JP3209111U - たて枠材およびスチールハウス - Google Patents
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Abstract
Description
たて枠材は、薄板軽量形鋼によって構成されており、大きな荷重(軸力)に対して座屈強度を補強するため、例えば、2つのリップ溝形鋼のウェブを背中合わせに当接し、両ウェブを貫通してドリルねじをねじ込んで両リップ溝形鋼を結合し、これによって、たて枠材としての座屈強度を確保している。
強軸方向の曲げに抵抗するには十分な座屈強度の確保が必要であるため、たて枠材10Bを上述したような断面にしている。
また、図11(a),(b)に示すたて枠材10Bでは、壁パネルの面材を構成するバーリング面材(鋼板等からなる面材に複数の孔を形成した面材)等の面材5が角形鋼管1にドリルねじ7bによって固定される場合がある。この場合、地震時に面材5の斜張力が角形鋼管1にねじれの力として作用するため、このねじれの力に抵抗するために、角形鋼管1,1どうしを溶接して一体化している。
このようなたて枠材10Bでは、2つの角形鋼管1,1を溶接しているため、この溶接作業に非常に手間がかかり、コスト高の要因の一つとなっており、低コストで合理的なたて枠材の仕様が求められている。
一方向に互いに当接して並設された複数の角形鋼管からなる第1縦部材と、
この第1縦部材の前記一方向に沿う一側面に、複数の前記角形鋼管に当接するようにして固定された溝形鋼またはリップ溝形鋼からなる第2縦部材と、
前記第1縦部材の前記一側面と平行な他側面に、複数の前記角形鋼管に当接するようにして配置された板状部材と、
前記角形鋼管の軸方向に所定ピッチで配置され、前記板状部材を前記角形鋼管に止着固定する複数の止着材とを備えたことを特徴とする。
また、第1縦部材の他側面に、板状部材が複数の角形鋼管に当接するようにして配置され、この板状部材が止着材(例えばドリルねじ)によって複数の角形鋼管に止着固定されているので、複数の角形鋼管は一体化される。したがって、バーリング面材等の面材の斜張力に十分に抵抗できるとともに、角形鋼管どうしは溶接されていないので、溶接作業にかかる手間が生じない。
したがって、従来のたて枠材より低コストでかつ合理的な仕様のたて枠材を提供できる。
また、3階以上には、例えば、溝形鋼またはリップ溝形鋼で構成されたたて枠材を設けることによって、スチールハウスのコストを低減できる。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るたて枠材の横断面図である。図1に示すように、本実施の形態のたて枠材10は、一方向(図1において上下方向)に互いに当接して並設された2本の角形鋼管1,1からなる第1縦部材1Aと、この第1縦部材1Aの一側面(図1において右側面)に、2本の角形鋼管1,1と当接するようにして固定されたリップ溝形鋼2からなる第2縦部材2と、第1縦部材1Aの一側面と平行な他側面(図1において左側面)に、2本の角形鋼管1,1に当接するようにして配置された板状部材6と、角形鋼管1の軸方向に所定ピッチで配置され、板状部材6を角形鋼管1,1に止着固定する複数の止着材7とを備えている。
なお、本実施の形態では、互いに当接して並設される角形鋼管1は2本であるが、3本以上の角形鋼管1を並設してもよい。この場合、3本の角形鋼管1を跨るように板状部材6を設ければよい。
なお、リップ溝形鋼2に固定部材23を設けない場合、リップ溝形鋼2のウェブを角形鋼管1,1に止着材7aによって直接固定する。
板状部材6には、その表面から止着材7としてのドリルねじ7が2列ねじ込まれている。すなわち、各列のドリルねじ7は、板状部材6の長手方向(図1において紙面と直交する方向)に所定ピッチ(例えば300mmピッチ)でねじ込まれ、一方の列のドリルねじ7が板状部材6を貫通して一方の角形鋼管1にねじ込まれ、他方の列のドリルねじ7が板状部材6を貫通して他方の角形鋼管1にねじ込まれている。
また、一方および他方の列のドリルねじ7は、板状部材6の幅方向の寸法をLとし、その幅方向に4等分した場合の板状部材6の両側縁からそれぞれL/4の位置に配置され、かつ、角形鋼管1の他側面の幅寸法の1/2の位置に配置されている。なお、一方および他方の列のドリルねじ7は、板状部材6を適切に固定できる任意の位置に配置されてもよい。
図2に示すように、4階建てのスチールハウス50の場合、1階および2階のうち少なくとも2階に本実施の形態のたて枠材10を設ければよいが、本実施の形態では、1階と2階の双方にたて枠材10を使用している。すなわち、1階および2階の壁を構成する壁パネル100の両側部に、それぞれたて枠材10が設けられている。また、3階および4階の壁を構成する壁パネル100の両側縁部には、それぞれリップ溝形鋼によって構成されたたて枠材10aが設けられている。
なお、図2は4階建てのスチールハウス50の概略構成を示す図であり、屋根は省略してある。
また、1階には、最も大きい軸力が作用するため、1階の壁を構成する壁パネル100に、前記たて枠材10に代えて、図11に示すような、溶接仕様(角形鋼管1,1が溶接接合された仕様)のたて枠材10Bを設けてもよい。
枠体300は左右一対のたて枠材10,10と、たて枠材10,10の上下端部を接続する上下一対の横枠材17,17とを備えている。
図3および図4に示すように、たて枠材10は、その角形鋼管1,1に跨って設けられるとともに、ドリルねじ7を角形鋼管1,1にねじ込むことによって、当該角形鋼管1,1を連結している板状部材6を外側に向けるとともに、リップ溝形鋼(第2縦部材)2を内側に向けて配置されている。
また、たて枠材10,10は壁パネル100の両側縁部に設けられ、壁パネル100の高さ方向全体に亙って延在している。
また、第1縦部材1Aの他側面に、板状部材6が角形鋼管1,1に当接するようにして配置され、この板状部材6がドリルねじ7によって角形鋼管1,1に止着固定されているので、2本の角形鋼管1,1は一体化されている。
そして、上側の横枠材17の端部において、当該横枠材17の一対のフランジ間にたて枠材10の上端部が挿入されてうえで、当該フランジにたて枠材10の上端部がドリルねじによって固定され、さらに、下側の横枠材17の端部において、当該横枠材17の一対のフランジ間にたて枠材10の下端部が挿入されてうえで、当該フランジにたて枠材10の下端部がドリルねじによって固定されている。
そして、固定部材23のU字状部の凹溝にボルト22が嵌合され、図3に示すように、固定部材23の上下においてナット24,24がボルト22に螺合して締め付けられることで、固定部材23の上下部に圧着されている。したがって、ナット24,24の締め付け位置を調整することによって、固定部材23の上下方向の位置を調整でき、この調整した位置で固定部材23をボルト22に固定できるようになっている。
また、固定部材23は上下の壁パネル100のたて枠材10の第2縦部材(リップ溝形鋼)2の内側に挿入され、固定用フランジをリップ溝形鋼2のウェブに複数のドリルねじ7aによって固定することによって、リップ溝形鋼2に固定されている。
そして、連結金具11のボルト22(連結軸)が複数の前記貫通孔(貫通孔90aを含む)に挿通されたうえで、当該のボルト22の上下端部がそれぞれ上下階の壁パネル100,100のたて枠材10を構成するリップ溝形鋼(第2縦部材)2に固定部材23を介して固定されている。この状態において、上側の壁パネル100の下側の横枠材17と下側の壁パネル100の上側の横枠材17とは、床パネル200の上下面にそれぞれ当接している。
したがって、上下の壁パネル100,100に引張力が作用すると、この引張力を連結金具11のボルト(連結軸)22が負担するとともに、圧縮力も当該ボルト(連結軸)22が負担可能となっている。
また、第1縦部材1Aの他側面に、板状部材6が2本の角形鋼管1,1に当接するようにして配置され、この板状部材6がドリルねじ7によって角形鋼管1,1に止着固定されているので、2本の角形鋼管1,1は一体化される。したがって、バーリング面材等の面材400の斜張力に十分に抵抗できるとともに、角形鋼管1,1どうしは溶接されていないので、溶接作業にかかる手間が生じない。
したがって、従来のたて枠材10Bより低コストでかつ合理的な仕様のたて枠材10を提供できる。
また、本実施の形態の4階建てのスチールハウスは、1階および2階にたて枠材10を設けたので、十分な座屈強度を確保できるとともに、バーリング面材等の面材400の斜張力に十分に抵抗できる。
また、3階以上には、例えば、溝形鋼またはリップ溝形鋼で構成されたたて枠材を設けることによって、スチールハウスのコストを低減できる。
図6に示すスチールハウス51においては、1、2階にたて枠材10を設けている。
すなわち、1、2階の壁を構成する壁パネル100の両側部に、それぞれたて枠材10が設けられている。また、3階の壁を構成する壁パネル100の両側縁部には、それぞれリップ溝形鋼によって構成されたたて枠材10aが設けられている。
なお、図示は省略するが1階の壁パネル100は、基礎に設置されるとともに、この基礎から貫通して突出するアンカーボルトに1階の壁パネル100が連結固定されている。
また、3階には、例えば、リップ溝形鋼で構成されたたて枠材10aを設けることによって、スチールハウスのコストを低減できる。
図7は第2の実施の形態のたて枠材10Aを示す横断面図である。この図に示すたて枠材10Aが第1の実施の形態のたて枠材10と異なる点は、板状部材6の両側縁部に、それぞれフランジ部6aが形成されている点であるので、以下ではこの点について説明し、たて枠材10と共通構成には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
例えば、図9(a)に示すように、板状部材6の両側縁部に、第1縦部材1A側に突出するフランジ部6b,6bを形成し、一方のフランジ部6bから止着材7を角形鋼管1の他の側面にねじ込むことによって、当該フランジ部6bを角形鋼管1に固定してもよい。
また、図9(b)に示すように、板状部材6の両側縁部に形成されたフランジ部6b,6bから止着材7を角形鋼管1,1の他の側面にねじ込むことによって、当該フランジ部6b,6bを角形鋼管1,1に固定してもよい。
次に、試験例について説明する。
図1に示す本実施の形態に係るたて枠材10と、図11(a)に示す従来のたて枠材10Aについて、せん断試験を行った。
本実施の形態に係るたて枠材10の角形鋼管1にバーリング面材を固定し、従来のたて枠材10Aの角形鋼管1にも同様のバーリング面材を固定した。
このようなたて枠材とバーリング面材を有する壁パネルの上下の端部のうち一方の端部を固定し、他方の端部に横荷重をかけた。なお、バーリング面材は壁パネルの一方の側面にのみ固定した。
図10に示すように、本実施の形態(本考案)に係るたて枠材(溶接レス)は、従来のたて枠材(角形鋼管どうしを溶接によって接合したもの(溶接仕様))とほぼ同等の性能(剛性、耐力)を有することが分かった。
1A 第1縦部材
2 第2縦部材(リップ溝形鋼)
6 板状部材
6a フランジ部
7 ドリルねじ(止着材)
10,10A たて枠材
50,51 スチールハウス
Claims (4)
- 一方向に互いに当接して並設された複数の角形鋼管からなる第1縦部材と、
この第1縦部材の前記一方向に沿う一側面に、複数の前記角形鋼管に当接するようにして固定された溝形鋼またはリップ溝形鋼からなる第2縦部材と、
前記第1縦部材の前記一側面と平行な他側面に、複数の前記角形鋼管に当接するようにして配置された板状部材と、
前記角形鋼管の軸方向に所定ピッチで配置され、前記板状部材を前記角形鋼管に止着固定する複数の止着材とを備えたことを特徴とするたて枠材。 - 前記板状部材の両側縁部に、第1縦部材側と反対側に突出するフランジ部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載にたて枠材。
- 2つの角形鋼管によって前記第1縦部材が構成され、
リップ溝形鋼によって前記第2縦部材が構成され、
前記止着材がドリルねじであり、
前記ドリルねじが前記板状部材を通して前記角形鋼管にねじ込まれていることを特徴とする請求項1または2に記載のたて枠材。 - 3階建てまたは4階建てのスチールハウスにおいて、
1階および2階のうち少なくとも2階に、請求項1〜3のいずれか1項に記載のたて枠材が設けられていることを特徴とするスチールハウス。
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