本発明の実施例を以下に説明する。
(実施例1)
(画像形成装置の説明)
まず電子写真プロセス利用の画像形成装置断面を図1及び図23を用いて説明する。
図23は、従来の非磁性一成分DC接触現像方式によって現像を行う接触一成分現像装置(以下、単に現像装置という)を備えた画像形成装置(本画像形成装置は、電子写真方式のレーザビームプリンタ)を示す概略構成図である。
本画像形成装置は、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムという)1を備えている。感光ドラム1の周囲には、帯電ローラ2、現像装置3、転写ローラ4、クリーニングブレード5が設置されており、帯電ローラ2と現像装置3間の外側には潜像形成手段である露光装置6が配設されている。また、感光ドラム1と転写ローラ4間の転写ニップに対して転写材搬送方向の下流側には定着装置7が配設されている。
感光ドラム1は、例えば負帯電の有機感光体で、アルミニウム製のドラム基体(不図示)上に感光体層(不図示)を有しており、所定の周速で矢印方向(時計方向)に回転駆動され、その回転過程において接触する帯電ローラ2により負極性の一様な帯電を受ける。
帯電手段としての帯電ローラ2は、感光ドラム1表面に回転自在に接触し、帯電バイアス電源(不図示)から印加される帯電バイアスによって感光ドラム1を負帯電の所定電位に均一に帯電する。
現像装置3は、一成分現像剤としての非磁性のトナーで現像を行う接触一成分現像装置であり、現像容器8の開口部に感光ドラム1と対向配置された矢印方向(反時計方向)に回転自在な現像剤担持体としての現像ローラ9、現像ローラ9に回転自在に圧接する供給部材である供給ローラ10、現像ローラ9に当接する弾性を有する規制ブレード11、現像容器8内のトナーを攪拌する攪拌部材12を備えている。さらに、現像ローラには現像バイアス電源S1が、供給ローラ10には、バイアス電源S2が接続されており、現像ローラ及び供給ローラに電圧を印加することが可能となっている。規制ブレード11は、現像ローラ9と供給ローラ10との圧接部に対して現像ローラ9の回転方向下流側で現像ローラ9に当接している。
攪拌部材12で攪拌されたトナーは、現像ローラ9に圧接して回転する供給ローラ10によって現像ローラ9表面に供給される。現像ローラ9表面に供給されたトナーは、現像ローラ9の回転に伴い搬送され、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部で摩擦により電荷を付与されて、現像ローラ9表面に薄層化される。薄層化されたトナーは現像ローラ9の回転によって搬送され、感光ドラム1との当接部(現像部)にて感光ドラム1上に形成された静電潜像に付着して顕像化する。なお、現像ローラ9上の現像に寄与しなかったトナーは、供給ローラ10で剥ぎ取られる。
転写手段としての転写ローラ4は、感光ドラム1表面に所定の押圧力で接触して転写ニップを形成し、転写バイアス電源(不図示)から印加される転写バイアスにより、感光ドラム1と転写ローラ4間の転写ニップにて感光ドラム1表面のトナー像を転写材Pに転写する。
クリーニングブレード5は、転写後に感光ドラム1表面に残った転写残トナーを除去する。
露光装置6は、不図示のレーザドライバ、レーザダイオード、ポリゴンミラー14などを備えており、レーザドライバに入力される画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して変調されたレーザ光がレーザダイオードから出力され、高速回転するポリゴンミラー14で前記レーザ光を走査し、光学レンズ系15を介して感光ドラム1表面を画像露光Lすることにより、画像情報に対応した静電潜像を形成する。
定着装置7は、回転自在な定着ローラ7aと加圧ローラ7bを有しており、定着ローラ7aと加圧ローラ7b間の定着ニップにて転写材Pを挟持搬送しながら、転写材Pの表面に転写されたトナー像を加熱、加圧して熱定着する。
次に、上記画像形成装置による画像形成動作について説明する。
画像形成時には、感光ドラム1は駆動手段(不図示)により矢印方向に所定の周速で回転駆動され、帯電ローラ2により表面が一様に帯電される。そして、帯電された感光ドラム1上に潜像形成手段である露光装置6により画像露光Lが与えられて、入力される画像情報に応じた静電潜像が形成される。
そして、感光ドラム1上に形成された静電潜像に、現像部にて感光ドラム1の帯電極性(負極性)と同極性の現像バイアスが印加された現像装置3の現像ローラ9により、感光ドラム1の帯電極性(負極性)と同極性に帯電されたトナーTを付着させて、トナー像として可視化する。そして、感光ドラム1上のトナー像が感光ドラム1と転写ローラ4間の転写ニップに到達すると、このタイミングに合わせて、用紙などの転写材Pがピックアップローラ16によって一枚ずつ給紙され、レジストローラ(不図示)等によって転写ニップに搬送される。
そして、トナーと逆極性の転写バイアスが印加された転写ローラ4により、転写ニップに搬送された転写材Pに感光ドラム1上のトナー像が転写される。そして、トナー像が転写された転写材Pは定着装置7に搬送され、定着ローラ7aと加圧ローラ7b間の定着ニップにてトナー像を転写材Pに加熱、加圧して熱定着した後に排紙トレイ17上に排出され、一連の画像形成動作を終了する。
また、トナー像転写後の感光ドラム1表面に残留している転写残トナーは、クリーニングブレード5によって除去されて、廃トナー収納容器13内に回収される。
(以下現像装置の詳細説明)
次に、本実施の形態の現像装置3について図1を用いて説明する。
現像装置3は、図1に示すように、トナーTを収容した容器8の長手方向に延在する開口部に感光ドラム1と対向配置された矢印方向(反時計方向)に回転自在な直径16mmの現像ローラ9、現像ローラ9に圧接する回転自在な供給ローラ10、現像ローラ9に当接する弾性を有する規制ブレード11、トナーTを攪拌する攪拌部材12を備えている。
現像ローラ9は、感光ドラム1と当接幅を持って接触し、感光ドラムの周速(例えば94.2mm/sec)に対して早めの周速(例えば170mm/sec)で回転される。現像ローラ9の表面は、トナーTとの摺擦確率を高くし、且つトナーTの搬送を良好に行うための適度な凹凸を有しており、本実施の形態では直径16mm、長さ240mm、肉厚4mmのシリコンゴム層上にアクリル・ウレタン系の薄層がコートされて構成されている。現像ローラ9には現像バイアス電源S1が接続されており、現像バイアス電源S1から現像ローラ9に所定電位の現像電圧を印加する。
トナーを現像ローラに供給する供給ローラ(弾性のローラ)10には、バイアス電源S2から所定の電圧を印加するようになっている。
現像ローラ9は、抵抗を104〜106Ω、表面粗さを0.5〜0.9μm、硬度をアスカーC硬度で45°(加重1kg)とした。現像ローラ9の抵抗値の測定は、直径30mmのアルミローラ(不図示)と現像ローラ9を当接荷重500gFで長手方向全域に当接させ、このアルミローラを0.5rpsで回転させる。そして、現像ローラ9に−400Vの直流電圧を印加してアース側に10kΩの抵抗を配置する。そして、この抵抗の両端の電圧を測定し、測定した電圧値から電流値を算出して現像ローラ9の抵抗を算出する。
また、現像ローラ9の感光ドラム1表面との当接部(現像部)に対し現像ローラ9の回転方向下流側には、可撓性のシール部材19が設けられている。シール部材19は、未現像トナーの現像容器8内への通過を許容すると共に、現像容器8内のトナーTが現像ローラ9の感光ドラム1表面との当接部に対し現像ローラ9の回転方向下流側から漏出するのを防止する。
供給ローラ10は、規制ブレード11の現像ローラ9との当接部に対して現像ローラ9の回転方向上流側に当接され、矢印方向(反時計方向)に回転駆動される。また、供給ローラ10は、発泡骨格状スポンジ構造や、芯金上にレーヨン、ナイロン等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、現像ローラ9へのトナーTの供給及び未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましい。従来、芯金上にポリウレタンフォームを設けた直径16mmの供給ローラ10を用いた。供給ローラ10の現像ローラ9に対する接触深さとしては、0〜3mmが有効である。しかし接触深さが大きいと供給ローラと現像ローラの間での摩擦力も大きくなり、駆動源のトルクも大きくする必要がでてくるので、一般には0.5mm程度にしている。また、現像ローラ9に対してその当接部において相対速度を持たせる。即ち、現像ローラと供給ローラの対向部において、現像ローラと供給ローラの回転方向が逆になるようにする。このようにすると、供給ローラから現像ローラへのトナーの供給が効率よく行なわれる。図1の形態は、現像ローラ9との接触させ、供給ローラ10の周速として、現像動作時に80mm/secとなるように駆動手段(不図示)により所定タイミングで回転駆動する。
規制ブレード11は、現像ローラ9の供給ローラ10表面との当接部に対し現像ローラ9の回転方向上流側にて、自由端側の先端近傍が現像ローラ9の外周面に面接触にて弾性を有して当接するよう設けられている。規制ブレード11は、シリコン、ウレタン等のゴム材料や、バネ弾性を有するSUS又はリン青銅の金属薄板を基体とし、現像ローラ9への当接面側にゴム材料等を接着して構成されている。本実施の形態では、厚さ1.0mmの板状のウレタンゴムで形成された規制ブレード11を用いた。また、規制ブレード11の現像ローラ9に対する当接圧は、25〜35g/cm(線圧の測定は、摩擦係数が既知の金属薄板を3枚当接部に挿入し、その中央の一枚をばね計りで引き抜いた値から換算した)に設定した。規制ブレード11の現像ローラ9に対する当接方向としては、現像ローラ9との当接部に対して先端側が現像ローラ9の回転方向上流側に位置する、いわゆるカウンター方向になっている。
次に、本実施の形態の現像装置による動作について説明する。
現像動作時には、現像容器8内のトナーTは、攪拌部材12の矢印方向(時計方向)の回転に伴い供給ローラ10側に送られる。このトナーTは、供給ローラ10の矢印方向(反時計方向)の回転によって現像ローラ9近傍に搬送される。そして、現像ローラ9と供給ローラ10との当接部において、供給ローラ10上に担持されているトナーTは、現像ローラ9上に付着する。この時、トナーTは現像ローラ9と摺擦されることによって摩擦帯電を受ける。
そして、現像ローラ9の矢印方向(反時計方向)の回転に伴い、トナーTが弾性ブレード11の圧接下に送られ、現像ローラ9上に薄層形成される。本実施の形態では、トナーTの良好な帯電電荷量として−60〜−20μC/g、良好なトナーコート量として0.4〜1.0mg/cm2、トナー層厚が10〜20μmとなるように設定している。
画像形成時の現像ローラと供給ローラに印加される電圧の電位コントラスト(Vb1−Va1)は、従来の非磁性1成分の現像方式においては、供給ローラと現像ローラの間の電界Vb1−Va1がトナーの極性と逆極性になるようすることで、トナーを効率よく、搬送していた。例えば、従来の設定は、供給ローラと現像ローラの進入量が0.5mmの場合、電位コントラストは(Vb1−Va1)は約+100Vに設定していた。
本実施例では、画像形成時に現像ローラと供給ローラに印加される電圧の電位コントラスト(Vb1−Va1)をトナーの正規帯電極性と同極性であるマイナスになるように設定した。ここで、画像形成時とは、現像ローラから感光ドラムに対してトナーが現像されている時を指す。
供給ローラ9と現像ローラ10の侵入量は、従来よりも進入量の大きい1.5mmと従来どおりの0.5mmの2種類で検討した。
本発明の効果を説明するために、現像ローラ電位Vb1は−400V一定で、供給ローラ電位Va1を可変にし電位コントラストの設定を変化させ画像濃度と現像履歴の評価を行った。例えば、供給ローラ電位Va1=−600Vのときの電位コントラスト(Vb1−Va1)は、−400−(―600)=+200である。供給ローラ電位Va1=−200Vのときの電位コントラスト(Vb1−Va1)は、−400−(−200)=−200となる。
実施例1と実施例1’、比較例1と比較例1’の設定は以下のとおりである。
実施例1の電位設定は、現像ローラ電位Vb1=−400V、供給ローラ電位Va1=−0Vで、(Vb1−Va1)=−400Vとした。
比較例1の電位設定は、現像ローラ電位Vb1=−400V、供給ローラ電位Va1=−500Vで、電位コントラスト(Vb1−Va1)=100Vとした。
実施例1と実施例1’の異なる点は、現像ローラに対する供給ローラの侵入量であり、実施例1では進入量が1.5mm、実施例1’では0.5mmとなっている。その他の条件については、実施例1と実施例1’は同じ条件である。比較例1は電位コントラストをトナーの正規帯電極性と逆極性であるプラスになるように設定し、その他の構成については実施例1と同じにしている。比較例1’は電位コントラストをトナーの正規帯電極性と逆極性であるプラスになるように設定し、その他の構成については実施例1’と同じにしている。即ち比較例1’が従来同様な電位コントラスト、現像ローラと供給ローラの侵入量の条件となっている。
以下に本実施例の効果を、実施例1、実施例1’、比較例1及び比較例1’を用いながら説明する。実験結果を図2に示す。
なお、画像濃度の評価は、Macbeth社製のSERIES1200測定機を用いた。ベタ画像形成時に反射濃度が1.3以上のものを許容画像、1.5以上のものを良好画像と判断した。
現像履歴の評価は、図3aの様な画像を用いて行った。図3bのようにベタ後のハーフトーン部が濃くなる現象をポジゴースト、図3cのようにベタ後のハーフトーン部が薄くなる現象をネガゴーストと称する。現像履歴の評価は図3aのようにゴーストがないものを良好な〇レベル、微かに発生するものを△レベル、はっきりと発生しているものを×レベルとして、実験者らが官能評価した。図2は本実験の結果であり、現像ローラVb1と供給ローラVa1の電位コントラストと画像濃度の関係を示す。また、図2のグラフ中のプロットした記号〇・△・×はゴーストのレベルを示している。
なお、ポジゴーストは、現像ローラ長手でトナー帯電量が低い部分の現像量が多いために、ハーフトーン画像が濃くなる現象である。
一方ネガゴーストは、現像ローラ長手でトナー帯電量が高い部分の現像量が少ないために、ハーフトーン画像が薄くなる現象である。
先に実施例について検討する。図2より、本発明による実施例1及び実施例1’共に、ハーフトーン画像におけるゴーストの発生が抑えられた。特に電位コントラストが−1000V〜−400Vの設定では良好なレベルとなった。現像履歴がないのは、現像ローラ電位Vb1−供給ローラ電位Va1のコントラストをトナーの極性と同じ(即ち−側)にすることが効いている。トナーと同極性の電位をとることで、現像に使われなかったトナーを静電的に供給ローラ側に引き戻すことができるからである。
本実施例1の設定ではさらにベタ濃度が良好であることが解る。供給ローラから現像ローラにトナー供給するのに、電界の作用はない。しかし、供給ローラの現像ローラに対する進入量を増やすことで、供給ローラに取り込まれるトナー量をふやすことができ、これにより良好なベタ濃度を得ることができたためである。供給ローラの現像ローラに対する侵入量は1.5mm以上あれば良好なベタ濃度を得ることができた。
また、供給ローラがトナーの回収と供給を兼用することができるため、トナー回収用の新たな部材が必要でなく、コストを安くすることができる。
次に、比較例について検討する。図2より比較例1及び比較例1’の設定は、画像濃度において良好であることがわかる。しかしながら、現像履歴(ネガメモリー)のレベルが×レベルであって、画像形成には適した設定ではない。比較例のように、従来は、現像時に黒ベタ印字時の画像濃度追従性を保つため、充分且つ、安定したトナー供給を行うために電位コントラスト(Vb1−Va1)をトナーの正規極性と逆極性(即ち+側)にし、供給ローラから現像ローラへトナーが供給されるような供給バイアスを形成している。そのため、現像ローラ上の残留トナーを供給ローラで機械的に除去する除電部材の効果が得られにくくなる。つまり、現像領域通過後の現像ローラ上の残留トナーは、供給ローラに供給バイアスを印加することによって供給ローラと現像ローラの離接近傍もしくは接触領域において、供給ローラが機械的な力によって除去する残留トナーが、現像ローラと供給ローラ間に形成されるトナー供給方向の電界によって、再度現像ローラ表面に付着してしまう。そして、現像ローラ上に残ったトナーは更に、摩擦帯電され帯電量が上がってしまう。この結果、現像ローラ上の残留トナーと新しく供給されたトナーとの間に帯電量差または、単位面積当たりの付着量差が異なる可能性が生じ、その結果、出力画像に濃度ムラ(現像履歴)として現れてしまう。よって、画像濃度に関しては問題ないレベルであっても、ゴーストの発生が起こってしまう。
なお、画像形成時に電位コントラスト(Vb1−Va1)がトナーの正規極性と同極性となるようにVb1、Va1が印加される時間は、画像形成時のすべてにおいてでなくてもよい。現像履歴が発生しない程度に画像形成時のすくなくとも一部の時間にもうける場合でもよい。このようにすることで、トナーの搬送性に与える影響を抑えながら、かつ現像履歴の発生しない画像形成を行なうことができる。
(実施例2)
次に本発明の第2の実施例を以下に説明する。
画像形成装置や現像装置の概略は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
本実施例2は、図4に示したように現像ローラと供給ローラを非接触にしたものである。現像ローラと供給ローラの隙間gは0.5mmに設定している。
このように、現像ローラと供給ローラを非接触とすることで、トナーは、現像ローラと供給ローラの間で擦擦されないので、トナーの摩擦による帯電が少なくなり帯電量は総じて低くなる。
本実施例2における、現像ローラ上のトナー帯電量を測定したところ、約−20μc/gで、一方比較例1’におけるトナー帯電量は、約−40μc/gであった。
実施例1と実施例2における、現像コントラスト(ドラム電位と現像電位の差)とドラム上に現像されたトナー量の関係を図5に示す。
トナーの帯電量が低い実施例2の方が、低い現像コントラストでも、現像しやすいことがわかる。つまり実施例2の構成は、ベタ画像の濃度を安定させるに適した構成である。また、従来の供給ローラが現像ローラと接触した系では、供給ローラ表面の凹凸が現像ローラとこすれる際の物理的力によって、現像ローラ上のトナーを剥ぎ取っていた。しかし、供給ローラの凹部に一旦トナーが詰まってしまうと、このトナーを剥ぎ取る力が劣化してしまう。すると、剥ぎ取られずに現像ローラ上に残ったトナーは、低印字率で繰り返しプリントが行われた際には、現像ローラと接する供給ローラ・現像ブレード・感光ドラムと繰り返し擦擦されトナー劣化してしまう。トナーの劣化とは、過度な摩擦が繰り返されることによってトナーの外添が剥離したり、トナーが粉砕されてしまったりする現象である。このようになると、非画像部にも、トナーが薄っすらと現像されてしまう現象(所謂カブリ)が発生してしまう。以下に本実施例2と比較例1’の構成において、低印字率で連続プリントしたときの紙上のカブリとベタ画像濃度を図6に経時的に示す。なお各々の例の電位設定は、以下のようになっている。
実施例2の電位設定は、実施例1と同様な設定で、供給ローラ電位Va1=0V 現像ローラ電位Vb1=−400Vで電位コントラスト(Vb1−Va1)は−400V
比較例1’の電位設定は、供給ローラ電位Va1=−500V 現像ローラ電位Vb1=−400Vで電位コントラスト(Vb1−Va1)は+100Vである。
本評価は、実施例1と同様な画像形成装置において、A4サイズの普通紙(坪量64g/m^2)のものを用い、印字率2%のテキスト画像で通紙耐久を行いながら、定期的に白ベタ画像を採取し、そのときのカブリを測定した。カブリは、未印字の紙と、白ベタ印字した紙の反射率の差を測定したものである。
反射率の測定は、東京電色(株)製のDENSITOMETER TC−6DSを用いた。紙上のカブリは、1.0(%)以下であれば、ほとんど目視でわからないレベルであり問題ない。図6から本実施例2は、耐久を通じてカブリおよびベタ濃度ともに良好であることがわかる。
以上のように、本実施2においては、装置にとって苛酷な低印字率の画像を多数印字しても、カブリが発生しないようにすることができた。
(実施例3)
次に第3の発明の効果を実施例3を用いて説明する。
実施例3の形態を図7に示す。
供給ローラ、現像ローラの各々バイアス値Va1、Vb1は、実施例2と同様で、Va1=0V、Vb1=−400Vで、Vb1−Va1=―400である。
本実施例3は、供給ローラと現像容器の壁が略接し、供給ローラの周りを流れるトナーの遮断していることを特徴としている。
これにより、供給ローラから現像ローラにトナーをより安定して供給することができる。
図8は図7の現像部の略拡大図である。
図8に示すように、前の現像時に使用されず現像ローラに残ったトナーは、矢印aとbの方向に流れる。このうち矢印a方向のトナーは、供給ローラが現像容器と近接しているため、行き場がなくなってしまう。そのため、ほとんどのトナーはb方向に向かって流れるようになり現像ローラへトナーを供給する流れを作る。また、現像ローラと供給ローラの回転方向が、それぞれの対向部において逆方方向になっているとb方向に流れたトナーは現像ローラ回転に沿って現像部へさらに供給され易くなることになる。つまり、現像ローラから供給ローラ側に移動したトナーは、現像ローラ回転方向下流側の現像ローラと供給ローラの対向部(所謂現像材供給部)に向かう(図8の矢印b)。また供給ローラの回転によって、現像容器側からトナーが搬送される(図8の矢印c)。供給ローラの周囲を回るトナーの流れを遮断する構成をとることで、トナーを現像剤供給部に必然的に流れる構成にする。このようにすると、所謂現像剤供給部の紛圧を増大させることができるため、現像ローラにトナーを安定して搬送でき、装置にとって苛酷な条件で印字しても、良好なベタ画像を得ることができるわけである。
以下に本実施例3を用いて、第3の発明の効果を説明する。また比較として、前述した実施例2および、比較例2で同様の実験を行なった。実験の条件は以下の通りである。
供給ローラと現像容器の壁との間の隙間の条件は、実施例3では、供給ローラと現像容器の壁が略接しているため供給ローラと現像容器との隙間をほぼ無くなっている。実施例2及び比較例2は、供給ローラと現像容器との隙間が2.0mmと大きくなっている。
次に、供給ローラと現像ローラの隙間の条件は、実施例2及び実施例3は供給ローラと現像ローラの隙間が0.5mmと狭いのに対し、比較例2は供給ローラと現像ローラの隙間が2.0mmと広くなっている。
図9は、本実施例3、比較として前述した実施例2、および比較例2において、現像装置のトナー量と、23℃50%RHの常温常湿環境(以下NN環境)と30℃80%RH環境の高温多湿環境(以下HH環境)でベタ濃度の推移実験を行なった結果である。
トナーを消費させるために5%のテキスト画像を用いて耐久を行い、現像装置のトナー量を測定しながらベタ画像をサンプリングした。
ベタ画像をサンプリングするときは、環境で24時間放置してから行った。
本実験においては、初期にトナーを200g充填した。
図9にみるように、本実施例2では、トナーが少なくなった耐久後半においても、良好なベタ濃度を得ることができた。一方、比較例2おいては、耐久初期から、ベタ濃度が低下している。
これは、供給ローラと現像ローラの隙間が2.0mmと広いために、現像剤供給部に紛圧がかからないためである。
また、本実施例2においても、HH環境の耐久後半において、ベタ濃度が低下してる。これは、HH環境で、24時間放置されたことで、トナーが吸湿して流動性が悪くなったからである。
耐久の後半になってこの現象が発生しやすいのは、トナー量が少なくなって、現像剤供給部の紛圧が減ること、耐久によりトナーの外添剤が剥離して全体的に流動性が低下することが重なって発生している。
本実施例3では、装置にとって苛酷な条件であるHH環境で、トナーが少なくなるまで、プリントを繰り返しても、良好なベタ画像濃度をえる事ができる。これは、供給ローラが現像容器と略接しているため、ほとんどのトナーはb方向に向かって流れるようになり、所謂現像剤供給部の紛圧を増大させることができるためである。なお、供給ローラと現像ローラとの隙間が0.5mm以下であるときに、特に耐久を通して良好な画像濃度を得ることができるためと考えられる。
(実施例4および実施例5)
次に第4および第5の発明の効果について、図10、11、12の実施例を用いて説明する。
本実施例4は供給ローラの周囲を回るトナーの流れを遮断する構成をとることで、トナーを強制的に現像剤供給部に流れるようにし、所謂現像剤供給部の粉圧を増大させるために、供給ローラと現像容器の隙間を塞ぐ弾性部材を設けたことを特徴としている。
図10は、本実施例4で、隙間を防ぐ弾性部材は、供給ローラに当接しているポリエステル材質のシート20厚さ(t=0.1mm)である。
粉圧がかかる理由は前述した実施例3の理由と同様で、現像剤供給部近傍のトナー循環は、図11のようである。
また本実施例4の変形例として、実施例5は、図12でしめしたように、シート状部材の代わりに、スポンジ状のモルトプレーン21を当接している。
本実施例4および実施例5によれば、供給ローラと現像容器の隙間を確実に防ぐことができる。現像剤供給部の紛圧を増大させることができる。そのため良好なベタ画像濃度をえることができる。
前述した実施例3においては、供給ローラが現像容器に略接触することで、供給ローラと現像容器の隙間を塞いでいた。そのため、供給ローラには、高い部品精度が必要であった。また現像容器が撓むことのないように設計する必要があった。そうしないと、供給ローラと現像容器が干渉してしまったり、供給ローラと現像容器の隙間が空いてしまうからである。
本実施例4によれば、確実に供給ローラと現像容器の隙間を塞ぐことができ、現像剤供給部に紛圧を加圧することができ、良好なベタ画像を得ることができた。
また、可撓性のシート部材やモルトプレーン等の弾性部材が供給ローラと当接することで、供給ローラ表面のトナーを掻き落とす効果もあり、供給ローラ表面のトナーを常にフレッシュすることができ、供給ローラ表面のフィルミングを防ぐことができる。
ほかにも、例えば供給ローラが弾性スポンジローラであった場合、スポンジのセル内にトナー詰まってトナーの搬送力低下する問題を防ぐ効果もある。
(実施例6)
次に第6の発明をについて説明する。
本発明は供給ローラがソリッド状の回転体であることを特徴としたものである。現像装置の構成は、前述した本実施例4の図10とほぼ同様で、違いは、供給ローラがアルミ材質のソリッド状で、表面が滑らかなものを用いた点にある。供給ローラがスポンジ形状の場合、トナーがセルに詰まってしまい搬送力が経時的に変化するような問題があった。一方、本実施例6によれば、供給ローラは、ソリッド形状でありトナーの搬送力は耐久を通じて安定している。従来のスポンジ状供給ローラは、そのスポンジのセル部分によってトナーを捕獲し搬送する役目と、現像ローラに接触して現像ローラ上のトナーを剥ぎ取る役目があった。そのためには、供給ローラはスポンジ状である方が好適であった。しかし本発明構成は、現像剤供給部に紛圧をかけることで、現像ローラにトナーを搬送するため、供給ローラ表面が凹凸でなくてもトナーを搬送することが可能になった。さらに、現像ローラ上のトナー剥ぎ取りは、現像ローラと供給ローラの電位コントラストで行っているので、供給ローラを物理的に、現像ローラに強く接触させる必要がない。そのため、供給ローラには、凹凸のあるスポンジでなくソリッド形状のローラを使用することができるわけである。特に、現像ローラと供給ローラに均一な電位を形成するには、現像ローラと供給ローラ各々の表面の距離が均一の方がよく、それには、ソリッド形状が適している。またスポンジタイプは供給ローラ表面の凹凸の具合が、経時的に変化してしまう。スポンジタイプの供給ローラを用いた現像装置は、使用初期は、さほどスポンジのセルにトナーが入り込まないが、経時的にセルの中に埋まってしまう。そうするとトナー搬送量が減ってしまうわけである。
他のソリッド状の供給ローラ例として、導電性の金属の表面に、反導電性のゴム材質をコーティングしたものがあげられる。このように、反導電性にすることで、供給ローラにバイアス印加して、現像ローラとの電位差が大きくなった場合に、現像ローラに電流リークし、現像ローラが損傷するのを防ぐことができる。
(実施例7)
実施例7は、非画像形成時における現像ローラと供給ローラのバイアスの印加方法を規定している。
実施例2のように、供給ローラが非接触で、静電的な力によって現像ローラ上のトナーを剥ぎ取る構成においては、正規の極性のトナー(ここでは負(−)極性のトナー)を回収することはできる。
しかしながら、逆極性に帯電してしまったトナー(ここでは正(+)極性のトナー)が現像ローラ上にあった場合には、このトナーを静電的に回収することが困難である。また、正規極性のトナーであっても、強い正規極性のトナー(ここでは強い負(−)極性のトナー)がある場合は、トナーが強い鏡映力によって現像ローラ上に付着しているため、電界でトナーを回収することが困難になってしまう。このように、現像ローラ上に逆極性のトナーや、強い正規の極性のトナーは、供給ローラ側に回収されにくく、現像ローラ上のトナーは消費されない状態が多い場合(例えば、装置の電源をONしたときのイニシャライズ動作や低印字率の画像を繰り返えした時など)、現像ローラ上にトナーは次第に溜まってしまい不均一なトナー層が形成されてしまう場合がある。
このような状態で比較的印字率の高いハーフトーン画像を印字してしまった場合に、図22のようなマダラ画像が発生してしまう。
また、現像ローラ上に逆極性のトナーがあった場合に、非画像部に薄くトナーが現像されてしまう現像である反転カブリともいう現象も発生する。
実施例7は上記した逆極性のトナーによるマダラ画像やカブリを防ぐために、非画像形成時における現像ローラと供給ローラのバイアスの印加方法を規定している。実施例7の構成は図13に示すような構成になっており実施例2と同じである。
以下に実施例7におけるバイアスの印加方法について図14を用いて説明する。
先ず、感光ドラム1の回転と帯電装置2による帯電を行うと同時に、かぶりを防止するために現像ローラに+400Vの逆バイアスをt0のタイミングで印加する。
このときt0時間=(帯電ローラ〜現像ローラ間のドラム上距離/プロセス速度)である。
次いで、現像ローラバイアスVb−400V、供給ローラに+トナーの回収バイアスVa−1500V、電位コントラスト(Vb−Va)+1100Vをt1のタイミングで印加する。
そして、画像形成タイミングで、供給ローラバイアスVaを0Vに印加する。
このようにすることで、画像形成時の電位コントラスト(Vb1−Va1)は−400Vとなるため、実施例2と同じように現像履歴がなく、画像濃度の良好な画像を形成でき、非画像形成時は電位コントラスト(Vb2−Va2)は+1100Vとなるため、非画像形成時に現像ローラ上に+帯電のトナーがあった場合でも、t1のタイミングで供給ローラ側に回収することができる。そのため、マダラ画像の発生や画像の白地部が薄っすらとトナーで汚れる(所謂カブリ)現象を防ぐことができる。ここで非画像形成時とは画像形成時以外の時をさす。t1時間は現像ローラ外周が1周以上移動する時間にすると良い。1周以上移動する時間にすることにより、現像ローラの全周に渡って+帯電のトナーを供給ローラに回収することができる。
以下図15に本実施例7と比較例3において、かぶりの評価を行った結果を示す。
なお比較例3は、図14に示したバイアス制御のうちバイアスのt1部分がないものであって、それ以外の点では実施例7と同じである。即ち、比較例3は実施例7と違い現像ローラ側から供給ローラ側に引き戻すバイアスはない条件である。
強い+帯電のトナーは、現像装置が低印字率で耐久したときに、現像ローラ上で、トナーが現像ブレードや感光ドラムと擦擦して発生しやすくなる。そこで、本評価は、2%の低印字率画像で耐久してカブリの評価を行った。カブリは、ベタ白画像を用いた。なお本現像装置の初期トナー充填量は100gで、現像装置の寿命は、5%画像データで5K枚に設定している。
カブリの評価は、A4サイズの普通紙(坪量64g/m^2)のものを用い、印字率2%のテキスト画像で通紙耐久を行いながら、定期的に白ベタ画像を採取し、そのときのカブリを測定した。カブリは、未印字の紙と、白ベタ印字した紙の反射率の差を測定したものである。
反射率の測定は、東京電色(株)製のDENSITOMETER TC−6DSを用いた。紙上のカブリは、1.0(%)以下であれば、ほとんど目視でわからないレベルであり問題ない。3.0(%)以上になると目視でもはっきりわかり、問題となってしまう。図15における記号は、〇は1.0(%)以下のカブリ、△は1.0〜3.0(%)のカブリ、×は(3%)以上のカブリを示している。
図15から本実施例7は、耐久を通じてカブリが良好であることがわかる。
以上のように、本実施7においては、装置にとって苛酷な低印字率の画像を多数印字しても、カブリが発生しないようにすることができた。
比較例3においては、現像ローラ上に+極性トナーが多くあったために、感光ドラム側に静電気力で移動してしまいカブリが発生していた。
一方本実施例7は、現像ローラ上に+極性のトナーがあった状態でも、画像形成の直前に供給ローラ側に回収することができたため、画像上のカブリを抑えることができた。
図16は、本実施例7と比較例3における画像形成時の現像ローラ1周分(画像先端にあたる)が現像動作に入ったときの粒径の小さい5μmのトナーの帯電量分布を測定した図である。粒径の小さいトナーは、摩擦によって外添が剥離して帯電能が劣化しやすいためカブリの発生に影響が大きい。なお本現像装置におけるトナーの平均粒径は7μmである。
図16に示すように、実施例7に比べ比較例3では、耐久で+トナーが多くなっていることがわかる。
このように+トナーが現像ローラ上に多いために、カブリが発生してしまう。一方本実施例7によれば、耐久を通じてもさほど+トナーが増えていないことがわかる。そのためカブリも発生しないわけである。
このように、非画像形成時に電位コントラスト(Vb2−Va2)がトナーの極性と逆極性になる時間を少なくとももうけることにより耐久を通じてカブリが発生しないようにできた。
(実施例8)
本実施例8は、実施例7で説明した強正規極性(本実施例では、強−トナー)による問題点を解決するためのものである。実施例8では、現像剤を表面に担持して搬送する現像剤担持体と、該現像担持体に現像剤を供給する供給部材を備え、画像形成時の前記現像担持体と供給部材の各々のバイアスをVb1、Va1として、非画像形成時の前記現像担持体と供給部材の各々のバイアスをVb2、Va2としたときに、Vb2−Va2がトナーの極性と同極性であるマイナス極性かつ、|Vb1−Va1|<|Vb2−Va2|の関係になるように構成したものである。
これにより現像ローラ上の強い正規極性トナーを供給部材側に戻すことができる。
本実施例における供給ローラと現像ローラのバイアスの関係を図17に示す。
画像形成装置や現像装置は実施例7と同様であるので省略する。
先ず、感光ドラム1の回転と帯電装置2による帯電を行うと同時に、かぶりを防止するために現像ローラに+400Vの逆バイアスをt0のタイミングで印加する。
このときt0時間=(帯電ローラ〜現像ローラ間のドラム上距離/プロセス速度)である。
次いで、現像ローラバイアスVb2を−400V、供給ローラに回収バイアスVa2を+400Vをt1のタイミングで印加する。
t1時間は現像ローラ外周が1周移動する時間以上である。
そして、画像形成のタイミングで、供給ローラバイアスを0Vに印加する。
このようにすることで、画像形成時の電位コントラスト(Vb1−Va1)は−400Vとなるため、実施例2と同じように現像履歴がなく、画像濃度の良好な画像を形成できる。非画像形成時の電位コントラスト(Vb2−Va2)は−800Vとなるため、非画像形成時に現像ローラ上に強−帯電のトナーがあった場合でも、t1のタイミングで供給ローラ側に回収することができる。そのため、ハーフトーン画像で、マダラ抜けのような画像がでることを防ぐことができる。t1時間は現像ローラ外周が1周以上移動する時間とするとよい。1周以上移動する時間にすることにより、現像ローラの全周に渡って強−帯電のトナーを供給ローラに回収することができる。
非画像形成時にこのようなバイアスの設定をするのは、画像形成時の電位コントラストは現像ローラへのトナーの供給性を加味し必要以上に大きくすることができないが、非画像形成時においては供給性について考慮する必要がないため電位コントラストを大きくし強−帯電のトナーを回収できるような電位設定をすることができるためである。
以下図18に、本実施例8と比較例3において、耐久を行って、ハーフトーン画像におけるマダラ抜けの画像評価を行った結果を示す。図18のように、本実施例8によれば、比較例3のようなマダラ画像が発生することはなかった。
耐久は前述した実施例7の場合と同様の条件でおこなった。評価したハーフトーン画像としては、600dpi画像で、2ドット分の横線と3ドット分のスペースを繰り返すハーフトーンのパターンを用いた。
図18中のまだら画像の評価は、まったくマダラ画像の現象が発生していないものを○、若干発生しているものを△、はっきりと発生しているものを×として,官能評価した基準を以下にしめす。
なお比較例3のバイアス制御は、実施例7の説明のところでした通りバイアス制御のうちt1部分がないものである。
即ち、比較例3のバイアスは、本実施例8と違い、現像ローラ側から供給ローラ側に−帯電トナーを強く引き戻すバイアスはない。
強い−帯電のトナーは、現像装置が低印字率で耐久したときに、現像ローラ上で、トナーが現像ブレードや感光ドラムと擦擦されて、摩擦帯電を繰り返して発生しやすくなる。
図19に、本実施例2と比較例1における画像形成時の現像ローラ1周分(画像先端にあたる)が現像動作に入ったときの平均粒径7μmトナーの帯電量分布を測定した図である。小粒径トナーほど帯電性の劣化がないため7μmのトナーは現像ブレードや感光ドラムとの摺擦により強−帯電トナーになりやすく、マダラ画像の発生に影響が高い。図にしめしたように比較例では、耐久によって強い−側のトナーが増えていることが解る。一方本実施例8ではさほど強い−トナーは増えていない。強い−トナーが現像ローラ上にあると、このトナーは、強い鏡映力によって現像ローラ上に強く付着される。そのため、このトナーを供給ローラ側に回収するには、より強い電界が必要になるわけである。また、強い−トナーが現像ローラ上に増えると、現像ローラ上のトナー層が不均一になって、ブツブツの状態のトナー層になってしまう。そしてハーフトーン画像プリントした場合に、図22のようなマダラ画像が発生してしまうわけである。
本実施例のように、非画像形成時に電位コントラスト(Vb2−Va2)が|Vb1−Va1|<|Vb2−Va2|の関係になる時間を少なくとももうけることにより耐久を通じてマダラ画像が発生しないようにすることができた。
(実施例9)
本実施例9は、非画像形成時のバイアス電圧の設定方法として、画像形成時に現像ローラに印加されるバイアスをVb2、供給ローラに印加されるバイアスをVa2とし、非画像形成時に現像ローラに印加されるバイアスをVb2、供給ローラに印加されるバイアスをVa2としたときに、
Vb2−Va2が現像剤の正規帯電極性と逆極性になるようにVb2とVa2を設定する時間t1と、Vb2−Va2が現像剤の正規帯電極性と同極性でかつ、|Vb1−Va1|<|Vb2−Va2|となるようにVb2とVa2を設定する時間t2を設けている。
これにより現像ローラ上の逆極性トナーと強い正極性トナーを供給部材側に、効率よく回収するようにことができる。
そのときの供給ローラと現像ローラのバイアスの関係を図20に示す。
画像形成装置や現像装置は実施例7と同様であるので省略する。
先ず、感光ドラム1の回転と帯電装置2による帯電を行うと同時に、かぶりを防止するために現像ローラに+400Vの逆バイアスをt0のタイミングで印加する。
このときt0時間=(帯電ローラ〜現像ローラ間のドラム上距離/プロセス速度)である。
次いで、現像ローラバイアス−400V、供給ローラに逆極性(+)トナーの回収バイアス−1500Vをt2のタイミングで印加する。
t2時間は現像ローラ外周が1周移動する時間以上である。
そして次に、供給ローラに強い正極性(−)トナーの回収バイアス+400Vをt1のタイミングで印加する。
t1及びt2時間は現像ローラ外周が1周移動する時間以上である。
なお本実施例では、t1とt2のタイミングを1セットとして、画像形成前に1セット実行しているが、より効果が得るために、複数セット実行してもよい。
そしてつぎに、画像形成タイミングで、供給ローラバイアスを0Vに印加する。
次いで、現像ローラバイアスVb2を−400V、供給ローラに回収バイアスVa2を+400Vをt1のタイミングで印加する。
そして、画像形成のタイミングで、供給ローラバイアスを0Vに印加する。
このようにすることで、画像形成時の電位コントラスト(Vb1−Va1)は−400Vとなるため、実施例2と同じように現像履歴がなく、画像濃度の良好な画像を形成できる。非画像形成時は電位コントラスト(Vb2−Va2)が+1100Vとなる時間t1により、現像ローラ上に+帯電のトナーがあった場合でも、t1のタイミングで供給ローラ側に回収することができる。そのため、マダラ画像の発生や画像の白地部が薄っすらとトナーで汚れる(所謂カブリ)現象を防ぐことができる。また、非画像形成時に電位コントラスト(Vb2−Va2)が−800Vとなる時間t2により、非画像形成時に現像ローラ上に強−帯電のトナーがあった場合でも、t1のタイミングで供給ローラ側に回収することができる。そのため、ハーフトーン画像で、マダラ抜けのような画像がでることを防ぐことができる。
即ち、非画像形成時に現像ローラ上に逆極性(+)トナーや、強く帯電した(−)トナーがあった場合でも、供給ローラ側に回収することができる。
そのため、ハーフトーン画像で、マダラ抜けのような画像がでることを防ぐことができる。
以下図21に本実施例9と比較例3において、白ベタ画像のカブリとハーフトーン画像におけるマダラ抜けの画像評価を行った結果を示す。
評価は、前述した実施例7と同様で、トナーが劣化しやすい低印字率パターン(2%のテキスト画像)で耐久をしながら、白ベタとハーフトーン画像をサンプリングし、その画像からカブリとマダラ画像を評価した。評価基準は、前述した実施例7および実施例8の場合と同様である。図21のように本実施例9によれば、耐久を通じてカブリやマダラ画像の発生はなく、安定した画像を得ることができた。
なお、実施例7〜9のように、画像形成時の現像ローラバイアス電圧Vb1と非画像形成時の現像ローラバイアスVb2を同じにすることにより、バイアス電圧変更のシーケンスが簡易になり好ましい。同様に供給ローラに印加されるバイアス電圧を画像形成時と非画像形成時で同じにし、現像ローラに印加されるバイアス電圧を変更する構成にしても、バイアス電圧変更のシーケンスが簡易になる。
また、実施例中のバイアス電圧の電位設定、印加時間は一実施例であり、本発明の思想、構成上、効果が得られる範囲内でどのような値に設定しても良い。