JP4869260B2 - 躯体構成パネル - Google Patents

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Description

この発明は、建築物の躯体を構成するための躯体構成パネルに関し、より詳しくは、耐震性の高い建築物の建築や、既存の建築物の補強に使用できるような躯体構成パネルに関する。
木造建築を例にとると、建築物の構法には大きく分けて、建築物の骨組みにあたる最も重要な部分である躯体を柱や梁、筋かい等の線材で構成する軸組構法と、フレーム状に組まれた木材に構造用合板を打ちつけた面材で構成する枠組壁構法(ツーバイフォー工法)がある。
これらにはそれぞれ一長一短があり、長所として軸組構法では、設計の自由度が高く増改築がしやすいという利点がある。枠組壁構法では、軸組構法の建築物と比較して耐震性などに優れているというメリットがある。しかし、軸組構法には、上記のような利点があるほかに、日本古来の建築物である点や、柱を露出させたりして建築物の美しさを表現できる点などから、高い需要がある。
このような軸組構法であるが、熟練工の減少や高耐久性の要求などの点から、新しい軸組構法として、パネル化構法(たとえば下記特許文献1、2、3参照)や、接合方式の改良構法(たとえば下記特許文献4参照)が提案されている。
パネル化構法は、床と壁をパネルで構成したり、躯体を構成する柱などの垂直材や横架材、土台などの水平材に構造用合板からなるパネルを張り付けたりするもので、現場での工期短縮、熟練工の不要化、現場での廃材の減少、高断熱化・高気密化の実現、剛床・高耐力の壁の確保などの利点を有する。接合方式の改良構法は、接合金物を用いることにより継手や仕口の簡略化を図るもので、上記の熟練工の不要化、現場での廃材の減少等の利点を有する。
しかし、剛床・高耐力の壁の確保により耐震性を向上できるような上記のパネル化構法では間柱や根太、筋かいなどの省略を図り、これに付随してパネルによる剛性を得ようとするものに過ぎない。いわば、互いに組まれた垂直材と水平材を補強しようとするものであって、垂直材と水平材からなる構造自体の耐震性を向上するというものではない。このため、たとえば上記のパネル化構法では、パネルは垂直材や水平材との間に隙間ができないように釘打ちしなければならないのにもかかわらず、材料の乾燥による寸法の狂いのため、現場で組まれた垂直材や水平材からなる構造体とパネルとの精度にどうしても開きができてしまい、所望の組付けを行うことができないことがあり、施工性が悪く、計算通りの強度を得られない場合がある。
既存の建築物の耐震補強をする方法として、下記の特許文献5に開示されたものがあるが、これも垂直材と水平材により組まれたものを補強するだけである。すなわち、この耐震補強方法は、既存住宅の片掛け筋かい箇所に室内側から新規の筋かいを加えて両掛けとし、筋かいを特定の筋かい固定金物で固定するというものである。
実開平5−40413号公報 特開平8−302861号公報 登録実用新案第3025069号公報 特開2001−152552号公報 特許第3967625号公報
このように、軸組構法の弱点を補うべく新しい軸組構法が考えられてきたが、いずれも垂直材と水平材とで組まれた構造に添えて、その構造の強度を補うというものであり、十分ではなかった。また、これまで、垂直材と水平材からなる構造体の強度を高める躯体構成パネルはなかった。
そこで、この発明は、より耐震強度の高い躯体を簡単な施工で得られるようにすることを主たる目的とする。
そのための手段は、柱材と水平で囲まれる空間に嵌め込んで一体に結合して躯体を構成するための躯体構成パネルであって、断面積が前記柱材又は水平材以上に大断面で、端部が直接または間接に前記柱材または水平材に結合される主材と、断面積が前記柱材または水平材以上に大断面で、前記主材と交差する方向に延びて一端が前記主材に結合される第2主材と、該第2主材の他端を結合するとともに、前記主材と共同で第2主材を囲み、前記柱材または水平材に重合状態で結合される副材を有し、パネル状に形成されて、前記柱材間および/または水平材間に固定される躯体構成パネルである。ここで、パネル状とは、うすく平たいという意味より広く、全体として一定の面積を有しており板のようにみなせる形態のものを指し、部分的に開口部があるものも含む意味である。
この躯体構成パネルは、柱材と水平材を有する躯体を構成する際に、柱材と水平材を有する構造に一体に組み込んで使用される。
上記主材、第2主材及び副材で囲まれる空間には、これらの厚さ方向の中間位置に外周縁を食い込ませた状態で面材を嵌め込んで、剛構造とすることができる。面材があらかじめ組み込まれて一体化されているので、柱材と水平材を有する躯体に組み込む場合には、パネル化構法でパネルを取り付けるときのような寸法の狂いによる施工精度の低下を防げる。
前記副材のうち前記主材と対向する部分がその主材と同断面の部材からなるものであってもよい。
また、躯体構成パネルは、上記主材が柱材と平行または柱材に傾きをもって上下方向に延びるように配されて縦長形状に形成されたものであるも、上記主材が水平材と平行に延びるように配されて横長形状に形成されたものであるもよい。
さらに、上記主材が柱材と平行または傾きをもって上下方向に延びるように配されて縦長形状に形成された2枚の躯体構成パネルと、上記主材が水平材と平行に延びるように配されて横長形状に形成された1枚の躯体構成パネルを門型に組んで門型パネルとした躯体構成パネルとすることもできる。
躯体構成パネルを用いた躯体の構成を容易にすべく、上記主材および/または第2主材に、他部材との結合に際して埋め込まれてボルトと結合する結合コア部材を保持するための保持部が形成することもできる。
別の手段は、上記躯体構成パネルを用いて構成された躯体である。
以上のように、この発明によれば、柱材または水平材以上に大断面で強度が高い主材を有しており、これが柱材または水平材に結合されるので、柱材と水平材を有した躯体と一体になり、相互に支えあう。このため、このため、耐震強度の高い躯体を得られる。しかもパネル状であるので、施工は容易である。
特に、上記柱材に加えて、主材と同様に強度が高く主材に交差する方向に延びて一端が主材に結合される第2主材を備えれば、さらに強度が高く、主材と第2主材とが相互に支えあうように組み付けられた構造を保持する。このため、さらに耐震強度の高い躯体を得られる。そのうえ、主材と第2主材に加えて副材を有し、この副材が主材と共同で第2主材を囲んで1枚の部材に形成できるので、組み付けは単なる結合や嵌め込みのようにして容易に行え、施工は簡単である。
より耐震強度の高い躯体を簡単な施工で得られるようにするという目的を、断面積が柱材または水平材以上に大断面で、端部が直接または間接に柱材または水平材に結合される主材と、断面積が柱材または水平材以上に大断面で、主材と交差する方向に延びて一端が主材に結合される第2主材と、該第2主材の他端を結合するとともに、主材と共同で第2主材を囲み、柱材または水平材に重合状態で結合される副材を有し、パネル状に形成されて、柱材間および/または水平材間に固定される躯体構成パネルという構成にて実現した
以下、この発明を実施するための一形態を、図面を用いて説明する。
図1は、木造軸組構造からなる2階建て建築物の躯体11の一例を示す正面図であり、この躯体11は、1階に大開口部分12を有し、この大開口部分12が、通し柱13,13と梁材14と、これらに一体に結合される門型パネル21で構成されている。
図中、15は基礎、16は土台で、上記の通し柱13,13は土台16の上に2階の軒高まで延びている。また、この通し柱13,13の長さ方向の中間位置の1階の軒高位置に上記の梁材14が横架されている。
上記の門型パネル21は、2枚の袖パネル31,31と、1枚の梁パネル41で構成されている。門型パネル21、袖パネル31,31、梁パネル41のいずれも上記の躯体構成パネルである。
図2は、門型パネル21の正面図であり、この図に示すように、袖パネル31は、縦長形状に形成されている。すなわち、柱材としての通し柱13と平行に上下方向に延びる主材32と、該主材32の長さ方向の中間部、具体的には長さを略三等分する位置の2箇所、より具体的には三等分する位置よりも上下両側に寄った位置に、水平方向に延びて一端が主材32に結合される第2主材33,33と、これら第2主材33,33の他端を結合するとともに主材32と共同で第2主材33,33を長方形に囲む副材34と、主材32、第2主材33,33及び副材34で囲まれる開口空間を塞ぐ面材35とを有する。
主材32には、図3に示すように通し柱13および梁材14と同断面の角材が使用される。すなわち、この例において通し柱13および梁材14がa×bの正方形の角材であるので主材32もa×bの正方形の角材である。
第2主材33にも、通し柱13および梁材14と同断面の角材が使用される。すなわち、通し柱13および梁材14がa×bの正方形の角材であるので第2主材33もa×bの正方形の角材である。
なお、いずれの部材でも、通し柱13や梁材14よりも大断面の角材を使用することができる。縦横(a,b)のいずれかが大きい断面長方形の角材でもよいが、厚さ方向の大きさaは同一であるのが好ましい。
副材34には、縦横の一方aが主材32および第2主材33,33のそれと同一で、他方bがそれよりも小さい長方形断面の角材が3本使用され、これらがコ字状に組まれる。主材32と平行な1本の第1副材担体34aは主材と略同一長さに形成され、その長さ方向の中間部分の2箇所に各第2主材33,33の他端が結合される。第2主材33,33と平行な2本の第2副材担体34b,34bは、第2主材33と略同じ長さに形成され、一端が主材32の端部に結合される。
そして、主材32、第2主材33,33、副材34の内周面における厚さ方向の中間位置には、適宜深さの溝部36が形成され、この溝部36に外周縁が食い込むように上記の面材35が嵌め込まれる。面材35は構造用合板からなり、空間全体を塞ぐ長方形状である。
なお、上記の部材同士の結合は、適宜の金物やボルト、釘など、必要によっては接着剤を使用して行われる。以下、同様である。
上記の梁パネル41は、横長形状に形成されている。すなわち、横架材としての梁材41と平行に水平方向に延びる主材42と、該主材42の長さ方向の中間部、具体的には長さを略五等分する位置の4箇所に、垂直方向に延びて一端が主材42に結合される第2主材43…と、これら第2主材43…の他端を結合するとともに主材42と共同で第2主材43…を長方形に囲む副材44と、主材42、第2主材43…及び副材44で囲まれる開口空間を塞ぐ面材45…とを有する。
主材42には、図3に示すように通し柱13および梁材14と同断面の角材が使用される。すなわち、この例において通し柱13および梁材14がa×bの正方形の角材であるので主材42もa×bの正方形の角材である。
第2主材43…にも、通し柱13および梁材14と同断面の角材が使用される。すなわち、通し柱13および梁材14がa×bの正方形の角材であるので第2主材42もa×bの正方形の角材である。
なお、いずれの部材でも、通し柱13や梁材14よりも大断面の角材を使用することができる。縦横(a,b)のいずれかが大きい断面長方形の角材でもよいが、厚さ方向の大きさaは同一であるのが好ましい。
副材44には、縦横の一方aが主材42および第2主材43…のそれと同一で、他方bがそれよりも小さい長方形断面の角材が3本使用され、これらが横コ字状に組まれる。主材42と平行な1本の第1副材担体44aは主材42と略同一長さに形成され、その長さ方向の中間部分の4箇所に各第2主材43…の他端が結合される。第2主材43…と平行な2本の第2副材担体44b,44bは、第2主材43…と略同じ長さに形成され、一端が主材42の端部に結合される。
そして、主材42、第2主材43…、副材44の内周面における厚さ方向の中間位置には、適宜深さの溝部46が形成され、この溝部46に外周縁が食い込むように上記の面材45が嵌め込まれる。面材45は構造用合板からなり、空間全体を塞ぐ長方形状である。
図3中、47は面材45の両面に張り付けた状態で、主材42と第1副材担体44aとの間に突っ張るように取り付けられた間柱であり、間隔が広い部位に取り付けられる。図1、2、3に図示していないが、上記の袖パネル31の場合でも同様である。
これら袖パネル31と梁パネル41は、図3に示したように組んで一体化して、門型パネル21としてから、通し柱13と梁材14と土台16に囲まれる空間に嵌め込まれ一体に結合され、軸組構造の躯体11を構成する。あるいは、それぞれを別々に通し柱13と梁材14と土台16に囲まれる空間内の所定箇所に嵌め込んで一体化し、空間内で門型パネル21として、軸組構造の躯体11を構成する。袖パネル31と梁パネル41の副材34,44は、通し柱13や梁材14に対して重合された状態でこれらと一体になる。そして、袖パネル31と梁パネル41の主材32,42および第2主材33,43は、通し柱13および梁材14などの軸組を構成する他の線材と一体になって互いに支えあう。袖パネル31と梁パネル41の結合も、門型パネル21と通し柱13等との結合も、適宜の金物やボルト、釘など、必要によっては接着剤を使用して行われる。
なお、図1、2、3の例では、袖パネル31,31を梁パネル41の両端部の下側を支えるように組みつけた例を示したが、図4に示したように、梁パネル41の両端を袖パネル31,31で挟み込むように組み付けることもできる。これらのいずれを採用するかは、躯体全体のバランスを考慮して決める。
上記のような門型パネルを用いて構成された軸組構造の躯体11は、門型パネル21を構成する袖パネル31と梁パネル41の主材32,42が、通し柱13を含む柱材や、梁材14を含む横架材と平行に並んで一体となる。しかも、この主材32,42は、通し柱13や梁材14に対して第2主材33,43を介して一体となる。そしてこれら通し柱13と梁材14と主材32,42と第2主材33,43は、格子を形成するように結合されるとともに、内側には面材35,45が嵌め込まれており、全体として剛結合となる。上記の主材32,42と第2主材33,43は、通し柱13や梁材14と同断面の角材で構成されており、通し柱13や梁材14と同等の材料強度を有している。このため、高強度の躯体11が得られる。
しかも、門型パネル21を構成する梁パネル41の主材42は、梁材14と平行に並んで梁材14との間には第2主材43と間柱47と面材45とを有し、一体化された構造であるので、上からの大きな荷重でも支持できる。このため、図1に示したような大開口部分12を形成することが可能である。
また、門型パネル21を構成する袖パネル31が梁パネル41の左右両端部を支えるように組み込まれており、袖パネル31,31もまた高い剛性を持っているので、梁パネル41を良好に支持できる。この支持において、袖パネル31,31は梁パネル41と面で結合されているので剛結合を実現でき、通し柱13と梁材14との大開口部分12側を剛結合で支持する構造となる。
つまり、通し柱13と梁材14で組まれた軸組をパネルや筋かいを添えて強度を補うのとは異なり、門型パネル21も通し柱13や梁材14と同等の重要さをもって一体となって躯体11を構成する。
しかも、門型パネル21を構成する袖パネル31と梁パネル41も通し柱13や梁材14などとともに工場で加工でき、現場において同等の部材として組み立てるので、現場においてパネルを嵌め込んだり張り付けたりする場合のような、寸法の狂いによる施工精度の劣化を抑え、所望の、適切な組み付け状態をもった躯体を形成することができる。
また、現場での施工は、通し柱13や梁材14などと袖パネル13と梁パネル14を適宜結合して組み立てるだけであるので、熟練工でなくとも簡易迅速に行える。
さらに、上述のように副材34,44が通し柱13や梁材14に重合状態で一体に結合する構成の場合、建築物のリフォームをするのにも効果的である。すなわち、壁を打ち抜いて筋かいなどの不要な部材を除去して、柱材と横架材と土台のみにしてから、これらに囲まれる空間に適した形状・寸法に形成された門型パネル21を嵌め込むように結合すれば、既存の建築物を耐震性良好な建築物に生まれ変わらすことができる。
なお、袖パネル31と梁パネル41、およびこれらからなる門型パネル21と通し柱13や梁材14との結合は、図5に示したような結合金具51を用いて行うと簡易迅速に施工が行え、そのうえ高強度に結合できる。
結合金具51は、コア部材52とボルト53、必要なナット54で構成される。コア部材52は、丸棒状に形成され、ボルト53を螺合する部分に雌ねじ孔を、ボルトを挿通する部分には貫通孔が形成されている。
図5(a)の例では、コア部材52の横断面における中心位置に、長さ方向に貫通する第1雌ねじ孔52aを有するとともに、これと直交する方向に延びる第2雌ねじ孔52bを有する。コア部材52の長さや、雌ねじ孔、貫通孔(図示せず)の位置、長さ、個数は、コア部材の使用箇所に応じて適宜設定される。
図5(b)の例では、コア部材52の長さ方向の両側部分に、コア部材52の長さ方向と直交する方向に延びる1個ずつの貫通孔52cを有する。貫通孔52cの口縁はテーパ状に形成されている。この場合も、コア部材52の長さや、雌ねじ孔(図示せず)、貫通孔の位置、長さ、個数は、コア部材52の使用箇所に応じて適宜設定される。
図6に、これらの結合金具51を用いて躯体を構成した例を示す。使用に当たっては、門型パネル21の主材32,42と第2主材33,43の所定箇所にあらかじめコア部材52を収容保持する保持部61を形成しておく。また、主材32,42と第2主材33,43、それにその他の部材の必要な箇所には、ボルト53を挿通するボルト挿通孔62と、ボルト53の頭部やナット54を埋没させる座彫り部63を形成しておく。上記保持部61は、主材32,42と第2主材33,43の横断面における中心部に形成するのが好ましい。
ボルト53によって主材32,42や第2主材33,43の保持部61に固定されたコア部材52を、ボルトで引き付けるなどして強固な固定が行われる。このため、相互の部材が強固に結合した、良好な固定状態が得られる。
以下、その他の例について説明する。この説明において、先の構成と同一または同等の部位については、同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
躯体構成パネルは、門型パネル21に限らず、たとえば上記の袖パネル31と同一構造の躯体構成パネルとして、また上記の梁パネルと同一構造の躯体構成パネルとしてそれぞれ単独で使用することもできる。図7(a)は、通し柱13と梁材14と土台16とで囲まれた部分の通し柱13に接する部分に、縦長に形成された躯体構成パネル71を結合した例を示している。図7(b)は、通し柱13と梁材14と土台16とで囲まれた部分の梁材14に接する部分に、横長に形成された躯体構成パネル81を結合した例を示している。また、図示はしないが、これらのような躯体構成パネル71,81は、躯体11全体の中で、適宜使用されうる。たとえば縦長に形成された躯体構成パネル71は、管柱などの代わりとして使用したりすることができ、また横長に形成された躯体構成パネル81は、差し鴨居などの代わりとして使用したりすることができる。
図8は、縦長に形成された躯体構成パネル71、先の例でいえば袖パネル31の他の例を示している。この躯体構成パネル71(袖パネル31)は、主材32が柱材としての通し柱13に対して傾きをもって上下方向に延びるように配されて縦長形状に形成されている。
主材32は、上方側が通し柱13から離れる方向に傾けられ、この主材32に一端が結合される第2主材33,33は水平に延びる。そして、主材32と共同して第2主材33,33を囲む副材34は、2本の副材担体からなる。すなわち、1本の第1副材担体34aは、垂直方向に延び使用時に通し柱13に重合状態で結合する部分であり、他の第2副材担体34bは、水平方向に延びて使用時に梁材14の下面に重合状態で結合する部分である。また、主材32と第2主材33と副材34との間にできる三角形、台形の3個の開口空間には、開口空間に対応した形状の面材35…が嵌め込まれている。
図8(a)は、梁パネル41を一体化して門型パネル21とする例である。図8(b)は、縦長形状の躯体構成パネル71(袖パネル31)のみを固定した例である。
いずれの場合でも、躯体構成パネル71(袖パネル31)の斜めに延びる主材32が、方づえのように直角のすみ部を固めて、躯体11の変形を積極的に防ぐように働く。
図9は、特に新設に適した門型パネル21の部分正面図である。この門型パネル21を構成する梁パネル41は、副材44における主材42と平行な第1副材担体44aが梁材14となる角材で構成されている。その他の構成は、上述の説明と同一である。
このように構成された門型パネル21は、図9に示したように、土台16と通し柱13で形成されるすみ部に対して、門型パネル21の下端面が土台16に、側面が通し柱13に重合した状態で一体に結合される。梁材14(第1副材担体44a)も一体であるので、躯体11全体の施工がより簡単に行える。
図10は、縦長に形成された躯体構成パネル71の他の例を示す斜視図で、この躯体構成パネル71は管柱などとして使用できる。この躯体構成パネル71は、副材34の一部である主材32と平行な第1副材担体34aを、主材32と同断面の角材からなる管柱で構成されている。その他の構成は上述の袖パネル31と同一である。
このように構成された躯体構成パネル71は、管柱のように、土台と横架材の間、また横架材同士間などに固定して使用される。施工が簡単である上に高い強度を得られる。
図11は、2本の柱材(図示例では、通し柱13と管柱17)間に結合される縦長に形成された躯体構成パネル71の例を示す正面図である。
この躯体構成パネル71は、断面積が柱材(通し柱13、管柱17)または横架材(梁材14または胴差し)以上に大断面で両端部が間接に柱材に結合される水平な2本の主材32,32と、これらを長方形に囲む副材34と、主材32,32と副材34とで囲まれる3個の開口空間に嵌め込まれる面材35…と、面材35の両面における主材32,32間、及び主材32と副材34との間に固定される間柱37とを有する。
上記の2本の主材32,32は、前述の袖パネル31(図2参照)の場合と同様に、パネル高さを略三等分する位置の2箇所、より具体的には三等分する位置よりも上下両側に寄った位置に保持される。
上記の副材34は、主材32の端部を結合し主材32と直交する方向に延びる2本の長い第1副材担体34a,34aと、主材32と平行に配される上下両端の2本の第2副材担体34b,34bとからなる。
上記の面材35と間柱37は、前述の構成と同一である。
このように構成された躯体構成パネル71は、柱材同士を連結した状態の2本の主材32,32と、これを保持するその他の部材とによって、連結された2本の柱材(通し柱13、管柱17)と、横架材(梁材14または胴差し)と土台16で囲まれる部分全体を剛結合するので、横力による歪を抑制できる強固な躯体を構成できる。しかも、躯体の構成は嵌め込みで行えるので施工も容易であるとともに、リフォームにも好適に使用できる。
図12は、鉄骨建築物や木造建築物の躯体の形成に使用される躯体構成パネル91である。この躯体構成パネル91は、上述のような袖パネル31としても梁パネル41としても使用できる。
図12(a)の躯体構成パネル91は、H型鋼からなる主材92と、同じ断面形状を有する2本の第2主材93,93と、主材92と同寸で主材92と平行な第1副材担体94aと、主材92と第1副材担体94aの両端を連結する2個の第2副材担体94b,94bとからなる。第1副材担体94aと第2副材担体94b,94bが副材94を構成する。第2副材担体94bはプレートで構成され、結合用に複数の貫通孔94cが形成されている。主材92は先の例の主材32,42と、第2主材93,93は先の例の第2主材33,43と、第1副材担体94aは先の例の第1副材担体34a,44aと、第2副材担体94b,94bは先の例の第2副材担体34b,44bと同等の構成要素である。
図12(b)の躯体構成パネル91は、図12(a)の第1副材担体94aが、第2副材担体94bと同様のプレートで構成されている。
このような躯体構成パネル91を用いれば、鉄骨で構成される躯体においても高強度の構造が簡単な施工で得られる。
この発明の構成と上述の一形態の構成との対応において、
この発明の躯体構成パネルは、門型パネル21、袖パネル31、梁パネル41、躯体構成パネル71,81,91に対応し、
柱材は、通し柱13、管柱17に対応し
合コア部材は、コア部材52に対応するも、
この発明は上述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することができる。
たとえば、梁材部分に使用する躯体構成パネルにおいても主材を梁材に対して斜めに傾けて、方づえのようにするもよい。
また、躯体構成パネルで垂れ壁や腰壁などの様々な部位を構成することもできる。
躯体の正面図。 門型パネルの正面図。 門型パネルの一部破断斜視図。 他の例に係る門型パネルの正面図。 結合金物の斜視図。 結合金物を用いて固定した状態の躯体の部分正面図。 他の例に係る躯体構成パネルの正面図。 他の例に係る躯体構成パネルの正面図。 他の例に係る躯体構成パネルの正面図。 他の例に係る躯体構成パネルの斜視図。 他の例に係る躯体構成パネルの正面図。 他の例に係る躯体構成パネルの斜視図。
11…躯体
13…通し柱
14…梁材
17…管柱
21…門型パネル
31…袖パネル
32…主材
33…第2主材
34…副材
35…面材
41…梁パネル
42…主材
43…第2主材
44…副材
45…面材
52…コア部材
61…保持部
71,81,91…躯体構成パネル
92…主材
93…第2主材
94…副材

Claims (8)

  1. 柱材と水平で囲まれる空間に嵌め込んで一体に結合して躯体を構成するための躯体構成パネルであって、
    断面積が前記柱材または水平材以上に大断面で、端部が直接または間接に前記柱材または水平材に結合される主材と、
    断面積が前記柱材または水平材以上に大断面で、前記主材と交差する方向に延びて一端が前記主材に結合される第2主材と、
    該第2主材の他端を結合するとともに、前記主材と共同で第2主材を囲み、前記柱材または水平材に重合状態で結合される副材を有し、パネル状に形成されて、
    前記柱材間および/または水平材間に固定される
    躯体構成パネル。
  2. 前記主材、第2主材及び副材で囲まれる空間に、これらの厚さ方向の中間位置に外周縁を食い込ませた状態で面材が嵌め込まれた
    請求項に記載の躯体構成パネル。
  3. 前記副材のうち前記主材と対向する部分がその主材と同断面の部材からなる
    請求項1または請求項2に記載の躯体構成パネル。
  4. 前記主材が柱材と平行または柱材に傾きをもって上下方向に延びるように配されて縦長形状に形成された
    請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の躯体構成パネル。
  5. 前記主材が水平材と平行に延びるように配されて横長形状に形成された
    請求項から請求項のうちいずれか一項に記載の躯体構成パネル。
  6. 前記主材が柱材と平行または傾きをもって上下方向に延びるように配されて縦長形状に形成された請求項1から請求項のうちいずれか一項に記載の2枚の躯体構成パネルと、
    前記主材が水平材と平行に延びるように配されて横長形状に形成された請求項1から請求項のうちいずれか一項に記載の1枚の躯体構成パネルを有し、
    これらが門型をなすように相対向する部分同士を重合状態で結合して門型パネルとした
    躯体構成パネル。
  7. 前記主材および/または第2主材に、他部材との結合に際して埋め込まれてボルトと結合する結合コア部材を保持するための保持部が形成された
    請求項から請求項のうちのいずれか一項に記載の躯体構成パネル。
  8. 前記請求項1から請求項のうちのいずれか一項に記載の躯体構成パネルを用いて構成された
    躯体。
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