電子写真方式を利用する画像形成装置(以下単に「画像形成装置」とする)は、簡単な操作で記録媒体上に高画質画像を印刷できることから、現在では多くの分野において汎用される。画像形成装置は、たとえば、感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを含む。感光体はその表面に感光膜を有する。帯電手段は感光体表面を所定の極性および電位に帯電させる。露光手段は帯電状態にある感光体表面に静電潜像を形成する。現像手段は感光体表面の静電潜像にトナーによって現像してトナー像を形成する。転写手段は感光体表面のトナー像を記録媒体上に転写する。定着手段はトナー像を記録媒体に定着させる。これら各手段による処理を経ることによって、記録媒体上に画像情報に応じた画像が形成される。
現像手段には、現像剤担持体と、層厚規制ブレードと、現像槽とを含む現像装置が汎用される。現像剤担持体はその表面に現像剤層を担持して軸線回りに回転し、感光体表面の静電潜像にトナーを供給し、トナー像を形成する。層厚規制ブレードは、現像剤担持体と平行に延びる板状部材であり、短手方向の一端が現像剤担持体表面に当接するかまたは僅かな間隙を有して離隔するように設けられる。層厚規制ブレードは現像剤担持体表面の現像剤層の層厚を規制するとともに、現像剤担持体との当接部分において現像剤を接触帯電させる。現像槽はその内部空間に現像剤担持体と層厚規制ブレードとを収容して回転するとともに、現像剤を収容する。現像剤には、トナーのみを含む1成分現像剤と、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤とがある。1成分現像剤を用いる場合には、層厚規制ブレードは、その一端が現像剤担持体表面に当接するように設けられる。1成分現像剤を用い、現像剤担持体と層厚規制ブレードとを当接させる形式の現像装置は、一般に、非磁性1成分現像装置と呼ばれる。
非磁性1成分現像装置においては、感光体と現像剤担持体とが当接するように配置し、感光体表面の静電潜像に現像剤担持体表面の現像剤層を接触させることによって、静電潜像にトナーを供給し、トナー像を形成する。非磁性1成分現像装置の解決すべき課題の1つとして、現像剤担持体と層厚規制ブレードとの当接部にトナー凝集物、それ以外の異物などが挟まって残留することが挙げられる。トナー凝集物は、回転駆動する現像剤担持体と層厚規制部材との摩擦熱によって溶融し、層厚規制ブレードの表面に融着・固化して堆積し易い。また、トナー凝集物以外の異物とは感光体表面から移行する紙粉などであり、トナーを凝集させる核になることが多い。層厚規制ブレードに堆積するトナー固化物は、現像剤層表面に溝を作る。溝の部分では、静電潜像に現像剤が接触しないかまたは現像剤の接触量が少ないので、静電潜像に現像剤が充分に供給されない。こうして形成されるトナー像を記録媒体に定着させることによって形成される画像には、筋状の空白部分である白すじと呼ばれる画像不良が発生する。溶融したトナーは感光体表面にもフィルム状に付着し、感光体の帯電性能を低下させ、感光体の耐用寿命を短縮化するおそれがある。この現象はフィルミングと呼ばれる。また、画像の画像濃度が部分的に低下し、画像濃度が不均一になる画像むらと呼ばれる場合もある。
層厚規制ブレードへのトナーの融着による白すじの発生を防止するために、従来から、様々な提案がなされている。たとえば、現像剤担持体と、層厚規制ブレードと、電圧印加手段とを含み、非現像時に現像剤担持体の回転下に、電界印加手段によって現像剤担持体と層厚規制ブレードとの間に交番電圧を印加して交番電界を発生させる現像装置が提案される(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1の現像装置によれば、非現像時に現像剤担持体を回転させながら、現像剤担持体と層厚規制ブレードとの間に交番電界を発生させることによって、現像剤と層厚規制ブレードとの間に存在するトナー凝集物を除去する。しかしながら、特許文献1の技術では、現像剤担持体と層厚規制ブレードとの間に挟まるトナー凝集物以外の異物に対しては充分な除去効果を有さず、異物はそのまま残存することが多い。この異物は前記のようにトナー凝集の核になり、ひいては層厚規制ブレードへのトナー融着の原因になる。したがって、特許文献1の技術では、白すじなどの発生を充分に防止できない。
また、現像剤担持体と、層厚規制ブレードと、層厚規制ブレードに流れる電流を測定する電流測定手段と、電圧印加手段とを含み、電流測定手段による測定結果に応じて、層厚規制ブレードに付着する現像剤を除去するために、電圧印加手段によって、層厚規制ブレードに電圧、好ましくは交番電圧を印加する現像装置が提案される(たとえば、特許文献2参照)。電圧印加手段による電圧の印加は、非現像時(非画像形成時)に行われる。特許文献2の現像装置は、特許文献1の現像装置と同様に、層厚規制ブレードに交番電圧を印加することによって、層厚規制ブレードに付着するトナーを除去しようとするものである。したがって、特許文献2の現像装置は、特許文献1の製造装置と同様の解決すべき課題を有する。
特開2003−365904号公報
特開2006−163118号公報
本発明の目的は、非磁性1成分現像装置であって、層厚規制ブレードへのトナーの融着を防止し、白すじ、画像むらなどの画像不良およびフィルミングの発生が非常に少なく、画像濃度が高くかつ均一な高画質画像を形成するのに寄与し得る現像装置を提供することである。
本発明は、
表面に静電潜像が形成される潜像担持体を含む電子写真方式の画像形成装置に装着されて、潜像担持体表面の静電潜像に非磁性1成分現像剤を供給して静電潜像を現像する現像装置において、
潜像担持体に当接しかつ軸線回りに回転駆動可能に設けられて、表面に現像剤層を担持して潜像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体と、
現像剤担持体表面に圧接するように設けられて、現像剤担持体表面の現像剤層の層厚を規制する第1層厚規制ブレードと第1層厚規制ブレードを支持するブレード支持部材とを備える層厚規制部材と、
軸線回りに回転駆動可能に設けられて、現像剤担持体に現像剤を供給する供給部材と、
第1層厚規制ブレードの現像剤担持体表面に対する圧接力を調整する圧接力調整手段と、
現像時よりも非現像時に現像剤層の層厚が増加するように制御するとともに、現像剤層の層厚が増加した状態で現像剤担持体が回転するように制御する制御手段であって、第1層厚規制ブレードの現像剤担持体表面に対する圧接力を低下させるように圧接力調整手段を制御することによって現像剤層の層厚を増加させる制御手段とを含むことを特徴とする現像装置である。
さらに本発明の現像装置は、
圧接力調整手段が、
第1層厚規制ブレードとブレード支持部材との両方に常時当接して回転駆動可能に設けられる偏芯カムを含むことを特徴とする。
さらに本発明の現像装置は、
層厚規制部材が、
第1層厚規制ブレードおよびブレード支持部材とともに、一端が第1層厚規制ブレードの現像剤担持体に対する圧接部よりも現像剤担持体の回転方向における下流側で現像剤担持体表面に圧接し、他端がブレード支持部材によって支持される第2層厚規制ブレードを含み、
圧接力調整手段が、
第1層厚規制ブレードと第2層厚規制ブレードとの両方に常時当接して回転駆動可能に設けられる偏芯カムを含むことを特徴とする。
さらに本発明の現像装置は、
印刷枚数を積算して検知する印刷枚数積算手段をさらに含み、
制御手段が、
印刷枚数積算手段によって検知される、直近の画像形成が終了した時点での検知結果と、この画像形成よりも1回前の画像形成が終了した時点での検知結果との差が、予め定められた基準印刷枚数以上であるときに、非現像時に現像時よりも現像剤層の層厚を増加させる現像剤層の層厚制御、および現像剤層の層厚が増加した状態で現像剤担持体を回転させる現像剤担持体の回転制御を実施するように制御し、前記差が前記基準印刷枚数未満であるときに、前記現像剤層の層厚制御および前記現像剤担持体の回転制御を実施しないように制御することを特徴とする。
さらに本発明の現像装置は、
非現像時が画像形成装置の起動時であることを特徴とする。
本発明によれば、現像剤担持体と、層厚規制部材と、供給部材と、制御手段とを含み、潜像担持体が設けられる電子写真方式の画像形成装置に装着される現像装置が提供される。現像剤担持体は、潜像担持体に当接しかつ軸線回りに回転駆動可能に設けられて、表面に現像剤層を担持して潜像担持体に現像剤を供給する。層厚規制部材は、現像剤担持体表面に圧接するように設けられて、現像剤担持体表面の現像剤層の層厚を規制する第1層厚規制ブレードと、第1層厚規制ブレードを支持するブレード支持部材とを含む。供給部材は、軸線回りに回転駆動可能に設けられて、現像剤担持体に現像剤を供給する。制御手段は、非現像時に現像時よりも現像剤層の層厚が増加するように制御するとともに、現像剤層の層厚が増加した状態で現像剤担持体が回転するように制御する。
本発明の現像装置によれば、非現像時(非画像形成時)に、現像剤担持体表面の現像剤層の層厚を現像時(画像形成時)よりも厚くして現像剤担持体を回転させる。これによって、第1層厚規制ブレードと現像剤担持体との当接部(以下「規制ニップ部」とする)に挟まるトナー凝集物、異物などに掛かる現像剤層による応力が高まる。この現像剤層の応力によって、トナー凝集物、異物などを前記当接部が除去され、トナーの溶融それに伴うトナーの層厚規制ブレードへの融着、固化および堆積が非常に少なくなる。したがって、本発明の現像装置を電子写真方式の画像形成装置に装着すれば、層厚規制ブレードへのトナーの融着が充分に防止され、視認できる程の白すじは実質的には発生しない。また、画像むらなど他の画像不良、フィルミングなどの発生もない。すなわち、本発明の現像装置を用いれば、画像濃度の高い高品位・高画質画像を安定的にかつ長期的に形成できる。
また、本発明では、第1層厚規制ブレードの現像剤担持体に対する圧接力(以下「ブレード圧接力」とする)を調整することによって、現像剤層の層厚を増加させる。すなわち、ブレード圧接力を調整する圧接力調整手段を設け、ブレード圧接力が低下するように圧接力調整手段を制御することによって、現像剤層の層厚を増加させる。ブレード圧接力を低下させると、現像剤層の層厚が増加するとともに、規制ニップ部に残留するトナー凝集物、異物などを一層確実に除去できる。したがって、白すじ、画像むらなどの画像不良、フィルミングなどの発生を一層少なくすることが可能になる。
本発明によれば、圧接力調整手段として、第1層厚規制ブレードとブレード支持部材との両方に常時当接して回転駆動可能に設けられる偏芯カムが挙げられる。偏芯カムは、たとえば、第1層厚規制ブレードとブレード支持部材との間に設けられる。偏芯カムが回転して長径部分が第1層厚規制ブレードとブレード支持部材とに当接すると、第1層厚規制ブレードとブレード支持部材との間隔が広がり、ブレード圧接力が低下する。すなわち、偏芯カムと、偏芯カムを支持する支持部材と、偏芯カムを回転駆動させる駆動手段とを含む簡易な構成を追加するだけで、現像剤層の層厚を増加させ得る。したがって、現像装置全体としての剛性および耐久性を損なうことなく、規制ニップ部に残留するトナー凝集物、異物などを現像装置の耐用期間(ライフ)全般にわたって確実に除去できる。また、現像装置が高い剛性を有するので、現像装置の画像形成装置内部での配置自由度が高まり、画像形成装置の小型化に寄与し得る。また、画像形成速度の高速化の設定にも有利である。
本発明によれば、層厚規制部材が第1層厚規制ブレードおよびブレード支持部材とともに、第2層厚規制ブレードを含み、かつ、圧接力調整手段として、第1層厚規制ブレードと第2層厚規制ブレードとの間において両方に常時当接して回転駆動する偏芯カムを設ける構成を採ることも可能である。この構成は、層厚規制部材が、第1層厚規制ブレードと、一端がブレード圧接部よりも現像剤担持体の回転方向における下流側で現像剤担持体表面に圧接し、他端がブレード支持部材によって支持される第2層厚規制ブレードとを含む場合に有効である。この構成によっても、現像剤層の層厚を容易に増加させ得る。簡易な構造であるから、現像装置としての剛性および耐久性が低下することがない。
本発明によれば、印刷枚数を積算して検知する印刷枚数積算手段を含み、制御手段が、印刷枚数積算手段によって検知される、直近の画像形成が終了した時点での検知結果と、この画像形成よりも1回前の画像形成が終了した時点での検知結果との差が、予め定められた基準印刷枚数以上であるときに、非現像時に現像時よりも現像剤層の層厚を増加させる現像剤層の層厚制御、および現像剤層の層厚が増加した状態で現像剤担持体を回転させる現像剤担持体の回転制御を実施するように制御し、前記差が前記基準印刷枚数未満であるときに、現像剤層の層厚制御および現像剤担持体の回転制御を実施しないように制御するように構成するのが好ましい。これによって、規制ニップ部に残留するトナー凝集物、異物などを効率的に除去できる。規制ニップ部に残留するトナー凝集物、紙粉などの量は、印刷枚数にほぼ比例する。したがって、印刷枚数に応じて前記制御を実施するタイミングを計ることによって、第1層厚規制ブレードなどの表面にトナーが融着し始める前に前記制御を実施できる。その結果、第1層厚規制ブレードなどへのトナーの融着がほぼ皆無になり、白すじなどの画像不良の発生を一層確実に防止できる。
本発明によれば、画像形成装置の起動時に、制御手段が現像時よりも現像剤層の層厚を増加させる制御を実施するように構成することによって、電源停止前に規制ニップ部に残留するトナー凝集物、異物などを除去できる。これによって、前記制御を実施する次のタイミングを図り易くなる。
図1は、現像装置1の構成を模式的に示す断面図である。現像装置1は、トナーのみを含む1成分現像剤を潜像担持体である感光ドラム2表面の静電潜像に供給して静電潜像を現像する非磁性1成分現像装置である。現像装置1は、現像槽5と、現像剤担持体である現像ローラ6と、供給部材である供給ローラ7と、撹拌部材8と、層厚規制部材9、モータ15と、電源16と、制御手段17とを含む。現像装置1は、図示しない電子写真方式の画像形成装置において、現像ローラ6が感光体ドラム2表面に当接するように装着される。感光体ドラム2と現像ローラ6との当接部分が現像ニップ部である。
現像槽5は内部空間を有する容器状部材であり、その内部空間に現像剤を収容する。現像剤3はトナーを含む1成分現像剤である。また、現像槽5は現像ローラ6、供給ローラ7および撹拌部材8を収容してそれぞれを回転自在に支持しかつ層厚規制部材9を支持する。また、現像槽5の感光体ドラム2を臨む側面には、開口5aが形成される。開口5aから現像ローラ6の一部が現像槽5の外方に向けて突出して感光体ドラム2と当接する。また、現像槽壁の鉛直方向上方には、図示しないトナーカートリッジおよびトナーホッパが設けられる。より詳しくは、鉛直方向上方から下方に向けて、トナーカートリッジ、トナーホッパおよび現像槽5の順番で設けられる。トナーカートリッジは内部空間にトナーを収容する円筒状容器部材であり、現像装置1が装着される図示しない画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられる。また、トナーカートリッジは、画像形成装置に設けられる図示しない駆動手段によって、軸線回りに回転駆動する。トナーカートリッジの長手方向側面には長手方向に延びる細長い開口が形成され、トナーカートリッジの回転に伴って前記細長い開口からトナーが落下してトナーホッパに供給される。トナーカートリッジの回転は、画像形成装置に設けられる図示しない制御手段により、トナーの消費状況に応じて制御される。トナーホッパは、たとえば、その鉛直方向底面に形成される開口であるトナー補給口が、現像槽5の鉛直方向上面に形成される開口であるトナー受入口と鉛直方向に連通するように設けられる。トナーホッパはトナーカートリッジから供給されるトナーを現像槽5に補給する。現像槽5は、たとえば、合成樹脂、好ましくは射出成形可能な熱可塑性樹脂によって形成される。
現像ローラ6は、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられるローラ部材である。現像ローラ6は、現像槽5の開口部2a近傍に配置されて感光体ドラム2を臨み、感光体ドラム2に対して当接するように設けられる。現像ローラ6はその表面に図示しない現像剤層を担持して回転駆動し、現像ニップ部において、感光体ドラム2表面の静電潜像にトナーを供給して現像し、トナー像を形成する。現像ローラ6には図示しないモータなどの駆動手段が接続され、該駆動手段によって回転駆動する。駆動手段は図示しない電源および制御手段17にこの順番で電気的に接続され、電源からの電圧の印加を請けて回転駆動し、その回転駆動力を現像ローラ6に伝達して現像ローラ6を回転させる。電源による駆動手段への電圧印加ひいては現像ローラ6の回転駆動は、制御手段17によって制御される。なお、現像ローラ6から感光体ドラム2の静電潜像にトナーを供給する際には、現像ローラ6に接続される図示しない電源から現像ローラ6に現像バイアス電圧が印加される。
供給ローラ7は、現像ローラ6を介して感光体ドラム2に対向するように設けられるローラ部材である。供給ローラ7は、現像ローラ6に対しては僅かな間隙を有して離隔するように設けられる。また、供給ローラ7は、駆動手段であるモータ15によって軸線回りに回転駆動可能に設けられる。供給ローラ7は、その回転駆動によって、現像槽5の内部空間に収容される現像剤3を帯電させるとともに、現像剤3を現像ローラ6周辺に搬送する。また、供給ローラ7の回転速度を制御することによって、現像ローラ6表面の現像剤層の層厚を調整できる。供給ローラ7の回転速度は、制御手段17によって制御される。詳細については、後述する。撹拌部材8は、供給ローラ7を介して現像ローラ6に対向するように設けられ、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動する回転部材である。撹拌部材8は、現像槽5内に収容される現像剤3と、図示しないトナーホッパを介して図示しないトナーカートリッジから現像槽5内に新たに供給される現像剤3とを均一に混合し、供給ローラ7の周辺に搬送する。
層厚規制部材9は、第1層厚規制ブレード10と、支持部材11とを含む。第1層厚規制ブレード10は、現像ローラ6の軸線方向に平行に延びる板状部材であり、その短手方向の一端が支持部材11によって支持され、かつ他端が現像ローラ6表面に対して当接するように設けられる。なお、第1層厚規制ブレード10は、短手方向の一端が、支持部材11に対して角度を有して当接しかつその当接部分において支持部材11によって支持される。第1層厚規制ブレード10と支持部材11とがなす角は、現像ローラ6表面を臨み、通常鋭角である。また、第1層厚規制ブレード10の現像ローラ6表面に当接する他端の先端部は、現像ローラ6表面にほぼ接線方向に当接する他端から、現像ローラ6の半径方向外方に向けて屈曲するように設けられる。第1層厚規制ブレード10は、たとえば、弾性を有する金属、合成樹脂などによって形成される。本実施の形態では、第1層厚規制ブレード10には、薄板状のステンレス鋼を使用する。支持部材11は、第1層厚規制ブレード10の短手方向の一端を支持する板状部材であり、支持部材11自体は現像槽5によって支持される。支持部材11は、たとえば、合成樹脂、金属などの材料によって形成される。
モータ15は、供給ローラ7を軸線回りに回転駆動させる。電源16は、モータ15を駆動させるための電圧をモータ15に印加する。制御手段17は、電源16によるモータ15への電圧印加動作ひいては供給ローラ7の回転動作を制御する。また、制御手段17は、たとえば、現像装置1の現像槽5に接するようにまたはその近傍に設けられ、現像装置1における前記動作以外の全ての動作を制御し、記憶部と演算部と制御部とを含む。記憶部には、現像装置1の動作を制御するための各種情報が書き込まれる。このような情報には、たとえば、現像装置1における各部材の動作を制御するための設定値、現像装置11の内部および外部の各所に配置される図示しないセンサ(トナー濃度センサ、温湿度センサなど)からの検知結果、各部材の動作を制御するためのプログラムなどがある。記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。演算部は、記憶部に入力される各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)および各種手段のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、演算部における判定結果に応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。制御部および演算部は、たとえば、中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路である。制御手段は、記憶部、演算部および制御部とともに主電源を含む。
制御手段17は、非現像時において現像ローラ6表面に形成される現像剤層の層厚が、現像時の現像剤層の層厚よりも大きくなるように、制御を行う。具体的には、制御手段17は、現像すなわち画像形成が終了したことを検知し、画像形成終了の直後または所定の時間が経過した後に、現像剤層の層厚を増加させる制御と、層厚が増加した現像剤層を担持する現像ローラ6を回転駆動させる制御とを行う。ここで所定時間は、現像装置1の設計時に、予備実験結果などに基づいて適宜決定される、トナー凝集物および異物の除去が効率的に進む時間である。現像剤層の層厚を増加させる制御は、モータ15への電圧印加量を通常の現像動作時よりも増加させるように電源16に対して制御信号を送ることによって行われる。制御信号を受けた電源16は、モータ15に対して通常の現像動作時よりも高い電圧を印加する。電圧の印加を受けたモータ15は、供給ローラ7を通常の現像動作時よりも速い速度で回転させ、現像ローラ6表面の現像剤層の層厚が現像動作時よりも増加して厚くなる。この状態で、現像ローラ6を回転させると、第1層厚規制ブレード10と現像ローラ6表面との間隔が押し広げられる。また、規制ニップ部に存在するトナー凝集物、紙粉などの異物に対して、現像剤層による通常よりも大きな応力が掛かる。これによって、トナー凝集物および異物が規制ニップ部から除去される。その結果、トナーの第1層厚規制ブレードへの融着、固化および堆積が防止される。
なお、制御手段17による清浄化動作(現像剤層の層厚制御および現像ローラ6の回転制御)は、画像形成が終了する度に実施してもよいが、たとえば、印刷枚数積算手段による検知結果に応じて実施しても良い。印刷枚数積算手段は、現像装置1が装着される画像形成装置におけるその時点での画像印刷の総枚数を積算して検知する手段である。印刷枚数積算手段には、たとえば、カウンタを使用できる。カウンタは制御手段17内に設けられる。印刷枚数積算手段による検知結果は、制御手段17の記憶部に書き込まれる。この検知結果は、直近の画像形成が終了した時点での検知結果(以下「今回の検知結果」とする)と、それよりも1回前の画像形成が終了した時点での検知結果(以下「前回の検知結果」とする)である。また、記憶部には、層厚制御を行う目安となる印刷枚数(以下「基準印刷枚数」とする)が書き込まれる。演算部は、前回の検知結果と今回の検知結果とを記憶部から取り出してその差を求め、さらに記憶部から基準印刷枚数を取り出す。さらに、前記の差と基準印刷枚数とを比較し、前記の差≧基準印刷枚数である場合は現像剤層の層厚制御を実施し、前記の差<基準印刷枚数である場合は現像剤層の層厚制御を実施しないように構成してもよい。これによって、規制ニップ部に存在するトナー凝集物および異物が効率良く除去される。本実施の形態では、基準印刷枚数は500枚に設定される。
制御手段17は、現像装置1が装着される図示しない画像形成装置の起動時に、現像剤層の層厚制御を実施しても良い。これによって、使用開始時に規制ニップ部からトナー凝集物および異物が除去され、規制ニップ部が清浄化された状態で印刷が開始される。また、制御手段17による清浄化動作(現像剤層の層厚増加制御および現像ローラ6の回転制御)が実施される時間は特に制限されず、現像ローラ6、層厚規制部材9などの材質、現像剤3の種類、現像装置1が装着される図示しない画像形成装置のプロセス速度などの各種条件に応じて、適宜選択される。本実施の形態では10秒とする。また、制御手段17は現像装置1に専用のものを使用せずに、現像装置1が装着される図示しない画像形成装置に設けられる制御手段によって代用できる。画像形成装置に設けられる制御手段も、制御手段17と同様の構成を有する。
本実施の形態では、現像ローラ6は径16mm、長さ300mmであり、供給ローラ7は径14mm、長さ300mmである。また、現像ローラ6の現像時の回転速度は106mm/sec、供給ローラ7の現像時の回転速度は54mm/secである。現像時に現像ローラ6表面に形成される現像剤層の層厚は、単位面積当りの現像剤重量として示すと0.7〜0.8mg/cm2になる。制御手段17は、非現像時に供給ローラ7の回転速度を現像時の2倍の108mm/secに速める。現像剤層の層厚制御時間は10秒である。また、現像ローラ6に印加される電圧は現像時および非現像時とも200Vである。これによって、現像剤層の層厚は、単位面積当りの現像剤重量として示すと1.2〜1.3mg/cm2になる。現像剤層は加圧された状態にはないので、現像剤密度の上昇は現像剤層の層厚の増加を意味する。このように層厚が増加した現像剤層を担持する現像ローラを106mm/secの回転速度で回転させることによって、規制ニップ部におけるトナー凝集物および異物が除去される。
現像装置1によれば、現像槽5の内部空間に収容される現像剤3が撹拌部材8によって均一に混合されて供給ローラ7周辺に送給される。供給ローラ7はその回転によって現像剤3を帯電させるとともに、帯電した現像剤3を現像ローラ6周辺に送給する。現像ローラ6は、その表面に帯電状態にある現像剤3を担持して現像剤層を形成して回転し、層厚規制ブレード10との当接部において現像剤層の層厚を均一化される。現像ローラ6は層厚を均一化された現像剤層を担持してさらに回転し、現像ニップ部において感光体ドラム2表面の静電潜像に現像剤3を供給してトナー像を形成する。現像ローラ6はさらに回転し、その表面に現像剤3を補充する。このトナー像形成動作が繰返し実行される。それとともに、現像動作が停止している間における所定のタイミングで、制御手段17による清浄化動作(現像剤層の層厚制御および現像ローラ6の回転制御)が実行される。
現像装置1は、トナー像を形成するための感光体ドラム2を含む電子写真方式の各種画像形成装置に用いられる。ここで、感光体ドラム2は、図示しない支持部材によって回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられ、その表面に静電潜像ひいてはトナー像が形成される感光膜を有するローラ状部材である。感光体ドラム2には、たとえば、図示しない導電性基体と、導電性基体表面に形成される図示しない感光膜とを含むローラ状部材を使用できる。感光膜としては、有機感光膜、無機感光膜などが挙げられる。有機感光膜としては、電荷発生物質を含む樹脂層である電荷発生層と、電荷輸送物質を含む樹脂層である電荷輸送層との積層体、1つの樹脂層中に電荷発生物質と電荷輸送物質とを含む樹脂層などが挙げられる。無機感光膜としては、酸化亜鉛、セレン、アモルファスシリコンなどから選ばれる1種または2種以上を含む膜が挙げられる。導電性基体と感光膜との間には、下地膜を介在させてもよく、感光膜の表面には主に感光膜を保護するための表面膜(保護膜)を設けてもよい。
図2は、本発明の実施の第1形態である現像装置19の構成を模式的に示す断面図である。図3は、図2に示す現像装置19の要部の構成を拡大して示す断面図である。現像装置19は、現像装置1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。現像装置19は圧接力調整手段20を有し、供給ローラ7の回転速度を速めることによる現像剤層の層厚制御に代えて、圧接力調整手段20による現像剤層の層厚制御を実施する以外は、現像装置1と同様の構成を有する。
圧接力調整手段20は、層厚規制部材9の第1層厚規制ブレード10と支持部材11とがなす角内において、第1層厚規制ブレード10と支持部材11との両方に常時接触しつつ、軸線回りに回転駆動可能に設けられる。圧接力調整手段20には、たとえば、偏芯カムを使用できる。偏芯カムは、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられる。駆動手段には図示しない電源が接続され、さらに電源には図示しない制御手段17が接続される。偏芯カムの回転駆動の制御は、電源および駆動手段を介して、制御手段18によって実施される。また、偏芯カムは長径と短径とを有し、その回転駆動によって長径方向の両端部が第1層厚規制ブレード10および支持部材11に接触する位置では、第1層厚規制ブレード10と支持部材11とがなす角を押し広げる。その結果、第1層厚規制ブレード10が鉛直方向上方に押し上げられ、第1層厚規制ブレード10の現像ローラ6に対する当接圧(押圧力)が低下し、第1層厚規制ブレード10と現像ローラ6との間隙が拡がる。これによって、現像剤層の層厚が増加する。一方、偏芯カムの短径方向の両端部が第1層厚規制ブレード10および支持部材11に接触する位置では、第1層厚規制ブレード10と支持部材11とがなす角を押し拡げることはなく、第1層厚規制ブレード10の現像ローラ6に対する当接圧は低下しない。したがって、現像時には偏芯カムの短径方向の両端部が第1層厚規制ブレード10および支持部材11に接触し、非現像時には反対に偏芯カムの長径方向の両端部が第1層厚規制ブレード10および支持部材11に接触するように、偏芯カムの回転を制御手段17によって制御すれば、非現像時における現像剤層の層厚を、現像時のそれよりも増加させることができる。
本実施の形態では、現像時における第1層厚規制ブレード10の現像ローラ6にたいする当接圧を80gf/cmとすると、現像剤層の層厚は、単位面積当りの現像剤重量として示すと0.7〜0.8mg/cm2になる。これに対し、偏芯カムを所定量回転させて、前記当接圧を40gf/cmに調整すると、現像剤層の層厚1.2〜1.3mg/cm2になる。また、前記当接圧を10gf/cmに調整すると、現像剤層の層厚1.3〜1.4mg/cm2になる。このように、圧接力調整手段20である偏芯カムを第1層厚規制ブレードと支持部材11との間に挟持させ、偏芯カムを回転駆動させることによって、現像剤層の層厚を任意の値に調整できる。
現像装置19によれば、現像装置1におけるのと同様の現像動作が実行されるとともに、非現像時には、圧接力調整手段20である偏芯カムの回転を制御し、第1層厚規制ブレード10の現像ローラ6に対する当接圧を低下させることによって、現像剤層の層厚を増加させることができる。この状態で、現像ローラ6を回転させることによって、規制ニップ部におけるトナー凝集物、異物などが除去される。
図4は、本実施の第2形態である現像装置21の要部の構成を模式的に示す断面図である。現像装置21は現像装置19に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略するかまたは図示そのものを省略する。現像装置21は、層厚規制部材22が第1層厚規制ブレード10および支持部材11とともに第2層厚規制ブレード23を有し、圧接力調整手段20である偏芯カムが第1層厚規制ブレード10と、第2層厚規制ブレード23との間に設けられることを特徴とし、それ以外の構成は、現像装置19である。
層厚規制部材22は、第1層厚規制ブレード10と、第2層厚規制ブレード23と、支持部材11とを含む。第2層厚規制ブレード23は、現像ローラ6の軸線に平行に延びる薄板状部材である。第2層厚規制ブレード23は、短手方向の一端が第1層厚規制ブレード10の支持部材11に対する当接部近傍に接合され、その接合部分を起点として第1層厚規制ブレード23から徐々に離反する方向に延び、他端が現像ローラ6の回転方向において、第1層厚規制ブレード10と現像ローラ6との当接部よりも下流側で現像ローラ6表面に当接するように設けられる。なお、第2層厚規制ブレード23の一端と他端との間の部分は、現像ローラ6表面に対向するように設けられる。第2層厚規制ブレード23を前記のように配置することによって、第1層厚規制ブレード10と第2層厚規制ブレード23とが角度をなして接合され、両者によって形成される角が現像ローラ6表面を臨むように構成される。第1,第2層厚規制ブレード10,23には図示しない直流電源と交流電源とが接続され、交流電圧と直流電圧とが重畳して印加される。このとき、現像ローラ6には直流電源が接続され、直流電圧が印加される。これによって、第1層厚規制ブレード10が主に現像剤層の層厚を規制し、第2層厚規制ブレード23が主に現像剤層中の現像剤3の帯電を補助する機能を示す。
圧接力調整手段20である偏芯カムは、第1層厚規制ブレード10と第2層厚規制ブレード23とがなす角中において、両者に常時接触して回転駆動可能に設けられる。偏芯カムの回転駆動機構は、現像装置19におけるのと同様である。偏芯カムの長径方向の両端部が第1,第2層厚規制ブレード10,23に接触する場合は、第1,第2層厚規制ブレード10,23がそれぞれ偏芯カムの長径方向の外方に向けて押し広げ、それぞれの現像ローラ6表面に対する当接圧が低下する。その結果、現像ローラ6表面の現像剤層の厚みが増加する。一方、偏芯カムの短径方向の両端部が第1,第2層厚規制ブレード10,23に接触する位置では、第1,第2層厚規制ブレード10,23を偏芯カムの短径方向の外方に押し拡げることはなく、両者の現像ローラ6に対する当接圧は低下しない。したがって、現像時には偏芯カムの短径方向の両端部が第1,第2層厚規制ブレード10,23に接触し、非現像時には反対に偏芯カムの長径方向の両端部が第1,第2層厚規制ブレード10,23に接触するように、偏芯カムの回転を制御手段17によって制御すれば、非現像時における現像剤層の層厚を、現像時のそれよりも増加させることができる。
現像装置21によれば、現像装置1におけるのと同様の現像動作が実行されるとともに、非現像時には、圧接力調整手段20である偏芯カムの回転を制御し、第1,第2層厚規制ブレード10,23の現像ローラ6に対する当接圧を低下させることによって、現像剤層の層厚を増加させることができる。この状態で、現像ローラ6を回転させることによって、規制ニップ部におけるトナー凝集物、異物などが除去される。
図5は、現像装置25の構成を模式的に示す断面図である。現像装置25は現像装置1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。現像装置25は、現像ローラ6表面の現像剤層の層厚制御を供給ローラ7に対する印加電圧を調整することによって実施するために、電圧印加手段である電源26と、電圧印加手段を制御する制御手段17とを含むことを特徴とし、それ以外の構成は現像装置1と同様である。電源26は供給ローラ7に電気的に接続され、供給ローラ7に対して電圧を印加する。制御手段17は、電源26による供給ローラ7に対する電圧印加を制御する。さらに詳しくは、制御手段17は、電源26から供給ローラ7に印加される電圧を、現像時よりも非現像時に高くする制御を行う。現像時の印加電圧と非現像時の印加電圧の割合は特に制限されないが、好ましくは非現像時の印加電圧が現像時の印加電圧の1.2〜2.2倍程度になるように設定すればよい。これによって、現像ローラ6表面の現像剤層の非現像時における厚さは、現像時よりも増加する。本実施の形態では、現像時の供給ローラ7に対して絶対値で250Vの電圧を印加する。このとき、現像剤層の層厚は、単位面積当りの重量として0.7〜0.8mg/cm2である。これに対し、非現像時の供給ローラ7に対する印加電圧を絶対値で500Vに変更すると、現像剤層の層厚は、単位面積当りの重量として1.2〜1.3mg/cm2になる。この結果から、供給ローラ7に対する印加電圧を高くすることによって、現像剤層の層厚を増加させ得ることは明らかである。現像装置25によれば、現像装置1におけるのと同様の現像動作が実行されるとともに、非現像時には、電圧印加手段である電源26から供給ローラ7に印加される電圧を高くすることによって、現像剤層の層厚を増加させることができる。この状態で、現像ローラ6を回転させることによって、規制ニップ部におけるトナー凝集物、異物などが除去される。