従来、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機やプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置は、像担持体表面に画像情報に応じた静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置によって可視像化し、可視像化された現像剤像(トナー像)を転写材上に転写・定着することにより、画像を形成する。
そして特に、電子写真方式の画像形成装置としては、多数の方法が知られている。そして、像担持体として感光体ドラムを用い、その表面に画像露光を施して静電潜像を形成するように構成されている。
このような電子写真方式の画像形成装置において静電潜像を現像する現像工程に用いられる現像方式としては、乾式現像方式と液体現像方式とがある。液体現像方式の現像剤に比べ、乾式現像方式の現像剤の方が取り扱いが容易であるため、広く普及している。
乾式現像方式には、トナーとキャリアを用いた二成分現像方式と、トナーのみの一成分現像方式がある。一成分現像方式は、更に磁性一成分現像方式と、非磁性一成分現像方式と、に分類される。
二成分現像方式では、現像工程を実施する現像装置内において、キャリアとトナーとを混合撹拌させてトナーを帯電させ、内部にマグネットローラが設けられた現像剤担持体に二成分現像剤を供給し、この現像剤担持体により現像剤を像担持体と対向する現像領域まで搬送して、像担持体に形成された静電潜像にトナーを現像する。この方式では、多くの場合、現像装置に消費されたトナーを随時補給する方式が採用され、長期間に渡って静電潜像に対する現像特性に優れ、高精細な現像が可能である。
しかし、二成分現像方式においては、トナー補給における、トナーとキャリアの比を制御するためのトナー濃度センサや、トナーとキャリアの比を一定に保つための混合撹拌機構、劣化キャリアを新しいキャリアに入れ替える機構等が必要になり、装置が大型化すると共にコストが高く付くという問題がある。このため、近年は、キャリアを使用せずにトナーだけを用いるようにした一成分現像方式の現像装置が多く提案されている。
一方、磁性一成分現像剤は、キャリアとの混合比を考慮する必要がないため上記のトナー濃度センサ等が不要であり、現像装置の小型化が容易である。
静電潜像保持体(像担持体)としての感光ドラム表面に形成した静電潜像を一成分系現像剤としての磁性トナーによって顕像化する現像装置としては、例えば図11に示すような装置が知られている。ここでは、磁性トナーを収容する現像装置本体である現像剤容器53の感光ドラム51との対向部が開口しており、この開口部に現像剤担持体として、回転可能に現像スリーブ58が設けられている。この現像スリーブ58は、金属円筒管56外周面に導電性樹脂被覆層57が設けられて構成されている。
現像剤容器53には、一成分系現像剤としての磁性トナー54が保有されており、磁性トナー間相互の粒子摩擦及び現像スリーブ58と磁性トナー粒子との間の摩擦により、感光ドラム51上に形成された、静電潜像電荷及び現像基準電位に対して逆極性の電荷を、磁性トナー粒子に与え、現像剤層厚規制部材である磁性ブレード52により、磁性トナーを現像スリーブ58上に極めて薄く塗布して担持させて、現像スリーブ58の回転により、感光ドラム51と現像スリーブ58とで形成された現像領域Dへと搬送する。
そして、現像領域Dにおいて、現像スリーブ58内に、現像スリーブ58の回転に対して固定されている磁石55による磁界の作用で、担持されている磁性トナーを飛翔させて、感光ドラム51上の静電潜像を顕像化する。尚、図11における現像装置の構成としては、現像スリーブ58の回転方向Aと感光ドラム51の回転方向Bは順方向に回転し、現像スリーブ58には、現像バイアス手段59により現像時に現像バイアス電圧が印加される。又、現像剤容器53内には、磁性トナー54を撹拌する為の撹拌翼60が設けられている。
ところで、最近では電子写真画像形成装置の更なる高画質化の為に、トナーの小粒径化が図られている。例えば、解像力やシャープネスを向上させ、潜像を忠実に再現する為には、重量平均粒径約3〜10μmのトナーを用いるのが一般的である。更に、ファーストコピー時間の短縮化や省電力化の目的で、トナーの定着温度を下げる傾向にある。このような状況下においては、トナーは更に現像剤担持体上に静電的に付着し易くなると共に、外部からの物理的な力がかかることにより現像剤担持体表面の汚染やトナーの融着が起こり易くなっている。
そこで、図11に示す現像装置において、磁性ブレード52により該磁性トナーを現像スリーブ58上に薄く塗布する際に、磁性ブレード52を現像スリーブ58から離したり、磁性ブレード52の磁界を弱めたりする、等の手段を用いて、規制力を下げることでトナーにかかる負荷を下げることができる。このように、磁性ブレード52の磁界を弱める等の手段を用いて規制力を下げると、トナー帯電量が下がり、トナーと現像スリーブ表面との鏡映力(静電気力)が下がり、現像スリーブ58上のトナーの付着を低減できる。
そして、磁性一成分方式では、帯電電荷量の小さいトナーが発生しても、常に磁力がトナーに働くので、現像スリーブ58のトナー担持部分の磁性ブレード52通過後に、現像スリーブ58から一部のトナーがはがれ落ちるボタ落ちが発生しにくい。
図11では、現像剤層厚規制部材として磁性ブレード52を用いているが、こうした磁性ブレード方式以外にも、現像剤層厚規制部材として、非磁性ブレードを用いる方式が提案されている。例えば、現像剤層厚規制部材として、ゴムもしくは金属の弾性ブレードを現像スリーブに当接させ、その当接部から一成分磁性現像剤である磁性トナーを侵入通過させることによって現像スリーブ上にトナー薄層を形成し、且つ当接部において摩擦帯電による電荷をトナーに付与する構成が提案されている。ここでは、現像剤層厚規制部材に非磁性ブレードを設ける代わりに、現像スリーブ内に磁石を設けることにより、磁石の磁気力によって現像スリーブ上にトナーを供給することができる。ここでも、磁性ブレード方式と同様に、規制力を弱めても、電荷量の小さいトナーが発生しても、常に磁気力がトナーに働くので、ボタ落ちが発生しにくい。
上記の磁性一成分現像方式に対して、非磁性一成分現像方式では、現像剤担持体に現像剤供給部材を近接もしくは圧接し、現像剤担持体上に現像剤を供給して静電気力で保持させ、これを現像剤層厚規制部材により薄層化し、像担持体上の静電潜像に現像する。現像装置は簡易な構成にできるため、軽量、低コスト化が可能である。
しかしながら、磁性一成分現像方式では現像剤担持体にトナーを保持するために静電気力と磁気力を用いたのに対し、非磁性一成分現像方式では現像剤担持体にトナーを保持するために静電気力のみ用いる。
よって、磁性一成分現像方式では規制力を弱めて、電荷量の小さいトナーが発生しても、常に磁気力がトナーに働くので現像剤担持体からトナーがはがれにくいのに対し、非磁性一成分現像方式では、規制力を弱めて電荷量の小さいトナーが発生すると、現像剤担持体とトナーの付着力が弱まり、現像剤担持体からトナーがはがれやすい。
このため、非磁性一成分現像方式では、現像剤担持体上にトナーを安定して均一にコートすることが難しい。
更に、現像剤層厚規制部材の規制力が弱い場合、帯電電荷量が小さいトナーが現像剤担持体上に多くコートされ、現像剤担持体とトナーの付着力が弱まり、現像剤担持体からトナーのひとつひとつが離れて飛散する「トナー飛散」や、現像剤担持体からトナーが塊となって剥がれ落ち、画像形成時に像担持体に付着する「ボタ落ち」、画像形成時に静電潜像の非画像部にトナーが付着する「かぶり」が発生しやすい。反対に、現像剤層厚規制部材の規制力が強すぎると、現像剤担持体や現像剤層厚規制部材にトナーが融着・固着し、現像剤担持体上のトナー層が不均一になりやすい。
つまり、非磁性一成分現像方式では、長期間に渡って、現像剤担持体上にトナーを安定して均一にコートできる手段が重要である。
例えば、感光ドラム表面に形成した静電潜像を一成分系現像剤としての非磁性トナーによって顕像化する現像装置としては、図12に示すような装置が知られている。ここに示す現像装置は、一成分現像剤としての非磁性のトナーTで現像を行う接触一成分現像装置であり、現像剤容器8の開口部に感光ドラム1と対向配置され、感光ドラム1の回転と順方向である矢印方向(反時計方向)に回転自在な現像剤担持体としての現像ローラ9、現像ローラ9に圧接する現像剤供給部材である回転自在な弾性ローラ10、現像ローラ9に当接する弾性を有する現像剤層厚規制部材である規制ブレード11、現像剤容器8内のトナーTを攪拌する攪拌部材12を備えている。
現像剤担持体としての現像ローラ9にトナーを安定して均一にコートする動作に関わる手段としては、規制ブレード11と現像剤容器8内で現像ローラ9に接触してトナーを供給する弾性ローラ10とが備えられているので、それらについて説明する。
現像ローラ9に担持されたトナー量即ちトナー層厚を規制する規制ブレード11は、現像ローラ9と弾性ローラ10との圧接部に対して現像ローラ9の回転方向下流側で現像ローラ9に当接している。攪拌部材12で攪拌されたトナーTは、現像ローラ9に圧接して回転する弾性ローラ10によって現像ローラ9表面に供給される。
現像ローラ9表面に供給されたトナーは、現像ローラ9の回転に伴い搬送され、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部で摩擦により電荷を付与されて、現像ローラ9表面に薄層化される。薄層化されたトナーは現像ローラ9の回転によって搬送され、感光ドラム1との当接部(現像部)にて感光ドラム1上に形成された静電潜像に付着して顕像化する。尚、現像ローラ9上の現像に寄与しなかったトナーは、弾性ローラ10で剥ぎ取られる。
このような現像装置を用いる場合、現像ローラ9上へのトナーの層形成及び帯電を行う層形成・帯電手段となる規制ブレード11としては、現像ローラ9に押圧摺擦される弾性の層形成ブレードが、一般に用いられている。
規制ブレード11は、現像ローラ9の弾性ローラ10表面との当接部に対し現像ローラ9の回転方向上流側にて、自由端側の先端近傍が現像ローラ9の外周面に面接触にて弾性を有して当接するよう設けられている。規制ブレード11は、シリコン、ウレタン等のゴム材料や、バネ弾性を有するSUS又はリン青銅の金属薄板を基体とし、現像ローラ9への当接面側にゴム材料等を接着して構成されている。規制ブレード11の現像ローラ9に対する当接方向としては、現像ローラ9との当接部に対して先端側が現像ローラ9の回転方向上流側に位置する、いわゆるカウンタ方向になっている。
ここでは現像剤層厚規制部材として規制ブレード11を用いて行ったが、現像剤担持体上にトナーをコートする、トナー規制方法としては、これに限定されるものではなく、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の間に電位差を設ける方法、現像剤層厚規制部材がローラ等の回転体である方法、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接位置において回転方向が順方向または逆方向である方法等が提案されている。
又、現像ローラ9にトナーを供給する弾性ローラ10は、規制ブレード11の現像ローラ9との当接部に対して現像ローラ9の回転方向上流側に当接され、現像ローラ9の回転方向に対してカウンタ方向である矢印方向(反時計方向)に回転駆動される。又、弾性ローラ10は、発泡骨格状スポンジ構造や、芯金上にレーヨン、ナイロン等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、現像ローラ9へのトナーTの供給及び未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましい。ここで、上記のように弾性ローラ10と現像ローラ9の接触位置において、弾性ローラ10の回転方向は、現像ローラ9の回転方向と逆方向である。弾性ローラ10の電位と現像ローラ9の電位は、等電位である。弾性ローラ10が現像ローラ9にトナーをなすりつけることで、現像ローラ9にトナーを供給している。
ここでは現像剤供給部材として弾性ローラ10を用いたが、トナー供給方法としては、これに限定されるものではなく、現像剤供給部材と現像剤担持体の間に電位差を設ける方法、現像剤供給部材と現像剤担持体が非接触である方法、現像剤供給部材と現像剤担持体の当接位置において回転方向が同じある方法等が提案されている。
尚、非磁性一成分現像方式の現像剤担持体としては、アルミニウムやSUSステンレス鋼等の金属スリーブ、表面に樹脂層を被覆した金属スリーブ又はシリコーンゴムやNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等にカーボン等の導電剤を分散させた弾性ゴムローラ等が使用されている。
又、現像剤層厚規制部材としては、ウレタンゴムやシリコーンゴム等の弾性ブレード、SUSステンレス鋼、リン青銅等の金属ブレード等が使用されている。
又、現像剤担持体としてのフロート電極を有する中抵抗(109〜1011Ωcm)の現像ローラと、現像剤供給部材としての例えばポリウレタンから形成されるスポンジローラとを圧接させるように配置し、両者の圧接部で互いの表面が逆方向に移動するようにそれぞれ回転させるものが開示されている。この現像装置には、現像剤層厚規制部材として、現像ローラ上のトナー付着量を所定量に規制するために所定の当接力で現像ローラに圧接する層形成部材であるブレードも設けられている。
この現像装置においては、スポンジローラの回転で両者の圧接部に搬送したトナーを、該圧接部で摩擦帯電して現像ローラ表面に付着させる。そして、表面に付着したトナーで構成されるトナー層の層厚をブレードで規制して、現像ローラ上に所定量のトナー層を形成する。そして、現像ローラの回転でトナー層を像担持体としての感光ドラムとの接触部に搬送して感光ドラム上の静電潜像を現像する。
ところで、上記に説明した、現像剤供給部材を用いた「トナー供給力」と、現像剤層厚規制部材を用いた「トナー規制力」のバランスによって、現像剤担持体上のトナーコート量が決まる。
一般に、トナー供給力とトナー規制力を数値化するのは困難であるので、現像剤供給部材の設定を変えてトナー供給力の大小を比較する場合は、現像剤層厚規制部材の設定を固定して、現像剤担持体上のトナーコート量の大小を比較して判断する。同様に、現像剤層厚規制部材の設定を変えてトナー規制力の大小を比較する場合は、現像剤供給部材の設定を固定して、現像剤担持体上のトナーコート量wの大小を比較して判断する。
上記の方法の判断方法で、現像剤供給部材と現像剤との当接圧Pの設定を変えて、設定101〜設定104までの構成を用意し、トナー供給量を判断してみる。
現像剤供給部材と現像剤担持体の当接圧を、設定101においてはP1、設定102においてはP2であるとき、P1>P2とすると、設定101の方が設定102より強くトナーを現像剤担持体にこすりつけ強く付着させるため、設定101の方が設定102より現像剤担持体上のトナーコート量が大きく、トナー供給力が大きいとされる。つまり、現像剤供給部材と現像剤担持体との当接圧Pが大きいほど、現像剤担持体に対するトナー供給量は大きい。
又、トナー供給量を判断すると、現像剤供給部材から現像剤担持体へとトナーが移動するように、現像剤供給部材と現像剤担持体の間に電位差を設けると、現像剤供給部材と現像剤担持体が等電位である設定より現像剤担持体上のトナーコート量が大きくなり、トナー供給力が大きいとされる。
同様に、例えば、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接圧を、設定103においてはP3、設定104においてはP4とし、P3>P4とすると、設定103の方が設定104より強くトナーの通過を妨げるため、設定103の方が設定104より現像剤担持体上のトナーコート量が小さく、トナー規制力が大きいといえる。即ち現像剤層厚規制部材と現像剤担持体との当接圧が強い方が、トナー規制力が大きい。
更に、こうしたトナー供給力とトナー規制力とのバランスをとり、現像剤担持体上のトナーコート量を安定するため、現像剤供給部材と現像剤担持体の間に電位差を設けて、トナー供給力を調整する従来例を挙げる。
例えば、非磁性一成分トナーを用いて現像を行う時に、現像剤担持体の抵抗値変化に左右されずに現像剤供給部材からのトナーの現像剤担持体への供給を常に一定にすることを目的に、現像剤担持体と現像剤供給部材との間のトナー層にかかる電圧が、決められた範囲となるように現像剤担持体と現像剤供給部材とを流れる電流Iconstを一定になるように電流制御する提案がされている。
又、トナーカートリッジの交換後期での画質劣化を防止することを目的に、トナー残量が多いときは、現像剤供給部材である供給ローラ、現像剤担持体である現像ローラ及び現像剤層厚規制部材であるブレードの各印加電圧を低め(−400V、−200V、−300V)に設定し、トナー残量が少ないときは、それら各部の印加電圧をトナー残量が多いときよりも高め(−500V、−300V、−400V)に設定する提案がされている。
又、同様に、現像剤担持体上のトナーコート量を安定させるため、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の間に電位差を設ける従来例を挙げる。
例えば、現像剤層厚規制部材であるトナー規制ローラにより現像剤担持体である現像ローラ上に均一な厚みのトナー層を安定して形成することを目的に、現像ローラに印加される現像バイアス電圧をVB(V)、現像剤供給部材であるトナー供給ローラに印加される直流と交流の重畳電圧であるトナー供給バイアス電圧の直流電圧をVSDC(V)、トナー規制ローラに印加される直流と交流の重畳電圧であるトナー規制バイアス電圧の直流電圧をVRDC(V)とすると、負帯電の非磁性一成分現像剤を用いた場合は、100<VB−VSDC<300、−50<VB−VRDC<50の関係を有し、正帯電の非磁性一成分現像剤を用いた場合は、100<VSDC−VB<300、−50<VB−VRDC<50の関係を有するように設定する提案がされている。
これらの方法では、現像ローラ上のトナーコート量は安定に保つことができる。しかし、現像装置内でトナーが受ける機械的なストレスが大きい場合、現像剤担持体及び現像剤層厚規制部材へのトナー融着や固着が問題となることがある。
従来は、現像剤層厚規制部材及び現像剤担持体へのトナー融着や固着を防止する方法として、以下の方法が知られている。
又、現像剤担持体である現像ローラ及び他の部材へのトナー固着を防止することを目的に、現像動作を終了する時に、現像ローラの回転を停止し、その停止制御に合わせて現像剤供給部材である供給ローラ、現像剤層厚規制部材である規制ローラ及びクリーニングローラの回転を所定時間維持し、バイアス電圧をトナーが受ける電界が逆になるように切換制御する方法が提案されており、現像ローラと供給ローラ、規制ローラとの間に介在されるトナーを除去し、現像装置が停止した状態でのトナーの固着を防止できるものとされている。
又、現像剤担持体である現像ローラへのトナー固着を防止することを目的に、現像動作を終了する時に、現像ローラの回転を停止し、その停止制御に合わせて現像剤層厚規制部材である規制ローラ及び/又は現像剤供給部材である供給ローラを、現像動作時と逆方向に所定時間回転させ、現像ローラとの間に介在されるトナーを除去し、現像ローラの停止後、トナーの固着を防止することが提案されている。
しかしながら、これらの提案では、現像ローラや他の部材のトナー固着物は除去可能であるが、現像ローラと供給ローラ、規制ローラ(またはブレード)との間に存在するトナーを除去する際に、各部材の間にトナーがごく少数(トナー一層分以下)しかない状態があり、トナーが2つの部材に同時に接触し、直接はさみ込まれる状態が存在する。この時にトナーにかかる機械的負荷は大きい。よって、部材に対する融着は防止できても、トナー母体からの外添剤の剥離や、トナー母体に対する外添剤の埋め込みが発生する。これにより、トナーの付着力が上がり、流動性が下がる。又、摩擦帯電性が変化し、充分な帯電電荷量を保持できないトナーが増える。従って、長期間に渡って、現像ローラに安定してトナーをコートできない課題がある。
又、規制ローラは回転駆動されているため、駆動機構が必要であり、製造コストが高くなる課題がある。
ここで、現像剤層厚規制部材及び現像剤担持体にはじめに融着・固着するのは、微小なトナーであることを確認した。即ち、トナーの体積平均粒径をDvとすると、Dv/10以上Dv/3以下の粒径のトナーが融着・固着の核になることを確認した。したがって、Dv/10以上Dv/3以下程度の粒径のトナーに大きな機械的負荷をかけなければ、部材への融着・固着を抑制できる。
図12に示した非磁性一成分現像方式の現像装置の構成を用いた場合における、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流の模式図を、図13に示す。
ここで、図13に示す、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流の模式図をみればわかるように、規制ブレード11が固定されている時に、(A)非磁性一成分トナーの体積平均粒径をDv[μm]、(B)非磁性一成分トナーの体積分布の標準偏差をSvとすると、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部の下流側に溜まるDv/10以上Dv/3以下の微小なトナーT10が、体積平均粒径Dv[μm]±Svの粒径の現像剤T11を現像ローラ9にコートするのに大きな役割を担っていることがわかった。
これは、現像剤層規制部下流にDv/10以上Dv/3以下の微小なトナーT10が溜まることで、規制ブレード11から体積平均粒径Dv[μm]±Svの粒径のトナーT11を引き剥がす層が形成されるためである。
即ち、現像剤層規制部下流にDv/10以上Dv/3以下の微小なトナーT10が体積%で適正量以上存在していれば、安定して現像ローラ9にトナーをコートできる。
しかし、微小なトナーT10は静電的付着力が強く、規制ブレード11に付着しやすい。よって、現像ローラ9と規制ブレード11との当接部の圧力が高い領域でも滞留しやすく、大きな機械的負荷を受けやすい。それに伴い、トナー表面の外添剤が減ったり、埋め込まれたり、トナーの形状が変化し、付着力の上昇や流動性の低下を招く。
又、Dv/10以上Dv/3以下の微小なトナーT10が溜まる層が安定しすぎて動かなくなる、又は、微小なトナーT10が入れ替わらなくなると、長期間に渡って現像装置を使用している間に、機械的負荷の蓄積により、規制ブレード11にトナーが融着、固着する課題がある。
ここで、現像ローラ9にコートされる単位面積あたりのトナー量w[mg/cm2]が大きい方が、トナーにかかる機械的負荷を軽減できることを確認した。そして、トナー量w[mg/cm2]を大きくすることには、3つの効果がある。
1つ目は、現像ローラ9と規制ブレード11との当接部を通過するトナー量wを増やすことで、現像ローラ9と規制ブレード11に同時に接触し、はさまれるトナーが減る効果がある。図14にwが大きい例、図15にwが小さい例を挙げる。
明らかに、図14(w大)の方が図15(w小)より、現像ローラ9と規制ブレード11両方に同時に接触し、はさまれるトナーT12が少ない(図14には1個、図15には4個確認できる。)。そして、トナー間に力が働く場合、より圧力が小さい方へトナーは移動できるため、大きな機械的負荷を受けにくい。
しかし、現像ローラ9と規制ブレード11に同時に接触し、はさまれる場合、トナーは両側の部材から直接力を受けるため、大きな機械的負荷を受けやすい。従って、現像ローラ9と規制ブレード11との当接部を通過するトナー量wを増やすことで、現像ローラ9と規制ブレード11に同時に接触し、はさまれるトナーが減り、トナーにかかる機械的負荷を下げることができる。
2つ目は、現像ローラ9と規制ブレード11との当接部を通過するトナー量wを増やすことで、当接部下流側に溜まるDv/10以上Dv/3以下の微小なトナー滞留層が粉圧で下流側に押し出され、より圧力変化が小さい領域に滞留させる効果がある。
図16に示されるように、wが大きい場合、現像ローラ9表面から、当接部下流側に溜まるDv/10以上Dv/3以下の微小なトナー滞留層T10までの距離が離れる。距離が離れるほど、間に入るトナーT11が多くなり、現像ローラ9表面から規制ブレード11に伝わる力を均一にすることができる。即ち、規制ブレード11に近接している微小なトナー滞留層T10における、現像ローラ9表面の凹凸に伴う圧力変化が小さい。従って、微小なトナー滞留層内のトナーT10にかかる機械的負荷は小さい。
それに対して、図17に示すwが小さい場合は、現像ローラ9表面から、当接部下流側に溜まるDv/10以上Dv/3以下の微小なトナー滞留層T10までの距離が近づく。距離が近づくほど、間に入るトナーT11が少なくなり、現像ローラ9表面から規制ブレード11に伝わる力を均一にすることができない。即ち、規制ブレード11に近接している微小なトナー滞留層T10における、現像ローラ9表面の凹凸に伴う圧力変化が大きい。従って、微小なトナー滞留層内のトナーT10にかかる機械的負荷は大きい。
3つ目は、現像ローラ9と規制ブレード11との当接部を通過するトナー量wを増やすことで、現像ローラ9と規制ブレード11との当接部を通過するDv/10以上Dv/3以下の微小なトナーT10量が増え、当接部下流側の微小なトナーT10が滞留する層内でのトナーの入れ替わりを促進する効果がある。これにより、当接部下流側の微小トナーT10滞留層に、長時間滞留するトナーが減り、トナー融着の発端となる規制ブレード11への微小トナーの付着を防止できる。
このように、現像ローラ9上のトナーコート量wを増やすと上記の3つの効果が期待でき、トナーにかかる機械的負荷が小さくなる。
しかし、現像ローラ9上のトナーコート量wを増やしすぎると、画像不良が発生する。すなわち、帯電電荷量が小さいトナーが現像剤担持体上に多くコートされ、現像剤担持体とトナーの付着力が弱まり、現像剤担持体からトナーが塊となって剥がれ落ち、画像形成時において、像担持体に付着する「ボタ落ち」、静電潜像の非画像部にトナーが付着する「かぶり」が発生しやすい。そこで、上記の画像形成時の画像不良を防止しつつ、トナーにかかる機械的負荷を下げなければならない。この二つを両立する方法として、画像形成時の現像ローラ9上のトナーコート量をw1、非画像形成時の現像ローラ9上のトナーコート量の最大値をw2として、w1<w2を満たすように切り替える方法が考えられる。
既述の通り、現像剤供給部材を用いたトナー供給力と、現像剤層厚規制部材を用いたトナー規制力のバランスによって、現像剤担持体上のトナーコート量wが決まる。
ここで、現像剤層厚規制部材に印加するバイアスを、画像形成時と非画像形成時で切り替える従来例として、特許文献1が提案されている。
ここでは、現像剤担持体である現像ローラ上の現像剤量を規制する、現像剤層厚規制部材であるブレードに交番電界を印加して形成した薄く且つ均一な現像剤層により良好な現像を行え、且つ、現像ローラの予備駆動により迅速に現像ローラ上の現像剤量を回復させることができる現像装置を提供することを目的に、非現像時には直流のブレードバイアス電圧を用いて現像ローラの予備回転を行い、迅速に現像ローラ表面のトナー層を回復させ、現像時にはブレードバイアス電圧とし直流成分と交流成分を有するブレードバイアス電圧を用いて現像を行い、感光体ベルト地肌部汚れ抑制作用により、感光体ベルトの地肌部の汚れを抑制して良好な現像を行う提案がされている。
しかしながら、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の間に電位差を設けた構成では、正極性または負極性のどちらか一方に帯電したトナーや外添剤等の粒子が現像剤層厚規制部材に付着し、トナー融着・固着の原因となる課題がある。
これまでに、現像剤層厚規制部材に付着した、正極性または負極性のどちらか一方に帯電した粒子をはがすために、画像形成時と非画像形成時で現像剤層厚規制部材に印加するバイアスを切り替える発明、又、非画像形成時に現像剤層厚規制部材に直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスを印加する発明等が提案されている。しかし、一時的に現像剤層厚規制部材から引き剥がせても、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の間に電位差を設ける時間がある限り、すぐにトナーが現像剤層厚規制部材に付着して、最終的にはトナー融着・固着が発生する課題がある。
よって、ここでは、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の間に電位差を設けて「トナー規制力」を小さくする手段を用いない。
ここで、現像剤層厚規制部材を任意のタイミングで移動させる従来例として、特許文献2がある。
現像ローラに溶融したトナーが付着されることを解消し、溶融したトナーによりトナー画像に欠陥が生じることを防止することを目的に、ブレードを現像ローラの接線方向に任意のタイミングで移動させる手段を設け、溶融して付着するトナーを、ブレードを摺動させて剥ぎ落とし、溶融トナーによる画像の作成の障害を防止する提案がされている。
又、ブレードを現像ローラの法線方向に任意のタイミングで移動させる方法も提案されている。
しかし、ブレードを現像ローラの接線方向に移動させる場合、長期間に渡って、現像ローラにトナーを均一にコートし、コート量を安定させるためには、高い精度でブレードの位置を設定しなければならず、可動式にするとコストが高くなる。又、ブレードと現像ローラ当接部下流側の微小なトナーにかかる機械的負荷が大きい。
又、ブレードを現像ローラの法線方向に移動させる場合、ブレードと現像ローラの当接圧を下げるタイミングがある。当接圧が下がると、ブレードと現像ローラ当接部下流側の微小なトナーが滞留する層にかかる圧力が下がり、機械的負荷が減る効果がある。しかし、トナーコート量wが増える一方で、ブレードと現像ローラ当接部下流側の微小なトナーが滞留する層にかかる圧力が下がるため、微小なトナーが滞留する層は移動しない。従って、微小なトナーの入れ替わりは少ない。
以上のように、w2(非画像形成時の現像ローラのトナーコート量)をw1(画像形成時の現像ローラのトナーコート量)より大きく設定する際に、非画像形成時に、「トナー供給力」一定、且つ、「トナー規制力」減の設定にした場合、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接部下流側の微小トナー滞留層内において、微小トナーの入れ替わりを促進する効果は小さい。
これに対し、w2をw1より大きく設定する際に、非画像形成時に、「トナー供給力」を増やし且つ「トナー規制力」一定の設定にした場合の例を以下に示す。
「トナー規制力」一定で「トナー供給力」が増える、即ち、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接圧が一定でトナー供給量が増えると、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接部下流側の微小トナー滞留層は、粉圧で下流側に押し出される。そして、「トナー規制力」が一定で「トナー供給力」を元に戻すと、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接部下流側に新たな微小トナー滞留層が形成される。
即ち、「トナー規制力」一定で「トナー供給力」を増やすシーケンスを実行するたびに、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接部下流側の微小トナー滞留層のほぼ全体を入れ替えることができる。これにより、長期間に渡って、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接部下流側の微小トナー滞留層に、同じトナーが滞留し続けることを防止できる。
従って、w2をw1より大きく設定する際に、非画像形成時に、「トナー供給力」増且つ「トナー規制力」一定の設定にした場合、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接部下流側の微小トナー滞留層内における、微小トナーの入れ替わりを促進する効果は大きい。
次に、画像形成時と、非画像形成時で現像剤供給部材に印加するバイアスを変える従来例を以下に示す。
特許文献3では、現像ローラを用いて一成分トナーにて現像を行う時に、現像ローラへトナー供給を行う供給をローラとの間でのトナー固着を防止することを目的に、現像時には、現像ローラへの供給を良好に行うために、現像ローラと供給ローラとの間にトナーが現像ローラ側へと引き寄せされる方向の電界が作用するようにバイアス電圧を供給し、現像を完了する所定時間前に、供給ローラに供給されるバイアス電圧を、トナーが供給ローラ側へと引き寄せされる方向の電界が作用するように、切替え制御する提案がされている。
特許文献4では、画像先端の濃度低下及び画像後端の濃度低下を同時に解決することを目的に、現像ローラに印加する現像バイアス電圧をVB、トナー供給バイアス電圧をVSRとした時、VBとVSRを同極性とし、且つ静電潜像を可視像化する画像形成時には|VB|<|VSR|、静電潜像の可視像化を行わない非画像形成時には|VB|>|VSR|とする提案がされている。発明の効果として、画像形成時にはトナーが現像ローラ側へ移動し、非画像形成時にはトナーがトナー供給ローラ側へ移動するような電界を発生させることにより、画像後端濃度の低下と画像先端濃度の低下を共に解消し、高品質の画像を得ることができると記載されている。
特許文献5では、ホールド力の強い現像剤担持体から高帯電現像剤を引き難し、高帯電現像剤が堆積することを防ぎ、現像剤担持体表面を常に初期と同じ状態に保ち、現像剤担持体上で最適な現像剤付着量と帯電量を経時変化なく得る目的で、画像形成時にはトナー供給ローラに現像ローラと同電位またはトナー供給ローラから現像ローラに現像剤が移動する方向のバイアスを与え、画像形成時以外の時にはトナー供給ローラに現像ローラと同電位または現像ローラからトナー供給ローラに現像剤が移動する方向のバイアスを与える提案がされている。
これらはいずれも、非画像形成時に、「トナー供給力」減かつ「トナー規制力」一定の設定であり、画像形成時の現像剤担持体上のトナーコート量をw1、非画像形成時の現像剤担持体上のトナーコート量をw2とすると、w1>w2である。即ち、非画像形成時において、トナーコート量w2が画像形成時より多くなることはない。
従って、非画像形成時に現像剤担持体上のトナーコート量wが小さくなり、現像剤担持体と現像剤層厚規制部材に同時に接触し、はさまれるトナーが増え、トナーにかかる機械的負荷が上がる。
又、現像剤担持体と現像剤層厚規制部材との当接部を通過するDv/10以上Dv/3以下の微小なトナー量が減り、当接部下流側の微小なトナーが滞留する層内でのトナーの入れ替わりが減る。従って、当接部下流側の微小トナー滞留層に、長時間滞留するトナーが増え、トナー融着の発端となる現像剤層厚規制部材への微小トナーの付着を防止できない課題がある。
これまでに、静電潜像に対してより正確に現像剤を現像することで、高精細画像を実現するために、更に小粒径トナーが提案されている。
又、定着器の設定温度を下げて、画像形成前に定着器を昇温させる時間を減らすことや、定着器の消費電力を下げることを目的に、低温で定着できるトナーが提案されている。
このように、非磁性トナーは、より小粒径に、又、より低温でも定着可能になっている。しかし、これらの特性を持ったトナーは、機械的負荷に弱く、従来よりも小さな負荷で現像剤担持体や現像剤層厚規制部材に融着、固着する。
従って、これらの特性を持ったトナーを用いて現像剤担持体に安定してトナーを均一にコートするためには、従来よりもトナーにかかる機械的負荷を下げるとともに、現像剤担持体と現像剤層厚規制部材との当接部下流側のDv/10以上Dv/3以下の微小なトナーが滞留する層を入れ替える手段が必要である。
特開平8−227211号公報
特開2003−208015号公報
特開2001−109242号公報
特開平9−305013号公報
特開平9−197803号公報
以下、本発明に係る現像装置及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
本実施例では、本発明を適用する画像形成装置の一例として、図1に示す、非磁性一成分DC接触現像方式によって現像を行う接触一成分現像装置(現像装置)を備えた電子写真方式のレーザビームプリンタを用いた。尚、本発明の特徴部である現像装置においては、現像剤担持体として、半導電性の現像ローラ、又は表面に誘電層を形成した現像ローラを用いて像担持体である感光体表面層に押し当てる構成で現像を行う、いわゆる非磁性一成分DC接触現像方法を採用した現像装置を用いるが、こうした現像装置を備えることが可能な画像形成装置であれば、図1に示す構成に限定されるものではない。尚、従来例にて用いた図12に示す現像装置における部材と、同じ動作を行う部材については同じ参照番号を付す。
本画像形成装置は、像担持体として、ドラム型の電子写真感光体(感光ドラム)1を備えている。感光ドラム1の周囲には、それに作用する画像形成手段として、帯電ローラ2、現像装置3、転写ローラ4、クリーニングブレード5が設置されており、帯電ローラ2と現像装置3間の外側には露光装置6が配設されている。又、感光ドラム1と転写ローラ4間の転写ニップに対して転写材搬送方向の下流側には定着装置7が配設されている。
感光ドラム1は、直径30[mm]の負帯電の有機感光体で、アルミニウム製のドラム基体(不図示)上に感光体層(不図示)を有しており、所定の周速で矢印方向(時計方向)に回転駆動され、その回転過程において接触する帯電ローラ2により負極性の一様な帯電を受ける。
帯電手段としての帯電ローラ2は、感光ドラム1表面に回転自在に接触し、帯電バイアス電源(不図示)から印加される帯電バイアスによって感光ドラム1を負帯電の所定電位に均一に帯電する。
現像装置3は、一成分現像剤としての非磁性のトナーTで現像を行う接触一成分現像装置であり、現像剤容器8の開口部に回転自在な現像剤担持体としての現像ローラ9、現像ローラ9に圧接する弾性ローラ10、現像ローラ9に当接し、現像ローラ9上のトナー量を規制する弾性を有する規制ブレード11を備えている。現像ローラ9に弾性ローラ10によって周面に供給されたトナーTは、現像ローラ9周面に薄層化され、現像ローラ9の回転によって搬送され、感光ドラム1との当接部(現像部)にて感光ドラム1上に形成された静電潜像に付着して顕像化する。尚、現像装置3に関しては後に詳しく説明する。
転写手段としての転写ローラ4は、感光ドラム1表面に所定の押圧力で接触して転写ニップを形成し、転写バイアス電源(不図示)から印加される転写バイアスにより、感光ドラム1と転写ローラ4間の転写ニップにて感光ドラム1表面のトナー像を転写材Pに転写する。
クリーニングブレード5は、転写後に感光ドラム1表面に残った転写残トナーを除去する。
露光装置6は、不図示のレーザドライバ、レーザダイオード、ポリゴンミラー14等を備えており、レーザドライバに入力される画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して変調されたレーザ光がレーザダイオードから出力され、高速回転するポリゴンミラー14で前記レーザ光を走査し、光学レンズ系15を介して感光ドラム1表面を画像露光Lすることにより、画像情報に対応した静電潜像を形成する。
定着装置7は、回転自在な定着ローラ7aと加圧ローラ7bを有しており、定着ローラ7aと加圧ローラ7b間の定着ニップにて転写材Pを挟持搬送しながら、転写材Pの表面に転写されたトナー像を加熱、加圧して熱定着する。
上記画像形成手段を用いて、本画像形成装置では、以下のような画像形成動作がなされることによって、所望の画像形成物が得られる。
画像形成時には、感光ドラム1は駆動手段(不図示)により矢印方向に、一秒間に一回転、すなわち周速94.2[mm/s]で回転駆動される。この回転過程にて、帯電バイアス(例えば、−1300VのDC電圧)が印加された帯電ローラ2により表面が一様に帯電される。そして、帯電された感光ドラム1上に露光装置6により画像露光Lが与えられて、入力される画像情報に応じた静電潜像が形成される。
この際、感光ドラム1上の画像露光Lがされない部分の暗部電位は−700V、画像露光Lされた部分の明部電位は−150Vとなるように露光装置6のレーザパワーが調整されている。
そして、この静電潜像に、現像部にて感光ドラム1の帯電極性(負極性)と同極性の現像バイアスが印加された現像装置3が備える現像ローラ9により、感光ドラム1の帯電極性(負極性)と同極性に帯電された非磁性一成分現像剤である非磁性トナーTを付着させて反転現像し、現像剤像(トナー像)として可視化する。
そして、感光ドラム1上のトナー像が感光ドラム1と転写ローラ4間の転写ニップに到達すると、このタイミングに合わせて用紙等の転写材Pがピックアップローラ16によって1枚ずつ給紙され、レジストローラ16aによって転写ニップに搬送される。そして、トナーTと逆極性(正極性)の転写バイアスが印加された転写ローラ4により、感光ドラム1上のトナー像が転写される。そして、トナー像が転写された転写材Pは定着装置7に搬送され、定着ローラ7aと加圧ローラ7b間の定着ニップにてトナー像を転写材Pに加熱、加圧して熱定着した後に、画像形成物として、排紙トレイ17上に排出される。
又、トナー像転写後の感光ドラム1表面に残留している転写残トナーは、クリーニングブレード5によって除去されて、廃トナー収納容器13内に回収され、次回の画像形成工程に備える。
尚、本実施例では、感光ドラム1と現像装置3は、帯電ローラ2、クリーニングブレード5、廃トナー容器13と共に、プロセスカートリッジCとして一体に構成されており、このプロセスカートリッジCは画像形成装置本体22に対して着脱自在である。このことによって、プロセスカートリッジCを交換することによって、消耗部材を一度に交換することができ、メンテナンス性が向上する。本実施例では、トナーが消費されて現像装置3内にトナーが無くなった場合、トナーが充填されている新しいプロセスカートリッジCと交換する。
尚、プロセスカートリッジとは、通常は、感光ドラム1とそれに作用する画像形成手段とを、一体化して着脱自在にしたものであり、本構成のものに限らない。即ち、上記の本実施例の構成に限らず、感光ドラム1と現像装置3のみをプロセスカートリッジCとしたり、例えば感光ドラム1と、現像装置3、帯電ローラ2、クリーニングブレード5のうちのいずれかをプロセスカートリッジCとして一体に形成して、画像形成装置本体22に対して着脱自在としてもよい。
又、プロセスカートリッジCの構成を備えずに、現像装置3を画像形成装置本体に固定配置して、トナーのみを補給する構成の画像形成装置においても、同様に本発明を適用することができる。
又、トナーTが消費されて現像装置3内にトナーが無くなった場合、トナーが充填されているホッパー(不図示)から、プロセスカートリッジCに新しいトナーを補給する方式を用いてもよい。
つまり、本発明の特徴を有する現像装置を備えることが可能であれば、その他の画像形成手段の構成は、特に限定されない。例えば、感光ドラムを複数有して、カラー画像形成装置としてもよいし、感光ドラム1に形成されたトナー像を一次転写する中間転写体を備え、中間転写体からトナー像を転写材に二次転写する中間転写方式の画像形成装置でもよいし、静電記録方式の画像形成装置でもよい。
次に、本発明の特徴部を有する現像装置の構成について、詳しく説明する。本実施例では上記に説明した電子写真レーザプリンタに備えられている現像装置3について説明する。
現像装置3の概略構成図を図2に示す。現像装置3は、一成分現像剤としての非磁性のトナーTで現像を行う接触一成分現像装置であり、トナーTを収容した現像剤容器8の開口部に感光ドラム1と対向配置された矢印方向(反時計方向)に回転自在な現像剤担持体としての現像ローラ9、現像剤容器8内で現像ローラ9に圧接する現像剤供給部材である回転自在な弾性ローラ10、現像ローラ9に当接する弾性を有する現像剤層厚規制部材である規制ブレード11、現像剤容器8内のトナーTを攪拌する攪拌部材12を備えている。規制ブレード11は、現像ローラ9と弾性ローラ10との圧接部に対して現像ローラ9の回転方向下流側で現像ローラ9に当接している。現像ローラ9には、表面に担持されたトナーTを感光ドラム1に静電的に移動させるための現像バイアスを印加する電源S1が接続されている。
この現像装置3による現像動作時においては、攪拌部材12で攪拌されたトナーTは、現像ローラ9に圧接して回転する弾性ローラ10によって現像ローラ9表面に供給される。電源S1より現像バイアスが印加されている現像ローラ9周面に供給されたトナーTは、現像ローラ9の回転に伴い搬送され、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部で摩擦により電荷を付与されて、現像ローラ9表面に薄層化される。薄層化され電荷が付与されたトナーは現像ローラ9の回転によって搬送され、感光ドラム1との当接部(現像部)にて感光ドラム1上に形成された静電潜像に付着して顕像化する。その後、感光ドラム1と現像ローラ9の当接部で現像されずに現像ローラ9表面に残存したトナーは、弾性ローラ10によって剥ぎ取られて現像剤容器8内に戻される。
本実施例の現像装置3について更に詳しく説明すると、現像剤容器8の長手方向に延在する開口部には、現像剤担持体としての、感光ドラム1と対向配置された矢印方向(反時計方向)に、回転自在な直径16mmの現像ローラ9が備えられ、現像剤供給部材としては、現像ローラ9に圧接する回転自在な弾性ローラ10が備えられ、現像剤層厚規制部材としては、現像ローラ9に当接する、弾性を有する規制ブレード11が備えられている。そして、現像剤容器8内のトナーTは、常に攪拌部材12によって攪拌されている。
現像ローラ9は、感光ドラム1と当接幅を持って接触し、感光ドラム1の周速(94.2mm/s)に対して早めの周速(例えば120mm/sec)で回転される。
現像ローラ9の表面は、トナーTの搬送を良好に行うための適度な凹凸を有しており、本実施例では直径16mm、長さ240mm、肉厚4mmのシリコンゴム層上にアクリル・ウレタン系の薄層がコートされて構成されている。
現像ローラ9には現像バイアス電源S1が接続されており、現像動作時には、現像バイアス電源S1から現像ローラ9に負極性の所定電位の現像バイアスが印加される。
本実施例の現像ローラ9の表面粗さは、算術平均粗さRa1.0μm、十点平均粗さRz3.6μm、最大高さRy4.7μmとされるが、現像ローラ9としては、抵抗が104〜106Ω、算術平均粗さRaが0.3〜5.0μm、硬度がアスカーC硬度で40°〜70°(加重1kg)に調整されたものが好適に使用される。
現像ローラ9の抵抗値の測定は、直径30mmのアルミローラ(不図示)と現像ローラ9を当接荷重500gFで長手方向全域に当接させ、このアルミローラを0.5rpsで回転させる。そして、現像ローラ9に−400Vの直流電圧を印加してアース側に10kΩの抵抗を配置する。そして、この抵抗の両端の電圧を測定し、測定した電圧値から電流値を算出して現像ローラ9の抵抗を算出する。
又、現像ローラ9の感光ドラム1表面との当接部(現像部)に対し、現像ローラ9の回転方向下流側には、可撓性のシール部材19が設けられている。シール部材19は、未現像トナーの現像剤容器8内への通過を許容すると共に、現像剤容器8内のトナーTが現像ローラ9の感光ドラム1表面との当接部に対し現像ローラ9の回転方向下流側から漏出するのを防止する。
弾性ローラ10は、規制ブレード11の現像ローラ9との当接部に対して現像ローラ9の回転方向上流側に当接され、矢印方向(反時計方向)に回転駆動される。又、弾性ローラ10は、発泡骨格状スポンジ構造や、芯金上にレーヨン、ナイロン等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、現像ローラ9へのトナーTの供給及び未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましい。本実施例では、芯金上にポリウレタンフォームを設けた直径16mmの弾性ローラ10を用いた。弾性ローラ10の現像ローラ9に対する当接幅としては、1〜6mmが有効で、又、現像ローラ9に対してその当接部において相対速度を持たせることが好ましい。本実施例では、現像ローラ9との当接幅を3mmに設定するが、この時の弾性ローラ10と現像ローラ9の線圧は40gf/cmである。
弾性ローラ10の周速として、現像動作時に90mm/secとなるように駆動手段(不図示)により所定タイミングで回転駆動する。弾性ローラ10と現像ローラ9の接触位置において、弾性ローラ10の回転方向は、現像ローラの回転方向と逆方向である。尚、弾性ローラ10の表面電位と現像ローラ9の表面電位は、等電位となる。
規制ブレード11は、現像ローラ9の弾性ローラ10表面との当接部に対し、現像ローラ9の回転方向上流側にて、自由端側の先端近傍が現像ローラ9の外周面に面接触にて弾性を有して当接するよう設けられている。規制ブレード11は、シリコン、ウレタン等のゴム材料や、バネ弾性を有するSUS又はリン青銅の金属薄板、更に金属薄板を基体とし、現像ローラ9への当接面側にゴム材料等を接着して構成されている。本実施例では、厚さ0.1mmの板状のリン青銅金属薄板で形成された規制ブレード11を用いた。又、規制ブレード11の現像ローラ9に対する当接圧は、25gf/cm(線圧の測定は、摩擦係数が既知の金属薄板を3枚当接部に挿入し、その中央の一枚をばね計りで引き抜いた値から換算した)に設定した。規制ブレード11の現像ローラ9に対する当接方向としては、現像ローラ9との当接部に対して先端側が現像ローラ9の回転方向上流側に位置する、いわゆるカウンタ方向になっている。
現像動作時には、現像剤容器8内のトナーTは、攪拌部材12の矢印方向(時計方向)の回転に伴い弾性ローラ10側に送られる。このトナーTは、弾性ローラ10の矢印方向(反時計方向)の回転によって現像ローラ9近傍に搬送される。そして、現像ローラ9と弾性ローラ10との当接部において、弾性ローラ10上に担持されているトナーTは、現像ローラ9と摺擦されることによって摩擦帯電を受け、現像ローラ9上に付着する。
そして、現像ローラ9の矢印方向(反時計方向)の回転に伴い、トナーTが弾性ブレード11の圧接下に送られ、現像ローラ9上に薄層形成され、感光ドラム1との対向部である現像部へ搬送される。本実施例では、トナーTの帯電電荷量が、良好な−30〜−5μC/gとなるように設定している。
この現像部において、現像ローラ9上に薄層形成されたトナーTが、−300Vの現像バイアスが印加された現像ローラ9によって感光ドラム1上に形成されている静電潜像に付着し、トナー像として現像される。
又、現像ローラ9上の現像に寄与しなかったトナーは、弾性ローラ10との当接部において現像ローラ9表面から剥ぎ取られる。この剥ぎ取られたトナー大部分は、弾性ローラ10の回転に伴い搬送され、現像剤容器8内のトナーTと混ざりあい、トナーTの帯電電荷が分散される。そして、同時に弾性ローラ10の回転により現像ローラ9上に新たなトナーTが供給され、上述した現像動作を繰り返す。
ここで、本発明においては、現像ローラ9のトナーコート量を調整し、安定してトナーをコートさせ、規制ブレード11におけるトナー融着を防止している。この現像ローラ9への安定したトナーコートは、小粒径トナーを用いた現像装置においては、上記に説明したように困難である。しかし、更なる高画質化を求めるには、このトナーの小粒化は避けられない。本実施例においても、体積平均粒径Dvが3μm以上6μm以下の小粒径トナーを用いている。更に、本実施例では、安定したトナーコートが困難な、一成分非磁性トナーを用いている。
次に、本実施例にて使用されている現像剤について、詳しく説明する。
現像剤容器8内に充填されているトナーTは非磁性一成分現像剤であり、転写性に優れ、且つ転写されずに感光ドラム1上に残存した転写残トナーをクリーニングブレード5によってクリーニングする際に、潤滑性が高いことから感光ドラム1の摩耗の少ないなどの利点を有するトナー、即ち球形状のトナーであり、且つ表面が平滑であるものを用いている。
トナーTの形状係数として、SF−1が100〜180であり、SF−2が100〜140であるものを用いている。尚、このSF−1、SF−2は、日立製作所FE−SEM(S−800)を用いてトナー像を無作為に100個サンプリングし、その画像情報をインターフェイスを介してニコレ社製の画像解析装置(Luzex3)に導入して解析を行い、数式(1)及び(2)より算出し得られた値を定義している。数式(1)、(2)において、AREAはトナー投影面積、MXLNGは絶対最大長、PERIは周長である。
SF−1=(MXLNG)2/(AREA×(π/4)×100)…(1)
SF−2=(PERI)2/(AREA×(1/4π)×100)…(2)
このトナーTの形状係数SF−1は球形度合を示し、100から大きくなるにつれて球形から徐々に不定形となる。又、SF−2は凹凸度合を示し、100から大きくなるにつれてトナー表面の凹凸が顕著になる。
トナーTの製造方法としては、上記形状係数(SF−1、SF−2)の範囲内になれば、いわゆる粉砕方法による製造方法の他に、懸濁重合方法を用いて直接トナーを生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い、直接トナーを生成する分散重合方法、又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法等を用いてトナーを製造することも可能である。
本実施例では、トナーTの形状係数SFー1を100〜180に、SF−2を100〜140に容易にコントロールでき、比較的容易に粒度分布がシャープで粒径が3〜9μmの微粒子トナーが得られる常圧下又は加圧下での懸濁重合方法を用い、モノマーとしてスチレンとn−ブチルアクリレート、荷電制御剤としてサリチル酸金属化合物、極性レジンとして飽和ポリエステル、更にワックスと着色剤を加え、着色懸濁粒子を製造した。
そして、これに疎水性シリカを1.5重量部外添することによって、上述したような転写性に優れた負極性のトナーTを製造した。このトナーTのトナー体積抵抗値としては1014Ω・cm以上である。
この、トナーTの体積抵抗値の測定条件は、直径:6mm、測定電極板面積:0.283cm2、圧力:1500gの錘を用い、圧力:96.1kPa、測定時の粉体層厚:0.5〜1.0mmとし、400Vの直流電圧を微小電流計(YHP4140pA METER/DC VOLTAGE SOURCE)で電流値を測定し、測定した電流値より体積抵抗値(比抵抗)を算出する。
又、トナー結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜70℃であることがよい。Tgが40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、70℃を超える場合にはトナーの定着点の上昇をもたらす。カラートナーの場合においては、各色トナーの定着時の混色性が低下し、色再現性にやや劣り、OHP画像の透明性が低下する。更に、45〜65℃であることがより好ましい。
又、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時に現れる、トナーに含まれるワックスの最大吸熱ピークは、45〜75℃であることが好ましい。ワックスの最大吸熱ピークが45℃未満の場合、本発明に用いられる樹脂のガラス転移温度よりも低くなるために、高温環境に放置した際にトナー表面に溶け出すため、耐ブロッキング性能が大幅に悪くなる。一方、最大吸熱ピークが75℃より大きい場合、トナー定着溶融時にワックスが迅速に溶融トナー表面に移行できず、離型性が悪くなるために、高温オフセットが発生し易くなる。更に、50〜70℃であることが好ましい。
尚、本発明においてTgの測定には、例えばパーキンエルマー社製「DSC−7」を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定試料は2〜10mg、好ましくは5mgを精密に秤量する。測定試料はアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下測定を行う。2回目の昇温過程で得られる、温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線をもって解析を行う。ガラス転移温度(Tg)については、得られたDSC曲線より中点法で解析を行った値を用いる。
又、ワックスの融点ついては、得られたDSC曲線の吸熱メインピークの温度値を用いる。
本実施例において製造したトナーを評価するために、フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)を使用した。具体的には、東亜医用電子社製の測定装置FPIA−1000を用いた。
「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.4〜1.0を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度であり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。
測定は、フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として10-3cm3の水中に測定範囲(例えば、円相当径0.60μm以上159.21μm未満)の粒子数が20個以下の水10ml中にノニオン系界面活性剤(好ましくは和光純薬社製コンタミノンN)を数滴加え、更に、測定試料を5mg加え、超音波分散器STM社製UH−50で20kHz、50W/10cm3の条件で5分間分散処理を行い、測定試料の粒子濃度が4000〜8000個/10-3cm3(測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定する。
測定の概略は、東亜医用電子社(株)発行のFPIA−1000のカタログ(1995年6月版)、測定装置の操作マニアルに記載されているが、以下の通りである。
試料分散液は、フラットで扁平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する二次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。それぞれの粒子の2次元画像の投影面積及び投影像の周囲長から上記の円形度算出式を用いて各粒子の円形度を算出する。
円形度はトナー及びトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
約1分間で、1200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、0.06〜400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行う。
本実施例で用いるトナーは、体積平均粒径Dvが5.86μm、円形度の平均値が0.985、Dv/10[μm]からDv/3[μm]までの小さな粒径のトナーが占める体積%N1が0.0965%、Dv/10[μm]からDv/3[μm]までの小さな粒径のトナーが占める個数%N2が4.52%である。
通常、微粒径トナーの量は個数%で表記されているが、本明細書ではDv/10[μm]からDv/3[μm]までの小さな粒径のトナーが占める体積%も表記する。これには、以下の三つの理由からである。
一つ目は、本発明では、現像ローラ9と規制ブレード11の当接部下流に溜まる、Dv/10からDv/3までの小さな粒径のトナーで構成される層に入ることができるトナーの体積を評価するためである。
二つ目は、個数%で規定する場合、粒度分布測定前の分散処理の手段(超音波分散器等)や分散時間により、0.6μm〜2.0μmの微小なトナーの個数分布が変化しやすいので、本発明では、体積%を表記する。
三つ目は、図3に示すとおり、個数分布次第で、同じ体積%における個数%は変化するため、個数%では、Dv/10以上Dv/3以下の微小な粒径のトナーが占める体積%を評価できないためである。
本実施例で用いるトナーは、図4の個数基準粒度分布と体積基準粒度分布に示すように、粒径3μm〜8μmに多く分布している。本実施例に用いられるトナーの体積平均粒径Dvは、3.0μm以上9.0μm以下が好ましいので、適当なトナーといえる。
トナーの体積平均粒径Dvが3μm未満だと、静電気的付着力(鏡映力)が大きくなり、現像装置内での、トナー搬送や、現像剤担持体へのトナー供給及び規制が難しくなる。
又、トナーの体積平均粒径Dvが9μmより大きいと、高画質画像の出力が難しい。例えば、現在のレーザービームプリンタの標準は600dpiであるが、その一画素は、42.3μm×42.3μmである。更に高画質を実現できる1200dpiの一画素は、21.2μm×21.2μmであるが、トナーの体積平均粒径Dvが9μmより大きいと、一画素を忠実に再現することが難しい。
トナーの体積平均粒径Dvが、3.0μm以上6.0μm以下の小粒径トナーは、静電気的付着力が大きいため規制ブレード11に付着しやすく、融着しやすい。従って、トナーの体積平均粒径Dvが、3.0μm以上6.0μm以下の小粒径トナーは、トナーにかかる機械的負荷を下げなければならないので、本発明を実施した場合の効果は大きい。
ここで、本実施例では、東亜医用電子社製の測定装置FPIA−1000を用いて、トナーの粒度分布、円形度を測定したが、必ずしもこの限りではない。トナー粒子の粒度分布が正確にはかれるならば、どのような装置を用いても良い。
又、トナーを定着する温度を下げ、低消費電力や印刷までの待ち時間の短縮を目的に、低温で定着可能なトナーが開発されている。
本実施例では、トナーの結着樹脂は、上記に説明したワックスを含むことによって、トナーの定着性と耐オフセット性を両立できる。
このような低温定着用トナーは、従来のトナーより軟化しやすく、トナーにかかる機械的負荷を下げなければならないので、本発明を実施した場合の効果が大きい。
又、定着装置7内に、トナーを加熱溶融する部材と、トナーを離型する機構が組み込まれているならば、トナー中にワックスが入っていなくてもよい。例えば、トナーを加熱溶融する部材に、離型剤としてシリコーンオイルを塗布する機構が組み込まれている場合、トナー中にワックスを入れなくてもよい。
上記に説明したように、本実施例に用いられるのは、高画質の画像形成を実行するため、トナーの体積平均粒径Dvが3.0μm以上9.0μm以下の小粒径トナーであり、規制ブレード11に融着しやすいので、トナーにかかる機械的負荷を下げなければならない。
ここで、現像ローラ9にコートされる単位面積あたりのトナー量w[mg/cm2]が大きい方が、トナーにかかる機械的負荷を軽減できることを確認した。そして、トナー量w[mg/cm2]を大きくすることには、3つの効果がある。
1つ目は、現像ローラ9と規制ブレード11との当接部を通過するトナー量wを増やすことで、現像ローラ9と規制ブレード11に同時に接触し、はさまれるトナーが減る効果がある。
2つ目は、現像ローラ9と規制ブレード11との当接部を通過するトナー量wを増やすことで、当接部下流側に溜まるDv/10以上Dv/3以下の微小なトナー滞留層が粉圧で下流側に押し出され、より圧力変化が小さい領域に滞留させる効果がある。
3つ目は、現像ローラ9と規制ブレード11との当接部を通過するトナー量wを増やすことで、現像ローラ9と規制ブレード11との当接部を通過するDv/10以上Dv/3以下の微小なトナーT10量が増え、当接部下流側の微小なトナーT10が滞留する層内でのトナーの入れ替わりを促進する効果がある。これにより、当接部下流側の微小トナーT10滞留層に、長時間滞留するトナーが減り、トナー融着の発端となる規制ブレード11への微小トナーの付着を防止できる。
このように、現像ローラ9上のトナーコート量wを増やすと上記の3つの効果が期待でき、トナーにかかる機械的負荷が小さくなる。
しかし、現像ローラ9上のトナーコート量wを増やしすぎると、画像不良が発生する。すなわち、帯電電荷量が小さいトナーが現像剤担持体上に多くコートされ、現像剤担持体とトナーの付着力が弱まり、現像剤担持体からトナーが塊となって剥がれ落ち、画像形成時に像担持体に付着する「ボタ落ち」、画像形成時に静電潜像の非画像部にトナーが付着する「かぶり」が発生しやすい。そこで、上記の画像不良を防止しつつ、トナーにかかる機械的負荷を下げなければならない。
本実施例では、画像形成時には、充分に摩擦帯電したトナーを現像ローラ9上にコートし、トナーコート量を低めに設定することで画像不良を防止し、非画像形成時には、トナーコート量を高めに設定することでトナーにかかる機械的負荷を下げる。
又、本実施例では、上記に説明した図2に示す構成の現像装置において、画像形成時と非画像形成時で、規制ブレード11の設定を変えず、画像形成時に現像ローラ9に担持された単位面積あたりの現像剤量w1と、非画像形成時に現像ローラ9に担持された単位面積あたりの現像剤量の最大値w2が、w1<w2を満たす設定としたことに特徴を有する。尚、ここでは、非画像形成時における現像ローラ9のトナーコート量は、下記に説明するように、非画像形成時の全部の時間に亘って一定というわけではないので、非画像形成時に担持する最大のトナー量とする。
こうすることによって、非画像形成時に、「トナー供給力」が増えて且つ「トナー規制力」一定の設定にする。この時、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接圧が一定でトナー供給量が増えると、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接部下流側の微小トナー滞留層は、粉圧で下流側に押し出される。
そして、「トナー規制力」が一定で「トナー供給力」を元に戻すと、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接部下流側に新たな微小トナー滞留層が形成される。即ち、「トナー規制力」一定で「トナー供給力」を増やすシーケンスを実行するたびに、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接部下流側の微小トナー滞留層のほぼ全体を入れ替えることができる。
これにより、長期間に渡って、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接部下流側の微小トナー滞留層に、同じトナーが滞留し続けることを防止でき、微小トナーの入れ替わりを促進できる。
従来例にて説明したように、又、後に比較例にても説明するように、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体との間に電位差を設ける方法では、一時的に現像剤層厚規制部材から引き剥がせても、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の間に電位差を設ける時間がある限り、すぐにトナーが現像剤層厚規制部材に付着して、最終的にはトナー融着・固着が発生する課題がある。よって、ここでは、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の間に電位差を設けて「トナー規制力」を小さくする手段を用いない。又、ブレードの位置設定によって、長期間に渡って、現像ローラにおけるトナーコート量を安定させるためには、高い精度でブレードの位置を設定しなければならず、可動式にするとコストが高くなり、トナーにかかる機械的負荷が大きい。
又、w2(非画像形成時の現像ローラのトナーコート量)をw1(画像形成時の現像ローラのトナーコート量)より大きく設定する際に、非画像形成時に、「トナー供給力」一定且つ「トナー規制力」減の設定にした場合、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接部下流側の微小トナー滞留層内において、微小トナーの入れ替わりを促進する効果は小さい。
よって、本実施例においても、非画像形成時と画像形成時で規制ブレード11の設定は変えず、規制ブレード11は固定され、画像形成時も非画像形成時でも規制ブレード11と現像ローラ9の表面電位は等電位とされる。そして、弾性ローラ10側で設定を変えていく。そして、弾性ローラ10の設定を変えることによって、画像形成時の現像ローラ9のトナーコート量w1より非画像形成時の最大トナーコート量w2が大きくなるように制御することとした。こうした構成において、従来例では、w1>w2であるものが多かった。
ここで、本発明を実施した場合の効果を確認するために、本実施例の現像装置3を用いて、画像形成時と非画像形成時の設定を変えた時の規制ブレード11に対する「トナー融着」を評価した。
評価方法は、温度23.5℃、湿度50%RH環境で、5000枚の画像を出力した後に、トナー融着を評価し、画像出力試験を行う。
5000枚出力時には、図5に示すシーケンス制御に従って、1枚ごとに前回転・画像形成・後回転を行う。後回転時の一定時間(本実施例では1s)における現像装置設定をモードB、それ以外の時間の現像装置設定をモードAとする。
モードA時における基本設定は、弾性ローラ10と現像ローラ9が等電位、弾性ローラ10と現像ローラ9の線圧が40gf/cm、現像ローラ9の周速は120m/s、弾性ローラ10の周速は90mm/s、規制ブレード11と現像ローラ9が等電位、規制ブレード11と現像ローラ9の線圧が25gf/cmとする。
ここで、設定項目は、(1)非画像形成時一定時間内(モードB時)における現像ローラ9と弾性ローラ10との電位差:つまり(現像ローラ9の電位)−(弾性ローラ10の電位)である「電位差[V]」、(2)規制ブレード11と現像ローラ9との間にかかる線圧[gf/cm]、(3)非画像形成時一定時間内(モードB時)における弾性ローラ10と現像ローラ9との周速比:つまり(弾性ローラ10の周速)/(現像ローラ9の周速)である「周速比」とした。
これら(1)、(2)、(3)の設定項目を調整し、下記の設定1〜設定17の17種類の設定条件について、画像形成時及び非画像形成時のトナーコート量w1、w2を求め、トナー融着の状態を評価した。
尚、画像形成時及び非画像形成時の現像ローラ9のトナーコート量w1、w2としては、5000枚画像出力後に評価した時の、画像形成時(モードA時)の現像ローラ9上のトナーコート量[mg/cm2]であるw1last、非画像形成時一定時間内(モードB時)における現像ローラ9上のトナーコート量[mg/cm2]であるw2lastを求める。
ここで、現像ローラ9上のトナーコート量w1last、w2last[mg/cm2]は、単位面積(1cm2)当たりの重量(mg)である。現像ローラ9上からトナーを吸引し重量を測定し、又、吸引した面積を測定することで算出できる。
(1)設定1〜6:上記に説明した構成の現像装置3において、規制ブレード11の設定を変えず、弾性ローラ10に電源S2(図2)を接続し、非画像形成時の一定時間(モードB時)に、弾性ローラ10に印加する電圧を変えた。
(2)設定7〜12:規制ブレード11の設定を変えず、非画像形成時の一定時間(モードB時)に、弾性ローラ10と現像ローラ9の線圧を変えた。
(3)設定13〜17:規制ブレード11の設定を変えず、非画像形成時の一定時間(モードB時)に、弾性ローラ10の周速を変えた。
設定1〜設定12において、これらの評価結果を表1にまとめた。
ここで、「トナー融着」の項目では、○は融着無し、△は融着有り(画像に与える影響小)、×は融着有り(画像に与える影響大)とした。又、−はトナーコート不良発生により途中で試験を中止した場合である。
(1)まず、表1において、モードBで現像ローラ10と弾性ローラ9に電位差を設けた場合について説明する。
現像ローラ9の表面電位の方が弾性ローラ10の表面電位よりも高く、その電位差が正の、100Vと200Vである設定2、設定3において良好な現像装置が得られた。しかし、400Vの設定1では、トナーコート不良が発生した。
設定2及び設定3では、非画像形成時の一定時間内に、弾性ローラ10から現像ローラ9へ多くのトナー供給がされ、w2>w1を満たす。
ここでは、非画像形成時の一定時間内に、弾性ローラ10から現像ローラ9へ多くのトナー供給がされることで、現像ローラ9と規制ブレード11に同時に接触直接はさみ込まれるトナーが減り、トナーにかかる機械的負荷が減る。
反対に、規制ブレード11と現像ローラ9との電位差が0となった設定4で、トナー融着が発生し始め、規制ブレード11の表面電位が現像ローラ9より高くなった、設定5及び設定6では、非画像形成時の一定時間内に、弾性ローラ10から現像ローラ9へのトナー供給が減り、w2<w1となり、トナー融着が発生し、画像不良が発生した。
この結果から、w2>w1となるように、即ち、非画像形成時における現像ローラ9におけるトナーコート量が画像形成時より多いことで、現像ローラ10と弾性ローラ9に電位差を設けることで、トナー融着を回避できることが分かる。
ここで、w2は非画像形成時の一定時間(モードB時)における現像ローラ9上のトナーコート量の最大値である。
w2>w1となるとトナー融着を回避できるのは、以下の理由によるものと考えられる。
モードAからモードBに切り替わると、「トナー規制力」一定で「トナー供給力」が増える。即ち、規制ブレード11と現像ローラ9の当接圧が一定でトナー供給量が増えるので、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部で現像ローラ9の回転方向下流側(当接部下流側)の微小トナー滞留層は、粉圧で下流側に押し出される。
他方、モードBからモードAに切り替わり、「トナー規制力」が一定で「トナー供給力」を元に戻すと、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流側に新たな微小トナー滞留層が形成される。
これらの現象により、「トナー規制力」一定で「トナー供給力」を増やしてから元に戻すシーケンスを実行するたびに、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流側の微小トナー滞留層のほぼ全体を入れ替えることができる。
そして、長期間に渡って、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流側の微小トナー滞留層に、同じトナーが滞留し続けることを防止できる。
従って、w2をw1より大きく設定する際に、非画像形成時の一定時間内に、「トナー供給力」を増やし且つ「トナー規制力」一定の設定にした場合、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流側の微小トナー滞留層内における、微小トナーの入れ替わりを促進する効果は大きい。
更に、ここでは、「トナー規制力」を一定にし、「トナー供給力」を増やすのに、現像剤担持体である現像ローラ9と現像剤供給部材である弾性ローラ10との間の電位差を調整する方法を用いた。このことによって、非画像形成時の一定時間内に、弾性ローラ10から現像ローラ9へ多くのトナー供給がされることで、現像ローラ9と規制ブレード11に同時に接触直接はさみ込まれるトナーが減り、トナーにかかる機械的負荷が減った。
(2)次に、表1において、モードBで現像ローラ9と弾性ローラ10との間の線圧を変えた場合について説明する。
線圧が30gf/cmまでの設定7〜9、線圧が60gf/cmよりも大きい設定11、12においては、トナー融着が発生したり、トナーコート不良が生じていたりしたが、線圧が50gf/cmになった設定10において良好な現像装置が得られた。
設定10では、非画像形成時の一定時間内に、弾性ローラ10から現像ローラ9へ多くのトナー供給がされ、w2>w1を満たす。
しかし、設定7〜9は、現像ローラ9と弾性ローラ10の線圧が下がっているため、現像ローラ9と弾性ローラ10の当接部においてトナーにかかる負荷は小さい。しかし、w2<w1であり、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流側の微小トナー滞留層内において、微小トナーが入れ替わらないため、トナー融着が発生する。
設定11〜12は、現像ローラ9と弾性ローラ10の線圧が上がっているため、現像ローラ9と弾性ローラ11の当接部において、トナーにかかる負荷は大きい。w2>w1であり、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接部下流側の微小トナー滞留層内において、微小トナーが入れ替わるが、トナー融着が発生する。
ここでも、w2>w1の時、つまり「トナー規制力」を一定にし、「トナー供給力」を増やすことによって、上記に説明したのと同様の効果が得られたが、現像ローラ9と弾性ローラ10の線圧が上がっているため、現像ローラ9と弾性ローラ10の当接部において、トナーにかかる負荷は大きい。従って、現像ローラ9への現像剤供給部と現像剤規制部を合わせて考えると、w2をw1より大きくする設定としては、弾性ローラ10と現像ローラ9の線圧つまり当接圧を上げる方法は、(1)のように、弾性ローラ10にバイアスを印加する方法よりトナー融着に対する効果は小さい。
(3)次に、表1において、モードBで弾性ローラ10の周速を変えた場合について説明する。
弾性ローラ10の周速を変えることで、現像ローラ9との周速比を変えた設定13〜17の場合、周速比が1.00と1.25である、つまり、ほとんど現像ローラ9と弾性ローラ10の速度が同じ時に、設定14及び設定15において良好な現像装置3が得られた。
ここでも、設定14及び設定15では、非画像形成時の一定時間内に、弾性ローラ10から現像ローラ9へ多くのトナー供給がされ、w2>w1を満たす。
設定13は、現像ローラ9と弾性ローラ10の周速差が下がっているため、現像ローラ9と弾性ローラ10の当接部において、トナーにかかる負荷は小さい。しかし、w2<w1であり、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流側の微小トナー滞留層内において、微小トナーが入れ替わらないため、トナー融着が発生する。
設定15〜17は、現像ローラ9と弾性ローラ10の周速差が上がっているため、現像ローラ9と弾性ローラ10の当接部において、トナーにかかる負荷は大きい。そのため、w2>w1であるが、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流側の微小トナー滞留層内において、微小トナーが入れ替わるが、トナー融着が発生する。
ここでも、w2>w1の時、つまり「トナー規制力」を一定にし、「トナー供給力」を増やすことによって、上記に説明したのと同様の効果が得られたが、現像ローラ9と弾性ローラ10の周速差が大きくなっているため、現像ローラ9と弾性ローラ10の当接部において、トナーにかかる負荷は大きい。従って、現像ローラ9への現像剤供給部と現像剤規制部を合わせて考えると、w2をw1より大きくする設定としては、弾性ローラ10の周速を上げる方法は、(1)のように、弾性ローラ10にバイアスを印加する方法よりトナー融着に対する効果は小さい。
比較例
上記に、規制ブレード11の設定を変えずに、弾性ローラ10の条件を変えて、非画像形成時における現像ローラ9のトナーコート量を調整したが、比較例として、逆に、弾性ローラ10の設定を変えずに、規制ブレード11の設定を変更する例について説明する。
ここでは、非画像形成時の一定時間(モードB時)に、「トナー供給力」一定で「トナー規制力」を変える方法について説明する。ここでは、規制ブレード11に印加する電圧を変えた例と、規制ブレード11の位置を変える例について、上記同様の評価を実施した。
ここで、非画像形成時一定時間内(モードB時)において、(現像ローラの直流電圧)−(規制ブレードの直流電圧)をΔVdc[V]とした。
又、非画像形成時一定時間内(モードB時)において、現像ローラ9と規制ブレード11の間に印加される交流電圧のピーク間電圧をVpp[V]とした。尚、交流電圧の周波数は200Hzに設定した。
尚、この比較例におけるw2も、つまりw2lastであり、非画像形成時の一定時間において、規制ブレード11の電位差やその他の状態を変えることで、トナーコート量が増加した時のトナー量であり、非画像形成時において最大トナーコート量w2となる。一方、w1は、画像形成時においては、現像ローラ9と弾性ローラ10の状態は同じ状態であるため、コート量も画像形成時は同じ状態を保っていると見なす。
又、非画像形成時一定時間内(モードB時)における現像ローラ9と規制ブレード11の線圧を「線圧[gf/cm]」とした。
(4)設定20〜22:上記に説明した構成の現像装置3において、弾性ローラ10の設定を変えず、非画像形成時の一定時間(モードB時)に、上記Vppを0にして上記ΔVdc[V]を変えた。
(5)設定23〜27:上記に説明した構成の現像装置3において、弾性ローラ10の設定を変えず、非画像形成時の一定時間(モードB時)に、上記Vppを200Vにして上記ΔVdc[V]を変えた。
(6)設定28〜31:弾性ローラ10の設定を変えず、規制ブレード11を法線方向に移動し、非画像形成時の一定時間(モードB時)に、非画像形成時の一定時間内(モードB時)に、規制ブレード11と弾性ローラ10との線圧を変えた。図5にブレード移動方向の模式図に示す。
設定20〜設定31において、これらの評価結果を表2にまとめた。
ここで、「トナー融着」の項目では、表1と同様に、○は融着無し、△は融着有り(画像に与える影響小)、×は融着有り(画像に与える影響大)とした。又、−はトナーコート不良発生により途中で試験を中止した場合である。
(4)表2において、モードBで、Vppを0にして、ΔVdcを変化させた場合は、現像ローラ9の直流電圧の方が高く、ΔVdcが200Vである設定20では、モードB時に負極性に帯電した外添剤が規制ブレード11に付着し、トナー融着が発生した。現像ローラ9の直流電圧の方が低く、ΔVdcが−200Vである設定22では、モードB時に正極性に帯電した外添剤が規制ブレード11に付着し、トナー融着が発生した。現像ローラ9と規制ブレード11に印加されるバイアスが同じであるΔVdcが0Vである設定21でも、問題にはならないが、わずかにトナー融着が発生した。よって、これらの設定では、良好な結果が得られなかった。
(5)Vppを200VにしてΔVdc[V]を変えた設定23〜設定27においては、現像ローラ9と規制ブレード11の間に交流電圧を重畳したバイアスを印加しても、正極性又は負極性に帯電した粒子が規制ブレード11に付着しやすく、トナー融着防止の効果は小さい。
(6)図6に示すように、規制ブレード11を現像ローラ9の法線方向外側に移動させ、規制ブレード11と現像ローラ9との線圧を変えた設定28及び設定29のように、規制ブレード11と現像ローラ9の線圧を下げると、w2>w1となり、圧力を下げる効果と、現像ローラ9と規制ブレード11に同時に接触し、直接はさみ込まれるトナーが減る効果で、トナーにかかる機械的負荷は減る。しかし、トナーコート量wが増える一方で、ブレード11と現像ローラ9当接部下流側の微小なトナーが滞留する層にかかる圧力が下がるため、微小なトナーが滞留する層は移動しない。従って、微小なトナーの入れ替わりは少ないので、トナー融着が発生する。
又、現像ローラ9の当接位置において、図7に示すように規制ブレード11を接線方向でローラ9回転方向上流側に移動して線圧を25gf/cmにした設定30は、モードB時に、ローラ9とブレード11との接点からローラ9回転方向でブレード先端までの距離l1が長くなるが、モードA時より多くのトナーが現像ローラ9と規制ブレード11の当接部に取り込まれ、w2>w1となり、トナーにかかる機械的負荷は軽減されるため、トナー融着を緩和させる。
ここで、規制ブレード11を接線方向上流側に移動することにより、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流側の微小トナー滞留層は、当接部中央側即ち圧力が高い領域に移動する。規制ブレード11が1秒以内で移動する場合、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流側の微小トナー滞留層には、急激に高い圧力がかかり、下流に流され、新たな微小トナー滞留層が発生する。よって、一時的に微小トナー滞留層内のトナーに大きな機械的負荷がかかり、トナー融着の発生は防止できない。
現像ローラの当接位置において、図8に示すように規制ブレード11を接線方向下流側に移動して線圧を25gf/cmとした設定31は、モードB時に、l1が短くなるが、モードA時より少ないトナーが現像ローラと規制ブレード11の当接部に取り込まれる。したがって、w2<w1となり、トナーにかかる機械的負荷は大きくなる。
ここで、規制ブレード11を接線方向下流側に移動することにより、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流側の微小トナー滞留層は、当接部から離れた下流側に移動する。すると、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流側に、新たな微小トナー滞留層が発生する。モードBからモードAに切り替わり、規制ブレード11が元の位置に移動する時、規制ブレード11が1秒以内で移動する場合、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流側の微小トナー滞留層には、急激に高い圧力がかかり、下流に流され、元から存在した微小トナー滞留層がトナーの入れ替わりがないまま、ほぼ元の位置に戻る。この間、一時的に微小トナー滞留層内のトナーに大きな機械的負荷がかかり、トナー融着の発生は防止できない。
又、長期間に渡って、現像ローラ9にトナーを均一にコートし、コート量を安定させるためには、高い精度でブレード11の位置を設定しなければならず、可動式にするとコストが高くなる。
このように、従来例に説明されるように、w2をw1より大きく設定する際に、上記の方法で、非画像形成時に、「トナー供給力」一定にして、且つ、「トナー規制力」を減らす設定にした場合、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流側の微小トナー滞留層内において、微小トナーの入れ替わりを促進する効果は小さく、トナー融着を防止できないことが明らかとなった。
以上の説明より、非磁性一成分現像方式の現像装置において、非画像形成時における現像剤担持体上の最大のトナーコート量w2を、画像形成時のトナーコート量w1より高くして、現像剤規制部材と現像剤担持体との当接部におけるトナーの滞留を防ぐことで、そして、それを現像剤供給部材の設定を変えることで、低コストで、トナーにおける機械的負荷を緩和させ、現像剤規制部材へのトナー融着を回避できることが明らかとなった。
ここで、感光ドラム1と現像ローラ9との位置関係について説明する。図1に示される画像形成装置においては、感光ドラム1と現像ローラ9は、線圧20gf/cmで当接されているが、本発明を実施する場合には、5gf/cm以上100gf/cm以下が好ましい。特に、10gf/cm以上50gf/cm以下がより好ましい。
5gf/cm未満ならば、当接圧が低すぎて感光ドラム1と現像ローラ9の接触状態が不安定になり、トナーの現像量が不安定になる。又、100gf/cmより大きい線圧で感光ドラム1と現像ローラ9を当接する場合には、現像部においてトナーにかかる機械的負荷が大きくなり、現像ローラ9や規制ブレード11に対するトナー融着が発生しやすい。
現像装置3では、感光ドラム1と現像ローラ9の接触部において、感光ドラム1の回転方向と現像ローラ9の回転方向は同じであり、感光ドラム1の周速PS1は94.2mm/s、現像ローラ9の周速PS2は120mm/sである。従って、|PS2−PS1|は25.8mm/sである。本発明を実施する場合には、|PS2−PS1|≦100が好ましい。特に、|PS2−PS1|≦50がより好ましい。
なぜなら、|PS2−PS1|>100の時、感光ドラム1と現像ローラ9の周速差が大きく、感光ドラム1と現像ローラ9が当接している領域をトナーが通過するときに大きなせん断力を受け、トナーにかかる機械的負荷が大きい。従って、現像ローラ9や規制ブレード11へのトナー融着が発生しやすくなるからである。
ここで、現像ローラ9上のトナーコート量w[mg/cm2]には、現像ローラ9と感光ドラム1の周速比Rに関連した制限がある。
画像形成時の現像ローラ9上のトナーコート量をw1とすると、w1の下限は、現像効率と転写効率を考慮した上で充分な画像濃度のベタ画像を出力できる下限値で決まる。
即ち、濃度が十分なベタ画像を出力するためには、転写材上で少なくとも0.5[mg/cm2]以上のトナー量が必要であるが、ベタ画像出力時の現像効率をEdev、転写効率をEtr、現像ローラ9と感光ドラム1の周速比をRすると、数式(3)を満たさなければならない。
Edev×Etr×w1×R≧0.5 (3)
この条件を満たす範囲で、現像ローラ9と感光ドラム1の周速差を小さくすることで、トナーにかかる機械的負荷を下げることができる。
尚、本実施例におけるベタ画像出力時の、現像効率は90%、転写効率は90%、現像ローラ9と感光ドラム1の周速比は1.274であるので、少なくとも現像ローラ9上のトナーコート量wは0.485mg/cm2以上必要である。
又、画像形成時の現像ローラ9におけるトナーコート量w1の上限は、画像不良が発生しない値に設定しなければならない。通常、w1が増えると、単位質量当たりのトナー帯電量が小さくなり、電荷量の小さいトナー及び所望の帯電極性と反対のトナーが増える。これに伴い、画像形成時に非画像部にトナーが付着する「かぶり」や、像担持体上のトナーが転写材に転写されない「転写抜け」が発生する。
既述の通り、現像ローラ9上のトナーコート量wが大きい方がトナーにかかる機械的負荷が小さい。非画像形成時の現像剤担持体上のトナーコート量をw2とすると、w2はできる限り大きい方が好ましい。したがって、w1<w2とすることが好ましい。ただし、w2にも上限がある。現像装置3を備えた画像形成装置では、現像ローラ9上のトナーコート量wが大きくなると、現像ローラ9から感光ドラム1へトナーが付着し、感光ドラム1から、転写ローラ4、中間転写体である中間転写ベルト又は紙搬送ベルト等の転写手段(不図示)にトナーが付着し汚染されることがある。このような汚染が発生すると、転写材P汚れや、画像形成時に非画像部にトナーが付着する「かぶり」が発生する。そこで、w2の上限として、上記の不良が発生しない値に設定しなければならない。
ここで、本実施例では、現像ローラ9上のトナーコート量wは、現像ローラ9にトナーを供給する弾性ローラ10に印加するバイアスを変えることで、調整した。
現像ローラ上のトナーコート量wを増やし、感光ドラム1と現像ローラ9の周速差を小さくするにしたがって、トナー融着しなくなる。
これは、現像ローラ9上のトナーコート量wを増やすことで、現像ローラ9と規制ブレード11に同時に接触し、直接はさみ込まれるトナーが減る効果と、感光ドラム1と規制ブレード11に同時に接触し直接はさみ込まれるトナーが減る効果と、感光ドラム1と現像ローラ11の周速差を小さくすることで、現像部でトナーが受けるせん断応力が小さくなる効果が複合的に積み重なった結果である。
このように、感光ドラム1と現像ローラ9の当接部において、トナーにかかる機械的負荷を下げる設定にし、本発明のシーケンス制御を組み合わせるとより効果が大きい。
本実施例では、カラー画像の画像形成方法の詳細について説明していないが、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色(CMYK)の非磁性一成分トナーを用いることが好ましい。この場合は、各色用に4種類の現像装置を用いることが好ましい。上記4色以外に、淡いシアントナー、淡いマゼンタトナー、透明トナー、特色トナー等のトナーを用いても良い。
又、現像装置3の配置方法としては、固定式でも、可動式でも良い。CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)4色の現像装置を並べて固定するタンデム方式を用いると、プリントスピードが速くできる。
又、CMYK4色の現像装置を回転させる方式を用いると、モノクロ画像を出力する場合には、ブラック現像装置のみ画像形成に用い、カラー画像を出力する場合には、CMYK4色の現像装置を回転して順次中間転写体や転写材にトナーを転写し、画像形成を行う。この方式を用いる場合、カラー現像装置の動作時間、即ち現像ローラ9の回転時間を必要最小限にでき、トナーにかかる機械的負荷を下げることができる。
実施例2
実施例1では、非画像形成時において最大となる現像剤担持体のトナーコート量を、画像形成時よりも多くすることで、適正なトナーコートが維持でき、且つトナーに対する機械的なストレスを緩和し、トナー融着を防ぐ方法について説明したが、ここでは、更に、非画像形成時と画像形成時の切り替えタイミングによって実行する方法について説明する。
実施例1において説明したように、非画像形成時のモードBにおいて、「トナー規制力」を変えずに、「トナー供給力」を増やして、w2>w1に設定すると、2つの効果が生まれる。
(一)一つ目は、現像剤層厚規制部材と現像剤担持体の当接部下流側の微小トナー滞留層内において、微小トナーの入れ替わりを促進する効果である。
(二)二つ目は、トナーにかかる機械的負荷を軽減する効果である。
一つ目の効果を得るための、即ち、微小トナー滞留層内のトナーを入れ替えるためには、少なくとも、規制ブレード11と現像ローラ9の周方向の当接幅をd、現像ローラの周速をv1とし、非画像形成時において現像ローラ9のトナーコート量が最大値である時間即ちモードBの切り替わっている時間をt1とする時、w1<w2を満たす現像ローラ9周方向の長さがv1×t1となり、d≦v1×t1を満たさなければならない。
従って、w2>w1を満たすモードBの時間は、少なくともd/v1時間以上継続しなければならない。
本実施例では、v1=120mm/s、d=1mmであるので、w2>w1を満たすモードBは、0.083s以上継続しなければならない。
この時、画像形成時に現像ローラ9に担持された単位面積あたりの現像剤量w1と、非画像形成時に現像ローラに担持された単位面積あたりの現像剤量の最大値w2が、w1<w2を満たす。
d>v1×t1では、微小トナー滞留層を下流側に押し流すために必要な粉圧を十分に確保できない。
より好ましくは、2d≦v1×t1を満たすことが好ましい。
即ち、w2>w1を満たすモードBは、2d/v1時間以上継続することが好ましい。
又、本例では、非画像形成時も、モードB以外のモードAでは、現像ローラ9におけるトナーコート量は、画像形成時と同じw1とされるが、図9に示すとおり、モードAからモードBに切り替える際に、w1からw2へ変化する時間t2、そしてモードBからモードAに切り換える時も、w2からw1へ変化する時間t3が存在する。特に、w1からw2に変わることで、微小トナー滞留層を下流側に押し流すことができるので、粉圧を十分に確保するために、t1(=t2+d/v1)[s]以上の間、モードBに設定してもよい。
更に、現像ローラ9の偏心も考慮すると、モードBに入ってから、現像ローラ9を1周以上回転することが更に好ましい。
即ち、現像ローラ9の半径をr1とすると、2π×r1≦v1×t1、を満たすことが好ましい。つまり、t1≧2π×r1/v1であることが望ましい。
ただし、長時間、例えば現像ローラ9を100周以上回転しても、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流側の微小トナー滞留層内において、微小トナーの入れ替わりを促進する効果は小さい。
非画像形成時のモードBにおいて、できるだけ長時間、「トナー規制力」を変えずに、「トナー供給力」を増やして、w2>w1に設定すると、トナーにかかる機械的負荷を軽減する効果がある。
従って、非画像形成時には、可能な限り長時間、モードBに設定して、w2>w1とすることが好ましい。
ここで、非画像形成時のモードBにおいて、w2>w1となるように設定する際に、モードBが出力画像に影響が出ないように設定しなければならない。
すると、非画像形成時のうちの前回転時、つまり、画像形成が始まる前には、現像ローラ9上のトナーコート量が安定していなければならない。そこで、現像ローラ9の1周分以上前にはモードBからモードAに切り替えられていることが好ましい。
そして、図9に示すとおり、モードAからモードBに切り替える際に、w1からw2へ変化する時間t2、そしてモードBからモードAに切り換える時も、w2からw1へ変化する時間t3が存在する。
よって、前回転時には、少なくとも画像形成直前の、t3+2πr1/v1[s]以上前に、モードBからモードAに切り替えられていることが好ましい。
これにより、少なくとも画像形成直前の、時間2πr1/v1の間は、w1=w2を満たすことができる。これによって、画像形成前に現像ローラ9のトナーコート量を安定させることができる。
実施例3
ここで、実施例1、2に記載したような現像装置3における各部材の構成を変えた例について説明する。
(A)規制ブレード11:実施例1、2においては、規制ブレード11の形状は、平板であるが、この形状に限定するものではない。そして、規制ブレード11の形状によって、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部の圧力分布及び当接幅が変化する。
これにより、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部下流において、Dv/10以上からDv/3以下までの小さな粒径のトナーが溜まる層の位置、幅、量が変化する。この小粒径トナーが溜まる層は、トナーコートの安定性や、トナー融着に深く関係する。
現像装置3においては、規制ブレード11と現像ローラ9の線圧が30gf/cmで、且つ規制ブレード11と現像ローラ9の当接位置における規制ブレード11の曲率半径は0.5mm以上であることが好ましい。
この時、規制ブレード11と現像ローラ9の当接位置における規制ブレード11の曲率は、正(凸型)でも負(凹型)でもよい。規制ブレード11と現像ローラ9の当接位置における規制ブレード11の曲率半径は0.5mm未満である時、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部におけるピーク圧が高くなり、トナーにかかる機械的負荷が大きく、トナー融着しやすい。
(B)弾性ローラ10:又、現像装置3では、芯金上にポリウレタンフォームを設けた直径16mmの弾性ローラを用いて、現像ローラ9へのトナーの供給及び未現像トナーの剥ぎ取りをおこなっている。
ここで、弾性ローラ10と現像ローラ11を当接幅3mmで接触させている。この時の、弾性ローラ10と現像ローラ9の線圧は40gf/cmである。
又、弾性ローラ10芯金の電位と現像ローラ9芯金の電位は、等電位になっている。弾性ローラ10と現像ローラ9の接触位置において、弾性ローラ10の回転方向は、現像ローラ9の回転方向と逆である。
本実施例のように、体積平均粒径Dvが3.0μm以上6.0μm以下の小粒径トナーを用いる場合、もしくは、結着樹脂のガラス転移温度が40℃以上かつ65℃以下で、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時に現れるワックスの吸熱ピークが45℃以上かつ70℃以下である、低温定着トナーを用いる場合には、表1からの結果から、弾性ローラ10と現像ローラ9の線圧は60gf/cm以下であることが好ましい。特に、弾性ローラ10と現像ローラ9の線圧は40gf/cm以下であることが好ましい。
弾性ローラ10と現像ローラ9の線圧は60gf/cmより大きい場合、弾性ローラ10が現像ローラ9から未現像トナーを剥ぎ取ったり、弾性ローラ10から現像ローラ9へトナーを供給する際に、トナーが激しく摺擦される。そして、トナー表面から外添剤がなくなり、規制ブレード11に付着しやすくなり、トナー融着が発生する。
トナー供給方法は、弾性ローラ10に付着したトナーを現像ローラ9にこすることにより供給する例、弾性ローラ10芯金と現像ローラ9芯金の間に電位差を設け、電界を使って、弾性ローラ10から現像ローラ9へトナーを供給する例もある。電界を使って、弾性ローラ10から現像ローラ9へトナーを供給しても良い。電界によって弾性ローラ10から現像ローラ9へトナーを供給できるので、強くこすらなくても良い。即ち、弾性ローラ10芯金と、現像ローラ9芯金の間に電位差を設け、弾性ローラ10から現像ローラ9へトナーを供給する場合には、弾性ローラ10と現像ローラ9の線圧は30gf/cm以下、より好ましくは20gf/cmに設定することで、トナーに大きな機械的負荷をかけずにすむ。
更に、トナーにかける機械的負荷を小さくするために、弾性ローラ10芯金と現像ローラ9芯金の間に電位差を設け、弾性ローラ10から現像ローラ9へトナーを供給し、弾性ローラ10と現像ローラ9を非接触にしてもよい。
又、実施例1にて実行したトナーにかかる機械的負荷を下げる方法として、弾性ローラ10と現像ローラ9の周速差を下げて等速に近づける方法があるが、弾性ローラ10から現像ローラ9へ充分な量のトナーが供給できて、均一なベタ画像を出力できるならば、弾性ローラ10と現像ローラ9の周速差を下げることが望ましい。例えば、弾性ローラ10と現像ローラ9の接触位置において、弾性ローラ10の回転方向は、現像ローラ9の回転方向と同じであっても良い。
(C)現像ローラ9:又、Dv/10以上Dv/3以下の小さな粒径のトナーである、規制ブレード11と現像ローラ9の当接位置下流のトナー溜まりは、現像ローラ9の偏心により移動する。
トナー溜まりの位置により、体積平均粒径がDv±Sv(標準偏差)付近のトナーが、規制ブレード11規制部を通過できる量が変化し、現像ローラ9上のトナーコート量wは不安定になる。
例えば、現像ローラ9の偏心が100μmになると、現像ローラ9上のトナーコート量wが一周する間に±20%以上変化する。
従って、現像ローラ9周内で、周方向の画像濃度ムラが生じないためには、現像ローラ9の偏心が80μm以下であることが好ましい。特に、現像ローラ9の偏心が60μm以下であることが好ましい。
実施例4
実施例1〜3では、非磁性一成分トナーを用いて、感光ドラム1と現像ローラ9が接触する現像方式の現像装置3について説明した。
本実施例では、非磁性一成分トナーを用いて、像担持体である感光ドラム1aと現像剤担持体である現像ローラ9aが接触しない現像方式の現像装置3aの例を挙げる。
尚、本実施例では、実施例1で例示したトナーを用いる。
図10は、本実施例の現像装置3aの模式図を示す。図10において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を保持する静電潜像保持体である像担持体、即ち電子写真感光ドラム(感光ドラム)1aは、矢印B方向に回転される。現像剤担持体としての現像ローラ9aは、非磁性一成分トナーを担持して感光ドラム1aと順方向である矢印A方向に回転することによって、現像ローラ9aと感光ドラム1aとが対向している現像領域Dにトナーを搬送する。
本実施例の現像装置3aで用いられる現像ローラ9aは、基体としての芯金上に被覆された導電性被覆層を有する。
現像剤容器8a内に収容された現像剤Taは、非磁性トナー相互間及び現像ローラ9a上の導電性被覆層との摩擦によって、感光ドラム1a上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る。尚、現像容器8a内には攪拌翼12aが備えられている。
現像ローラ9a上の現像剤Taの層厚を規制する現像剤層厚規制部材として、ウレタンゴム、シリコーンゴムの如きゴム弾性を有する材料、或いはリン青銅、ステンレス鋼の如き金属弾性を有する材料の弾性板で構成される弾性規制ブレード(規制ブレード)11aを使用し、この規制ブレード11aを現像ローラ9aの回転方向と逆方向の向きで圧接させる。現像ローラ9aに対して、現像剤層を介して規制ブレード11aを弾性的に圧接することによって、現像ローラ9a上に現像剤の薄層を形成することができる。
この様にして現像ローラ9a上に形成される現像剤Taの薄層の厚みは、現像領域Dにおける現像ローラ9aと感光ドラム1aとの間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。
現像剤容器8a内で現像ローラ9aに当接して現像剤を供給する、現像剤供給部材である弾性ローラ10aは、弾性規制ブレード11aの現像ローラ9aとの当接部に対して現像ローラ9aの回転方向上流側に当接され、矢印方向(反時計方向)に回転駆動される。又、弾性ローラ10aは、発泡骨格状スポンジ構造や、芯金上にレーヨン、ナイロン等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、現像ローラ9aへのトナーTの供給及び未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましい。本実施例では、芯金上にポリウレタンフォームを設けた弾性ローラ10aを用いた。弾性ローラ10aの電位と現像ローラ9aの電位は、等電位である。
現像ローラ9aに担持された非磁性トナーを有する一成分系現像剤Taを飛翔させる為、現像ローラ9aにはバイアス手段としての現像バイアス電源S1aにより現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときには、静電潜像の画像部(現像剤Taが付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との中間の値の電圧を現像ローラ9aに印加するのが好ましい。現像された画像の濃度を高め、或いは階調性を向上させる為には、現像ローラ9aに交番バイアス電圧を印加し、現像領域Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合には、上記した現像画像部の電位と背景部の電位の中間の値を有する直流電圧成分を重畳した交番バイアス電圧を現像ローラ9aに印加するのが好ましい。
高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂、正規現像の場合には、静電潜像の極性と逆極性に帯電するトナーを使用する。高電位部と低電位部を有する静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂、反転現像の場合には、静電潜像の極性と同極性に帯電するトナーを使用する。高電位、低電位というのは、絶対値による表現である。これらいずれの場合にも、現像剤Taは少なくとも現像ローラ9aとの摩擦により帯電する。
画像形成時には、感光層及び導電性基体を有する感光ドラム1aは、矢印方向に動く。非磁性の円筒の現像ローラ9aは、現像領域Dにおいて感光ドラム1aの表面と同方向に進むように回転する。現像剤容器8a内の一成分系現像剤Taは、現像ローラ9a上に塗布されて担持され、且つ現像ローラ9aの表面との摩擦及び/又はトナー同士の摩擦によって、例えば、マイナスの帯電電荷が与えられる。更に、弾性規制ブレード11aを現像ローラ9aを弾性的に押圧するように設け、現像剤層の厚さを薄く且つ均一に規制して、現像領域Dにおける感光ドラム1aと現像ローラ9aとの間隙よりも薄い現像剤層を形成させる。現像ローラ9aの回転速度を調整することによって、現像ローラ9aの表面速度が感光ドラム1aの表面の速度と実質的に等速、もしくはそれに近い速度となるようにする。現像領域Dにおいて、現像ローラ9aに現像バイアス電圧として、交流バイアス又はパルスバイアスをバイアス印加手段S1aにより印加してもよい。この交流バイアスはfが200〜4,000Hz、Vppが500〜3,000Vであればよい。
現像領域Dにおいて、前記の交流バイアス又はパルスバイアスの如き現像バイアスによって発生する現像電界によって、トナーが現像ローラ9aから感光ドラム1a上の静電潜像に飛翔する。
このように、非磁性一成分トナーを用いて、感光ドラム1aと現像ローラ9aが非接触である現像方式を採用した現像装置3aにおいても、画像形成時と非画像形成時の一定時間内で、規制ブレード11aの設定を変えず、画像形成時に現像ローラ9aに担持された単位面積あたりの現像剤量w1と、非画像形成時に現像ローラ9aに担持された単位面積あたりの現像剤量の最大値w2が、w1<w2を満たす現像装置を用いることで、現像装置3a内でトナーにかかる機械的負荷を下げることができ、規制ブレード11aと現像ローラ9の当接部下流側の微小トナー滞留層内における、微小トナーの入れ替わりを促進することができる。これにより、規制ブレード11aにおけるトナー融着・固着を回避できるので、長期間に渡って現像ローラ9aに安定してトナーをコートすることができる。
更に、接触現像方式の現像装置よりも、感光ドラムと現像ローラが当接する現像領域において、トナーにかかる機械的負荷を下げることができる。
尚、本実施例において、非接触現像法を実施する現像装置の例としては、図10に示した現像装置3aに限定されず、攪拌部材を複数個有しても良い。又、この現像装置も、接触型現像装置と同様に、図1に示した構成をはじめとして、様々な構成の画像形成装置に設置可能とできる。