本発明では、簡易な構成で、現像剤担持体付近のトナーの流動性を検知する方法として、クリーニング手段(クリーニング部材)と像担持体の間の摩擦力により発生する回転負荷を検知する。以下に、クリーニング手段としてクリーニングブレードを、像担持体として感光ドラムを用いた例を挙げて、原理を示す。
クリーニングブレードニップ部において、クリーニングブレードと感光ドラムが直接接する面積が大きすぎると、回転負荷が大きすぎて回転できない。
そこで、通常、クリーニングブレードの先端部には、回転する感光ドラム表面との摩擦力を低減することを目的とし、あらかじめ潤滑剤としての微粉体が塗布されることで付与されている。画像形成装置を使用すると、平均粒径付近のトナーはクリーニングブレードニップ部に入る前に感光ドラムからクリーニングされるが、トナーの平均粒径と比べて微小な粉体、即ちトナーに付着している外添剤や微粉トナーは、クリーニングブレードニップ内に入る。新たな粒子が上流側から入ると、元々付着していた粒子は下流側に押し出されるので、常にクリーニングブレードニップ内の粒子は入れ替わっている。
画像形成装置を使用すると、クリーニングブレードニップ部に様々な粒子が入るが、その種類や量に応じてクリーニングブレードと感光ドラム間の摩擦力が変わり、感光ドラムの回転負荷が変化する。
ここで、本発明者は、クリーニングブレードニップ部に流動性が低下したトナーが入ると、感光ドラムの回転負荷が上昇することを見出した。
感光ドラムの回転負荷が上昇する要因としては、感光ドラム表面やクリーニングブレード表面への異物融着、クリーニングブレードの使用環境(温度・湿度)変化がある。しかし、本実施の形態の画像形成条件においては、トナーの流動性の低下が、感光ドラムの回転負荷の上昇に与える影響が大きいことを確認した。すなわち、本実施の形態の画像形成条件においては、トナーの流動性低下と、感光ドラムの回転負荷上昇には相関がある事を見出した。
そこで、本発明では、感光ドラムの回転負荷を元に、トナーの流動性を検知する。この検知方法には、本発明者が掲げた課題を解決する効果がある。
例えば、簡易な構成であることから、課題1を解決できる。また、クリーニングブレードニップ部に入るトナーは、現像剤担持体から感光ドラムに移ったトナーであり、直前まで現像剤担持体にコートされたトナーである。従って、現像剤担持体付近のトナーの流動性を検知でき、課題2を解決できる。また、トナー流動性の原因にかかわらず、流動性を検知できるので、課題3を解決できる。
また、本発明では、感光ドラムの回転負荷検知後に基準となる閾値と比較して、もし感光ドラムの回転負荷が閾値を超えていたら、画像出力速度を下げる。以下にその効果を示す。
画像出力速度が速くて、クリーニングブレードと感光ドラム間の摩擦力が高く、感光ドラムの回転負荷が高い場合、クリーニングブレードニップ部で著しく発熱する。すると、画像形成装置内に冷却装置を備えていても、感光ドラムの温度が大きく上昇することがある。現像部では現像剤担持体上のトナーが感光ドラムと接触するため、熱の授受が行われ、温度上昇したトナーが現像容器内に戻ることで、現像容器内のトナーが温度上昇する。トナーの温度が上昇すると、トナーの流動性は低下し、画像不良が発生することがある。この場合、感光ドラムの周速を下げる、あるいは一定枚数出力後に感光ドラムを停止する、等の手段を用いて、画像出力速度を下げることで、クリーニングブレードニップ部の発熱を抑えることができる。
また、トナーの温度が上昇しなくても、長期間に渡って画像形成装置の使用頻度が高い場合、トナーの静電凝集が発生し、トナーの流動性が低下して、画像不良が発生することがある。ここで、トナーの帯電電荷は、ある時定数で減衰していくので、トナーの帯電機会を下げるあるいは、放置時間を設けることで、現像容器内のトナーの帯電電荷量を下げることができる。従って、感光ドラムの周速を下げる、あるいは一定枚数出力後に感光ドラムを停止する、等の手段を用いて、画像出力速度を下げることで、トナーの静電凝集を抑えることができる。これらの例の詳細は比較例及び実施例に示す。
このように、トナーの温度上昇、トナーの静電凝集のどちらが流動性低下の原因であっても、感光ドラムの回転負荷検知後に基準となる閾値と比較して、もし感光ドラムの回転負荷が閾値を超えていたら、画像形成出力速度を下げるようにする。このことで、トナーの流動性を回復できること(課題4)を解決する。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。なお、上記では、特許文献から直接引用した用語を用いていたため、トルクと負荷を併用していたが、本実施の形態では同義語として扱う。
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の概略を説明する。
図3は本実施の形態に係る画像形成装置の一態様である4色フルカラー画像形成装置を示すものである。
図3に示すフルカラー画像形成装置20は、垂直方向に並設された4個の像担持体とし
ての感光ドラム1(1A、1B、1C、1D)を備える。この感光ドラム1は、矢印方向に不図示の駆動モーターにより回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に、帯電ローラ2、露光装置6、現像装置3、静電搬送転写装置18、クリーニング手段としてのクリーニングブレード5等が配設されている。ここで、帯電ローラ2(2A、2B、2C、2D)は、感光ドラム1の表面を均一に帯電する。また、露光装置6(6A、6B、6C、6D)は、画像情報に基づきレーザーを照射し、感光ドラム1上に静電潜像を形成する。また、現像装置3(3A、3B、3C、3D)は、静電潜像を顕像化画像(現像剤像、トナー像)として現像する。また、静電搬送転写装置18は、感光ドラム1上のトナー像を転写材Pに転写する。また、クリーニングブレード5(5A、5B、5C、5D)は、転写後の感光ドラム1表面に残った転写残トナー(残留トナー)を除去する。
本実施の形態においては、感光ドラム1、及び感光ドラム1に関わるプロセス手段(画像形成手段)として、帯電ローラ2、現像装置3、クリーニングブレード5は一体的にカートリッジ化されている。そして、これらはプロセスカートリッジ19(19A、19B、19C、19D)を形成し、フルカラー画像形成装置20に着脱可能なものとなっている。又、本実施例においては、プロセスカートリッジ19A、19B、19C、19Dは全て同一形状を有しており、その中に内包されるトナーは、それぞれ、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックである。
そして、全ての感光ドラム1A、1B、1C、1Dに対向し、接するように、循環移動する転写材搬送ベルトとしての静電搬送ベルト22が配設されている。静電搬送ベルト22の内側に当接し、4個の感光ドラム1A、1B、1C、1Dに対応して、転写部材としての転写ローラ4(4A、4B、4C、4D)が並設される。これら転写ローラ4は感光ドラム1と対向し、転写部を形成する。これら転写ローラ4から静電搬送ベルト22を介して正極性の電荷が転写材に印加され、この電荷による電界により、感光ドラム1に接触中の転写材に、感光ドラム1上の負極性トナーが転写される。
定着装置7は、転写材Pに転写された複数のトナー像を定着させるものである。感光ドラム1上のトナー像を転写した転写材Pは、定着装置7を通過する際に、熱及び圧力を印加される。これにより、複数色のトナー像が転写材P表面に永久定着される。
次に、プロセスカートリッジの概略を説明する。
後述する比較例1〜比較例5、及び実施例1〜実施例11では、半導電性の現像ローラ、又は表面に誘電層を形成した現像ローラを用いて感光体表面層に押し当てる構成で現像を行う非磁性一成分DC接触現像方法について説明する。
以下に、非磁性一成分DC接触現像方法を用いたプロセスカートリッジの詳細を説明する。図9は、非磁性一成分DC接触現像方式によって現像を行う接触一成分現像装置(以下、単に現像装置という)を備えた画像形成装置(本画像形成装置は、電子写真方式のレーザービームプリンタ)を示す概略構成図である。
図3では、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの4種類のプロセスカートリッジを図示したが、全て同じ構成である。図9では、ブラックのプロセスカートリッジのみ記載し、その詳細を説明する。
本画像形成装置は、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムという)1を備えている。感光ドラム1の周囲には、帯電ローラ2、現像装置3、転写ローラ4、クリーニングブレード5が設置されており、帯電ローラ2と現像装置3間の外側に
は露光装置6が配設されている。また、感光ドラム1と転写ローラ4間の転写ニップに対して転写材搬送方向の下流側には定着装置7が配設されている。
感光ドラム1は、直径30[mm]の負帯電の有機感光体で、アルミニウム製のドラム基体(不図示)上に感光体層(不図示)を有している。そして、所定の周速で矢印方向(時計方向)に回転駆動され、その回転過程において接触する帯電ローラ2により負極性の一様な帯電を受ける。
帯電手段としての帯電ローラ2は、感光ドラム1表面に回転自在に接触し、帯電バイアス電源(不図示)から印加される帯電バイアスによって感光ドラム1を負帯電の所定電位に均一に帯電する。
現像装置3は、一成分現像剤としての非磁性のトナーTで現像を行う接触一成分現像装置であり、現像剤担持体としての現像ローラ9、弾性ローラ10、規制ブレード11、攪拌部材12を備えている。ここで、現像ローラ9は、現像容器8の開口部に感光ドラム1と対向配置され、矢印方向(反時計方向)に回転自在に設けられている。
また、弾性ローラ10は、現像ローラ9に圧接するように回転自在に設けられている。また、規制ブレード11は、弾性を有して現像ローラ9に当接するように設けられている。また、攪拌部材12は、現像容器8内のトナーTを攪拌するように設けられている。規制ブレード11は、現像ローラ9と弾性ローラ10との圧接部に対して現像ローラ9の回転方向下流側で現像ローラ9に当接している。
攪拌部材12で攪拌されたトナーTは、現像ローラ9に圧接して回転する弾性ローラ10によって現像ローラ9表面に供給される。現像ローラ9表面に供給されたトナーは、現像ローラ9の回転に伴い搬送され、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部で摩擦により電荷を付与されて、現像ローラ9表面に薄層化される。薄層化されたトナーは現像ローラ9の回転によって搬送され、感光ドラム1との当接部(現像部)にて感光ドラム1上に形成された静電潜像に付着して顕像化する。なお、現像ローラ9上の現像に寄与しなかったトナーは、弾性ローラ10で剥ぎ取られる。
転写ローラ4は感光ドラム1と対向し、静電搬送ベルト22を介して、感光ドラム1に所定の押圧力で接触して転写部を形成する。転写ローラ4には、転写バイアス電源(不図示)から転写バイアスが印加される。これにより転写ローラ4から静電搬送ベルト22を介して正極性の電荷が転写材Pに印加され、この電荷による電界により、感光ドラム1に接触中の転写材Pに、感光ドラム1上の負極性トナーが転写される。
クリーニングブレード5の材料としては、シリコーンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム等のゴム弾性を有するものが挙げられるが、耐摩耗性、永久変形性等の観点から、ポリウレタンゴムが好ましい。
このクリーニングブレード5の先端部は、矢印の方向に回転する感光ドラム1表面に対し、回転方向下流に向かって徐々に離間する方向、つまり感光ドラム1の回転方向と対向した、所謂カウンタ方向に所定の圧力をもって当接されている。
そして、クリーニングブレード5の先端部には、回転する感光ドラム1表面との摩擦力を低減することを目的とし、予め潤滑剤としての微粉体が塗布されることで付与されている。
微粉体としては、様々な材質、形状のものが提案されている。
本実施の形態においては、クリーニングブレード5の先端部分に予め塗布される潤滑剤として、次に示すものを所定の割合で混合したものを用いた。それは、球形を有する平均粒径3μm、円形度0.93のシリコーン樹脂粒子(商品名トスパール:東芝シリコーン社製)と、不定形、具体的には鱗片形状を有する平均粒径2μmのフッ化黒鉛(商品名セフボン:セントラル硝子社製)である。
なお、前記円形度に関しては、例えば東亜医用電子社製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000等を用いて測定することが可能である。
この微粉体を塗布する方法としては、これら単一物質をアルコール等の揮発性液体に分散し、この溶液をクリーニングブレード5の先端部に塗布する方法を用いた。
なお、クリーニングブレード5のエッジ先端からの塗布幅としては、概ね1mmとした。
クリーニングブレード5は、転写後に感光ドラム1表面に残った転写残トナーを除去する。
露光装置6は、不図示のレーザドライバ、レーザダイオード、ポリゴンミラー14などを備えている。そしてレーザドライバに入力される画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して変調されたレーザ光がレーザダイオードから出力され、高速回転するポリゴンミラー14で前記レーザ光を走査し、光学レンズ系15を介して感光ドラム1表面を画像露光Lする。このことにより、画像情報に対応した静電潜像を形成する。
定着装置7は、回転自在な定着ローラ7aと加圧ローラ7bを有しており、定着ローラ7aと加圧ローラ7b間の定着ニップにて転写材Pを挟持搬送しながら、転写材Pの表面に転写されたトナー像を加熱、加圧して熱定着する。
次に、上記画像形成装置による画像形成動作について説明する。
画像形成時には、感光ドラム1は駆動手段(不図示)により矢印方向に、周速200[mm/s]で回転駆動される。帯電バイアス(例えば、−1300VのDC電圧)が印加された帯電ローラ2により表面が一様に帯電される。そして、帯電された感光ドラム1上に露光装置6により画像露光Lが与えられて、入力される画像情報に応じた静電潜像が形成される。
この際、感光ドラム1上の画像露光Lがされない部分の暗部電位は−700V、画像露光Lされた部分の明部電位は−150Vとなるように露光装置6のレーザパワーが調整されている。
そして、この静電潜像に、現像部にて感光ドラム1の帯電極性(負極性)と同極性の現像バイアスが印加された現像装置21の現像ローラ9により、感光ドラム1の帯電極性(負極性)と同極性に帯電された一成分現像剤としての非磁性のトナーTを付着させる。これにより、反転現像が行われ、静電潜像はトナー像として可視化される。なお、現像装置21の詳細な説明及び現像剤(トナーT)については後述する。
そして、感光ドラム1上のトナー像が感光ドラム1と転写ローラ4間の転写ニップに到達すると、このタイミングに合わせて用紙などの転写材Pがピックアップローラ16によって一枚ずつ給紙され、レジストローラ(不図示)等によって転写ニップに搬送される。そして、前記トナーと逆極性(正極性)の転写バイアスが印加された転写ローラ4により
、感光ドラム1上のトナー像が転写される。そして、トナー像が転写された転写材Pは定着装置7に搬送され、定着ローラ7aと加圧ローラ7b間の定着ニップにてトナー像を転写材Pに加熱、加圧して熱定着した後に排紙トレイ17上に排出される。
また、トナー像転写後の感光ドラム1表面に残留している転写残トナーは、クリーニングブレード5によって除去されて、廃トナー収納容器13内に回収される。
また、本実施の形態では、感光ドラム1と現像装置21は、プロセスカートリッジ19として一体に構成されており、このプロセスカートリッジは画像形成装置本体20に対して着脱自在である。
次に、現像装置21の概略構成図を図10に示す。なお、上記した画像形成装置の現像装置と同一機能を有する部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
この現像装置21による現像動作時においては、攪拌部材12で攪拌されたトナーTは、現像ローラ9に圧接して回転する弾性ローラ10によって現像ローラ9表面に供給される。現像バイアスが印加されている現像ローラ9表面に供給されたトナーは、現像ローラ9の回転に伴い搬送され、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部で摩擦により電荷を付与されて、現像ローラ9表面に薄層化される。そして、薄層化され電荷が付与されたトナーは現像ローラ9の回転によって搬送され、感光ドラム1との当接部(現像部)にて感光ドラム1上に形成された静電潜像に付着して顕像化する。その後、感光ドラム1と現像ローラ9の当接部で現像されずに現像ローラ9表面に残存したトナーは、弾性ローラ10によって剥ぎ取られて現像容器8内に戻される。
次に、現像装置21の詳細について説明する。
図9、図10に示すように、現像装置21は、現像ローラ9、弾性ローラ10、規制ブレード11、攪拌部材12を備えている。ここで、現像ローラ9は、トナーTを収容した現像容器8の長手方向に延在する開口部に感光ドラム1と対向配置され、直径16mmで、矢印方向(反時計方向)に回転自在に設けられている。また、弾性ローラ10は、現像ローラ9に圧接するように回転自在に設けられている。また、規制ブレード11は、弾性を有して現像ローラ9に当接するように設けられている。また、攪拌部材12は、トナーTを攪拌するように設けられている。
現像ローラ9は、感光ドラム1と当接幅を持って接触し、感光ドラム1の周速(200mm/s)に対して速めの周速(300mm/sec)で回転される。現像ローラ9の表面は、トナーTとの摺擦確率を高くし、且つトナーTの搬送を良好に行うための適度な凹凸を有しており、本実施の形態では直径16mm、長さ240mm、肉厚4mmのシリコンゴム層上にアクリル・ウレタン系の薄層がコートされて構成される。現像ローラ9には現像バイアス電源S1が接続されており、現像バイアス電源S1から現像ローラ9に負極性の所定電位の現像バイアスを印加する。
また、現像ローラ9は、抵抗が104〜106Ω、算術平均粗さRaが0.3〜5.0μm、硬度がアスカーC硬度で40°〜70℃(加重1kg)に調整される。
現像ローラ9の抵抗値の測定は、直径30mmのアルミローラ(不図示)と現像ローラ9を当接荷重500gf(4.9N)で長手方向全域に当接させ、このアルミローラを0.5rpsで回転させる。そして、現像ローラ9に−400Vの直流電圧を印加してアース側に10kΩの抵抗を配置する。そして、この抵抗の両端の電圧を測定し、測定した電圧値から電流値を算出して現像ローラ9の抵抗を算出する。
また、現像ローラ9の感光ドラム1表面との当接部(現像部)に対し現像ローラ9の回転方向下流側には、可撓性のシール部材23が設けられている。シール部材23は、未現像トナーの現像容器8内への通過を許容すると共に、現像容器8内のトナーTが現像ローラ9の感光ドラム1表面との当接部に対し現像ローラ9の回転方向下流側から漏出するのを防止する。
弾性ローラ10は、規制ブレード11の現像ローラ9との当接部に対して現像ローラ9の回転方向上流側に当接され、矢印方向(反時計方向)に回転駆動される。また、弾性ローラ10は、発泡骨格状スポンジ構造や、芯金上にレーヨン、ナイロン等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、現像ローラ9へのトナーTの供給及び未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましい。本実施の形態では、芯金上にポリウレタンフォームを設けた直径16mmの弾性ローラ10を用いた。
弾性ローラ10の現像ローラ9に対する当接幅としては、1〜6mmが有効で、また、現像ローラ9に対してその当接部において相対速度を持たせることが好ましい。本実施の形態では、現像ローラ9との当接幅を3mmに設定するが、この時の弾性ローラと現像ローラの線圧は40gf/cm(0.392N/cm))である。
弾性ローラ10の周速として、現像動作時に200mm/secとなるように駆動手段(不図示)により所定タイミングで回転駆動する。弾性ローラと現像ローラの接触位置において、弾性ローラの回転方向は、現像ローラの回転方向と逆方向である。弾性ローラの電位と現像ローラの電位は、等電位である。
規制ブレード11は、現像ローラ9の弾性ローラ10表面との当接部に対し現像ローラ9の回転方向上流側にて、自由端側の先端近傍が現像ローラ9の外周面に面接触にて弾性を有して当接するよう設けられている。規制ブレード11は、シリコン、ウレタン等のゴム材料や、バネ弾性を有するSUS又はリン青銅の金属薄板を基体とし、現像ローラ9への当接面側にゴム材料等を接着して構成されている。本実施の形態では、厚さ1.0mmの板状のウレタンゴムで形成された規制ブレード11を用いた。また、規制ブレード11の現像ローラ9に対する当接圧は、5〜35gf/cm(0.049〜0.343N/cm)(線圧の測定は、摩擦係数が既知の金属薄板を3枚当接部に挿入し、その中央の一枚をばね計りで引き抜いた値から換算した)に設定した。規制ブレード11の現像ローラ9に対する当接方向としては、現像ローラ9との当接部に対して先端側が現像ローラ9の回転方向上流側に位置する、いわゆるカウンター方向になっている。
現像容器8内に充填されているトナーTは非磁性一成分現像剤である。そして、転写性に優れ、且つ転写されずに感光ドラム1上に残存した転写残トナーをクリーニングブレード5によってクリーニングする際に、潤滑性が高いことから感光ドラム1の摩耗の少ないなどの利点を有するトナーを用いている。このようなトナーとして、球形状のトナーであり、且つ表面が平滑であるものを用いている。
トナーTの形状係数として、SF−1が100〜180であり、SF−2が100〜140であるものを用いている。なお、このSF−1、SF−2は、次のような解析を行い、下式(1),(2)より算出し得られた値を定義している。すなわち、日立製作所FE−SEM(S−800)を用いてトナー像を無作為に100個サンプリングし、その画像情報をインターフェイスを介してニコレ社製の画像解析装置(Luzex3)に導入して解析を行っている。
SF−1=(MXLNG)2/(AREA×(π/4)×100)…(1)
SF−2=(PERI)2/(AREA×(π/4)×100)…(2)
ここで、AREAはトナー投影面積、MXLNGは絶対最大長、PERIは周長である。
このトナーTの形状係数SF−1は球形度合を示し、100から大きくなるにつれて球形から徐々に不定形となる。また、SF−2は凹凸度合を示し、100から大きくなるにつれてトナー表面の凹凸が顕著になる。
トナーTの製造方法としては、上記形状係数(SF−1、SF−2)の範囲内になれば、いわゆる粉砕方法による製造方法の他に、次のような方法を用いてトナーを製造することも可能である。それには、例えば、懸濁重合方法を用いて直接トナーを生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合方法が挙げられる。又、水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法が挙げられる。
本実施の形態では、トナーTの形状係数SFー1を100〜180に、SF−2を100〜140に容易にコントロールでき、比較的容易に粒度分布がシャープで粒径が3〜9μmの微粒子トナーが得られる常圧下での、又は加圧下での懸濁重合方法を用いた。そして、モノマーとしてスチレンとn−ブチルアクリレート、荷電制御剤としてサリチル酸金属化合物、極性レジンとして飽和ポリエステル、更にワックスと着色剤を加え、着色懸濁粒子を製造した。
そして、これに疎水性シリカを1重量部外添することによって、上述したような転写性に優れた負極性のトナーTを製造した。このトナーTのトナー体積抵抗値としては1014Ω・cm以上である。
トナーTの体積抵抗値の測定条件は、直径φ:6mm、測定電極板面積:0.283cm2 、圧力:1500gの錘を用い、圧力:96.1kPa、測定時の粉体層厚:0.5〜1.0mmとしている。そして、400Vの直流電圧を微小電流計(YHP4140pA METER/DC VOLTAGE SOUCE)で電流値を測定し、測定した電流値より体積抵抗値(比抵抗)を算出する。
本実施の形態においては、トナー結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜70℃であることがよい。Tgが40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、70℃を超える場合にはトナーの定着点の上昇をもたらす。フルカラー画像を形成するためのカラートナーの場合においては各色トナーの定着時の混色性が低下し色再現性にやや劣り、OHP画像の透明性が低下する。特に、45〜65℃であることが好ましい。本実施の形態例は、Tgが60℃のトナーを用いた。
トナーに含まれるワックスの最大吸熱ピークは、45〜75℃であることが好ましい。ワックスの最大吸熱ピークが45℃未満の場合、本実施の形態に用いられる樹脂のガラス転移温度よりも低くなるために、高温環境に放置した際にトナー表面に溶け出すため、耐ブロッキング性能が大幅に悪くなる。一方、最大吸熱ピークが75℃より大きい場合、トナー定着溶融時にワックスが迅速に溶融トナー表面に移行できず、離型性が悪くなるために、高温オフセットが発生し易くなる。特に、50〜70℃であることが好ましい。本実施例では、最大吸熱ピークが65℃のトナーを用いた。
尚、本実施の形態においてTgの測定には、例えばパーキンエルマー社製示差走査熱量計「DSC−7」を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定試料は2〜10mg、好ましくは5mgを精密に秤量する。測定試料はアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、測定温度範囲30〜200℃の間で
、昇温速度10℃/minで常温常湿下測定を行う。2回目の昇温過程で得られる、温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線をもって解析を行う。
ガラス転移温度(Tg)については、得られたDSC曲線より中点法で解析を行った値を用いる。また、ワックスの融点ついては、得られたDSC曲線の吸熱メインピークの温度値を用いる。
次に、本実施の形態の現像装置21による現像動作について説明する。
現像動作時には、現像容器8内のトナーTは、攪拌部材12の矢印方向(時計方向)の回転に伴い弾性ローラ10側に送られる。このトナーTは、弾性ローラ10の矢印方向(反時計方向)の回転によって現像ローラ9近傍に搬送される。そして、現像ローラ9と弾性ローラ10との当接部において、弾性ローラ10上に担持されているトナーTは、現像ローラ9と摺擦されることによって摩擦帯電を受け、現像ローラ9上に付着する。
そして、現像ローラ9の矢印方向(反時計方向)の回転に伴い、トナーTが弾性ブレード11の圧接下に送られ、現像ローラ9上に薄層形成され、感光ドラム1との対向部である現像部へ搬送される。本実施の形態では、トナーTの良好な帯電電荷量として−30〜−5μC/gとなるように設定している。
この現像部において、現像ローラ9上に薄層形成されたトナーTが、−300Vの現像バイアスが印加された現像ローラ9によって感光ドラム1上に形成されている静電潜像に付着し、トナー像として現像される。
また、現像ローラ9上の現像に寄与しなかったトナーは、弾性ローラ10との当接部において現像ローラ9表面から剥ぎ取られる。この剥ぎ取られたトナーの大部分は、弾性ローラ10の回転に伴い搬送され現像容器8内のトナーTと混ざりあい、トナーTの帯電電荷が分散される。そして、同時に弾性ローラ10の回転により現像ローラ9上に新たなトナーTが供給され、上述した現像動作を繰り返す。
なお、上述した本実施の形態では、感光ドラム1、現像装置21、帯電ローラ2、クリーニングブレード5、廃トナー収納容器13をプロセスカートリッジとして一体に形成して、画像形成装置本体に対して着脱自在な構成としたが、これに限るものではない。本実施の形態の画像形成装置は、例えば感光ドラム1を画像形成装置本体に固定配置して、現像装置21のみを交換する構成であってもよいし、あるいは現像装置21を画像形成装置本体に固定配置して、トナーのみを補給する構成であってもよい。
次に、クリーニングブレード5を設定する方法の詳細を説明する。
クリーニングブレード5の感光ドラム1に対する侵入量λと設定角ψについて図4を用いて説明する。前記侵入量λとはクリーニングブレード5の先端が変形せずにそのまま感光ドラム1へ侵入した仮想量であり、前記設定角ψとはクリーニングブレード5の先端と感光ドラム1とが交わる点での接線とクリーニングブレード5とのなす角である。
上記内容を踏まえて、クリーニングブレード当接圧の測定方法について図5を用いて説明する。先ず単位長さ当たりの線圧を測定するために、1cm幅に切断したクリーニングブレード5をモーター70により図中矢印方向へ移動可能なブレード台71にセットする。そして、該クリーニングブレード5を約20°〜25°のうち所望の設定角ψに設定して荷重センサ72に当接させる。次いで、前記ブレード台71を求めたい侵入量λ分だけ荷重センサ方向に移動し、その時の荷重センサー72の検知値をアンプ73で増幅して電圧計74で読み取る。そして、予め求めておいた単位電圧当たりの荷重を、前記単位長さ
当たりの線圧と置き換えることによって測定している。このようにして測定した値を前記クリーニングブレード当接圧としている。
本実施の形態では、弾性クリーニングブレード5を線圧35gf/cm(0.343N/cm)の当接圧で感光ドラム1に当接するように取り付けた。
次に、感光ドラム1を駆動する方法の詳細を説明する。
感光ドラム1の駆動手段として、本実施の形態ではモーター(不図示)を用いた。感光ドラム1の回転軸と、モーターの回転軸を同一にし、感光ドラム1のみを回転駆動する。ただし、帯電ローラ2は感光ドラム1に接触しており、帯電ローラ2も間接的に回転駆動される。ただし、その他のカートリッジ内の現像ローラ9、弾性ローラ10、撹拌部材12の回転駆動には、他の回転駆動手段を用いる。同様に、静電搬送ベルト22の駆動にも、感光ドラム1を駆動するモーターとは別の回転駆動手段を用いる。
この場合、クリーニング部の摺擦により発生する感光ドラム1を回転駆動する負荷は、帯電ローラ2を回転駆動する負荷より著しく大きく、感光ドラム1を回転駆動する負荷は、略クリーニング部の摺擦により発生する。
上述した通り、本実施の形態では、感光ドラム1の回転負荷を元に、トナーの流動性を検知するものである。なお、後述する比較例1〜比較例5、及び実施例1〜実施例11では、感光ドラム1を回転駆動する負荷を、モーター電流で検知している。これにより、トナーの流動性の検知を簡易な構成で実現することができ、低コスト化が図れる。
次に、感光ドラム1を回転駆動する負荷を検知する方法の詳細を説明する。
感光ドラム1を回転駆動する負荷を検知する方法は、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック各色のプロセスカートリッジについて同じ処理を行う。以後は、ブラックカートリッジについて行う方法について説明する。図6は、感光ドラム1を回転駆動する負荷と、モーター電流の関係を示す図である。図7は、モーター電流の検知を行うタイミングを説明するための図である。
図6に示す通り、感光ドラム1を回転駆動する負荷と、モーター電流は略比例関係にある。そこで、本実施の形態では、感光ドラム1を回転駆動する負荷を、モーター電流で検知している。モーター電流の検知は、感光ドラム1上で紙間に相当するタイミングで行った。ここで、紙間とは、連続して画像形成を行った際の、連続して搬送される転写材と転写材の間を意味する。
以下に、詳細を説明する。
感光ドラム1の周速は200[mm/s]、感光ドラム1の直径は30[mm]である。また、図7に示すように、感光ドラム1の中心をα、感光ドラム1と静電搬送ベルト22の接触位置の中央をβ、感光ドラム1とクリーニングブレード5の接触位置の中央をγとし、直線αβと直線αγのなす角θ[度]とする。連続して画像出力している時に、感光ドラム1と静電搬送ベルト22の接触位置の中央βを、n枚目に通過した転写材Pの後端が通過する時刻をt[b,n]とする。感光ドラム1と静電搬送ベルト22の接触位置の中央βを、n枚目に通過した転写材Pの先端が通過する時刻をt[a,n]とする。すると、モーター電流の検知は、
時刻t[b,n]+(30π/200)×(θ/360)から
時刻t[a,n+1]+(30π/200)×(θ/360)までの間に行う。
すなわち、感光ドラム1とクリーニングブレード5の接触位置において、感光ドラム1上に静電潜像が形成されておらず、トナーが現像されていないタイミングでモーター電流の検知を行う。
以下の比較例及び実施例では、モーター電流の検知のタイミングについて特に言及していない場合は、モーター電流検知装置のサンプリング周波数を50Hzに設定し、
時刻t[b,n]+(30π/200)×(θ/360)と
時刻t[a,n+1]+(30π/200)×(θ/360)の中間でモーター電流の検知を行った。
感光ドラム1上で紙間に相当するタイミングで、モーター電流の検知を行う理由を以下に示す。
感光ドラム1上にトナーが多く残っている場合には、クリーニングブレードニップ部における感光ドラム1とクリーニングブレード5との摩擦力が大きくなる。したがって、感光ドラム1とクリーニングブレード5の接触位置において、感光ドラム1上に静電潜像が形成されており、トナーが現像されているタイミングでモーター電流の検知を行うと、モーター電流が変化する。これは、感光ドラム1の露光量によって感光ドラム1に現像されるトナー量が変化するためである。そこで、モーター電流を安定して検知するためには、感光ドラム1とクリーニングブレード5の接触位置において、感光ドラム1上に静電潜像が形成されておらず、トナーが現像されていないタイミングでモーター電流の検知を行うことが好ましい。比較例1〜比較例5、及び実施例1〜実施例11では、感光ドラム1上に静電潜像を書き込まない紙間時にモーター電流の検知を行った。
以下に、比較例1〜比較例5、及び実施例1〜実施例11について説明する。なお、上述した画像形成装置と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明は省略する。
〔比較例1〕
本発明の比較例1として、本発明を適用しない例を挙げる。
現像容器8に、A4画像の印字率4%で6000枚相当分のトナーを充填して、温度23℃,湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。低印字率でも画像不良が発生しないか確認するために、画像はA4で、印字率1%の文字パターンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
耐久試験1は3000枚時点で終了、耐久試験2は6000枚時点で終了、耐久試験3は9000枚時点で終了した。
ベタ画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像から、トナーの流動性低下に伴う画像不良の有無を評価した。
有無を評価する画像不良の一つ目は、トナー同士の凝集が強くなることにより、感光ドラム1上のトナー像を転写材Pに移す転写プロセスにおいて、一部のトナーを感光ドラム1から転写材Pに移すことができなくなる画像不良である。
有無を評価する画像不良の二つ目は、トナーと感光ドラム1との付着強度が増すことにより、感光ドラム1上の静電潜像をトナーで顕像化する現像プロセスにおいて、ベタ白部にトナーが付着する画像不良“かぶり”である。
有無を評価する画像不良の三つ目は、トナー同士の凝集が強くなることにより、現像装置21内において現像ローラ9付近に搬送できるトナー量が少なくなり、ベタ画像出力時に後端の濃度が薄くなる画像不良である。
有無を評価する画像不良の四つ目は、次のような場合に、ベタ又はハーフトーン画像を出力した時に濃度ムラが生じる画像不良である。それは、トナー同士の凝集が強くなることにより、現像ローラ9と規制ブレード11のニップ部をトナーが通過する時に充分にトナーの凝集をほぐせなくなり、現像ローラ9上のトナーコート状態が不均一になる場合である。
有無を評価する画像不良の五つ目は、次のような場合に、ベタ又はハーフトーン画像を出力した時にスジ状の濃度ムラが生じる画像不良である。それはトナーと規制ブレード11の付着が強くなることにより、現像ローラ9と規制ブレード11のニップ部をトナーが通過する時にトナーが規制ブレード11に強固に付着して融着し、融着位置付近の現像ローラ9上のトナーコート状態が不均一になる場合である。
また、現像装置21内のトナー凝集度測定を行った。
ここで、トナーの凝集度が上がると、流動性が低下することを示す。
トナーの凝集度測定には以下の方法を用いた。
ここで、本実施の形態における凝集度は、従来公知のパウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製PT−E型)により以下の方法をとって測定した。測定環境を23℃,50%RHとする。
(1)耐久試験が終了した直後に、トナー5.0gを正確に計り取る。
(2)振動台に、上から100メッシュ(目開き150μm)、200メッシュ(目開き75μm)、400メッシュ(目開き38μm)のふるいを重ねてセットする。
(3)精秤した5.0gのトナーを静かにふるい(100メッシュ上)にのせ、振動系に18Vの電圧を印加して15秒間振動させる。
(4)静かに各ふるいの上に残ったトナー量を精秤する。
凝集度(%)=x+y+z
x=100×((100メッシュ上に残ったトナー量[g])/5)
y=100×((200メッシュ上に残ったトナー量[g])/5)×3/5
z=100×((400メッシュ上に残ったトナー量[g])/5)×1/5
耐久試験開始前のトナーの凝集度は11.9%であった。
耐久試験後にトナーを採取する現像装置21内の位置を図8に示す。ここで、図28は現像容器8の前室及び後室を定義する図であり、現像容器8の前室は図28の横線部、後室は図28の斜線部と定義する。
位置Aは、弾性ローラ10付近であり、弾性ローラ10内に吸引されたトナー及び、弾性ローラ10表面に付着しているトナーを採取した。弾性ローラ10付近のトナーは最も現像ローラ9にコートされやすいので、流動性が低下しやすい。しかも、この位置のトナーは、後室から送られたトナーと混ざりにくい。
位置Bは、前室内のトナーのうち、後室に近い。従って、この位置のトナーは、後室から送られたトナーと混ざりやすい。
位置Cは、後室内のトナーのうち、前室に近い。従って、この位置のトナーは、前室から送られたトナーと混ざりやすい。
位置Dは、後室内のトナーのうち、前室から遠い。従って、この位置のトナーは、前室から送られたトナーと混ざりにくい。
位置A〜Dのトナーの凝集度を測定することにより、耐久試験が進むにつれて、どのようにトナーの流動性が低下するかを判断できる。
耐久試験結果を表1に示す。表1は、耐久試験1〜耐久試験3の、凝集度測定結果及び画像評価結果を示している。なお、画像評価結果については、○:画像不良無し、△:軽微な画像不良発生、×:画像不良発生・耐久終了、を表すものとし、後述する表についても同様とする。
3000枚の画像出力を行った試験結果1は、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。この時、トナー凝集度測定では、A>B>C>Dの順であったが、最も凝集度が低かった位置Dでは、15.3%、最も凝集度が高かった位置Aでは、34.1%であった。位置Aのトナーは、凝集度が高くなりやすく、後室から送られた凝集度の低いトナーと混ざりにくい。しかし、試験結果1では、位置Aと位置Dの間のトナー循環がある程度維持されているため、画像不良が発生するほど位置Aのトナーの凝集度が高くなっていない。
6000枚の画像出力を行った試験結果2は、トナーの流動性低下に起因する画像不良が軽微に発生した。この時、トナー凝集度測定では、A>B>C>Dの順であったが、最も凝集度が低かった位置Dでは、18.9%、最も凝集度が高かった位置Aでは、48.2%であった。位置Aのトナーは、凝集度が高くなりやすく、後室から送られた凝集度の低いトナーと混ざりにくい。試験結果2では、位置Aと位置Dの間のトナー循環がわずかであるため、位置Aのトナーの凝集度が高くなっている。
9000枚の画像出力を行った試験結果3は、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生した。この時、トナー凝集度測定では、A>B>C>Dの順であったが、最も凝集度が低かった位置Dでは、20.5%、最も凝集度が高かった位置Aでは、61.5%であった。位置Aのトナーは、凝集度が高くなりやすく、後室から送られた凝集度の低いトナーと混ざりにくい。試験結果3では、位置Aと位置Dの間、特に位置Bと位置Cの間のトナー循環がないため、位置Aのトナーの凝集度が極端に高くなっている。
モーター電流の測定結果を図11に、モーター電流をトルク換算した結果を図12に示す。
クリーニングブレード5にはクリーニング助剤が初期塗布されているが、約5分間感光ドラム1を回転させると、感光ドラム1を回転駆動する負荷が安定する。安定した時のモーター電流の値を、複数のカートリッジについて10回測定したところ、平均0.75[A]であり、トルク換算すると平均4.2[kgf・cm](41.16N・cm)であった。
3000枚の画像出力を行った試験結果1では、モーター電流Iは0.75[A]の1.1倍未満であり、略一定である。従って、現像ローラ9付近のトナーの流動性は画像形成上良好な状態を維持している。これは、トナーの流動性に関連した画像不良の有無を評価した結果、及び現像装置21内の弾性ローラ10付近の凝集度測定結果とも一致する。
6000枚の画像出力を行った試験結果2では、4000枚の画像出力までは、モーター電流Iは0.75[A]の1.1倍未満であり、略一定である。しかし、4000枚から6000枚の画像出力にかけて、急激に上昇し、6000枚の画像出力時には0.75[A]の1.4倍を上回る。従って、6000枚の画像出力時には、現像ローラ9付近のトナーの流動性は、画像形成上一部問題が発生する状態になっている。これは、トナーの流動性に関連した画像不良の有無を評価した結果、及び現像装置21内の弾性ローラ10付近の凝集度測定結果とも一致する。
9000枚の画像出力を行った試験結果3では、4000枚の画像出力までは、モーター電流Iは0.75[A]の1.1倍未満であり、略一定である。しかし、4000枚から6000枚の画像出力にかけて、急激に上昇し、6000枚の画像出力時には0.75[A]の1.4倍を上回り、7000枚出力時には、0.75[A]の1.9倍となり、以後略一定となった。従って、9000枚の画像出力時には、現像ローラ9付近のトナーの流動性は、画像形成上問題が発生する状態になっている。これは、トナーの流動性に関連した画像不良の有無を評価した結果、及び現像装置21内の弾性ローラ10付近の凝集度測定結果とも一致する。
〔比較例2〕
本発明の比較例2として、高温常湿と低温低湿条件での耐久試験の例を挙げる。
現像容器8に、A4画像の印字率4%で6000枚相当分のトナーを充填して、耐久試験4では、温度32.5℃,湿度50%RHの環境において、耐久試験5では、温度15℃,湿度10%RHの環境において耐久試験を行った。耐久試験5は湿度が低いため、トナーの帯電量が大きくなりやすく、トナーが静電凝集しやすい。
低印字率でも画像不良が発生しないか確認するために、画像はA4で、印字率1%の文字パターンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
ベタ画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像から、トナーの流動性低下に伴う画像不良の有無を評価し、現像装置21内のトナー凝集度測定を行った。
耐久試験4は4500枚時点で、耐久試験5は6000枚時点で画像不良が発生したため、試験を終了した。
画像評価方法、トナー凝集度測定、モーター電流測定方法の詳細は、比較例1と同様である。
耐久試験結果を表2に示す。表2は、耐久試験4及び耐久試験5の、凝集度測定結果及
び画像評価結果を示している。
4500枚の画像出力を行った試験結果4では、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生した。この時、トナー凝集度測定では、A>B>C>Dの順であったが、最も凝集度が低かった位置Dでは、35.1%、最も凝集度が高かった位置Aでは、58.3%であった。温度32.5℃の環境において耐久試験を行ったため、トナーの温度が全体的に高くなり、凝集度が高めになっている。
位置Aのトナーは、凝集度が高くなりやすく、後室から送られた凝集度の低いトナーと混ざりにくい。試験結果4では、位置Aと位置Dの間のトナー循環がないため、位置Aのトナーの凝集度が極端に高くなっている。
6000枚の画像出力を行った試験結果5では、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生した。この時、トナー凝集度測定では、A>B>C>Dの順であったが、最も凝集度が低かった位置Dでは、25.4%、最も凝集度が高かった位置Aでは、55.7%であった。湿度10%RHの低湿度環境において耐久試験を行ったため、トナーの帯電量が大きくなり、トナーが静電凝集しており、凝集度が高めになっている。
位置Aのトナーは、凝集度が高くなりやすく、後室から送られた凝集度の低いトナーと混ざりにくい。試験結果5では、位置Aと位置Dの間のトナー循環がないため、位置Aのトナーの凝集度が極端に高くなっている。
モーター電流の測定結果を図13に、モーター電流をトルク換算した結果を図14に示す。
4500枚の画像出力を行った試験結果4では、2500枚の画像出力までは、モーター電流Iは0.75[A]の1.1倍未満であり、略一定である。しかし、2500枚から4500枚の画像出力にかけて、急激に上昇し、4500枚の画像出力時には0.75[A]の2.0倍になった。従って、4500枚の画像出力時には、現像ローラ9付近のトナーの流動性は、画像形成上問題が発生する可能性がある状態になっている。これは、トナーの流動性に関連した画像不良の有無を評価した結果、及び現像装置21内の弾性ローラ10付近の凝集度測定結果とも一致する。
6000枚の画像出力を行った試験結果5では、3000枚の画像出力までは、モーター電流Iは0.75[A]の1.1倍未満であり、略一定である。しかし、3000枚から6000枚の画像出力にかけて上昇し、6000枚の画像出力時には0.75[A]の1.6倍になった。従って、6000枚の画像出力時には、現像ローラ9付近のトナーの流動性は、画像形成上問題が発生する状態になっている。これは、トナーの流動性に関連した画像不良の有無を評価した結果、及び現像装置21内の弾性ローラ10付近の凝集度測定結果とも一致する。
〔比較例3〕
比較例1、2では、印字比率1%で耐久試験を行ったため、1枚の画像出力でクリーニングブレードニップ部に入るトナー量は略同じである。ここで、1枚の画像出力でクリーニングブレードニップ部に入るトナー量によって、紙間に検知するモーター電流が変化するか確認した。
比較例3では、転写バイアスを調整して、故意に転写効率を50%以下にした。そして、印字比率を調整することで、クリーニングブレードニップ部に入るトナー量を変えた。
トナーは、凝集度が11.9%である流動性の高いトナーAと、凝集度が47.9%である流動性が低いトナーBを用いた。トナーの流動性は、流動性付与外添剤の外添部数を変えることで調整した。
画像はA4で、印字率1%、4%、16%の文字パターンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
200枚画像出力時における、モーター電流を測定した。
その結果を表3に示す。表3は、比較例3のモーター電流測定結果を示している。
表3に示されているとおり、流動性が高いトナーAでは、印字比率が変化してクリーニング部に入るトナー量が変化しても、モーター電流は変化しない。これは、多量の流動性の高いトナーがクリーニングブレードニップ部に入っても、モーター電流が変化しないことを示す。
逆に、流動性が低いトナーBでは、印字比率が変化してクリーニング部に入るトナー量が変化すると、モーター電流が変化する。これは、流動性の低いトナーが少量でもクリーニングブレードニップ部に入るとモーター電流が変化することを示す。
従って、印字比率や転写効率が変化して、画像形成時にクリーニングブレード5に入るトナー量が変化しても、非画像形成時にモーター電流を測定することでトナーの流動性低下を検知可能である。
〔実施例1〕
以下に、本発明の実施例1について説明する。
感光ドラム1を回転駆動する負荷を検知する方法は、比較例1〜比較例3と同じ方法を用いた。検知された回転駆動する負荷と所定の閾値とを比較する方法、比較した結果を元に行う制御方法は、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック各色のプロセスカートリッジについて同じ処理を行う。以後は、ブラックカートリッジについて行う方法について説明する。
本実施例では、紙間で検知されるモーター電流Iと、閾値Ith(Tth)との比較を行う。閾値Ithは以下のようにして設定した。
クリーニングブレード5にはクリーニング助剤が初期塗布されているが、約5分感光ドラム1を回転させると、感光ドラム1を回転駆動する負荷が安定する。安定した時のモーター電流の値を、複数のプロセスカートリッジについて10回測定したところ、平均0.75[A]であり、トルク換算すると平均4.2[kgf・cm](41.16N・cm)であった。0.75[A]を初期値I0とし、その1.3倍の電流値0.98[A]を閾値Ithとした。モーター電流0.98[A]をトルク換算すると、5.4[kgf・cm](52.92N・cm)となる。
閾値Ith=1.3×I0としたが、これはモーター電流が急激に上昇する直前、すなわち、トナーの流動性低下によって画像形成上問題の発生が懸念される時点の直前に設定したことに相当する。これは比較例1の耐久試験3の測定結果である図11、及び比較例2の耐久試験4、耐久試験5の測定結果である図13に示した通りである。
図1に、回復手段としてのモーター制御装置34の概略構成図を示す。
モーター電流は、測定手段としてのモーター電流検知装置31によって検知される。比較手段としてのモーター電流比較装置32によって、検知されたモーター電流Iと、閾値Ithとの比較を行う。モーター電流比較装置32の比較結果は、制御手段としてのモーター駆動制御装置33に伝えられ、比較結果に基づいてモーター駆動の制御を行う。
なお、モーター電流比較装置32による比較動作は、所定枚数の画像出力が行われた後で、開始するように設定されるとよい。本来、カートリッジごとに存在するクリーニングブレード5の組み付け誤差や、クリーニング助剤の初期塗布状態によって、モーター電流の初期値I0は変化するが、その影響を避けることができる。すなわち、クリーニングブレードの初期設定によらずに、高精度な検知ができる。
図15にモーター制御のシーケンス図を示す。
I<Ithの場合、通常の画像出力速度を維持する(モード1)。本実施例では、感光ドラム1の周速を200[mm/s]に維持する。
I≧Ithの場合、画像出力速度を下げる(モード2)。本実施例では、感光ドラム1の周速を100[mm/s]に下げる。この時、感光ドラム1の周速低下に合わせて、現像ローラ9、静電搬送ベルト22等の周速も、感光ドラム1との周速比が一定になるように下げる。例えば、感光ドラム1の周速が200[mm/s]の時、現像ローラ9の周速は300[mm/s]であり、感光ドラム1の周速が100[mm/s]の時は、現像ローラ9の周速は150[mm/s]である。これにより、感光ドラム1の周速が変化しても、画像不良が発生することなく画像形成できる。
前回転時に、モード1及びモード2の画像形成条件を決めるのに必要なシーケンスを入れる。例えば、帯電条件、現像条件、転写条件、定着条件について、モード1及びモード2の画像形成を行う上で必要なシーケンス制御を入れる。例えば転写条件では、感光ドラム1の周速毎に電圧を印加した時に流れる電流を求め、画像形成時にそれぞれのモードにおいて適切な転写電流を流すため、モード1の時に転写ローラ4に印加する転写電圧、モード2の時に転写ローラ4に印加する転写電圧を求める。
モード1とモード2の切り替え時には、特別なシーケンス制御をいれず、前回転時に得られた制御値を用いる。
本発明の実施例1を実施した場合の耐久試験結果について説明する。
現像容器8に、A4画像の印字率4%で6000枚相当分のトナーを充填して、次のような環境において耐久試験を行った。耐久試験6では、温度23.0℃、湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。耐久試験7では、温度32.5℃、湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。耐久試験8では、温度15.0℃、湿度10%RHの環境において耐久試験を行った。低印字率でも画像不良が発生しないか確認するために、画像はA4で、印字率1%の文字パターンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
耐久試験6から耐久試験8まで、9000枚時点で耐久試験を終了した。
ベタ画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像から、トナーの流動性低下に伴う画像不良の有無を評価し、現像装置内のトナー凝集度測定を行った。
画像評価方法、トナー凝集度測定、モーター電流測定方法の詳細は、比較例1、2と同様である。
耐久試験結果を表4に示す。表4は、耐久試験6〜耐久試験8の、凝集度測定結果及び画像評価結果を示している。
9000枚の画像出力を行った試験結果6は、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。この時、トナー凝集度測定では、A>B>C>Dの順であったが、最も凝集度が低かった位置Dでは、15.1%、最も凝集度が高かった位置Aでは、33.5%であった。位置Aのトナーは、凝集度が高くなりやすく、後室から送られた凝集度の低いトナーと混ざりにくい。しかし、試験結果6では、位置Aと位置Dの間のトナー循環がある程度維持されているため、位置Aのトナーの凝集度が高くなっていない。すなわち、トナーの流動性低下が防止できている。
9000枚の画像出力を行った試験結果7は、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。この時、トナー凝集度測定では、A>B>C>Dの順であったが、最も凝集度が低かった位置Dでは、16.5%、最も凝集度が高かった位置Aでは、34.2%であった。位置Aのトナーは、凝集度が高くなりやすく、後室から送られた凝集度の低いトナーと混ざりにくい。しかし、試験結果7では、位置Aと位置Dの間のトナー循環がある程度維持されているため、位置Aのトナーの凝集度が高くなっていない。すなわち、トナーの流動性低下が防止できている。
9000枚の画像出力を行った試験結果8は、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。この時、トナー凝集度測定では、A>B>C>Dの順であったが、最も凝集度が低かった位置Dでは、23.7%、最も凝集度が高かった位置Aでは、36.4%であった。位置Aのトナーは、凝集度が高くなりやすく、後室から送られた凝集度の低いトナーと混ざりにくい。しかし、試験結果8では、位置Aと位置Dの間のトナー循環
がある程度維持されているため、位置Aのトナーの凝集度が高くなっていない。すなわち、トナーの流動性低下が防止できている。
モーター電流の測定結果を図16に、モーター電流をトルク換算した結果を図17に示す。
9000枚の画像出力を行った試験結果6では、4000枚の画像出力までは、モーター電流Iは0.75[A]の1.1倍未満であり、略一定であるが、4000枚から5300枚の画像出力にかけて上昇する。モーター電流Iが閾値Ithである0.75[A]の1.3倍を越えた時点でモード1からモード2に切り替わり、モーター電流Iが閾値Ithである0.75[A]の1.3倍を下回った時点でモード2からモード1に切り替わる。モード2の時に画像出力した枚数は、2679枚である。
これにより、モーター電流の閾値Ithに維持され、現像ローラ9付近のトナーの流動性は、画像形成上問題が無い状態を維持している。これは、トナーの流動性に関連した画像不良の有無を評価した結果、及び現像装置21内の弾性ローラ10付近の凝集度測定結果とも一致する。
9000枚の画像出力を行った試験結果7では、3000枚の画像出力までは、モーター電流Iは0.75[A]の1.1倍未満であり、略一定であるが、3000枚から3600枚の画像出力にかけて上昇する。モーター電流Iが閾値Ithである0.75[A]の1.3倍を越えた時点でモード1からモード2に切り替わり、モーター電流Iが閾値Ithである0.75[A]の1.3倍を下回った時点でモード2からモード1に切り替わる。モード2の時に画像出力した枚数は、3850枚である。
これにより、モーター電流の閾値Ithに維持され、現像ローラ9付近のトナーの流動性は、画像形成上問題が無い状態を維持している。これは、トナーの流動性に関連した画像不良の有無を評価した結果、及び現像装置21内の弾性ローラ10付近の凝集度測定結果とも一致する。
9000枚の画像出力を行った試験結果8では、3200枚の画像出力までは、モーター電流Iは0.75[A]の1.1倍未満であり、略一定であるが、3200枚から4600枚の画像出力にかけて上昇する。モーター電流Iが閾値Ithである0.75[A]の1.3倍を越えた時点でモード1からモード2に切り替わり、モーター電流Iが閾値Ithである0.75[A]の1.3倍を下回った時点でモード2からモード1に切り替わる。モード2の時に画像出力した枚数は、1233枚である。
これにより、モーター電流の閾値Ithに維持され、現像ローラ9付近のトナーの流動性は、画像形成上問題が無い状態を維持している。これは、トナーの流動性に関連した画像不良の有無を評価した結果、及び現像装置21内の弾性ローラ10付近の凝集度測定結果とも一致する。
本実施例を実施することで、耐久試験6の結果が得られ、比較例1の耐久試験3よりも長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
また、本実施例を実施することで、耐久試験7の結果が得られ、比較例2の耐久試験4よりも長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
また、本実施例を実施することで、耐久試験8の結果が得られ、比較例2の耐久試験5よりも長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
このように、本実施例によれば、簡易な構成で、現像ローラ付近のトナーの流動性を検知でき、かつ原因にかかわらずに流動性を検知でき、トナーの温度上昇と静電凝集のどちらが流動性低下の原因であっても流動性を回復できる。
耐久試験6〜8では、9000枚画像出力時点におけるトナー凝集度を測定するために、9000枚画像出力時点で耐久試験を終了した。しかし、画像不良が発生する限界を確認するために、同様な条件で耐久試験6’、耐久試験7’、耐久試験8’を行い、トナーの流動性低下に起因した画像不良の評価を行った。
表5は、耐久試験3〜耐久試験24の画像評価結果を示している。
表5に示す通り、耐久試験6’、耐久試験7’、耐久試験8’はいずれも12000枚画像出力時点において画像不良の発生が確認された。
本実施例では、使用を開始して所定枚数画像出力後の、感光ドラム1を回転駆動する負荷が安定した時のモーター電流の値を、次のようにして閾値Ithとした。すなわち、前記モーター電流の値を、予め複数のプロセスカートリッジに対して10回測定し、その平均値0.75[A]を初期値I0とし、その1.3倍の電流値0.98[A]を閾値Ithとした。
しかし、初期値I0及び閾値Ith決め方は必ずしもこの限りではない。例えば、トナーの流動性が低下しすぎないように、複数のプロセスカートリッジについて測定した結果の下限値を初期値I0として、その1.3倍の電流値を閾値Ithとし、閾値Ithを低めに設定してもよい。
また、閾値Ithは初期値I0の1.2倍でもよい。この場合、トナーの流動性が低下しすぎないで、より安定した画像形成が可能になる。逆に、閾値Ithは初期値I0の1.4倍でもよい。この場合、画像出力速度の維持を優先することができ、かつトナーの流動性が低下しすぎて画像不良が発生することを防止できる。
また、本実施例では、トナーの処方は着色剤の種類及び部数のみしか違っていない。従って、クリーニングブレードの設定は、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックともすべて同じである。
しかし、必ずしもこの限りではなく、各色ごとにクリーニングブレード設定を変えても良い。例えば、本実施例で用いた円形度の高い球形トナーをカラートナーに、円形度の低い不定形トナーをブラックトナーに用いる場合、クリーニングブレードの設定をカラートナーとブラックトナーで変更しなければならない。ただし、その場合は、各色ごとに初期値I0が異なるので、各色ごとに閾値Ithを定めなければならない。
本実施例では、感光ドラム1上のトナー像を直接転写材Pに転写する静電搬送転写装置18を用いた。しかし、必ずしもこの限りではない。例えば、感光ドラム上のトナー像を中間転写ベルト等の中間転写体に一次転写してから、さらに中間転写体から転写材に二次転写してもよい。この場合でも、感光ドラムの回転負荷を検知し、回転負荷の上昇を防止することで、トナーの流動性低下を防止しても良い。
また、中間転写体を用いて、かつ中間転写体にクリーニングブレードが当接してある場合、中間転写ベルトの回転負荷を検知し、回転負荷の上昇を防止することで、トナーの流動性低下を防止しても良い。
また、画像形成時に転写部において感光ドラム1が受ける総圧をP3、感光ドラム1の駆動負荷を測定する時に転写部において感光ドラム1が受ける総圧をP4とした場合、P3>P4を満たすことが好ましい。これにより、感光ドラム1の回転負荷が抑制された状態で測定を行うことができ、より正確にクリーニングブレード5と感光ドラム1の間の摩擦力により生じる回転負荷を測定できる。
本実施例では、感光ドラム1上で紙間に相当するタイミングで感光ドラム1の回転負荷を検知したが、必ずしもこの限りではない。例えば、画像形成動作終了後、非通紙状態で感光ドラム1の駆動が行われる後回転時に、感光ドラム1と現像ローラ9を離間手段により離間させて、感光ドラム1の回転負荷の検知を行っても良い。これにより、感光ドラム1と現像ローラ9が非接触状態となり、感光ドラム1と現像ローラ9の間の摩擦力により生じる回転負荷が無くなり、より正確にクリーニングブレード5と感光ドラム1の間の摩擦力により生じる回転負荷を測定できる。
また、静電搬送ベルト22の内側に転写ローラ4を当接し、転写ローラ4は感光ドラム1と対向するように加圧されて、転写部を形成している。しかし、画像形成後の後回転時に、感光ドラム1と転写ローラ4の間の加圧を解除して、感光ドラム1の回転負荷の検知を行っても良い。これにより、転写部の摩擦力により生じる回転負荷が無くなり、より正確にクリーニングブレード5と感光ドラム1の間の摩擦力により生じる回転負荷を測定できる。
感光ドラム1にトナーが付着した位置が、クリーニングブレードニップ部に到達すると、感光ドラム1にトナーが付着していない位置と比べて、クリーニングブレード5と感光ドラム1の間の摩擦力により生じる回転負荷が上昇する。従って、本実施例のように、感光ドラム1上の画像形成位置よりは、感光ドラム1上の非画像形成位置で回転負荷を検知することが望ましい。しかし、画像形成条件を踏まえて、感光ドラム1上の画像形成位置で回転負荷を検知してもよい。
本実施例では、感光ドラム1の回転負荷を検知する方法として、感光ドラム1を回転駆動するモーター電流を検知したが、必ずしもこの限りではない。例えば、モーターを駆動する際に必要な電力を検知してもよい。これにより、モーター電流の検知と同様に、簡易な方法で、感光ドラム1の回転負荷を検知でき、トナーの流動性低下を検知できる。
本実施例では、感光ドラム1を回転駆動するモーターは、感光ドラム以外に何も駆動しないが、必ずしもこの限りではない。
例えば、感光ドラム1以外に、現像装置21内の現像ローラ9や弾性ローラ10、撹拌部材12の駆動に用いてもよい。この場合でも、トナーの流動性が低下して、クリーニングブレード5と感光ドラム1の間の摩擦力が上昇して、回転負荷が上昇すること以外には、モーター電流は大きく変化しない。従って、本実施例と同様な方法を用いることで、トナーの流動性低下を検知できる。
また、一つのモーターで複数の感光ドラムを駆動してもよい。この場合でも、初期値I0を経験的に求め、その1.3倍を閾値Ithとして、本実施例と同様な制御を行うことで、トナーの流動性低下を検知できる。
本実施例では、トナーの流動性が高い場合、現像容器8の前室内のトナーと、後室内のトナーが混じりやすい例を挙げたが、必ずしもこの限りではない。
トナーの流動性が高いでも、現像容器の前室内のトナーと、後室内のトナーが混じりにくい現像装置においても本発明の効果はある。図19に、前室内のトナーと、後室内のトナーが混じりにくい現像装置の例を示す。この現像装置の前室は破線より下、後室は破線より上と定義する。
このような現像装置では、重力によってトナーが下方向に移動しやすく、現像ローラ9付近にトナーがパッキングしやすい。現像ローラ9にトナーがコートされる際にトナーは摺擦され、流動性が低下する。したがって、局所的に現像ローラ9付近においてのみ、トナーの流動性が低下しやすい。このような現像装置では、トナーの流動性が低下するときには急激に変化するので、本発明を実施することによって、トナーの流動性低下を防止する効果は大きい。
本実施例では、現像装置21にトナーを補給する機構を持たない例を挙げたが、必ずしもこの限りではない。たとえば、現像容器の後室部分に未使用トナーを補給可能な現像装置を用いてもよい。この場合、複数回トナーを補給することで、トナー補給機構を持たない場合より画像出力枚数を多くできる。
トナー補給機構を持つ場合、トナーの流動性低下を検知した結果を元に、未使用トナーを混合するタイミングを制御してもいいし、一度に混合する未使用トナーの量を制御してもいいし、未使用トナー補給時に現像装置内のトナー撹拌速度を制御してもいい。これにより、トナーの流動性低下を防止しつつ、安定した画像形成が可能になる。
本実施例では、非磁性一成分トナーを用いた接触現像方式を採用したが、必ずしもこの限りではない。非磁性一成分トナーを用いた非接触現像方式、磁性一成分トナーを用いた
接触現像方式、磁性一成分トナーを用いた非接触現像方式、二成分トナーを用いた現像方式のいずれを採用しても、本発明を実施することで、安定した画像出力が可能になる。
〔実施例2〕
実施例1では、閾値の数は一つであったが、実施例2では、閾値の数は複数である。それ以外は実施例1と実施例2は同じである。
実施例2では、紙間で検知されるモーター電流の検知値Iと、複数の閾値Ith1及びIth2を比較することで、モーターの駆動を制御する。
閾値Ith1及びIth2は以下のようにして設定した。
クリーニングブレード5にはクリーニング助剤が初期塗布されているが、約5分感光ドラム1を回転させると、感光ドラム1を回転駆動する負荷が安定する。安定した時のモーター電流の値を、複数のプロセスカートリッジについて10回測定したところ、平均0.75[A]であり、トルク換算すると平均4.2[kgf・cm]であった。0.75[A]を初期値I0とし、その1.2倍の電流値0.90[A]を閾値Ith1とし、その1.3倍の電流値0.98[A]を閾値Ith2とした。
図20にモーター制御のシーケンス図を示す。
I<Ith1の場合、通常の画像出力速度を維持する(モード1)。本実施例では、感光ドラム1の周速を200[mm/s]に維持する。
Ith1≦I<Ith2の場合、画像出力速度を一段階下げる(モード2)。本実施例では、感光ドラム1の周速を150[mm/s]に下げる。この時、感光ドラム1の周速低下に合わせて、現像ローラ9、静電搬送ベルト22等の周速も、感光ドラム1との周速比が一定になるように下げる。
Ith2≦Iの場合、画像出力速度を更に下げる(モード3)。本実施例では、感光ドラム1の周速を100[mm/s]に下げる。
すなわち、画像出力速度が、モード1、モード2、モード3の順に下がるように設定する。
前回転時に、モード1、モード2、モード3の画像形成条件を決めるのに必要なシーケンス制御を入れる。モードの切り替え時には、特別なシーケンス制御をいれず、前回転時に得られた制御値を用いる。
本発明の実施例2を実施した場合の耐久試験結果について説明する。
現像容器8に、A4画像の印字率4%で6000枚相当分のトナーを充填して、耐久試験9では、温度23.0℃、湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。低印字率でも画像不良が発生しないか確認するために、画像はA4で、印字率1%の文字パターンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
ベタ画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像から、トナーの流動性低下に伴う画像不良の有無を評価した。画像評価方法は、実施例1と同様である。
表5に示す通り、耐久試験9は、画像不良の発生した12000枚時点で耐久試験を終
了した。
耐久試験を行った結果、耐久試験9においては、9000枚画像出力時点においては、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。
本実施例を実施することで、耐久試験9の結果が得られ、比較例1の耐久試験3よりも長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。また、画像出力速度の低下を極力防止できる。
本実施例では、モーター電流の閾値として、二つの閾値を用いて制御を行ったが、必ずしもこの限りではない。例えば、3つ以上の閾値を用いてもよい。例えば、閾値を3つ用いる場合には、初期値I0とし、その1.2倍を閾値Ith1とし、その1.3倍を閾値Ith2、その1.4倍を閾値Ith3としてもよい。
この時、I<Ith1の場合、通常の画像出力速度V0を維持する(モード1)。
Ith1≦I<Ith2の場合、画像出力速度をV0×3/4とする(モード2)。
Ith2≦I<Ith3の場合、画像出力速度をV0×2/4とする(モード3)。
Ith3≦Iの場合、画像出力速度をV0×1/4とする(モード4)。
これにより、一段階モードを変更しただけではトナーの流動性の低下が防止できない時にさらに効果が高いモードに変更可能である。また、可能な限り速い画像出力速度を維持した状態で、トナーの流動性低下を防止しつつ画像形成が可能である。
〔実施例3〕
実施例3では、測定結果記録手段及びデータ処理手段としてのモーター電流記録装置36を設け、より安定したモーター電流の算出を実現した。それ以外は、実施例1と同様である。
図21に、モーター制御装置の概略構成図を示す。モーター電流はモーター電流検知装置31によって検知される。モーター電流記録装置36では、モーター電流を記録し、本実施例で説明するように、モーター電流の平均値Iaと、初期値I0、閾値Ithを算出する。
モーター電流比較装置32によって、算出されたモーター電流の平均値Iaと、閾値Ithとの比較を行う。モーター電流比較装置32の比較結果は、モーター駆動制御装置33に伝えられ、比較結果に基づいてモーター駆動を行う。
本実施例では、モーター電流記録装置36を用いて、より安定したモーター電流の検知を行う。本実施例では、モーター電流検知装置31のサンプリング周波数を50Hzに設定し、その検知結果をモーター電流記録装置36に記録する。
モーター電流の検知は、前述したとおり、感光ドラム1上で紙間に相当するタイミングで行った。
感光ドラム1の周速は200[mm/s]、感光ドラム1の直径は30[mm]である。また、図7に示すように、感光ドラム1の中心をα、感光ドラム1と静電搬送ベルト22の接触位置の中央をβ、感光ドラム1とクリーニングブレード5の接触位置の中央をγとし、直線αβと直線αγのなす角θ[度]とする。連続して画像出力している時に、感
光ドラム1と静電搬送ベルト22の接触位置の中央βを、n枚目に通過した転写材Pの後端が通過する時刻をt[b,n]とする。感光ドラム1と静電搬送ベルト22の接触位置の中央βを、n枚目に通過した転写材Pの先端が通過する時刻をt[a,n]とする。
すると、モーター電流の検知は、
時刻t[b,n]+(30π/200)×(θ/360)から
時刻t[a,n+1]+(30π/200)×(θ/360)までの間に行う。
すなわち、感光ドラム1上に静電潜像が形成されておらず、トナーが現像されていないタイミングでモーター電流の検知を行う。
したがって、一回の紙間の間に、(t[b,n]−t[a,n+1])×50個のモーター電流測定値が記録される。そこで、それらのデータを平均化したモーター電流Iaを求める。これにより、測定誤差の小さい安定したモーター電流値を得ることができ、トナーの流動性低下を高精度で検知できる。
本実施例では、紙間で検知されるモーター電流の平均値Iaと、閾値Ithとの比較を行う。閾値Ithは以下のようにして設定した。
クリーニングブレード5にはクリーニング助剤が初期塗布されているが、約5分感光ドラム1を回転させると、感光ドラム1を回転駆動する負荷が安定する。安定した時のモーター電流の値を、複数のカートリッジについて10回測定したところ、平均0.75[A]であり、トルク換算すると平均4.2[kgf・cm]であった。0.75[A]を初期値I0とし、その1.3倍の電流値0.98[A]を閾値Ithとした。モーター電流0.98[A]をトルク換算すると、5.4[kgf・cm]となる。
閾値Ith=1.3×I0としたが、これはモーター電流が急激に上昇する直前、すなわち、トナーの流動性低下によって画像不良が発生する直前に、設定したことに相当する。これは比較例1の耐久試験3の測定結果である図11、及び比較例2の耐久試験4、耐久試験5の測定結果である図13に示した通りである。
図22にモーター制御のシーケンス図を示す。
Ia<Ithの場合、通常の画像出力速度を維持する(モード1)。本実施例では、感光ドラム1の周速を200[mm/s]に維持する。
Ith≦Iaの場合、画像出力速度を下げる(モード2)。本実施例では、感光ドラム1の周速を100[mm/s]に下げる。この時、感光ドラム1の周速低下に合わせて、現像ローラ9、静電搬送ベルト22等の周速も、感光ドラム1との周速比が一定になるように下げる。
前回転時に、モード1、モード2の画像形成条件を決めるのに必要なシーケンスを入れる。モードの切り替え時には、特別なシーケンス制御をいれず、前回転時に得られた制御値を用いる。
本発明の実施例3を実施した場合の耐久試験結果について説明する。
現像容器8に、A4画像の印字率4%で6000枚相当分のトナーを充填して、耐久試験10では、温度23.0℃、湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。低印字率でも画像不良が発生しないか確認するために、画像はA4で、印字率1%の文字パター
ンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
ベタ画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像から、トナーの流動性低下に伴う画像不良の有無を評価した。画像評価方法は、実施例1と同様である。
表5に示す通り、耐久試験10は、画像不良の発生した12000枚時点で耐久試験を終了した。耐久試験を行った結果、耐久試験10においては、9000枚画像出力時点においては、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。
本実施例を実施することで、耐久試験10の結果が得られ、比較例1の耐久試験3よりも長期間にわたって、より高精度に画像不良の発生を防止でき、より安定した画像出力が可能になる。
本実施例では、モーター電流の平均値Iaを紙間で求めたが、必ずしもこの限りではない。例えば、後回転時に、紙間よりも長い時間にわたってモーター電流の検知を行い、それらのデータをもとにモーター電流の平均値Iaを求めてもよい。これにより、より安定したモーター電流の平均値が得られる。特に、感光ドラム1が一回転する時間である30π/200=0.47[s]よりも長い時間にわたってモーター電流の検知を行うことで、偏心等の感光ドラム1の回転ムラに起因した測定誤差の発生を防止できる。
本実施例では、モーター電流の平均値Iaを求めるためにモーター電流記録装置36を用いたが、必ずしもこの限りではない。
例えば、本実施例では初期値I0は複数のプロセスカートリッジについて実測したデータを元に設定したが、初期値I0を求めるためにモーター電流記録装置36を用いてもよい。
クリーニングブレード5にはクリーニング助剤が初期塗布されており、約5分感光ドラム1を回転させると、感光ドラム1を回転駆動する負荷が安定する。そこで、初期から200枚画像出力した時点で紙間におけるモーター電流の平均値Iaを求め、その値を初期値I0とする。本来、カートリッジごとに存在するクリーニングブレード5の組み付け誤差や、クリーニング助剤の初期塗布状態によって、モーター電流の初期値I0は変化するが、その影響を避けることができる。このようにして求めた初期値I0の1.3倍を閾値Ithとすることで、正確にトナーの流動性低下を検知できる。
また、初期値I0及び閾値Ith決め方は必ずしもこの限りではない。例えば、トナーの流動性が低下しすぎないように、モーター電流記録装置36に記録されたデータの最小値を初期値I0として、その1.3倍(又は1.2倍)の電流値を閾値Ithとし、閾値Ithを低めに設定してもよい。このように閾値Ithを低めに設定することにより、トナーの流動性低下を最小限に抑えることができる。また、プロセスカートリッジごとに存在するクリーニングブレード5の組み付け誤差や、クリーニング助剤の初期塗布状態によって、モーター電流が変化するが、その影響を避けることができる。
〔実施例4〕
本実施例の構成は、実施例3と同じである。
図23にモーター制御のシーケンス図を示す。以下に詳細を説明する。
実施例4では、実施例3と同様に紙間時に検知したモーター電流をモーター電流記録装置36に記録し、モーター電流の平均値Iaを求める。ここで、n枚目を画像出力した後
の、モーター電流の平均値IaをIa[n]とする。
そして、n枚目を画像出力した前後の10個のデータ
{Ia[n−5]、・・・、Ia[n]、・・・、Ia[n+4]}を元に、最小二乗法計算を行い、データの変化率として傾きa[n]を算出する。
比較例1の耐久試験3では、I≧Ithとなり、画像不良が発生したと予想される5000枚画像出力時点におけるa[n]=0.00025であった。
比較例2の耐久試験4では、I≧Ithとなり、画像不良が発生したと予想される3500枚画像出力時点におけるa[n]=0.00050であった。
比較例2の耐久試験5では、I≧Ithとなり、画像不良が発生したと予想される4500枚画像出力時点におけるa[n]=0.00014であった。
これらの例から、画像不良の発生を未然に防ぐために、閾値Athを0.0001とした。
a[n]<Athの場合、通常の画像出力速度を維持する(モード1)。本実施例では、感光ドラム1の周速を200[mm/s]に維持する。
Ath≦a[n]の場合、画像出力速度を下げる(モード2)。本実施例では、感光ドラム1の周速を100[mm/s]に下げる。この時、感光ドラム1の周速低下に合わせて、現像ローラ9、静電搬送ベルト22等の周速も、感光ドラム1との周速比が一定になるように下げる。
前回転時に、モード1、モード2の画像形成条件を決めるのに必要なシーケンス制御を入れる。モードの切り替え時には、特別なシーケンス制御をいれず、前回転時に得られた制御値を用いる。
本発明の実施例4を実施した場合の耐久試験結果について説明する。
現像容器8に、A4画像の印字率4%で6000枚相当分のトナーを充填して、耐久試験11では、温度23.0℃、湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。低印字率でも画像不良が発生しないか確認するために、画像はA4で、印字率1%の文字パターンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
ベタ画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像から、トナーの流動性低下に伴う画像不良の有無を評価した。画像評価方法は、実施例1と同様である。
表5に示す通り、耐久試験11は、画像不良の発生した12000枚時点で耐久試験を終了した。耐久試験を行った結果、耐久試験11においては、9000枚画像出力時点においては、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。
本実施例を実施することで、耐久試験11の結果が得られ、比較例1の耐久試験3よりも長期間にわたって、より高精度に画像不良の発生を防止でき、より安定した画像出力が可能になる。
本実施例では、紙間時に検知したモーター電流をモーター電流記録装置に記録し、モーター電流の平均値Iaを求める。ここで、n枚目を画像出力した後の、モーター電流の平
均値IaをIa[n]とする。
そして、n枚目を画像出力した前後の10個のデータ
{Ia[n−5]、・・・、Ia[n]、・・・、Ia[n+4]}を元に、最小二乗法計算を行い、傾きa[n]を算出したが、必ずしもこの限りではない。
例えば、選択するデータ数を10個から50個に変えてもよい。このようにすれば、画像形成装置の急激な変化にも対応しつつ、傾きa[n]の算出精度を上げることができる。
〔実施例5〕
本実施例では、実施例1の構成に、画像形成装置の使用履歴情報を記録する履歴情報記録手段及び閾値算出手段として、総プリント枚数(総画像出力枚数)記録装置を追加する。総プリント枚数情報を用いて閾値Ithを算出する以外は、実施例1と同様な制御を行う。相違点を以下に示す。
カートリッジ使用初期では、トナーの流動性がある程度低い状態でも画像不良は発生しない。それに対して、カートリッジを使用して画像形成を重ねると、カートリッジ内の現像ローラ9、規制ブレード11等に付着物が付き、それらの部材にトナーが付着しやすくなり、トナーの流動性低下によって画像不良が発生しやすくなる。すなわち、使用初期の方が、使用後半よりも、画像不良が発生しないトナー流動性の下限が低い。
そこで、本実施例では、画像形成装置の使用履歴情報として、総プリント枚数情報を合わせてトナーの流動性低下検知を行うことで、より安定した画像形成を実現する。
本実施例では、カートリッジの使用初期からのプリント枚数をNとし、実施例1と同様に、初期値I0を0.75[A]とし、
N=0で、Ith=1.3×I0、
N=9000で、Ith=1.2×I0を満たすように、
閾値Ith=−N×0.1×I0/9000+1.3×I0とした。
本発明の実施例5を実施した場合の耐久試験結果について説明する。
現像容器8に、A4画像の印字率4%で6000枚相当分のトナーを充填して、耐久試験12では、温度23.0℃、湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。低印字率でも画像不良が発生しないか確認するために、画像はA4で、印字率1%の文字パターンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
ベタ画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像から、トナーの流動性低下に伴う画像不良の有無を評価した。画像評価方法は、実施例1と同様である。
表5に示す通り、耐久試験12は、画像不良の発生した15000枚時点で耐久試験を終了した。耐久試験を行った結果、耐久試験12においては、9000枚画像出力時点においては、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。12000枚画像出力時点においては、トナーの流動性低下に起因する画像不良が軽微に発生した。
本実施例を実施することで、耐久試験12の結果が得られ、実施例1の耐久試験6’よりも長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
このように、画像形成装置の使用履歴によって、画像不良の発生しないトナー流動性の
下限が変化しても、長期にわたって安定した画像形成が実現できる。
本実施例では、画像形成装置の使用履歴情報として、使用初期からの総プリント枚数情報を用いたが、必ずしもこの限りではない。例えば、感光ドラム1や現像ローラ9の総回転時間を用いてもよい。
カートリッジ内の現像ローラ9、規制ブレード11等に付着物が付く進行度は、現像ローラ9の総回転時間に略比例している。そして、画像不良の発生しないトナー流動性の下限も、現像ローラ9の総回転時間に略比例している。
しかし、総プリント枚数が同じでも、多部数を連続して画像出力する場合より、少部数を間欠的に画像出力する場合の方が、画像形成前後の前回転や後回転時間が長くなり、現像ローラ9の総回転時間が長くなる。したがって、総プリント枚数情報よりも、現像ローラ9の総回転時間情報を用いた方が、画像不良の発生しないトナー流動性の下限が変化しても、長期にわたって安定した画像形成が実現できる。
また、画像形成装置の使用履歴情報として、ピクセルカウント数情報を用いてもよい。一枚あたりのピクセルカウント数から、印字比率を算出し、一枚あたりのトナー消費量を換算できる。
トナーは、現像ローラ9にコートされる際に摺擦されるが、この時トナーの流動性は低下する。トナー消費量が少ない場合、現像ローラ9付近には長期間に渡って現像ローラ9にコートされ続けたトナーが滞留し、局所的にトナーの流動性低下が発生しやすい。
そこで、トナー消費量によって、閾値Ithを変更してもよい。
例えば、印字比率が1%未満の場合、閾値Ith=1.2×I0とし、印字比率が1%以上の場合、閾値Ith=1.3×I0としてもよい。
これにより、印字比率によらずに、長期にわたって安定した画像形成が実現できる。
また、画像形成装置の使用履歴情報として、トナー残量情報を用いてもよい。
トナーは、現像ローラ9にコートされる際に摺擦されるが、この時トナーの流動性は低下する。トナー残量が多い場合、現像ローラ9付近の流動性が低いトナーは、現像容器後室の流動性の高いトナーと混じることができ、急激なトナーの流動性低下は発生しにくい。しかし、トナー残量が減ると、入れ替わることのできる現像容器後室の流動性の高いトナーが減り、急激なトナーの流動性低下が発生しやすくなる。そして、トナー残量が少ない場合、現像ローラ9付近には長期間に渡って現像ローラ9にコートされ続けたトナーが滞留し、局所的にトナーの流動性低下が発生しやすい。
そこで、トナー残量によって、閾値Ithを変更してもよい。
例えば、トナー残量が50g未満の場合、閾値Ith=1.2×I0とし、トナー残量が50g以上の場合、閾値Ith=1.3×I0としてもよい。
これにより、トナー残量によらずに、長期にわたって安定した画像形成が実現できる。
また、画像形成装置の使用履歴情報として、トナー温度情報を用いてもよい。
トナーは温度が高いほど流動性が低下する。
そこで、トナー温度によって、閾値Ithを変更してもよい。
例えば、トナー温度が50℃以上の場合、閾値Ith=1.2×I0とし、トナー温度が50g未満の場合、閾値Ith=1.3×I0としてもよい。
これにより、トナー温度によらずに、長期にわたって安定した画像形成が実現できる。
〔実施例6〕
本実施例では、実施例1と同様な構成、制御を行う。相違点は、モーター電流Iと閾値Ithとの比較結果を受けて行う、モーター駆動制御の部分のみである。
実施例1では、トナーの流動性を回復する手段として、図24に示すシーケンス制御を実施して、感光ドラム1の周速を下げて、画像出力速度を下げた。本実施例では、トナーの流動性を回復する手段として、感光ドラム1の周速を維持しつつ、感光ドラム1の回転を停止する時間を設けることにより、画像出力速度を下げる。
図25にモーター制御のシーケンス図を示す。
I<Ithの場合、通常の画像出力速度を維持し、感光ドラム1を停止する時間を設けない(モード1)。したがって、感光ドラム1は周速200[mm/s]で回転し続ける。
I≧Ithの場合、画像出力速度を下げ、感光ドラム1を停止する時間を設ける(モード2)。本実施例では、停止時間を60sに定める。
本発明の実施例6を実施した場合の耐久試験結果について説明する。
現像容器8に、A4画像の印字率4%で6000枚相当分のトナーを充填して、耐久試験13では、温度23.0℃、湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。低印字率でも画像不良が発生しないか確認するために、画像はA4で、印字率1%の文字パターンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
ベタ画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像から、トナーの流動性低下に伴う画像不良の有無を評価した。画像評価方法は、実施例1と同様である。
表5に示す通り、耐久試験13は、画像不良の発生した12000枚時点で耐久試験を終了した。耐久試験を行った結果、耐久試験13においては、9000枚画像出力時点においては、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。
本実施例を実施することで、耐久試験13の結果が得られ、比較例1の耐久試験3よりも長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
このように、本実施例を実施することで、簡易な構成で、現像ローラ9付近のトナーの流動性を検知でき、かつ原因にかかわらずに流動性を検知でき、トナーの温度上昇と静電凝集のどちらが流動性低下の原因であっても流動性を回復できる。
なお、本実施例では、感光ドラム1の停止時間を60sとしたが、必ずしもこの限りではない。例えば、より安定した画像形成を実現したい場合は、停止時間を120sとしてもよい。
また、本実施例では、I≧Ithを検知したらすぐに感光ドラム1を停止する時間を設けたが、必ずしもこの限りではない。例えば、検知後10枚までは連続出力可能にしてもよい。これにより、多部数を連続して画像出力する場合でも画像出力速度の低下を最小限に抑えつつ、トナーの流動性低下を防止できる。また、少部数を間欠的に画像出力する場合でも、必要以上に感光ドラムを停止させなくてよい。
〔実施例7〕
本実施例では、実施例1と同様な構成、制御を行う。相違点は、画像形成装置内に冷却手段として冷却装置が設けられ、冷却装置の制御も行うことである。
実施例1から実施例6では、トナーの流動性を回復する手段として、画像出力速度を下げた。本実施例では、それに加えて、画像形成装置内の冷却装置を用いて、トナーを冷却する。冷却装置として、空冷ファンを用いて、画像形成装置内の空気を現像装置に吹き当てることにより、現像装置の外側を冷やし、現像装置の内側に接しているトナーを冷やす。
I<Ithの場合、通常の画像出力速度を維持し、空冷ファンの回転数R1を維持する(モード1)。本実施例では、感光ドラム1の周速を200[mm/s]に維持する。
I≧Ithの場合、画像出力速度を下げ、空冷ファンの回転数R2をR1より上げる(モード2)。本実施例では、感光ドラム1の周速を100[mm/s]に下げる。
本実施例では、R2=2×R1と定める。
本実施例を実施した場合の耐久試験結果について説明する。
現像容器8に、A4画像の印字率4%で6000枚相当分のトナーを充填して、次のような環境において耐久試験を行った。耐久試験14では、温度23.0℃、湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。耐久試験15では、温度32.5℃、湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。耐久試験16では、温度15.0℃、湿度10%RHの環境において耐久試験を行った。低印字率でも画像不良が発生しないか確認するために、画像はA4で、印字率1%の文字パターンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
ベタ画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像から、トナーの流動性低下に伴う画像不良の有無を評価した。画像評価方法は、実施例1と同様である。
表5に示す通り、耐久試験14、耐久試験15は、画像不良の発生した15000枚時点で耐久試験を終了した。耐久試験14、15において、12000枚画像出力時点においては、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。
耐久試験16は、画像不良の発生した12000枚時点で耐久試験を終了した。耐久試験16においては、9000枚画像出力時点においては、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。
本実施例を実施することで、耐久試験14の結果が得られ、実施例1の耐久試験6’よりも長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
本実施例を実施することで、耐久試験15の結果が得られ、実施例1の耐久試験7’よ
りも長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
本実施例を実施することで、耐久試験16の結果が得られ、比較例2の耐久試験5よりも長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
このように、本実施例においては、実施例1の効果に加えて、さらに、トナーの温度が高い場合でも、効率よくトナーの流動性低下を防止でき、効率よく画像不良の発生を防止できるものである。
ここで、本実施例を実施した場合の結果は、実施例1の耐久試験8’と略同等の、耐久試験16の結果であり、低温低湿環境において安定して画像出力できる枚数は、実施例1と略同等だった。
本実施例では、冷却装置の制御として、空冷ファンの回転数の増減を行ったが、必ずしもこの限りではない。例えば、空冷ファンのon、offの切り替えを行ってもよい。これにより、トナーの流動性を防止するために冷却する必要がある時のみ空冷ファンを動かすことができ、消費電力を最小限に抑えることができる。
〔実施例8〕
本実施例では、実施例1と同様な構成、制御を行う。相違点は、現像装置内にトナー除電手段として除電装置を設けたことである。
実施例1から実施例6では、トナーの流動性を回復する手段として、画像出力速度を下げた。本実施例では、それに加えて、現像装置内の除電装置を用いて、トナーを除電する。図26に除電装置を備えた現像装置の概略構成図を示す。感光ドラム1と現像ローラ9の当接位置よりも下流側に除電ブレード40を現像ローラ9に当接させる。除電ブレード40は、バネ弾性を有するSUS金属薄板からなる。電源S1は現像ローラ9に、電源S2は除電ブレード40に電圧を印加する。
この時、除電ブレード40に印加する電圧をV2、現像ローラ9の芯金に印加する電圧をV1とすると、
V2−V1>0ならば、現像ローラ9上のトナーから除電ブレード40に負電荷が移行し、除電される。
ここでは、現像ローラ9の芯金には−300Vの電圧が印加されているので、除電ブレード40に−300Vの電圧を印加すれば、現像ローラ9上のトナーは除電されず、−200Vの電圧を印加すれば、現像ローラ9上のトナーは除電される。
本実施例では、
I<Ithの場合、通常の画像出力速度を維持し、除電ブレード40に−300Vの電圧を印加する(モード1)。本実施例では、感光ドラム1の周速を200[mm/s]に維持する。
I≧Ithの場合、画像出力速度を下げ、除電ブレード40に−200Vの電圧を印加する(モード2)。本実施例では、感光ドラム1の周速を100[mm/s]に下げる。
本実施例を実施した場合の耐久試験結果について説明する。
現像容器8に、A4画像の印字率4%で6000枚相当分のトナーを充填して、次のような環境において耐久試験を行った。耐久試験17では、温度23.0℃、湿度50%R
Hの環境において耐久試験を行った。耐久試験18では、温度32.5℃、湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。耐久試験19では、温度15.0℃、湿度10%RHの環境において耐久試験を行った。低印字率でも画像不良が発生しないか確認するために、画像はA4で、印字率1%の文字パターンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
ベタ画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像から、トナーの流動性低下に伴う画像不良の有無を評価した。画像評価方法は、実施例1と同様である。
表5に示す通り、耐久試験17、耐久試験18は、画像不良の発生した12000枚時点で耐久試験を終了した。耐久試験17、18において、9000枚画像出力時点においては、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。
耐久試験19は、画像不良の発生した15000枚時点で耐久試験を終了した。耐久試験19においては、12000枚画像出力時点においては、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。
このように、本実施例においては、実施例1の効果に加えて、さらに、トナーが静電凝集している場合でも、効率よくトナーの流動性低下を防止でき、効率よく画像不良の発生を防止できるものである。
本実施例を実施することで、耐久試験17の結果が得られ、比較例1の耐久試験3よりも長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
ここで、本実施例を実施した場合の結果は、実施例1の耐久試験6’と略同等の、耐久試験17の結果であり、常温常室環境において安定して画像出力できる枚数は、実施例1と略同等だった。
本実施例を実施することで、耐久試験18の結果が得られ、比較例2の耐久試験4よりも長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
ここで、本実施例を実施した場合の結果は、実施例1の耐久試験7’と略同等の、耐久試験18の結果であり、高温高湿環境において安定して画像出力できる枚数は、実施例1と略同等だった。
本実施例を実施することで、耐久試験19の結果が得られ、実施例1の耐久試験8’よりも長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
本実施例では、除電ブレード40に印加する電圧をV2、現像ローラ9の芯金に印加する電圧をV1とすると、トナー除電時には、V2−V1=100となるように設定したが、必ずしもこの限りではない。トナーの流動性低下が著しい場合には、V2−V1の差を100Vより大きくしてもいいし、トナーの流動性低下が軽度の場合には、V2−V1の差を100V未満にしてもよい。
また、本実施例では、除電ブレード40は現像ローラ9に当接させたが必ずしもこの限りではない。例えば、除電ブレード40を弾性ブレード11に当接させてもよく、この場合も同様な効果が得られる。
〔実施例9〕
本実施例では、実施例1と同様な構成、制御を行う。相違点は、現像装置21内に流動性付与外添剤を補給する補給手段としての流動性付与外添剤補給装置41を設けたことで
ある。
実施例1から実施例8では、トナーの流動性を回復する手段として、画像出力速度を下げた。本実施例では、それに代えて、現像装置内の流動性付与外添剤補給装置を用いて、流動性の低下したトナーに流動性付与外添剤を補給する。
以下に、流動性付与外添剤の補給方法の詳細を説明する。
図27に流動性付与外添剤補給装置を備えた現像装置の概略構成図を示す。
流動性付与外添剤補給装置41は、流動性付与外添剤42と、流動性付与外添剤ホッパー43、流動性付与外添剤供給部材44からなる。矢印の方向に流動性付与外添剤供給部材44が回転すると、流動性付与外添剤ホッパー43から現像容器8の後室に一定量の流動性付与外添剤42が供給される。流動性付与外添剤42が現像容器内のトナーと十分に混合されると、トナーの流動性が上がる。
本実施例では、
I<Ithの場合、通常の画像出力速度を維持し、流動性付与外添剤の補給を行わない(モード1)。本実施例では、感光ドラム1の周速を200[mm/s]に維持する。
I≧Ithの場合、通常の画像出力速度を維持し、流動性付与外添剤の補給を行う(モード2)。使用初期のトナーには、流動性付与外添剤として、疎水性シリカを1重量部外添している。本実施例では、一度の補給につき、初期トナー量に対して0.01重量部の流動性付与外添剤の補給を行った。
本実施例を実施した場合の耐久試験結果について説明する。
現像容器8に、A4画像の印字率4%で6000枚相当分のトナーを充填して、耐久試験20では、温度23.0℃、湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。低印字率でも画像不良が発生しないか確認するために、画像はA4で、印字率1%の文字パターンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
ベタ画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像から、トナーの流動性低下に伴う画像不良の有無を評価した。画像評価方法は、実施例1と同様である。
表5に示す通り、耐久試験20は、画像不良の発生した12000枚時点で耐久試験を終了した。耐久試験20において、9000枚画像出力時点においては、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。
本実施例を実施することで、耐久試験20の結果が得られ、比較例1の耐久試験3よりも長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
このように、本実施例においては、画像出力速度を維持しつつ、トナーの流動性低下を防止でき、画像不良の発生を防止できるものである。
本実施例では、一度の補給につき、初期トナー量に対して0.01重量部の流動性付与外添剤の補給を行ったが、必ずしもこの限りではない。例えば、一度に補給する流動性付与外添剤の量を、0.05重量部にしてもよい。これは、流動性付与外添剤供給部材44の大きさ及び形状を変えれば、実現可能である。ただし、多量の流動性付与外添剤を補給しても、十分にトナーと流動性付与外添剤が混合しなければ、トナーの流動性が上がらな
い。そこで、一度流動性付与外添剤を補給したら、例えI≧Ithとなっていても、一定枚数画像出力しなければ新たに流動性付与外添剤を補給できないように設定してもよい。これにより、トナーの流動性を安定させることができる。
また、本実施例では、トナーの流動性回復手段として、画像出力速度を下げる方法を用いなかったが、用いても良い。流動性付与外添剤の補給と、画像出力速度を下げることを併用することにより、トナーの流動性を著しく上昇させることができる。
〔比較例4〕
本比較例では、比較例1と同様な構成の画像形成装置を用いる。ただし、比較例1では、結着樹脂は、ガラス転移温度が60℃、ワックスは、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時に現れる吸熱ピークが65℃のトナーを用いた。本比較例では、結着樹脂は、ガラス転移温度が50℃、ワックスは、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時に現れる吸熱ピークが55℃のトナーを用いる。本比較例に用いたトナーを使って画像形成を行うと、定着部における定着温度を低くできる長所がある反面、現像装置内でトナーの流動性が低下しやすくなる短所がある。
本比較例の耐久試験結果について説明する。
現像容器8に、A4画像の印字率4%で6000枚相当分のトナーを充填して、耐久試験21では、温度23.0℃、湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。低印字率でも画像不良が発生しないか確認するために、画像はA4で、印字率1%の文字パターンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
ベタ画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像から、トナーの流動性低下に伴う画像不良の有無を評価した。画像評価方法は、比較例1と同様である。
表5に示す通り、耐久試験21は、画像不良の発生した6000枚時点で耐久試験を終了した。耐久試験を行った結果、耐久試験21においては、4500枚画像出力時点においては、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。
〔実施例10〕
本実施例では、実施例1と同様な構成、制御を行う。実施例1では、結着樹脂は、ガラス転移温度が60℃、ワックスは、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時に現れる吸熱ピークが65℃のトナーを用いた。これに対して本実施例では、結着樹脂は、ガラス転移温度が50℃、ワックスは、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時に現れる吸熱ピークが55℃のトナーを用いた点が異なる。すなわち、比較例4と同じ低温定着トナーを用いた。
I<Ithの場合、通常の画像出力速度を維持する(モード1)。本実施例では、感光ドラム1の周速を200[mm/s]に維持する。
I≧Ithの場合、画像出力速度を下げる(モード2)。本実施例では、感光ドラム1の周速を100[mm/s]に下げる。この時、感光ドラム1の周速低下に合わせて、現像ローラ9、静電搬送ベルト22等の周速も、感光ドラム1との周速比が一定になるように下げる。例えば、感光ドラム1の周速が200[mm/s]の時、現像ローラ9の周速は300[mm/s]であり、感光ドラム1の周速が100[mm/s]の時は、現像ローラ9の周速は150[mm/s]である。
本実施例を実施した場合の耐久試験結果について説明する。
現像容器8に、A4画像の印字率4%で6000枚相当分のトナーを充填して、耐久試験22では、温度23.0℃、湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。低印字率でも画像不良が発生しないか確認するために、画像はA4で、印字率1%の文字パターンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
ベタ画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像から、トナーの流動性低下に伴う画像不良の有無を評価した。画像評価方法は、実施例1と同様である。
表5に示す通り、耐久試験22は、画像不良の発生した12000枚時点で耐久試験を終了した。耐久試験22において、9000枚画像出力時点においては、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。
本実施例を実施することで、耐久試験22の結果が得られ、比較例4の耐久試験21よりも長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
このように、低温定着トナーでも、長期間に渡ってトナーの流動性低下を防止でき、長期間に渡って画像不良の発生を防止することができる。
本実施例では、低温定着トナーとして、結着樹脂は、ガラス転移温度が50℃、ワックスは、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時に現れる吸熱ピークが55℃のトナーを用いた。しかし、結着樹脂のガラス転移温度が40℃〜55℃、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、ワックスの昇温時に現れる吸熱ピークが45℃〜60℃のトナーを用いる場合であれば、本発明によって長期間にわたって安定した画像出力が可能になる。
本実施例では、流動性が低下しやすいトナーとして低温定着トナーの例を挙げたが、必ずしもこの限りではない。例えば、体積平均粒径が3μm〜9μmの小粒径トナーについても、本発明によって長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
〔比較例5〕
本比較例では、比較例1と同様な構成の画像形成装置を用いる。ただし、相違点は、感光ドラム1の周速である。比較例1では、感光ドラム1の周速は200[mm/s]であったが、本比較例では、300[mm/s]である。感光ドラム1の周速が上がると、クリーニングブレード5と感光ドラム1間の摩擦力により発生する回転負荷が変化した時に、急激に発熱量が上昇しやすくなり、感光ドラム1の温度が上昇しやすくなる。
本比較例の耐久試験結果について説明する。
現像容器8に、A4画像の印字率4%で6000枚相当分のトナーを充填して、耐久試験23では、温度23.0℃、湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。低印字率でも画像不良が発生しないか確認するために、画像はA4で、印字率1%の文字パターンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
ベタ画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像から、トナーの流動性低下に伴う画像不良の有無を評価した。画像評価方法は、比較例1と同様である。
表5に示す通り、耐久試験23は、画像不良の発生した4500枚時点で耐久試験を終了した。耐久試験を行った結果、耐久試験23においては、3000枚画像出力時点においては、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。
〔実施例11〕
本実施例では、実施例1と同様な構成、制御を行う。相違点は、感光ドラム1の周速である。実施例1から実施例10では、感光ドラム1の周速は200[mm/s]であったが、本実施例では、300[mm/s]である。
I<Ithの場合、通常の画像出力速度を維持する(モード1)。本実施例では、感光ドラム1の周速を300[mm/s]に維持する。
I≧Ithの場合、画像出力速度を下げる(モード2)。本実施例では、感光ドラム1の周速を100[mm/s]に下げる。この時、感光ドラム1の周速低下に合わせて、現像ローラ9、静電搬送ベルト22等の周速も、感光ドラム1との周速比が一定になるように下げる。例えば、感光ドラム1の周速が300[mm/s]の時、現像ローラ9の周速は450[mm/s]であり、感光ドラム1の周速が100[mm/s]の時は、現像ローラ9の周速は150[mm/s]である。
本実施例を実施した場合の耐久試験結果について説明する。
現像容器8に、A4画像の印字率4%で6000枚相当分のトナーを充填して、耐久試験24では、温度23.0℃、湿度50%RHの環境において耐久試験を行った。低印字率でも画像不良が発生しないか確認するために、画像はA4で、印字率1%の文字パターンとした。また、2枚画像出力するごとに1回5秒停止する間欠モードとした。
ベタ画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像から、トナーの流動性低下に伴う画像不良の有無を評価した。画像評価方法は、実施例1と同様である。
表5に示す通り、耐久試験24は、画像不良の発生した12000枚時点で耐久試験を終了した。耐久試験24において、9000枚画像出力時点においては、トナーの流動性低下に起因する画像不良が発生しなかった。
本実施例を実施することで、耐久試験24の結果が得られ、比較例5の耐久試験23よりも長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
このように、画像出力速度が高速な場合でも、長期間に渡ってトナーの流動性低下を防止でき、長期間に渡って画像不良の発生を防止することができる。
本実施例では、感光ドラム1の周速を300[mm/s]に設定したが、感光ドラム1の周速が120[mm/s]以上600[mm/s]未満ならば本発明を実施する効果が大きく、長期間にわたって、安定した画像出力が可能になる。
ここで、下限が120[mm/s]であるのは、この周速未満ではクリーニングブレードニップ部における発熱が小さくかつトナーの静電凝集が進みにくく、本発明を実施しても、トナーの流動性低下を防止する手段を実施する機会が少ないためである。
ここで、上限が600[mm/s]である理由について説明する。ブレードクリーニング方式では、この周速以上ではクリーニングブレードニップ部における発熱が著しくかつトナーの静電凝集が進みやすい。このような場合に、本発明を実施すると、実質的に感光ドラム1の平均周速が600[mm/s]を大きく下回り、画像出力速度を下げざるを得ないためである。