JP5143176B2 - 赤外線撮像素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、赤外線撮像素子およびその製造方法に関する。
非冷却型(熱型)赤外線センサは、集光した赤外線を赤外線検出部で吸収して、輻射エネルギーを電気信号に変換するデバイスである。赤外線の吸収材と熱電変換素子を有する検出セルが外系と熱的に隔離されていることが特徴である。このような構造を実現するには、表面微細構造あるいはバルク微細構造形成技術が必要される。非冷却型赤外線センサは高価で大きな冷却器を必要とする冷却型赤外線センサとは異なり、安価で小型化が可能という利点がある。
ここで、熱隔離を行うには、検出セルを真空中に設置することと、検出セルと基板を物理的・電気的に接続する支持構造の熱コンダクタンスを低くすることが重要である。支持構造の熱コンダクタンスは構造が微細であればあるほど小さくなるため、上記構造形成プロセスのデザインルールを縮小することが本センサの感度向上につながる。
従来の技術では、支持脚の断熱性の向上を目的とした微細化の際に、これに伴う厳しい合わせ精度要求を回避するため、内部応力による歪みを抑えるようなロバストな支持脚構造が開示されている(例えば、特許文献1参照。)
また、従来の技術では、支持脚配線部の構成材料を多結晶Siではなく、より熱コンダクタンスの低いチタン/窒可チタン薄膜を用いていることが開示されている。また、支持脚の構造を予め反らしておくことで、支持脚の微細化および薄膜化した場合においても安定したプロセス裕度を提供することが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−178323号公報 特開2006−162470号公報
ここで、従来の技術では、上記特許文献1及び2の何れの文献においても、支持脚の熱コンダクタンスの低減を図る際に、何れもマスクの精度で支持脚配線の微細化が決定され、それ以下のサイズで安定した微細化を図ることが困難であった。
そこで、本発明は、上述の課題を鑑み、支持脚配線の微細化において、マスクの精度に依存しないで、より小さいサイズにて、微細化された支持脚構造の赤外線撮像素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様の赤外線撮像素子は、「基板から離間して設けられ、赤外線を検出して熱に変換する感熱ダイオードと、前記感熱ダイオードの間を分離しているSTIと、を有するSOIと、前記SOI上に積層された層間絶縁膜と、前記感熱ダイオードと前記感熱ダイオードの外周部に設けられた垂直信号線に接続され、前記垂直信号線に信号を伝達する配線部と前記配線部を挟み込む層間絶縁膜と、を有するとともに、前記層間絶縁膜の底辺のいずれもが前記SOIよりも上部に位置している支持脚と、を具備する」ことを特徴としている。
また、本発明の一態様の赤外線撮像素子の製造方法は、「基板上に、赤外線を検出して熱に変換する感熱ダイオードと、酸化膜であるBOXと、前記感熱ダイオードの間を分離しているSTIと、窒化膜であるバリア膜と、を有するSOI上に、BPSGを積層する工程と、前記BPSG上に、層間絶縁膜を積層する工程と、前記層間絶縁膜と前記BPSGと前記SOIをエッチングし、支持脚を形成する工程と、前記基板を異方性エッチングして空洞部を形成する工程と、を具備する」ことを特徴としている。
本発明によれば、支持脚配線の微細化において、マスクの精度に依存しないで、より小さいサイズにて、微細化された支持脚構造の赤外線撮像素子およびその製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る赤外線撮像素子の斜視図である。 第1の実施形態に係る赤外線撮像素子の断面図である。 第1の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。 第1の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。 第1の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。 第1の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。 第1の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。 第2の実施形態に係る赤外線撮像素子の断面図である。 第2の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。 第2の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。 第2の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。 第2の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。 第2の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。 第2の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。 第3の実施形態に係る赤外線撮像素子の斜視図である。 第3の実施形態に係る赤外線撮像素子の断面図である。 第3の実施形態に係る赤外線撮像素子の上面図である。 第3の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。 第3の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。 第3の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。 第3の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。 第3の実施形態に係る赤外線撮像素子の製造方法の断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号が付してある。
図1は、本発明の実施の形態に係る赤外線撮像素子の斜視図である。赤外線撮像素子1は、赤外線が可視光よりも煙及び霧に対して透過性が高いという特長を有しているので、防衛分野や監視カメラや火災検知カメラのように広い分野へ応用されている。ここで、非冷却型の赤外線撮像素子1においては、10μm(マイクロメートル)程度の波長の赤外線が熱に変換され、この微弱な熱により生じる温度変化が電気信号に変換される。この電気信号を読み出すことで、赤外線画像情報が得られる。このような赤外線撮像素子1として、例えば、一定の順方向電流を与えることにより温度変化を電圧変化に変換するシリコンpn接合を用いた赤外線センサが挙げられる。
ここで、図1に示すように、赤外線検知層である感熱ダイオード2が、画素を構成する感熱セルの中心に配置されている。また、感熱ダイオード2を支持する支持脚3が感熱ダイオード2の両端に連結されている。さらに感熱ダイオード2は、支持脚3を介して、感熱ダイオード2からの信号を処理する外周部の垂直信号線4、水平信号線5へと連結されている。
具体的には、外周部の垂直信号線4は、それぞれ、水平方向に沿って配列した感熱ダイオード2の一端にそれぞれに接続されている。また、外周部の垂直信号線5は、垂直方向に沿って配列した感熱ダイオード2の他端に接続されている。なお、感熱ダイオード2として、pn接合を有するpn接合素子が用いられている。よって、垂直信号線4は、このpn接合素子の一端(アノード)に接続され、水平信号線5は、pn接合素子の他端(カソード)に接続されている。
また、感熱ダイオード2及び支持脚3の下部とシリコン基板7との間には、空洞部6が設けられており、感熱ダイオード2が検出した赤外線の熱成分がシリコン基板7の内部に籠らず、熱容量を小さくしている。
さらに、感熱ダイオード2を支持している支持脚3の内部には、その上下を層間絶縁膜9でサンドイッチされて、熱コンダクタンスの低い電気配線8が設けられている。さらに、電気配線8は、上述した層間絶縁膜9の側壁に対し、僅かに内側に後退していた構造となっている。
ここで、支持脚3内の電気配線8は、電気的に垂直信号線4及び水平信号線5に接続されている。また、感熱ダイオード2にはp-n接合が配置されており、順方向特性の温度依存性を利用し、電流一定の条件下で順方向電圧の変化を読み出している。
ここで、一般的な赤外線撮像素子の感度指標であるNETD(Noise Equivalent Temperature Difference)は、
Figure 0005143176
で示される。ここで、ΔTは被写体の温度変化である。つまり、信号のS/Nを向上させることで、感熱ダイオード2の高感度化が実現する。信号成分に相当するVsignalに注目すると、
Figure 0005143176
で示される。ここで、Pは照射赤外線エネルギー(W/m2)、Aは感熱ダイオード2の受光面積(m2)、γは感熱ダイオード2の赤外線の吸収係数、(dV/dT)は感熱ダイオード2の熱電変換効率(V/K)、Gthは支持脚3の熱伝導係数をそれぞれ示している。支持脚3の熱コンダクタンスGthは
Figure 0005143176
で示される。ここで、kは熱伝導係数、Sは支持脚3の断面積(m2)、Lは支持脚3の長さ(m)をそれぞれ示している。
従って、赤外線撮像素子1のVsignalの向上を実現するには、Gthの値を低減することが望ましい。つまり、支持脚3、特にに電気配線8の断面積低減が有効であることがわかる。
しかしながら、前述したように赤外線検知部である感熱ダイオード2の熱容量を低減させるため、感熱ダイオード2および支持脚3の下部はシリコン基板7から分離され、中空構造である空洞部6になっている。つまり、支持脚3は感熱ダイオード2からの熱を伝導する役割の他に、中空構造となっている感熱ダイオード2を機械的に保持する役割がある。従って支持脚3が細ることにより機械強度が低下する。即ち、熱コンダクタンス低減と機械構造としての強度はトレードオフの関係にある。
また、支持脚3のパターニングは、半導体のリソグラフィ技術で形成されるが、支持脚3を微細化するにあたり、プロセスのデザインルールに立則することとなる。
ここで、デザインルールとはLSI の最小加工長、つまりLSI 上の素子の中でもっとも小さく作られている部分の長さのことを言う。近年の微細化技術の発展により最小寸法が100nm以下の加工も可能になってきている。言い換えれば、デバイスを加工する寸法は、デザインルールで定義されたマスクの寸法で決定する。
従って、電気配線8を含む支持脚3の細線化は、このデザインルールに則り、最小寸法が決定される。また、このルールを微細化することでプロセスコストが高騰し、安価な製品を提供することが難しくなっている。
(第1の実施の形態)
本実施形態では支持脚3の厚みを制御性良く薄層化することで、支持脚3の断面積を低減させ、熱コンダクタンスを低減する構造を提供するものである。
図2は、第1の実施の形態に係る赤外線撮像素子の断面構造を示したものである。
図2に示すように、赤外線撮像素子1は、支持脚3及び感熱ダイオード2の下部とシリコン基板7の間は、中空構造となっており、空洞部6が存在する。また、シリコン基板7上には、空洞部6を介して、感熱ダイオード2、BOX12が設けられている。ここで、SOI14とは、Silicon On Insulatorを意味しており、感熱ダイオード2と後述するSTI15を含む層のことをいう。
また、感熱ダイオード2は、P+層とN+層がイオン注入されており、ダイオードとして機能する。ここで、波長8〜12μmの赤外線が、感熱ダイオード2で構成された画素アレイに入射されると、上述した波長帯に吸収ピークを持つ感熱ダイオード2上の後述する層間絶縁膜11によって赤外線が吸収され、感熱ダイオード2の温度が上昇する。よって、感熱ダイオード2は、赤外線が吸収されることによって発生する熱を、電気信号に変換している。
さらに、BOX12は、Barrier Oxideを意味しており、酸化膜のことをいう。BOX12は、STI15及び感熱ダイオード2の下部に配置されている。
また、BOX12上には、STI15が積層されている。ここで、STI15は、Shallow Trench Isolationを意味し、赤外線撮像素子1の感熱ダイオード2を素子分離する役割を果たしている。
また、STI15上には、バリア膜16が積層されている。バリア膜16は、SiNのような窒化物であることから、酸素エッチングした際のバリア膜として機能する。
ここで、バリア膜16上には、層間絶縁膜(BPSG)10が積層されている。層間絶縁膜(BPSG)10には、BPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)を用いている。BPSGは、軟化点が低いため、成長レベルで平坦化効果があり(リフロー)、特に、ゲート等段差のある部分を被服するカバレッジ性に優れ、層間絶縁膜として幅広く用いられている材料である。
また、図2を示すように、後述するエッチング工程によって、BOX12、STI15、バリア膜16と後述する層間絶縁膜(TEOS)11の端部より、支持脚3が存在する方向とは逆の方向に、層間絶縁膜(BPSG)10の端部がエッチングされて後退している。
また、層間絶縁膜(BPSG)10上には、層間絶縁膜(TEOS)11が複数段積層されている。ここで、層間絶縁膜(TEOS)11とは、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)を意味する。
さらに、感熱ダイオード2上と層間絶縁膜(TEOS)11の間に、Al配線13が設けられている。Al配線13は、垂直方向のビアと水平方向の配線にて構成され、感熱ダイオード2で赤外線の熱から電気に変換した電気信号を、支持脚3内の電気配線8を介して、外部の垂直信号線4及び水平信号線5に送るために、感熱ダイオード2とコンタクトを形成している。
ここで、図1に示すように、支持脚3を構成する部位の上下層に空洞部6が設けられていることから、支持脚3の断面積の低減が図られていることが分かる。さらに、層間絶縁膜(BPSG)10の端部が、支持脚3が存在する方向とは逆の方向に、エッチングされて後退していることから、従来、犠牲層の機能を果たしていた層間絶縁膜が、エッチング後も残っていることが分かる。
次に、第1の実施の形態に係る赤外線撮像素子の製造方法について図3〜図7を参照して説明する。
図3(a)では、汎用のCMOSプロセスを用い、感熱ダイオード2にPN接合が形成された後の断面形状を示している。Si基板7上に、BOX12が積層されている。また、BOX12上には、感熱ダイオード2、SOI14、STI15がそれぞれ形成されている。さらに、バリア膜16が、感熱ダイオード2、SOI14、STI15を覆うように形成されている。
ここで、STIは画素、及びトランジスタの素子分離の機能を果たしているが、支持脚3を形成するパターンで形成され、支持脚3に相当する部位は、Siにて形成される。
次に、図3(b)では、支持脚3に相当する部位のゲートを保護するSiN等のバリア膜16の選択エッチングを行った工程を示している。図3(b)に示すように、支持脚3に相当する部位以外の部分にレジスト20を塗布し、リソグラフィ技術を用いて、レジスト20をマスクとしたエッチングを行い、支持脚3に相当する部位のバリア膜16を開口し、除去している。
次に、図3(c)では、層間絶縁膜であるBPSG21をデポジッション(Deposition)して積層し、その表面を平坦化している。ここで、BPSG21とは、BPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)のことをいう。なお、支持脚3に相当する部位は、図3(b)にてバリア膜16がエッチングされて除去されているため、当該BPSG21はSOI14と界面をなしている。
次に、図3(d)では、BPSG21上に、第一層間絶縁膜であるTEOS22を積層し、その表面を平坦化している。
次に、図3(e)では、第一層間絶縁膜であるTEOS22の上に、レジスト23を積層した後、リソグラフィ技術を用いて、レジスト20をマスクとしたエッチングを行い、Al配線13に相当する部位のBPSG21、TEOS22、レジスト23を除去し、開口であるコンタクト・ホール24を形成する。
次に、図4(a)では、開口であるコンタクト・ホール24に、コンタクト25(以下、Al配線13と同等)を埋め込んで形成する。ここで、コンタクト25には、Ti、TiN、W等が用いられる。コンタクト25は、SOI14上に、不純物の注入により形成したデバイス領域に対し、その上に形成した多層配線を電気的につなぐ接続領域であり、感熱ダイオード2の上部とコンタクトを形成し、感熱ダイオード2からの電気信号を外部に伝える機能を果たす。
次に、図4(b)では、下部バリアメタル26、配線27、上部バリアメタル28が順次積層される。ここで、下部バリアメタル26、上部バリアメタル28には、Ti、TiNを用いることができる。また、配線27には、Al-Cuを用いることができる。
ここで、配線27とコンタクト25は、電気的にコンタクトしており、感熱ダイオード2からの電気信号が、配線27を介して外部に伝達されることとなる。
次に、図4(c)では、上部バリアメタル28上にレジスト29を積層した後、リソグラフィ技術を用いて、レジスト29をマスクとしたエッチングを行い、上部バリアメタル28、配線27、下部バリアメタル26をエッチングし、除去している。なお、配線27のエッチングは、Cl系ガス等を用いる。
次に、図4(d)では、レジスト29を除去した後、再び、レジスト30を積層している。なお、SOI14の上部に相当する部位の上部バリアメタル28、配線27、下部バリアメタル26は、レジスト30が積層されないよう、表面に露出している。
次に、図5(a)では、リソグラフィ技術を用いて、レジスト30をマスクとしたエッチングを行い、上部バリアメタル28をエッチングして、除去している。但し、配線27及び下部バリアメタル26は、エッチングされずに残っている。
次に、図5(b)では、リソグラフィ技術を用いて、レジスト30をマスクとしたエッチングを行い、配線27をエッチングして、除去している。但し、下部バリアメタル26は、エッチングされずに残っている。
ここで、図5(a)〜(b)の工程を行うのは、支持脚3の配線の熱コンダクタンスを低減することを目的としているためである。(3)式にて説明したように、支持脚3の熱コンダクタンスを低減するには、熱伝導係数の低い配線材料の使用、長支持脚長化、支持脚断面積の低減が有効的である。
第1の実施の形態実では、電気配線8の熱伝導係数を抑制した材料により構成するために、支持脚3の配線に相当する配線27の上部バリアメタル28(Ti/TiN)と、その下部の配線27を選択的にエッチングすることで、電気配線8を構成する材料を下部バリアメタル28(Ti/TiN)のみで構成することができる。上部バリアメタル26(Ti/TiN)の選択エッチングには、昇温したH2O2(過酸化水素水)等を用いることができる。また、配線27の選択エッチングには、CH3COOH (硝酸)、HNO3 (酢酸)およびH3PO4(リン酸)等の混酸を用いることができる。
次に、図5(c)では、レジスト30を除去した後、第二層間絶縁膜であるTEOS31を2層積層している。ここで、通常のLSIは、配線が垂直方向に多層で構成され、TEOSは層間絶縁膜として、一般的に使われる材料でCVDにより成膜される。
次に、図5(d)では、さらに、第二層間絶縁膜であるTEOS32を2層積層している。
次に、図6(a)では、リソグラフィ技術を用いて、支持脚3に相当する領域を除いた箇所に、レジスト33を塗布する。このようにレジスト33を塗布することにより、支持脚3に相当する領域に対するエッチングが可能となる。
次に、図6(b)では、リソグラフィ技術を用いて、RIEによるディープトレンチを行って、ディープトレンチ開口34を形成している。但し、第一層間絶縁膜であるTEOS21上に残っている下部バリアメタル26まではエッチングが達していない。
次に、図6(c)では、支持脚3に相当する下部バリアメタル26について、RIEによるディープトレンチを行っている。但し、第一層間絶縁膜であるTEOS21まではエッチングが達していない。
次に、図7(a)では、ディープトレンチ開口34の上部のレジスト33を除去している。このレジスト33を除去することにより、支持脚3に相当する領域以外の部分についてのエッチングが可能となる。
次に、図7(b)では、リソグラフィ技術を用いて、レジスト33をマスクとして、RIEによるディープトレンチをさらに行なっている。これにより、ディープトレンチ開口34が、エッチングにより、シリコン基板7にまで達している。また、エッチバックにより、ディープトレンチ開口34の上部のTEOS31、32が除去されている。
最後に、図7(c)では、感熱ダイオード2をシリコン基板7から分離する空洞化工程を行っている。ここでは、エッチング溶液にTMAH(Tetramethyl ammonium hydroxide)を用いる。TMAHはシリコンの異方性エッチングを行うエッチャントとして良く知られている。さらにTMAHは、TEOS等の層間絶縁膜に対し、BPSGの選択比が低く、これによりBPSGのみを選択的に除去することができる。
図7(c)では、図7(b)の工程で、支持脚3と支持脚3の間に貫通孔があり、この貫通穴からTMAHが進行し、その下部のシリコン基板7を逆ピラミッド状にエッチングしている。通常、TMAHはTEOS31、22のような酸化膜に選択比があるが、当該工程にて、層間絶縁膜であるBPSG16が、エッチング・消失し、その端部が後退している。
また、当該工程によって、支持脚3の下層部のSOI14についても、エッチングが進行するため、下部バリアメタル26下部のBPSG21およびSOI14をエッチングにより消失させることができる。この工程により、感熱ダイオード2及び下部バリアメタル26の下部とシリコン基板7の間に、空洞部35が形成される。
図7(c)によって、下部バリアメタル26及びその上下の層間絶縁膜であるTEOS21、22が残り、支持脚3を形成することとなる。
以上、第1の実施の形態では、図3〜図7の工程を行うことで、支持脚の熱コンダクタンスを低減させる施策として、支持脚3の断面積を小さくするため、周囲の層間絶縁膜であるTEOS22、31、32に対し、支持脚3に相当する領域のみをエッチングすることにより、支持脚3を低背化することができる。
また、第1の実施の形態では、支持脚3上部をエッチバックし、厚みを低減することでより熱コンダクタンスを低減することができる。
さらに、第1の実施の形態では、支持脚3の下層部を除去することで、リソグラフィの加工限界によらず、支持脚3の断面積の低減を図ることが可能になる。
さらに、第1の実施の形態では、支持脚3の下層部の除去に当たっては、汎用のCMOSプロセスで形成される材料のみを使用して行うことができ、特殊な膜を用いることがなく、生産性に優れた素子の提供を図ることができる。
(第2の実施の形態)
また、第2の実施の形態について、以下に説明する。
図8は、第2の実施の形態に係る赤外線撮像素子の断面図である。
図8に示すように、第1の実施の形態と同様に、支持脚3及び感熱ダイオード2の下部とシリコン基板7の間は、中空構造となっており、空洞部6が存在する。また、シリコン基板7上には、空洞部6を介して、感熱ダイオード2、SOI14、BOX12が設けられている。
感熱ダイオード2は、P+層とN―層がイオン注入されており、ダイオードとして機能する。BOX12は、STI15及び感熱ダイオード2の下部に配置されている。
さらに、BOX12上には、STI15が積層されている。また、STI15上には、バリア膜16が積層されている。バリア膜16は、SiNのような窒化物であることから、酸素エッチングした際のバリア膜として機能する。
ここで、バリア膜16上には、第1の実施形態と同様に、層間絶縁膜(BPSG)10が積層されている。また、第1の実施の形態と同様に、層間絶縁膜(BPSG)10の端部は、後述するエッチングプロセスによって、BOX12、STI15、バリア膜16と後述する層間絶縁膜(TEOS)11の端部より、支持脚が存在する方向とは逆方向に、エッチングして後退している。
また、層間絶縁膜(BPSG)10上には、層間絶縁膜(TEOS)11が複数段積層されている。さらに、感熱ダイオード2上と層間絶縁膜(TEOS)11の間に、Al配線13が設けられている。
ここで、図8に示すように、支持脚3を構成する部位の上下層に空洞部6が設けられていることから、支持脚3の断面積の低減が図られていることが分かる。さらに、層間絶縁膜(BPSG)10の端部が、支持脚が存在する方向とは逆方向に、エッチングして後退していることから、従来、犠牲層の機能を果たしていた層間絶縁膜が、エッチング後も残っていることが分かる。
さらに、第2の実施の形態では、支持脚3として、電気配線8及びTEOS11の他に、BOX12、STI15、バリア膜16が含まれている。これは、後述する第2の実施の形態の赤外線撮像素子の製造方法によって、バリア膜16とTEOS11の間に存在していた層間絶縁膜(BPSG)10がエッチングによって消失し、その下部の層であるBOX12、STI15、バリア膜16がTEOS11に乾燥工程にてくっついたために、このような構成となっている。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る赤外線撮像素子の製造方法について、図9〜図14を参照して説明する。
図9(a)では、汎用のCMOSプロセスを用い、感熱ダイオード2にPN接合が形成された後の断面形状を示している。Si基板7上に、BOX12が積層されている。また、BOX12上には、感熱ダイオード2、SOI14、STI15がそれぞれ形成されている。さらに、バリア膜16が、感熱ダイオード2、SOI14、STI15を覆うように形成されている。ここで、第1の実施形態と異なる点は、支持脚3を形成する領域にSOI14を形成せず、支持脚3を形成する領域全てに、STI15が埋め込まれている点である。
次に、図9(b)に示すように、バリア膜16の全面に、層間絶縁膜であるBPSG41を塗布して成膜している。ここで、第2の実施形態では、第1の実施形態と異なり、BPSG41の成膜工程にて、支持脚3に相当する領域のバリア膜16を、リソグラフィ技術を用いて、開口していない。
次に、図9(c)では、BPSG41上に、第一層間絶縁膜であるTEOS42を積層し、その表面を平坦化している。
次に、図9(d)では、第一層間絶縁膜であるTEOS42の上に、レジスト43を積層した後、リソグラフィ技術を用いて、エッチングを行い、Al配線13に相当する部位のBPSG41、TEOS42、レジスト43を除去し、開口であるコンタクト・ホール44を形成している。
次に、図9(e)では、開口であるコンタクト・ホール44に、コンタクト45(以下、Al配線13と同等)を埋め込んで形成する。ここで、コンタクト45には、第1の実施形態と同様に、Ti、TiN、W等が用いられる。コンタクト25は、SOI14上に不純物インプラにより形成したデバイス領域に対し、その上に形成した多層配線を電気的につなぐ接続領域であり、感熱ダイオード2の上部とコンタクトを形成し、感熱ダイオード2からの電気信号を外部に伝える機能を果たす。
次に、図10(a)では、下部バリアメタル46、配線47、上部バリアメタル48が順次積層される。ここで、下部バリアメタル46、上部バリアメタル48には、第1の実施形態と同様に、Ti、TiNを用いることができる。また、配線47には、第1の実施形態と同様に、Al-Cuを用いることができる。
次に、図10(b)では、上部バリアメタル48上にレジスト49を積層した後、リソグラフィ技術を用いて、レジスト49をマスクとしたエッチングを行い、上部バリアメタル48、配線47、下部バリアメタル46をエッチングし、除去している。なお、配線47のエッチングは、Cl系ガス等を用いる。
次に、図10(c)では、レジスト49を除去した後、再び、レジスト50を積層している。なお、支持脚3の上部に相当する領域の上部バリアメタル48、配線47、下部バリアメタル46は、レジスト50が積層されないよう、表面に露出している。
次に、図10(d)では、リソグラフィ技術を用いて、レジスト50をマスクとしたエッチングを行い、上部バリアメタル48をエッチングして、除去している。但し、配線47及び下部バリアメタル46は、エッチングされずに残っている。
次に、図11(a)では、リソグラフィ技術を用いて、レジスト50をマスクとしたエッチングを行い、配線47をエッチングして、除去している。但し、下部バリアメタル46は、エッチングされずに残っている。
ここで、図10(c)、図11(a)の工程を行うのは、第1の実施形態と同様に、支持脚3の配線の熱コンダクタンスを低減することを目的としているためである。(3)式にて説明したように、支持脚3の熱コンダクタンスを低減するには、熱伝導係数の低い配線材料の使用、長支持脚長化、支持脚断面積の低減が有効的である。
第2の実施の形態では、電気配線8の熱伝導係数を抑制した材料により構成するために、支持脚3の配線に相当する配線47の上部バリアメタル48(Ti/TiN)と、その下部の配線47を選択的にエッチングすることで、電気配線8を構成する材料を下部バリアメタル48(Ti/TiN)のみで構成することができる。上部バリアメタル46(Ti/TiN)の選択エッチングには、昇温したH2O2(過酸化水素水)等を用いることができる。また、配線47の選択エッチングには、CH3COOH (硝酸)、HNO3 (酢酸)およびH3PO4(リン酸)の混酸を用いることができる。
次に、図11(b)では、レジスト50を除去した後、第二層間絶縁膜であるTEOS51を2層積層している。
次に、図11(c)では、さらに、第二層間絶縁膜であるTEOS52を2層積層している。
次に、図12(a)では、リソグラフィ技術を用いて、支持脚3に相当する領域を除いた箇所に、レジスト53を塗布する。このようにレジスト53を塗布することにより、支持脚3に相当する領域に対するエッチングが可能となる。
次に、図12(b)では、リソグラフィ技術を用いて、RIEによるディープトレンチを行って、ディープトレンチ開口54を形成している。但し、第一層間絶縁膜であるTEOS42上に残っている下部バリアメタル46まではエッチングが達していない。
次に、図12(c)では、支持脚3に相当する下部バリアメタル46について、RIEによるディープトレンチを行っている。但し、第一層間絶縁膜であるTEOS42まではエッチングが達していない。
次に、図13(a)では、ディープトレンチ開口54の上部のレジスト53を除去している。このレジスト53を除去することにより、支持脚3に相当する領域以外の部分についてのエッチングが可能となる。
次に、図13(b)では、リソグラフィ技術を用いて、レジスト53をマスクとして、RIEによるディープトレンチをさらに行なっている。これにより、ディープトレンチ開口54が、エッチングにより、シリコン基板7にまで達している。また、エッチバックにより、ディープトレンチ開口54の上部のTEOS52、51が除去されている。
次に、図13(c)では、感熱ダイオード2をシリコン基板7から分離する空洞化工程を行っている。ここでは、第1の実施の形態と同様に、エッチング溶液にTMAHを用いる。TMAHはシリコンの異方性エッチングを行うエッチャントとして良く知られているが、BPSGについてもエッチングされることが知られている。
図13(c)では、図13(b)の工程で、支持脚3と支持脚3の間に貫通孔があり、この貫通穴からTMAHが進行し、その下部のシリコン基板7を逆ピラミッド状にエッチングしている。通常、TMAHはTEOS51、42のような酸化膜に選択比があるが、当該工程にて、層間絶縁膜であるBPSG41が、エッチング・消失し、その端部が内部に後退している。
また、第2の実施の形態では、当該工程によって、支持脚3を構成するTEOS51、下部バリアメタル46、TEOS42の下部の層であるBPSG41がエッチングにより消失するため、支持脚3を構成するTEOS42と、バリア膜16との間に空洞部55が形成されることとなる。さらに、当該工程により、感熱ダイオード2及び下部バリアメタル46の下部とシリコン基板7の間に、空洞部56が形成される。
最後に、図14(a)では、素子の乾燥工程において、支持脚3の応力により、バリア膜16及びSTI15が、第一層間絶縁膜であるTEOS42に引き付けられて、TEOS42とバリア膜16とが結合する。この乾燥工程によって、図13(c)の工程にて存在していた空洞部55がなくなっている。
図14(a)によって、下部バリアメタル46及びその上下の層間絶縁膜であるTEOS51、42、結合されたバリア膜16、STI15が残り、それぞれが支持脚3を形成することとなる。
以上、第2の実施の形態では、図9〜図14の工程を行うことで、支持脚3の熱コンダクタンスを低減させる施策として、支持脚3の断面積を小さくするため、周囲の層間絶縁膜であるTEOS42、51、52に対し、支持脚3に相当する領域のみをエッチングすることにより、支持脚3を低背化することができる。
また、第2の実施の形態では、支持脚3上部をエッチバックし、厚みを低減することでより熱コンダクタンスを低減することができる。
さらに、第2の実施の形態では、支持脚3の下層部の除去に当たっては、汎用のCMOSプロセスで形成される材料のみを使用して行うことができ、特殊な膜を用いることがなく、生産性に優れた素子の提供を図ることができる。
さらに、第2の実施の形態では、予めBPSG41が形成された層に相当する断面積がエッチングにて消失することから、支持脚3の厚み成分が抑制され、支持脚3の断面積が低減され、結果として熱コンダクタンスの低減を実現することができる。
(第3の実施の形態)
さらに、第3の実施の形態について、以下に説明する。
図15は、第3の実施の形態に係る赤外線撮像素子の斜視図、図16は、第3の実施の形態に係る赤外線撮像素子の断面図、図17は、第3の実施の形態に係る赤外線撮像素子の上面図である。
図15に示すように、第3の実施の形態では、感熱ダイオード2の端部から伸びている支持脚3は、感熱ダイオード2に連結している第1の配線層61と、第1の配線層61の垂直方向の上部に存在する第2の配線層62と、第1の配線層61と第2の配線層62とを接合する配線連結部63から構成されている。
つまり、第3の実施の形態では、感熱ダイオード2を支持する支持脚3が、垂直方向に対し、第1の配線層61、第2の配線層62の2層で構成されている。ここで、(3)式で示したように、支持脚3の熱コンダクタンスは、支持脚3の長さが長くなることで低減を図ることができる。支持脚3の配線長を長くすれば感度の向上が望めるが、これを第1、2の実施の形態のように2次元方向で実現した場合、互いに隣接する感熱ダイオード2のセルピッチが広くなり、結果としてチップ面積の増大、すなわちチップコストの増大に繋がる。しかしながら、第3の実施の形態に示すように、支持脚3を垂直方向に伸ばすことにより、セルピッチを変化させること無く、支持脚3の配線長を長くとることが可能になる。
また、配線連結部63は、エッチング前の層間絶縁膜(BPSG)10であり、後述するエッチング工程により、層間絶縁膜(BPSG)10が全てエッチングされず、配線連結部63として機能する部分は、残っている。
第2の配線層62は、外部の信号線に連結され、感熱ダイオード2の電気信号を外部の信号に伝達する。
ここで、配線接続部64は、第1の配線層61及び第2の配線層62にそれぞれ設けられており、配線連結部63よりも大きな面積を有している。これは、後述するエッチング工程において、層間絶縁膜(BPSG)10をエッチングした際に、第1の配線層61と第2の配線層62を繋ぐ配線連結部63を構成する層間絶縁膜(BPSG)10が消失するのを防ぐためである。
ここで、図16に示している本発明の第3の実施の形態に係る赤外線撮像素子の断面図を用いて、詳細を説明する。
図16に示すように、第3の実施の形態は、第1の実施の形態と同様に、支持脚3及び感熱ダイオード2の下部とシリコン基板7の間は、中空構造となっており、空洞部6が存在する。また、シリコン基板7上には、空洞部6を介して、感熱ダイオード2、SOI14、BOX12が設けられている。
感熱ダイオード2は、P+層とN―層がイオン注入されており、ダイオードとして機能する。BOX12は、STI15及び感熱ダイオード2の下部に配置されている。
さらに、BOX12上には、STI15が積層されている。また、STI15上には、バリア膜16が積層されている。バリア膜16は、SiNのような窒化物であることから、酸素エッチングした際のバリア膜として機能する。
ここで、バリア膜16上には、第1の実施形態と同様に、層間絶縁膜(BPSG)10が積層されている。また、第1の実施形態と同様に、層間絶縁膜(BPSG)10の端部は、後述するエッチングプロセスによって、BOX12、STI15、バリア膜16と後述する層間絶縁膜(TEOS)11の端部より、支持脚3が存在する方向とは逆の方向に、エッチングされて後退している。
また、層間絶縁膜(BPSG)10上には、層間絶縁膜(TEOS)11が複数段積層されている。さらに、感熱ダイオード2上と層間絶縁膜(TEOS)11の間に、Al配線13が設けられている。
ここで、図16に示すように、支持脚3を構成する部位の上下層に空洞部6が設けられていることから、支持脚3の断面積の低減が図られていることが分かる。さらに、層間絶縁膜(BPSG)10の端部が、支持脚3が存在する方向とは逆方向に、エッチングして後退していることから、従来、犠牲層の機能を果たしていた層間絶縁膜が、エッチング後も残っていることが分かる。
さらに、第3の実施の形態では、支持脚3は、図15にて説明したように、TEOS11と電気配線8を有する第2の配線層62と、STI15とBOX12とバリア膜16とPoly−Si配線71を有する第1の配線層62を備えている。Poly−Si配線71は、感熱ダイオード2からの電気信号を、配線接続部63を介して、第2の配線層62内の電気配線8に伝達する機能を果たしている。この接続関係により、感熱ダイオード2からの電気信号が、第1の配線層61内のPoly−Si配線71を伝達し、配線接続部63を介して、第2の配線層62内の支持脚内配線電気配線8に伝達され、外部の信号線に出力されることとなる。
さらに、図17に示している本発明の第3の実施の形態に係る赤外線撮像素子の平面図を用いて、詳細に説明する。
さらに、図17に示すように、感熱ダイオード2の電気信号は、第1の配線層61を介して、配線接続部64にて配線接続部63を介して第2の配線層62に接続されている。また、第2の配線層62は、それぞれ、垂直信号線4又は水平信号線5に接続されている。このような構成によって、感熱ダイオード2の電気信号は、外部の垂直信号線4、及び水平信号線5に伝達される。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る赤外線撮像素子の製造方法について図18〜図22を参照して説明する。
図18(a)では、汎用のCMOSプロセスを用い、感熱ダイオード2にPN接合が形成された後の断面形状を示している。Si基板7上に、BOX12が積層されている。また、BOX12上には、感熱ダイオード2、SOI14、STI15がそれぞれ形成されている。さらに、バリア膜16が、感熱ダイオード2、SOI14、STI15を覆うように形成されている。ここで、第2の実施の形態と異なる点は、支持脚3に相当する領域に、Poly−Si72を埋め込んでいる点である。
次に、図18(b)に示すように、バリア膜16の全面に、層間絶縁膜であるBPSG73を塗布して成膜している。ここで、第3の実施形態では、第2の実施形態と異なり、BPSG73の成膜工程にて、支持脚3に相当する領域のPoly−Si72とBPSG73が介面を形成している。
次に、図18(c)では、BPSG73上に、第一層間絶縁膜であるTEOS74を積層し、その表面を平坦化している。
次に、図18(d)では、第一層間絶縁膜であるTEOS74の上に、レジスト75を積層した後、リソグラフィ技術を用いて、エッチングを行い、Al配線13に相当する部位のBPSG73、TEOS74、レジスト75を除去し、開口であるコンタクト・ホール76を形成している。
次に、図18(e)では、開口であるコンタクト・ホール76に、コンタクト77(以下、Al配線13と同等)を埋め込んで形成する。ここで、コンタクト77には、第1の実施形態と同様に、Ti、TiN、W等が用いられる。コンタクト77は、SOI14上に不純物インプラにより形成したデバイス領域に対し、その上に形成した多層配線を電気的につなぐ接続領域であり、感熱ダイオード2の上部とコンタクトを形成し、感熱ダイオード2からの電気信号を外部に伝える機能を果たす。
次に、図19(a)では、下部バリアメタル78、配線79、上部バリアメタル80が順次積層される。ここで、下部バリアメタル78、上部バリアメタル79には、第1の実施形態と同様に、Ti、TiNを用いることができる。また、配線78には、第1の実施形態と同様に、Al-Cuを用いることができる。
次に、図19(b)では、上部バリアメタル80上にレジスト81を積層した後、リソグラフィ技術を用いて、レジスト81をマスクとしたエッチングを行い、上部バリアメタル80、配線79、下部バリアメタル78をエッチングし、除去している。なお、配線79のエッチングは、Cl系ガス等を用いる。
次に、図19(c)では、レジスト81を除去した後、再び、レジスト82を積層している。なお、支持脚3の上部に相当する領域の上部バリアメタル80、配線79、下部バリアメタル78は、レジスト82が積層されないよう、表面に露出している。
次に、図19(d)では、リソグラフィ技術を用いて、レジスト82をマスクとしたエッチングを行い、上部バリアメタル80をエッチングして、除去している。但し、配線79及び下部バリアメタル78は、エッチングされずに残っている。
次に、図20(a)では、リソグラフィ技術を用いて、レジスト82をマスクとしたエッチングを行い、配線79をエッチングして、除去している。但し、下部バリアメタル78は、エッチングされずに残っている。
ここで、図19(d)、図20(a)の工程を行うのは、第1の実施の形態と同様に、支持脚3の配線の熱コンダクタンスを低減することを目的としているためである。(3)式にて説明したように、支持脚3の熱コンダクタンスを低減するには、熱伝導係数の低い配線材料の使用、長支持脚長化、支持脚断面積の低減が有効的である。
第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、電気配線8の熱伝導係数を抑制した材料により構成するために、支持脚3の配線に相当する配線79の上部バリアメタル80(Ti/TiN)と、その下部の配線79を選択的にエッチングすることで、電気配線8を構成する材料を下部バリアメタル78(Ti/TiN)のみで構成することができる。第1の実施の形態と同様に、上部バリアメタル80(Ti/TiN)の選択エッチングには、昇温したH2O2(過酸化水素水)等を用いることができる。また、配線79の選択エッチングには、CH3COOH (硝酸)、HNO3 (酢酸)およびH3PO4(リン酸)の混酸を用いることができる。
次に、図20(b)では、レジスト82を除去した後、第二層間絶縁膜であるTEOS83を2層積層している。
次に、図20(c)では、さらに、第二層間絶縁膜であるTEOS84を2層積層している。
次に、図21(a)では、リソグラフィ技術を用いて、支持脚3に相当する領域を除いた箇所に、レジスト85を塗布する。このようにレジスト85を塗布することにより、支持脚3に相当する領域に対するエッチングが可能となる。
次に、図21(b)では、リソグラフィ技術を用いて、RIEによるディープトレンチを行って、ディープトレンチ開口86を形成している。但し、第一層間絶縁膜であるTEOS74上に残っている下部バリアメタル78まではエッチングが達していない。
次に、図21(c)では、支持脚3に相当する下部バリアメタル78について、RIEによるディープトレンチを行っている。但し、第一層間絶縁膜であるTEOS74まではエッチングが達していない。
次に、図22(a)では、ディープトレンチ開口86の上部のレジスト85を除去している。このレジスト85を除去することにより、支持脚3に相当する領域以外の部分についてのエッチングが可能となる。
次に、図22(b)では、リソグラフィ技術を用いて、レジスト85をマスクとして、RIEによるディープトレンチをさらに行なっている。これにより、ディープトレンチ開口86が、エッチングにより、シリコン基板7にまで達している。また、エッチバックにより、ディープトレンチ開口86の上部のTEOS83、84が除去されている。
次に、図22(c)では、感熱ダイオード2をシリコン基板7から分離する空洞化工程を行っている。ここでは、第1の実施の形態と同様に、エッチング溶液にTMAHを用いる。TMAHはシリコンの異方性エッチングを行うエッチャントとして良く知られているが、BPSGについてもエッチングされることが知られている。
図22(c)では、図22(b)の工程で、支持脚3と支持脚3の間に貫通孔があり、この貫通穴からTMAHが進行し、その下部のシリコン基板7を逆ピラミッド状にエッチングしている。通常、TMAHはTEOS83、74のような酸化膜に選択比があるが、当該工程にて、層間絶縁膜であるBPSG73が、エッチング・消失し、その端部が内部に後退している。
また、第3の実施の形態では、当該工程によって、第2の配線層62のTEOS83、下部バリアメタル78、TEOS74の下部の層であるBPSG73がエッチングにより消失するため、第2の配線層62を構成するTEOS74と、第1の配線層61を構成するバリア膜16との間に空洞部87が形成されることとなる。さらに、当該工程により、感熱ダイオード2及び下部バリアメタル46の下部とシリコン基板7の間に、空洞部88が形成される。
また、第3の実施の形態では、第1の配線層61と第2の配線層62を結合させる配線連結部63は、第1の配線層61と第2の配線層62がそれぞれ備えている配線接合部64がある程度の大きさを有しているため、図22(c)の工程によって、配線接合部64の間のBPSG73は全て消失することなく、一部残っている。よって、配線連結部63は、当該工程に残ったBPSG73にて構成され、第1の配線層61と第2の配線層62を結合することとなる。
以上、第3の実施の形態では、図18〜図22の工程を行うことで、支持脚3の熱コンダクタンスを低減させる施策として、支持脚3の断面積を小さくするため、周囲の層間絶縁膜であるTEOS74、83、84に対し、支持脚3に相当する領域のみをエッチングすることにより、支持脚3を低背化することができる。
また、第3の実施の形態では、支持脚3上部をエッチバックし、厚みを低減することでより熱コンダクタンスを低減することができる。
さらに、第3の実施の形態では、支持脚3の下層部の除去に当たっては、汎用のCMOSプロセスで形成される材料のみを使用して行うことができ、特殊な膜を用いることがなく、生産性に優れた素子の提供を図ることができる。
さらに、第3の実施の形態では、感熱ダイオード2を支持する支持脚3が、垂直方向に対し、第1の配線層61、第2の配線層62の2層で構成されているため、支持脚3を垂直方向に伸ばすことにより、セルピッチを変化させること無く、支持脚3の配線長を長くとることが可能になる。
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る赤外線撮像素子およびその製造方法においては、マスクの精度に依存しないで、より小さいサイズにて、微細な支持脚配線幅を実現しながら、機械強度を保持した高感度な素子の提供が可能になる。
なお、本発明は、上記した各実施の形態には限定されず、種々変形して実施できることは言うまでもない。
要するに、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより、種々の形態を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1…赤外線撮像素子
2…感熱ダイオード
3…支持脚
4…垂直信号線
5…水平信号線
6…空洞部
7…シリコン基板
8…電気配線
9…層間絶縁膜
10…層間絶縁膜(BPSG)
11…層間絶縁膜(TEOS)
12…BOX
13…Al配線
14…SOI
15…STI
16…バリア膜
20…レジスト
21…BPSG
22…TEOS
23…レジスト
24…コンタクト・ホール
25…コンタクト
26…下部バリアメタル
27…配線
28…上部バリアメタル
29…レジスト
30…レジスト
31…TEOS
32…TEOS
33…レジスト
34…ディープトレンチ開口
35…空洞部
41…BPSG
42…TEOS
43…レジスト
44…コンタクト・ホール
45…コンタクト
46…下部バリアメタル
47…配線
48…上部バリアメタル
49…レジスト
50…レジスト
51…TEOS
52…TEOS
53…レジスト
54…ディープトレンチ開口
55…空洞部
61…第1の配線層
62…第2の配線層
63…配線連結部
64…配線接続部
71…Poly−Si配線
72…Poly−Si
73…BPSG
74…TEOS
75…レジスト
76…コンタクト・ホール
77…コンタクト
78…下部バリアメタル
79…配線
80…上部バリアメタル
81…レジスト
82…レジスト
83…TEOS
84…TEOS
85…レジスト
86…ディープトレンチ開口
87…空洞部
88…空洞部

Claims (3)

  1. 基板から離間して設けられ感熱ダイオードと、
    前記感熱ダイオードの間を分離しているSTIと、を有するSOIと、
    前記SOI上に積層され赤外線を吸収する層間絶縁膜と、
    前記感熱ダイオードと前記感熱ダイオードの外周部に設けられた垂直信号線に接続され、前記垂直信号線に信号を伝達する配線部を前記層間絶縁膜で挟み込むように構成される支持脚と、を具備し、
    前記支持脚は、酸化膜であるBOXと、前記感熱ダイオードの間を分離しているSTIと、窒化膜であるバリア膜と、をさらに備えており、
    前記支持脚は、前記SOIよりも上部に配置され、
    前記感熱ダイオードは、前記赤外線を吸収する層間絶縁膜が赤外線を吸収することにより発生する熱を電気信号に変換することを特徴とする赤外線撮像素子。
  2. 前記SOI上に積層されたBPSGをさらに備え、
    前記層間絶縁膜は、前記BPSG上に積層されており、
    記BPSGの端部は、前記支持脚の前記層間絶縁膜の端部より、前記支持脚が存在する方向とは逆方向に後退していることを特徴とする請求項1に記載の赤外線撮像素子。
  3. 請求項1または2に記載の赤外線撮像素子の製造方法であって、
    前記基板上に、前記感熱ダイオードと、前記BOXと、前記STIと、前記バリア膜と、を有する前記SOI上に、BPSGを積層する工程と、
    前記BPSG上に、前記層間絶縁膜を積層する工程と、
    前記層間絶縁膜と前記BPSGと前記SOIをエッチングし、前記支持脚を形成する工程と、
    前記基板を異方性エッチングして空洞部を形成する工程と、
    を具備することを特徴とする赤外線撮像素子の製造方法。
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