以下では、図中の矢印に基づいて、東西方向、南北方向及び上下方向を定義して説明を行う。
まず、図1から図3を用いて、本発明の一実施形態に係る住宅1の概要について説明する。なお以下では、住宅1においては、南側が正面であるものとする。
図1及び図2に示す住宅1は、軽量鉄骨造の二階建ての戸建住宅である。住宅1を外側から見た場合、当該住宅1は、基礎2や、当該基礎2の上方に設けられた建物本体3(構造躯体)、当該建物本体3の上方に設けられた屋根4、前記建物本体3から外側に張り出されたバルコニー5等を有する。また、建物本体3には、当該建物本体3の四方の外郭を成す外壁部70が含まれる。
外壁部70は、住宅1の屋内外空間を区画するものである。外壁部70は、外装面材と内装面材との間に、断熱ボードや、柱81、パネルフレーム、断熱材等を設けることにより形成される。また、外壁部70には、複数の窓78が設けられる。また、外壁部70には、外側に突出する袖壁75が設けられる。外壁部70は、複数の梁82を支持する複数の柱81を介して、基礎2から立設される。
図3(a)に示すように、基礎2には、外壁部70と対応するように平面視で概ね略矩形枠状に形成される基礎本体50と、平面視で基礎本体50から突出する突出基礎60と、が含まれる。
また、図3(a)に示すように、複数の柱81には、基礎2の突出基礎60に接続される外側柱111と、当該外側柱111の内側で基礎本体50に接続される内側柱112と、が含まれる。
また、図3(b)に示すように、複数の梁82には、外側柱111及び内側柱112により支持される2本の大梁113が含まれる。なお、前記突出基礎60、外側柱111、内側柱112及び大梁113の構成についての詳細な説明は後述する。
なお以下では、前記四方の外郭を成す外壁部70のうち、東側の外郭を成すものを「東側外壁部71」、西側の外郭を成すものを「西側外壁部72」、南側の外郭を成すものを「南側外壁部73」、北側の外郭を成すものを「北側外壁部74」とそれぞれ称する場合がある。
図2に示すように、東側外壁部71は、壁厚方向を東西方向へ向けて設けられる。西側外壁部72は、東側外壁部71と同様に壁厚方向を東西方向へ向けると共に、当該東側外壁部71から西方に離間して設けられる。南側外壁部73は、壁厚方向を南北方向へ向けると共に、東側外壁部71及び西側外壁部72の南側端を互いに接続するように設けられる。北側外壁部74は、南側外壁部73と同様に壁厚方向を南北方向へ向けると共に、東側外壁部71及び西側外壁部72の北側端を互いに接続するように設けられる。
こうして、住宅1は、四方に壁面を向けた建物として形成される。住宅1の屋内空間は、天井部6(図6参照)により、一階と二階とが区画される。住宅1の一階及び二階には、種々の部屋や設備が設けられる。
次に、図2を用いて、住宅1の一階の構成について説明する。
図2に示すように、住宅1の一階には、玄関ポーチ10、玄関11、廊下12、和室13、階段14、トイレ15、洗面室16、浴室17、リビング18、ダイニング19及びキッチン20等が形成される。
玄関ポーチ10は、一階の南西部分に形成される。玄関ポーチ10の北側には、玄関11が形成される。玄関11には、玄関扉31が設けられる。玄関11の北側には、廊下扉32を介して北側に延びる廊下12が形成される。廊下12の北側の突き当りには、和室13が形成される。また、廊下12の北側の部分は、テレビ37等が設けられるリビング18と繋がっている。リビング18は、一階の略中央の南側の部分に形成される。リビング18の北側には、2階へと繋がる階段14が形成される。階段14の下方は、和室13の階段下収納33が形成される。また、リビング18の北側であって、階段14の東側には、トイレ15及び洗面室16が形成される。洗面室16の東側には、浴室17が形成される。
また、リビング18の東側には、ダイニング19が形成される。ダイニング19は、一階の南東部分に形成される。こうして、リビング18及びダイニング19は、南側外壁部73と面するように形成される。ダイニング19の北側には、キッチン20が形成される。このように、ダイニング19及びキッチン20は、東側外壁部71と面するように形成される。こうして、リビング18、ダイニング19及びキッチン20には、南側外壁部73及び東側外壁部71に形成された複数の窓78を介して、太陽光を取り入れ易くしている。
なお、一階の屋内空間内には、柱81が設けられていない。すなわち、一階の屋内空間は、無柱空間として形成される。こうして、リビング18、ダイニング19及びキッチン20は、互いに柱81を介することなく繋がることにより、開放感に溢れた一つの大空間として形成される。
ここで、図24及び図25は、(本実施形態に係る住宅1とは異なる)一般的な住宅(以下では「一般住宅901」と称する)の一階の構成の一例を、本実施形態に係る住宅1の構成と対応するように(同様に設けられた部屋や設備に同一の符号を付して)図示したものである。
図24及び図25に示すように、一般住宅901の一階の内部空間内には、柱981が設けられる。柱981は、リビング18の北側の部分であって、キッチン20の西側(すなわち、一般住宅901の平面視で略中央)に設けられる。柱981は、基礎2の基礎本体50の内側を横断するように設けられた控え基礎950から立設される。柱981は、基礎2の基礎本体50に接続された別の柱81と共に、梁982a及び梁982bを支持する。梁982a及び梁982bは、一階の天井部6を東西方向に横断するように設けられる。このように、一般住宅901においては、二階や天井の荷重を受ける梁982a及び梁982bを支持するため、柱981が一階の内部空間内に設けられる。
これに対して、本実施形態に係る住宅1においては、一階の内部空間内が、上述の如き一般住宅901とは異なり、柱981等の柱を有さない無柱空間として形成される。このような無柱空間は、前記大梁113と、外側柱111及び内側柱112と、突出基礎60とを含む構成(以下では「架設構成100」と称する)により実現される。
なお、本実施形態において、図2に示すように、住宅1には、東西方向に並ぶように2つの架設構成100が設けられる。ここで、東側の架設構成100及び西側の架設構成100は、配置場所が互いに異なる以外、他の構成が略同一である。したがって、以下では、主として東側の架設構成100について説明し、西側の架設構成100についての説明は適宜省略するものとする。そのため、以下の説明では、特に断りが無ければ、「架設構成100」とは、東側の架設構成100を指すものとする。
以下では、図2から図8を用いて、第一実施形態に係る架設構成100について詳細に説明する。
架設構成100は、上述の如く、住宅1の一階の内部空間内を無柱空間として形成するための構成である。図4に示すように、架設構成100には、基礎2に含まれる突出基礎60と、複数の柱81に含まれる外側柱111及び内側柱112と、複数の梁82に含まれる大梁113と、が含まれる。
なお、架設構成100は、南側の構成及び北側の構成が南北方向に互いに対称となる以外、他の構成が略同一である。したがって、以下では、主として架設構成100のうち南側の構成について説明し、北側の構成についての説明は適宜省略するものとする。
図3から図5に示す突出基礎60は、基礎2のうち基礎本体50から外側に突出する半島状の部分である。具体的には、突出基礎60は、基礎本体50のうち、南側において東西方向に延びるように設けられた部分から、南側(外側)に突出する。なお、図5では、基礎2のうち突出基礎60に相当する部分を明確とするため、当該部分に斜線を引いている。図5(a)に示すように、突出基礎60は、ベース部61と、立上り部62と、を有する。
ベース部61は、基礎2(基礎本体50)のベース部51の南側(外側)に設けられる。ベース部61は、ベース部51と接続される。ベース部61は、東西方向に延びるように(具体的には、後述する立上り部62よりも平面視で長くなるように)設けられる。ベース部61の上面は、ベース部51の上面と連続するように設けられる。
立上り部62は、基礎2(基礎本体50)の立上り部52の南側(外側)に設けられる。立上り部62は、ベース部61及びベース部51から上方へ立ち上がるように設けられる。立上り部62は、ベース部61及びベース部51と接続される。立上り部62の南側(外側)端は、平面視でベース部61の南側(外側)端と、平面視で同一位置に位置する。
なお、突出基礎60の構成は、上述の如き構成に限定されない。例えば、図5(b)に示すように、もし基礎2のベース部51の幅(屋内外方向の長さ)が長いのであれば(具体的には、平面視で、突出基礎60の立上り部62の外側端がベース部51の外側端よりも内側に位置するのであれば)、ベース部61を設けなくともよい。
図2から図7に示す外側柱111及び内側柱112は、後述する大梁113を支持する柱である。外側柱111及び内側柱112は、角形鋼管により長手状に構成される。外側柱111及び内側柱112は、鉛直方向に直線状に延びるように形成される。こうして、外側柱111及び内側柱112は、それぞれ上端から下端に至るまで、互いに平行となるように形成される。外側柱111及び内側柱112は、屋内外方向に互いに離間して設けられる。外側柱111及び内側柱112の間隔は、例えば20cmから100cmまでの間で設定される。
図5(a)に示すように、外側柱111の下端は、基礎2のうち突出基礎60(立上り部62)に所定の金具を介して接続される。こうして、外側柱111は、突出基礎60の上方を、鉛直方向に延びるように設けられる。図2及び図6に示すように、外側柱111の内側(北側)端は、南側外壁部73のラインよりも外側(南側)に位置する。なお、前記「南側外壁部73」とは、より詳細には、南側外壁部73のうち、東西方向において外側柱111のすぐ東方及び西方に位置する部分、すなわち外側柱111の近傍の部分を指すものである。また、前記「ライン」とは、平面視(又は側面視)で、外壁部70を構成する外装面材の外側の縁を指すものである(図2及び6に示す符号L参照)。
こうして、外側柱111の内側端が南側外壁部73のラインよりも外側に位置するため、当該外側柱111を、従来からの構成である南側外壁部73とは別の構造物として設けることができる。すなわち、従来からの構成である南側外壁部73を、外側柱111のために新たに設計し直す等の手間が省けるため、施工性を向上させることができる。
図5(a)に示すように、内側柱112の下端は、基礎2のうち基礎本体50(立上り部52)に所定の金具を介して接続される。こうして、内側柱112は、外壁部70を構成する他の柱81と同様に、基礎本体50の上方を鉛直方向に延びるように設けられる。内側柱112の外側(南側)端は、南側外壁部73のラインよりも内側(北側)に位置する。
こうして、内側柱112の外側端が南側外壁部73のラインよりも内側に位置するため、当該内側柱112を、従来からの構成である南側外壁部73に含まれる柱81と同等の構成とすることができ、ひいては当該柱81を、架設構成100を構成する柱として利用することができる。こうして、施工性を向上させることができる。
図3、図4及び図6に示す大梁113は、長手状部材である1本のH型鋼である。大梁113は、長手方向を南北方向へ向けて設けられる。大梁113は、南側外壁部73と北側外壁部74との間を横断するように設けられる。より詳細には、大梁113は、平面視において、リビング18に面する南側外壁部73に形成された窓78のすぐ横から、和室13と階段14との間の部分へと延びるように設けられる(図2及び図3参照)。大梁113の長手方向の長さは、南側外壁部73と北側外壁部74との間(本実施形態においては、例えば7m)の長さよりも長く形成される。
大梁113は、外側柱111及び内側柱112の上方に設けられる。具体的には、大梁113の外側端部(外側端を含み、例えば外側端から1m程度の内側までの部分)は、外側柱111及び内側柱112の上方に設けられる。大梁113の外側端は、屋内外方向において、外側柱111の外側端と同一位置に位置する。すなわち、大梁113の外側端は、南側外壁部73のラインよりも外側(南側)に位置する。図7(a)に示すように、大梁113は、下方に設けられた所定の金具を介して、外側柱111及び内側柱112と接続される。
なお、大梁113と外側柱111及び内側柱112との接続の構成は、上述の如き構成に限定されない。例えば、図7(b)に示すように、大梁113は、当該大梁113の外側端の外側に設けられた所定の金具113aを介して、外側柱111と接続されてもよい。このような場合、当該金具113aの幅(屋内外方向の長さ)の分だけ、大梁113の長さは短くなる。
なお、大梁113の構成は、上述の如き構成に限定されない。例えば予め1本であったH型鋼ではなく、複数(例えば2本)のH型鋼を接続して1本にしたH型鋼を、大梁113として使用してもよい。この場合、2本のH型鋼を接続する方法としては、高力ボルトを使用した摩擦接合を採用することができる。具体的には、図8(a)及び(b)に示すように、摩擦面処理が施された2本のH型鋼を、互いに突き合わすように配置する。そして、摩擦面処理を施した複数の板状部材92と高力ボルト93を用いて、突き合わされた2本のH型鋼を剛接合することができる。
こうして、例えば建築現場へ資材を運搬するトラックが、積載可能長さ等の問題により必要な長さの大梁113を積載することができない場合であっても、建築現場で2本のH型鋼を接続することにより、必要な長さの1本の大梁113を手配することができる。なお、2本のH型鋼を接続する方法としては、上述の如き摩擦接合に限定されず、例えば溶接等を採用することもできる。
また、上述の如く架設構成100のうち南側の構成について説明したが、北側の構成も略同様である。
こうして、架設構成100において、大梁113は、長手方向の両端部(南側端部及び北側端部)が、互いに離間した2本の柱(外側柱111及び内側柱112)でそれぞれ支持されることにより、連続梁として構成される。すなわち、大梁113は、例えば単純梁として構成された場合と比較して、支点が多いため、長手方向の中央部の応力を小さくすることができる。これにより、架設構成100を有する住宅1は、大梁113を長手方向の中央部で支持するための柱(例えば、図24及び図25に示す柱981)を設ける必要がなく、一階の内部空間内を開放感が溢れる無柱空間として形成することができる。
ここで、本実施形態に係る架設構成100を採用しない場合であって、一階の内部空間内を無柱空間として形成する場合には、大梁113の長手方向の中央部への応力に対抗するため当該大梁113の梁せいを大きくする方法(例えば、2本のH型鋼を上下2段重ねて接合する方法)が想定される。
しかしながら、このように2本のH型鋼を上下2段重ねにして大梁113とする方法を採用した場合には、梁せいが大きくなるため、天井高が低くなったり、大梁113の一部が天井の下面から下方(居住空間)に露出したりするおそれがある。また、上下2段のH型鋼を使用するため、鋼材量が増加して、コストが高くなるおそれがある。また、上下2段のH型鋼を一体とするために、溶接量が多くなり、溶接ひずみが生じて大梁113が反るおそれ(すなわち、品質が低下するおそれ)がある。また、将来的にリフォームを行う場合に、梁せいが大きいため、設計自由度(大空間の将来可変性)が低下するおそれがある。また、上下2段のH型鋼は、途中で分割することもできないため、狭小地に建つ建物には採用できないおそれがある。
これに対して、本実施形態に係る架設構成100においては、大梁113として、一般的な鉄骨梁の部材である1本のH型鋼が用いられている。したがって、(一般的な基準と比較して)梁せいが大きくならないため、天井高が低くなったり、大梁113の一部が天井の下面から下方(居住空間)に露出したりするおそれがない。また同様に、鋼材量が増加することもないため、コストが高くなるおそれがない。また同様に、溶接量が多くなることがないため、溶接ひずみが生じ難く、大梁113が反るおそれも少ない。また、将来的にリフォームを行う場合に、設計自由度(大空間の将来可変性)が低下するおそれもない。また、大梁113は、途中で分割することもできるため、狭小地に建つ建物であっても採用することができる。
なお、外側柱111は、上述の如く、南側外壁部73のラインよりも外側(南側)に位置する。本実施形態に係る住宅1においては、図1から図3、図6に示すように、外側柱111を活用して袖壁75が設けられる。袖壁75は、外壁部70から外側に突出するように形成される。具体的には、北側外壁部74においては、2本の袖壁75が、当該北側外壁部74のラインの外側で、地面と屋根4との間を上下方向に亘って延びるように設けられる。また、南側外壁部73においては、2本の袖壁75が、当該南側外壁部73のラインの外側で、地面とバルコニー5との間を上下方向に亘って延びるように設けられる。
このような構成により、一般的に特徴的な構造物が設けられない外壁部70に袖壁75を形成することにより、住宅1の意匠性を向上させることができる。
以上のように、本発明の一実施形態に係る住宅1においては、
住宅1(建物)の屋内外を区画する一対の外壁部(南側外壁部73及び北側外壁部74)の間に架設される大梁113と、
前記大梁113の長手方向の両端部に設けられる一対の柱部(南側の外側柱111及び内側柱112、北側の外側柱111及び内側柱112)と、
を具備し、
前記一対の柱部のうち少なくとも一方は、
前記梁の長手方向に互いに離間して設けられ、前記大梁113をそれぞれ支持する2本の柱(外側柱111及び内側柱112)を有するものである。
このような構成により、上階や天井の荷重を大梁113で受けながらも、屋内空間内に柱を設ける必要を無くすことができる。こうして、住宅1においては、1階の屋内空間を無柱空間として形成することができ、ひいては開放感に溢れた一つの大空間として形成することができる。
また、住宅1において、
前記2本の柱(外側柱111及び内側柱112)は、
それぞれ前記住宅1の基礎2(基礎又は土台)に接合されるものである。
このような構成により、大梁113の端部を安定して支持することができる。
また、住宅1において、
前記外側柱111(2本の柱のうち少なくとも一方)は、
前記外壁部70の外側面のラインLよりも外側に設けられるものである。
このような構成により、従来からの構成である外壁部70を、外側柱111のために新たに設計し直す等の手間が省けるため、施工性を向上させることができる。
また、住宅1においては、
前記外壁部70から外側に突出する袖壁75が設けられ、
前記外側柱111(2本の柱のうち少なくとも一方)は、
前記袖壁75を構成するものである。
このような構成により、住宅1の意匠性を向上させることができる。
また、住宅1において、
前記内側柱112(2本の柱のうち少なくとも他方)は、
前記外壁部70の外側面のラインLよりも内側に設けられるものである。
このような構成により、従来からの構成である外壁部70に含まれる柱81を、架設構成100を構成する柱として利用することができる。こうして、施工性を向上させることができる。
なお、本実施形態に係る南側外壁部73及び北側外壁部74は、一対の外壁部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る南側の外側柱111及び内側柱112、北側の外側柱111及び内側柱112は、一対の柱部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る住宅1は、建物の実施の一形態である。
以上、本発明に係る実施形態(第一実施形態)について説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態において、建物を軽量鉄骨造の二階建ての戸建住宅として説明したが、これに限定するものではない。建物は、木造住宅であってもよい。また、建物は、住宅ではなく、オフィスビルや病院等であってもよい。
また、本実施形態において、基礎2は、基礎本体50と突出基礎60とを有する構成としたが、これらに加えて、図25に示す控え基礎950を有する構成としてもよい。このような構成によれば、架設構成100において、外側柱111及び内側柱112により基礎2に対して生じるねじれモーメントに対抗し易くなり、当該ねじれモーメントに対する基礎2の基礎本体50の負担を軽減することができる。
また、本実施形態において、住宅1は架設構成100を2つ設ける構成としたが、1つでもよく、また3つ以上であってもよい。すなわち、架設構成100の数は、上階や天井の荷重に応じて設定することができる。
また、架設構成100においては、大梁113の長手方向の両端部に、それぞれ2本の柱(外側柱111及び内側柱112)を設ける構成としたが、両端部ではなく、少なくとも一方の端部に設ければよい。
また、架設構成100においては、外側柱111及び内側柱112のうち、外側柱111を外壁部70の外側面のラインLよりも外側に位置し、内側柱112を外壁部70の外側面のラインLよりも内側に位置する構成としたが、これに限定されない。すなわち、外側柱111及び内側柱112の両方を、外壁部70の外側面のラインLよりも外側に位置させてもよい。また、外側柱111及び内側柱112の両方を、外壁部70の外側面のラインLよりも内側に位置させてもよい。また、大梁113の長手方向の一側端部の外側柱111及び内側柱112と、他側端部の外側柱111及び内側柱112とで、外壁部70の外側面のラインLの外側又は内側のどちらに位置するのか互いに異ならせてもよい。
ここで、図9は、第一実施形態に係る架設構成100の別例に係る架設構成100aを有する一階の構成を示している。
図9に示す架設構成100aにおいては、大梁113の長手方向の両端部の外側柱111及び内側柱112のうち、南側端部の外側柱111及び内側柱112(以下では「外側柱111a」及び「内側柱112a」とそれぞれ称する)の位置を、架設構成100と異ならせている。具体的には、外側柱111aは、平面視で南側外壁部73の外側面のラインと内側面のライン(具体的には、内装面材の内側の縁)との間に位置する。また、内側柱112aは、南側外壁部73の内側面のラインよりも内側に位置する。そして、内側柱112aを活用して、南側外壁部73から内側に突出する袖壁75aが設けられる。
また、図9においては、2つの架設構成100aにより、2つの袖壁75aが南側外壁部73から内側に突出する。そして、2つの袖壁75aの間には、テレビ37が配置される。このように、外壁部70から内側に突出する袖壁75aを利用することにより、収納スペースを形成することができる。
なお、図9においては、北側外壁部74から外側に突出する袖壁75を利用して収納スペースが設けられる。具体的には、北側外壁部74から外側に突出する2つの袖壁75の外側には、開閉可能に構成されるシャッター35aが設けられる。こうして、住宅1においては、外壁部70と2つの袖壁75とシャッター35aにより区画された空間を、収納スペース35として利用することができる。
以下では、図10から図17を用いて、第二実施形態に係る架設構成200について説明する。
なお、第二実施形態に係る架設構成200において、第一実施形態に係る架設構成100と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
第二実施形態に係る架設構成200において、第一実施形態に係る架設構成100と異なる点は、大梁113の長手方向の端部に設けられる柱部(2本の柱)の構成である。なお以下では、前記柱部、外側柱及び内側柱を、それぞれ「柱部210」、「外側柱211」及び「内側柱212」と称する。
具体的には、図10及び図12(a)等に示すように、柱部210においては、2本の柱(外側柱211及び内側柱212)のうち、内側柱212の下端が基礎2に直接接続される一方で、外側柱211の下端が基礎2と直接接続されず、内側柱212に接続される。すなわち、外側柱211は、内側柱212を介して間接的に基礎2に接続される。
このような第二実施形態に係る架設構成200においても、大梁113は、長手方向の両端部(南側端部及び北側端部)が、互いに離間した2本の柱(外側柱211及び内側柱212)でそれぞれ支持されることにより、連続梁として構成される。すなわち、大梁113は、例えば単純梁として構成された場合と比較して、支点が多いため、長手方向の中央部の応力を小さくすることができる。これにより、架設構成200を有する住宅1は、大梁113を長手方向の中央部で支持するための柱を設ける必要がなく、一階の内部空間内を開放感が溢れる無柱空間として形成することができる。
なおこの場合、第二実施形態に係る架設構成200の外側柱211は、第一実施形態に係る架設構成100の外側柱111とは異なり、その一部(例えば、上部)の内側端が外壁部70のラインよりも外側に位置する(図11参照)。
以下では、具体的な架設構成200の構成として、9つの例(第1例から第9例)を説明する。
まず、図12(a)を用いて、架設構成200の第1例について説明する。第1例において、外側柱211は、柱本体221と、接続金具222と、を有する。
柱本体221は、内側柱212と同一の角形鋼管により形成される。柱本体221は、直線状に形成される。柱本体221の上端は、大梁113の外側端に接続される。柱本体221は、大梁113との接続部から内側下方に延びる傾斜状に設けられる。
接続金具222は、側面視で外側下部が湾曲した形状に形成される。接続金具222の上端は、柱本体221の下端に接続される。接続金具222の下端は、内側柱212の上下方向中途部に接続される。
こうして、第1例において、外側柱211は、柱本体221と接続金具222とにより、頬杖状の斜め柱として構成される。
次に、図12(b)を用いて、架設構成200の第2例について説明する。第2例において、外側柱211は、柱本体221と、接続部223と、を有する。
柱本体221は、内側柱212と同一の角形鋼管により形成される。柱本体221は、直線状に形成される。柱本体221の上端は、大梁113の外側端に接続される。柱本体221は、大梁113との接続部から真下方に延びるように設けられる。すなわち、柱本体221は、内側柱212と互いに平行となるように設けられる。柱本体221の下端は、上下方向位置において、内側柱212の下端部と略同一位置に位置する。
接続部223は、柱本体221及び内側柱212と同一の角形鋼管により形成される。接続部223は、直線状に形成される。接続部223の上端は、柱本体221の下端に接続される。接続部223は、柱本体221との接続部から内側下方に延びる傾斜状に設けられる。接続部223の下端は、内側柱212の下端に接続される。
次に、図12(c)を用いて、架設構成200の第3例について説明する。第3例において、柱部210は、外側柱211及び内側柱212の他、横桟224を有する。
外側柱211は、内側柱212と同一の角形鋼管により形成される。外側柱211は、直線状に形成される。外側柱211の上端は、大梁113の外側端に接続される。外側柱211は、大梁113との接続部から真下方に延びるように設けられる。すなわち、外側柱211は、内側柱212と互いに平行となるように設けられる。外側柱211の下端は、上下方向位置において、内側柱212の下端部と略同一位置に位置する。
横桟224は、板状の部材である。横桟224は、屋内外方向へ向けて延びるように形成される。横桟224の外側端は、外側柱211に接続される。横桟224の内側端は、内側柱212に接続される。こうして、横桟224は、外側柱211及び内側柱212を屋内外方向に接続する。横桟224は、複数設けられる。複数の横桟224は、上下方向に互いに離間するように、適宜の間隔をあけて設けられる。こうして、複数の横桟224は、梯子状に設けられる。
次に、図13(a)を用いて、架設構成200の第4例について説明する。
図13(a)に示すように、第4例とは、図12(b)に示す第2例の外側柱211に対して、図12(c)に示す第3例の複数の横桟224を設けた構成である。したがって、第4例について詳細な説明は省略する。
次に、図13(b)を用いて、架設構成200の第5例について説明する。第5例において、柱部210は、外側柱211及び内側柱212の他、横桟224及び棒状部材225を有する。
外側柱211は、内側柱212と同一の角形鋼管により形成される。外側柱211は、直線状に形成される。外側柱211の上端は、大梁113の外側端に接続される。外側柱211は、大梁113との接続部から真下方に延びるように設けられる。すなわち、外側柱211は、内側柱212と互いに平行となるように設けられる。外側柱211の下端は、上下方向位置において、内側柱212の下端部と略同一位置に位置する。
横桟224は、図12(c)に示す第3例の横桟224と同一である。横桟224の外側端は、外側柱211の下端に接続される。横桟224の内側端は、内側柱212の下端部(下端よりも若干上方)に接続される。
棒状部材225は、長手状の棒状部材である。棒状部材225は、ターンバックルと、当該ターンバックルに接続される一対のロッド部と、を有する。棒状部材225は、ターンバックルを調整することにより、一対のロッド部を互いに近接又は離間させることができる。こうして、棒状部材225は、ターンバックルにより全体の長手方向の長さを変更することによって、張力を調整に構成される。棒状部材225は、2本設けられる。一方の棒状部材225の上端は、外側柱211の上端に接続され、当該一方の棒状部材225の下端は、内側柱212の下端部(横桟224との接続部の上方)に接続される。また、他方の棒状部材225の上端は、内側柱212の上端に接続され、当該他方の棒状部材225の下端は、外側柱211の下端部に接続される。
次に、図13(c)を用いて、架設構成200の第6例について説明する。図13(c)に示すように、第6例とは、図13(b)に示す第5例の棒状部材225の代わりに、第一接続柱226を設けた構成である。
第一接続柱226は、外側柱211及び内側柱212と同一の角形鋼管により形成される。第一接続柱226の上端は、外側柱211の上端と接続される。なお、第一接続柱226と外側柱211とは溶接等により剛接合される。また、第一接続柱226の下端は、内側柱212の下端部(横桟224との接続部の上方)と接続される。なお、第一接続柱226と内側柱212とは溶接等により剛接合される。こうして、第一接続柱226は、当該第一接続柱226の上端から内側下方に延びる傾斜状に形成される。
次に、図14(a)を用いて、架設構成200の第7例について説明する。図14(a)に示すように、第7例とは、図13(c)に示す第6例の第一接続柱226の傾斜方向を変更した構成である。
具体的には、第一接続柱226の上端は、内側柱212の上端と接続される。なお、第一接続柱226と内側柱212とは溶接等により剛接合される。また、第一接続柱226の下端は、外側柱211の下端(横桟224との接続部の上方)と接続される。なお、第一接続柱226と外側柱211とは溶接等により剛接合される。こうして、第一接続柱226は、当該第一接続柱226の上端から外側下方に延びる傾斜状に形成される。
次に、図14(b)を用いて、架設構成200の第8例について説明する。図14(b)に示すように、第8例とは、図13(c)に示す第6例の第一接続柱226の代わりに、第二接続柱227を設けた構成である。
第二接続柱227は、外側柱211及び内側柱212と同一の角形鋼管により形成される。第二接続柱227の上端は、外側柱211の上端部(上端よりも下方)と接続される。なお、第二接続柱227と外側柱211とは溶接等により剛接合される。また、第二接続柱227の下端は、内側柱212の下端部よりも上方(より詳細には、内側柱212の上下方向中途部よりも若干下方)と接続される。なお、第二接続柱227と内側柱212とは溶接等により剛接合される。こうして、第二接続柱227は、当該第二接続柱227の上端から内側下方に延びる傾斜状であって、第6例の第一接続柱226よりも傾いた状態に形成される。
次に、図14(c)を用いて、架設構成200の第9例について説明する。図14(c)に示すように、第9例とは、図14(b)に示す第8例の第二接続柱227の傾斜方向を変更した構成である。
具体的には、第二接続柱227の上端は、内側柱212の上端部(上端よりも下方)と接続される。なお、第二接続柱227と内側柱212とは溶接等により剛接合される。また、第二接続柱227の下端は、外側柱211の下端部(より詳細には、外側柱211の上下方向中途部よりも若干下方)と接続される。なお、第二接続柱227と外側柱211とは溶接等により剛接合される。こうして、第二接続柱227は、当該第二接続柱227の上端から外側下方に延びる傾斜状であって、第7例の第一接続柱226よりも傾いた状態に形成される。
このような構成により、図15(a)に示すように、第二実施形態に係る架設構成200においては、第一実施形態に係る架設構成100とは異なり、基礎2に対して突出基礎60を設けることなく、2本の柱(外側柱211及び内側柱212)を支持することができる。こうして、架設構成200のために専用の基礎を設ける必要がないため、施工性の向上を図ることができる。なお、図15(b)の示すように、外側柱211を支持しなくとも、袖壁用に突出基礎60(立上り部62)を設けてもよい。
次に、図16及び図17を用いて、架設構成200の第1例から第9例までの性能について説明する。
ここで、図16及び図17は、前記9つの例について、大梁113及び柱部210の基本的な形状や性能を同一の条件とした場合において、大梁113に分布荷重をかけた場合の、垂直反力(柱部210が負担する軸力)と、水平反力と、大梁113に発生する最大曲げモーメントと、大梁113の鉛直方向のたわみと、を解析した結果を示している。なお、図16においては、参考のため、第一実施形態に係る架設構成100の柱部(外側柱111及び内側柱112)についても解析した結果を示している。
図16に示すように、第二実施形態に係る架設構成200(第1例から第9例)は、2本の柱(外側柱211及び内側柱212)のうち内側柱212だけが基礎2に接続されるため、垂直反力として正及び負の値の両方の力がかかる第一実施形態に係る架設構成100とは異なり、基礎2に対してねじれモーメントが生じるのを防止することができる。
また、図16に示すように、第1例から第9例のうち第2例が、水平反力の値を最も小さくすることができる。また、第1例から第9例のうち第4例が、大梁113に発生する最大曲げモーメントの値を最も小さくすることができる。また、第1例から第9例のうち第4例が、大梁113の鉛直方向たわみの値を最も小さくすることができる。
以上のように、本発明の一実施形態に係る住宅1においては、
住宅1(建物)の屋内外を区画する一対の外壁部(南側外壁部73及び北側外壁部74)の間に架設される大梁113と、
前記大梁113の長手方向の両端部に設けられる一対の柱部210と、
を具備し、
前記一対の柱部210のうち少なくとも一方は、
前記大梁113の長手方向に互いに離間して設けられ、前記大梁113をそれぞれ支持する2本の柱(外側柱211及び内側柱212)を有し、
前記2本の柱のうち内側柱212(前記梁の長手方向の内側の柱)は、
上端が前記大梁113に接続されると共に、下端が前記住宅1(建物)の基礎2に接続され、
前記2本の柱のうち外側柱211(前記梁の長手方向の外側の柱)は、
上端が前記大梁113に接続されると共に、下端が前記内側柱212(内側の柱)に接続されるものである。
このような構成により、上階や天井の荷重を大梁113で受けながらも、屋内空間内に柱を設ける必要を無くすことができる。こうして、住宅1においては、1階の屋内空間を無柱空間として形成することができ、ひいては開放感に溢れた一つの大空間として形成することができる。
また、2本の柱(外側柱211及び内側柱212)のうち内側柱212だけが基礎2に接続されるため、基礎2に対してねじれモーメントが生じるのを防止することができる。
また、住宅1において、
前記外側柱211(外側の柱)は、
上側から下側へ行くに従って前記内側柱212(内側の柱)に近接し、前記内側柱212(内側の柱)に接続される第一の部分(第1例の外側柱211及び接続金具222、第2例及び第4例の接続部223)を有するものである。
このような構成により、柱部210をより強くすることができる。また、外側柱211の下端を、内側柱212に接続し易くすることができる。
また、住宅1において、
前記外側柱211(外側の柱)は、
前記大梁113との接続部分から下方へと延びた直線状に形成される第二の部分(第2例の柱本体221等)を有し、
前記第一の部分(第2例の接続部223等)は、
前記第二の部分の下方で前記第二の部分と接続されるものである。
このような構成により、柱部210をより強くすることができる。また、外側柱211の下端を、内側柱212により接続し易くすることができる。
また、住宅1において、
前記第一の部分(第2例の接続部223等)は、
直線状に形成されるものである。
このような構成により、柱部210をより強くすることができる。特に、外側柱211の下端の内側柱212に接続される部分を、上側から下側へ行くに従って内側柱212に近接し、かつ、直線状に形成される部材としたため、大梁113を効果的に支えることができる。
また、住宅1において、
前記一対の柱部のうち少なくとも一方は、
前記梁の長手方向に延びるように設けられ、前記外側の柱と前記内側の柱との間を接続する第一の補強部材(横桟224)を有するものである。
このような構成により、柱部210をより強くすることができる。特に、図16において、横桟224の有無だけが異なる第2例と第4例の比較から分かるように、横桟224を有することにより、大梁113に発生する最大曲げモーメントと、大梁113の鉛直方向のたわみと、を効果的に抑制することができる。
また、住宅1において、
前記一対の柱部のうち少なくとも一方は、
前記外側の柱の上側と前記内側の柱の下側との間を接続する第二の補強部材(第5例の棒状部材225、第6例の第一接続柱226、第8例の第二接続柱227)と、
前記内側の柱の上側と前記外側の柱の下側との間を接続する第三の補強部材(第5例の棒状部材225、第7例の第一接続柱226、第9例の第二接続柱227)と、
の少なくとも一方を有するものである。
このような構成により、柱部210をより強くすることができる。また例えば、水平反力と、大梁113に発生する最大曲げモーメントと、大梁113の鉛直方向のたわみと、を効果的に抑制することができる。
また、住宅1において、
前記2本の柱のうち少なくとも一方は、
前記外壁部の外側面のラインよりも外側に設けられるものである。
このような構成により、外側柱211の内側端が外壁部70のラインよりも外側に位置するため、例えばに袖壁75を形成することにより、住宅1の意匠性を向上させることができる。
以上、本発明に係る実施形態(第二実施形態)について説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、住宅1においては、架設構成100と架設構成200とを組み合わせた構成を採用することができる。すなわち、例えば大梁113において、長手方向の一側端部に外側柱111及び内側柱112を設けて、長手方向の他側端部に外側柱211及び内側柱212を設けてもよい。
また、架設構成200の第7例及び第8例に示した第二接続柱227は、外側柱211及び内側柱212に対する取付位置や傾斜角度を任意に設定することができる。
以下では、図18から図22を用いて、第三実施形態に係る架設構成300について説明する。
なお、第三実施形態に係る架設構成300において、第一実施形態に係る架設構成100と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
第三実施形態に係る架設構成300において、第一実施形態に係る架設構成100と異なる点は、大梁113の長手方向の端部に設けられる柱部(2本の柱)の構成である。なお以下では、前記柱部、外側柱及び内側柱を、それぞれ「柱部310」、「外側柱311」及び「内側柱312」と称する。
具体的には、図18及び図20(a)等に示すように、柱部310においては、2本の柱(外側柱311及び内側柱312)のうち、外側柱311の下端が基礎2に直接接続される一方で、内側柱312の下端が基礎2と直接接続されず、外側柱311に接続される。すなわち、内側柱312は、外側柱311を介して間接的に基礎2に接続される。
このような第三実施形態に係る架設構成300においても、大梁113は、長手方向の両端部(南側端部及び北側端部)が、互いに離間した2本の柱(外側柱311及び内側柱312)でそれぞれ支持されることにより、連続梁として構成される。すなわち、大梁113は、例えば単純梁として構成された場合と比較して、支点が多いため、長手方向の中央部の応力を小さくすることができる。これにより、架設構成300を有する住宅1は、大梁113を長手方向の中央部で支持するための柱を設ける必要がなく、一階の内部空間内を開放感が溢れる無柱空間として形成することができる。
なお、この場合、第三実施形態に係る架設構成300の外側柱311は、第一実施形態に係る架設構成100の外側柱111とは異なり、当該外側柱311の外側端が外壁部70のラインよりも内側に位置する。
以下では、具体的な架設構成300の構成として、4つの例(第1例から第4例)を説明する。
まず、図20(a)を用いて、架設構成300の第1例について説明する。第1例において、内側柱312は、柱本体321と、接続金具322と、を有する。
柱本体321は、外側柱311と同一の角形鋼管により形成される。柱本体321は、直線状に形成される。柱本体321の上端は、大梁113の外側端部(外側端よりも若干内側)に接続される。柱本体321は、大梁113との接続部から外側下方に延びる傾斜状に設けられる。
接続金具322は、側面視で内側下部が湾曲した形状に形成される。接続金具322の上端は、柱本体321の下端に接続される。接続金具322の下端は、外側柱311の上下方向中途部に接続される。
こうして、第1例において、内側柱312は、柱本体321と接続金具322とにより、頬杖状の斜め柱として構成される。
次に、図20(b)を用いて、架設構成300の第2例について説明する。第2例において、内側柱312は、柱本体321と、接続部323と、を有する。
柱本体321は、外側柱311と同一の角形鋼管により形成される。柱本体321は、直線状に形成される。柱本体321の上端は、大梁113の外側端部に接続される。柱本体321は、大梁113との接続部から真下方に延びるように設けられる。すなわち、柱本体321は、外側柱311と互いに平行となるように設けられる。柱本体321の下端は、上下方向位置において、外側柱311の下端部と略同一位置に位置する。
接続部323は、柱本体321及び外側柱311と同一の角形鋼管により形成される。接続部323は、直線状に形成される。接続部323の上端は、柱本体321の下端に接続される。接続部323は、柱本体321との接続部から外側下方に延びる傾斜状に設けられる。接続部323の下端は、外側柱311の下端に接続される。
次に、図20(c)を用いて、架設構成300の第3例について説明する。第3例において、柱部310は、外側柱311及び内側柱312の他、横桟324を有する。
内側柱312は、外側柱311と同一の角形鋼管により形成される。内側柱312は、直線状に形成される。内側柱312の上端は、大梁113の外側端部に接続される。内側柱312は、大梁113との接続部から真下方に延びるように設けられる。すなわち、内側柱312は、外側柱311と互いに平行となるように設けられる。内側柱312の下端は、上下方向位置において、外側柱311の下端部と略同一位置に位置する。
横桟324は、板状の部材である。横桟324は、屋内外方向へ向けて延びるように形成される。横桟324の外側端は、外側柱311に接続される。横桟324の内側端は、内側柱312に接続される。こうして、横桟324は、外側柱311及び内側柱312を屋内外方向に接続する。横桟324は、複数設けられる。複数の横桟324は、上下方向に互いに離間するように、適宜の間隔をあけて設けられる。こうして、複数の横桟324は、梯子状に設けられる。
次に、図21を用いて、架設構成300の第4例について説明する。
図21に示すように、第4例とは、図20(b)に示す第2例の内側柱312に対して、図20(c)に示す第3例の複数の横桟324を設けた構成である。したがって、第4例について詳細な説明は省略する。
次に、図22を用いて、架設構成300の第1例から第4例までの性能について説明する。
ここで、図22は、前記4つの例について、大梁113及び柱部310(さらには、上述の如く柱部210)の基本的な形状や性能を同一の条件とした場合において、大梁113に分布荷重をかけた場合の、垂直反力(柱部310が負担する軸力)と、水平反力と、大梁113に発生する最大曲げモーメントと、大梁113の鉛直方向のたわみと、を解析した結果を示している。
図22に示すように、第1例から第4例のうち第2例が、水平反力の値を最も小さくすることができる。また、第1例から第4例のうち第4例が、大梁113に発生する最大曲げモーメントの値を最も小さくすることができる。また、第1例から第4例のうち第4例が、大梁113の鉛直方向たわみの値を最も小さくすることができる。
また、第三実施形態に係る架設構成300(第1例から第4例)は、2本の柱(外側柱311及び内側柱312)のうち外側柱311だけが基礎2に接続されるため、垂直反力として正及び負の値の両方の力がかかる第一実施形態に係る架設構成100とは異なり、基礎2に対してねじれモーメントが生じるのを防止することができる(図16参照)。
以上のように、本発明の一実施形態に係る住宅1においては、
住宅1(建物)の屋内外を区画する一対の外壁部(南側外壁部73及び北側外壁部74)の間に架設される大梁113と、
前記大梁113の長手方向の両端部に設けられる一対の柱部310と、
を具備し、
前記一対の柱部310のうち少なくとも一方は、
前記大梁113の長手方向に互いに離間して設けられ、前記大梁113をそれぞれ支持する2本の柱(外側柱311及び内側柱312)を有し、
前記2本の柱のうち外側柱311(前記梁の長手方向の外側の柱)は、
上端が前記大梁113に接続されると共に、下端が住宅1(建物)の基礎2に接続され、
前記2本の柱のうち内側柱312(前記梁の長手方向の内側の柱)は、
上端が前記大梁113に接続されると共に、下端が前記外側柱311に接続されるものである。
このような構成により、上階や天井の荷重を大梁113で受けながらも、屋内空間内に柱を設ける必要を無くすことができる。こうして、住宅1においては、1階の屋内空間を無柱空間として形成することができ、ひいては開放感に溢れた一つの大空間として形成することができる。
また、2本の柱(外側柱311及び内側柱312)のうち外側柱311だけが基礎2に接続されるため、基礎2に対してねじれモーメントが生じるのを防止することができる。
また、住宅1において、
前記内側柱312は、
前記大梁113との接続部分から下方へと延びた直線状に形成される第二の部分(第1例、第2例及び第4例の柱本体321)と、
前記第二の部分と接続され、上側から下側へ行くに従って前記外側柱311に近接し、前記外側柱311に接続される第一の部分(第1例の接続金具322、第2例及び第4例の接続部323)と、
を具備するものである。
このような構成により、柱部310をより強くすることができる。また、内側柱312の下端を、外側柱311に接続し易くすることができる。
また、住宅1において、
前記第一の部分(第2例及び第4例の接続部323)は、
直線状に形成されるものである。
このような構成により、柱部310をより強くすることができる。特に、内側柱312の下端の外側柱311に接続される部分を、上側から下側へ行くに従って外側柱311に近接し、かつ、直線状に形成される部材としたため、大梁113を効果的に支えることができる。
また、住宅1において、
前記一対の柱部のうち少なくとも一方は、
前記大梁113の長手方向に延びるように設けられ、前記外側柱311と前記内側柱312との間を接続する横桟324(補強部材)を有するものである。
このような構成により、柱部310をより強くすることができる。特に、図22において、横桟324の有無だけが異なる第2例と第4例の比較から分かるように、横桟324を有することにより、大梁113に発生する最大曲げモーメントと、大梁113の鉛直方向のたわみと、を効果的に抑制することができる。
また、住宅1において、
前記2本の柱(外側柱311及び内側柱312)は、
前記外壁部70の外側面のラインよりも内側に設けられるものである。
このような構成により、住宅1においては、1階の屋内空間を無柱空間として形成しつつ、例えば外側柱311が外壁部70の外側面のラインよりも外側にはみ出ることを抑制することができる。こうして、架設構成300を採用した住宅1においても、従来の外壁部70をそのまま使用することができるため、施工性の向上を図れると共に、コストが高くなるのを抑制することができる。
以上、本発明に係る実施形態(第三実施形態)について説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、架設構成300の構成として、4つの例(第1例から第4例)を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図23に示すような構成(第5例及び第6例)であってもよい。
具体的には、図23(a)に示す第5例において、架設構成300は、外側柱311と内側柱312との間に、上側から下側に亘ってジグザグ状に形成された接続部325が設けられる。接続部325は、外側下方に延びる傾斜状に形成された接続部325aと、内側下方に延びる傾斜状に形成された接続部325bと、が交互に連続するように設けられる。
また、図23(b)に示す第6例において、架設構成300は、外側柱311と内側柱312との間に、側面視で2方向に延びる傾斜状の部材によって網目状に形成された接続部326が設けられる。接続部326は、外側下方に延びる傾斜状の比較的細い複数の棒状部材と、内側下方に延びる傾斜状の比較的細い複数の棒状部材とが、側面視で互いに重複するように設けられる。
また、住宅1においては、架設構成100と架設構成200と架設構成300とを組み合わせた構成を採用することができる。すなわち、例えば大梁113において、長手方向の一側端部に外側柱111及び内側柱112(架設構成100)を設けて、長手方向の他側端部に外側柱311及び内側柱312(架設構成300)を設けてもよい。また、大梁113において、長手方向の一側端部に外側柱211及び内側柱212(架設構成200)を設けて、長手方向の他側端部に外側柱311及び内側柱312(架設構成300)を設けてもよい。また、大梁113において、長手方向の一側端部に外側柱111及び内側柱112(架設構成100)を設けて、長手方向の他側端部に外側柱211及び内側柱212(架設構成200)を設けてもよい。
また、架設構成200を構成(補強)する部材の一例とした、接続金具222、接続部223、横桟224、棒状部材225、第一接続柱226及び第二接続柱227は、他の架設構成100及び架設構成300に使用してもよい。また、架設構成300を構成(補強)する部材の一例とした、接続金具322、接続部323、横桟324、接続部325及び接続部326は、他の架設構成100及び架設構成200に使用してもよい。
また、架設構成200を構成する部材の一例とした、接続金具222、接続部223、横桟224、棒状部材225、第一接続柱226及び第二接続柱227、架設構成300を構成する部材の一例とした、接続金具322、接続部323、横桟324、接続部325及び接続部326は、互いに組み合わせて使用してもよい。
また、架設構成200を構成する部材の一例とした、接続金具222、接続部223、横桟224、棒状部材225、第一接続柱226及び第二接続柱227、架設構成300を構成する部材の一例とした、接続金具322、接続部323、横桟324、接続部325及び接続部326は、上述の如き形状(棒状や板状等)に限定されず、任意の形状を採用することができる。
また、架設構成200を構成する部材の一例とした、接続金具222、接続部223、横桟224、棒状部材225、第一接続柱226及び第二接続柱227、架設構成300を構成する部材の一例とした、接続金具322、接続部323、横桟324、接続部325及び接続部326は、上述の如き接続方法(溶接等や所定の金具を用いた接続)に限定されず、任意の接続方法を採用することができる。