以下、本発明に係る鋼材の連結構造の第1実施形態を図1〜4に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る鋼材の連結構造の梁材の連結部を分解した状態の斜視図、図2は、図1の梁材の側面図、図3は連結端部にエンドプレートを固着した梁材と柱材との位置関係を模式的に示す斜視図、図4は連結した柱材と梁材に外力が加わった状態の側面図である。
図1〜4において、本実施形態の鋼材の連結構造50は、第1の鋼材として梁材51と、第2の鋼材として柱材52とをボルトナット等の固定具を用いて連結するものである。第1の鋼材51は、その長手方向に直交する断面形状が略コ字状の溝形鋼又はC形鋼であり、2つの平行なフランジ51a,51aとウェブ51bとを有している。2つの平行な水平のフランジ51a,51aは垂直のウェブ51bで接合され、長手方向に直交する断面形状が略コ字状、あるいはC形に形成されている。
第1の鋼材である梁材51は、その連結端部に溶接等でエンド部材として平板状のエンドプレート53が固着されている。梁材51の連結端部はフランジ51aの水平方向の幅をLで、ウェブ51bの高さはHに設定されている。エンドプレート53は、連結端面としてフランジ51aの幅より小さい幅L1で、ウェブ51bの高さより大きい高さH1で上下端部が両端突出部53a,53aである長方形部と、この長方形部より水平方向にフランジの長さより大きく延出する幅L2で高さH2の直交端部53bとを有する平面視略T字状に形成されている。
そして、略T字状の3つの突出部、すなわち対向して延在する両端突出部53a,53aと、これら両端突出部と直交して延在する直交端部53bとを梁材51の端面に3個所の溶接部53cで固着して梁材の仕口としている。このように、エンドプレート53は梁材51の長手方向に直交する連結端面を有しており、この連結端面の直交端部53bを除く領域が弾性変形が可能な弾性変形部53dに形成されている。すなわち、エンドプレート53は弾性変形部53dを有して構成されている。そして、弾性変形部53dには連結孔54が貫通して形成されており、この連結孔54に固定具としてボルト55が挿入され、ナット56で連結される。ボルトナット55,56で連結するときワッシャ57を挟んで固定する。
このように構成されたエンドプレート53は、上下及び側方に突出する延出部分(53a,53b)を溶接等で梁材51の端部に固着しており、梁材51のコーナー部は溶接等で固着されない非溶接部を有している。両端突出部53a,53aの溶接長さL1は、フランジの長さLの3分の2程度が好ましく、直交端部53bの溶接長さH2はウェブの高さHの3分の1程度が好ましい。エンドプレート53は前記のように非溶接部を有して固着されているため、連結された梁材51や柱材52に荷重や水平力等の外力が作用したとき弾性変形がしやすい形状に構成されている。すなわち、エンドプレート53は外力が作用したとき、平板部分が湾曲できるような厚さ、長さに設定されている。
このように第1の鋼材である梁材51は連結端部にエンドプレート53が固着して構成され、第2の鋼材として柱材52に連結固定される。柱材52は梁材51と同様に、断面形状が略コ字状の溝形鋼又はC形鋼であり、2つの平行なフランジ52a,52aとウェブ52bとを有している。2つの平行な水平のフランジ52a,52aは垂直のウェブ52bで接合され、断面が略コ字状、あるいはC形に形成されている。そして、柱材52は、梁材51が連結される上下の端部は補強板で補強されている。すなわち、図3示のように下端部には鋼材の開口を塞ぐように、補強板58が溶接等で固着されている。また、梁材51の高さに相当する位置に、フランジ及びウェブに内接するように補強板58Aが溶接等で固着されている。このように、梁材51が連結される柱材52の部位は補強板58,58Aで補強され、梁材51が連結固定されたときのフランジやウェブの変形を防止している。柱材52の下端部には梁材51の連結孔54に対応する位置に連結孔59が形成されている。柱材52の上端部に梁材を連結するときは、柱材の上端部に2枚の補強板を固着し、連結孔を形成する。
前記の如く構成された本実施形態の鋼材の連結構造50の動作について以下に説明する。柱材52の下端部に梁材51を連結固定するときは、エンドプレート53が固着された梁材51を柱材52の下端部と対接させ、エンドプレート53の連結孔54にボルト55を挿通させ、さらに柱材52の連結孔59にも挿通し、ボルト55の突出端部にナット56をねじ込んで締め込むことで容易に連結固定することができる。ボルトナットにはワッシャ57を通して連結することが好ましい。
このように、柱材52の下端部に梁材51を連結固定した後、この連結部分に外力が作用した場合について、図4を参照して以下に説明する。梁材51に曲げモーメントMが作用すると、梁材51の連結端部に固着されたエンドプレート53は連結孔54の周囲部分はボルトナット55,56等の固定具により固定されているため柱材52の面と密着するが、連結孔54の周囲から外側の部分は弾性変形して変形部53d,53dが形成され、エンドプレート53は上方が柱材52から開いた状態に傾斜する。曲げモーメントMが右回りに作用すると上方の変形部53dが大きく、下方ほど小さくなる。反対に曲げモーメントMが左回りに作用すると上方の変形部53dが小さく、下方ほど大きくなる。
このように、本実施形態の鋼材の連結構造50では、梁材51と柱材52との連結部に外力が作用すると、エンドプレート53の平板部分である連結端面が弾性変形(53d)して外力を柱材52に伝達しないため、外力に対して柔軟に対応することができる。なお、外力として曲げモーメントの例を示したが、梁材51に鉛直方向に加わる荷重等の他の外力の場合でも、同様にエンドプレート53が弾性変形して対応することができる。このため、ボルトナット55,56が破断することなく、梁材51や柱材52の変形等の損傷を防止することができる。曲げモーメントMが無くなると弾性変形部53dは元の形状に戻り、柱材52と梁材51は直角の状態に戻る。
本発明に係る鋼材の連結構造の第2実施形態を図5〜7に基づき詳細に説明する。図5は本発明に係る鋼材の連結構造の第2実施形態を示し、柱材と梁材を分離した要部斜視図、図6(a)は図5の梁材の側面図、(b)は一方のエンド部材の斜視図、図7は連結した柱材と梁材に外力が加わった状態の側面図である。なお、この実施形態の鋼材の連結構造60は前記した実施形態の鋼材の連結構造50に対し、第1の鋼材である梁材51の連結部に固着するエンド部材61が平板状のエンドプレートでなく、鋼板を屈曲したエンド部材であることを特徴とする。そして、他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図5〜7において、エンド部材61は、側面視略コ字状に形成され、上下の平行面62,62とこれらを繋ぐ直交端面63とから構成されている。エンド部材61は本実施の形態では梁材51の内部に間隔を空けて2個使用され、梁材51の内部に溶接等で固着される。エンド部材61は上下の平行面62の一方には梁材51のウェブ51bに接触するように突出片64が突出形成されている。上方に位置するエンド部材61は梁材51の上フランジ51aの下面に上方の平行面62を固着し、下方の平行面62からウェブ51b方向に突出する突出片64をウェブ51bに固着している。下方のエンド部材61は梁材51の下フランジ51aの上面に下方の平行面62を固着し、上方の平行面62からウェブ51b方向に突出する突出片64をウェブ51bに固着して梁材51の仕口としている。
エンド部材61は、上下の平行面62,62が梁材51のフランジ51a,51aとウェブ51bに溶接等で固着され、直交端面63は突出片64によりウェブ51bから離れて溶接されない非溶接面で弾性変形が可能な面となっている。そして、この直交端面63にボルトが挿通される連結孔65が形成されている。
このように構成された鋼材の連結構造60では、梁材51と柱材52とを連結するときは梁材51の内周側に2個のエンド部材61を溶接等で固着する。2個のエンド部材61は一方の平行面62が梁材のフランジ51aの内面に固着され、他方の平行面62の突出片64がウェブ51bに固着され、梁材の長手方向に直交する連結端面63は梁材のウェブ51bから浮いた状態となる。このようにして第2の実施形態の梁材51の仕口部分を形成する。
柱材52に梁材51を連結するときは、梁材51の連結端部に固着された2個のエンド部材61の連結端面63を柱材52のフランジ52aに対接させ、エンド部材61の連結孔65と柱材52の連結孔54とにボルト55を挿通させ、ナット56をねじ込んで締めこむことで両方の鋼材51,52を連結することができる。この連結状態において、例えば梁材51に曲げモーメントMが作用すると、梁材51の連結端部に固着されたエンド部材61の連結端面63は図7に示すように湾曲して弾性変形部63aとなり、ボルトナット55,56の破断を防止すると共に、梁材51や柱材52の損傷を防止することができる。曲げモーメントMが無くなると弾性変形部63aは元の形状に戻り、柱材52と梁材51は直角の状態に戻る。
本発明に係る鋼材の連結構造の第3実施形態を図8,9に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態の鋼材の連結構造70は前記した実施形態の鋼材の連結構造50,60に対し、第1の鋼材である梁材12の連結端部に固着するエンド部材71が平板状のエンドプレートであり、このエンドプレートは梁材のフランジと平行な鋼板で補強されたエンドプレートであることを特徴とする。そして、他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図8,9において、鋼材の連結構造70を構成するエンドプレート71は平面視縦長長方形状に形成され、第1の鋼材である梁材51のフランジ間距離より長く縦長に形成されたエンドプレートであり、エンドプレート71は、梁材51の2つのフランジ51a,51aに固着されると共に、フランジ間に、該フランジと平行な鋼板72,72が配置され、該鋼板をエンドプレート71の裏面と梁材51のウェブ51bに固着し、エンドプレート71を補強している。エンドプレート71には、柱材を連結するためのボルトを挿通させる連結孔73が貫通して形成されている。この貫通した連結孔73,73は上方のフランジ51aと上方の鋼板72との中間位置に形成されると共に、下方のフランジ51aと下方の鋼板72との中間位置に形成されている。
梁材51とエンドプレート71との溶接個所は、フランジ51aの水平部分と溶接部71aで固着され、ウェブ51bの中間部分と溶接部71bで固着されている。鋼板72はエンドプレート71と溶接部72aで溶接され、ウェブ51bと溶接部72bで溶接されている。なお、鋼板72は2枚固着する例を示したが、1枚でも、あるいは3枚以上でもよい。このようにして第3の実施形態の梁材51の仕口部分を形成する。
この実施形態においても、鋼材の連結構造70はエンドプレート71の連結孔73,73にボルト55,55を通し、柱材52のフランジに形成された連結孔59,59に挿通させ、ナット56,56を締めることで柱材52に梁材51を連結することができる。ボルトナット55,56には前記の各実施形態と同様にワッシャ57,57を挟んで連結している。この連結状態において、例えば梁材51に曲げモーメントMが作用すると、梁材51の連結端部に固着されたエンドプレート71の連結端面である平坦面は図9に示すように湾曲して弾性変形部71cとなり、ボルトナット55,56の破断を防止すると共に、梁材51や柱材52の損傷を防止することができる。曲げモーメントMが無くなると弾性変形部71cは元の形状に戻り、柱材52と梁材51は直角の状態に戻る。
前記した第3の鋼材の連結構造において、梁材51の連結端部に固着されるエンドプレートは、図10に示されるエンドプレート75のように変更することができる。このエンドプレート75は長方形状の平坦な鋼板で形成され、その高さは梁材51の高さより大きく、その幅は梁材51の幅より小さく形成され、梁材51のウェブ51bには至らない幅に設定されている。このため、エンドプレート75は梁材のフランジ51aに溶接部75aで溶接されると共に、フランジと平行な鋼板76に溶接部76aで溶接され、ウェブとは非溶接の構成となっている。鋼板76はエンドプレート75の裏面に溶接されると共に、梁材51のウェブに溶接部76bで溶接され、エンドプレート75を補強している。このエンドプレート75ではフランジ51aと鋼板76とに挟まれた領域が弾性変形部75bとして機能し、梁材51や柱材52に加わる外力に対して弾性変形して固定具の破断や鋼材の変形を防止する。
このように構成された本発明の鋼材の連結構造50,60,70は、ユニット建物を構成する建物ユニット1に連結されて建物ユニットの内部空間を拡大させることができる直方体状の付帯構造物10に好適に用いることができる。ここで、建物ユニット1と付帯構造物である付帯ユニット10について図面を参照して詳細に説明する。先ず、図11〜14を参照して建物ユニット1について詳細に説明する。図11は建物ユニットの骨組を示す斜視図であり、図12は建物ユニットの柱材と梁材との接合部を示す要部斜視図であり、図13は建物ユニットの柱材と補強プレートとの接合部を示す要部斜視図であり、図14は建物ユニットの補強プレートと梁材との接合部を示し、(a)は要部平面図、(b)は要部正面図、(c)は(b)のd0−d0線に沿う断面図である。
図11〜14において、建物ユニット1は、鋼製の構造材を溶接で直方体状に接合して形成したボックスラーメン構造のものであり、角柱からなる4本の柱材2,2…と、この柱材の下端部を水平方向に連結する長辺方向の下梁(床梁)3,3と、短辺方向の下梁(床梁)4,4と、4本の柱材2,2…の上端部を水平方向に連結する長辺方向の上梁(天井梁)5,5と、短辺方向の上梁(天井梁)6,6とから直方体状に形成される。そして、建物ユニット1には、床根太7,7…が下梁3,3間に所定間隔で架設され、天井根太8,8…が上梁5,5間に所定間隔で架設されている。各柱材と各梁材とはコーナー部に補強プレート9,9…を介在させて溶接され、建物ユニット1の剛性を高めている。建物ユニット1は構造計算された耐力構造体となっている。そして、下梁3,3,4,4と、床根太7,7…によりX−Y面に沿う水平な床構面が形成されている。
具体的には、建物ユニット1は、図12〜14に示されるように、柱材2と梁材(下梁3,4、上梁5,6)との接合部には補強プレート9が介在され、柱材2と梁材との接合部を補強することで剛性を高めている。柱材2とコ字状に屈曲された補強プレート9との接合部は図13に示されるように、上板部9aはウェルド部w1で溶接され、縦板部9bはウェルド部w2で溶接され、下板部9cはウェルド部w3で溶接され、強固に固着されている。他の補強プレート9,9…も同様に強固に溶接されている。また、梁材3と補強プレート9との接合部は、図14に示されるように、梁材の上板部と下板部とはウェルド部w4〜w6で強固に溶接され、梁材の縦板部とはウェルド部w7、w8で強固に溶接されている。なお、2点鎖線で示すように、スポット溶接によるスポット部s1〜s3で強固に溶接するように構成してもよい。このように、建物ユニット1は柱材と梁材とが補強プレートを介在させて強固に接合され、剛性の高い構造となっている。
建物ユニット1の直方体において、長辺方向をX方向、短辺方向をY方向、高さ方向をZ方向として説明する。建物ユニット1は、例えば長辺方向(X方向)の長さが2〜5.6メートル程度の長尺であり、短辺方向(Y方向)の長さが1.3もしくは2.5メートル程度であり、高さ方向(Z方向)の長さが2.5〜3メートル程度の直方体状に形成されている。すなわち、建物ユニット1は長辺方向に沿う2つの立面(X−Z面)と、短辺方向に沿う2つの立面(Y−Z面)と、上面、及び底面(X−Y面)の6つの面から構成されている。
建物ユニット1に連結固定される付帯ユニット10は、小型の直方体をしており、6面を有する直方体状の建物ユニット1の1つの立面である短辺側の側面(Y−Z面)に連結されるように、短辺側の側面と同じ長方形の側面を有しており、建物ユニット1の長辺方向に沿う長さが短く設定されている。例えば、建物ユニット1の長辺方向の長さが2〜5.6メートル程度の長尺であるのに対して、付帯ユニット10のX方向の長さは0.45〜2メートル程度の短尺に設定されている。
つぎに、前記の建物ユニット1に付帯して連結される付帯構造物である付帯ユニット10について詳細に説明する。付帯ユニット10は、図15〜17に示されるように薄型の直方体状をしており、互いに平行な4本の断面形状が略コ字状の溝形鋼又はC形鋼からなる柱材11,11…と、これらの柱材の下端部をX方向に連結する2本の下梁12,12と、Y方向に連結する2本の下梁13,13、及び柱材の上端部をX方向に連結する2本の上梁14,14と、Y方向に連結する上梁15,15で構成されている。そして、付帯ユニット10は、本実施の形態では、建物ユニット1のY−Z方向の側面の長方形と、付帯ユニット10のY−Z方向の側面の長方形とが同じ形状となっている。この構成により、建物ユニット1に付帯ユニット10が連結固定されたとき、外形的に建物ユニット1が長手方向(X方向)に延長され、突出部や段差部が生じない形状となる。
付帯ユニット10は、建物ユニット1の付帯ユニット10を取り付ける取付面より突出する方向、すなわち、X方向に伸びる上梁14,14と下梁12,12及び2本の柱材11,11で袖フレーム16,16を2面形成している。2面の袖フレーム16,16は対向している平行面で構成され、後述する側面16,16と同義である。また、4本の下梁12,12,13,13で水平構面として床構面が形成され、4本の上梁14,14,15,15で水平構面として天井構面が形成される。床構面は詳細には図示していないが、図16に示されるように下梁13,13と、これらを連結する床複数の根太で構成される。また、天井構面は図16に示されるように上梁15,15と、これらを連結する複数の天井根太で構成される。なお、天井構面は図15に示されるように4本の上梁14,14,15,15と水平ブレース材17,17で構成してもよい。
付帯ユニット10を構成する4本の柱材11は、断面形状が略コ字状の溝形鋼又はC形の鋼材から形成されており、建物ユニット1の断面(ロ)型の角柱の鋼材から形成されている柱材と異なる構成であり、付帯ユニット10のコスト低減が可能となっている。この付帯ユニット10は基本的には隣接する建物ユニット1の1つの立面に連結して固定されるため、基本となる建物ユニット1の強度に依存する非耐力構造体の構成であり、付帯ユニット10自体の強度は緩くても問題はない構成となっている。すなわち、付帯ユニット10は構造計算された強度は要求されず、空間を保持するための強度のみが要求される構成となっているため、コストダウンを達成することができる構成となっている。
付帯ユニット10は、例えば図17(a)に示されるように、1階の建物ユニット1Aの上部に2階の建物ユニット1が載置固定され、2階の建物ユニット1に付帯してオーバーハング状態に連結固定される。この場合、付帯ユニット10の下方に補助柱hを設けるように構成してもよい。図17(b)では、基礎Kの上部に建物ユニット1が設置固定され、この建物ユニット1に付帯して付帯ユニット10が連結固定される。いずれの場合も、付帯ユニット10は建物ユニット1を構成する柱材や梁材に、後述するようにボルトナット等で連結固定される。
付帯ユニット10を構成する部材のうち、X方向に沿う上梁14,14は柱材11,11の上端に溶接等で剛接合され、下梁12,12は柱材11,11の下端に固定具としてボルトナット等で連結され側面16,16を構成している。本実施形態の鋼材の連結構造50は、下梁12と柱材11との連結部に適用される。すなわち、下梁12の両端部には、図18,19に示されるようにエンドプレート53が溶接等で固着されている。このエンドプレート53は基本的には図3等に示されるエンドプレートと同じ構成である。エンドプレート53の貫通孔54と柱材11の下端部の貫通孔11cにボルト55を挿通しナット56で固定し、柱材11と下梁12をボルトナットで連結しピン接合としている。なお、2本の柱材11,11の下端と下梁12,12とを剛接合し、2本の柱材の上端と上梁14,14とをボルトナットでピン接合するように構成してもよい。
このため、図16に示すように、X−Z方向の付帯ユニット10の側面16,16は上梁14の両端に柱材11,11の上端部が剛接合された門型の接合体の下端を下梁12で連結した接合面となっている。また、付帯ユニット10を構成する部材のうち、Y方向に沿う下梁13,13、及び上梁15,15は柱材11,11…にボルトナット等の固定具で連結されたピン接合面となっている。これにより、下梁12,12は柱材11,11と着脱可能であり、上梁14,14が柱材11,11と剛接合されている構成と比較して柔軟な構造となっている。本実施形態では、付帯ユニット10の上部には、4本の柱材11,11…を連結する水平ブレース材17,17(図15参照)がクロス状態に固定されているが、この水平ブレース材は必ずしも必要でない。
ここで、付帯ユニット10の詳細を図18〜26に基づいて説明する。付帯ユニット10を構成するY方向の下梁13,13、及び上梁15,15は、前記のように柱材11,11…にボルト接合されている。すなわち、柱材11を構成する断面形状が略コ字状の溝形鋼又はC形鋼の下端には、C形鋼の開口を閉じるように2枚の補強板20,20が溶接等により水平に固着されており、2枚の補強板の間隔は下梁13の高さと一致している。また、断面コ字状のC形鋼から構成される柱材11の上端には、同様にC形鋼の開口を閉じるように2枚の補強板21,21が溶接等により水平に溶着されており、2枚の補強板の間隔は上梁15の高さと一致している。
そして、前記2枚の補強板20,20,21,21と、C形鋼の外側の端面とを連結するようにジョイントプレート22,22…が溶接等により垂直に固着されている。このジョイントプレート22は溝形鋼又はC形鋼の開口の一部を塞ぐように固着され、上下の幅広部と中央の幅狭部とが傾斜辺で連結され、幅広部に下梁13及び上梁15を連結するためのボルト23が挿入される貫通孔24,24…が形成され、幅狭部によりジョイントプレート裏側に形成された空間を通して、柱材11のC形鋼の内部に固定具としてボルトやナットを挿入できる構成となっている。ジョイントプレート22は、図20(a)、(b)に示されるように、補強板20,20に溶接される部分が三角形で、上下の三角形をつなぐ細板部で構成したジョイントプレート22Aや、2つの三角形に分割されたジョイントプレート22Bの形状のものでもよい。
付帯ユニット10を構成する柱材11と下梁12とは、前記の鋼材の連結構造50の代わりに、図21に示す前記の鋼材の連結構造60を適用することができる。図21において、下梁12の両端部には、エンド部材61が溶接等で固着されている。エンド部材61は図5〜7に示す例と同様に、側面視略コ字状に形成され、上下の平行面とこれらを繋ぐ直交端面とから構成されている。そして、エンド部材61を2つ使用し、梁材12の上フランジの下面に、一方のエンド部材の上部の平行面を固着すると共に、梁材12のウェブに一方のエンド部材の下部の平行面の突出片を固着している。さらに、梁材12の下フランジの上面に、他方のエンド部材の下部の平行面を固着すると共に、梁材12のウェブに他方のエンド部材の上部の平行面の突出片を固着している。直交端面に連結孔65を形成して弾性変形可能な連結端面としている。この鋼材の連結構造60では、ボルトナット55,56で柱材11に梁材12を連結固定すると、エンド部材61の連結端面が弾性変形できるため、柱材11や梁材12に外力が加わると、図7に示されるようにエンド部材61が弾性変形してボルトナット55,56の破断や鋼材の変形等の損傷を防止することができる。
また、付帯ユニット10を構成する柱材11と下梁12との連結に、図22に示す前記の鋼材の連結構造70を適用することもできる。図22において、下梁12の両端部には、エンドプレート71が溶接等で固着されている。エンドプレート71は図8,9に示す例と同様に、平面視長方形状に形成され、梁材12のフランジ間距離より長く形成された縦長のエンドプレートであり、梁材12の2つのフランジの連結端部に固着されると共に、フランジ12a間に、該フランジと平行な鋼板72が配置され、鋼板72をエンドプレート71の裏面と梁材12のウェブに固着している。そして、フランジ12aと鋼板72との間の平板部が弾性変形可能な弾性変形部であり、この部分に連結孔73が形成されている。この鋼材の連結構造70では、ボルトナット55,56で柱材11に梁材12を連結固定すると、エンドプレート71のフランジ12aと鋼板72との間の連結端面が弾性変形できるため、柱材11や梁材12に外力が加わると、図9に示されるようにエンドプレート71が弾性変形してボルトナット55,56の破断や鋼材の変形等の損傷を防止することができる。
建物ユニット1に対向する2本の柱材11,11の上下端部に固着された補強板20,21とジョイントプレート22とにより、Y方向に沿う下梁13と上梁15の連結部が構成される。そして、下梁13,13と上梁15,15には、ジョイントプレート22と対接するエンドプレート13a、15aが固着され、ジョイントプレートの貫通孔24,24…に対応してボルト23を挿入できる貫通孔13b,15bが形成されている。このように、上梁15,15と下梁13,13はジョイントプレート22を介してボルトナット23で接合される構成となっている。なお、図示していないが、Y方向の建物ユニット1と離れた側の下梁13と上梁15も同様にジョイントプレートとエンドプレートとを用いてボルトナットにより連結される構成となっている。
また、柱材11の上部の補強板21,21の中間には、C形鋼の内側のリブを補強するための三角形状の補強プレート25,25(図25、26参照)が溶接等により固着されている。この補強プレートにより補強された柱材11のリブには連結プレート26,26が溶接等により固着され、この連結プレートと対角線上に位置する柱材11の同等の位置に固着された連結プレートとの間に水平ブレース材17,17が連結されている。この水平ブレース材17,17は中間位置にターンバックルを介在させて、長さ及び張力を調整できるように構成してもよい。
建物ユニット1の柱材2,2には、付帯ユニット10を建物ユニット1に連結するための構成として、柱材2,2の付帯ユニット10と対向する上下端部のそれぞれに2つの取付孔30,30が形成され、この取付孔の内部には付帯ユニット10を建物ユニット1に連結固定するボルト31,31が螺合されるナット32,32が溶接等により固着されている。また、2つのナットが溶接された取付孔の中間にはガイドピン33がナット等を介して固定されている。このガイドピン33は、建物ユニット1に付帯ユニット10を連結固定する際に、ボルト締めを容易にするべく位置決めするためのものであり、ガイドピン33の先端は先細に形成されている。
付帯ユニット10には、建物ユニット1の取付孔30と、ガイドピン33に対応して、柱材11,11の建物ユニット1と対向する面に3つの貫通孔27が形成されている。上下の2つの貫通孔はボルト31,31が挿入され、中央の貫通孔にはガイドピン33が挿入される。そして、建物ユニット1の柱材2と付帯ユニット10の柱材11との間には、スペーサ35が介在される構成となっている。スペーサ35には、ボルト31,31及びガイドピン33が挿入できる貫通孔が形成されている。
このように形成された付帯ユニット10は、柱材、梁材が全て剛接合されている建物ユニット1に対して、2つの面(X−Z面)の柱材11,11の上端と上梁14とが剛接合され、柱材11,11の下端と下梁12とがボルトナット55,56でピン接合された2つの側面16,16が形成され、側面16,16同士を4本の梁材13,13,15,15でボルトナット23により連結して接合する構造であるため、付帯ユニット10を構成する柱材や梁材のコストも低減することができる。また、付帯ユニット10は、柱材11,11と下梁12と上梁14で構成される2つの側面16,16と4本の梁材13,13,15,15に分けて輸送し、現地で梁材を固定して組立てる構成とすることもできる。さらに、必要に応じて現地で組立てず、工場で直方体状に構成して輸送することもできる。なお、図示の実施形態では、付帯ユニット10を構成する直方体の対向する2つの側面を、一部が剛接合されたX−Z方向の2つの面としたが、Y−Z方向の2つの面を一部が剛接合された側面としてもよいのは勿論である。
建物ユニット1を構成する柱材2,2…の上下端面には、貫通孔が形成され、この貫通孔の内面にはナットが溶接等により固着されている。建物ユニット1の4本の柱材の上部の貫通孔は、建物ユニット1を輸送する際や、基礎上に設置する際に吊上げるためのアイボルト(図示せず)が装着される。また、付帯ユニット10を構成する柱材11,11…の上下端面に固着された補強板20,21にも同様に貫通孔21aが形成され、この貫通孔の内面にはナット28(図23,24参照)が溶接等により固着されている。柱材11の上端には、このナット28を用いて図18に示されるように、付帯ユニット10上に構築されるバルコニーの柱材Bを連結固定することができる。
前記の如く構成された本実施形態の付帯ユニット10の組立について以下に説明する。前記のように、付帯ユニット10は上部が剛接合され、下部がボルトナット55,56で接合された2つの側面16,16と、4本の梁材(下梁13,13及び上梁15,15)とに分けて輸送され、現地で組立てられる。この組立は、側面16,16を構成する柱材11,11の上下端部に固定されたジョイントプレート22,22…の貫通孔24,24…と、下梁13と上梁15のエンドプレート13a,15aの貫通孔13b,15bを合わせてボルト23を挿入し、ナットをねじ込んで固定する。ボルトやナットはジョイントプレート22の幅狭部により柱材11の内部に挿入することができる。これにより、側面16,16は4本の梁材13,13,15,15により結合され、直方体状の付帯ユニット10が完成する。
このように構成された付帯ユニット10は小型であり、2つの面材(上梁14又は下梁12の一方が剛接合され、その他方がピン接合された側面16,16)と4本の梁材(下梁13,13及び上梁15,15)とに分割されるため、輸送が容易に行える。また、付帯ユニット10は強度が要求されないため、柱材11や梁材12,13,14,15は小型軽量のものを使用でき、付帯ユニット10のコストダウンを達成できる。さらに、側面16,16を溶接とボルトナットによるピン接合により作製し、側面16,16を4本の梁材で連結して直方体状の付帯ユニットとすることができ、建物ユニットのような大規模な製造設備が不要となり、容易に作製することができる。
また、このように構成された付帯ユニット10は、鋼材の連結構造50、60、70により、柱材11,11と下梁12,12とがエンドプレート53,71やエンド部材61を介してボルトナット55,56で連結されたピン接合構造であり、柱材11や下梁12に荷重や水平力、曲げ応力が作用した場合、エンド部材であるエンドプレート53、エンド部材61、エンドプレート71等が弾性変形してボルトナット等の固定具の破断を防止することができると共に、柱材11や下梁12等の鋼材の変形等の損傷を防止することができる。
つぎに、本実施形態の付帯ユニット10を建物ユニット1に連結固定する動作について以下に説明する。前記のように組立てられた付帯ユニット10の取付面を、建物ユニット1の被取付面に対向させ、柱材2,2と柱材11,11との間にスペーサ35を挟み、両ユニットを密着させる。建物ユニット1の柱材2,2の上下端部から突出するガイドピン33,33を貫通孔27に挿入することにより建物ユニット1の柱材11,11の取付孔30,30と、付帯ユニット10の貫通孔27,27が連通するように密着する。そして、柱材11の貫通孔27側からボルト31を挿入し、柱材2の内部に固定されたナット32に螺合させ締め付ける。ジョイントプレート22横の空間を通して、ボルト31を容易に挿入することができる。
このようにして、建物ユニット1に付帯ユニット10を連結固定すると、建物ユニット1の内部空間は付帯ユニット10の分だけ拡大され、内部空間を有効利用することができる。例えば、図27(a)に示されるように、建物ユニット1の長辺方向(X方向)に付帯ユニット10を連結して延長する場合、あるいは短辺方向(Y方向)に付帯ユニット10Aを連結して延長する場合がある。付帯ユニット10Aも基本的には付帯ユニット10と同様の構成であり、2つの側面16a,16a(Y−Z面)を連結する4本の梁材の長さが長いことが異なるのみである。
図27(b)では、建物ユニット1を2個、2層に積み上げ、4個組み合わせてユニット建物Hを構成し、このユニット建物Hの1階左のユニットに付帯ユニット10を連結固定している。この例では、ユニット建物Hの直方体の形状から付帯ユニット部分が突出して外観に変化を与えており、この付帯部分を例えば玄関部分として利用することができる。また、玄関部分に限られず、例えば居室の内部空間を拡大させることや、収納空間として利用することもできる。この例で示す付帯ユニット10は、建物ユニット1を載置する基礎部分(図示せず)が付帯ユニット部分にも形成されることが望ましく、付帯ユニットは建物ユニット1に追従して柔軟に荷重を吸収できる。
図27(c)では、同様に建物ユニット1を4個組み合わせてユニット建物Hを構成し、このユニット建物Hの2階右のユニットに付帯ユニット10を連結固定している。この例でも、ユニット建物Hの外観に変化を与えることができ、2階の建物ユニット1からオーバーハング状態に付帯ユニット10を突出させ、内部空間を拡大して有効利用することができる。この例で示す付帯ユニット10は、2階部分に装着されるものであり、付帯ユニットは図17(a)に示されるような補助柱hを有するものが好ましい。また、付帯ユニットの側面を補強するブレース材(図示せず)を設置すると好ましい。
図27(d)では、建物ユニット1を4個組み合わせてユニット建物Hを構成し、このユニット建物Hの1,2階左のユニットに2個の付帯ユニット10を上下に重ねて連結固定している。この例でも、ユニット建物Hの外観に変化を与えることができ、1,2階の建物ユニット1,1の内部空間を拡大して有効利用することができ、特に、上下階を貫通する階段室として利用することができる。この例で示す付帯ユニット10は、上下に連続する付帯ユニット10,10が建物ユニット1,1に追従して柔軟な構成とすることができる。
図27(e)では、建物ユニット1を4個組み合わせてユニット建物Hを構成し、このユニット建物Hを構成する建物ユニット1の長辺方向(X方向)に沿って連結される長辺方向用の付帯ユニット10Aを1階建物ユニット1に連結固定している。この例でも、ユニット建物Hの外観に変化を与えることができ、1階の建物ユニット1の内部空間を拡大して有効利用することができる。この例で示す付帯ユニット10Aは、1階部分に装着されるものであり、付帯ユニットは基礎上に設置されることが好ましく、建物ユニットに柔軟に追従することができる。
図27(f)では、建物ユニット1を4個組み合わせてユニット建物Hを構成し、このユニット建物Hを構成する建物ユニット1の長辺方向(X方向)に沿って連結される長辺方向用の付帯ユニット10Aを2階建物ユニット1に連結固定している。この例でも、ユニット建物Hの外観に変化を与えることができ、2階の建物ユニット1の内部空間を拡大して有効利用することができる。この例で示す付帯ユニット10Aは、2階部分に装着されるものであり、付帯ユニットは図17(a)に示されるような補助柱hを必要に応じて設けてもよい。また、図27(g)では、図27(f)の付帯ユニット10AよりX方向に短い付帯ユニット10A’を2階の建物ユニット1に連結固定している。
このように、図27で示された各ユニット建物Hでは、建物ユニット1を複数個積重ね、あるいは並置して構成され、外周側の建物ユニットの1つの立面、あるいは他の1つの立面に付帯ユニット10が連結固定されている。そして、ユニット建物Hでは、耐力構造体である建物ユニット1は、非耐力構造体である付帯ユニットが連結されても充分な構造強度を備えており、地震力や風力等が作用しても変形を抑えて快適な居住性を備えた構成となっている。
図28(a)では、建物ユニット1を4個組み合わせてユニット建物Hを構成し、このユニット建物Hを構成する建物ユニット1の長辺方向(X方向)に沿って連結される長辺方向用の付帯ユニット10Aを1階と2階建物ユニット1,1に連結固定している。この例では、1,2階の建物ユニットの内部空間を大幅に拡大することができる。また、この延長部分を吹き抜けとして利用することもできる。
図28(b)では、建物ユニット1を4個組み合わせてユニット建物Hを構成し、このユニット建物Hを構成する建物ユニット1の長辺方向(X方向)に沿って連結される長辺方向用の付帯ユニット10Aを1階建物ユニット1に連結固定し、付帯ユニット10Aの上部にバルコニーBLを設置している。この例では、図18に示されるように、付帯ユニット10Aの柱材11の上端面に形成した貫通孔21aにボルト等の固定具を通し、内部のナット28にねじ込んでバルコニー柱Bを固定することができる。
図28(c)では、建物ユニット1を上下に4個組み合わせるとともにX方向の1階部分に1個の建物ユニット1を並べて5個の建物ユニットを組み合わせたユニット建物Hを構成し、このユニット建物Hの建物ユニットを4個組み合わせた部分と、1個の建物ユニットの1階の入隅部分に、短辺方向(Y方向)に沿って連結される付帯ユニット10を連結固定している。この例でも、付帯ユニット10を玄関スペース等に有効利用することができる。
図28(d)では、建物ユニット1を4個組み合わせてユニット建物Hを構成し、このユニット建物Hを構成する建物ユニット1の長辺方向(X方向)に沿って、短辺用の付帯ユニット10を1階の建物ユニット1に連結固定している。この例では、1階の建物ユニット1の内部空間を一部拡大することができる。また、ユニット建物Hの外観に変化を与えることができる。なお、この例では、付帯ユニット10を連結する建物ユニット1の長辺方向の中間部に、付帯ユニットに合わせて中間柱を設置すると好ましい。
図28(e)では、建物ユニット1を4個組み合わせてユニット建物Hを構成し、このユニット建物Hを構成する建物ユニット1の短辺方向(Y方向)に沿って、1階の2つの建物ユニット1,1に連続するように付帯ユニット10Bを連結固定している。この付帯ユニット10Bも、前記の付帯ユニット10,10Aと同様の構成であり、2つの側面を4本の梁材で連結して構成される。この例では、1階の2つの建物ユニット1,1に連続して内部空間を拡大することができるとともに、ユニット建物Hの外観に変化を与えることができる。
つぎに、図29を参照して本発明の他の実施形態を説明する。この実施形態は、前記した実施形態と比較して建物ユニットの短辺方向の幅より付帯ユニットの当該方向の幅が僅かに小さく、建物ユニットの一方側の柱と付帯ユニットの一方側の柱とを一致させたとき、建物ユニットの他方側の柱と付帯ユニットの他方側の柱とが外壁パネルPLの厚さ分だけ僅かにずれるものである。この場合は、建物ユニット1の柱材2と、付帯ユニット10の柱材11とをボルト固定するか、もしくは梁部分で連結することができる。他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して説明は省略する。
図29において、建物ユニット1に連結される付帯ユニット10Cは、前記の実施形態と同様に4本の柱材11と、柱材の下端部を水平方向に連結する4本の下梁12,12,13,13と、柱材の上端部を水平方向に連結する4本の上梁14,14,15,15とから直方体状に構成され、上梁14は柱材11,11に剛接合され、下梁12は柱材11,11にボルト接合されている。この付帯ユニット10Cは、y方向の長さが建物ユニット1のy方向の長さより外壁パネルPLの厚さ分だけ僅かに短いため、一方側の柱材を建物ユニット1の柱材と合わせると他方側の柱材は建物ユニットの他方側の柱材と合わずにずれが生じる。
すなわち、一方側の柱材は、前記の図23,24等に示すように、建物ユニット1の柱材2と付帯ユニット10Cの柱材11とはボルト31、ナット32により連結されているが、他方側では柱材2と柱材11とが一致しない。このため、一致しない状態で、ボルトナットによる連結をするか、あるいは梁部分で連結する。梁部分で連結するときは、図29のように、柱材2と柱材11との間にスペーサ40を挟み、建物ユニット1の下梁4と付帯ユニット10Cの下梁13とを連結板41を渡してボルトナットで連結する。図示していないが上梁側も同様に連結板を渡してボルトナットで連結している。この実施形態でも、付帯ユニット10Cは2側面を構成する下梁12がボルトナットにより接合されているため柔軟な構造となり、連結される建物ユニット1に追従して変位等を柔軟に吸収することができる。なお、この実施形態では、付帯ユニット10Cの建物ユニット1から離れた長辺の床梁は、基礎(図示せず)にアンカーボルトで固定されることが好ましい。
さらに、図30を参照して本発明のさらに他の実施形態を説明する。この実施形態は、前記した実施形態と比較して建物ユニットの長辺方向(水平方向)の長さより付帯ユニットの当該方向の長さが小さく、付帯ユニットの柱材に対応して、建物ユニットの上梁と下梁との間に補強部材として中間柱を設け、この中間柱と付帯ユニットの柱材とを連結して構成することを特徴としている。他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して説明は省略する。
図30において、建物ユニット1に連結される付帯ユニット10Dは、前記の実施形態と同様に4本の柱材11と、柱材の下端部を水平方向に連結する4本の下梁12,12,13,13と、柱材の上端部を水平方向に連結する4本の上梁14,14,15,15とから直方体状に構成され、上梁14は柱材11,11に剛接合され、下梁12は柱材11,11にボルトナットによりピン接合されている。
建物ユニット1には、付帯ユニット10Dの柱材11に合わせて、下梁3と上梁5との間に垂直にC形鋼からなる中間柱45(補強部材)が立てられている。そして、中間柱45と付帯ユニット10Dの柱材11との間にスペーサ46が挟まれ、ボルトナット47により連結されている。この実施形態でも、付帯ユニット10Dは2側面を構成する下梁12が、エンドプレート53を介してボルトナット55,56により接合されているため柔軟な構造となり、付帯ユニット10Dは連結される建物ユニット1に追従して変位等を柔軟に吸収することができる。なお、この実施形態では、建物ユニット1の長辺方向の下梁3と上梁5との間に中間柱45を立設するため、補助梁として天井小梁48を設けて建物ユニット1を補強すると好ましい。
さらに、本発明の他の実施形態について、図31を参照して説明する。前記した実施形態は柱材11,11と、下梁12と、上梁14とから構成される側面16,16において、上梁又は下梁の少なくとも一方が剛接合され、その他方がジョイント部材を介してボルトナットで連結される例について述べたが、この実施形態は、上梁14と下梁12の両方が固定具により連結固定されるものである。他の実質的に同等の構成については、前記した実施形態と同等であるため、説明を省略する。
図31において、付帯ユニット10Fでは4本の柱材11は、断面形状が略コ字状の溝形鋼又はC形の鋼材から形成されており、付帯ユニット10Fのコスト低減が可能となっている。下梁12及び上梁14も同様に断面形状が略コ字状の溝形鋼又はC形の鋼材から形成されている。そして、X方向に沿う上梁14,14は柱材11,11の上端に固定具としてボルトナット等で連結され、下梁12,12も柱材11,11の下端にボルトナット等で連結され側面16a,16aを構成している。このボルトナットによる連結は、前記の実施形態と同様に、エンドプレート(図示せず)を介して行なわれている。また、必要に応じて水平ブレース材を固定することが好ましい。
この実施形態では、付帯ユニット10Fを構成するX−Z方向の2つの側面16a,16aは2本の柱材及び2本の梁材を連結する4個所の全てが剛接合でなく、ボルトナット等によるピン接合となっていると共に、柱材11,11の上下端をY方向に連結する下梁13及び上梁15もボルトナットにより連結されているため、付帯ユニット10Fは柔軟な構造となっている。このため、付帯ユニット10Fに地震力や風圧力が作用しても、付帯ユニット自身で対抗することなく、連結される建物ユニットに作用した力を伝達して建物ユニットが対抗する構成となっている。この実施形態では、上下の梁材、すなわち下梁12及び上梁14が共に固定具により固定されているため、前記の実施形態と比較してより柔軟な構造となっており、建物ユニットへの追従性が高くなっている。
図32は本発明のさらに他の実施形態の概略構成を示す斜視図である。この実施形態では、建物ユニット10Gを構成する2側面16b,16bは隣接する2本の柱材11,11と上梁14及び下梁12で構成され、下梁12は2本の柱材11,11の下端部に溶接等で剛接合され、上梁14は固定具としてボルトナット等で2本の柱材11,11の上端部に連結されている。この実施形態では、前記した図16に示す実施形態と比較して上梁14がボルトナットで連結される構成であり、下梁12が溶接等で剛接合されているものである。この構成では、ピン接合される梁が上下で異なるのみであり、前記した図16の実施形態と同様に柔軟な構造となっており、外力等が付帯ユニット10Gに作用したとき柔軟に対応して連結する建物ユニットに力を伝達することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、第2の鋼材として、長手方向に直交する断面形状が略コ字状の溝形鋼又はC形鋼の例を示したが、断面形状がH形の鋼材や、ロ形の角柱のロ形鋼を用いてもよい。