以下、本発明に係る建物ユニットと付帯構造物との連結構造の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。先ず、付帯構造物を連結固定する建物ユニット1について、説明する。図1〜3において、建物ユニット1は、鋼製の構造材を溶接で直方体状に接合して形成したボックスラーメン構造のものであり、角柱からなる4本の柱材2,2…と、この柱材の下端部を水平方向に連結する長辺方向の下梁(床梁)3,3と、短辺方向の下梁(床梁)4,4と、4本の柱材2,2…の上端部を水平方向に連結する長辺方向の上梁(天井梁)5,5と、短辺方向の上梁(天井梁)6,6とから直方体状に形成される。そして、建物ユニット1には、床根太7,7…が下梁3,3間に所定間隔で架設されている。各柱材と各梁材とはコーナー部に補強プレート9,9…を介在させて溶接され、建物ユニット1の剛性を高めている。なお、上梁5,5間に、複数の天井根太を平行に架設するように構成してもよい。
建物ユニット1の直方体において、長辺方向をX方向、短辺方向をY方向、高さ方向をZ方向として説明する。建物ユニット1は、例えば長辺方向(X方向)の長さが2〜5.6メートル程度の長尺であり、短辺方向(Y方向)の長さが0.45〜2メートル程度であり、高さ方向(Z方向)の長さが2.5〜3メートル程度の直方体状に形成されている。すなわち、建物ユニット1は長辺方向に沿う2つの立面(X−Z面)と、短辺方向に沿う2つの立面(Y−Z面)と、上面、及び底面(X−Y面)の6つの面から構成されている。
建物ユニット1に連結固定される付帯ユニット10は、小型の直方体をしており、6面を有する直方体状の建物ユニット1の1つの立面である短辺側の側面(X−Z面)に連結されるものであり、X方向における建物ユニット1の被取付け面である1つの立面の水平方向の長さL1より、付帯ユニット10の取付け面である立面の水平方向の長さが短い長さL2に設定されている。例えば、建物ユニット1の長辺方向の長さが2〜5.6メートル程度の長尺であるのに対して、付帯ユニット10のX方向の長さが短い場合に、本発明は適用される。付帯ユニット10は建物ユニットより小さく設定され、敷地形状に合わせて連結することで敷地の有効活用を図ることができる。
付帯ユニット10は、図2〜6に示されるように小型の直方体状をしており、4本の断面形状が略コ字状の溝形鋼又はC形鋼からなる柱材11,11…と、これらの柱材の下端部をY方向に連結する2本の下梁12,12と、X方向に連結する2本の下梁13,13、及び柱材の上端部をY方向に連結する2本の上梁14,14と、X方向に連結する上梁15,15で構成されている。そして、付帯ユニット10は、本実施の形態では、建物ユニット1のX−Z方向の側面の長方形の水平方向長さL1に対して、付帯ユニット10のX−Z方向の側面の水平方向長方形が短い長さL2となっている。この構成により、建物ユニット1に付帯ユニット10が連結固定されたとき、長辺方向の平坦面より付帯ユニット10が突出して内部空間を拡大させる形状となる。
付帯ユニット10を構成する4本の柱材11は、断面形状が略コ字状の溝形鋼又はC形の鋼材から形成されており、建物ユニット1の断面(ロ)型の角柱の鋼材から形成されている柱材と異なる構成であり、付帯ユニット10の重量低減、及びコスト低減が可能となっている。この付帯ユニット10は基本的には隣接する建物ユニット1の1つの立面に連結して固定されるため、基本となる建物ユニット1の強度に依存する構成であり、付帯ユニット10自体の強度は付帯ユニットに外力が加わったときに、連結している建物ユニットに外力を伝達するための必要最低限の部材構成となっている。
すなわち、付帯ユニット10は、基本的には柔軟に構成され、連結される建物ユニット1に追従しやすく、風圧力や地震力(外力)が作用したときでも柔軟に吸収することができる。つまり、付帯ユニット10は建物ユニット1に連結されたとき、これと一体化し、当該部分に作用する風圧力や地震力(外力)を本体の建物ユニット1に伝達し、付帯ユニット10自体が外力に対抗しない構成となっている。このため、本実施形態の付帯ユニットでは、付帯ユニット10に作用する風圧力や地震力(外力)を建物ユニットに適切に伝達することが可能となり、建物ユニットと付帯ユニットは一体的に外力に対抗することができる。
付帯ユニット10を構成する部材のうち、Y方向に沿う下梁12,12、及び上梁14,14は柱材11,11にボルトナット等の固定具によりピン接合され、Y−Z方向の付帯ユニット10の側面16,16はピン接合面となっている。また、付帯ユニット10を構成する部材のうち、X方向に沿う下梁13,13、及び上梁15,15は柱材11,11…にボルト等の固定具で連結されたピン接合面となっている。なお、Y−Z方向の側面16,16に必要に応じて傾斜状態にブレース材を固定して、補強してもよい。また、付帯ユニット10の上部、天井フレームには、合板等野地面と天井根太を用いた水平構面もしくは水平ブレースを用いた水平構面が形成され、付帯ユニットを上下に重ねて設置した場合は2階床面が水平構面として機能し、水平構面により風圧力や地震力(外力)を建物ユニットに伝達する。
付帯ユニット10は、例えば図4(a)に示されるように、1階の建物ユニット1Aの上部に2階の建物ユニット1が載置固定され、2階の建物ユニット1に付帯してオーバーハング状態に連結固定される。この場合、付帯ユニット10の下方に補助柱Hを設けるように構成してもよい。また、上階にオーバーハング状態に付帯ユニットを連結固定するときは、側面に傾斜してブレースを付設することが好ましい。図4(b)では、基礎Kの上部に建物ユニット1が設置固定され、この建物ユニット1に付帯して付帯ユニット10が連結固定される。
本実施形態の付帯ユニット10は、前記のように全ての柱材と梁材がボルトナット等の固定具で連結され、図5(a)に示すように構成されている。すなわち、柱材11,11の下端部に下梁12を連結し、上端部に上梁14を連結して側面16を構成し、同様に反対側の側面16を柱材11,11の下端部に下梁12を連結すると共に上端部に上梁14を連結して形成する。そして、2つの側面16,16の下端部に下梁13,13を連結すると共に上端部に上梁15,15を連結して付帯ユニット10を構成している。そして、下梁13,13間に床根太を架設し、上梁15,15間に天井根太を架設している。
本実施形態の付帯ユニットの変形例として、図5(b)に示す付帯ユニット10’では、側面を構成する構造材の接合が異なっている。すなわち、柱材11,11の上端部には上梁14が溶接等で剛接合されて門型に形成され、柱材11,11の下端部には下梁12がボルトナット等の固定具で連結され、側面16aを構成している。反対側の側面16aも同様に上部が剛接合で下部がピン接合で形成されている。この側面の構成が異なるのみで、側面16a.16aに下梁13,13及び上梁15,15を連結して付帯ユニット10’を構成する。なお、図示していないが、柱材11,11の上下端部に上梁14と下梁12を剛接合して側面を形成してもよく、図5(b)と反対に下梁12を剛接合し、上梁14をピン接合してもよい。
ここで、付帯ユニット10の詳細を図6〜9に基づいて説明する。付帯ユニット10を構成するX方向の下梁13,13、及び上梁15,15は、前記のように柱材11,11…にボルト接合されている。すなわち、柱材11を構成する断面形状が略コ字状の溝形鋼又はC形鋼の下端には、C形鋼の開口を閉じるように2枚の補強板20,20が溶接等により水平に固着されており、2枚の補強板の間隔は下梁13の高さと一致している。また、断面コ字状のC形鋼から構成される柱材11の上端には、同様にC形鋼の開口を閉じるように2枚の補強板21,21が溶接等により水平に溶着されており、2枚の補強板の間隔は上梁15の高さと一致している。
そして、前記2枚の補強板20,20,21,21と、C形鋼の外側の端面とを連結するようにジョイントプレート22,22…が溶接等により垂直に固着されている。このジョイントプレートは溝形鋼又はC形鋼の開口の一部を塞ぐように固着され、上下の幅広部と中央の幅狭部とが傾斜辺で連結され、幅広部に下梁13及び上梁15を連結するためのボルト23が挿入される貫通孔24,24…が形成され、幅狭部によりジョイントプレート裏側に形成された空間を通して、柱材11のC形鋼の内部に固定具としてボルトやナットを挿入できる構成となっている。
建物ユニット1に対向する2本の柱材11,11の上下端部に固着された補強板20,21とジョイントプレート22とにより、X方向に沿う下梁13,13と上梁15,15の連結部が構成される。そして、下梁13,13と上梁15,15には、ジョイントプレート22と対接するエンドプレート13a、15aが固着され、ジョイントプレートの貫通孔24,24…に対応してボルト23を挿入できる貫通孔13b,15bが形成されている。このように、上梁15,15と下梁13,13はジョイントプレート22を介してボルトナット23で接合される構成となっている。そして、Y方向に沿う下梁12,12と上梁14,14は両端部にエンドプレート12a,14aが固着され、柱材11,11の貫通孔にボルト23を通してナットで連結する構成となっている。
また、柱材11の上部の補強板21,21の中間には、C形鋼の内側のリブを補強するための三角形状の補強プレート25,25…が溶接等により固着されている。この補強プレートにより補強された柱材11のリブには連結プレート26,26…が溶接等により固着され、この連結プレートと対角線上に位置する柱材11の同等の位置に固着された連結プレートとの間に水平ブレース材17,17が連結されている。この水平ブレース材17,17は中間位置にターンバックルを介在させて、長さ及び張力を調整できるように構成し、水平構面を形成してもよい。
水平構面としては、前記の他に、合板等を天井根太上面に釘等で固定して野地面とし、野地板による水平構面を形成することができる。この水平構面はコスト的に有利となる。また、上下に同一サイズの付帯ユニットを重ねてボルト接合した場合は、上階(2階)の床面を水平構面とすることができる。さらに、上階にキャンチして付帯ユニットを設置する場合は、そのキャンチ部の付帯ユニット床面を水平構面とすることができ、これらの水平構面は地震力、風圧力(水平方向の外力)を建物ユニットに伝達する機能を有する。
建物ユニット1の柱材2,2には、付帯ユニット10を建物ユニット1に連結するための構成として、柱材2,2の付帯ユニット10と対向する上下端部のそれぞれに2つの取付孔30,30が形成され、この取付孔の内部には付帯ユニット10を建物ユニット1に連結固定するボルト31,31が螺合されるナット32,32が溶接等により固着されている。また、2つのナットが溶接された取付孔の中間にはガイドピン33がナット等を介して固定されている。このガイドピン33は、建物ユニット1に付帯ユニット10を連結固定する際に、ボルト締めを容易にするべく位置決めするためのものであり、ガイドピン33の先端は先細に形成されている。なお、ガイドピンは必ずしも必要でなく、位置決め用の貫通孔のみを形成し、この貫通孔に先細のシノと呼ばれる工具(治具)を貫通孔に通して位置決めする構成でもよい。
付帯ユニット10には、建物ユニット1の取付孔30と、ガイドピン33に対応して、柱材11,11の建物ユニット1と対向する面に3つの貫通孔27が形成されている。上下の2つの貫通孔はボルト31,31が挿入され、中央の貫通孔にはガイドピン33が挿入される。そして、建物ユニット1の柱材2と付帯ユニット10の柱材11との間には、スペーサ35が介在される構成となっている。スペーサ35には、ボルト31,31及びガイドピン33が挿入できる貫通孔が形成されている。
このように形成された付帯ユニット10は、柱材が角柱であり梁材が全て剛接合されている建物ユニット1に対して、柱材が溝形鋼又はC形鋼で、2つの面(Y−Z面)のみが剛接合され、剛接合面16,16同士を4本の梁材13,13,15,15でボルトナット23により連結して接合する構造であるため、付帯ユニット10を構成する柱材や梁材の重量を低減できるとともに、コストも低減することができる。
すなわち、前記したように、付帯ユニットは、それ自体で外力に対抗することはなく、付帯ユニットに作用する外力を適切に建物ユニットに伝え、建物ユニット本体で全体の外力に対抗するため必要最低限の強度を有する部材で構成することができる。したがって、ボルトによる接合(乾式接合)を多用することができ、サイズ、形状に大幅な自由度を持たせることができる上、土間床(床無し)、玄関(床梁カット)等の自由度が、構造耐力を有する建物ユニットに比べて極めて大きく、低コストで実現でき、かつ、建物ユニットだけでは不可能であった敷地の有効利用を図ることができる。
また、付帯ユニット10は、柱材11,11と下梁12と上梁14で構成される2つの側面16,16と4本の梁材13,13,15,15に分けて輸送し、現地で梁材を固定して組立てることもできる構成となっている。なお、図示の実施形態では、付帯ユニット10を構成する直方体の2つの側面として、Y−Z方向の2つの面としたが、X−Z方向の2つの面を予め組立てておいて、その後にY方向の梁材で連結するように構成してもよいのは勿論である。また、付帯ユニット10は、4本の柱材と4本の下梁、及び4本の上梁を全てボルト接合して形成したもの、溶接による剛接合とボルトナットによるピン接合を組み合わせたもの等、適宜設定することができる。
建物ユニット1を構成する柱材2,2…の上下端面には、貫通孔が形成され、この貫通孔の内面にはナットが溶接等により固着されている。建物ユニット1の4本の柱材の上部の貫通孔は、建物ユニット1を輸送する際や、基礎上に設置する際に吊上げるためのアイボルト(図示せず)が装着されると共に、建物ユニット1,1を上下に積重ねる際には上下に連結するボルトがねじ込まれる。また、付帯ユニット10を構成する柱材11,11…の上下端面に固着された補強板20,21にも同様に貫通孔21aが形成され、この貫通孔の内面にはナット28(図8参照)が溶接等により固着されている。柱材11の上端には、このナット28を用いて図7に示されるように、付帯ユニット10上に構築されるバルコニーの柱材Bを連結固定することができる。
一方、前記の付帯ユニット10が連結固定される建物ユニット1は、付帯ユニット10を連結する1つの立面において、付帯ユニットの短い水平方向長さに対応する位置に、補強手段を備えている。すなわち、建物ユニット1の立面の付帯ユニット10の長辺の長さに対応する位置に補強手段として、図3,6等に示す補強柱40と補強梁50とを備えている。補強柱40は付帯ユニットが連結固定される立面において、建物ユニット1の上梁5と下梁3との間に連結固定されるものである。また、補強梁50は付帯ユニット10が連結される1つの立面に隣接する天井面において、建物ユニット1の天井面を構成する対向する上梁5,5間に連結固定されるものである。なお、図6(b)に示すように、付帯ユニット10Aのように、X方向に長い付帯ユニットでも同様に補強手段として、補強柱40、及び補強梁50を設けてもよい。
ここで、補強柱40について、図7及び図10〜12を参照して詳細に説明する。補強柱40は、幅広のC形鋼からなる柱材41の上下端部にエンドプレート42,42が溶接等で固着されており、上下の高さは建物ユニット1の上梁5と下梁3との間隔に相当するように設定されている。柱材41の途中の複数個所に水平状の補強リブが形成され、剛性が高められている。柱材41には付帯ユニット10の柱材11を連結する部位に補強プレート43,43が溶接等で固着されている。柱材41はエンドプレート42,42を上梁5及び下梁3に対接させてボルトナット44,44で連結固定される構成となっている。付帯ユニット10は、その柱材11がスペーサ45を挟んで補強柱40の柱材41と対接し、ボルトナット46で連結固定される構成となっている。
つぎに、補強梁50について、図7及び図10〜14を参照して詳細に説明する。補助梁50はC形鋼から形成された長尺の梁材51と、梁材51の両端部に溶接等で固着された短尺のC形鋼から形成された端材52,52と、端材52,52の上部に溶接等で固着されたガセットプレート53,53と、梁材51、端材52,52及びガセットプレート53,53に端面に鉛直方向に溶接等で固着されたエンドプレート54,54とを備えている。梁材51は下方開口のC形鋼であり、端材52は上方開口のC形鋼であり、端材52は開口端部を蓋材52aで閉じており、梁材51と端材52,52とは背中合わせに固着されている。端材52,52を挟んでガセットプレート53,53の位置を高くすることで後述する水平ブレース材を交差させることができ、かつ、図11に示すように天井根太15cの上端面と梁材51の上端面をそろえて、図示していない作業板を設置できるように構成している。
ガセットプレート53は鋼板から略三角形状あるいは台形状に形成され、梁材51から三角形状あるいは台形状に突出した接続部には、水平ブレース材55の端板56を連結するための貫通孔53aが形成されている。水平ブレース材55の一端は端板56の貫通孔とガセットプレート53の貫通孔53aを通してボルトナット57で固定され、他端は図示していないが付帯ユニット10の水平ブレース材17の連結プレート26と同様に、柱材2に連結プレートを介して固定される。また、エンドプレート54には、建物ユニット1の上梁5に固着された接続片5Aに連結するためのボルトを通す貫通孔が形成されている。接続片5Aは幅の狭いC形鋼から形成され、上梁5の上下のリブ間に溶接で固着されている。補強梁50は、両端のエンドプレート54,54を上梁5,5の接続片5A,5A間に対接させてボルトナット58で連結して固定される。
前記の如く構成された本実施形態の付帯ユニット10の組立について以下に説明する。前記のように、付帯ユニット10は2つのピン接合された側面16,16と、4本の梁材(下梁13,13及び上梁15,15)とに分けて輸送され、現地で組立てられる。なお、工場で組立てて建物ユニット共に輸送することもできる。この組立は、側面16,16を構成する柱材11,11の上下端部に固定されたジョイントプレート22,22…の貫通孔24,24…と、下梁13と上梁15のエンドプレート13a,15aの貫通孔13b,15bを合わせてボルト23を挿入し、ナットをねじ込んで固定する。ボルトやナットはジョイントプレート22の幅狭部により柱材11の内部に挿入することができる。これにより、側面16,16は4本の梁材により結合され、直方体状の付帯ユニット10が完成する。
このように構成された付帯ユニット10は小型であり、2つの側面(剛接合面)16,16と4本の梁材(下梁13,13及び上梁15,15)とに分割されるため、輸送が容易に行える。また、付帯ユニット10は強度が要求されないため、柱材11や梁材12,13,14,15は小型軽量のものを使用でき、付帯ユニット10の重量を軽減でき、コストダウンを達成できると共に、敷地形状に合わせて建物形状を設計することができる。さらに、側面16,16を溶接により剛接合し、剛接合面を4本の梁材で連結して直方体状の付帯ユニットとすることができ、建物ユニットのような大規模な製造設備が不要となり、容易に作製することができる。なお、側面16,16は剛接合された側面に限られるものでなく、ボルトナット等の固定具で接合した側面や、固定具による接合と溶接等による接合とを組み合わせた側面でもよい。
前記の如く構成された本実施形態の建物ユニットと付帯構造物との連結構造の動作について以下に説明する。建物ユニット1の被取付け面である1つの立面に、付帯ユニット10の取付け面である立面を対接させ、建物ユニット1の一方の柱材2と付帯ユニット10の一方の柱材11とを一致させると、建物ユニット1の被取付け面の水平方向長さL1より、付帯ユニット10の取付け面の水平方向長さL2が短いため、他方の柱材同士は一致せず、ずれが生じる。建物ユニット1の柱材2と付帯ユニット10の柱材11とが一致している側は、図7〜9等に示されるように柱材間にスペーサ35を挟んでガイドピン33で位置決めしてボルト31とナット32により連結する。なお、ガイドピンを用いないでシノ等の工具を用いて位置決めし連結するようにしてもよい。
柱材同士が一致していない側では、建物ユニット1には付帯ユニット10の他方の柱材11と対応する位置に、補強柱40が連結固定され、上梁5と下梁3とが連結されて補強されている。そして、付帯ユニット10の他方の柱材11はスペーサ45を挟んで補強柱40の柱材41にボルトナット46で連結されるため、付帯ユニット10の他方の柱材11も安定して連結固定することができる。また、この位置には、補強梁50も連結固定されており、建物ユニット1の天井面を構成する対向する上梁5,5同士を連結して補強しているため、付帯ユニット10を取付ける側の上梁5の変形を抑えることができ、付帯ユニット10を連結しても建物ユニット1が変形を抑えて、連結状態を安定させることができる。
さらに、補強梁50には、水平ブレース材55をガセットプレート53と建物ユニット1の構造部材である柱材2との間に連結しているため、建物ユニット1の天井面の変形を大幅に軽減することができ、地震等の衝撃が付帯ユニット10に作用しても、建物ユニット1と付帯ユニット10との連結状態は安定している。なお、水平ブレース材の建物ユニット側の連結は柱材に限らず、上梁等の他の構造部材に連結する構成でもよい。
このようにして、建物ユニット1に付帯ユニット10を連結固定すると、建物ユニット1の内部空間は付帯ユニット10の分だけ拡大され、内部空間を有効利用することができる。例えば、図15(a)に示されるように、建物ユニット1の長辺方向(X方向)に付帯ユニット10を連結して延長する場合、あるいは短辺方向(Y方向)に付帯ユニット10Bを連結して延長する場合がある。付帯ユニット10Bも基本的には付帯ユニット10と同様の構成であり、建物ユニット1に連結固定する方向が異なるのみである。
図15(a)に示す建物ユニット1に付帯ユニット10,10Bを連結固定したユニット建物H1では、付帯ユニット10の柱材は建物ユニット1の柱材と一致しているため補強手段は必要とせず、付帯ユニット10Bでは建物ユニット1の被取付け面の長さと付帯ユニットの取付け面長さとが異なっているため、建物ユニットには補強柱40と補強梁50とが固定されている。このため、建物ユニット1の長辺方向の上梁と下梁の中間位置に付帯ユニットの柱材が位置していても、建物ユニット1の梁材等の変形が抑制され、付帯ユニット10Bを安定して連結固定することができる。なお、1階に連結される付帯ユニットに対して、建物ユニット1を載置する基礎部分(図示せず)が付帯ユニット部分にも形成されることが望ましいが、基礎のないオーバーハング状態でもよい。
図15(b)では、建物ユニット1を2個、2層に積み上げ、4個組み合わせてユニット建物を構成し、このユニット建物の1階左の建物ユニットに付帯ユニット10を連結固定すると共に、1階右の建物ユニットの長辺に沿って付帯ユニット10Bを連結固定して、ユニット建物H2を構成している。この例では、ユニット建物H2の直方体の形状から付帯ユニット部分が突出して外観に変化を与えており、この付帯部分を例えば玄関部分として利用することができる。また、玄関部分に限られず、例えば居室の内部空間を拡大させることや、収納空間として利用することもできる。そして、長辺に沿って連結固定された付帯ユニット10Bを連結する建物ユニットでは、付帯ユニット10Bの柱材に合わせて補強柱40が上梁と下梁との間に連結固定されている。なお、この例では補強梁を連結していないが、補強柱に合わせて補強梁も連結するように構成してもよい。
図15(c)では、同様に建物ユニット1を4個組み合わせ、2階右の建物ユニットに付帯ユニット10を連結固定すると共に、1階右の建物ユニットの長辺に沿って付帯ユニット10Bを連結固定して、ユニット建物H3を構成している。この例でも、ユニット建物H3の外観に変化を与えることができ、2階の建物ユニット1からオーバーハング状態に付帯ユニット10を突出させ、内部空間を拡大して有効利用することができると共に、建物ユニットの長辺に沿って連結固定した付帯ユニット10Bに対して、建物ユニット1には補強柱40が連結固定され、建物ユニットの変形を抑制して付帯ユニットの連結状態を安定させることができる。この例で示す付帯ユニット10は、2階部分に装着されるものであり、付帯ユニットは側面が剛接合面であり、ブレース材で補強したものが好ましいが、ピン接合でブレース材を連結したもの等、適宜変更できる。
図15(d)では、建物ユニット1を4個組み合わせ、1,2階の左の建物ユニットに2個の付帯ユニット10を上下に重ねて連結固定すると共に、1階右の建物ユニットの長辺に沿って付帯ユニット10Bを連結固定して、ユニット建物H4を構成している。この例でも、ユニット建物H4の外観に変化を与えることができ、1,2階の建物ユニット1,1の内部空間を拡大して有効利用することができ、特に、重ねて連結された上下階を貫通する階段室として利用することができる。この例で示す付帯ユニット10Bに対しても、建物ユニットの長辺方向には補強柱40が連結固定され、付帯ユニット10Bの連結状態を安定させている。
図16(a)では、建物ユニット1を4個組み合わせ、建物ユニット1の長辺方向(X方向)に沿って連結される付帯ユニット10Bを1階の建物ユニット1に連結固定して、ユニット建物H5を構成している。この例でも、1,2階の4つの建物ユニットの単純な形状に変化を与えることができると共に、内部空間を拡大することができる。そして、付帯ユニット10Bが連結された建物ユニット1には上梁と下梁との間に補強柱40が連結され、建物ユニットの梁材の変形を抑制して、付帯ユニットの連結状態を安定させることができる。
図16(b)では、建物ユニット1を4個組み合わせ、2階右の建物ユニットの長辺方向(X方向)に沿って付帯ユニット10Bを連結固定し、ユニット建物H6を構成している。この例でも、ユニット建物H6の外観に変化を与えることができ、2階の建物ユニット1からオーバーハング状態に付帯ユニット10Bを突出させ、内部空間を拡大して有効利用することができる。また、付帯ユニット10Bを連結固定する建物ユニット1には補強柱40を連結固定して、連結状態を安定させている。
図16(c)では、建物ユニット1を上下に4個組み合わせると共に、建物ユニット1の長辺方向(X方向)に沿って付帯ユニット10Bを1階と2階建物ユニット1,1に連結固定して、ユニット建物H7を構成している。このユニット建物H7では、付帯ユニット10Bを連結固定する1階の建物ユニット1には補強柱40を連結固定し、2階の建物ユニット1には補強柱40と補強梁50とを連結固定している。このため、建物ユニットの長辺方向の上梁及び下梁の変形を抑えることができ、付帯ユニット10Bの連結状態を安定させることができる。なお、1階の建物ユニット1にも、補強柱と一致させて補強梁を連結固定するように構成してもよい。
図16(d)では、建物ユニット1を4個組み合わせ、建物ユニット1の長辺方向(X方向)に沿って付帯ユニット10Bを1階建物ユニット1に連結固定し、付帯ユニット10Bの上部にバルコニーBLを設置して、ユニット建物H8を構成している。このユニット建物H8では、付帯ユニット10Bを連結固定する1階の建物ユニット1に、付帯ユニット10Bの柱材に対応して補強柱40を上梁と下梁との間に連結固定している。この例でも、補強柱20の位置に補強梁を連結して、より強度を高めるように構成することもできる。この例でも、1階の建物ユニット1に、補強柱と一致させて補強梁を連結固定するように構成してもよい。この例では、付帯ユニット上にバルコニーを設置することで物干し等に利用することができ、ユニット建物の機能性をアップすることができる。
このように、建物ユニット1に付帯ユニット10,10Bを連結固定し、あるいは建物ユニット1を複数並置すると共に上下に重ねてユニット建物を構成し、付帯ユニット10,10Bを連結固定して形成したユニット建物において、建物ユニットの被取付け面の水平方向長さより付帯ユニットの取付け面の水平方向長さが短い場合でも、短い長さに合わせて建物ユニット1を補強柱40や補強梁50で補強するため、付帯ユニットを連結固定して建物ユニットの変形を抑制することができ、連結状態を安定させてユニット建物の居住性を高めることができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、建物ユニットは天井面に複数の天井根太を平行に備えるものを用いてもよい。
また、ユニット建物として、建物ユニットを4つ、あるいは5つ用いた例を示したが、建物ユニットを2つ、あるいは3つ用いたものでもよく、さらに多数の建物ユニットを用いることができる。また、3階以上のユニット建物に複数の付帯ユニットを連結固定してもよいことは勿論である。さらに、付帯ユニットを構成する柱材として、溝形鋼又はC形鋼の例を説明したが、H形鋼等の他の形状の鋼材を用いてもよい。