JP2020166118A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トナーの現像性の変化を精度よく推定し、推定結果に基づいて画像形成条件を変更することにより画像濃度の低下やかぶり画像を抑制可能な画像形成装置を提供する。【解決手段】画像形成装置は、画像形成部と、高圧発生回路と、電流検出部と、制御部と、を備える。高圧発生回路は、現像剤担持体に直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を印加する。制御部は、現像電圧を第1現像電圧から第1現像電圧よりもトナーと同極性側に高い第2現像電圧に切り替えて一つの基準画像を形成するとともに、第2現像電圧に切り替えた後の現像電流の最大値を検出し、第2現像電圧に切り替えてから現像電流が最大値に到達するまでの応答時間に基づいてトナーの現像性を推定し、推定されたトナーの現像性に基づいて画像形成条件を変更する現像性推定モードを実行可能である。【選択図】図4
Description
本発明は、像担持体を備えた複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
従来の画像形成装置では、画像形成を繰り返し行う際に、特に画像の印字率(画像形成可能な面積(用紙面積)に対する印字される面積の割合)が低い場合に、現像ローラー(トナー担持体)から感光体ドラム(像担持体)に飛翔して現像に用いられるトナーが少ないために現像装置内のトナー粒子の入れ替わりが少なく、トナーが過剰に帯電し、画像濃度の低下が発生することがある。特に、カラー機のように複数個の現像装置を備えた画像形成装置においては、写真やグラフィック画像のように高い印字率の画像から文字やロゴマークのみのような低い印字率の画像まで対応する必要があり、現像装置毎の印字率のばらつきも大きくなる。
このような場合には、ベタ等の印字率が高いパターンを印字することにより現像ローラーから感光体ドラム側に多量のトナーを飛翔させ、トナーを記録媒体に転写させてトナーを消費することにより緩和することが可能ではあるが、長期にわたりベタパターンを印刷しないで放置した場合には、トナーの消費が行われないまま現像ローラー表面にトナー粒子が湿度等の影響により固着されてしまい、回復しないこともある。
そこで、現像ローラー上のトナーを強制排出する方法が種々提案されており、例えば特許文献1には、非画像形成時に現像ローラーに対して直流電圧に交流電圧を重畳して印加することにより、現像ローラー上のトナーを強制消費する一成分現像式の画像形成装置が開示されている。また、特許文献2には、現像装置の単位駆動時間当たりの画像面積率(平均印字率)を算出し、画像面積率に応じてトナーの強制消費量を変更するようにした画像形成装置が提案されている。
しかしながら、特許文献1の方法では定期的にトナー排出動作を行うため、画像濃度が低下する傾向にない場合でもトナーを排出してしまい、不必要なトナーの消費が増加するという問題点があった。また、特許文献2のように印字率や環境条件を加味してトナー排出動作を行う場合は制御が複雑になるという問題点があった。
一方、トナーの帯電量が不足してトナーの現像性が高くなりすぎている場合は、かぶり画像やトナー飛散が発生するおそれもあった。
本発明は、上記問題点に鑑み、トナーの現像性の変化を精度よく推定し、推定結果に基づいて画像形成条件を変更することにより画像濃度の低下やかぶり画像を抑制可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、画像形成部と、高圧発生回路と、電流検出部と、制御部と、を備えた画像形成装置である。画像形成部は、表面に感光層が形成された像担持体と、像担持体を帯電させる帯電装置と、帯電装置により帯電された像担持体を露光することにより静電潜像を形成する露光装置と、像担持体に対向配置され、トナーを含む現像剤を担持する現像剤担持体を有し、像担持体に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、を含む。高圧発生回路は、現像剤担持体に直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を印加する。電流検出部は、現像剤担持体に現像電圧を印加したときに流れる現像電流を検出する。制御部は、画像形成部および高圧発生回路を制御する。制御部は、現像電圧を第1現像電圧から第1現像電圧よりもトナーと同極性側に高い第2現像電圧に切り替えて一つの基準画像を形成するとともに、第2現像電圧に切り替えた後の現像電流の最大値を検出し、第2現像電圧に切り替えてから現像電流が最大値に到達するまでの応答時間に基づいてトナーの現像性を推定し、推定されたトナーの現像性に基づいて画像形成条件を変更する現像性推定モードを実行可能である。
本発明の第1の構成によれば、現像電圧を第1現像電圧から第2現像電圧に切り替えて一つの基準画像を形成したときの現像電流の応答時間を用いてトナーの現像性を推定する現像性推定モードを実行することにより、トナーの現像性を精度よく推定して画像濃度の低下やかぶり画像が発生しない適切な画像形成条件を設定することができる。従って、画像濃度の低下やかぶり画像等の画像不具合を効果的に抑制することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の内部構造を示す断面図である。画像形成装置100(ここではカラープリンター)本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)1a、1b、1cおよび1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回り方向に回転する中間転写ベルト(中間転写体)8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳される。その後、中間転写ベルト8上に一次転写されたトナー像は、二次転写ローラー9によって記録媒体の一例としての転写紙P上に二次転写される。さらに、トナー像が二次転写された転写紙Pは、定着部13においてトナー像が定着された後、画像形成装置100本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
トナー像が二次転写される転写紙Pは、画像形成装置100の本体下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9と中間転写ベルト8の駆動ローラー11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転可能に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲および下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2cおよび2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3cおよび3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング装置7a、7b、7cおよび7dが設けられている。
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a〜4dから各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、一次転写後に感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等がクリーニング装置7a〜7dにより除去される。
中間転写ベルト8は、上流側の従動ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とに掛け渡されており、駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回り方向に回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで駆動ローラー11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラー9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が転写紙P上に二次転写される。トナー像が二次転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路18に送られて両面に画像が形成された後に)、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
図2は、画像形成装置100に搭載される現像装置3aの側面断面図である。なお、図2は図1の紙面奥側から見た状態を示しており、現像装置3a内の各部材の配置は図1と左右が逆になっている。また、以下の説明では図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aを例示するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
図2に示すように、現像装置3aは、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤という)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって攪拌搬送室21、供給搬送室22に区画されている。攪拌搬送室21および供給搬送室22には、トナーコンテナ4a(図1参照)から供給されるトナーを磁性キャリアと混合して攪拌し、帯電させるための攪拌搬送スクリュー25aおよび供給搬送スクリュー25bがそれぞれ回転可能に配設されている。
そして、攪拌搬送スクリュー25aおよび供給搬送スクリュー25bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向(図2の紙面と垂直な方向)に搬送され、仕切壁20aの両端部に形成された不図示の現像剤通過路を介して攪拌搬送室21、供給搬送室22間を循環する。即ち、攪拌搬送室21、供給搬送室22、現像剤通過路によって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
現像容器20は図2の右斜め上方に延在しており、現像容器20内において供給搬送スクリュー25bの右斜め上方には現像ローラー31が配置されている。そして、現像ローラー31の外周面の一部が現像容器20の開口部20bから露出し、感光体ドラム1aに対向している。現像ローラー31は、図2において反時計回り方向に回転する。
現像ローラー31は、図2において反時計回り方向に回転する円筒状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された複数の磁極を有するマグネット(図示せず)とで構成されている。なお、ここでは表面がローレット加工された現像スリーブを用いているが、表面に多数の凹形状(ディンプル)を形成したものや、表面がブラスト加工された現像スリーブ、更には、ローレット加工や凹形状の形成に加えてブラスト加工を施したものや、メッキ処理を施したものを用いることもできる。
また、現像容器20には規制ブレード27が現像ローラー31の長手方向(図2の紙面と垂直方向)に沿って取り付けられている。規制ブレード27の先端部と現像ローラー31表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
現像ローラー31には、高圧発生回路43(図3参照)により直流電圧Vslv(DC)(以下、Vdcともいう)および交流電圧Vslv(AC)からなる現像電圧が印加される。
図3は、現像装置3aの制御経路を含む画像形成部Pa周辺の部分拡大図である。以下の説明では画像形成部Paの構成および現像装置3aの制御経路について説明するが、画像形成部Pb〜Pdの構成および現像装置3b〜3dの制御経路についても同様であるため説明を省略する。
現像ローラー31は、直流電圧と交流電圧が重畳された振動電圧を生成する高圧発生回路43に接続されている。高圧発生回路43は、交流定電圧電源43aと、直流定電圧電源43bとを備える。交流定電圧電源43aは、昇圧トランス(図示せず)を用いてパルス状に変調した低圧直流電圧から発生させた正弦波の交流電圧を出力する。直流定電圧電源43bは、昇圧トランスを用いてパルス状に変調した低圧直流電圧から発生させた正弦波の交流電圧を整流した直流電圧を出力する。
高圧発生回路43は、画像形成時には交流定電圧電源43aおよび直流定電圧電源43bから直流電圧に交流電圧を重畳させた現像電圧を出力する。電流検出部44は、現像ローラー31に現像電圧が印加されたとき現像ローラー31と感光体ドラム1aの間に流れる電流値(現像電流)を検出する。
クリーニング装置7aは、感光体ドラム1a表面の残留トナーを除去するクリーニングブレード32と、感光体ドラム1a表面の残留トナーを除去するとともに感光体ドラム1a表面を摺擦して研磨する摺擦ローラー33と、クリーニングブレード32および摺擦ローラー33によって感光体ドラム1aから除去された残留トナーをクリーニング装置7aの外部に排出する搬送スパイラル35と、を含む。
次に、画像形成装置100の制御システムについて図3を参照して説明する。画像形成装置100には、CPU等で構成される主制御部80が設けられている。主制御部80は、ROMやRAM等からなる記憶部70に接続される。主制御部80は、記憶部70に格納された制御プログラムや制御用データに基づいて画像形成装置100の各部(帯電装置2a〜2d、現像装置3a〜3d、露光装置5、一次転写ローラー6a〜6d、クリーニング装置7a〜7d、定着部13、高圧発生回路43、電流検出部44、電圧制御部45、時間計測部50等)を制御する。
電圧制御部45は、現像ローラー31に現像電圧を印加する高圧発生回路43を制御する。なお、電圧制御部45は、記憶部70に記憶される制御プログラムで構成されていてもよい。時間計測部50は、後述する現像性推定モードにおいて現像電圧が切り替えられてから現像電流が最大値bに到達する時間tabを計測する。
主制御部80には液晶表示部90、送受信部91が接続されている。液晶表示部90は、ユーザーが画像形成装置100の各種設定を行うためのタッチパネルとして機能するとともに、画像形成装置100の状態、画像形成状況や印字枚数等を表示する。送受信部91は、電話回線やインターネット回線を用いて外部との通信を行う。
本発明の画像形成装置100は、基準画像の形成中に現像電圧を変更し、現像電圧の変更に対する現像電流の応答性を測定することでトナーの現像性を推定する現像性推定モードを実行可能である。
図4は、現像性推定モードの実行時における現像電圧と現像電流の推移を示すグラフである。現像性推定モードが開始されると、主制御部80は時間t1から基準画像の形成を開始する。具体的には、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を0[V]とした状態で、現像ローラー31に第1現像電圧Aを印加する。なお、ここでは現像電圧として直流電圧のみを印加するものとする。
このとき、第1現像電圧Aの印加により現像ローラー31と感光体ドラム1a〜1dとの間に流れる現像電流aを電流検出部44により検出する。図4の例では正帯電性トナーを用い、第1現像電圧Aとしてマイナスの電圧を印加しているため、現像ローラー31上のトナーは感光体ドラム1a〜1dにほとんど移動しない。そのため、検出される現像電流aもほぼ0[μA]となる。
次に、主制御部80は時間t2において第1現像電圧Aから第2現像電圧B(A<B)に切り替える。第2現像電圧Bとして第1現像電圧Aよりもプラス側(トナーと同極性側)に大きい電圧を印加することにより、現像ローラー31上のトナーが感光体ドラム1a〜1dに移動するため、電流検出部44により検出される電流値も現像電流aから現像電流bに変化する。このとき、現像電圧の切り替えタイミングから若干遅れてトナーが移動するため、時間t2から所定時間経過した時間t3で現像電流aから現像電流bに変化する。その後、時間t4で現像電圧の印加を停止し、現像性推定モードを終了する。
ここで、現像ローラー31から感光体ドラム1a〜1dへのトナーの移動し易さは、トナーの現像性(帯電性)によって変化する。即ち、トナーの現像性が高いほどトナーが移動し易いため、現像電圧を切り替えたとき現像電流aから現像電流bに変化するまでの応答時間tabを計測することで、トナーの現像性を推定することができる。
図5は、本実施形態の画像形成装置100における現像性推定モードの制御例を示すフローチャートである。必要に応じて図1〜図4を参照しながら、図5のステップに沿って現像性推定モードの実行手順について詳細に説明する。
図5の制御では、先ず、制御部90は印字命令を受信したか否かを判定する(ステップS1)。印字命令を受信した場合は(ステップS1でYes)通常の画像形成動作によって印字を実行する(ステップS2)。印字命令が送信されない場合は(ステップS1でNo)、現像性推定モードの実行タイミングであるか否かを判定する(ステップS3)。
現像性推定モードは、現像電流の実測値に基づいてトナーの現像性を推定するため精度は高いが、頻繁に実行すると画像形成装置100の画像形成効率を低下させてしまう。一方、実行間隔が開き過ぎると、その間にトナー帯電量やキャリア抵抗の変化が発生して画像品質を損なう可能性がある。そのため、適切なインターバルで現像性推定モードを実行する必要がある。現像性推定モードの実行タイミングとしては、例えば前回の現像性推定モードからの印字枚数が所定枚数に到達したとき、連続印字中であれば印字を中断するか、或いは連続印字の終了後のタイミング等が挙げられる。
現像性推定モードの実行タイミングでない場合は(ステップS3でNo)ステップS1に戻り、印字命令の待機状態に移行する。現像性推定モードの実行タイミングである場合は(ステップS3でYes)、現像性推定モードを開始する(ステップS4)。
具体的には、帯電装置2a〜2dにより感光体ドラム1a〜1dの表面を帯電させず、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を0Vとした状態で、高圧発生回路43によって現像ローラー31に現像電圧を印加して感光体ドラム1a〜1d上に基準画像を形成し、基準画像の形成中に第1現像電圧Aから第1現像電圧Aよりも高電圧の第2現像電圧Bに切り替える(ステップS5)。
そして、基準画像の形成と同時に、現像ローラー31に流れる現像電流の直流成分を電流検出部44によって検出し、第1現像電圧Aを印加しているときの現像電流(最小値)aと第2現像電圧Bに切り替えた後の現像電流(最大値)bを検出する(ステップS6)。また、第2現像電圧Bに切り替えてから最大値bに到達するまでの時間tabを時間計測部50によって計測する(ステップS7)。
次に、主制御部80はtabがk≦tab≦k′の範囲にあるか否かを判定する(ステップS8)。k≦tab≦k′を満たす場合は(ステップS8でYes)、トナーの現像性が適切な範囲にあると推定されるため、ステップS1に戻り印字命令の待機状態に移行する。
k>tab、或いはtab>k′である場合は(ステップS8でNo)、トナーの現像性が高すぎる、或いは現像性が低下していると推定されるため、画像形成条件を変更する(ステップS9)。その後、ステップS1に戻り印字命令の待機状態に移行する。
ステップS9で変更される画像形成条件としては、画像形成時に印加する現像電圧の交流成分のピークツーピーク値(Vpp)、Duty比、周波数f、現像電圧の直流成分Vdc等が挙げられる。具体的には、tab>k′である場合はトナーの現像性が低下しているため、現像電圧の交流成分のVppを高くする、周波数fを低くする、または現像側(プラス側)のDuty比を小さくする。或いは、現像電圧の直流成分Vdcを高くする変更のうち少なくとも1つを実行する。
一方、k>tabである場合はトナーの現像性が高すぎるため、現像電圧の交流成分のVppを低くする、周波数fを低くする、または現像側(プラス側)のDuty比を大きくする。或いは、現像電圧の直流成分Vdcを低くする変更のうち少なくとも1つを実行する。
以上説明したように、現像電圧を第1現像電圧Aから第2現像電圧Bに切り替えて一つの基準画像を形成したときの現像電流の応答時間を用いてトナーの現像性を推定する現像性推定モードを実行することにより、トナーの現像性を精度よく推定して画像濃度の低下やかぶり画像が発生しない適切な画像形成条件を設定することができる。従って、画像濃度の低下やかぶり画像等の画像不具合を効果的に抑制することができる。
基準画像の形成時に印加する第1現像電圧A、第2現像電圧Bの電圧値は特に制限はないが、現像電流の変化が明確に検出できるように、第1現像電圧Aと第2現像電圧Bの電圧差が極力大きくなるように設定することが好ましい。例えば、高圧発生回路43によって出力可能な最小電圧、最大電圧を第1現像電圧A、第2現像電圧Bに設定する方法が挙げられる。
また、上記実施形態では現像性推定モードにおいて基準画像を形成する際の現像電圧として直流電圧のみを印加したが、交流電圧のみを印加することもできる。例えば、図6に示すような矩形波の交流電圧を印加し、交流電圧のピークツーピーク値が最小値(Vppmin)であるときの現像電流aと、最大値(Vppmax)に変化したときの現像電流bとを測定し、最大値(Vppmax)に変化してから現像電流bに到達するまでの応答時間tabを計測することで、直流電圧の場合と同様に現像性推定モードを実行することができる。なお、現像電流a、bの検出、tabの計測を精度よく行うために、交流電圧の周波数を100Hz以下とすることが好ましい。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では正帯電性のトナーを用いた二成分現像方式を例に挙げて説明したが、負帯電性のトナーを用いた二成分現像方式においても全く同様に説明できる。負帯電性のトナーを用いる場合、基準画像の形成時に第1現像電圧Aに比べてトナーと同極性側(マイナス側)に大きい第2現像電圧Bに切り替えればよい。
また、上記実施形態では磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を用いる二成分現像式の画像形成装置100について説明したが、磁性トナーのみからなる磁性一成分現像剤を用いる一成分現像式の画像形成装置100においても同様に適用可能である。
また、上記実施形態では画像形成装置100として図1に示したようなカラープリンターを例に挙げて説明したが、カラープリンターに限らず、モノクロおよびカラー複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等の他の画像形成装置であってもよい。以下、実施例により本発明の効果について更に詳細に説明する。
現像性推定モードの実行と画像濃度との関係についての検証試験を行った。試験方法としては、図1に示したような二成分現像方式の画像形成装置100において、図5に示した現像性推定モードを実行した場合(本発明)と実行しなかった場合(比較例)とで、印字率1%のテスト画像を5000枚印字したときの画像濃度(ID;イメージデンシティ)の推移を測定した。また、1500枚〜4000枚までは低湿環境(10%)において印字を行った。
現像性推定モードの実行タイミングは、印字枚数が500枚に到達する毎とし、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を0Vとした状態で現像ローラー31に第1現像電圧A(−300V)、第2現像電圧B(+500V)を印加して基準画像を形成したときの現像電流を検出した。そして、現像電流が最小値aから最大値bまで到達する時間tabが1msec>tab、25msec<tabであるとき現像電圧の交流成分のVppを変更した。結果を図7に示す。
図7から明らかなように、現像性推定モードを実行した場合(本発明)、図の○のデータ系列は、5000枚まで画像濃度が1.3前後で安定して推移していることが確認された。一方、現像性推定モードを実行しなかった場合(比較例)、図の●のデータ系列は、特に1500枚〜4000枚までの低湿環境(図7のハッチング領域)において画像濃度が低下した。
以上の結果より、現像性推定モードを実行することで、低湿環境においても画像濃度の低下を効果的に抑制できることが確認された。なお、ここでは現像電圧の交流成分のVppを変更した例について示したが、Vppに代えてDuty比、周波数、現像電圧の直流成分Vdcを変更した場合にも同様の効果が確認されている。
本発明は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いる画像形成装置に利用可能である。本発明の利用により、トナーの現像性の変化を精度よく推定し、推定結果に基づいて画像形成条件を決定することにより画像濃度の低下やかぶり画像を効果的に抑制可能な画像形成装置を提供することができる。
1a〜1d 感光体ドラム(像担持体)
2a〜2d 帯電装置
3a〜3d 現像装置
5 露光装置
31 現像ローラー(現像剤担持体)
43 高圧発生回路
43a 交流定電圧電源
43b 直流定電圧電源
44 電流検出部
45 電圧制御部
50 時間計測部
70 記憶部
80 主制御部(制御部)
100 画像形成装置
2a〜2d 帯電装置
3a〜3d 現像装置
5 露光装置
31 現像ローラー(現像剤担持体)
43 高圧発生回路
43a 交流定電圧電源
43b 直流定電圧電源
44 電流検出部
45 電圧制御部
50 時間計測部
70 記憶部
80 主制御部(制御部)
100 画像形成装置
Claims (6)
- 表面に感光層が形成された像担持体と、
前記像担持体を帯電させる帯電装置と、
前記帯電装置により帯電された前記像担持体を露光することにより静電潜像を形成する露光装置と、
前記像担持体に対向配置され、トナーを含む現像剤を担持する現像剤担持体を有し、前記像担持体に形成された前記静電潜像に前記トナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、
を含む画像形成部と、
前記現像剤担持体に直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を印加する高圧発生回路と、
前記現像剤担持体に前記現像電圧を印加したときに流れる現像電流を検出する電流検出部と、
前記画像形成部および前記高圧発生回路を制御する制御部と、
を備えた画像形成装置において、
前記制御部は、前記現像電圧を第1現像電圧から前記第1現像電圧よりも前記トナーと同極性側に高い第2現像電圧に切り替えて一つの基準画像を形成するとともに、前記第2現像電圧に切り替えた後の前記現像電流の最大値を検出し、前記第2現像電圧に切り替えてから前記現像電流が最大値に到達するまでの応答時間に基づいて前記トナーの現像性を推定し、推定された前記トナーの現像性に基づいて画像形成条件を変更する現像性推定モードを実行可能であることを特徴とする画像形成装置。 - 前記画像形成条件は、前記現像電圧の交流成分のVpp、周波数、Duty比、若しくは前記現像電圧の直流成分Vdcであり、
前記制御部は、前記応答時間が所定値kよりも短いとき、前記Vppを低くする、前記Vdcを低くする、前記周波数を高くする、或いは前記トナーと同極性側の前記Duty比を大きくする変更のうち少なくとも1つを実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記制御部は、前記応答時間が所定値k′(k<k′)よりも長いとき、前記Vppを高くする、前記Vdcを高くする、前記周波数を低くする、或いは前記トナーと同極性側の前記Duty比を小さくする変更のうち少なくとも1つを実行することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記基準画像を形成する際の前記現像電圧として直流電圧のみを印加することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記基準画像を形成する際の前記現像電圧として交流電圧のみを印加し、前記交流電圧の最小値である前記第1現像電圧から最大値である前記第2現像電圧に切り替わるときの前記現像電流の最大値を検出し、前記第2現像電圧に切り替わってから前記現像電流が最大値に到達するまでの応答時間に基づいて前記トナーの現像性を推定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記基準画像を形成する際の前記現像電圧として周波数が100Hz以下の前記交流電圧を印加することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
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