JP2006162470A - 赤外線センサ素子及びそれを用いた赤外線センサ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 熱型赤外線センサ素子の性能を向上させる為、センサ部と周辺部との間の断熱特性を高くする必要があり、一般的にはその間に薄膜化した支持脚を有している。しかし、支持脚の構造を適切に設計しないと予期しない歪んだ構造になり、製造上の歩留まりが悪くコスト高となるという課題があった。
【解決手段】 赤外線センサ素子のセンサ部と周辺部とをつなぐ支持脚の構造をあらかじめ基板側に反らした構造とすることにより、前記支持脚を薄膜化及び微細化した場合においても複雑な設計をする必要なく、また、プロセス裕度を向上して安定して生産することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 赤外線センサ素子のセンサ部と周辺部とをつなぐ支持脚の構造をあらかじめ基板側に反らした構造とすることにより、前記支持脚を薄膜化及び微細化した場合においても複雑な設計をする必要なく、また、プロセス裕度を向上して安定して生産することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高断熱特性及び低熱容量性を有し、高感度、高反応速度を有する赤外線センサ素子に係わり、この赤外線センサ素子を安定して製造する為の構造、及びこの素子を用いた赤外線センサ装置に関するものである。
赤外線とは、その波長が可視光よりも長く、マイクロ波よりも短い電磁波の総称である。この赤外線を利用した赤外線センサは、動作原理により、赤外線のエネルギー吸収による温度変化を利用する熱型赤外線センサ素子と、赤外線のフォトンを吸収しキャリアを励起することにより直接赤外線を検出する量子型赤外線センサ素子とに大別される。後者の量子型赤外センサ素子は、動作温度が低く冷却が必要であり、取り扱いに難点がある。一方、熱型赤外線センサ素子は、波長依存性がなく広帯域の波長感度を有し構造が簡単な為、一般的によく用いられる。例えば、昼夜を問わず24時間使用可能な監視カメラ等に利用され、防犯用、電機機器の異常監視用、道路の監視用、自然観測用など、各種分野において適用される。
前記熱型赤外線センサ素子の性能の主な指標として、感度と反応速度がある。前記のように熱型赤外線センサ素子は、赤外線の量を熱に変換して検出しており、高感度化する為には、センサ素子で変換した熱がセンサ素子部以外の周辺部に逃げないように、センサ素子に対して高断熱特性を持たせる必要がある。また、その反応速度を向上させる為には、センサ素子に熱がこもらないように、センサ素子に対して低熱容量性を持たせる必要がある。その為、従来の熱型赤外線センサ素子では、その高感度化の為に、赤外線のセンサ部よりも薄膜化した断熱支持脚を有することで、センサ部に高断熱特性をもたせる構造としている(例えば特許文献1)。また、その反応速度を向上させる為に、センサ部の不要な膜を除去し、センサ部に低熱容量性をもたせる構造が提案されている(例えば特許文献2)。
このような従来の熱型赤外線センサ素子において、特許文献1に示されるような薄膜化した支持脚は、断熱特性の向上による高感度化に有効と考えられるものの、薄膜化した時に構成膜の構造を適切に設計しないと予期しない歪んだ構造になり得る。その為、製造上の歩留まりが悪くコスト高となるという課題がある。一方、特許文献2においては複雑な手法により低熱容量性による反応速度の向上が可能ではあるが、さらに数分の1の低熱容量性を持たせることは困難と考えられる。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、センサ部の断熱特性を向上させる為に、センサ部と周辺部とをつなぐ支持脚を薄膜化及び微細化しても安定して製造出来、さらに、センサ部に低熱容量性を持たせることができる熱型赤外線センサ素子を得ることを目的とする。
本発明に係る熱型赤外線センサ素子は、凹部を有する基板と、前記基板に接続された支持脚と、前記支持脚に接続されて前記凹部の上部に保持された温度検知部と、前記温度検知部と熱的に接続され、前記凹部、前記支持脚及び前記温度検知部を覆い隠すように板状に広がった形状をとり、吸収した赤外線を熱に変換して前記温度検知部に伝える吸収傘部とを備え、前記支持脚を前記吸収傘部に対して相反する方向に反らした構造とするものである。
本発明は、赤外線センサ素子のセンサ部と周辺部とをつなぐ支持脚の構造をあらかじめ基板側に反らした構造とすることにより、支持脚が所望の断熱特性を得るために、前記支持脚を薄膜化及び微細化した場合においても複雑な設計をする必要なく、また、プロセス裕度を向上して安定して生産することが可能な熱型赤外線センサ素子を得ることを目的とする。
以下、本発明の赤外線センサ素子を熱型赤外線センサ素子及びこの素子を用いた赤外線イメージセンサ等の赤外線検出装置に適用した場合を例に説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による熱型赤外線センサ素子を示す図である。図1の(a)はその平面図であり、図1の(b)は、図1の(a)においてA−Aの面で切断した時の断面図である。図2は、後述する検知部、及び支持脚の構造が分かるように、後述する吸収傘構造及び支柱を省略した場合の熱型赤外線センサ素子を示す平面図である。図2の(a)は、図1の(a)を、図の中心を軸として90度右周りに回転させた図であり、図2の(b)は図2の(a)をB−Bの面で切断した時の断面図である。各図において同一番号の構成要素は同じ構成であることを示す。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による熱型赤外線センサ素子を示す図である。図1の(a)はその平面図であり、図1の(b)は、図1の(a)においてA−Aの面で切断した時の断面図である。図2は、後述する検知部、及び支持脚の構造が分かるように、後述する吸収傘構造及び支柱を省略した場合の熱型赤外線センサ素子を示す平面図である。図2の(a)は、図1の(a)を、図の中心を軸として90度右周りに回転させた図であり、図2の(b)は図2の(a)をB−Bの面で切断した時の断面図である。各図において同一番号の構成要素は同じ構成であることを示す。
まず、図1により各構成要素の説明を行う。熱型赤外線センサ素子1は、外部から入射される赤外線をより多く吸収する為に表面積を広くした吸収傘部である吸収傘構造2により赤外線を吸収する。前記吸収傘構造2により吸収した赤外線は、吸収傘構造2の内部において熱に変換される。その変換された熱は前記吸収傘構造2を支える為の支柱3を経由して、熱的に接続されることにより、温度を検知する為の温度検知部である検知部4に伝わる。前記検知部4は、検知部4を空中に保持する為の支持脚5の一端に接続される。この接続がなされる部分は、図2におけるdの部分である。この検知部4の下部には、検知部4で検知した熱がこもらずに熱容量を小さくする為の凹部である空洞部6が設けられる。前記支持脚5の他端は、前記空洞部6を作る為に設けられたトレンチストッパ7の上部に設けられた絶縁膜16を介してシリコン基板8に接続される。この接続がなされる部分は、図2におけるaの部分である。
前記熱型赤外線センサ素子1はシリコン基板8の上にLSI等の半導体製造工程と同様の工程により製造される。前記空洞部6は、吸収傘構造2に設けられた矩形状のエッチングホール9を用いてエッチング加工により設けられる。前記検知部4の内部には例えばダイオードなどからなる検知膜10が設けられ、検知した熱を電圧値の変化などによる電気信号に変換する。前記検知膜10はダイオード以外にも温度特性を有する半導体素子、金属膜素子などを適用しても構わない。前記検知膜10は、前記支持脚5の内部に設けられた配線11、及び熱型赤外線センサ素子1の周辺に設けられたアルミなどより成る配線12を経由して、後述する周辺回路に接続され、前記検知膜10で検出した電気信号が周辺回路に伝送される。前記支持脚5内部に設けられた配線11は、チタン膜14と、窒化チタン膜15より構成される。
図3は熱型赤外線センサ素子1の検知部4の電気的な等価回路であり、図3において40は前記検知部4の内部に設けられた検知膜10により構成される複数個のダイオードであり、その両端は図1における配線12により構成される配線41が接続される。図4は赤外線センサ装置である赤外線イメージセンサチップの平面図である。図において赤外線イメージセンサチップ42上には、前記の熱型赤外線センサ素子1がアレイ状に設けられ、各素子は図1における配線12により構成される配線層43により、電流源、垂直アドレス回路、水平アドレス回路、アンプなどより成る周辺回路44に接続され、各センサ素子で検出した赤外線量に相当する電気信号を図示しない出力端子より外部に出力する。
次に、本実施の形態1に具体化されている本発明の特徴について説明する。本発明の特徴は、図2の(b)に示されるように、支持脚5をシリコン基板8側に反った形状としたことである。具体的には、支持脚5を図2の(a)に示すように、2回折り返して蛇行した構造としている。図2の(a)においては、支持脚5は回転対称となるようにシリコン基板8の接続部に右辺、あるいは、左辺に接続しているが、設計上、片方を下辺、あるいは、上辺に接続してもよい。
前記支持脚5は図2の(b)に示すように、支持脚5を折り返した箇所であるbとcを夫々頂点として図2の(b)にて下側にあるシリコン基板8に向かってに垂れ下がった構造としている。この形状は、図2における支持脚5の左側部も同様の構造となっている。
次に、前記支持脚5をこのような構造とした理由について説明する。背景技術の項にて説明したように、前記熱型赤外線センサ素子1を高感度化する為、吸収傘構造2により変換した熱が、支柱3、検知部4、及び支持脚5を経由してシリコン基板8に逃げないように、前記支持脚5の断熱特性を高くする必要がある。この断熱特性は、支持脚5の構成材料の熱伝導率を断面積比率で乗じた値である。従って、この断熱特性を高くするために、支持脚5の長さを長く、断面積を小さくする必要がある。
このような背景に基づき、現在多くの赤外線検出素子において、支持脚5に相当する部分の断熱特性を向上させているが、断熱特性をあらわす指標である熱抵抗は現状では10(MK/W)級である。これよりさらに熱抵抗を上げ100(MK/W)級とすることが期待されているが、このためには、支持脚5の長さを数十μm、幅や厚みをサブミクロンにする必要がある。特に厚みを小さくすることは、既存技術の中でも容易に実現できると期待される。
しかしながら、現実の成膜手法では形成される物性値、特に応力の制御は完全には不可能である。積層膜の物性値を正確に制御しないと、製造工程において支持脚5の下部が中空化された後に支持脚5の形状が様々なものになってしまうからである。特に薄膜化が進むと、支持脚5の膜厚の3乗に反比例した割合で歪みが生じる。一般的に構造体は中空化しても平坦である方が設計しやすく、望ましいと考えられるが、微細化が進むと微小な空間に制御良く形成することは現状技術では困難である。例えば、図1の(b)に示したように支持脚5と吸収傘構造2との間の空隙は例えば2μm程度であり、支持脚5が上方にそり上がって吸収傘構造2と接触した場合は断熱性が著しく低下して所望の性能が得られないことになる。
従って、前記のような製造上の問題を解決する為に、前記支持脚5をあらかじめ空洞部6下のシリコン基板8に向かって垂れ下がった構造としている。このような構造とすることで、支持脚5が吸収傘構造2と接触しなくなり、それにより支持脚5の膜厚を小さくすることができる為、結果的に支持脚の断熱特性を向上することが出来る。
支持脚5をシリコン基板8側に反らせた構造とする為には、図1の(b)に示すように支持脚5の内部の配線として前記のようにチタン膜14と窒化チタン膜15による2層積層とする。このように支持脚5が反った構造となる理由は、チタンに比べて、窒化チタンは、物質の伸び率、すなわち膜の応力を膜のヤング率で除した値がチタンより大きいことにより、支持脚5の上側にある窒化チタン膜15が膨張する力が働く為である。その力により、図2の(b)に示すように支持脚5が図面下側、即ちシリコン基板8の表面方向に反った構造となる。実施の形態1では、既存の半導体プロセスに合致した金属であるチタン及び窒化チタン用いたが、前記の伸び率が異なるような他の材料を用いても、同様の効果が得られる。
また、支持脚5を前記の様に薄型化した場合、折り返すことなく、1本の棒状の構造とすると、支持脚5の変形に伴って検知部4は中空化後にはシリコン基板8側に沈み込むことになる。検知部4がシリコン基板8側に沈み込みすぎる形状になると、吸収傘構造2自体も基板と近くなり、最悪の場合には吸収傘構造2とシリコン基板8上の配線12の上に接触し、断熱特性が著しく低下する。そのため、支持脚5は図2に示すように1回以上折り返した蛇行した構造としている。
次に、本発明に基づく実施の形態1における熱型赤外線センサ素子1の製造方法について説明する。図5〜11はその製造方法を説明する為の図であり、各図において、(a)は平面図を示し、(b)は(a)においてA−Aで切断した時の断面図を示す。これらの図においては、本発明の本質事項でないため周辺回路44については示していない。尚、各図において同一番号の構成要素は同じ構成であることを示す。
まず、図5に示すように、シリコン基板8において、熱型赤外線センサ素子1の単位画素構造毎の所定の箇所にドライエッチングによりトレンチストッパ7を設け、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりシリコン酸化膜を形成した後、CMP法等によってシリコン基板8の表面上のシリコン酸化膜を除去して平坦化する。かかる加工を経たシリコン基板8上に絶縁膜13を形成する。
次に、図6に示すように、前記状態のシリコン基板8の表面において、検知膜10より成る検知部4、及び図示しない周辺回路44を形成する。
次に、図7に示すように、前記状態のシリコン基板8の表面において、支持脚5の内部の配線11となるチタン膜14を積層形成する。次に、配線12となるアルミを形成する。次に、前記支持脚5の内部の配線11とする部分のみの上に窒化チタン膜15を積層形成する。さらに、これらの上に酸化シリコン膜などによる絶縁膜16を形成する。続いて、絶縁膜16等を一般的な写真製版技術及びエッチング技術を用いて所定の形状にパターニングすることにより、支持脚5、及びこれに接続された検知部4及び配線12を形成する。酸化シリコン膜を一度にエッチングすることにより、支持脚5において殆どの箇所の側面には金属膜が露出した単純な構成となっているが、検知部4に隣接する箇所には約0.2μm程度の幅で金属膜が無い領域を設けてある。
次に、図8に示すように、前記状態のシリコン基板8の表面において、吸収傘構造2を形成するための犠牲層17を形成し、更に、パターニングにより吸収傘構造2の支柱3を形成する為の開口部18を形成する。なお、犠牲層17の材料には、ポリイミド等の有機材料を用いることができる。
次に、図9に示すように、前記状態のシリコン基板8の表面において、犠牲層17の上に、化学的気相法などにより酸化シリコンからなる絶縁膜19を形成し、その上に金属膜20を形成する。この金属膜は、チタン、クロム、バナジューム、及びこれらの窒化物、または酸化物などのうちにいずれかでもよい。更に、再度、化学的気相成長法などにより酸化シリコンからなる絶縁膜21を形成する。そして、所定の形状にパターニングすることにより吸収傘構造2を形成する。次に、吸収傘構造2の下部にある犠牲層及びシリコン基板8などを除去するために、吸収傘構造2の所定の箇所に所定の形状のエッチングホール9を形成する。
次に、図10に示すように、前記状態のシリコン基板8の表面において、エッチングホール9からエッチングガス23を導入して、シリコン基板8をエッチングする。上述のドライエッチングにはXeF2等のエッチングガスを用いる。かかるエッチングガスではエッチングが等方的に進むからである。XeF2以外のエッチングガスとしては、シリコンに対して等方的なエッチングが実現できるハロゲン化合物であるClF3、BrF3等が挙げられる。
次に、等方性アッシングにより、犠牲層17もエッチングされ、図11の(b)に示すように、絶縁膜13に対して上方、下方の両方が空洞となる。支持脚5の下部にあるシリコン基板8が除去されると、支持脚5は、前記したように伸び率の異なる2種類の金属を用いていることにより伸び率の大きい窒化チタン膜15側に広がる力が加わる為、図2のようにシリコン基板8側に向かって反った形状となる。即ち、支持脚の折り返した箇所を先端として、シリコン基板8側に反った形状となり、熱型赤外線センサ素子1が完成する。また、支持脚5を形成する前に可能ならば配線12を設けていてもよいし、支持脚5が形成される領域上に残存している誘電体膜を一部残すことは特に問題ない。
以上のような方法により熱型赤外線センサ素子1を製造した結果、支持脚5の全膜厚は0.2μmとなり、このうちチタン膜14、窒化チタン膜15の膜厚は各々15nmとなり、支持脚5の厚さを小さくすることができた。それにより、支持脚5の熱抵抗は目標とする値より大きい値である110(MK/W)となり、断熱特性を極めて向上することができた。また、前記のように支持脚5の膜厚を小さくしても、支持脚5の幅を0.4μmで、2回折り返した支持脚5を有する素子をアレイ状に数万個ほど製造したところ、全ての画素で安定して基板側に変形した支持脚5を得ることができ、安定して製造出来ることが確認された。支持脚5の全膜厚を0.3μm、0.4μmとして製造したが、同様に基板側に変形したものを製造することが確認された。また、支持脚5を1回、および、2回折り返した構造として作製したところ、検知部4は空洞部6を形成する前後で基板に対する位置はほぼ変化しない結果となった。つまり、支持脚5を故意に変形させていることで付加的な問題はないことが明かになった。
以上のように、本発明の実施の形態1の熱型赤外線センサ素子1は、支持脚5を基板側に変形させる構造としているため、支持脚5と吸収傘構造2が接触する懸念がなく、所望の熱抵抗を得るために支持脚の膜厚を小さくしてもプロセスを変更せずに製造することが出来る。また、形成される膜が成膜装置起因のさけられない変動があっても、変形量自体が変動するだけで安定して製造することが出来る。
実施の形態2.
図12は本発明の実施の形態2による熱型赤外線センサ素子を示す図である。図12の(a)はその平面図であり、図12の(b)は、図12の(a)においてA−Aの面で切断した時の熱型赤外線センサ素子の断面図である。図13は、後述する反射構造体の構造が分かるように、吸収傘構造2及び支柱3を省略した場合の熱型赤外線センサ素子を示す平面図である。図13の(a)は、図12の(a)の中心を軸として90度右回りに回転させた図であり、図13の(b)は図13の(a)をB−Bの面で切断した時の断面図である。各図において同一番号の構成要素は同じ物であることを示す。
図12は本発明の実施の形態2による熱型赤外線センサ素子を示す図である。図12の(a)はその平面図であり、図12の(b)は、図12の(a)においてA−Aの面で切断した時の熱型赤外線センサ素子の断面図である。図13は、後述する反射構造体の構造が分かるように、吸収傘構造2及び支柱3を省略した場合の熱型赤外線センサ素子を示す平面図である。図13の(a)は、図12の(a)の中心を軸として90度右回りに回転させた図であり、図13の(b)は図13の(a)をB−Bの面で切断した時の断面図である。各図において同一番号の構成要素は同じ物であることを示す。
実施の形態2の熱型赤外線センサ素子の特徴は、図12の(b)に示すように吸収傘構造2の下部に反射構造体24を設け、吸収傘構造2及び反射構造体24を基板8と反対方向に反らした構造とし、さらに前記反射構造体24の表面と、前記吸収傘構造2の表面とを平行を保つような構造としたところである。
前記反射構造体24を設けた理由は、反射構造体24で赤外線を反射させて吸収傘構造2に入射させることで、吸収傘構造2に、より多くの赤外線を入射させて赤外線吸収効率の増大を図るためである。
また、吸収傘構造2及び反射構造体24をシリコン基板8と反対方向に反らした構造とした理由は、実施の形態1と同様に、プロセス変動に対する裕度を持たせて製造後に支持脚5と接触しないようにする為である。従来のエッチングで不要な部分をとる手法や平板形状でなく端部に突起や窪みを設けて機械的剛性を増加させて見かけ状平坦な構造とするといった手法は有効と考えられるものの、形成される膜を極限まで薄膜化した方が簡便である。特に、センサ素子の小型化が進むと複雑な構造を形成することは困難になってくる事が予想される。しかしながら、吸収傘構造2、及び反射構造体24においても反り変形の課題を有するため、故意に前記のように変形させる構造とした。
また、前記反射構造体24と前記吸収傘構造2の面との平行を保つような構造とした理由は、吸収傘構造2の赤外線吸収効率は、吸収傘構造2と反射構造体24との光学的な間隔によって決まり、検出中心波長の1/4となる間隔にした場合が最もその効率が高くなるからである。
次に、本発明に基づく実施の形態2における熱型赤外線センサ素子1の製造方法について説明する。特に、前記反射構造体24及び吸収傘構造2を反らした構造とする方法について詳しく説明する。図14〜19はその製造方法を説明する為の図であり、各図において、(a)は平面図を示し、(b)は(a)においてA−Aで切断した時の断面図を示す。これらの図においては、本発明の本質事項でないため周辺回路44については示していない。尚、各図において同一番号の構成要素は同じ構成であることを示す。
シリコン基板8の上に支持脚5、及びこれに接続された検知部4及び配線12を形成するまでは、実施の形態1において図5〜図7を使用して説明したものと同様の方法で行う。
次に、図14に示すように、前記状態のシリコン基板8の表面において、反射構造体24を形成するための犠牲層31を形成する。犠牲層31の材料には、ポリイミド等の有機材料を用いることができる。次に犠牲層31を熱硬化させることで図14の(b)に示すように材料の収縮が生じ中央が窪んだような所望の形状が得られる。ここの形状は犠牲層31を形成する形状と犠牲層31の材料特性で決まるものである。犠牲層31をこのような形状とする理由は、この上に形成する反射構造体24を反った形状とする為である。次に、パターニングにより吸収傘構造2の支柱3を形成する為の開口部18を形成する。
次に、図15に示すように、前記犠牲層31の上に、膜厚0.2μmの酸化シリコンよりなる酸化膜25、膜厚0.1μmのアルミニュウムよりなる金属膜26、膜厚0.2μmの酸化シリコンよりなる酸化膜27を形成し、サンドイッチ構造となるように反射構造体24を形成する。次に、中央部分に支柱3を通す為の穴があいたような所望の形状となるようにエッチングすることで反射構造体24の形状を形成する。反射構造体24を、前記犠牲層31の上部に構成することで、矩形の杯のような形状で中心部から周辺部に向かい、シリコン基板8の反対側の方向に面を反らすような構造となる。この反射構造体24は、例えば酸化シリコン膜に金属膜を形成したのもでもよく、金属膜の上に薄い酸化シリコン膜を形成したものでもよい。
次に、図16に示すように、前記状態のシリコン基板8の表面において、吸収傘構造2を形成するための犠牲層32を形成し、更に、パターニングにより吸収傘構造2の支柱3を形成する為の開口部18を形成する。なお、犠牲層32の材料には、前記の犠牲層31と同様な材質及び方法で形成する。
次に、図17に示すように、前記状態のシリコン基板8の表面において、犠牲層32の上に、化学的気相法などにより酸化シリコンからなる絶縁膜19を形成し、その上に金属膜20を形成する。この金属膜は、チタン、クロム、バナジューム、及びこれらの窒化物、または酸化物などのうちにいずれかでもよい。更に、再度、酸化シリコンからなる絶縁膜21を形成する。この上層の絶縁膜21を形成するときは、前記下層の絶縁膜19を形成するときより引張り応力を大きくして形成する。この応力制御は、例えばプラズマエンハンス化学気相成長法における成膜圧力と高周波電力の変更により実施する。それにより、下部にある犠牲層31、32を除去した後に、前記の様に下層よりも上層の酸化膜の引張り応力が大きいことにより、下層の酸化膜19が膨張する力が働く。その力により、図12に示すように吸収傘構造2が図面上側に反った構造となる。即ち、矩形の杯のような形状で中心部から周辺部に向かい、シリコン基板8の反対側の方向に面を反らすような構造となる。ここでは、吸収傘構造2の全膜厚を100nmとし、上層の絶縁膜21は、下層の絶縁膜19よりも引張り応力を100MPa大きくして形成した。前記吸収傘構造2を反った形状とする為に、支持脚5と同様に2層の金属層を用いた方法としなかった理由は、吸収傘構造2の金属層を2層とするとその膜厚が厚くなる為である。つまり、一般的には吸収傘構造の膜厚は数nm程度とする必要があり、吸収傘構造2の金属膜のシート抵抗は200Ω□〜500Ω□のものが望まれており、この金属層を2層とすると、その条件に反することになる為である。
次に、所定の形状にパターニングすることにより吸収傘構造2を形成する。次に、吸収傘構造2の下部にある犠牲層31,32及びシリコン基板8などを除去するために、吸収傘構造2の所定の箇所に所定の形状のエッチングホール9を形成する。
次に、図18に示すように、前記状態のシリコン基板8の表面において、エッチングホール9からエッチングガス23を導入して、シリコン基板8をエッチングする。上述のドライエッチングにはXeF2等のエッチングガスを用いる。かかるエッチングガスではエッチングが等方的に進むからである。XeF2以外のエッチングガスとしては、シリコンに対して等方的なエッチングが実現できるハロゲン化合物であるClF3、BrF3等が挙げられる。
次に、等方性アッシングにより、犠牲層31、及び32もエッチングされ、図19に示すように、絶縁膜13に対して上方、下方の両方が空洞となる。支持脚5の下部にあるシリコン基板8が除去されると、支持脚5は、図19のようにシリコン基板8側に向かって反った形状となる。つまり、実施の形態1の図2と同様にように、支持脚5を折り返した箇所を夫々頂点として下側にあるシリコン基板8に向かってに垂れ下がった構造となる。また、吸収傘構造2及び反射構造体24はシリコン基板8側と反対方向に向かって反った形状となる。即ち、矩形の杯のような形状で中心部から周辺部に向かい、シリコン基板8の反対側の方向に面を反らすような構造となり、熱型赤外線センサ素子1が完成する。ここで、支持脚5を形成する前に可能ならば配線12を設けていてもよいし、支持脚5が形成される領域上に残存している誘電体膜を一部残すことは特に問題ない。
以上のように、本発明の実施の形態2の熱型赤外線センサ素子1は、吸収傘構造2の下部に反射構造体24を設け、吸収傘構造2及び反射構造体24をシリコン基板8と反対方向に反らした構造とし、さらに前記反射構造体24の表面と、前記吸収傘構造2の表面とを平行を保つような構造としたことにより、吸収傘構造2及び反射構造体24と、支持脚5とが接触する懸念がなく、成膜装置起因のさけられない変動があっても、前記変形した構造の変形量自体が変動するだけで問題なく安定した作製が可能となる。また、反射構造体24により、より多くの赤外線を効率良く吸収することができ、赤外線センサの感度を向上することができるという特有の効果を得ることができる。
実施の形態2では、支持脚5を反らせた形状としたものを示したが、支持脚5を反らせない形状としても構わない。また、吸収傘構造2及び支持脚5を反らせた形状として反射構造体24を設けない構造としても構わない。
1 熱型赤外線センサ素子、2 吸収傘構造、3 支柱、4 検知部、5 支持脚、6 空洞部、7 トレンチストッパ、8 シリコン基板、10 検知膜、11 配線、12 配線、13 絶縁膜、14 チタン膜、15 窒化チタン膜、16 絶縁膜、17 犠牲層、19 絶縁膜、20 金属、21 絶縁膜、24 反射構造体、31 犠牲層、32 犠牲層、40 ダイオード、42 赤外線イメージセンサチップ
Claims (8)
- 凹部を有する基板と、
前記基板に接続された支持脚と、
前記支持脚に接続されて前記凹部の上部に保持された温度検知部と、
前記温度検知部と熱的に接続され、前記凹部、前記支持脚及び前記温度検知部を覆い隠すように板状に広がった形状をとり、吸収した赤外線を熱に変換して前記温度検知部に伝える吸収傘部とを備え、
前記支持脚を前記吸収傘部に対して相反する方向に反らした構造とすることを特徴とする赤外線センサ素子。 - 支持脚を伸び率の異なる材料により多層構造とし、吸収傘部側の層ほど前記伸び率が高い材料とすることを特徴とする請求項1記載の赤外線センサ素子。
- 支持脚の吸収傘部側の層の材料を窒化チタンとし、基板の凹部側の層の材料をチタンとすることを特徴とする請求項2記載の赤外線センサ素子。
- 温度検知部と熱的に接続されない状態で支持脚の上方を覆うように反射構造体を有することを特徴とする請求項1記載の赤外線センサ素子。
- 温度検知部と熱的に接続されない状態で支持脚の上方を覆うように配置し、基板側に反った形状の吸収傘部と平行になるように設けられる反射構造体を有することを特徴とする請求項1記載の赤外線センサ素子。
- 反射構造体を多層構造とし、吸収傘部の反対側の層ほど圧縮応力が高くなるように構成されることを特徴とする請求項5記載の赤外線センサ素子。
- 支持脚を折り返した構造とすることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の赤外線センサ素子。
- 請求項1から7のいずれか1項に記載の赤外線センサ素子を複数個備え、前記複数個の赤外線センサ素子はアレイ状に配列されていることを特徴とする赤外線センサ装置。
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JP2010025585A (ja) * | 2008-07-15 | 2010-02-04 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 赤外線センサ |
JP2010151736A (ja) * | 2008-12-26 | 2010-07-08 | Mitsubishi Electric Corp | 赤外線検出器およびその製造方法、並びに赤外線固体撮像装置 |
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-
2004
- 2004-12-08 JP JP2004355428A patent/JP2006162470A/ja active Pending
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