JP5142575B2 - 木造建築物及び木造建築物の耐震補強方法 - Google Patents
木造建築物及び木造建築物の耐震補強方法 Download PDFInfo
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Description
このような軸組構造では、複数の耐震壁を設ける必要があることから、開口部の設定や屋内空間の利用に支障を生じることがある。また、横架材の支間を大きく設定することは難しく、大きな開口部を設けることが難しくなっている。
特許文献1に記載の構造は、柱と梁との接合部に金属製のガセットプレートを使用し、このガセットプレートを介して曲げモーメントを伝達しようとするものである。また、特許文献2に記載の構造は、柱と梁との双方に太径のボルトをねじ込み、これらの間で引張力が伝達されるように接合することによって、曲げモーメントに抵抗できる構造としている。これらのラーメン構造では、柱及び梁に大きな断面の部材を用いることによってその長所を活かすことが可能となる。つまり、大きな断面の柱および梁を使用することによってラーメン構造が大きな水平力に抵抗できるものとなり、耐力壁を不要又は減らすことができる。そして、断面の大きな梁を用いることによって長い径間に架け渡すことが可能となり、下層階でも柱及び壁面の少ない構造とすることができる。
このような事情から、軸組構造の一部にラーメン構造を組み込んだ構造とし、それぞれの長所を活かした構造が望まれる。しかし、ラーメン枠は、梁と柱との接合にガセットプレートや、太径のボルト等が用いられており、軸組構造で用いられる柱や梁と接合することが難しくなる。
さらに、上記ラーメン枠は、既存の軸組構造の木造建築物に対しても、軸柱間に嵌め入れることによって耐震性を大きく向上させることができ、さらにこのラーメン枠が嵌め入れられた部分に開口を設けることもできる。
そして、上記上梁と下梁とに連続して固着された板材がラーメン柱及び軸柱の側面にも連続して固定されることにより、この板材を介してラーメン梁とラーメン柱との間の曲げモーメントが伝達されるとともに、軸柱もラーメン柱と一体となって挙動し、大きな水平力に抵抗できるものとなる。
また、本発明の耐震補強方法では、既存の軸組構造の木造建築物に対して、開口を維持したまま耐震性を向上させることが可能となる。
図1は、本願に係る発明の一実施形態である木造建築物の構造躯体を示す概略斜視図である。
この構造躯体は、断面が105mm×105mm、又は120mm×120mmのほぼ正方形となった木製の軸柱1と、軸柱間に架け渡される横架材2とで構成される、いわゆる軸組構造と、2つの木製のラーメン柱3とこれらの間に架け渡されるラーメン梁4とを門型に接合したラーメン枠10とを組み合わせて主要部が構成されている。
このラーメン枠10は、図2に示すように、2つのラーメン柱3とこれらのラーメン柱3の互いに対向する側面にそれぞれ端面を突き当てて接合された上梁11及び下梁12を備えるものである。上梁11と下梁12とはいずれも水平に支持され、これらは間隔をあけてそれぞれ両端部が2つのラーメン柱3−1、3−2に固定されている。そして、これらの上梁11と下梁12とに連続するように合板13がビス又は釘によって固着され、上梁と下梁と上記合板とが一体となって一つの部材つまりラーメン梁4として機能するものとなっている。さらに、この合板13はラーメン柱3−1、3−2及びこのラーメン柱と当接して立設されている両側の軸柱1−1、1−2に連続して当接され、ビス又は釘によって固定されている。この合板13は、ラーメン枠の軸線と平行に、接合されるラーメン柱、上梁及び下梁の一方の面に添設されるものであっても良いし、両面に添設されるものであっても良い。
なお、上記接合金具14の梁接合部22は、取付基部21と回動が可能に接続されており、この接合金具14をラーメン柱3に取り付けて現場へ搬入するときには、梁接合部22をラーメン柱3の面に沿った位置に回動しておき、取り扱いを容易にすることができるものである。
この柱支持金具40は、図5に示すように、鋼からなる箱状の部材であって、基礎5に当接される底板41と、この底板41と平行に設けられ、ラーメン柱3および軸柱1の下端面が当接される上面板42と、上記底板41の上方に上記上面板42を支持する鉛直板43と、ラーメン柱3及び軸柱1と接続するために、上面板42上に鉛直に立設された接合板44とを有するものである。鉛直板43は座屈を防止するためのリブ45を備えており、底板41に設けられたアンカーボルト46を挿通するための複数の孔の周辺部を避けて設けられている。また、上面板42の上に立設された接合板44は、その鉛直面が上記ラーメン枠10の軸線を含む面と平行に設けられ、ドリフトピン47を挿通するために複数の孔48が設けられている。
また、他のラーメン枠20をY方向に設けることによって、Y方向の水平力に対してもラーメン枠20で抵抗することができる。つまり、X方向及びY方向に適宜にラーメン枠を軸組構造に組み込んで設けることにより、充分な耐震性を有する躯体構造とすることができる。
また、一階部分と同じ位置に二階部分のラーメン枠を設けるときには、ラーメン柱を一階部分と二階部分とに連続する通し柱としても良いし、一階部分と二階部分とそれぞれ別途に形成された門形ラーメンを設けても良い。そして、一階部分のラーメン柱と二階部分のラーメン柱とは、曲げモーメントが伝達されるように結合しても良いし、曲げモーメントが伝達されないように互いの間で変形が可能に接合するものであっても良い
あらかじめ工場等においてラーメン柱3と軸柱1とを一体に結合し、ラーメン梁4との接合金具14を取り付けておく。これらの柱を現場において所定の位置に設けられた柱支持金具40上に立設する。その後、下梁12及び上梁11の順で接合し、これらの梁11,12と柱1,3とに連続するように合板13を固定してラーメン枠10を形成する。そして、他の軸組構造を構成する部材と接合する。
また、ラーメン柱3と上梁11及び下梁12とをあらかじめ接合し、さらに合板13を固定してラーメン枠10の両側に接合する軸柱1も一体に組み立てておいても良い。構築現場では、他の軸柱を立設するとともに、上記のように組み立てられたラーメン枠をクレーン等によって吊り上げて、所定の位置に据え付ける。そして、他の軸組構造を構成する部材と接合するものであっても良い。
11:上梁、 12:下梁、 13:合板(板材)、 14:接合金具、
21:取付基部、 22:梁接合部、 23:ラーメン柱のボルト孔、 24:軸柱のボルト孔、 25:ボルト、 26:梁接合部に設けられた孔、 27:切り欠き部、 28:ドリフトピン、 29:スリット、 30:横孔、
31:ビス、
40:柱支持金具、 41:底板、 42:上面板、 43:鉛直板、 44:接合板、 45:リブ、 46:アンカーボルト、 47:ドリフトピン、 48:接合板に設けられた孔、 49:ナット、 50:横孔、 51:根太
Claims (5)
- 断面の形状がほぼ正方形である複数の軸柱を有する木造の建築物であって、
2つの前記軸柱間に、木製の2つのラーメン柱と木製のラーメン梁とを曲げモーメントの伝達が可能に接合した門型のラーメン枠が設置されており、
前記ラーメン梁は、上下に平行して架け渡された上梁と下梁とを有し、該上梁の側面から前記下梁の側面にわたって連続した板材が固着されたものであり、
前記上梁及び前記下梁は、それぞれが接合金具によって前記ラーメン柱と接合され、
前記接合金具は、前記ラーメン柱の側面に固着されるとともに、前記上梁又は前記下梁と接合されて、該上梁と該下梁とのそれぞれを前記ラーメン柱の側面間で、鉛直方向の力の伝達が可能に支持できるものであり、
前記板材は、前記上梁の上縁から前記下梁の下縁までの範囲内で該上梁及び下梁の軸線方向に沿って所定の範囲で連続するととともに、前記ラーメン柱及び前記軸柱の側面と対向する範囲内で該ラーメン柱の軸線方向に沿って前記ラーメン梁の下縁より下方に及ぶ範囲にまで連続して、該上梁と該下梁と該ラーメン柱と該軸柱との側面に固着されていることを特徴とする木造建築物。 - 前記ラーメン柱及び前記ラーメン梁の断面形状は、該ラーメン枠の軸線が含まれる面と平行な辺の寸法が、該ラーメン枠の軸線を含む面と直角となる方向の辺より長い、扁平な形状であることを特徴とする請求項1に記載の木造建築物。
- 前記ラーメン柱と当接される前記軸柱の少なくとも一方は、一階部分の柱と二階部分の柱とが連続する通し柱であり、
前記ラーメン梁の上面は、該ラーメン枠の軸線を含む面と直角方向に配置されて前記通し柱の側面に接合された横架材の上面と高さ方向の位置が同じに設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の木造建築物。 - 前記ラーメン柱と当接される前記軸柱の少なくとも一方は、上端面の位置が前記ラーメン梁の上面より低い位置にあり、
前記ラーメン梁の上面は、該ラーメン枠の軸線を含む面と直角方向に配置されて前記軸柱の上面に載せ掛けて支持された横架材の上面と高さ方向の位置が同じに設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の木造建築物。 - 断面の形状がほぼ正方形である複数の軸柱と、これらの間に架け渡される横架材とを有する木造建築物の軸柱間に、木製のラーメン柱と木製のラーメン梁とを曲げモーメントの伝達が可能に接合した門型のラーメン枠を設置する木造建築物の耐震補強方法であって、
2つの前記軸柱の対向する側面に沿って2つの前記ラーメン柱を立設しておき、
前記ラーメン柱間に、該ラーメン柱の側面に端面を対向させて、下梁続いて上梁の順で該上梁及び該下梁の両端部をそれぞれ前記ラーメン柱に接合して支持し、
前記上梁の側面から前記下梁の側面まで連続し、さらに前記ラーメン柱の側面まで連続する板材を、該上梁、該下梁及び前記ラーメン柱に固定して、前記上梁と前記下梁と前記板材とでラーメン梁を形成するとともに、該ラーメン梁と前記ラーメン柱との間でモーメントの伝達が可能なラーメン枠を形成するものとし、
前記板材は、前記上梁の上縁から前記下梁の下縁までの範囲内で該上梁及び下梁の軸線方向に沿って所定の範囲で連続するととともに、前記ラーメン柱及び前記軸柱の側面と対向する範囲内で該ラーメン柱の軸線方向に沿って前記ラーメン梁の下縁より下方に及ぶ範囲にまで連続して、該上梁と該下梁と該ラーメン柱と該軸柱との側面に固着することを特徴とする木造建築物の耐震補強方法。
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