JP2018104884A - 建物の補強構造及び補強方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】隣り合う補強構造を強固に一体化でき、これによって優れた補強効果を得ることが可能な建物の補強構造を提供することを目的とする。【解決手段】複数の矩形枠部1A,1Bの各々の枠内に、各矩形枠部1A,1Bの縁部に沿って互いに間隔を空けて設けられた複数の接合部材5を介して、補強用パネル6が設けられており、隣り合う矩形枠部1A,1B同士の間に位置する軸組材2Bを挟んで隣り合う接合部材5同士は、双方の接合部材5における第一板部5aと軸組材2Bとを貫通する第一貫通軸部材7によって結合されており、複数の接合部材5における第二板部5bは、補強用パネル6に対し、これら第二板部5bと補強用パネル6とを貫通する第三貫通軸部材9によって結合されており、矩形枠部1A,1Bの内側面と補強用パネル6の縁部との間には隙間Sがある状態となっている。【選択図】図2

Description

本発明は、建物の補強構造及び補強方法に関する。
従来、建物の躯体に組み込まれるもので、制振技術等を含む建物の補強技術として様々なものが知られている(特許文献1参照)。
例えば、特許文献1には、上下の建築構造材に形成された溝部に固定部材の楔形部が接着剤で接着嵌合され、さらに固定部材がスクリュー釘で構造材に固定されて、その固定部材に耐力面材がボルト結合されたことを特徴とする技術が開示されている。
また、特許文献2には、柱や梁、耐力壁等の建物の躯体に制振手段を介して外壁パネルが接続されたことを特徴とする技術が開示されている。
特開2007−284867号公報 特許第4904040号公報
ところで、より高い効果を得るために、従来のような補強構造を、例えば複数隣り合わせに配置することが考えられる。しかしながら、同じ構造を単純に複数隣り合わせに配置しても高い効果が得られるとは限らない。そのため、建物を補強するための構造を複数隣り合わせにした場合に、より高い効果を得ることが可能な技術の開発が求められていた。
また、特許文献1のように、構造材の溝部に接着嵌合した固定部材を、さらにスクリュー釘で構造材に固定した構造では、リフォーム時に分解することは極めて困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、隣り合う補強構造を強固に一体化でき、これによって優れた補強効果を得ることができ、しかもリフォームしやすい建物の補強構造および補強方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図5等に示すように、建物を構成する軸組材(縦軸材2A,2B,2C、上横軸材3、下横軸材4)によって形成された複数の矩形枠部1A,1Bの各々の枠内に、各矩形枠部1A,1Bの縁部に沿って互いに間隔を空けて設けられた複数の接合部材5を介して、補強用パネル6が設けられており、
前記接合部材5は、前記矩形枠部1A,1Bの内側面に接する第一板部5aと、前記補強用パネル6に接する第二板部5bと、を備えており、
前記複数の接合部材5のうち、隣り合う前記矩形枠部1A,1B同士の間に位置する前記軸組材(縦軸材2B)を挟んで隣り合う接合部材5同士は、双方の接合部材5における前記第一板部5aと前記軸組材2Bとを貫通する貫通軸部材(第一貫通軸部材7)によって結合されており、
前記複数の接合部材5における前記第二板部5bは、前記補強用パネル6に対し、これら第二板部5bと補強用パネル6とを貫通する貫通軸部材(第三貫通軸部材9)によって結合されており、
前記矩形枠部1A,1Bの内側面と前記補強用パネル6の縁部との間には隙間Sがある状態となっていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、複数の接合部材5のうち、隣り合う矩形枠部1A,1B同士の間に位置する軸組材2Bを挟んで隣り合う接合部材5同士は、双方の接合部材5における第一板部5aと軸組材2Bとを貫通する貫通軸部材7によって結合されているので、隣り合う矩形枠部1A,1Bの枠内に設けられた補強用パネル6同士を軸組材2Bに対して強固に一体化することができる。これによって、建物の躯体に加わる力を効果的に分散することができるので、優れた補強効果を発揮することができる。
さらに、複数の接合部材5における第二板部5bは、補強用パネル6に対し、これら第二板部5bと補強用パネル6とを貫通する貫通軸部材9によって結合されており、矩形枠部1A,1Bの内側面と補強用パネル6の縁部との間には隙間Sがある状態となっているので、矩形枠部1A,1Bが斜めに変形しようとした場合、もしくは変形した場合に、補強用パネル6の面剛性を利用して制振効果を発揮して矩形枠部1A,1Bの変形を抑制することができる。これによって、さらに優れた補強効果を発揮することができる。
しかも、補強用パネル6は、接合部材5と各貫通軸部材(第一貫通軸部材7,第三貫通軸部材9)を介して、複数の矩形枠部1A,1Bの各々の枠内に設けられたものであるため、各貫通軸部材による結合状態を解除するだけで、複数の矩形枠部1A,1Bから補強用パネル6を取り外して分解することができる。そのため、建物のリフォームがしやすくなる。
請求項2に記載の発明は、例えば図3に示すように、請求項1に記載の建物の補強構造において、
前記複数の接合部材5のうち、前記軸組材2A,2Cを挟んで隣り合う接合部材5が無い状態の接合部材5における前記第一板部5aは、前記軸組材2A,2Cに対し、これら第一板部5aと軸組材2A,2Cとを貫通する貫通軸部材(第二貫通軸部材8)によって結合されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、複数の接合部材5のうち、軸組材2A,2Cを挟んで隣り合う接合部材5が無い状態の接合部材5における第一板部5aは、軸組材2A,2Cに対し、これら第一板部5aと軸組材2A,2Cとを貫通する貫通軸部材8によって結合されているので、貫通軸部材8を回転軸とした僅かな回転を許容しつつ、剛性を確保できる。
請求項3に記載の発明は、例えば図2〜図4に示すように、請求項1又は2に記載の建物の補強構造において、
前記貫通軸部材(第一貫通軸部材7、第二貫通軸部材8、第三貫通軸部材9)は、
一端部に、ナットを螺合させる雄ネジが形成された断面円形の本体軸部7a,8a,9aと、
前記本体軸部7a,8a,9aの他端部に一体に設けられているとともに前記本体軸部7a,8a,9aよりも大径に形成された円形板7b,8b,9bと、を備えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、貫通軸部材7,8,9は、一端部に、ナットを螺合させる雄ネジが形成された断面円形の本体軸部7a,8a,9aと、本体軸部7a,8a,9aの他端部に一体に設けられているとともに本体軸部7a,8a,9aよりも大径に形成された円形板7b,8b,9bと、を備えるので、この貫通軸部材7,8,9を回転軸とした矩形枠部1A,1Bおよび補強用パネル6の動作を許容しつつ、円形板7b,8b,9b側に本体軸部が突出しない分の省スペース化を図ることができる。
請求項4に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、請求項3に記載の建物の補強構造において、
前記補強用パネル6の表面と前記軸組材(縦軸材2A,2B,2C、上横軸材3、下横軸材4)の側面とが面一になっており、
前記補強用パネル6の表面には、前記貫通軸部材7,8,9の円形板7b,8b,9bが嵌まる凹部6dが形成されており、この凹部6dに嵌まった状態の前記円形板7b,8b,9bの表面と前記補強用パネル6の表面とが面一になっていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、補強用パネル6の表面と軸組材2A,2B,2C,3,4の側面とが面一になっており、補強用パネル6の表面には、貫通軸部材7,8,9の円形板7b,8b,9bが嵌まる凹部6dが形成されており、この凹部6dに嵌まった状態の円形板7b,8b,9bの表面と補強用パネル6の表面とが面一になっているので、複数の矩形枠部1A,1Bを含んで構成される壁の一面側を略平らな状態にすることができる。これによって、壁の一面側に出っ張りなどが生じず、省スペース化を図ることができるとともに、仕上げ面材の取り付けなども行いやすくなる。
請求項5に記載の発明は、例えば図1等に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の建物の補強構造において、
前記軸組材(縦軸材2A,2B,2C、上横軸材3、下横軸材4)は、前記建物の構造部分を構成する建築構造材であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、例えば軸組材が建築構造材であった場合は、非建築構造材である場合に比して、隣り合う矩形枠部1A,1Bの枠内に設けられた補強用パネル6同士を建築構造材2Bに対して強固に一体化することができる。これによって、建物の躯体に加わる力を効果的に分散することができるので、優れた補強効果を発揮することができる。
請求項6に記載の発明は、図1〜図5等に示すように、建物を構成する軸組材(縦軸材2A,2B,2C、上横軸材3、下横軸材4)によって形成された複数の矩形枠部1A,1Bの各々の枠内に、複数の接合部材5を介して、補強用パネル6を設ける建物の補強方法であって、
前記複数の接合部材5は、前記矩形枠部1A,1Bの内側面に接する第一板部5aと、前記補強用パネル6に接する第二板部5bと、を備えるものであり、
前記補強用パネル6は、その縦横寸法が、前記矩形枠部1A,1Bにおける枠開口部の縦横寸法よりも短く設定されたものであり、
前記複数の接合部材5を、各矩形枠部1A,1Bの縁部に沿って互いに間隔を空けて設け、これら複数の接合部材5のうち、隣り合う前記矩形枠部1A,1B同士の間に位置する前記軸組材2Bを挟んで隣り合う接合部材5同士を、双方の接合部材5における前記第一板部5aと前記軸組材2Bとを貫通する貫通軸部材7によって結合し、
前記複数の接合部材5における前記第二板部5bを、前記補強用パネル6に対し、これら第二板部5bと補強用パネル6とを貫通する貫通軸部材9によって結合し、
前記矩形枠部1A,1Bの内側面と前記補強用パネル6の縁部との間に隙間Sがある状態にすることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、複数の接合部材5のうち、隣り合う矩形枠部1A,1B同士の間に位置する軸組材2Bを挟んで隣り合う接合部材5同士を、双方の接合部材5における第一板部5aと軸組材2Bとを貫通する貫通軸部材7によって結合するので、隣り合う矩形枠部1A,1Bの枠内に設けられた補強用パネル6同士を軸組材2Bに対して強固に一体化することができる。これによって、建物の躯体に加わる力を効果的に分散することができるので、優れた補強効果を発揮することができる。
さらに、複数の接合部材5における第二板部5bを、補強用パネル6に対し、これら第二板部5bと補強用パネル6とを貫通する貫通軸部材9によって結合しており、矩形枠部1A,1Bの内側面と補強用パネル6の縁部との間に隙間Sがある状態にするので、矩形枠部1A,1Bが斜めに変形しようとした場合、もしくは変形した場合に、補強用パネル6の面剛性を利用して制振効果を発揮して矩形枠部1A,1Bの変形を抑制することができる。これによって、さらに優れた補強効果を発揮することができる。
しかも、補強用パネル6を、接合部材5と各貫通軸部材(第一貫通軸部材7,第三貫通軸部材9)を介して、複数の矩形枠部1A,1Bの各々の枠内に設けるため、リフォーム時には、各貫通軸部材による結合状態を解除するだけで、複数の矩形枠部1A,1Bから補強用パネル6を取り外して分解することができる。
本発明によれば、隣り合う補強構造を強固に一体化でき、これによって優れた補強効果を得ることができ、しかもリフォームしやすくなる。
複数の矩形枠部の枠内に補強用パネルが設けられた状態を示し、(a)は正面図であり、(b)は平断面図である。 縦軸材と、この縦軸材を挟んで隣り合う第一板部とが貫通軸部材によって結合された状態を示す断面図である。 縦軸材と第一板部とが貫通軸部材によって結合された状態を示す断面図である。 横軸材に対して接合部材が固定された状態を示す側断面図である。 接合部材を示す斜視図である。 複数の矩形枠部の枠内に補強用パネルが設けられた状態の変形例を示す正面図である。 複数の矩形枠部の枠内に補強用パネルが設けられた状態の他の変形例を示す正面図である。 軸組材と補強用パネルとが接合部材を介して接合された状態の変形例を示す断面図である。 軸組材と補強用パネルとが接合部材を介して接合された状態の他の変形例を示す断面図である。 軸組材と補強用パネルとが接合部材を介して接合された状態の他の変形例を示す断面図である。 建物の床に補強構造が適用された状態を示す斜視図である。 複数の矩形枠部の枠内に補強用パネルが設けられた状態の他の変形例を示す正面図である。 図12に示す構造に採用された接合部材を示す斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
本実施形態における建物の補強構造は、図1〜図5に示すように、建物の構造部分を構成する軸組材2A,2B,2C,3,4によって形成された複数の矩形枠部1A,1Bの各々の枠内に、各矩形枠部1A,1Bの縁部に沿って互いに間隔を空けて設けられた複数の接合部材5を介して、補強用パネル6が設けられてなる。
また、本実施形態における補強構造は、建物の壁に適用されるものである。
本実施形態における複数の矩形枠部1A,1Bを形成する軸組材2A,2B,2C,3,4は、上述のように建物の構造部分を構成する建築構造材であり、建物の構造上不可欠なものを指す。すなわち、屋根や床の重さ、あるいは荷重など構造にかかる力を負担する部材である。したがって、間柱や根太等の二次部材は含まれない。
より具体的には、図1に示すように、複数の矩形枠部1A,1Bは、互いに間隔を空けて設けられた少なくとも三本以上の縦軸材2A,2B,2Cと、三本以上の縦軸材2A,2B,2Cにおける上端部を連結している上横軸材3と、三本以上の縦軸材2A,2B,2Cにおける下端部を連結している下横軸材4と、で形成されている。
縦軸材2A,2B,2Cは、間柱ではない柱であり、互いに間隔を空けて設けられている。縦軸材2A,2B,2C間の間隔は、本実施形態では等間隔となっているが、意図的に間隔を違える場合も想定される。
上横軸材3は、本実施形態では梁であるが、これに限られるものではなく、屋根の荷重を受ける軒桁等の横軸材でもよい。
下横軸材4は、本実施形態では土台であるが、これに限られるものではなく、上下階間に位置する梁でもよい。
複数の矩形枠部1A,1Bは、以上の建築構造材によって形成されている。すなわち、縦軸材2A,2B,2Cのうち真ん中に位置する縦軸材2Bは、一方の矩形枠部1Aと他方の矩形枠部1Bとが共有した状態となっている。
本実施形態では縦軸材2A,2B,2Cが等間隔に設けられているため、複数の矩形枠部1A,1Bのサイズ(上下方向の寸法および左右方向の寸法)は等しく設定されている。
補強用パネル6は、図1(a),(b)に示すように、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体6aが構成され、この枠体6aの両面もしくは片面に、合板等の面材6bが貼設された所謂建築用パネルであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填されている。また、枠体6aの、面材6bとは反対側のスペース(接合部材5が設けられたスペース)にも断熱材や各種配線・各種配管を設けることができる。
本実施形態では、このような建築用パネルが補強用パネル6として採用されているが、これに限られるものではない。例えば、単なるパネルによる面材でもよく、CLT(Cross Laminated Timber)等の積層材でもよく、あるいは、配筋したコンクリートパネルでもよい。
補強用パネル6における接合部材5が接する位置には、後述する貫通軸部材(第三貫通軸部材9)が通される貫通孔6cが形成されている。この貫通孔6cは、枠体6aを構成する縦横の框材と、その表面に貼設された面材6bとを貫通して形成されている。
貫通孔6cは、図1(a)に示すように、補強用パネル6における左右の側縁に対して等間隔に四箇所ずつ形成されている。これら左右側縁それぞれ四箇所に形成された貫通孔6cのうち、左右方向に対応する貫通孔6c同士の高さは揃った状態となっている。
また、貫通孔6cは、補強用パネル6の上縁および下縁に対して等間隔に三箇所ずつ形成されている。これら上縁および下縁のそれぞれ三箇所に形成された貫通孔6cのうち、上下方向に対応する貫通孔6c同士の左右の位置は揃った状態となっている。
補強用パネル6における上下方向の寸法および左右方向の寸法は、各矩形枠部1A,1Bの枠開口部における上下方向の寸法および左右方向の寸法よりも短く設定されている。すなわち、図1〜図4に示すように、補強用パネル6は、各矩形枠部1A,1Bの枠開口部から枠内に入れられて、複数の接合部材5によって四周縁部が保持された場合に、各矩形枠部1A,1Bの内側面と補強用パネル6の縁部との間には隙間Sがある状態となっている。
隙間Sの幅寸法は、本実施形態では2mm程度に設定されている。
補強用パネル6の四周縁部のいずれも、各矩形枠部1A,1Bの内側面には接しない状態となっている。
接合部材5は、図5に示すように、矩形枠部1A,1Bの内側面に接する第一板部5aと、補強用パネル6に接する第二板部5bと、を備えた略L型の金具である。すなわち、一枚の金属板がL型に折り曲げられて形成されたものであるため、第一板部5aと第二板部5bは一体である。
第一板部5aには、後述する第一および第二貫通軸部材7,8と後述する固定具10が通される貫通孔50と、接合部材5を矩形枠部1A,1Bの内側面に仮固定するための釘孔51と、が形成されている。
第二板部5bには、後述する第三貫通軸部材9が通される貫通孔52が形成されている。
また、図2〜図4に示すように、接合部材5および補強用パネル6が接し合った状態の寸法と、各建築構造材2A,2B,2C,3,4の厚みとが略等しく設定されている。
図2に示すように、複数の接合部材5のうち、隣り合う矩形枠部1A,1B同士の間に位置する縦軸材2Bを挟んで隣り合う接合部材5同士は、双方の接合部材5における第一板部5aと縦軸材2Bとを貫通する第一貫通軸部材7によって結合されている。
また、図1に示すように、本実施形態における縦軸材2A,2Cの場合は、その左側または右側に補強用パネル6が設けられない。そのため、中央の縦軸材2Bの場合とは異なり、図3に示すように、左右の縦軸材2A,2Cは、複数の接合部材5によって挟まれずに、片側の内側面に接合部材5が接した状態となっている。すなわち、複数の接合部材5のうち、縦軸材2A,2Cを挟んで隣り合う接合部材5が無い状態の接合部材5における第一板部5aは、縦軸材2A,2Cに対し、これら第一板部5aと縦軸材2A,2Cとを貫通する第二貫通軸部材8によって結合されている。
さらに、複数の接合部材5における第二板部5bは、補強用パネル6に対し、これら第二板部5bと補強用パネル6とを貫通する第三貫通軸部材9によって結合されている。
接合部材5の取り付けに用いられる各貫通軸部材7,8,9は、所謂、座付ボルトが採用されている。そして、これら貫通軸部材7,8,9のそれぞれは、断面円形の本体軸部7a,8a,9aと、円形板7b,8b,9bと、を備える。
本体軸部7a,8a,9aのそれぞれは、一端部に、ナットを螺合させる雄ネジが形成されている。
円形板7b,8b,9bのそれぞれは、本体軸部7a,8a,9aの他端部に一体に設けられているとともに本体軸部7a,8a,9aよりも大径に形成されている。
第二貫通軸部材8は、図3に示すように、縦軸材2A(2C9に対して、本体軸部8aの一端部が補強用パネル6側に位置するようにして設けられている。
また、第二貫通軸部材8が設けられる縦軸材2A(2C)のうち、補強用パネル6が設けられない側の側面には、第二貫通軸部材8の円形板8bが嵌まる凹部2aが形成されている。そして、この凹部2aに嵌まった状態の第二貫通軸部材8における円形板8bの表面と縦軸材2A(2C)の側面とが面一になっている。
第三貫通軸部材9は、図2,図3に示すように、補強用パネル6に対して、本体軸部9aの一端部が補強用パネル6の裏面側に位置するようにして設けられている。
また、補強用パネル6の表面と各縦軸材2A,2B,2Cの側面とが面一になっている。そして、補強用パネル6の表面には、第三貫通軸部材9の円形板9bが嵌まる凹部6dが形成されている。この凹部6dに嵌まった状態の円形板9bの表面と補強用パネル6の表面とが面一になっている。すなわち、補強構造が適用された壁の一面側を略平らにできる。
第三貫通軸部材9は、第一貫通軸部材7および第二貫通軸部材8に対して直交する方向に設けられることになるが、これら直交する位置関係の貫通軸部材7(8),9同士は、ある程度の寸法だけ離間していることが望ましい。これは制振機能を発揮するためであると同時に、施工性を向上させるためである。
図1,図4に示すように、複数の接合部材5のうち、上横軸材3の下面および下横軸材4の上面に接する接合部材5における第一板部5aは、貫通孔50に通された固定具10によって、上横軸材3および下横軸材4に固定されている。
本実施形態における固定具10としてはラグスクリューボルトが採用されており、第一板部5aの貫通孔50に通された状態で上横軸材3および下横軸材4にねじ込まれている。
なお、図4に示すように、上下階方向に隣り合う複数の矩形枠部1A,1C同士のそれぞれに補強用パネル6が設けられていてもよい。この場合においても、固定具10によって接合部材5が上横軸材3に固定されている。
また、図示はしないが、このように上下階方向に補強構造が設けられる場合には、上横軸材3を貫通する貫通軸部材を採用してもよいものとする。すなわち、本実施形態における補強構造は、複数の矩形枠部が横方向に隣り合う場合だけに限られるものではなく、上下方向に隣り合う場合にも採用することができる。
次に、複数の矩形枠部1A,1Bに補強用パネル6を設ける際の施工手順について図2,図4を例に挙げて説明する。
なお、縦軸材2Bには第一貫通軸部材7が通される貫通孔が予め形成されており、補強用パネル6には第三貫通軸部材9が通される貫通孔6cが予め形成されているものとする。
まず、接合部材5を、縦軸材2Bの両側面における上記四箇所の位置に、第一板部5aに形成された釘孔51から釘止めすることによって仮固定する。この時、第一板部5aの端部と、縦軸材2Bの側面とが面一になるように、かつ各接合部材5における第一板部5aの貫通孔50と縦軸材2Bの貫通孔とが揃うように留意して仮固定する。
続いて、第一貫通軸部材7を、双方の接合部材5における第一板部5aと縦軸材2Bとを貫通するようにして設ける。すなわち、第一板部5aに形成された貫通孔50と縦軸材2Bに形成された貫通孔に、第一貫通軸部材7の本体軸部7aを通す。そして、本体軸部7aの雄ネジにナットを設けて締め付ける。
また、以上のように矩形枠部1A,1Bの左右側の施工と同時に、上下側の施工も行われる。
すなわち、上横軸材3および下横軸材4にも固定具10をねじ込むための下穴が予め形成されている。
そして、矩形枠部1A,1Bの左右側において接合部材5を仮固定するのと同時的に、接合部材5を、上横軸材3の下面および下横軸材4の上面における上記三箇所の位置に仮固定する。
さらに、矩形枠部1A,1Bの左右側において接合部材5と縦軸材2Bに第一貫通軸部材7を通して固定するのと同時的に、固定具10を、第一板部5aに形成された貫通孔50に通して、上横軸材3の下面および下横軸材4の上面にねじ込み、接合部材5を上横軸材3の下面および下横軸材4の上面に取り付ける。
続いて、複数の矩形枠部1A,1Bの双方における周縁部で、第三貫通軸部材9を、接合部材5における第二板部5bと補強用パネル6とを貫通するようにして設ける。すなわち、第二板部5bに形成された貫通孔52と補強用パネル6に形成された貫通孔6cに、第三貫通軸部材9の本体軸部9aを通す。そして、本体軸部9aの雄ネジにナットを設けて締め付ける。
以上のようにして複数の矩形枠部1A,1Bに補強用パネル6を設けることができる。
本実施の形態によれば、複数の接合部材5のうち、隣り合う矩形枠部1A,1B同士の間に位置する建築構造材2Bを挟んで隣り合う接合部材5同士は、双方の接合部材5における第一板部5aと建築構造材2Bとを貫通する貫通軸部材7によって結合されているので、例えば貫通軸部材7が、双方の接合部材5における第一板部5aと間柱等の非建築構造材とを貫通して結合している場合とは異なり、隣り合う矩形枠部1A,1Bの枠内に設けられた補強用パネル6同士を建築構造材2Bに対して強固に一体化することができる。これによって、建物の躯体に加わる力を効果的に分散することができるので、優れた補強効果を発揮することができる。
さらに、複数の接合部材5における第二板部5bは、補強用パネル6に対し、これら第二板部5bと補強用パネル6とを貫通する貫通軸部材9によって結合されており、矩形枠部1A,1Bの内側面と補強用パネル6の縁部との間には隙間Sがある状態となっているので、矩形枠部1A,1Bが斜めに変形しようとした場合、もしくは変形した場合に、補強用パネル6の面剛性を利用して制振効果を発揮して矩形枠部1A,1Bの変形を抑制することができる。これによって、さらに優れた補強効果を発揮することができる。
また、複数の接合部材5のうち、建築構造材2A,2Cを挟んで隣り合う接合部材5が無い状態の接合部材5における第一板部5aは、建築構造材2A,2Cに対し、これら第一板部5aと建築構造材2A,2Cとを貫通する貫通軸部材8によって結合されているので、貫通軸部材8を回転軸とした僅かな回転を許容しつつ、剛性を確保できる。
また、貫通軸部材7,8,9は、一端部に、ナットを螺合させる雄ネジが形成された断面円形の本体軸部7a,8a,9aと、本体軸部7a,8a,9aの他端部に一体に設けられているとともに本体軸部7a,8a,9aよりも大径に形成された円形板7b,8b,9bと、を備えるので、この貫通軸部材7,8,9を回転軸とした矩形枠部1A,1Bおよび補強用パネル6の動作を許容しつつ、円形板7b,8b,9b側に本体軸部が突出しない分の省スペース化を図ることができる。
また、補強用パネル6の表面と建築構造材2A,2B,2C,3,4の側面とが面一になっており、補強用パネル6の表面には、貫通軸部材7,8,9の円形板7b,8b,9bが嵌まる凹部6dが形成されており、この凹部6dに嵌まった状態の円形板7b,8b,9bの表面と補強用パネル6の表面とが面一になっているので、複数の矩形枠部1A,1Bを含んで構成される壁の一面側を略平らな状態にすることができる。これによって、壁の一面側に出っ張りなどが生じず、省スペース化を図ることができるとともに、仕上げ面材の取り付けなども行いやすくなる。
また、軸組材が建築構造材であった場合は、非建築構造材である場合に比して、隣り合う矩形枠部1A,1Bの枠内に設けられた補強用パネル6同士を建築構造材2Bに対して強固に一体化することができる。これによって、建物の躯体に加わる力を効果的に分散することができるので、優れた補強効果を発揮することができる。
また、複数の矩形枠部1A,1Bは、互いに間隔を空けて設けられた建築構造材である少なくとも三本以上の縦軸材2A,2B,2Cと、三本以上の縦軸材2A,2B,2Cにおける上端部を連結している建築構造材である上横軸材3と、三本以上の縦軸材2A,2B,2Cにおける下端部を連結している建築構造材である下横軸材4と、で形成されているので、これら各建築構造材2A,2B,2C,3,4を含んで構成される建物の壁を確実に補強することができる。
また、本実施形態における補強構造は、補強用パネル6を、接合部材を介して矩形枠部1A,1Bの各々の枠内に設けるだけで形成できるため、補強用パネル6の取り付けや取り外しが容易である。したがって、リフォームしやすい。さらに、専門の業者でなくとも、いわゆる日曜大工を行う者が、本実施形態における補強構造を容易に施工することができる。換言すれば、本実施形態における補強構造は、いわゆるDIY用として好適なものである。
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。
〔変形例1〕
本変形例では、図示はしないが、複数の矩形枠部を形成する軸組材の少なくとも一つが、間柱や根太等の二次部材によって構成されている。
すなわち、複数の矩形枠部は、建築構造材である軸組材と、建築構造材ではない二次部材である軸組材によって構成されている。そして、建築構造材である軸組材と、建築構造材ではない二次部材である軸組材の双方に、接合部材を介して補強用パネルが設けられた状態となっている。
本変形例によれば、建物のうち、建築構造材である軸組材と、建築構造材ではない二次部材である軸組材とを含む箇所に補強構造を適用できるので、補強構造を適用できる箇所の選択肢を増やすことができる。
〔変形例2〕
本変形例では、図6に示すように、複数の矩形枠部1A,1Bを利用して開口部11,12が形成されている。
開口部11は、一方の矩形枠部1Aの枠内において上下に離間して設けられた補強用パネル61,62間に形成されている。
また、開口部12は、矩形枠部1Bの枠内において上下に離間して設けられた補強用パネル63,64間に形成されている。
なお、本変形例の補強用パネル61〜64も、枠体(図示せず)と、この枠体に貼設された面材と、からなる。
このような変形例によれば、上述の実施形態と同様に補強効果を発揮しながら、開口部11,12を形成することができる。
また、補強用パネル61〜64の位置を適宜ずらしたり、その大きさや数を変更することによって、開口部11,12の位置をずらしたり、開口部11,12の数を増減したりすることができる。換言すれば、補強用パネル61〜64の位置や大きさ、数の調整をすれば、容易にリフォームすることが可能となる。
〔変形例3〕
本変形例では、図7に示すように、複数の矩形枠部1A,1Bを利用して開口部13〜16が形成されている。
開口部13,14は、矩形枠部1Aの枠内において中央に設けられた補強用パネル65の上側と下側のそれぞれに形成されている。
また、開口部15,16は、矩形枠部1Bの枠内において中央に設けられた補強用パネル66の上側と下側のそれぞれに形成されている。
なお、本変形例の補強用パネル65,66も、枠体(図示せず)と、この枠体に貼設された面材と、からなる。
このような変形例によれば、上述の実施形態と同様に補強効果を発揮しながら、開口部13〜16を形成することができる。
また、補強用パネル65,66の位置を適宜ずらしたり、その大きさや数を変更することによって、開口部13〜16の位置をずらしたり、開口部13〜16の数を増減したりすることができる。換言すれば、補強用パネル65,66の位置や大きさ、数の調整をすれば、容易にリフォームすることが可能となる。
〔変形例4〕
本変形例では、図8に示すように、軸組材70と補強用パネル6が接合部材5を介して接合されている。
本変形例における補強用パネル6は、面材6bが、接合部材5の第二板部5bに接した状態となっており、枠体6aがその反対側に向けられた状態となっている。そして、第三貫通軸部材9によって結合されている。また、枠体6aには、円形板9bが嵌められる凹部6dが形成されている。
枠体6aは、縦横の框材と、内部に縦横に組み付けられた補助桟材とを備えるので、枠体6aは、面材6bとは反対側に開放された状態となる。そして、このように開放された箇所から枠体6aの内部に断熱材や各種配線・各種配管を設けることができるようになっている。なお、面材6bの、枠体6aとは反対側のスペースにも、断熱材や各種配線・各種配管を設けることができる。
軸組材70を含んで構成された矩形枠部が斜めに変形しようとした場合、もしくは変形した場合に、補強用パネル6の面剛性を利用して制振効果を発揮して矩形枠部の変形を抑制できるが、本変形例においては、面剛性を発揮する面材6bが、隙間Sを確保しつつ、軸組材70の厚さ方向中心(中立軸)に近づいた状態となる。そのため、矩形枠部の変形をより効率良く抑制することができる。
なお、本変形例における軸組材70は、建築構造材でもよいし、二次部材でもよい。また、縦方向に設けられるもの(例えば柱)でもよいし、横方向に設けられるもの(例えば梁や土台)でもよい。
また、接合部材5の第一板部5aと軸組材70を貫通する第一貫通軸部材7の代わりに、第二貫通軸部材8や固定具10を使用してもよい。
〔変形例5〕
本変形例では、図9に示すように、軸組材71と補強用パネル72が接合部材5を介して接合されている。
本変形例における補強用パネル72は、上述の実施形態における補強用パネル6とは異なり、枠体を備えず、合板やパーティクルボード等からなる面材のみによって構成されている。この補強用パネル72は、接合部材5の第二板部5bに接した状態となっており、上述の実施形態における第三貫通軸部材9よりも本体軸部9aの短い第三貫通軸部材9Aによって結合されている。すなわち、この第三貫通軸部材9Aの本体軸部9aは、補強用パネル72の厚みに対応して短く設定されている。
補強用パネル72(面材)の一面側および他面側は、枠体が無い分、スペースが広く空いており、断熱材や各種配線・各種配管を設けることができるようになっている。
本変形例においても、面剛性を発揮する補強用パネル72が、隙間Sを確保しつつ、軸組材71の厚さ方向中心(中立軸)に近づいた状態となる。そのため、軸組材71を含んで構成された矩形枠部の変形をより効率良く抑制することができる。
なお、本変形例における軸組材71は、建築構造材でもよいし、二次部材でもよい。また、縦方向に設けられるもの(例えば柱)でもよいし、横方向に設けられるもの(例えば梁や土台)でもよい。
また、接合部材5の第一板部5aと軸組材71を貫通する第一貫通軸部材7の代わりに、第二貫通軸部材8や固定具10を使用してもよい。
〔変形例6〕
本変形例では、図10に示すように、軸組材73と補強用パネル74が接合部材5を介して接合されている。
本変形例における補強用パネル74は、上述の実施形態における補強用パネル6とは異なり、枠体を備えず、CLT(Cross Laminated Timber)からなる面材のみによって構成されている。この補強用パネル74は、接合部材5の第二板部5bに接した状態となっている。そして、第三貫通軸部材9によって結合されている。補強用パネル74の、接合部材5側のスペースには、断熱材や各種配線・各種配管を設けることができる。
本変形例における補強用パネル74は、上述の実施形態における補強用パネル6の面材6bよりも厚みのあるCLTによって構成されている。すなわち、面材6bよりも、より厚みのある積層材によって構成されているので、この補強用パネル74は、極めて高い面剛性を発揮することができる。しかも、矩形枠部の内側面と補強用パネル74との間には隙間Sがある状態となっているため、軸組材73を含んで構成された矩形枠部の変形をより強固に抑制することができる。
なお、本変形例における軸組材73は、建築構造材でもよいし、二次部材でもよい。また、縦方向に設けられるもの(例えば柱)でもよいし、横方向に設けられるもの(例えば梁や土台)でもよい。
また、接合部材5の第一板部5aと軸組材73を貫通する第一貫通軸部材7の代わりに、第二貫通軸部材8や固定具10を使用してもよい。
〔変形例7〕
本変形例における建物の補強構造は、図11に示すように、建物の床80に適用されている。
より詳細に説明すると、床80は、互いに平行して配置された軸組材82,83と、これら軸組材82,83の長さ方向に間隔を空けて、かつ互いに平行に配置された軸組材84,85によって形成された矩形枠部81A,81Bの各々の枠内に、各矩形枠部81A,81Bの縁部に沿って互いに間隔を空けて設けられた複数の接合部材を介して、補強用パネル86が設けられて構成されている。
軸組材82〜85は、土台や梁等に相当する建築構造材または根太等に相当する二次部材であり、交差する箇所において互いに噛み合うように仕口が形成されている。
なお、本変形例の補強用パネル86も、枠体(図示せず)と、この枠体に貼設された面材と、からなる。
また、複数の接合部材のうち、隣り合う矩形枠部81A,81B同士の間に位置する軸組材85を挟んで隣り合う接合部材同士は、双方の接合部材における第一板部と軸組材85とを貫通する第一貫通軸部材によって結合されている。
さらに、複数の接合部材における第二板部は、補強用パネル86に対し、これら第二板部と補強用パネル86とを貫通する第三貫通軸部材9Bによって結合されている。
そして、矩形枠部81A,81Bの内側面と補強用パネル86の縁部との間には隙間Sがある状態となっている。
本変形例によれば、隣り合う矩形枠部81A,81Bの枠内に設けられた補強用パネル86同士を軸組材85に対して強固に一体化することができる。これによって、建物の躯体に加わる力を効果的に分散することができるので、建物の床80においても優れた補強効果を発揮することができる。
さらに、複数の接合部材における第二板部は、補強用パネル86に対し、これら第二板部と補強用パネル86とを貫通する第三貫通軸部材9Bによって結合されており、矩形枠部81A,81Bの内側面と補強用パネル86の縁部との間には隙間Sがある状態となっているので、矩形枠部81A,81Bが斜めに変形しようとした場合、もしくは変形した場合に、補強用パネル86の面剛性を利用して制振効果を発揮して矩形枠部81A,81Bの変形を抑制することができる。これによって、建物の床80においても、さらに優れた補強効果を発揮することができる。
しかも、補強用パネル68は、接合部材と各貫通軸部材(第一貫通軸部材,第三貫通軸部材9B)を介して、複数の矩形枠部81A,81Bの各々の枠内に設けられたものであるため、各貫通軸部材による結合状態を解除するだけで、複数の矩形枠部81A,81Bから補強用パネル86を取り外して分解することができる。そのため、建物の床80においても建物のリフォームがしやすくなる。
〔変形例8〕
本変形例8は、参考例として挙げるものである。
本変形例では、図12,図13に示すように、矩形枠部1A,1Bと縦軸材2A〜2Cとの接合と、矩形枠部1A,1Bと上下の横軸材3,4との接合に、接合部材500,501,502を用いることができる。
接合部材500は、図12,図13(a)に示すように、矩形枠部1A,1Bの内側面に接する第一板部500aと、補強用パネル6に接する第二板部500bと、を備えた長尺な略L型断面の金具である。
接合部材501は、図12,図13(b)に示すように、正面視において略L型に形成されているとともに断面視においても略L型に形成された金具であり、矩形枠部1A,1Bの内側面に接する第一板部501aと、補強用パネル6に接する第二板部501bと、を備える。
接合部材502は、図12,図13(c)に示すように、正面視において略コ型に形成されているとともに断面視において略L型に形成された金具であり、矩形枠部1A,1Bの内側面に接する第一板部502aと、補強用パネル6に接する第二板部502bと、を備える。
なお、この接合部材502の長さ寸法は、矩形枠部1A,1Bの内側寸法(内法寸法:縦軸材2A,2B間の長さ又は縦軸材2B,2C間の長さ)と略等しくなるように設定されている。
また、この接合部材502の取付向きは、図12に示すように横向きでもよいし、図示はしないが縦向きでもよい。
これら接合部材500,501,502のうち、隣り合う矩形枠部1A,1B同士の間に位置する縦軸材2Bを挟んで隣り合う接合部材500,501,502同士は、第一貫通軸部材7によって結合されている。また、接合部材500,501,502は、補強用パネル6に対し、第三貫通軸部材9によって結合されている。
さらに、接合部材500,501,502のうち、縦軸材2A,2Cを挟んで隣り合う接合部材500,501,502が無い状態の場合は、第二貫通軸部材8によって縦軸材2A,2Cに対して結合されている。
なお、これら接合部材500,501,502は、矩形枠部1A,1Bの内側面と補強用パネル6に対し、複数の釘や複数のビス等の固定具(図示せず)によって補助的に固定することもできる。
なお、図12に示す例においては、接合部材500,501,502の全てが使用されているが、使用する接合部材500,501,502の組み合わせは適宜変更可能である。
また、接合部材500の長さと、接合部材501,502における角部から延びる各片の長さは適宜変更可能である。
また、本変形例の補強用パネル6も、枠体(図示せず)と、この枠体に貼設された面材6bと、からなる。
本変形例によれば、矩形枠部1A,1Bの内側面と補強用パネル6と接合する範囲を広くすることができるので、矩形枠部1A,1Bとを強固に一体化することができる。これによって、建物の躯体に加わる力を効果的に分散することができるので、優れた補強効果を発揮することができる。
さらに、接合部材500,501,502は、矩形枠部1A,1Bの内側面と補強用パネル6に対して複数の釘や複数のビス等の固定具によって固定されているので、矩形枠部1A,1Bの内側面と補強用パネル6とを簡易に接合することができる。
1A 矩形枠部
1B 矩形枠部
2A 縦軸材
2B 縦軸材
2C 縦軸材
3 上横軸材
4 下横軸材
5 接合部材
5a 第一板部
50 貫通孔
51 釘孔
5b 第二板部
52 貫通孔
6 補強用パネル
6c 貫通孔
7 貫通軸部材(第一貫通軸部材)
8 貫通軸部材(第二貫通軸部材)
9 貫通軸部材(第三貫通軸部材)

Claims (6)

  1. 建物を構成する軸組材によって形成された複数の矩形枠部の各々の枠内に、各矩形枠部の縁部に沿って互いに間隔を空けて設けられた複数の接合部材を介して、補強用パネルが設けられており、
    前記接合部材は、前記矩形枠部の内側面に接する第一板部と、前記補強用パネルに接する第二板部と、を備えており、
    前記複数の接合部材のうち、隣り合う前記矩形枠部同士の間に位置する前記軸組材を挟んで隣り合う接合部材同士は、双方の接合部材における前記第一板部と前記軸組材とを貫通する貫通軸部材によって結合されており、
    前記複数の接合部材における前記第二板部は、前記補強用パネルに対し、これら第二板部と補強用パネルとを貫通する貫通軸部材によって結合されており、
    前記矩形枠部の内側面と前記補強用パネルの縁部との間には隙間がある状態となっていることを特徴とする建物の補強構造。
  2. 請求項1に記載の建物の補強構造において、
    前記複数の接合部材のうち、前記軸組材を挟んで隣り合う接合部材が無い状態の接合部材における前記第一板部は、前記軸組材に対し、これら第一板部と軸組材とを貫通する貫通軸部材によって結合されていることを特徴とする建物の補強構造。
  3. 請求項1又は2に記載の建物の補強構造において、
    前記貫通軸部材は、
    一端部に、ナットを螺合させる雄ネジが形成された断面円形の本体軸部と、
    前記本体軸部の他端部に一体に設けられているとともに前記本体軸部よりも大径に形成された円形板と、を備えることを特徴とする建物の補強構造。
  4. 請求項3に記載の建物の補強構造において、
    前記補強用パネルの表面と前記軸組材の側面とが面一になっており、
    前記補強用パネルの表面には、前記貫通軸部材の円形板が嵌まる凹部が形成されており、この凹部に嵌まった状態の前記円形板の表面と前記補強用パネルの表面とが面一になっていることを特徴とする建物の補強構造。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の建物の補強構造において、
    前記軸組材は、前記建物の構造部分を構成する建築構造材であることを特徴とする建物の補強構造。
  6. 建物を構成する軸組材によって形成された複数の矩形枠部の各々の枠内に、複数の接合部材を介して、補強用パネルを設ける建物の補強方法であって、
    前記複数の接合部材は、前記矩形枠部の内側面に接する第一板部と、前記補強用パネルに接する第二板部と、を備えるものであり、
    前記補強用パネルは、その縦横寸法が、前記矩形枠部における枠開口部の縦横寸法よりも短く設定されたものであり、
    前記複数の接合部材を、各矩形枠部の縁部に沿って互いに間隔を空けて設け、これら複数の接合部材のうち、隣り合う前記矩形枠部同士の間に位置する前記軸組材を挟んで隣り合う接合部材同士を、双方の接合部材における前記第一板部と前記軸組材とを貫通する貫通軸部材によって結合し、
    前記複数の接合部材における前記第二板部を、前記補強用パネルに対し、これら第二板部と補強用パネルとを貫通する貫通軸部材によって結合し、
    前記矩形枠部の内側面と前記補強用パネルの縁部との間に隙間がある状態にすることを特徴とする建物の補強方法。
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