナー残量検知センサ43は、現像剤消費量導出手段を構成している。
このような現像室のトナーの入れ替わりを考慮して、一定枚数出力した時の現像ローラ走行距離をL1、一定枚数出力した時の現像室からの推定トナー消費量をW1、現像室のトナー量をW2として、
トナー劣化指標S3=L1×(W2−W1)/W2
と定義する。
常に、W2≧W1を満たすので、
S3≧0である。
ここで、画像印字比率1.5%画像を100枚印字した場合、0.75gトナーが消費されると推定されて、
トナー劣化指標の閾値T3=T2×(50−0.75)/50
と算出することができる。
したがって、トナー劣化指標S3が、トナー劣化指標の閾値T3を上回る場合、トナーが劣化していると判定する。
この判定は、CPU64で行う。
CPU64が、現像室31内のトナーが劣化していると判定した場合、現像装置制御装置68を以下のように制御する。
現像ローラ9から感光ドラム1に5g分(A4ベタ画像10枚相当)の劣化トナーを現像し、現像室31から排出する。その後で、トナー収容室33から現像室31に5g新品トナーを補給する。
これにより、現像室31からトナーを排出・補給する前のトナー劣化指標をS3’、現像室31からトナーを排出・補給した後のトナー劣化指標をS3’’とすると、S3’’=S3’×(45/50)=0.9×S3’となる。すなわち、トナー劣化指標S3を下げることができる。
なお、トナー劣化指標S3は、トナー劣化判定後にRAM65に記憶する。
また、画素画像信号の積算信号S1、現像ローラ走行距離の積算値S2は、0にリセットされる。
そして、トナー劣化判定を終了する。
印字枚数カウンタ69を0にリセットする。
画像出力する毎に、S1及びS2は積算され、印字枚数カウンタ69も印字枚数をカウントする。
現像装置3を使用開始してから、n+1回目のトナー劣化検知方法を以下で説明する。
n回目のトナー劣化指標を[S3]nとする。
[S3]nは、n回目のトナー劣化判定後に、RAM65に記憶されている。
n回目のトナー劣化判定から、n+1回目までに、
(画素画像信号の積算信号S1の推定トナー消費量)=200×(S1/T1)である。
従って、n+1回目のトナー劣化指標は、
[S3]n+1=([S3]n+S2)×(W2−W1)/W2
=([S3]n+S2)×(50−200×(S1/T1))/50
である。
[S3]n+1が、トナー劣化指標の閾値T3を上回る場合、トナーが劣化していると判定する。この判定は、CPU64で行う。
判定後の動作は、既述の通りである。
トナー劣化指標[S3]n+1は、トナー劣化判定後にRAM65に記憶する。
また、画素画像信号の積算信号S1、現像ローラ走行距離の積算値S2は、0にリセットされる。
そして、トナー劣化判定を終了する。
印字枚数カウンタ69を0にリセットする。
[現像ローラへのトナー融着防止方法のシーケンス制御]
次に、現像ローラ9に劣化トナーが融着することを防止するシーケンス制御を説明する。
図1は、本実施例に係る画像形成装置のシーケンス制御を説明するための図である。
以下、本実施例に係る画像形成装置のシーケンス制御について図1を用いて説明する。
画像出力命令を待機する状態から始まり(ステップS1)、画像出力命令が入力されると(ステップS2)、印字枚数を印字枚数カウンタ69に積算する(ステップS3)。そして、画像出力で消費した分のトナーを、トナー収容室33から現像室31に補給する(ステップS4)。
次に、印字枚数カウンタが100か否かを確認し(ステップS5)、Yesならば、ステップS6に進み、Noならば、ステップS1に戻る。
ステップS6では、既述の方法を用いて、現像室31内のトナーが劣化しているかどうかを判定し、Yesならば、ステップS7に進み、Noならば、ステップS1に戻る。ステップS6の判定において、Yes,Noどちらの場合でも、印字枚数カウンタは0にリセットされる。
ステップS7では、既述の方法で、現像室31から5g(所定量)の劣化トナーを排出する。
そして、ステップS8では、既述の方法で、トナー収容室33から現像室31に5g(所定量)の新品トナーを補給する。その後、ステップS6に戻る。
上記のシーケンス制御を実施することで、現像ローラ9に劣化トナーが付着した場合でも、現像ローラ9から劣化トナーを引き剥がすことができる。これにより、現像ローラ9へのトナー融着に起因した画像不良を無くすことができる。
また、上記した劣化トナー検知方法を実施することで、より精度良く、現像室内の一成分トナーの劣化に関する情報を得ることができる。したがって、より確実に劣化トナーの排出及び、新品トナーの補給を行うことができ、現像ローラへのトナー融着に伴う画像不良の発生を防止できる。
[実使用条件での耐久試験]
本実施例の効果を確認するために、実使用条件に近い耐久試験を行った。
現像容器8内の現像室31及びトナー収容室33に、画像比率5%のA4サイズの画像8000枚相当である200gのトナーを充填して、耐久試験を行った。
使用するトナーは、比較例1−1、及び、実施例1−3の2種類用いた。
評価用の画像は、画像印字比率0.5%、1%、3%、5%のA4サイズの文字パターンとした。又、2枚画像出力する毎に1回、5秒停止する間欠モードとした。試験環境は、温度23℃、湿度50%RHの環境で行った。
ここで、現像ローラ9、規制ブレード11、弾性ローラ10に印加される電圧をそれぞれ、Vdev、Vb、Vrsとすると、Vdev=−300V、Vb=−500V、Vrs=−300Vに設定し、現像ローラ9回転時は常に同じ電圧を印加し続けた。ここで、
弾性ローラ10には、第3電圧印加手段により電圧が印加される。
現像ローラ9へのトナー融着防止方法は既述の方法を用いた。
現像容器8内のトナー残量が50g、すなわちトナー収容室33内トナー0g、かつ現像室31内トナー50gになった時点で、カブリ評価を行った。
比較例1−1では、画像印字比率が1.0%以下では×だが、実施例1−3では、全ての画像印字比率で○である。
このように、次に示す(7)〜(9)を満たす場合に、現像ローラ9に劣化トナーが付着した場合でも、現像ローラ9から劣化トナーを引き剥がすことができる。
(7)トナー劣化情報検知装置67を備える。
(8)トナー劣化情報を検知した結果に応じて、現像室31からの劣化トナー排出、及びトナー収容室33から現像室31への新品トナー補給を制御する装置を備える。
(9)(Vb−Vdev)の符号が、トナーの帯電極性と同じ、かつ(Vb−Vdev)の絶対値が50V以上300V以下で、トナーの飽和摩擦帯電量の絶対値が40mC/kg以上100mC/kg以下である。
これにより、現像ローラ9へのトナー融着に起因した画像不良を無くすことができる。
また、トナー補給時に、補給した新品トナーと劣化トナーが凝集するが、規制ブレードニップにおいて電界を形成することで、次のような効果が得られる。すなわち、新品トナーと劣化トナーの凝集をほぐし、正規極性に帯電したトナーのみ規制ブレードニップを通過して現像ローラ9にコートすることができる。
これにより、補給した新品トナーと劣化トナーの凝集によるカブリを防止することができる。
<実施例1の補足説明>
[劣化トナー検知方法]
本実施例では、現像ローラ走行距離を測定する手段と、印字する画像の画素画像信号の積算値からトナー消費量を推定する手段と、それらからトナー劣化指標を算出する手段を用いて、現像室31内のトナーの劣化に関する情報を検知した。しかし、必ずしもこれに限定されるものではない。
例えば、トナー消費量を推定する手段の代わりに、トナー消費量を検知する手段を用いて劣化トナーを検知してもよい。この場合、トナー収容室33及び現像室31に、それぞれトナー残量検知センサを設けて、現像容器8内のトナー総量を検知可能にして、トナー総量の変化から、トナー消費量を検知してもよい。
また、転写残トナー濃度検知手段を用いて、劣化トナーを検知してもよい。
ここで、劣化トナー検知方法は、以下の通りである。
所定の帯電電位、露光量によって感光ドラム1上に基準潜像を形成する。また、これを現像装置3によって現像することで、基準トナー像(トナーパッチ)を形成する。
トナーパッチ中のトナーのQ/M(単位重量(M)当りの帯電量(Q))分布は、現像装置3が新品に近い場合にはトナーへの帯電付与が正しく行われるため、そのほとんどがマイナスの値をもつ。しかし、現像装置3が耐久寿命に近づいた場合、本来あるべき状態であるマイナスの値をもつものと、反転成分であるプラスの値をもつものが混在している。
転写ローラ4には定電流制御電源(不図示)が接続されていて、劣化トナーを検知する時には転写ローラ4から感光ドラム1に向かって+10μAの転写電流が流れるように制御する。トナーパッチ上のトナーのうち、マイナス帯電しているものの大半は転写ローラ4に移動し、その後不図示の転写ローラ清掃部材によって転写ローラ4から剥離される。
感光ドラム1側には、次のようなトナーT4,T5,T6が残留する。トナーT4は、Q/Mの絶対値が高く鏡映力によって強く感光ドラム1表面にひきつけられているトナーである。トナーT5は、転写電流によって再帯電され極性をマイナスからプラスに転じたトナーである。トナーT6は、トナーパッチ現像時にすでにトナーパッチ中でプラスの極性を持っていたトナーである。
現像装置3が初期の状態では、感光ドラム1上に残留するパッチ残トナー(転写残トナー)はほとんどトナーT4,T5である。しかし、現像装置3がその寿命に近づいてくると、トナーパッチ中にQ/Mがプラスのトナーが増加してくる。すなわち、感光ドラム1上に残留しているパッチ残トナー中にも、トナーT4,T5に加えてトナーT6が存在するようになる。
トナーT4,T5は現像装置3の耐久によってあまり変化しないため、パッチ残トナーの量を初期状態と比較することでトナーT6の増加分を検知できる。つまり、この増加分と、トナー劣化状態の相関をあらかじめ調べておくことで、すなわち、予め求められた、転写残トナーとトナーの劣化状態と間の関係から、トナー劣化を検知することができる。
なお、転写残トナー濃度を検知する場合には、転写ローラ4とクリーニングブレード5の間の位置に、感光ドラム1に対向して、現像剤濃度検知手段としてのパッチセンサ(不図示)が設置されている。パッチセンサには発光素子と受光素子が内蔵され、発光素子から感光ドラム1へ向かって照射され、戻ってきた光量を受光素子で検知する。感光ドラム1上に付着したトナー量によって戻ってくる光量が変化するため、パッチ残トナーのトナー量を検知することが出来る。
また、転写効率算出手段を用いて、劣化トナーを検知してもよい。
転写効率算出方法は、以下の通りである。
現像ローラ9と転写ローラ4の間の位置及び、転写ローラ4とクリーニングブレード5の間の位置に、感光ドラム1に対向して、現像剤濃度検知手段としてのパッチセンサ(不図示)が設置されている。
既述の転写残トナー濃度検知方法と同様に、感光ドラム1にトナーパッチを現像する。
既述の二つのパッチセンサを用いて、転写前の感光ドラム1上のトナー濃度D1と、転写後の感光ドラム1上のトナー濃度D2を検知する。これらから、
転写効率=100×(D1−D2)/D1
を算出することができる。
そして、転写効率とトナー劣化状態の相関を予め調べておくことで、すなわち、予め求められた、転写前の感光ドラム1上のトナー濃度D1及び転写後の感光ドラム1上のトナー濃度D2と、トナーの劣化状態と間の関係から、トナー劣化を検知することができる。
また、現像ローラ9上のトナー帯電量を検知する帯電量検知手段を用いて、劣化トナーを検知してもよい。
通常、トナーが劣化していない場合、正規極性に帯電したトナーが大半を占め、現像ローラ9上のトナー帯電量の絶対値X1は高い値を示す。しかし、トナーが劣化すると、逆極性に帯電したトナーが増え、現像ローラ9上のトナー帯電量の絶対値X2は、絶対値X1より低い値を示す。
そこで、現像ローラ9上のトナー帯電量と、トナー劣化状態の相関を予め調べておくことで、トナー劣化を検知することができる。
これらのような方法を用いても、精度良く、現像室内の一成分トナーの劣化に関する情報を得ることができ、より確実に劣化トナーの排出及び、新品トナーの補給を行うことができ、現像ローラへのトナー融着に伴う画像不良の発生を防止できる
[補給トナー]
本実施例では、トナーの正規帯電極性は負極性であるが、これに限定するものではない。正規帯電極性が正極性であるトナーを用いてもよい。その場合は、必要に応じて、帯電ローラ2、現像ローラ9、規制ブレード11、弾性ローラ10等の部材に印加する電圧の極性を変えればよい。
[トナー収容室から現像室へのトナー補給方法]
本実施例では、現像室31内にトナー残量検知センサ43を設けた。そして、現像室31内のトナーが消費されたら、トナー補給ローラ41を回転し、消費分だけトナー収容室33から現像室31へトナー補給を行うように制御した。しかし、本発明は、トナー収容室33から現像室31へのトナー補給を制御することに限定されるものではない。
図6は、トナー収容室33から現像室31へのトナー補給制御を行わない現像器44の概略構成を示す断面図である。
この現像器44は、トナー収容室33が現像室31の上方に位置し、開口42が常に開いていて、現像室攪拌部材32とトナー収容室攪拌部材34を常に回転させる。ここで、現像室攪拌部材32は、穴を開けたマイラシートを用い、トナー収容室攪拌部材34は金属棒を用いた。
このような構成を採用した場合、現像室31内のトナーが消費されたら、トナーの自重により、消費した分だけトナー収容室33から現像室31へトナー補給を行うことができる。
[現像室攪拌部材の配置]
本実施例では、トナー収容室33から現像室31に補給したトナーは、現像室31内で十分に攪拌された後に、現像ローラ9に供給される構成を採用したが、必ずしもこの限り
ではない。例えば、トナー収容室33から現像室31に補給したトナーをできるだけ早く現像ローラ9に供給する構成を採用してもよい。
図7は、トナー収容室33から現像室31へ補給したトナーを素早く現像ローラ9に供給する現像器45の概略構成を示す断面図である。
この現像器45は、トナー収容室33が現像室31の上方に位置し、開口42が常に開いていて、現像室攪拌部材32とトナー収容室攪拌部材34を常に回転させる。ここで、現像室攪拌部材32は、金属棒を用い、トナー収容室攪拌部材34は穴を開けたマイラシートを用いた。
ここで、現像室攪拌部材先端の回転半径をr1[mm]、現像室攪拌部材の回転中心Kから、開口42の最近接位置Lまでの最近接距離をr2[mm]、現像室攪拌部材の回転中心Kから、弾性ローラ10の最近接位置Jまでの最近接距離をr3[mm]とする。このとき、
r2−r1=5
r3−r1=2
を満たすような構成を採用した場合、トナー収容室33から現像室31へ補給したトナーを素早く現像ローラ9に供給することができる。
これにより、現像ローラ9へのトナー融着を、より早く軽減することができる。特に、画像不良が発生するほど現像ローラ9へのトナー融着がひどい場合に、素早く画像不良を防止することができる。
また、現像室攪拌部材32を、
0≦r2−r1≦5
0≦r3−r1≦5
を満たすように配置した場合、トナー収容室33から現像室31へ補給したトナーを素早く現像ローラ9に供給することができることを確認した。
[弾性ローラ]
本実施例では、弾性ローラ10は常に現像ローラ9と等電位に設定したが、必ずしもこの限りではない。
ここで、弾性ローラ10に印加する電圧をVrs、現像ローラ9に印加する電圧をVdevとし、
ΔVrs=Vrs−Vdev
と定義する。
画像形成時に、ΔVrsの符号を、トナーの正規帯電極性と同極性かつ、ΔVrsの絶対値を50V以上1000V以下に設定すると、弾性ローラ10から現像ローラ9に、正規極性に帯電したトナーを付着させる電界を形成することができる。
これにより、弾性ローラ10から現像ローラ9に十分な量の正規極性に帯電したトナーを供給することができ、現像ローラ9上のトナーコート量を安定させることができる。これにより、ベタ画像先端反射濃度と比べてもベタ画像後端反射濃度が低下しない。すなわち、面内の反射濃度が均一なベタ画像を出力することができる。
なお、ΔVrsの絶対値が50V未満の場合、弾性ローラ10から現像ローラ9に、正規極性に帯電したトナーを付着させるほど十分に大きな電界を形成することができない。
また、ΔVrsの絶対値が1000Vより大きい場合、弾性ローラ10と現像ローラ9の間に放電が発生するほど大きな電界が形成され、現像ローラ9上にトナーコートムラが発生し、画像不良が発生する。
なお、ΔVrsの絶対値が同じであっても、現像ローラ9及び弾性ローラ10の抵抗値によって、弾性ローラ10と現像ローラ9の間に形成される電界は変化する。従って、面内の反射濃度が均一なベタ画像を出力できるように、ΔVrsの絶対値を50V以上1000V以下で調整する必要がある。
[現像ローラ表面粗さRa]
本実施例では、表面粗さRaが2.0μmである現像ローラ9を用いたが、この限りではない。
例えば、トナーに与える機械的摺擦を小さくするため、現像ローラ表面の算術平均粗さ(Ra)が0.3[μm]以下の表面粗さが小さい現像ローラが使われることがある。このような場合、現像ローラにトナー融着が発生しやすい。
しかしながら、このような場合に本発明を適用することにより、現像ローラへのトナー融着を防止するという大きな効果が得られる。すなわち、現像ローラ表面の算術平均粗さ(Ra)が0.3[μm]以下の表面粗さが小さく、トナー融着が発生しやすい現像ローラを使用した場合であっても、現像ローラへのトナー融着に起因した画像不良の発生を防止できる。
[温度及び湿度環境依存性]
本実施例では、試験環境は、温度23℃、湿度50%RHで行ったが、必ずしもこの限りではない。例えば、温度30℃、湿度80%RHの高温高湿環境で実施してもいいし、温度15℃、湿度10%RHの低温低湿環境で実施しても良い。
この場合、以下の方法を用いて、現像ローラにトナー融着したことにより発生する画像不良を防止する。
使用環境によって、現像ローラへのトナー融着のしやすさは変化する。
使用が想定される環境において、トナーが劣化したと判定する、平均画像印字比率をあらかじめ決める。
この情報を本実施例で説明した、トナー劣化情報検知装置67のROM66に記録する。
そして、図1に記載のシーケンス制御を用いることで、どのような使用環境でも、現像ローラにトナー融着したことにより発生する画像不良を防止することができる。
[劣化トナー検知のタイミング]
本実施例では、100枚印字する毎に劣化トナーの検知を行ったが、必ずしもこの限りではない。
ここで、ベタ画像を印字し続けた時に、現像室からの推定トナー消費量をw1、現像室の最大トナー量をW2とし、
W2≧w1
を満たす最大の印字枚数をY1とする。このような場合、本実施例の劣化トナー検知方法では、Y1以下のY2枚ならば、どのような印字枚数の間隔で、トナー劣化検知を行っても良い。
この場合、トナー劣化指標S3=L1×(W2−W1)/W2
は、常に正である。
また、本実施例以外の、既述の劣化トナー検知方法を用いる場合、劣化トナー検知のタイミングは、画像不良が発生しないように適切な間隔で行えばよい。
[規制ブレードに印加する電圧]
本実施例の実使用条件での耐久試験では、現像ローラ9、規制ブレード11に印加する電圧をそれぞれ、Vdev、Vbとすると、Vdev=−300V、Vb=−500Vに設定し、現像ローラ9回転時は常に同じ電圧を印加し続けた。しかし、必ずしもこれに限定されるものではない。
常に、規制ブレードニップにおいて、正規極性に帯電したトナーが現像ローラ9側に引き付けられる電界を形成していると、現像ローラ9へのトナー融着が発生する場合がある。
そこで、画像形成時のみVdev=−300V、Vb=−500Vに設定し、非画像形成時には、Vdev=−300V、Vb=−300Vに設定してもよい。
これにより、画像形成時には、現像ローラ9上の大半のトナーを正規帯電極性にし、カブリの発生を防止できる。また、非画像形成時には、規制ブレードニップで正規極性に帯電したトナーが現像ローラ9から引き剥がされやすい状態を形成し、現像ローラ9へのトナー融着を防止できる。