以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の構成を示す断面図、図3は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の要部の構成を示す断面図である。
図において、100は本実施の形態における画像形成装置であり、例えば、プリンタ、ファクシミリ機、複写機、各種の機能を併せ持つ複合機等であるが、いかなる種類のものであってもよい。ここでは、前記画像形成装置100が、電子写真方式によって画像を形成する電子写真式プリンタであるものとして説明する。なお、前記画像形成装置100は、カラー画像を形成する装置であってもよいが、説明の都合上、モノクロ画像を形成する装置であるものとする。
この場合、前記画像形成装置100の内部には、画像形成ユニット10及び定着器4が媒体としての記録媒体3の搬送路に沿って配設されている。そして、用紙カセット等に積層されてセットされた記録媒体3は、給紙ローラ91によって1枚ずつ分離された状態で給紙され、図2において矢印Aで示される方向に搬送されてレジストローラ92に送り込まれる。続いて、記録媒体3は、レジストローラ92によって所定のタイミングで矢印Bで示される方向に送り出され、搬送路に沿って搬送される途中で、画像形成ユニット10によって形成された現像剤像としてのトナー像が転写される。
そして、記録媒体3が定着器4に送り込まれると、該定着器4によって定着プロセスが行われ、トナー像を加温及び加圧することにより、該トナー像が記録媒体3上に定着される。続いて、トナー像が定着された記録媒体3は、矢印Cで示される方向に搬送され、排出ローラ93によって矢印Dで示される方向に排出され、画像形成装置100の外部におけるスタッカに収容される。
ここで、画像形成ユニット10は、筐(きょう)体の中に、潜像担持体としての感光体ドラム1、該感光体ドラム1を帯電させる帯電部材としての帯電ローラ11、感光体ドラム1上の静電潜像を現像する現像装置としての現像器2、クリーニング装置16等を収容したものである。
前記現像器2は、現像剤収容器としてのトナーカートリッジ94から補給された現像剤としてのトナーを内部に収容する。また、現像器2は、感光体ドラム1に対向させて配設された回転可能な現像剤担持体としての現像ローラ12、該現像ローラ12にトナーを供給する供給部材としてのトナー供給ローラ18、及び、前記現像ローラ12上に供給されたトナーの薄層を形成するトナー層厚規制ブレードである現像剤規制部材としての規制ブレード13を備える。
また、15は、発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)を備え、イメージデータに基づいて感光体ドラム1の表面を露光して静電潜像を形成する静電潜像書込装置としてのLEDヘッドである。さらに、14は、記録媒体3の搬送路を挟んで感光体ドラム1に対向するように配設された転写装置としての転写ローラ14である。
さらに、前記クリーニング装置16は、感光体ドラム1の表面をクリーニングしてトナーを掻(か)き落して収容する装置であり、収容したトナーは図示されない廃トナー回収器にスパイラル等によって画像形成ユニット10から搬出される。
なお、感光体ドラム1、現像ローラ12、トナー供給ローラ18、帯電ローラ11及び転写ローラ14は、それぞれ、矢印で示される方向に回転する。この場合、感光体ドラム1は後述されるIDモータ17によって回転駆動される。また、現像ローラ12及びトナー供給ローラ18は、感光体ドラム1からのギヤ伝達によって回転駆動される。さらに、帯電ローラ11は、感光体ドラム1の表面との摩擦伝達によって回転駆動される。
そして、前記感光体ドラム1は、例えば、アルミ等のドラム形状の導体の表面に光導電層が形成された部材である。また、帯電ローラ11は、感光体ドラム1の表面を均一に帯電させるための装置であり、例えば、ステンレス等の導体を軸とし、該軸の周囲にエピクロルヒドリン等の導電性の弾性体が被覆されて形成され、感光体ドラム1に接触するように配設されている。
さらに、LEDヘッド15は、一様に帯電された感光体ドラム1の表面を選択露光し、潜像パターンを形成するための露光装置であり、LED素子とLED駆動素子とレンズアレイとから成り、LED素子からの照射光が感光体ドラム1の表面に結像する位置に配設されている。
そして、現像ローラ12は、例えば、ステンレス等の導体を軸とし、該軸の周囲にウレタン等の導電性の弾性体を被覆した部材である。また、トナー供給ローラ18は、例えば、ステンレス等の導体を軸とし、該軸の周囲にシリコーン等の発泡性の弾性体を被覆した部材であり、前記現像ローラ12に接触するように配設される。さらに、規制ブレード13は、例えば、ステンレス鋼の板状部材であって、その先端部分を現像ローラ12に押し当てるように配設される。なお、現像器2は、現像ローラ12が感光体ドラム1の表面に接触するように配設されている。
また、転写ローラ14は、感光体ドラム1上に形成されたトナー像を記録媒体3に転写するための装置であり、例えば、導電性の発泡性弾性体から成り、感光体ドラム1に接触するように配設されている。
さらに、クリーニング装置16は、感光体ドラム1上に、未転写等によって残留したトナーや、現像器2から感光体ドラム1上へ移動させた廃棄トナーを掻き取った後に廃棄するための装置であり、例えば、ゴムブレードを備え、該ゴムブレードの先端を感光体ドラム1の表面に当接させて、感光体ドラム1上のトナーを掻き取るように配設されている。
次に、前記画像形成装置100の制御システムについて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
図に示されるように、帯電ローラ11には帯電電圧制御部21によって帯電電圧が印加され、現像ローラ12には現像電圧制御部22によって現像電圧が印加され、規制ブレード13には規制ブレード電圧制御部23によって規制ブレード電圧が印加される。
そして、帯電電圧制御部21、現像電圧制御部22及び規制ブレード電圧制御部23には、電圧切替部31が接続されている。該電圧切替部31は、印刷電圧設定部32及びかぶりトナー廃棄電圧設定部33を備え、記録制御部30からの指示に従って、帯電電圧制御部21、現像電圧制御部22及び規制ブレード電圧制御部23に通知する電圧設定値を、印刷電圧設定部32に保持されている印刷電圧、又は、かぶりトナー廃棄電圧設定部33に保持されているかぶりトナー廃棄電圧に切り替える。そして、帯電電圧制御部21、現像電圧制御部22及び規制ブレード電圧制御部23は、電圧切替部31から通知された電圧設定値に基づいて電圧を出力する。
また、IDモータ17にはIDモータ制御部27が接続され、転写ローラ14には転写電圧制御部24が接続され、LEDヘッド15にはLEDヘッド発光制御部25が接続されている。前記IDモータ制御部27、転写電圧制御部24及びLEDヘッド発光制御部25は、それぞれ、記録制御部30からの指示に従ってIDモータ17の駆動動作、転写ローラ14へ印加する転写電圧、及び、LEDヘッド15の発光動作を制御する。
次に、前記構成の画像形成装置100の動作について説明する。まず、印刷工程における動作について説明する。
印刷工程においては、まず、帯電ローラ11に帯電電圧を印加して感光体ドラム1の表面を一様に帯電させた後、記録制御部30からの画像データに従ってLEDヘッド15を発光させ、感光体ドラム1の表面に静電潜像パターンを形成する。そして、表面にトナー薄層が形成された現像ローラ12に現像電圧を印加して、感光体ドラム1上の静電潜像パターンを現像する。ここで、規制ブレード13には、現像ローラ12上のトナー薄層中のトナーの帯電量を所定の値とするための規制ブレード電圧が印加されている。
次に、転写ローラ14に転写電圧を印加して、感光体ドラム1上のトナー像を記録媒体3上へ転写させる。そして、該記録媒体3上のトナー像は、定着器4によって記録媒体3に定着され、印刷動作が完了する。
なお、負帯電性のトナーを用いて画像形成装置100を常温常湿環境(20〜25〔℃〕、40〜60〔%〕)で動作させる場合、印加電圧設定は、例えば、帯電電圧を−1000〔V〕、現像電圧を−200〔V〕、規制ブレード電圧を−300〔V〕とする。感光体ドラム1の表面は、所定の値以上の帯電電圧を帯電ローラ11に印加すると帯電され、印加する帯電電圧に比例して表面電圧が変化する。本実施の形態において、感光体ドラム1の表面電圧は、−500〔V〕となる。そして、LEDヘッド15の発光によって形成された潜像パターンの潜像電圧は−100〔V〕となり、潜像パターンに現像ローラ12からトナーが反転現像される。負帯電性のトナーは、例えば、ポリスチレン樹脂に、帯電性や流動性を付与するためのシリカ等を外添したものである。
画像データの密度は、画像データによって形成されるトナー像の密度であり、印字可能領域に対する該印字可能領域中に形成されるトナー像領域の密度のことをいい、印字可能領域全体にトナー像が形成される場合(ベタ印刷)を100〔%〕密度とする。
しかしながら、現像ローラ12上に形成されたトナー薄層においては、潜像パターンに対応したトナーのみが現像されるため、画像データの密度が低い印刷、すなわち、低密度印刷の場合、現像されないトナーが多く存在する。そして、未現像のトナーは、現像ローラ12上に付着した状態で現像器2内へ戻り、トナー供給ローラ18による掻き取りや、現像ローラ12とトナー供給ローラ18との間での摩擦帯電や、現像ローラ12と規制ブレード13との間での摩擦帯電を経て、再び感光体ドラム1との現像部へ搬送されるものや、規制ブレード13を通過することができず、現像器2内に留まるものが生じる。
そのため、低密度印刷が継続された場合、現像されずに現像ローラ12上や現像器2内に留まるトナーは、ダメージを受け、シリカ等の外添剤が離脱又は埋没することなどによって、帯電性能の低下や逆極性の帯電が生じる場合がある。あるいは、トナー供給ローラ18によって掻き取られずに現像ローラ12の表面に付着した状態で摩擦帯電を繰り返すことにより、トナーの帯電量が増加する場合もある。
次に、現像ローラ12上の薄層化したトナーの帯電量の分布について説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態における現像ローラ上の薄層化されたトナーの帯電量の分布を示すグラフである。
図において、破線Aは初期状態における現像ローラ12上の薄層化したトナーの帯電量の分布を示し、実線Bは低密度印刷を20000枚行った後における現像ローラ12上の薄層化したトナーの帯電量の分布を示している。
図から、低密度印刷を行った後は、初期状態と比較して、帯電量の分布幅が広がり、低帯電トナー及び高帯電トナーの頻度が増加していることが分かる。逆極性に帯電したトナーは、印刷工程において感光体ドラム1上の非露光領域へ電気的に引き付けられて移動しやすく、また、低帯電トナーは現像ローラ12表面との鏡像力による付着力が弱いために感光体ドラム1へ移動しやすいので、画像の背景部にトナーが付着する、いわゆる、かぶり印刷が発生しやすくなる。このように、正常に帯電したトナーに対して、低い帯電量のトナーや逆極性に帯電したトナーによって画像の背景部、すなわち、非画像部にトナーが付着することをかぶりとし、該かぶりを引き起こす低い帯電量のトナーや逆極性に帯電したトナーをかぶりトナーとする。
そこで、本実施の形態においては、帯電電圧、現像電圧及び規制ブレード電圧を印刷電圧からかぶりトナー廃棄電圧に切り替えることによって、印刷時以外の期間で帯電量の低いトナー及び逆極性に帯電したトナー、すなわち、かぶりトナーを選択的に廃棄することができるようにする。換言すると、帯電電圧、現像電圧及び規制ブレード電圧を画像形成時の電圧から、あらかじめ設定された非画像形成時の電圧に変更することによって、かぶりトナーを効率良く現像器2から廃棄することができるようにする。
ここで、画像形成とは、正常に帯電されるトナーによってトナー像が感光体ドラム1上に形成されることであり、印刷データに基づいて、記録媒体3に転写されるトナー像を形成する印刷動作や、色ずれ補正や濃度補正といった補正用パターンの形成を行うことを示す。このときの、帯電電圧、現像電圧、規制ブレード電圧及び供給電圧が画像形成時の電圧となる。
また、非画像形成とは、画像形成以外の工程である。なお、非画像形成のときに、かぶりトナー廃棄モードが設けられており、非画像形成時の少なくとも一部の期間でかぶりトナー廃棄モードが設けられている。該かぶりトナー廃棄モードは、画像形成の電圧から電圧が変更される「電圧変更期間」である。すなわち、非画像形成時の一部で「電圧変更期間」が設けられている。なお、非画像形成のときであって、画像形成装置100が駆動している期間のすべてでかぶりトナー廃棄モードを設けることもできる。
次に、かぶりトナー廃棄時における感光体ドラム電圧、現像電圧及び規制ブレード電圧の関係について説明する。
図5は本発明の第1の実施の形態におけるかぶりトナー廃棄時の感光体ドラム電圧、現像電圧及び規制ブレード電圧の関係を示すグラフである。
図は、非画像形成時におけるかぶりトナー廃棄時の感光体ドラム電圧、現像電圧及び規制ブレード電圧の順序関係を簡易的に説明するためのものであり、かぶりトナー廃棄電圧の一例を画像形成時の設定電圧と比較して示している。
通常の印刷工程では、すなわち、画像形成時には、現像ローラ12と規制ブレード13との間の関係において、現像ローラ12に対し規制ブレード13側がトナー帯電と同極性となるように電界を形成することによって所定値に帯電しているトナー(正規帯電トナー)を通過させるために、規制ブレード電圧Vbl−0を、現像電圧Vdv−0に対し同極性であって絶対値が大きくなるように設定する。ここでは、前述のように、規制ブレード電圧Vbl−0を−300〔V〕、現像電圧Vdv−0を−200〔V〕として、規制ブレード電圧Vbl−0と現像電圧Vdv−0との電圧差を−100〔V〕(=(−300〔V〕)−(−200〔V〕))としている。
また、帯電電圧は、現像ローラ12上のトナーを潜像パターンヘ反転現像させ、非潜像パターンへの移動を阻止するように設定する。ここでは、帯電電圧として−1000〔V〕を印加して感光体ドラム1の表面電圧としての感光体ドラム電圧Vdr−0を−500〔V〕に帯電させ、LEDヘッド15の発光によって静電潜像を形成した後の潜像電位Vdv−eを−100〔V〕にしている。
これにより、感光体ドラム電圧Vdr−0と現像電圧Vdv−0との電圧差を、−300〔V〕(=(−500〔V〕)−(−200〔V〕))として、正規帯電トナーの移動を阻止し、潜像電圧Vdv−eと現像電圧Vdv−0との電圧差を、+100〔V〕(=(−100〔V〕)−(−200〔V〕))として、潜像パターンを現像する。
一方、非画像形成時におけるかぶりトナー廃棄時には、画像形成時と比較して、規制ブレード電圧の絶対値を低下させる。該規制ブレード電圧の絶対値を低下させることによって現像電圧との電圧差が小さくなり、逆極性に帯電したトナーが規制ブレード13に引き付けられる力が弱くなり、かぶりトナーが規制ブレード13を通過する確率が増加する。望ましくは、規制ブレード電圧を、現像電圧と同極性であって絶対値が低くなるように設定する。
これにより、現像ローラ12に対し、規制ブレード13側に正規帯電トナーと逆極性の電界が形成されるため、正規帯電されたトナーは規制ブレード13に引き付けられ、現像器2内に存在するかぶりトナーが規制ブレード13を通過する確率は、更に増加する。ここでは、かぶりトナー廃棄時に、規制ブレード電圧Vbl−1を−100〔V〕とし、現像電圧Vdv−1を−300〔V〕として、規制ブレード電圧Vbl−1と現像電圧Vdv−1との電圧差を、+200〔V〕(=(−100〔V〕)−(−300〔V〕))としている。
次に、かぶりトナー廃棄時における現像ローラ12上の薄層化したトナーの帯電量の分布について説明する。
図6は本発明の第1の実施の形態におけるかぶりトナー廃棄時の現像ローラ上の薄層化されたトナーの帯電量の分布を示すグラフである。
図は、画像形成時に印刷電圧を設定した場合と、非画像形成時におけるかぶりトナー廃棄時にかぶりトナー廃棄電圧を設定した場合とにおいて、現像ローラ上トナー層の帯電量の分布を比較したものである。実線Dで示されるかぶりトナー廃棄時の帯電量の分布は、破線Cで示される印刷時の帯電量の分布と比較して低帯電側にシフトし、帯電量の低いトナーの頻度が増加していることが分かる。すなわち、現像器2内に残留しているかぶりトナーが、規制ブレード13を通過して現像ローラ12上へ排出される確率が増加していることを示している。
次に、感光体ドラム電圧Vdr−1と現像電圧Vdv−1との電圧差を、印刷時と比較して、大きくする。これにより、現像ローラ12上へ排出されたかぶりトナーが、感光体ドラム1へ電気的に引き付けられて移動する確率が増加する。
本実施の形態においては、感光体ドラム電圧Vdr−1を−700〔V〕と設定し、現像電圧Vdv−1を−300〔V〕と設定して、感光体ドラム電圧Vdr−1と現像電圧Vdv−1との電圧差を、−400〔V〕(=(−700〔V〕)−(−300〔V〕))としている。感光体ドラム電圧Vdr−1を−700〔V〕とするために、帯電ローラ11へは−1200〔V〕の帯電電圧Vch−1を印加している。
次に、かぶりトナー廃棄時における各部の動作タイミングについて説明する。
図7は本発明の第1の実施の形態におけるかぶりトナー廃棄時の動作タイミングを示すタイムチャートである。
まず、記録制御部30からの印刷ジョブ開始信号に従って印刷のジョブが開始され、IDモータ17がonに切り替わり(t1)、感光体ドラム1、帯電ローラ11、現像ローラ12及びトナー供給ローラ18が回転駆動される。帯電ローラ11へは、回転駆動開始に同期して、印刷時帯電電圧Vch−0が印加される。該印刷時帯電電圧Vch−0の印加によって、感光体ドラム1の表面は印刷時感光体ドラム電圧Vdr−0に帯電される。同時に、t1のタイミングで、現像ローラ12へは印刷時現像電圧Vdv−0が印加され、規制ブレード13へは印刷時規制ブレード電圧Vbl−0が印加され、印刷期間(L0)となる。
続いて、ページ信号及び画像データに従って、LEDヘッド15の発光動作が行われる。LEDヘッド15が発光すると、感光体ドラム1は潜像電圧Vdr−eとなり、トナーが現像されて画像データに応じたトナー像が形成される。そして、送信されたページ分のLEDヘッド15の発光動作が完了すると、印刷期間(L0)が終了する(t2)。
t2において、印刷された記録媒体3が排出され、電圧が変更される。また、t2において、IDモータ17はonを継続した状態で、帯電電圧はかぶりトナー廃棄帯電電圧Vch−1に切り替わる。帯電電圧の切り替わりによって、感光体ドラム1の表面の帯電電位はかぶりトナー廃棄感光体ドラム電圧Vdr−1に変化する。同時に、t2のタイミングで、現像電圧はかぶりトナー廃棄現像電圧Vdv−1に切り替わり、規制ブレード電圧はかぶりトナー廃棄規制ブレード電圧Vdl−1に切り替わり、かぶりトナー廃棄期間(L1)となる。
ここでは、現像電圧及び規制ブレード電圧が帯電電圧と同時に切り替わる例について説明したが、感光体ドラム1上においては、帯電ローラ11の位置と現像ローラ12の位置との間で回転移動分の遅延が発生するので、遅延分を考慮して現像電圧の切替タイミングをずらしてもよい。そして、かぶりトナー廃棄期間(L1)はt3まで継続し、t3において、IDモータ17、帯電電圧、現像電圧、感光体ドラム電圧及び規制ブレード電圧がoffとなり、印刷のジョブが完了し、次のジョブ信号が送信されるまでoff状態を維持する。かぶりトナー廃棄期間(L1)の間、LEDヘッド15の発光動作は全期間off状態であり、感光体ドラム1へは潜像が形成されない。
かぶりトナー廃棄期間(L1)が長い程、かぶりトナー廃棄量は増加する。しかし、かぶりトナー廃棄期間(L1)が長すぎると、感光体ドラム1の回転数の増加による短寿命化や印刷スループットの低下が発生するので、画像形成装置100の用途等に応じて、かぶりトナー廃棄期間(L1)の長さを適宜設定する必要がある。少なくとも、現像ローラ12の周囲、好ましくは、現像ローラ12の周囲に加え、トナー供給ローラ18の周囲に存在するかぶりトナーを廃棄する必要がある。そのため、少なくとも現像ローラ12の1周に必要な時間以上のかぶりトナー廃棄期間(L1)を設ければよく、現像ローラ12の1周に必要な時間とトナー供給ローラ18の1周に必要な時間とを合わせた時間以上であるとより好ましい。
以上、本実施の形態におけるかぶりトナー廃棄時の電圧設定は、印刷時に対して規制ブレード電圧、現像電圧及び帯電電圧のすべてを切り替える例について説明した。
本実施の形態においては、印刷期間(L0)全体を画像形成の期間として説明したが、本実施の形態に限らず、少なくとも感光体ドラム1を帯電し、必要に応じて露光し、現像ローラ12によってトナーを供給して現像し、記録媒体3や転写ベルトのような転写体にトナー像を転写する工程が、画像形成の期間に含まれる。なお、本実施の形態においては、一例として、印刷ジョブと印刷ジョブとの間の非画像形成のときに、電圧変更期間が設けられている。また、本実施の形態においては、1ページ目と2ページ目、2ページ目と3ページ目との間、すなわち、紙間も印刷工程として画像形成の期間としているが、紙間を非画像形成の期間として、電圧変更期間を設けることもできる。
なお、図7に示される例においては、帯電電圧、現像電圧及び規制ブレード電圧が同時に切り替えられるようになっているが、感光体ドラム1の回転による位置移動を考慮して、変更のタイミングに時間差を設けることもできる。
次に、かぶりトナー廃棄時における各部の動作タイミングのより好ましい例について説明する。
図8は本発明の第1の実施の形態におけるかぶりトナー廃棄時の動作タイミングの他の例を示すタイムチャート、図9は本発明の第1の実施の形態におけるかぶりトナー廃棄時の感光体ドラム、現像ローラ及び帯電ローラの動作タイミングを示す模式図である。
まず、記録制御部30からの印刷ジョブ開始信号に従って印刷のジョブが開始され、IDモータ17がonに切り替わり(t1)、感光体ドラム1、帯電ローラ11、現像ローラ12及びトナー供給ローラ18が回転駆動される。帯電ローラ11へは、回転駆動開始に同期して、印刷時帯電電圧Vch−0が印加される。該印刷時帯電電圧Vch−0の印加によって、感光体ドラム1の表面は印刷時感光体ドラム電圧Vdr−0に帯電される。同時に、t1のタイミングで、現像ローラ12へは印刷時現像電圧Vdv−0が印加され、規制ブレード13へは印刷時規制ブレード電圧Vbl−0が印加され、印刷期間(L0)となる。
続いて、ページ信号及び画像データに従って、LEDヘッド15の発光動作が行われる。LEDヘッド15が発光すると、感光体ドラム1は潜像電圧Vdr−eとなり、トナーが現像されて画像データに応じたトナー像が形成される。そして、送信されたページ分のLEDヘッド15の発光動作が完了すると、印刷期間(L0)が終了する(t2)。
t2において、感光体ドラム1、現像ローラ12及び帯電ローラ11は図9(a)に示される状態となっている。t2のときに帯電ローラ11と対向する感光体ドラム1上の位置をαとすると、帯電電圧がVch−1とされるので、帯電ローラ11と対向する感光体ドラム1上の位置α以降(矢印γで示される方向)で、感光体ドラム1の表面電位がVdr−1にされる。
そして、t2' において、感光体ドラム1、現像ローラ12及び帯電ローラ11は図9(b)に示される状態となっている。すなわち、回転によって位置αが現像ローラ12と対向する位置となる。このとき、現像ローラ12の電圧がVdv−1とされるので、t2' 以降では領域DR1が現像ローラ12と対向すると、該現像ローラ12からかぶりトナーが感光体ドラム1に付着する。
また、t3において、感光体ドラム1、現像ローラ12及び帯電ローラ11は図9(c)に示される状態となっている。領域DR1の最下流部を位置βとすると、該位置βが帯電ローラ11と対向する位置にて帯電電圧がoffとされる。なお、続けて印刷を行う場合(例えば、画像形成装置100が別の印刷ジョブを受信したとき)は、帯電電圧がVch−0とされる。
さらに、t3' において、感光体ドラム1、現像ローラ12及び帯電ローラ11は図9(d)に示される状態となっている。すなわち、回転によって位置βが現像ローラ12と対向する位置となる。このとき、現像ローラ12の現像電圧がoffとされ、かぶりトナーの廃棄が完了する。なお、規制ブレード電圧の切り替わるタイミングは現像電圧の切り替わるタイミングと同じとされている。
しかし、図9(e)に示されるように、現像ローラ12上で感光体ドラム1との対向部と、規制ブレード13との対向部との間隔DV1に応じて、規制ブレード電圧の切り替わるタイミングと現像電圧の切り替わるタイミングとをずらすものであってもよい。なお、IDモータ17がoffとされるのは、現像電圧と規制ブレード電圧とがoffにされるt3’の後であっても構わない。
次に、各部の電圧を、印刷電圧に対して切り替えてかぶりトナー廃棄を実行する実験について説明する。
図10は本発明の第1の実施の形態における実験結果を示す表である。
この実験では、規制ブレード電圧、現像電圧及び帯電電圧を、印刷電圧に対して切り替えるとともに、その組合せを変化させながら、かぶりトナー廃棄を実行した。図は、かぶりトナー廃棄動作を実行する前の記録媒体3上のかぶり度合いと比較して、かぶりトナー廃棄動作後に印刷した記録媒体3上のかぶり度合いがどの程度改善したのかを、目視で判断した結果を示したものである。
切替後の規制ブレード電圧、現像電圧及び帯電電圧の設定値は、前記図5に示されるような設定値に順次切り替えた。印刷時の電圧設定は、帯電電圧が−1000〔V〕、感光体ドラム電圧が−500〔V〕、現像電圧が−200〔V〕、規制ブレード電圧が−300〔V〕である。
かぶりの測定では、0〔%〕密度での印刷の途中で画像形成装置100を停止させ、現像後転写前の感光体ドラム1上にあるトナーを粘着テープ(住友スリーエム社製、スコッチメンディングテープ)に付着させた。それ(かぶり採取テープ)を真白な用紙上に貼り付けた。また、比較として、感光体ドラム1上に貼り付けない粘着テープ(比較用テープ)をかぶり採取テープを貼り付けた用紙上に貼り付けた。そして、かぶり採取テープと比較用テープとの色相差を分光測色計(コニカミノルタ製、CM−2600d、測定径=φ8〔mm〕)によって測定した。色相差(L* a* b表色系色度)はΔE=(ΔL2 +Δa2 +Δb2 )1/2 で算出した。
なお、かぶり評価の基準は下記のように判断した。
0≦ΔE<0.5 度合い5
0.5≦ΔE<1.0 度合い4
1.0≦ΔE<1.5 度合い3
1.5≦ΔE<2.0 度合い2
ΔE≧2.0 度合い1
(1)帯電電圧を−1200〔V〕(感光体ドラム電圧は−700〔V〕)に切り替えた場合、かぶり評価結果におけるかぶり度合いは悪く、ほとんど改善されなかった。感光体ドラム電圧と現像電圧との電圧差を大きくすることが目的であるため、ここでは現像電圧を−200〔V〕から切り替えなかった。感光体ドラム電圧と現像電圧との電圧差を−500〔V〕(=(−700〔V〕)−(−200〔V〕))とし、印刷時より大きくしたことによって、現像ローラ12上に付着しているかぶりトナーは効率良く廃棄された。しかし、現像器2内に残留しているかぶりトナーは廃棄されないので、廃棄終了後の印刷時において、現像器2内に残留しているかぶりトナーの一部が規制ブレード13を通過して感光体ドラム1へ移動し、これにより、かぶりが発生したと考えられる。
(2)規制ブレード電圧のみを−100〔V〕に切り替えた場合、中程度のかぶり評価結果におけるかぶり度合いが得られた。規制ブレード電圧と現像電圧との電圧差を+100〔V〕(=(−100〔V〕)−(−200〔V〕))として、現像ローラ12に対する規制ブレード13側の電界の極性を反転させたことによって、現像器2内のかぶりトナーが現像ローラ12上へ排出される確率が増加して感光体ドラム1への廃棄量が増え、現像器2内のかぶりトナー量が低減したと考えられる。
(3)規制ブレード電圧を−100〔V〕に切り替え、現像電圧を−300〔V〕に切り替えた場合、規制ブレード電圧のみを切り替えた場合と比較して、かぶり評価結果におけるかぶり度合いが良化した。現像電圧も切り替えることによって、規制ブレード電圧と現像電圧とを反転させたうえに、電圧差が+200〔V〕(=(−100〔V〕)−(−300〔V〕))と大きくなり、現像器2内のかぶりトナーが現像ローラ12上へ排出される確率が、より増加したためと考えられる。
(4)規制ブレード電圧を−100〔V〕に切り替え、帯電電圧を−1200〔V〕(感光体ドラム電圧は−700〔V〕)に切り替えた場合、規制ブレード電圧及び現像電圧を切り替えた場合とほぼ同等のかぶり評価結果におけるかぶり度合いとなった。規制ブレード電圧と現像電圧との電圧差を+100〔V〕(=(−100〔V〕)−(−200〔V〕))と反転させた状態で、感光体ドラム電圧と現像電圧との電位差を−500〔V〕(=(−700〔V〕)−(−200〔V〕))と大きくしたことによって、現像器2内から排出され、現像ローラ12上に付着しているかぶりトナーが感光体ドラム1へ移動して、廃棄される確率が高くなったためと考えられる。
(5)規制ブレード電圧を−100〔V〕に切り替え、現像電圧を−300〔V〕に切り替え、帯電電圧を−1200〔V〕(感光体ドラム電圧は−700〔V〕)に切り替えた場合、かぶり評価結果におけるかぶり度合いが更に良化した。規制ブレード電圧と現像電圧との反転した電位差を+200〔V〕(=(−100〔V〕)−(−300〔V〕))と大きくし、さらに、感光体ドラム電圧と現像電圧との電位差を−400〔V〕(=(−700〔V〕)−(−300〔V〕))と印刷時より大きくしたことによって、現像器2内のかぶりトナーを現像ローラ12へ排出する確率と、現像ローラ12から感光体ドラム1ヘかぶりトナーが移動する確率とがともに高くなったためと考えられる。
(6)電圧変更期間を設けない場合、かぶり度合いが1であった。ただし、かぶり評価結果としては、前記(1)の場合よりも悪かった。
なお、前記(1)の場合には、帯電電圧のみを変更しているが、規制ブレード電圧が現像電圧以下にされるものではないので、かぶりトナーが規制ブレード13を通過することができない。
また、前記(2)の場合には、規制ブレード電圧が現像電圧以下にされ、かぶりトナーが規制ブレード13を通過することができる。
さらに、前記(3)の場合には、規制ブレード電圧に加え、現像電圧が変更されるので、規制ブレード電圧が現像電圧以下にされ、かつ、前記(2)の場合よりも電位差が大きくなるため、より多くのかぶりトナーが規制ブレード13を通過することができる。
さらに、前記(4)の場合には、規制ブレード電圧に加え、帯電電圧(感光体ドラム電圧)が変更されるので、規制ブレード電圧が現像電圧以下にされ、さらに、現像電圧と感光体ドラム電圧との電位差が大きくされるため、かぶりトナーが規制ブレード13を通過しやすく、更に感光体ドラム1側に移動しやすくなる。
さらに、前記(5)の場合には、規制ブレード電圧、現像電圧及び帯電電圧の3つが変更されるので、規制ブレード電圧が現像電圧以下にされて電位差が大きく、現像電圧と感光体ドラム電圧との電位差も大きくされるため、かぶりトナーが規制ブレード13を通過しやすく、更に感光体ドラム1側に移動しやすくなる。
本実施の形態において、規制ブレード電圧Vbl−1は−100〔V〕であり、負帯電性のトナーに対して、規制ブレード13に印加される電圧の極性はトナーと同じ極性である。そのため、逆極性に帯電したかぶりトナーとともに、負帯電であり、かつ、帯電量の低いかぶりトナーも、規制ブレード13を通過する際に、現像ローラ12に保持され、規制ブレード13側に引き寄せられない。すなわち、かぶりトナーとして、逆極性に帯電したトナー、及び、帯電量の低いトナーが規制ブレード13を通過する。
以上説明した実験結果は、電圧設定の組合せの一例を示すものに過ぎない。規制ブレード電圧と現像電圧との電圧差、又は、感光体ドラム電圧と現像電圧との電圧差がかぶりトナーの移動の度合いに関係するため、各電圧の設定値を変えるとかぶり改善の効果の程度は変化する。上記の実験結果は、かぶりトナー廃棄によるかぶり改善の効果について、規制ブレード電圧を切り替えるのみで、ある程度の効果が得られ、さらに、現像電圧及び帯電電圧を切り替えることで、より大きな効果が得られることを示していると考えられる。
さらに、供給電圧を変えることが好ましい。その際、画像形成時には、現像電圧よりも絶対値が高い電圧(例えば、Vsp−0=−300〔V〕)とし、電圧変更期間では現像電圧よりも絶対値が低い電圧(例えば、Vsp−1=−100〔V〕)にする。この場合、トナー供給ローラ18からも現像ローラ12に対してかぶりトナーを移動させることができるので、トナー供給ローラ18近傍のかぶりトナーの廃棄も可能となる。
そのため、一度のかぶりトナー廃棄で現像器2全体のかぶりトナーを廃棄することができるので、一度、かぶりトナーを廃棄すれば、次に廃棄するまでの間隔を伸ばすことができ、電圧変更期間を設ける間隔を長くすることができる。なお、この例において、供給電圧は規制ブレード電圧と同じ電圧となっている。この場合、規制ブレード電圧と供給電圧との電源を共通にすることができる。さらに、この例に限らず、例えば、Vsp−0=−350〔V〕、Vsp−1=−50〔V〕というように、規制ブレード電圧と異なるものであってもよい。
本実施の形態の説明は、一例に過ぎないものであり、各電圧の設定値もこれに限ったものではない。トナーの帯電特性、各ローラの物性等のプロセス条件や、温度、湿度等の使用条件、又は、使用電源の電圧出力範囲等に合わせて、かぶりトナーが良好に廃棄されるような電圧値に適宜設定することができる。
また、かぶりトナー廃棄の実行タイミングが、印刷ジョブ中の印刷動作が終了した後である例について説明したが、印刷ジョブ中の印刷動作が開始される前であってもよい。あるいは、印刷ジョブの間に、独立してトナー廃棄の動作を起動させてもよい。印刷ジョブの都度、短時間トナー廃棄の動作を起動させてもよい。例えば、500枚等所定の印刷枚数の間隔毎にトナー廃棄の動作を起動させてもよい。さらに、操作パネルに起動ボタンを設け、ユーザ操作によって手動でトナー廃棄の動作を起動させることもできる。
以上説明したように、本実施の形態においては、規制ブレード電圧を切り替えることを前提で、電圧差がかぶりトナーを廃棄することが可能なように、現像電圧及び帯電電圧を変化させるようになっている。そこで、電圧差を設ければよく、以下のように、序列をメインにしたものとすることもできる。
この場合、規制ブレード電圧はVbl−1に変更される。すなわち、Vbl−0よりも絶対値が小さくされ、かつ、現像電圧Vdv−1よりも絶対値が小さくされる。なお、例えば、現像電圧が変更されず、Vdv−0のままであっても、Vbl−1はVdv−0よりも絶対値が小さければよい。つまり、前記図5に示されるように、変更後の規制ブレード電圧と現像電圧との電圧差が大きく、かつ、規制ブレード電圧の絶対値が現像電圧の絶対値よりも小さければよく、電圧差が大きいほどかぶりトナーが現像ローラ12側に移動する。
また、感光体ドラム電圧と現像電圧との関係では、現像電圧の絶対値が低い形態であれば構わない。前記図5に示されるように、Vdv−1とVdr−1との関係のみならず、感光体ドラム電圧が変更されない形態となるVdr−0とVdv−1との関係、現像電圧が変更されない形態となるVdr−1とVdv−0との関係、現像電圧と感光体ドラム電圧とが変更されない形態となるVdr−0とVdv−0との関係、のいずれの関係であっても構わない。
しかし、感光体ドラム電圧と現像電圧との関係では現像電圧の絶対値が低く、かつ、電圧差が大きいほどかぶりトナーが感光体ドラム1側に移動する。したがって、規制ブレード電圧、現像電圧及び感光体ドラム電圧の関係が、感光体ドラム電圧の絶対値>現像電圧の絶対値≧規制ブレード電圧の絶対値であればよく、規制ブレード電圧と現像電圧との電圧差、感光体ドラム電圧と現像電圧との電圧差が大きいほど好ましい。なお、規制ブレード電圧Vbl−1が0〔V〕であっても構わない。
また、規制ブレード電圧=現像電圧であっても構わない。この場合、現像電圧と規制ブレード電圧との間の電位差は0となり、現像ローラ12上のかぶりトナーは規制ブレード13に引き付けられることがないので、現像ローラ12に担持されたまま規制ブレード13を通過していく。なお、ここでは、感光体ドラム電圧を希望の電圧にするようになっているが、そのために帯電電圧を変えることで感光体ドラム電圧を変えている。
このように、本実施の形態においては、印刷時とかぶりトナー廃棄時とで電圧設定値を切り替え、かぶりトナー廃棄時の印加電圧を現像器2内に残留している低帯電トナー及び逆極性帯電トナーが現像ローラ12ヘ排出される効率が増加するように設定する。これにより、劣化したかぶりトナーを効率良く現像器2から廃棄することができ、かぶりのない良好な品質の出力画像を得ることができる。
ところで、本実施の形態においては、前述のように、非画像形成時に規制ブレード電圧を切り替え、画像形成時に対して低い電圧を印加することを基本としているが、これを変形することもできる。そこで、以下に変形例について説明する。該変形例においては、現像ローラ12と規制ブレード13とのバイアスの序列が、現像電圧>規制ブレード電圧となるように現像電圧を変更する。その際、現像ローラ12からのトナーが付着されるように、感光体ドラム電圧も変更する。
具体的には、非画像形成時におけるかぶりトナー廃棄時に、規制ブレード電圧は変更しない。その際、現像電圧が規制ブレード電圧よりも絶対値が大きくなるようにする。例えば、Vbl−0が−300〔V〕のとき、Vbl−1が−300〔V〕(=Vbl−0)であり、Vdv−0が−200〔V〕であるが、Vdv−1を−500〔V〕とする。すなわち、|Vbl−1|≦|Vdv−1|となるようにする。
ところで、Vdr−0が−500〔V〕であるので、|Vdr−1|>|Vdv−1|であることが好ましい。そのため、例えば、Vdr−1が−900〔V〕となるように、帯電電圧を−1400〔V〕にすればよい。
前述のように、|Vbl−1|≦|Vdv−1|であれば、かぶりトナーが規制ブレード13に引き付けられない。さらに、|Vdr−1|>|Vdv−1|であれば、規制ブレード13を通過したかぶりトナーを感光体ドラム1側に廃棄することができる。よって、|Vdr−1|>|Vdv−1|≧|Vbl−1|であれば、現像器2内のかぶりトナーを廃棄することができる。そのため、本実施の形態及び本変形例は、一例にすぎず、|Vdr−1|>|Vdv−1|≧|Vbl−1|となるために、必要に応じて、規制ブレード電圧、現像電圧及び感光体ドラム電圧を、画像形成時と非画像形成時とに応じて変更すればよい。
なお、Vbl−1=Vdv−1のとき、現像電圧と規制ブレード電圧との間の電位差は0である。そのため、現像ローラ12上のかぶりトナーは規制ブレード13に引き付けられることがないので、現像ローラ12に担持されたまま規制ブレード13を通過する。よって、|Vbl−1|≦|Vdv−1|であれば、かぶりトナーが規制ブレード13に引き付けられることがない。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図11は本発明の第2の実施の形態における画像形成装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
前記第1の実施の形態では、トナー劣化に伴うかぶりトナーの発生に対して、かぶりトナーを廃棄する形態について説明した。ところで、湿度が10〔%〕のような低湿環境では、帯電が過剰となり汚れが発生することがある。そこで、本実施の形態では、汚れトナーの廃棄について説明する。
本実施の形態においては、帯電電圧制御部21、現像電圧制御部22及び規制ブレード電圧制御部23に、電圧切替部41が接続されている。該電圧切替部41は、印刷電圧設定部42及び汚れトナー廃棄電圧設定部44を備え、記録制御部30からの指示に従い、帯電電圧制御部21、現像電圧制御部22及び規制ブレード電圧制御部23に通知する電圧設定値を、印刷電圧設定部42に保持されている印刷電圧と、汚れトナー廃棄電圧設定部44に保持されている汚れトナー廃棄電圧とを切り替える。帯電電圧制御部21、現像電圧制御部22及び規制ブレード電圧制御部23は、通知された電圧設定値に基づき電圧を出力する。
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本実施の形態における画像形成装置100の動作について説明する。なお、印刷工程における動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
また、現像ローラ12上の薄層化したトナーの帯電量の分布についても、前記第1の実施の形態において説明した図4と同様である。すなわち、低密度印刷を行った後は、初期状態と比較して、帯電量の分布幅が広がり、低帯電トナー及び高帯電トナーの頻度が増加している。
帯電量が著しく高いトナーは、印刷工程において、感光体ドラム1上の非露光領域の感光体ドラム電圧との電圧差が小さくなって現像される。そのため、帯電分布が高い方向に広がると、画像パターンに関わらず記録媒体3にトナーが付着する、いわゆる、汚れ印刷が発生しやすくなる。このように、正常に帯電したトナーに対して、帯電量が高いトナー、いわゆる、過剰帯電トナーによって画像の背景部、すなわち、非画像部にトナーが付着することを汚れとし、該汚れを引き起こす過剰帯電トナーを汚れトナーとする。
そこで、本実施の形態においては、帯電電圧、現像電圧及び規制ブレード電圧を印刷電圧から汚れトナー廃棄電圧に切り替えることによって、印刷時以外の期間で帯電量の高いトナー及び帯電しやすいトナー、すなわち、汚れトナーを、選択的に廃棄するようになっている。換言すると、帯電電圧、現像電圧及び規制ブレード電圧を画像形成時の電圧から、あらかじめ設定された非画像形成時の電圧に変更することによって、汚れトナーを効率良く現像器2から廃棄することができるようにする。
ここで、画像形成とは、前記第1の実施の形態と同様に、正常に帯電されるトナーによってトナー像が感光体ドラム1上に形成されることであり、印刷データに基づいて、記録媒体3に転写されるトナー像を形成する印刷動作や、色ずれ補正や濃度補正といった補正用パターンの形成を行うことを示す。このときの、帯電電圧、現像電圧、規制ブレード電圧及び供給電圧が画像形成時の電圧となる。
また、非画像形成とは、画像形成以外の工程である。なお、非画像形成のときに、汚れトナー廃棄モードが設けられており、非画像形成時の少なくとも一部の期間で汚れトナー廃棄モードが設けられている。該汚れトナー廃棄モードは、画像形成の電圧から電圧が変更される「電圧変更期間」である。すなわち、非画像形成時の一部で「電圧変更期間」が設けられている。なお、非画像形成のときであって、画像形成装置100が駆動している期間のすべてで汚れトナー廃棄モードを設けることもできる。
次に、汚れトナー廃棄時における感光体ドラム電圧、現像電圧及び規制ブレード電圧の関係について説明する。
図12は本発明の第2の実施の形態における汚れトナー廃棄時の感光体ドラム電圧、現像電圧及び規制ブレード電圧の関係を示すグラフである。
図は、非画像形成時における汚れトナー廃棄時の感光体ドラム電圧、現像電圧及び規制ブレード電圧の順序関係を簡易的に説明するためのものであり、汚れトナー廃棄電圧の一例を画像形成時の設定電圧と比較して示している。
通常の印刷工程、すなわち、画像形成時には、前記第1の実施の形態と同様であり、規制ブレード電圧Vbl−0を−300〔V〕、現像電圧Vdv−0を−200〔V〕に設定して、規制ブレード電圧Vbl−0と現像電圧Vdv−0との電圧差を−100〔V〕(=(−300〔V〕)−(−200〔V〕))としている。また、感光体ドラム電圧Vdr−0は、−500〔V〕に設定して、感光体ドラム電圧Vdr−0と現像電圧Vdv−0との電圧差を−300〔V〕(=(−500〔V〕)−(−200〔V〕))とし、潜像電圧Vdv−eと現像電圧Vdv−0との電圧差を+100〔V〕(=(−100〔V〕)−(−200〔V〕))として、潜像パターンを現像する。
一方、非画像形成時における汚れトナー廃棄時には、規制ブレード電圧Vbl−2と現像電圧Vdv−2との電圧差を、印刷時と比較して増加させる。これにより、現像ローラ12に対して、規制ブレード13側に正規帯電トナーと同極性の大きな電界が形成されるので、逆極性に帯電されたトナーは、規制ブレード13に引き付けられる。さらに、帯電しやすい状態のトナーは、規制ブレード電圧によって電荷が注入されるため、規制ブレード13を通過することで、より帯電量が増加する。これらにより、現像器2内に存在する汚れトナーが規制ブレード13を通過する確率が向上する。
本実施の形態においては、汚れトナー廃棄時に、規制ブレード電圧Vbl−2を−500〔V〕に設定し、現像電圧Vdv−2を−300〔V〕に設定して、規制ブレード電圧Vbl−2と現像電圧Vdv−2との電圧差を−200〔V〕(=(−500〔V〕)−(−300〔V〕))としている。
次に、汚れトナー廃棄時における現像ローラ12上の薄層化したトナーの帯電量の分布について説明する。
図13は本発明の第2の実施の形態における汚れトナー廃棄時の現像ローラ上の薄層化されたトナーの帯電量の分布を示すグラフである。
図は、画像形成時に印刷電圧を設定した場合と、非画像形成時における汚れトナー廃棄時に汚れトナー廃棄電圧を設定した場合とにおいて、現像ローラ上トナー層の帯電量の分布を比較したものである。実線Fで示される汚れトナー廃棄時の帯電量の分布は、破線Eで示される印刷時の帯電量の分布と比較して高帯電側にシフトし、帯電量の高いトナーの頻度が増加していることが分かる。すなわち、現像器2内に残留している汚れトナーが、規制ブレード13を通過して現像ローラ12上へ排出される確率が増加していることを示している。
次に、感光体ドラム電圧Vdr−2と現像電圧Vdv−2との電圧差を、印刷時と比較して、小さくする。これにより、現像ローラ12上へ排出された汚れトナーが、感光体ドラム1へ電気的に引き付けられて移動する確率が増加する。なお、感光体ドラム電圧Vdr−2と現像電圧Vdv−2との電圧差を小さくし過ぎると、正規帯電トナーまでが現像され、無駄にトナーを消費することになるため、汚れトナーが選択的に現像される程度の電圧差に設定することが望ましい。
本実施の形態においては、感光体ドラム電圧Vdr−2を−400〔V〕と設定し、現像電圧Vdv−2を−300〔V〕と設定して、感光体ドラム電圧Vdr−2と現像電圧Vdv−2との電圧差を−100〔V〕(=(−400〔V〕)−(−300〔V〕))としている。感光体ドラム電圧Vdr−2を−400〔V〕とするために、帯電ローラ11へは−900〔V〕の帯電電圧Vch−2を印加している。
次に、汚れトナー廃棄時における各部の動作タイミングについて説明する。
図14は本発明の第2の実施の形態における汚れトナー廃棄時の動作タイミングを示すタイムチャートである。
まず、記録制御部30からの印刷ジョブ開始信号に従って印刷のジョブが開始され、IDモータ17がonに切り替わり(t4)、感光体ドラム1、帯電ローラ11、現像ローラ12及びトナー供給ローラ18が回転駆動される。帯電ローラ11へは、回転駆動開始に同期して、印刷時帯電電圧Vch−0が印加される。該印刷時帯電電圧Vch−0の印加によって、感光体ドラム1の表面は印刷時感光体ドラム電圧Vdr−0に帯電される。同時に、t4のタイミングで、現像ローラ12へは印刷時現像電圧Vdv−0が印加され、規制ブレード13へは印刷時規制ブレード電圧Vbl−0が印加され、印刷期間(L0)となる。
続いて、ページ信号及び画像データに従って、LEDヘッド15の発光動作が行われる。LEDヘッド15が発光すると、感光体ドラム1は潜像電圧Vdr−eとなり、トナーが現像されて画像データに応じたトナー像が形成される。そして、送信されたページ分のLEDヘッド15の発光動作が完了すると、印刷期間(L0)が終了する(t5)。
t5において、IDモータ17がonを継続した状態で、帯電電圧は汚れトナー廃棄帯電電圧Vch−2に切り替わる。帯電電圧の切り替わりによって、感光体ドラム1の表面の帯電電位は汚れトナー廃棄感光体ドラム電圧Vdr−2に変化する。同時に、t5のタイミングで、現像電圧は汚れトナー廃棄現像電圧Vdv−2に切り替わり、規制ブレード電圧は汚れトナー廃棄規制ブレード電圧Vbl−2に切り替わり、汚れトナー廃棄期間(L2)となる。
ここでは、現像電圧及び規制ブレード電圧が帯電電圧と同時に切り替わる例について説明したが、感光体ドラム1上においては、帯電ローラ11の位置と現像ローラ12の位置との間で回転移動分の遅延が発生するので、遅延分を考慮して現像電圧の切替タイミングをずらしてもよい。そして、汚れトナー廃棄期間(L2)はt6まで継続し、t6において、IDモータ17、帯電電圧、現像電圧、感光体ドラム電圧及び規制ブレード電圧はoffとなり、印刷のジョブが完了し、次のジョブ信号が送信されるまでoff状態を維持する。汚れトナー廃棄期間(L2)の間では、LEDヘッド15の発光動作が全期間off状態であり、感光体ドラム1へ潜像は形成されない。
汚れトナー廃棄期間(L2)が長い程、汚れトナー廃棄量は増加するが、汚れトナー廃棄期間(L2)が長すぎると感光体ドラム1の回転数の増加による短寿命化や印刷スループットの低下が発生するので、画像形成装置100の用途等に応じて、汚れトナー廃棄期間(L2)の長さを適宜設定する必要がある。少なくとも、現像ローラ12及びトナー供給ローラ18の周囲に存在している汚れトナーを廃棄するために、現像ローラ12の1周とトナー供給ローラ18の1周とを合わせた時間以上とすることが望ましい。
以上、本実施の形態における汚れトナー廃棄時の電圧設定は、印刷時に対して規制ブレード電圧、現像電圧及び帯電電圧のすべてを切り替える例について説明した。
次に、汚れトナー廃棄時における各部の動作タイミングのより好ましい例について説明する。
図15は本発明の第2の実施の形態における汚れトナー廃棄時の動作タイミングの他の例を示すタイムチャート、図16は本発明の第2の実施の形態における汚れトナー廃棄時の感光体ドラム、現像ローラ及び帯電ローラの動作タイミングを示す模式図である。
まず、記録制御部30からの印刷ジョブ開始信号に従って印刷のジョブが開始され、IDモータ17がonに切り替わり(t4)、感光体ドラム1、帯電ローラ11、現像ローラ12及びトナー供給ローラ18が回転駆動される。帯電ローラ11へは、回転駆動開始に同期して、印刷時帯電電圧Vch−0が印加される。該印刷時帯電電圧Vch−0の印加によって、感光体ドラム1の表面は印刷時感光体ドラム電圧Vdr−0に帯電される。同時に、t4のタイミングで、現像ローラ12へ印刷時現像電圧Vdv−0が印加され、規制ブレード13へ印刷時規制ブレード電圧Vbl−0が印加され、印刷期間(L0)となる。
続いて、ページ信号及び画像データに従って、LEDヘッド15の発光動作が行われる。LEDヘッド15が発光すると、感光体ドラム1は潜像電圧Vdr−eとなり、トナーが現像されて画像データに応じたトナー像が形成される。そして、送信されたページ分のLEDヘッド15の発光動作が完了すると、印刷期間(L0)が終了する(t5)。
t5において、感光体ドラム1、現像ローラ12及び帯電ローラ11は図16(a)に示される状態となっている。t5のときに帯電ローラ11と対向する感光体ドラム1上の位置をαとすると、帯電電圧がVch−2とされるので、帯電ローラ11と対向する感光体ドラム1上の位置α以降(矢印γで示される方向)で、感光体ドラム1の表面電位がVdr−2にされる。
そして、t5' において、感光体ドラム1、現像ローラ12及び帯電ローラ11は図16(b)に示される状態となっている。すなわち、回転によって位置αが現像ローラ12と対向する位置となる。このとき、現像ローラ12の電圧がVdv−2とされるので、t5' 以降では領域DR1が現像ローラ12と対向すると、該現像ローラ12から汚れトナーが感光体ドラム1に付着する。
また、t6において、感光体ドラム1、現像ローラ12及び帯電ローラ11は図16(c)に示される状態となっている。領域DR1の最下流部を位置βとすると、該位置βが帯電ローラ11と対向する位置にて帯電電圧がoffとされる。なお、続けて印刷を行う場合(例えば、画像形成装置100が別の印刷ジョブを受信したとき)は、帯電電圧がVch−0にされる。
さらに、t6' において、感光体ドラム1、現像ローラ12及び帯電ローラ11は図16(d)に示される状態となっている。すなわち、回転によって位置βが現像ローラ12と対向する位置となる。このとき、現像ローラ12の現像電圧がoffとされ、汚れトナーの廃棄が完了する。なお、規制ブレード電圧の切り替わるタイミングは現像電圧の切り替わるタイミングと同じとされている。
しかし、図16(e)に示されるように、現像ローラ12上で感光体ドラム1との対向部と、規制ブレード13との対向部との間隔DV1に応じて、規制ブレード電圧の切り替わるタイミングと現像電圧の切り替わるタイミングとをずらすものであってもよい。なお、IDモータ17がoffとされるのは、現像電圧と規制ブレード電圧とがoffにされるt6’の後であっても構わない。
次に、各部の電圧を、印刷電圧に対して切り替えて汚れトナー廃棄を実行する実験について説明する。
図17は本発明の第2の実施の形態における実験結果を示す表である。
この実験では、規制ブレード電圧、現像電圧及び帯電電圧を、印刷電圧に対して切り替えるとともに、その組合せを変化させながら、汚れトナー廃棄を実行した。図は、汚れトナー廃棄動作を実行する前の記録媒体3上の汚れ度合いと比較して、汚れトナー廃棄動作後に印刷した記録媒体3上の汚れ度合いがどの程度改善したのかを、目視で判断した結果を示したものである。
切替後の規制ブレード電圧、現像電圧及び帯電電圧の設定値は、前記図12に示されるような設定値に順次切り替えて行った。印刷時の電圧設定は、帯電電圧が−1000〔V〕、感光体ドラム電圧が−500〔V〕、現像電圧が−200〔V〕、規制ブレード電圧が−300〔V〕である。
汚れの測定は、0〔%〕密度での印刷の途中で画像形成装置100を停止させ、現像後転写前の感光体ドラム1上にあるトナーを粘着テープ(住友スリーエム社製、スコッチメンディングテープ)に付着させた。それ(汚れ採取テープ)を真白な用紙上に貼り付けた。また、比較として、感光体ドラム1上に貼り付けない粘着テープ(比較用テープ)を汚れ採取テープを貼り付けた用紙上に貼り付けた。そして、汚れ採取テープと比較用テープとの色相差を分光測色計(コニカミノルタ製、CM−2600d、測定径=φ8〔mm〕)によって測定した。色相差(L* a* b表色系色度)はΔE=(ΔL2 +Δa2 +Δb2 )1/2 で算出した。
なお、汚れ評価の基準は下記のように判断した。
0≦ΔE<0.5 度合い5
0.5≦ΔE<1.0 度合い4
1.0≦ΔE<1.5 度合い3
1.5≦ΔE<2.0 度合い2
ΔE≧2.0 度合い1
(1)帯電電圧を−900〔V〕(感光体ドラム電圧は−400〔V〕)、現像電圧を−300〔V〕に切り替えた場合、汚れ評価結果における汚れ度合いは悪く、ほとんど改善されなかった。感光体ドラム電圧と現像電圧の電圧差を−100〔V〕(=(−400〔V〕)−(−300〔V〕))と印刷時より小さくしたことによって、現像ローラ12上に付着しているの汚れトナーは廃棄された。しかし、現像器2内に残留している汚れトナーが現像ローラ12上に排出されないため、汚れトナー廃棄量が非常に少なく、廃棄終了後の印刷時において、現像器2内に残像している汚れトナーの一部が、規制ブレード13を通過して感光体ドラム1へ移動し、これにより、汚れが発生したと考えられる。
(2)規制ブレード電圧のみを−500〔V〕に切り替えた場合、汚れは若干改善された。規制ブレード電圧と現像電圧との電圧差を−300〔V〕(=(−500〔V〕)−(−200〔V〕))として、現像ローラ12に対する規制ブレード13側の電界をトナー正規帯電と同極性で大きくしたことによって、現像器2内の汚れトナーが規制ブレード13を通過して現像ローラ12上へ排出される確率が増加し、感光体ドラム1へ移動して廃棄される汚れトナー量が増えたと考えられる。
(3)規制ブレード電圧を−500〔V〕に、現像電圧を−300〔V〕に切り替えた場合、規制ブレード電圧のみ切り替えた場合と比較して、汚れ評価結果における汚れ度合いが良化した。規制ブレード電圧と現像電圧との電圧差を、−200〔V〕(−(−500〔V〕)−(−300〔V〕))と印刷時より大きくしたことによって、現像器2内の汚れトナーが規制ブレード13を通過して現像ローラ12上へ排出される確率が増加し、さらに、感光体ドラム電圧と現像電圧との電圧差が−400〔V〕(=(−700〔V〕)−(−300〔V〕))と印刷時より小さくなったことにより、現像ローラ12上に付着した汚れトナーが感光体ドラム1へ移動して廃棄される量が増加したためと考えられる。
(4)規制ブレード電圧を−500〔V〕に、帯電電圧を−900〔V〕(感光体ドラム電圧は−400〔V〕)に切り替えた場合、規制ブレード電圧と現像電圧を切り替えた場合とほぼ同等の汚れ評価結果における汚れ度合いとなった。規制ブレード電圧と現像電圧との電圧差を−300〔V〕(=(−500〔V〕)−(−200〔V〕))と大きくした状態で、感光体ドラム電圧と現像電圧との電圧差を−200〔V〕(=(−400〔V〕)−(−200〔V〕))と小さくしたことによって、現像器2内から排出され、現像ローラ12上に付着している汚れトナーが感光体ドラム1へ移動して、廃棄される確率が高くなったためと考えられる。
(5)規制ブレード電圧を−500〔V〕、現像電圧を−300〔V〕、及び、帯電電圧を−900〔V〕(感光体ドラム電圧は−700〔V〕)に切り替えた場合、汚れ評価結果における汚れ度合いが更に良化した。規制ブレード電圧と現像電圧との電圧差を−200〔V〕(=(−500〔V〕)−(−300〔V〕))と大きくし、さらに、感光体ドラム電圧と現像電圧との電圧差を、−100〔V〕(=(−400〔V〕)−(−300〔V〕))と小さくしたことによって、現像器2内の汚れトナーを現像ローラ12へ排出する確率と、現像ローラ12から感光体ドラム1へ汚れトナーが移動する確率とがともに高くなったためと考えられる。
(6)電圧変更期間を設けない場合、汚れ度合いが1であった。ただし、汚れ評価結果としては、前記(1)の場合よりも悪かった。
なお、前記(1)の場合には、現像電圧及び帯電電圧を変更しているが、規制ブレード電圧と現像電圧との電位差が大きくされるものではないので、汚れトナーが規制ブレード13を通過することができない。
また、前記(2)の場合には、規制ブレード電圧と現像電圧との電位差が大きくされるため、汚れトナーが規制ブレード13を通過しやすくなる。
さらに、前記(3)の場合には、規制ブレード電圧に加え、現像電圧が変更されるので、画像形成時よりも現像電圧と規制ブレード電圧との電位差が大きく、かつ、現像電圧と感光体ドラム電圧との電位差が小さくされるので、汚れトナーが規制ブレード13を通過しやすくなり、かつ、汚れトナーがより選択的に感光体ドラム1に付着する(現像電圧と感光体ドラム電圧との電圧差が大きいと、汚れトナーが感光体ドラム1側に移動しにくくなる)。
さらに、前記(4)の場合には、規制ブレード電圧に加え、帯電電圧(感光体ドラム電圧)が変更されるので、前記(2)の場合に比べ、現像電圧と感光体ドラム電圧との電位差が小さくなり、汚れトナーがより選択的に感光体ドラム1に付着する(現像電圧と感光体ドラム電圧との電圧差が大きいと、汚れトナーが感光体ドラム1側に移動しにくくなる)。
さらに、前記(5)の場合には、規制ブレード電圧、現像電圧及び帯電電圧の3つが変更されるので、汚れトナーが規制ブレード13を通過しやすくなり、かつ、汚れトナーがより選択的に感光体ドラム1に付着する(現像電圧と感光体ドラム電圧との電圧差が大きいと、汚れトナーが感光体ドラム1側に移動しにくくなる)。
本実施の形態において、規制ブレード電圧Vbl−2は−500〔V〕であり、感光体ドラム電圧Vdr−2は−400〔V〕であり、規制ブレード電圧の絶対値よりも感光体ドラム電圧の絶対値の方が小さくされる。そのため、規制ブレード13に保持される帯電量が低いトナーや逆帯電のトナーに対して電荷が注入され、一方、規制ブレード13を通過して現像ローラ12に保持されるトナーのうち、感光体ドラム1へ移動せずに現像ローラ12に保持される正常に帯電したトナーに対しては、感光体ドラム1からの電荷注入が行われないため、過剰に帯電することがない。
また、規制ブレード13と感光体ドラム1との間に、現像ローラ12と感光体ドラム1との対向部よりも上流側で現像ローラ12から離間する汚れトナーがあったとしても、規制ブレード13側ではなく、感光体ドラム1側に引き付けられる。
さらに、規制ブレード13を通過して現像ローラ12に保持される汚れトナーは、規制ブレード13を通過しても、規制ブレード電圧の絶対値よりも感光体ドラム電圧の絶対値の方が小さい感光体ドラム1に対しては移動する。そのため、汚れトナーを、規制ブレード13を通過させ、感光体ドラム1へ移動させやすくなる。
以上説明した実験結果は、電圧設定の組合せの一例を示すものに過ぎない。規制ブレード電圧と現像電圧との電圧差、又は、感光体ドラム電圧と現像電圧との電圧差が汚れトナーの移動の度合いに関係するため、各電圧の設定値を変えると汚れ改善の効果の程度は変化するが、上記の実験結果は、汚れトナー廃棄による汚れ改善の効果について、規制ブレード電圧を切り替えるのみで、ある程度の効果が得られ、さらに、現像電圧、帯電電圧を切り替えることで、より大きな効果が得られることを示していると考えられる。
さらに、供給電圧を変えることが好ましい。その際、画像形成時には、現像電圧よりも絶対値が高い電圧(例えば、Vsp−0=−300〔V〕)とし、電圧変更期間では現像電圧よりも絶対値が高く電圧差が大きい電圧(例えば、Vsp−2=−500〔V〕)にする。この場合、トナー供給ローラ18からも現像ローラ12に対して汚れトナーを移動させることができるため、トナー供給ローラ18近傍の汚れトナーの廃棄も可能となる。
そのため、一度の汚れトナー廃棄で現像器2全体の汚れトナーを廃棄することができるので、一度、汚れトナーを廃棄すれば、次に廃棄するまでの間隔を伸ばすことができ、電圧変更期間を設ける間隔を長くすることができる。なお、この例において、供給電圧は規制ブレード電圧と同じ電圧となっている。この場合、規制ブレード電圧と供給電圧との電源を共通にすることができる。さらに、この例に限らず、例えば、Vsp−0=−350〔V〕、Vsp−2=−550〔V〕というように、規制ブレード電圧と異なるものであってもよい。
本実施の形態の説明は、一例に過ぎないものであり、各電圧の設定値もこれに限ったものではない。トナーの帯電特性、各ローラの物性等のプロセス条件や、温度、湿度等の使用条件、又は、使用電源の電圧出力範囲等に合わせて、汚れトナーが良好に廃棄されるような電圧値に適宜設定することができる。
また、汚れトナー廃棄の実行タイミングが、印刷ジョブ中の印刷動作が終了した後である例について説明したが、印刷ジョブ中の印刷動作が開始される前であってもよい。あるいは、印刷ジョブの間に、独立してトナー廃棄の動作を起動させてもよい。印刷ジョブの都度、短時間トナー廃棄の動作を起動させてもよい。例えば、500枚等所定の印刷枚数の間隔毎にトナー廃棄の動作を起動させてもよい。さらに、操作パネルに起動ボタンを設け、ユーザ操作によって手動でトナー廃棄の動作を起動させることもできる。
以上説明したように、本実施の形態においては、規制ブレード電圧を切り替えることを前提で、電圧差が汚れトナーを廃棄することが可能なように、現像電圧及び帯電電圧を変化させるようになっている。そこで、電圧差を設ければよく、以下のように、序列をメインにしたものとすることもできる。
汚れトナー廃棄時には、規制ブレード電圧の絶対値が現像電圧の絶対値よりも大きく、かつ、画像形成時の電位差よりも大きい。そのため、画像形成時に比べ、汚れトナーが現像ローラ12ヘ移動する。
さらに、現像電圧と感光体ドラム電圧との関係では、該感光体ドラム電圧の絶対値の方が大きく、かつ、画像形成時の電位差よりも小さい。そのため、正規に帯電しているトナーを現像ローラ12に保持したまま、過剰帯電している汚れトナーを選択的に移動させ、さらに、画像形成のときの電位差よりも小さいために、画像形成時よりも、感光体ドラム1側に過剰帯電トナーを移動させやすくすることができる。
したがって、規制ブレード電圧、現像電圧及び感光体ドラム電圧の関係が、感光体ドラム電圧の絶対値>現像電圧の絶対値、及び、規制ブレード電圧の絶対値>現像電圧であり、画像形成時に比べ、規制ブレード電圧と現像電圧との電位差が大きければよい。また、画像形成時に比べ、感光体ドラム電圧と現像電圧との電位差が小さければ更に好ましい。なお、ここでは、感光体ドラム電圧を希望の電圧にするようになっているが、そのために帯電電圧を変えることで感光体ドラム電圧を変えている。
このように、本実施の形態においては、印刷時と汚れトナー廃棄時とで電圧設定値を切り替え、汚れトナー廃棄時の印加電圧を現像器2内に残留している高帯電トナー及び帯電しやすいトナーが現像ローラ12ヘ排出される効率が増加するように設定する。これにより、劣化した汚れトナーを効率良く現像器2から廃棄することができ、汚れのない良好な品質の出力画像を得ることができる。
ところで、本実施の形態においては、前述のように、非画像形成時に規制ブレード電圧を切り替え、画像形成時に対して高い電圧を印加することを基本としているが、これを変形することもできる。そこで、以下に変形例について説明する。該変形例においては、現像ローラ12と規制ブレード13とのバイアスの序列が、現像電圧<規制ブレード電圧となるように現像電圧を変更する。その際、現像ローラ12からのトナーが付着されるように、感光体ドラム電圧も変更する。
具体的には、非画像形成時における汚れトナー廃棄時に、規制ブレード電圧は変更しない。その際、規制ブレード電圧と現像電圧との電位差が大きくなるようにする。例えば、Vbl−0が−300〔V〕のとき、Vbl−2が−300〔V〕(=Vbl−0)であり、Vdv−0が−200〔V〕であるが、Vdv−2を−100〔V〕とする。すなわち、|Vbl−2|>|Vdv−2|となるようにする。
ところで、Vdr−0が−500〔V〕であるので、現像電圧と感光体ドラム電圧との電位差が画像形成時の電位差よりも小さい方が好ましい。そのため、例えば、Vdr−2は−200〔V〕となるように、帯電電圧を−700〔V〕にすればよい。
前述のように、|Vbl−2|>|Vdv−2|であって、電位差が画像形成時よりも大きいのであれば、汚れトナーが規制ブレード13に引き付けられない。さらに、|Vdr−2|>|Vdv−2|であって、電位差が画像形成時よりも小さいのであれば、規制ブレード13を通過した汚れトナーを感光体ドラム1側に廃棄することができる。よって、|Vbl−2|>|Vdv−2|で、かつ、|Vdr−2|>|Vdv−2|であれば現像器2内の汚れトナーを廃棄することができる。そのため、本実施の形態及び本変形例は、一例であって、|Vbl−2|>|Vdv−2|で、かつ、|Vdr−2|>|Vdv−2|となるために、必要に応じて、規制ブレード電圧、現像電圧及び感光体ドラム電圧を画像形成時と非画像形成時とに応じて変更すればよい。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図18は本発明の第3の実施の形態における画像形成装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
本実施の形態においては、帯電電圧制御部21、現像電圧制御部22及び規制ブレード電圧制御部23に、電圧切替部51が接続されている。該電圧切替部51は、印刷電圧設定部52と、かぶりトナー廃棄電圧設定部53と、汚れトナー廃棄電圧設定部54とを備え、記録制御部30からの指示に従い、帯電電圧制御部21、現像電圧制御部22及び規制ブレード電圧制御部23に通知する電圧設定値を、印刷電圧設定部52に保持されている印刷電圧と、かぶりトナー廃棄電圧設定部53に保持されているかぶりトナー廃棄電圧と、汚れトナー廃棄電圧設定部54に保持されている汚れトナー廃棄電圧とに切り替える。帯電電圧制御部21、現像電圧制御部22及び規制ブレード電圧制御部23は通知された電圧設定値に基づき電圧を出力する。
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本実施の形態における画像形成装置100の動作について説明する。なお、印刷工程における動作については、前記第1及び第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
本実施の形態においては、帯電電圧、現像電圧及び規制ブレード電圧を、印刷電圧からかぶりトナー廃棄電圧及び汚れトナー廃棄電圧に切り替えることによって、印刷時以外の期間でかぶりトナー及び汚れトナーの双方を選択的に廃棄するようになっている。
なお、かぶりトナー廃棄時の感光体ドラム電圧、現像電圧及び規制ブレード電圧の順序関係は前記第1の実施の形態と同様であり、汚れトナー廃棄時の感光体ドラム電圧、現像電圧及び規制ブレード電圧の順序関係は前記第2の実施の形態と同様であるので、設定電圧の説明は省略する。
次に、かぶりトナー及び汚れトナー廃棄時における各部の動作タイミングについて説明する。
図19は本発明の第3の実施の形態におけるかぶりトナー及び汚れトナー廃棄時の動作タイミングを示すタイムチャートである。
まず、記録制御部30からの印刷ジョブ開始信号に従って印刷のジョブが開始され、IDモータ17がonに切り替わり(t7)、感光体ドラム1、帯電ローラ11、現像ローラ12及びトナー供給ローラ18が回転駆動される。帯電ローラ11へは、回転駆動開始に同期して、印刷時帯電電圧Vch−0が印加される。該印刷時帯電電圧Vch−0の印加によって、感光体ドラム1の表面は印刷時感光体ドラム電圧Vdr−0に帯電される。同時に、t7のタイミングで、現像ローラ12へは印刷時現像電圧Vdv−0が印加され、規制ブレード13へは印刷時規制ブレード電圧Vbl−0が印加され、印刷期間(L0)となる。
続いて、ページ信号及び画像データに従って、LEDヘッド15の発光動作が行われる。LEDヘッド15が発光すると、感光体ドラム1は潜像電圧Vdr−eとなり、トナーが現像されて画像データに応じたトナー像が形成される。そして、送信されたページ分のLEDヘッド15の発光動作が完了すると、印刷期間(L0)が終了する(t8)。
t8において、IDモータ17がonを継続した状態で、帯電電圧は、かぶりトナー廃棄帯電電圧Vch−1に切り替わる。帯電電圧の切り替わりによって、感光体ドラム1の表面の帯電電位はかぶりトナー廃棄感光体ドラム電圧Vdr−1に変化する。同時に、t8のタイミングで、現像電圧はかぶりトナー廃棄現像電圧Vdv−1に切り替わり、規制ブレード電圧はかぶりトナー廃棄規制ブレード電圧Vbl−1に切り替わり、かぶりトナー廃棄期間(L1)となる。なお、かぶりトナー廃棄期間(L1)はt9まで継続する。かぶりトナー廃棄期間(L1)の間は、LEDヘッド15の発光動作が全期間off状熊であり、感光体ドラム1へ潜像は形成されない。
さらに、t9のタイミングで、IDモータ17がonを継続した状態で、帯電電圧は汚れトナー廃棄帯電電圧Vch−2に切り替わる。帯電電圧の切り替わりによって、感光体ドラム1の表面の帯電電位は汚れトナー廃棄感光体ドラム電圧Vdr−2に変化する。同時に、t9のタイミングで、現像電圧は汚れトナー廃棄現像電圧Vdv−2に切り替わり、規制ブレード電圧は汚れトナー廃棄規制ブレード電圧Vbl−2に切り替わり、汚れトナー廃棄期間(L2)となる。汚れトナー廃棄期間(L2)はt10まで継続し、t10において、IDモータ17、帯電電圧、現像電圧及び規制ブレード電圧はoffとなり、印刷のジョブが完了し、次のジョブ信号が送信されるまでoff状態を維持する。汚れトナー廃棄期間(L2)の間は、LEDヘッド15の発光動作が全期間off状態であり、感光体ドラム1へ潜像は形成されない。
ここでは、t8及びt9において現像電圧及び規制ブレード電圧が帯電電圧と同時に切り替わる例について説明したが、感光体ドラム1上においては、帯電ローラ11の位置と現像ローラ12の位置との間で回転移動分の遅延が発生するので、遅延分を考慮して現像電圧の切替タイミングをずらしてもよい。
かぶりトナー廃棄期間(L1)及び汚れトナー廃棄期間(L2)が長い程、かぶりトナー及び汚れトナー廃棄量は増加するが、かぶりトナー廃棄期間(L1)及び汚れトナー廃棄期間(L2)が長すぎると感光体ドラム1の回転数の増加による短寿命化や印刷スループットの低下が発生する。そのため、画像形成装置100の用途等に応じて、かぶりトナー廃棄期間(L1)及び汚れトナー廃棄期間(L2)の長さを適宜設定する必要がある。少なくとも、現像ローラ12及びトナー供給ローラ18の周囲に存在しているかぶりトナー及び汚れトナーを廃棄するために、かぶりトナー廃棄期間(L1)及び汚れトナー廃棄期間(L2)の各々の期間で、現像ローラ12の1周とトナー供給ローラ18の1周とを合わせた時間以上とすることが望ましい。
本実施の形態の説明は、一例に過ぎないものであり、各電圧設定値もこれに限ったものではない。トナーの帯電特性、各ローラの物性等のプロセス条件や、温度、湿度等の使用条件、又は、使用電源の電圧出力範囲等に合わせて、かぶりトナー及び汚れトナーが良好に廃棄されるような電圧値に適宜設定することができる。
また、かぶりトナー及び汚れトナー廃棄の実行タイミングが、印刷ジョブ中の印刷動作が終了した後である例について説明したが、印刷ジョブ中の印刷動作が開始される前であってもよい。あるいは、印刷ジョブの間に、独立してトナー廃棄の動作を起動させてもよい。印刷ジョブの都度、短時間トナー廃棄の動作を起動させてもよい。例えば、500枚等所定の印刷枚数の間隔毎にトナー廃棄の動作を起動させてもよい。さらに、操作パネルに起動ボタンを設け、ユーザ操作によって手動でトナー廃棄の動作を起動させることもできる。また、かぶりトナー廃棄及び汚れトナー廃棄を連続して実行する例について説明したが、例えば、印刷ジョブ中の印刷動作が開始される前にかぶりトナー廃棄を実行し、印刷動作が終了した後に汚れ廃棄を実行する等、かぶりトナー廃棄と汚れトナー廃棄とを切り離して別々のタイミングで実行してもよい。
このように、本実施の形態においては、印刷時と、かぶりトナー廃棄時と、汚れトナー廃棄時とで電圧設定値を切り替え、かぶりトナー廃棄時の印加電圧を現像器2内に残留している低帯電トナー及び逆極性帯電トナーが現像ローラ12ヘ排出される効率が増加するように設定し、かつ、汚れトナー廃棄時の印加電圧を現像器2内に残留している高帯電トナー及び帯電しやすいトナーが現像ローラ12ヘ排出される効率が増加するように設定する。これにより、劣化したかぶりトナー及び汚れトナーの双方を効率良く現像器2から選択して廃棄することができ、かぶりや汚れのない良好な品質の出力画像を得ることができる。
なお、前記第1〜第3の実施の形態においては、本発明をプリンタに適用する例について説明したが、MFP(Multi Function Printer)、ファクシミリ機、複写装置等にも適用することができる。
また、現像装置1台を用いるモノクロプリンタのみならず、現像装置を4台使用して1サイクルで転写を行うタンデム型カラープリンタにも適用することができる。中間転写ベルトを用いて転写を順次4回繰り返してカラー画像を形成する、4サイクルカラープリンタにも利用することができる。
さらに、一成分接触現像方式のプリンタに適用する例について説明したが、一成分非接触現像方式及び二成分現像方式にも適用することができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。