JP2020204733A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】感光体と転写部を1つのモーターで駆動制御する画像形成装置において、画像形成以外の目的で感光体および前記転写部を同時に駆動する場合に、感光体の劣化低減と、かぶりを防止し、消費を低減する画像形成装置を提供する。【解決手段】感光体と、帯電部と、前記帯電部に帯電電圧を印加する帯電電圧印加部と、露光部と、現像部と、前記現像部に現像電圧を印加する現像電圧印加部と、転写ベルトによりトナー像を記録媒体に転写する転写部と、転写クリーニング部と、前記トナー像を定着する定着部と、搬送部と、前記感光体および前記転写部を同時に駆動するモーターと、制御部とを備え、前記制御部は、画像形成以外の目的で前記感光体および前記転写部を同時に駆動する場合、前記感光体の電位が0Vとなる放電開始電圧未満の電圧を前記帯電電圧印加部に印加させ、前記現像電圧印加部に逆極性の現像電圧を印加させることを特徴とする画像形成装置。【選択図】図5

Description

この発明は、画像形成装置に関する。
従来、SOHOなどの小規模オフィスなどに用いられる廉価な複写機等において、部品点数を極力減らすようなモデルが存在している。
そういった廉価モデルの中には、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、感光体・帯電部・転写部・定着部・搬送部等の各構成要素のいくつかを1つのモーターで駆動制御する画像形成装置が開発されている。
このような1つのモーターで各構成要素のいくつかを駆動制御する画像形成装置は、駆動に必要なモーターの個数が減るため、上述のような廉価モデルとしてコストの削減につながる。
一方、1つのモーターで各構成要素のいくつかを駆動制御する場合には、複数の構成要素が同一駆動されるため、本来、駆動される必要のない構成要素(感光体)も同時に連動して駆動されることとなる。
その際、複数のモーターによる駆動制御(別駆動によるモーター駆動制御)では、起こりえない様々な不具合が生じるおそれがある。
ここで、感光体と、他の構成要素では、別駆動で行うことが一般的であるが、廉価なモデルで必要とされる単一モーターによる同一駆動の場合には、感光体が不必要に駆動(回転)することにより、感光体の表面劣化を引き起こす場合がある。
このような感光体の劣化防止に関連した発明として、画像形成工程の各サイクルの間の時間は、導電性部材に直流と交流の重畳電圧が印加されないようにすることにより、接触帯電方法においても、感光層の摩耗が低減できる電子写真法の発明が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、電子写真感光体が、これに接触配置された帯電用部材から直流電圧のみを印加することにより帯電される電子写真プロセスにおいて、前記電子写真感光体の暗電位が300〜650Vの範囲になるように帯電させることを特徴とする電子写真プロセスの発明が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
特開平7−244419号公報 特開平6−348112号公報
従来、感光体上の電位をトナーが付着しない電位に保つことで、不要なトナーの消費や汚れを防止することが可能となる。
しかしながら、感光体と他の構成要素のいくつかを1つのモーターで駆動制御する画像形成装置の場合、他の構成要素を駆動するごとに感光体への放電が生じるため、感光体の摩耗等による感光体の劣化が加速するおそれがある。
また、画像形成直後には、トナーなどが転写部上に残存しているため、クリーニング処理を行うのが一般的である。
しかしながら、感光体と転写部を1つのモーターで駆動制御する画像形成装置の場合、転写クリーニングをする際に感光体も駆動する必要があるため、感光体の表面の膜が削れることにより、膜減りが増加して感光体が劣化するおそれがある。
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、感光体と転写部を1つのモーターで駆動制御する画像形成装置において、転写クリーニングをする際に、感光体の劣化を低減する画像形成装置を提供することにある。
(1)この発明は、感光体と、前記感光体に接触して帯電する帯電部と、前記帯電部に予め定められた帯電電圧を印加する帯電電圧印加部と、前記感光体に静電潜像を形成する露光部と、前記感光体にトナーを供給して前記静電潜像に対応するトナー像を形成する現像部と、前記現像部に予め定められた現像電圧を印加する現像電圧印加部と、転写ベルトにより前記トナー像を記録媒体に転写する転写部と、前記転写部のクリーニングを行う転写クリーニング部と、前記トナー像を前記記録媒体に加熱定着する定着部と、前記記録媒体を搬送する搬送部と、前記感光体および前記転写部を同時に駆動するモーターと、制御部とを備え、前記制御部は、画像形成以外の目的で前記モーターが前記感光体および前記転写部を同時に駆動する場合、前記感光体の電位が0Vとなる放電開始電圧未満の予め定められた電圧を前記帯電電圧印加部に印加させ、前記現像電圧印加部に画像形成時とは逆極性の現像電圧を印加させることを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
この発明において、「画像形成装置」は、トナーによる像形成に電子写真方式を用いるプリンタなどの複写(コピー機能)機能を有する複写機や複合機、または複写以外の機能をも含むMFP(Multifunctional Peripheral:多機能周辺装置)など、画像を形成して出力する装置である。
実施形態1において、この発明の「感光体」は、感光体ドラム59によって実現する。また、この発明の「帯電部」は、帯電ローラ60によって実現する。また、この発明の「露光部」は、光学系ユニット50によって実現する。また、この発明の「現像部」は、現像ユニット61によって実現する。また、この発明の「転写部」は、1次転写ユニット62によって実現する。また、この発明の「転写クリーニング部」は、廃トナーボックス70によって実現する。また、この発明の「搬送部」は、給送ローラ73,74および排出ローラERによって実現する。
この発明によれば、感光体と転写部を1つのモーターで駆動制御する画像形成装置において、画像形成以外の目的で感光体および前記転写部を同時に駆動する場合に、感光体の劣化を低減しつつ、トナーかぶりを防止し、無駄なトナーの消費を低減する画像形成装置を実現する。
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
(2)この発明による画像形成装置において、前記制御部は、画像形成後に前記転写クリーニング部が前記転写部のクリーニングを行う場合、前記感光体の電位が0Vとなる放電開始電圧未満の予め定められた電圧を前記帯電電圧印加部に印加させ、前記現像電圧印加部に画像形成時とは逆極性の現像電圧を印加させるものであってもよい。
このようにすれば、感光体と転写部を1つのモーターで駆動制御する画像形成装置において、画像形成以外の目的で転写部の感光体および前記転写部を同時に駆動する場合に、感光体の劣化を低減しつつ、トナーかぶりを防止し、無駄なトナーの消費を低減する画像形成装置を実現することができる。
(3)この発明による画像形成装置において、前記感光体は、黒およびカラートナーの各色に対応した複数の感光体を備え、前記転写部は、前記複数の感光体との当接状態を黒色の感光体との当接状態、全色の感光体との当接状態および全色の感光体との離間状態の3種類の当接状態に切り替え可能な中間転写体を備え、前記制御部は、前記中間転写体が前記全色の感光体と当接するとき、前記感光体の電位が0Vとなる放電開始電圧未満の予め定められた電圧を前記帯電電圧印加部に印加させ、前記現像電圧印加部に画像形成時とは逆極性の現像電圧を印加させるものであってもよい。
このようにすれば、感光体と転写部を1つのモーターで駆動制御する画像形成装置において、画像形成以外の目的で中間転写体が前記全色の感光体と当接する場合に、感光体の劣化を低減しつつ、トナーかぶりを防止し、無駄なトナーの消費を低減する画像形成装置を実現することができる。
(4)この発明による画像形成装置において、前記制御部は、前記中間転写体が前記黒色の感光体と当接した後、前記全色の感光体との当接状態を経て、離間状態に切り替えられた場合、前記モーターに前記全色の感光体を駆動させるとともに、前記現像電圧印加部に画像形成時とは逆極性の現像電圧を印加させるものであってもよい。
このようにすれば、感光体と転写部を1つのモーターで駆動制御する画像形成装置において、画像形成以外の目的で中間転写体が黒色の感光体と当接した後、全色の感光体との当接状態を経て、離間状態に切り替えられた場合に、感光体の劣化を低減しつつ、トナーかぶりを防止し、無駄なトナーの消費を低減する画像形成装置を実現することができる。
(5)この発明による画像形成装置において、前記制御部は、予め定められた複数の逆極性の前記現像電圧を前記帯電電圧に応じて段階的に前記現像電圧印加部に印加させるものであってもよい。
このようにすれば、感光体と転写部を1つのモーターで駆動制御する画像形成装置において、予め定められた複数の逆極性の前記現像電圧を前記帯電電圧に応じて段階的に前記現像電圧印加部に印加させることで、感光体の劣化を低減しつつ、トナーかぶりを防止し、無駄なトナーの消費を低減する画像形成装置を実現することができる。
(6)この発明による画像形成装置において、前記制御部は、前記感光体の駆動量を算出し、前記帯電電圧に応じて予め定められた係数を前記駆動量に積算して得られた値に基づき、前記帯電電圧を前記帯電電圧印加部に補正させるものであってもよい。
このようにすれば、感光体と転写部を1つのモーターで駆動制御する画像形成装置において、感光体の駆動量に応じて感光体の削れ量を予測し、帯電部に印加すべき帯電電圧を補正することで、感光体の劣化度に応じた適切な帯電電圧を印加する画像形成装置を実現することができる。
(7)この発明による画像形成装置において、温度および湿度を計測する温湿度計測部をさらに備え、前記制御部は、前記感光体の駆動量と、前記温湿度計測部によって計測された前記温度および湿度との少なくとも1つに応じて異なる前記現像電圧を前記現像電圧印加部に印加させるものであってもよい。
このようにすれば、感光体と転写部を1つのモーターで駆動制御する画像形成装置において、前記感光体の駆動量と、前記温湿度計測部によって計測された前記温度および湿度との少なくとも1つに応じて異なる前記現像電圧を前記現像電圧印加部に印加させることで、感光体の劣化を低減しつつ、トナーかぶりを防止し、無駄なトナーの消費を低減する画像形成装置を実現することができる。
(8)この発明による画像形成装置において、前記制御部は、前記帯電電圧に応じて前記帯電電圧を前記帯電電圧印加部に補正させるものであってもよい。
このようにすれば、感光体と転写部を1つのモーターで駆動制御する画像形成装置において、前記帯電電圧に応じて前記帯電電圧を前記帯電電圧印加部に補正させることで、感光体の劣化を低減しつつ、トナーかぶりを防止し、無駄なトナーの消費を低減する画像形成装置を実現することができる。
この発明の実施形態1に係るデジタル複合機の外観を示す斜視図である。 図1のデジタル複合機の内部構成を示す断面図である。 図1のデジタル複合機の概略構成を示すブロック図である。 図1のデジタル複合機の第1可視像形成ユニットの概略構成を示す説明図である。 画像形成の終了後、中間転写ベルト上に付着したトナーをクリーニングするための1次転写ベルトクリーニング時に現像ローラに印加すべき現像電圧の時間依存性を示すタイムチャートである。図5(A)は、従来の現像電圧の時間依存性を示し、図5(B)は、本願発明の現像電圧の時間依存性を示す。 この発明の実施形態2に係るデジタル複合機において、中間転写ベルトと4組の感光体ドラムとの当接状態の切替動作を示す説明図である。 図6(A)は、中間転写ベルトと4組の感光体ドラムとの離間状態を示し、図6(B)は、中間転写ベルトと黒色の感光体ドラムとの当接状態を示し、図6(C)は、中間転写ベルトと4組の感光体ドラムとの全色の当接状態を示す。 この発明の実施形態2に係るデジタル複合機において、ウォームアップ時に転写ベルトの転写位置を切り替える際に、感光体ドラムの駆動および現像ローラに印加すべき現像電圧の時間変化の一例を示すタイムチャートである。 図7(A)は、従来の転写ベルトの転写位置の切替動作の例を示し、図7(B)は、実施形態2の転写ベルトの転写位置の切替動作の例を示す。 この発明の実施形態3に係るデジタル複合機において、黒色濃度補正(プロセスコントロール)を行う際に、感光体ドラムの駆動および現像ローラに印加すべき現像電圧の時間変化の一例を示すタイムチャートである。 この発明の実施形態4に係るデジタル複合機において、感光体ドラムの表面電位の変化に合わせて現像ローラに印加すべき現像電圧の時間変化の一例を示すタイムチャートおよび実施例である。 この発明の実施形態5に係るデジタル複合機において、感光体ドラムの駆動期間(図10(A))および使用環境(図10(B))の変化に応じて現像ローラに印加すべき現像電圧(図10(C))の一例を示す表である。 図11は、この発明の実施形態6に係るデジタル複合機において、現像ローラに印加する現像電圧(V)と帯電ローラに印加すべき帯電電圧の補正係数との関係の一例を示す表である。
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
〔実施形態1〕
<デジタル複合機1の構成>
以下、図1および図2に基づき、この発明の実施形態1に係る画像形成装置の一例としてのデジタル複合機1の概要について説明する。
図1は、この発明の実施形態1に係るデジタル複合機1の外観を示す斜視図である。また、図2は、図1のデジタル複合機1の内部構成を示す断面図である。
デジタル複合機1は、複写機能やスキャナ機能、ファクシミリ機能を有し、原稿から読み取った画像データをデジタル処理して出力する装置である。
デジタル複合機1は、印刷モードとしてコピー(複写)機能、プリント機能、FAX機能を有しており、パネルユニット18(図3)からの操作入力や、パーソナルコンピュータ等の外部装置からの印刷ジョブの受信に応じた印刷機能が、制御部10(図3)によって選択される。
<デジタル複合機1の内部構成>
図2において、デジタル複合機1はカラー複合機であり、光学系ユニット50、第1〜第4可視像形成ユニット51〜54、中間転写ベルト55、2次転写ユニット56、定着部2、内部用紙給送ユニット57および手差し用紙給送ユニット58ならびに排紙トレイ75を備える。
デジタル複合機1は、これら第1〜第4可視像形成ユニット51〜54、中間転写ベルト55および2次転写ユニット56を用いてトナー像を形成する。
光学系ユニット50では、4つのレーザー光源64からのビームが4組の感光体ドラム59,65,66,67に届くように配置される。
第1可視像形成ユニット51は、感光体ドラム59と、帯電ローラ60と、光学系ユニット50と、現像ユニット61aと、1次転写ユニット62aとを有する。
像担持体となる感光体ドラム59の周囲に、帯電ローラ60、現像ユニット61aおよびクリーニングユニット63が配置されている。
これらのユニットにより、感光体ドラム59にトナー像が形成され、トナー像が中間転写ベルト55に転写される。
感光体ドラム59は、トナー像が表面に形成される像担持体であり、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない円筒状、円柱状または薄膜シート状(好ましくは円筒状)の導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含む。
感光体ドラム59は、モーターギヤに係合された感光体ドラム59に取り付けられた図示しない感光体ドラム駆動ギヤによって、図2の紙面に向って反時計周りの方向に、例えば、周速度163mm/sで回転する。
1次転写ユニット62aは、中間転写ベルト55を介して感光体ドラム59に圧接するように配置される。
他の第2〜第4可視像形成ユニット52〜54についても、第1可視像形成ユニット51と同様の構成であるため、説明を省略する。
各ユニット51〜54の現像ユニット61a,61b,61c,61dには、黒色(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のトナーがそれぞれ収容される。
以下、各色の現像ユニット61a,61b,61c,61dを代表して、現像ユニット61と記載することもある。
また、各色の1次転写ユニット62a,62b,62c,62dを代表して、1次転写ユニット62と記載することもある。
中間転写ベルト55は、各色のトナー像が転写され、表面に各色のカラートナー像が重畳される。
中間転写ベルト55は、テンションローラ68,69によって駆動され回動する。
中間転写ベルト55のテンションローラ68側に当接して2次転写ユニット56が配置される。
2次転写ユニット56は、ワイヤコロナチャージャでトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧を転写領域に印加することにより、中間転写ベルト55上に形成されたカラートナー像を内部用紙給送ユニット57および手差し用紙給送ユニット58から、それぞれ給送ローラ73および74によって送られてきた記録媒体31に転写する。
その後、カラートナー像が転写された記録媒体31は定着部2の位置まで搬送される。
また、中間転写ベルト55に当接してテンションローラ69側に配置される廃トナーボックス70には、2次転写後、中間転写ベルト55の表面に残ったトナーが回収される。
定着部2は、2次転写ユニット56の下流側に配置される。
定着部2は、定着ベルト71および加圧ローラ72から構成される。
加圧ローラ72は、図示しない加圧機構により定着ベルト71に所定の圧力で圧接される。
また、定着部2の下流には、排紙トレイ75が設けられている。
次に、図3に基づき、デジタル複合機1の概略構成を説明する。
図3は、図1のデジタル複合機1の概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、デジタル複合機1は、制御部10、画像読取部11、画像形成部12、記憶部13、画像処理部14、通信部15、搬送部16、モーター17、パネルユニット18、電源19および電圧印加部20を備える。
以下、デジタル複合機1の各構成要素を説明する。
制御部10は、デジタル複合機1を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース回路等からなる。
制御部10は、デジタル複合機1全体の動作をコントロールするために、各センサの検知、モーター、クラッチ、パネルユニット18等、あらゆる負荷の監視・制御を行う。
画像読取部11は、原稿セット台に置かれた原稿または用紙トレイから搬送されてきた原稿を検知して読み取り、画像データを生成する部分である。
画像形成部12は、画像処理部14によって生成された画像データを用紙上に印刷出力する部分であり、LSU121を備える。
LSU121は、画像読取部11によって取得されたデジタル信号からなる画像情報に対応するレーザー光を帯電状態にある感光体ドラム59,65,66,67の表面に照射して、静電潜像を形成する装置である。
記憶部13は、デジタル複合機1の各種機能を実現するために必要な情報や、制御プログラムなどを記憶する素子や記憶媒体である。例えば、RAMやROM等の半導体素子、ハードディスク、フラッシュ記憶部、SSD等の記憶媒体が用いられる。
なお、データを保持する領域がハードディスクドライブで、プログラムを保持する領域がフラッシュ記憶部で構成するといったように、プログラムとデータが異なる装置に保持されてもよい。
画像処理部14は、画像読取部11によって読み取られた原稿の画像を適正な電気信号に変換して画像データを生成する部分である。
通信部15は、ネットワーク等を介して、コンピュータや携帯情報端末、外部の情報処理装置やファクシミリ装置等との通信をおこない、メールやFAXなどの種々の情報をこれら外部の通信装置と送受信する部分である。
搬送部16は、手差トレイ、給紙カセットおよび原稿セット台に格納された用紙を画像形成部12まで搬送する部分である。
モーター17は、感光体ドラム59,65,66,67、帯電ローラ60、1次転写ユニット62a,62b,62c,62d、定着部2などの構成要素を駆動するモーターである。
実施形態1において、感光体ドラム59,65,66,67およびその他の構成要素を1つのモーター17で駆動する。
パネルユニット18は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)を備えたユニットであり、表示操作部181および物理操作部182を備える。
表示操作部181は、各種情報の表示を行い、タッチパネル機能によりユーザーからの指令を受け付ける部分である。
表示操作部181は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどで構成され、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアが処理状態など電子的なデータを表示するためのモニタやラインディスプレイなどの表示装置である。
制御部10は、表示操作部181を通じて、デジタル複合機1の動作および状態の表示を行う。
電源19は、デジタル複合機1の各部に電力を供給し、例えば、AT電源、ATX電源、SFX電源などが用いられる。
電源19は、帯電用電源191および現像用電源192を備える。
電圧印加部20は、電圧を印加する部分であり、帯電電圧印加部201および現像電圧印加部202を備える。
帯電電圧印加部201は、予め定められた電圧を帯電ローラ60に印加する。
現像電圧印加部202は、予め定められた電圧を現像ローラ611aに印加する。
<デジタル複合機1の中間転写ベルト55のクリーニング動作>
次に、図4に基づき、デジタル複合機1の中間転写ベルト55のクリーニング動作を説明する。
図4は、図1のデジタル複合機1の第1可視像形成ユニット51の概略構成を示す説明図である。
なお、以下の説明において、第1可視像形成ユニット51を例として説明するが、他の第2〜第4可視像形成ユニット52〜54についても同様である。
図4において、感光体ドラム59は、回転方向R1(紙面に向かって反時計回りの方向)に回転する。
帯電ローラ60は、感光体ドラム59の回転を受けて回転方向R2(紙面に向かって時計回りの方向)に回転する。
実施形態1において、帯電ローラ60は、感光体ドラム59に従動するが、従動でなくてもよい。
画像形成時において、感光体ドラム59の表面は、帯電ローラ60により一様に帯電される。
実施形態1において、感光体ドラム59表面を一様に、またオゾンを極力発生させることなく帯電するために、帯電ローラ方式が採用されている。
また、帯電ローラ方式においては、感光体ドラム59と帯電ローラ60が接触する接触帯電方式と、接触しない非接触帯電方式とが存在し、特に接触帯電方式の場合には、感光体ドラム59と帯電ローラ60との間で、感光体ドラム59から帯電ローラ60への逆電流の流れ込みが発生する場合があり、これは、高電圧基板の故障の原因となるおそれがある。
ここで、従来のスコロトロン帯電方式は、非接触帯電方式であり、上述した感光体ドラム59からの帯電ローラ60への逆電流の流れこみが発生する可能性が低いため、この点を考慮する必要性は低い。
しかしながら、本発明の帯電ローラ方式である接触帯電方式の場合には、感光体ドラム59と帯電ローラ60が接触状態にあるため、帯電ローラ60への逆電流の流れ込みを防止する必要がある。
つまり、帯電ローラ60への逆電流の流れ込みを防止するために、放電開始電圧未満とする制御を行うことが有効である。
図4に示すように、帯電ローラ60は、バネ等の図示しない付勢力により感光体ドラム59の表面に帯電に適した所定の圧力で圧接し、感光体ドラム59の回転に追従的に回転する。
帯電電圧印加部201は、帯電ローラ60の芯金601の部分に帯電用電源191(高圧電源回路)から所定の帯電電圧を印加することにより、感光体ドラム59の表面を所定の電圧(例えば、−0V〜−800V)で帯電させる。
実施形態1において、帯電された感光体ドラム59の表面電位Vdは−600Vである。
光学系ユニット50は、帯電された感光体ドラム59の表面をレーザー光源64からのビームで露光することによって、感光体ドラム59の露光後の表面電位VLを例えば、−100V以下にして、静電潜像を形成する。
実施形態1において、感光体ドラム59の露光後の表面電位VLは−100Vである。
なお、この発明は、正規現像方式および反転現像方式のいずれの方式にも適用可能であるが、実施形態1では、反転現象方式で説明する。
光学系ユニット50からのレーザー光は、不図示のポリゴンミラーや各種レンズを通して、感光体ドラム59へ照射される。
レーザー光源64は画像情報に基づいて制御され、感光体ドラム59の表面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。
現像ユニット61aは、感光体ドラム59上の静電潜像を現像し、トナー像を形成する。
感光体ドラム59上に形成された静電潜像は、現像ユニット61aによってトナーとキャリアを含む現像剤612aにより顕像化され、トナー像が形成される。
図4に示すように、現像ユニット61aは、感光体ドラム59に対向して設けられる現像用のユニットであり、現像剤担持体としての現像ローラ611aは、感光体ドラム59の回転軸に平行な回転軸に回転自在に設けられる。
現像ユニット61aは、例えば硬質の合成樹脂などからなる中空の容器状部材である。現像ユニット61aの中には、前述のようにトナーとキャリアとを含む2成分現像剤が収容されるが、トナーだけを含む1成分現像剤であってもよい。
現像ローラ611aは、極性が異なる磁石部材を略交互に周方向に配置して形成されたマグローラである。
現像ローラ611aは、その磁力によって現像ユニット61a内に収容された現像剤612aを吸着する。
吸着された現像剤612aは、図示しない現像剤規制部材によって所定量の厚さに規制され、現像ローラ611aと感光体ドラム59とが近接する現像ニップ部に運ばれる。
現像電圧印加部202は、現像ローラ611aの芯金613aの部分に現像用電源192(高圧電源回路)から所定の現像電圧を印加することにより、所定の電圧で帯電させる。
実施形態1において、現像ローラ611aの電位Vbは−450Vである。
現像電圧は、感光体ドラム59の非露光部の表面電位Vd(−600V)よりも低い値に設定され、かつ、露光部の表面電位VL(−100V)よりも高い値に設定される。
その結果、感光体ドラム59の帯電極性と同極性(実施形態1では負極性)に帯電したトナーが感光体ドラム59の露光部の表面電位VLに吸着してトナー像を形成する(反転現像)。
一方、感光体ドラム59の非露光部の表面電位Vdは、現像ローラ611aの電位Vbよりも低いため、トナーの付着は防止される。
1次転写ユニット62aの転写ローラ621aには、トナーと逆極性の電圧が印加されており、感光体ドラム59に現像されたトナー像を、1次転写ユニット62aと感光体ドラム59が近接する転写領域で、中間転写ベルト55上に転写する。
実施形態1において、1次転写ユニット62aは、転写ローラ621aを用いた構成となっているが、ベルトやワイヤーであってもよい。
その他の第2〜第4可視像形成ユニット52〜54も同様に動作し、順次、中間転写ベルト55上にトナー像を転写する。
中間転写ベルト55上のトナー像は2次転写ユニット56まで搬送される。
図2に示すように、内部用紙給送ユニット57の給送ローラ73または手差し用紙給送ユニット58の給送ローラ74から、記録媒体31がそれぞれ搬送経路RT1またはRT2を経由して供給される。
そして、トナーとは逆極性の電圧が2次転写ユニット56によって印加され、トナー像が記録媒体31に転写される。
トナー像を担持した記録媒体31は、定着部2に搬送され、定着ベルト71および加圧ローラ72によって十分に加熱され、未定着のトナー像が記録媒体31に溶融・固着し、搬送経路RT4を経由して排出ローラERから排紙トレイ75に排出される。
両面印刷の場合は、定着部2を通過して記録媒体31の表面の画像形成が終了した後、搬送経路RT3を経由して記録媒体31を反転させて裏面の画像形成を行う。
転写後の感光体ドラム59には、中間転写ベルト55に転写されなかった転写残トナーが付着する。
この転写残トナーは、クリーニングユニット63に取り付けられたクリーニングブレード63aによって掻きとられ、クリーニングユニット63内部に、廃トナーとして回収される。
除電ユニット76は、感光体ドラム59の表面の電荷を除去する。
なお、除電ユニット76の位置は、転写後から帯電前であれば、どこでも構わない。
クリーニングローラ77は、帯電ローラ60に対向する位置に設けられ、帯電ローラ60の表面をクリーニングする。
次に、図5に基づき、従来の問題点および実施形態1のデジタル複合機1による改善点について説明する。
図5は、画像形成の終了後、中間転写ベルト55上に付着したトナーをクリーニングするための1次転写ベルトクリーニング時に現像ローラ611aに印加すべき現像電圧の時間依存性を示すタイムチャートである。
図5(A)は、従来の現像電圧の時間依存性を示し、図5(B)は、本願発明の現像電圧の時間依存性を示す。
なお、以下の説明では、1次転写を例にしているが、2次転写も同様である。
(従来の問題点)
従来、画像形成後、中間転写ベルト55上に付着したトナーをクリーニングするため、1次転写ベルトクリーニングを実行し、2次転写後、中間転写ベルト55の表面に残ったトナーが廃トナーボックス70に回収された。
その際、感光体ドラム59と中間転写ベルト55を1つのモーター17で駆動制御する構成においては、1次転写ベルトクリーニングを実行する際に感光体ドラム59も駆動する必要があるため、感光体ドラム59の膜減りが増加して感光体ドラム59が劣化するおそれがある。
図5(A)に示すように、従来、画像形成が終了した後、1次転写ベルトクリーニングの間、現像ローラ611aの電位Vbは、画像形成時と同じ−450Vに保たれていた。
そして、1次転写ベルトクリーニングの終了後、−1300Vの帯電電圧の印加および−450Vの現像電圧の印加を終了するとともに、モーター17の駆動を停止していた。
その結果、画像形成後も1次転写ベルトクリーニングの間、感光体ドラム59を駆動させるため、感光体ドラム59の膜減りが増加するおそれがあった。
一般に、感光体ドラム59の電圧が大きくなるほど、感光体ドラム59の摩耗量が指数関数的に増加する傾向にあることが知られているが、本発明のように放電開始電圧未満印加時の摩耗量は通常の約2割から3割程度に抑えられる。
例えば、感光体の表面電位を−600Vで100K枚印字相当駆動させた場合、感光体は約12μm摩耗し、放電開始電圧未満を印加させて同一量駆動させた場合、感光体の摩耗量は約2μm摩耗する。
これは、帯電電圧が大きいほど、感光体ドラム59への電流の流れ込みによる通電疲労の影響が大きくなり、感光体ドラム59の膜減りが増加するものと考えられるためである。
なお、感光体ドラム59の摩耗量は、印加電圧の大きさ、クリーニングブレード63aの組成等の感光体ドラムプロセスのシステム条件や、感光体ドラム59の組成(材料など)等により変動するため、上記の数値に限定されない。
一方、帯電電圧の印加や放電による感光体ドラム59の摩耗の影響を避けるため、帯電電圧の印加を行わない方法も考えられるが、この場合、現像剤612aが感光体ドラム59に移行するのを防止することができず、現像剤612aの不要な消費が生じてしまう。
また、帯電ローラ60などの接触帯電で構成されるデジタル複合機1の場合、デジタル複合機1の異常停止などの際に、帯電ローラ60を通して逆電流が発生し、高電圧基板の故障が発生するおそれもある。
(実施形態1のデジタル複合機1による改善点)
一方、実施形態1においては、図5(B)に示すように、画像形成が終了した後、ただちに−1300Vの帯電電圧の印加および−450Vの現像電圧の印加を終了する。
なお、高圧スローダウン(高圧立ち下り)後は、帯電電圧は0Vで動作する。
なお、実施形態1において、1次転写ベルトクリーニング中に、より効果的に感光体への帯電疲労を軽減させるため、現像電圧の制御とともに、帯電電圧の立ち下げを直ちに行うように制御を行うこととした。
ただし、現像電圧の印加を完全に終了してしまうと、不要なトナーが感光体ドラム59に付着してしまい、無駄なトナーの消費が起こるおそれがある。
そこで、そのようなトナーかぶりを防止するため、逆極性(すなわち正)の現像電圧を現像ローラ611aに印加する。
実施形態1においては、+50Vの現像電圧を現像ローラ611aに印加している。
そして、1次転写ベルトクリーニングの終了後、+50Vの現像電圧の印加を終了するとともに、モーター17の駆動を停止する。
このようにして、デジタル複合機1の感光体ドラム59および転写ベルト55を1つのモーター17で駆動する構成において、画像形成の終了後、転写クリーニングを実行する際に感光体ドラム59の膜減り等の劣化を低減することが可能なデジタル複合機1を実現することができる。
〔実施形態2〕
次に、図6および図7に基づき、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1において、ウォームアップ時に転写ベルト55の転写位置を切り替える際の動作について説明する。
実施形態2に係るデジタル複合機1の構成は、実施形態1と同一であるため、説明を省略する。
図6は、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1において、中間転写ベルト55と4組の感光体ドラム59,65,66,67との当接状態の切替動作を示す説明図である。
図6(A)は、中間転写ベルト55と4組の感光体ドラム59,65,66,67との離間状態を示し、図6(B)は、中間転写ベルト55と黒色の感光体ドラム67との当接状態を示し、図6(C)は、中間転写ベルト55と4組の感光体ドラム59,65,66,67との全色の当接状態を示す。
実施形態2において、中間転写ベルト55が4組の感光体ドラム59,65,66,67と当接および離間可能に構成されている。
図6に示すように、制御部10は、中間転写ベルト55と4組の感光体ドラム59,65,66,67との当接状態を離間(図6(A))、黒色(図6(B))、全色(図6(C))と、予め定められた順序で切替可能に制御する。
具体的には、制御部10は、図示しないカムの回転により、中間転写ベルト55の状態を図6(A)、(B)、(C)の順に移行させるものとする。
なお、移行させる順番は、図6(A)、(B)、(C)の順に限られず、例えば、図6(A)、(C)、(B)の順に移行させてもよいが、構成上のコスト等に起因して単一方向にのみカムを回転させるものとする。
移行の例としては、以下の例があげられる。
(移行例1)
移行例1として、制御部10は、中間転写ベルト55の状態を離間(基準位置)(図6(A))から黒色(図6(B))、全色(図6(C))の順に移行させる。
すなわち、黒色で印刷した後(図6(B))、全当接状態(図6(C))を経由して、停止状態の基準位置(図6(A))まで中間転写ベルト55の状態を移行させる。
(移行例2)
移行例2として、制御部10は、中間転写ベルト55の状態を黒色(図6(B))から全色(図6(C))、離間(基準位置)(図6(A))、黒色(図6(B))の順に移行させる。
すなわち、黒色での印刷中(図6(B))に紙詰まりや画像濃度調整などが発生し、全当接状態(図6(C))を経由して、離間状態(図6(A))でクリーニングを実行した後で、再度黒色での印刷(図6(B))を実行する。
(移行例3)
移行例3として、制御部10は、中間転写ベルト55の状態を黒色(図6(B))から離間(基準位置)(図6(A))、全色(図6(C))、黒色(図6(B))の順に移行させる。
すなわち、黒色での印刷中(図6(B))に紙詰まりや画像濃度調整などが発生し、離間状態(図6(A))でクリーニングを実行した後で、全当接状態(図6(C))を経由して、再度黒色での印刷(図6(B))を実行する。
上記移行例1,2の黒色(図6(B))から全色(図6(C))への移行の際、および上記移行例3の離間(図6(A))から全色(図6(C))への移行の際に感光体ドラム65,66,67に傷が付くことを防止するため、感光体ドラム65,66,67も駆動させる必要がある。
ところで、従来のデジタル複合機1において電源を落とすと転写位置が記憶されなくなるため、デジタル複合機1の電源をOFFにした場合やデジタル複合機1の所定のドア(図1において、パネルユニット18側の前ドアとその右側のドア)を開いた場合、転写のポジションが不定になる。
それゆえ、電源をONにしたときや、所定のドアを閉めた後のウォームアップ時には、転写ベルトを一周させることでホーム位置に戻して位置合わせを行う必要がある。
その際、図6(C)に示すように、中間転写ベルト55が全色の感光体ドラム59,65,66,67と当接するタイミングがある。
図7は、この発明の実施形態2に係るデジタル複合機1において、ウォームアップ時に転写ベルト55の転写位置を切り替える際に、感光体ドラム59の駆動および現像ローラ611aに印加すべき現像電圧の時間変化の一例を示すタイムチャートである。
図7(A)は、従来の転写ベルト55の転写位置の切替動作の例を示し、図7(B)は、実施形態2の転写ベルト55の転写位置の切替動作の例を示す。
図7の例において、黒色(K)の感光体ドラム59は、転写ポジションが移動すると同時に駆動を開始し、転写ポジションが黒色(K)に戻ったタイミングで駆動停止する。
すなわち、カラーよりも早く駆動を開始し、カラーよりも遅く駆動を停止する。
また、黒色(K)の感光体ドラム59の高圧動作については、カラーと同様である。
図7の例において、転写ベルト55の転写位置を黒色(K)の当接状態から、離間(Free)状態に移行し、その後、全色(カラー)の当接状態を経て、再び黒色(K)の当接状態に切り替えた場合を想定する。
従来の切替動作において、転写ベルト55の転写位置が離間状態から、全色の当接状態に移行したとき、全色の感光体ドラム59,65,66,67を駆動するとともに、現像ローラ611a,611b,611c,611dに逆極性の現像電圧(例えば、+50V)を印加していた。
その後、全色の当接状態から、再び黒色の当接状態に移行したとき、現像ローラ611a,611b,611c,611dに予め定められた現像電圧(例えば、−450V)まで立ち上げた後、予め定められた時間の経過後に前記逆極性の現像電圧まで再び立ち下げる。
このような現像電圧の立ち上げ・立ち下げを行う理由としては、表面電位0Vで動作する場合のかぶりやキャリア上がりが懸念されていたためである。
そして、転写ベルトが一周してホーム位置に戻ったとき、全色の感光体ドラム59,65,66,67の駆動を停止するとともに、現像ローラ611a,611b,611c,611dへの逆極性の現像電圧の印加を終了し、ウォームアップを完了していた。
(実施形態2のデジタル複合機1による改善点)
一方、実施形態2においては、図7(B)に示すように、転写ベルト55の転写位置が離間状態から、全色の当接状態に移行するまでの動作は従来と同じく、現像ローラ611a,611b,611c,611dに逆極性の現像電圧を印加する。
しかしながら、その後、全色の当接状態から、再び黒色の当接状態に移行したとき、現像電圧の立ち上げ・立ち下げを行わず、現像ローラ611a,611b,611c,611dへの逆極性の現像電圧の印加をただちに終了してウォームアップを完了させる。
このようにすることで、ウォームアップ時に感光体ドラム59,65,66,67の無駄な駆動を減らし、膜減り量を減らすことが可能なデジタル複合機1を実現できる。
また、現像電圧の立ち上げ・立ち下げの時間を省略できるため、ウォームアップの時間短縮にもつながる。
〔実施形態3〕
次に、図8に基づき、この発明の実施形態3に係るデジタル複合機1において、濃度補正を行う際の動作について説明する。
実施形態3に係るデジタル複合機1の構成は、実施形態1と同一であるため、説明を省略する。
また、中間転写ベルト55と4組の感光体ドラム59,65,66,67との当接状態の切替動作を行える点は、実施形態2と同一である。
図8は、この発明の実施形態3に係るデジタル複合機1において、黒色濃度補正(プロセスコントロール)を行う際に、感光体ドラム59の駆動および現像ローラ611aに印加すべき現像電圧の時間変化の一例を示すタイムチャートである。
図8の例において、転写ベルト55の転写位置を黒色(K)の当接状態から、離間(Free)状態に移行し、その後、全色(カラー)の当接状態を経て、再び黒色(K)の当接状態に切り替えた場合を想定する。
なお、図8の全時間を通じて、黒色の感光体ドラム59は駆動し、画像形成用の帯電電圧および現像電圧を印加するものとする。
図8に示すように、転写ベルト55の転写位置が黒色(K)の当接状態から、離間状態に移行し、その後、全色の当接状態に移行する。
全色の当接状態に移行したとき、全色の感光体ドラム59,65,66,67を駆動するとともに、現像ローラ611a,611b,611c,611dに逆極性の現像電圧(例えば、+50V)を印加する。
そして、全色(カラー)の当接状態から再び黒色(K)の当接状態に切り替えたとき、全色の感光体ドラム59,65,66,67の駆動を停止するとともに、現像ローラ611a,611b,611c,611dへの逆極性の現像電圧の印加を終了する。
このようにすることで、黒色濃度補正(プロセスコントロール)を行う際に、感光体ドラム59,65,66,67の無駄な駆動を減らし、膜減り量を減らすことが可能なデジタル複合機1を実現できる。
また、全色(カラー)の当接状態を経由する際に、現像電圧の立ち上げ・立ち下げを行わず、現像ローラ611a,611b,611c,611dへの逆極性の現像電圧の印加のみを行うことで、時間短縮にもなる。
〔実施形態4〕
次に、図9に基づき、この発明の実施形態4に係るデジタル複合機1において、現像電圧の印加動作について説明する。
実施形態4に係るデジタル複合機1の構成は、感光体ドラム59,65,66,67の表面電位を計測する感光体ドラム電位計測部をさらに備える他は、実施形態1と同一であるため、説明を省略する。
なお、デジタル複合機1は、感光体ドラム電位計測部を備える必要はなく、感光体ドラム59,65,66,67の表面電位の測定データに基づいた現像ローラ611aに印加すべき現像電圧の時間変化のデータを記憶部13に記憶させるようにしてもよい。
なお、以下の説明において、第1可視像形成ユニット51の感光体ドラム59および帯電ローラ60を例として説明するが、他の第2〜第4可視像形成ユニット52〜54についても同様である。
実施形態1のデジタル複合機1において、例えば、帯電ローラ60に印加する電圧に対する感光体ドラム59の表面電位Vdは、感光体ドラム59の厚みに依存する。
それゆえ、膜減り等により感光体ドラム59が摩耗すると、摩耗度に応じて帯電ローラ60に印加すべき電圧も変化する。
したがって、感光体ドラム59の駆動による摩耗を反映せずに、帯電ローラ60に不適切な電圧を印加し続けると、出力した記録媒体31の下地にトナーが付着してしまい、無駄なトナーの消費が起こるおそれがある。
このようなトナーかぶりを防止するため、実施形態4においては、感光体ドラム59の表面電位の推移に合わせて現像電圧を段階的に変化させる。
図9は、この発明の実施形態4に係るデジタル複合機1において、感光体ドラム59の表面電位の変化に合わせて現像ローラ611aに印加すべき現像電圧の時間変化の一例を示すタイムチャート(図9(A))および実施例(図9(B))である。
実施形態4において、図9(A)(B)に示すように、画像形成が終了した後、中間転写ベルト55のクリーニングを実行する際に、感光体ドラム電位計測部によって計測された感光体ドラム59の表面電位の推移に合わせて現像電圧を段階的に変化させる。
図9(A)において、逆極性の現像電圧を+50Vおよび+100Vの2段階に変化させて印加しているが、3段階以上に変化させてもよい。
このようにして、デジタル複合機1の感光体ドラム59と転写ベルト55を1つのモーター17で駆動する構成において、感光体ドラム59の摩耗に起因するトナーかぶりを防止し、無駄なトナーの消費を低減するデジタル複合機1を実現することができる。
〔実施形態5〕
次に、図10に基づき、この発明の実施形態5に係るデジタル複合機1において、現像電圧の印加動作について説明する。
実施形態5に係るデジタル複合機1の構成は、デジタル複合機1の周囲の温度および湿度を計測する温湿度センサをさらに備える他は、実施形態1と同一であるため、説明を省略する。
なお、以下の説明において、第1可視像形成ユニット51の感光体ドラム59および帯電ローラ60を例として説明するが、他の第2〜第4可視像形成ユニット52〜54についても同様である。
実施形態5において、現像ローラ611aに印加すべき現像電圧を、感光体ドラム59の駆動期間および使用環境の変化に応じて変化させる。
図10は、この発明の実施形態5に係るデジタル複合機1において、感光体ドラム59の駆動期間(図10(A))および使用環境(図10(B))の変化に応じて現像ローラ611aに印加すべき現像電圧(図10(C))の一例を示す表である。
図10(A)に示すように、感光体ドラム59の駆動期間をその駆動量に応じて、初期、中期および後期の三段階に分け、それぞれに対する係数1を1.0、0.9および0.8とする。
なお、駆動期間の区分は、三段階に限られず、二段階または四段階以上であってもよい。
また、図10(B)に示すように、感光体ドラム59の使用環境に応じて、LL(低温低湿)、RR(中温中湿)およびHH(高温高湿)に分け、それぞれに対する係数2を0.9、1.0および1.1とする。
なお、感光体ドラム59の使用環境は、デジタル複合機1に設けられた温湿度センサにより、周囲の温度および湿度を計測し、計測結果を感光体ドラム59の周辺の使用環境と判定する。
そして、上記のように係数1および係数2を求めた上で、図10(C)に示す式に従って、現像ローラ611aに印加すべき現像電圧を算出する。
例えば、感光ドラム59の駆動期間が中期かつLL(低温低湿)環境にある場合、図10(C)に示す式から、現像ローラ611aに印加すべき現像電圧は、次のようになる。
現像電圧=+50×0.9×0.9=40.5(V)
このようにして、デジタル複合機1の感光体ドラム59と転写ベルト55を1つのモーター17で駆動する構成において、感光体ドラム59の駆動期間および使用環境に応じて、適切な現像電圧が印加されるため、感光体ドラム59の寿命および使用環境に起因するトナーかぶりを防止し、無駄なトナーの消費を低減するデジタル複合機1を実現することができる。
〔実施形態6〕
次に、図11に基づき、この発明の実施形態5に係るデジタル複合機1において、現像電圧の印加動作について説明する。
実施形態6に係るデジタル複合機1の構成は、実施形態1と同一であるため、説明を省略する。
なお、以下の説明において、第1可視像形成ユニット51の感光体ドラム59および帯電ローラ60を例として説明するが、他の第2〜第4可視像形成ユニット52〜54についても同様である。
一般に、現像ローラ611aに印加した現像電圧の大きさに応じて、感光体ドラム59の膜減り量が変化するため、適切な帯電電圧を印加できず、キャリアの消失や無駄なトナーの消費が発生するおそれがある。
キャリアの消失は、キャリア上がりとも呼ばれ、現像電圧と感光体ドラム59上の電位の差が極端に大きいか、または小さい場合に、現像槽内のキャリアが感光体ドラム59に現像されてしまい、現像槽内のキャリアが失われる現象である。
キャリアが失われると、現像槽内のトナー濃度を適切に制御・維持できなくなり、画像の濃度低下が起こり、正常な画像が出力されなくなる。
そこで、実施形態6では、現像電圧の大きさに応じて、帯電ローラ60に印加すべき帯電電圧を補正する。
図11は、この発明の実施形態6に係るデジタル複合機1において、現像ローラ611aに印加する現像電圧(V)と帯電ローラ60に印加すべき帯電電圧の補正係数との関係の一例を示す表である。
図11の表に示すように、現像電圧が0〜650Vの場合、帯電電圧の補正係数は、1.00である。
一方、現像電圧が0V未満(逆極性)の場合は、帯電電圧の補正係数は、0.55となる。
例えば、現像電圧が+50V、帯電電圧が−1300Vの場合、補正後の帯電電圧は、図11の表から次のようになる。
補正後の帯電電圧=−1300×0.55=−715(V)
このようにして、デジタル複合機1の感光体ドラム59と転写ベルト55を1つのモーター17で駆動する構成において、現像ローラ611aに印加する現像電圧(V)に応じて帯電電圧を補正することで、適切な帯電電圧を印加でき、キャリアの消失や無駄なトナーの消費を低減するデジタル複合機1を実現することができる。
この発明の好ましい態様は、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含む。
前述した実施形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
1:デジタル複合機、 2:定着部、 10:制御部、 11:画像読取部、 12:画像形成部、 13:記憶部、 14:画像処理部、 15:通信部、 16:搬送部、 17:モーター、 18:パネルユニット、 19:電源、 20:電圧印加部、 31:記録媒体、 50:光学系ユニット、 51:第1可視像形成ユニット、 52:第2可視像形成ユニット、 53:第3可視像形成ユニット、 54:第4可視像形成ユニット、 55:中間転写ベルト、 56:2次転写ユニット、 57:内部用紙給送ユニット、 58:手差し用紙給送ユニット、 59,65,66,67:感光体ドラム、 60:帯電ローラ、 61,61a,61b,61c,61d:現像ユニット、 62,62a,62b,62c,62d:1次転写ユニット、 63:クリーニングユニット、 63a:クリーニングブレード、 64:レーザー光源、 68,69:テンションローラ、 70:廃トナーボックス、 71:定着ベルト、 72:加圧ローラ、 73,74:給送ローラ、 75:排紙トレイ、 76:除電ユニット、 77:クリーニングローラ、 121:LSU、 181:表示操作部、 182:物理操作部、 191:帯電用電源、 192:現像用電源、 201:帯電電圧印加部、 202:現像電圧印加部、 601:芯金、 611a:現像ローラ、 612a:現像剤、 613a:芯金、 621a:転写ローラ、 ER:排出ローラ、 R1,R2:回転方向、 RT1,RT2,RT3,RT4:搬送経路、 Vb:電位、 Vd,VL:表面電位

Claims (8)

  1. 感光体と、
    前記感光体に接触して帯電する帯電部と、
    前記帯電部に予め定められた帯電電圧を印加する帯電電圧印加部と、
    前記感光体に静電潜像を形成する露光部と、
    前記感光体にトナーを供給して前記静電潜像に対応するトナー像を形成する現像部と、
    前記現像部に予め定められた現像電圧を印加する現像電圧印加部と、
    転写ベルトにより前記トナー像を記録媒体に転写する転写部と、
    前記転写部のクリーニングを行う転写クリーニング部と、
    前記トナー像を前記記録媒体に加熱定着する定着部と、
    前記記録媒体を搬送する搬送部と、
    前記感光体および前記転写部を同時に駆動するモーターと、
    前記感光体、前記帯電部、前記帯電電圧印加部、前記露光部、前記現像部、前記現像電圧印加部、前記転写部、前記転写クリーニング部、前記定着部、前記搬送部、前記モーターを制御して画像形成を行う制御部とを備え、
    前記制御部は、画像形成以外の目的で前記モーターが前記感光体および前記転写部を同時に駆動する場合、前記感光体の電位が0Vとなる放電開始電圧未満の予め定められた電圧を前記帯電電圧印加部に印加させ、前記現像電圧印加部に画像形成時とは逆極性の現像電圧を印加させることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御部は、画像形成後に前記転写クリーニング部が前記転写部のクリーニングを行う場合、前記感光体の電位が0Vとなる放電開始電圧未満の予め定められた電圧を前記帯電電圧印加部に印加させ、前記現像電圧印加部に画像形成時とは逆極性の現像電圧を印加させる請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記感光体は、黒およびカラートナーの各色に対応した複数の感光体を備え、
    前記転写部は、前記複数の感光体との当接状態を黒色の感光体との当接状態、全色の感光体との当接状態および全色の感光体との離間状態の3種類の状態に切り替え可能な中間転写体を備え、
    前記制御部は、前記中間転写体が前記全色の感光体と当接するとき、前記感光体の電位が0Vとなる放電開始電圧未満の予め定められた電圧を前記帯電電圧印加部に印加させ、前記現像電圧印加部に画像形成時とは逆極性の現像電圧を印加させる請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記制御部は、前記中間転写体が前記黒色の感光体と当接した後、前記全色の感光体との当接状態を経て、離間状態に切り替えられた場合、前記モーターに前記全色の感光体を駆動させるとともに、前記現像電圧印加部に画像形成時とは逆極性の現像電圧を印加させる請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記制御部は、予め定められた複数の逆極性の前記現像電圧を前記帯電電圧に応じて段階的に前記現像電圧印加部に印加させる請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
  6. 前記制御部は、前記感光体の駆動量を算出し、前記帯電電圧に応じて予め定められた係数を前記駆動量に積算して得られた値に基づき、前記帯電電圧を前記帯電電圧印加部に補正させる請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
  7. 温度および湿度を計測する温湿度計測部をさらに備え、
    前記制御部は、前記感光体の駆動量と、前記温湿度計測部によって計測された前記温度および湿度との少なくとも1つに応じて異なる前記現像電圧を前記現像電圧印加部に印加させる請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
  8. 前記制御部は、前記帯電電圧に応じて前記帯電電圧を前記帯電電圧印加部に補正させる請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置。
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