JP4520242B2 - 集合住宅の架構構造 - Google Patents
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Description
そこで、近年では、高層住宅では、耐力等の課題から柱梁ラーメン構造が採用されるが、低・中層住宅では、居住空間内部に突出する梁や柱等が無い有利さから、壁ラーメン構造や壁式ラーメン構造が採用されるケースが多くなっている。
この技術では、壁柱や壁梁の無い広い居住空間が形成され、間仕切りプランニングや、ホテルや事務所ビル等への変更を自在に行うことができるようにしている。また、一対の桁行方向耐力壁により架構外側の廊下或いはベランダ等の床スラブの内・外側が支持されて架構支持スパンが拡大され、そのラーメン架構と耐力壁の特性が発揮されて架構耐力が高められている。
この技術では、集合住宅の短手方向においては耐震壁としての戸境壁によって高い耐震性が確保されている。また、集合住宅の長手方向においては、各階の逆梁と該逆梁上の柱とによって集合住宅の両側面に沿ってラーメン構造の架構が構成されている。さらに、集合住宅の長手方向においては、床スラブを梁とし、戸境壁を柱としたボックスラーメン構造の架構が構成されている。これらのラーメン構造により、集合住宅の長手方向の剛性・耐力を高いものとして、耐震性を大幅に向上させている。
また、集合住宅等の構造物を設計する際、耐震性能等の構造計算は必須である。従って、構造計算を単純化することができれば、設計に係る時間を短縮化させることができ、好ましい。そこで、本発明では、構造計算を単純化することのできる集合住宅の架構構造を提案する。
図1は本発明に係る架構構造を採用した集合住宅の一例を示す図、図2は本発明の実施例に係る架構構造を示す斜視図、図3は本発明の実施例に係る架構構造を示す平面図である。
図4は鉄骨コンクリート構造材の断面を示す図、図5は梁と柱の接合部を示す図、図6は図5におけるX−X矢視断面図である。
図7はスラブ床の構造を示す側面断面図、図8はスラブ床の構造を示す拡大側面断面図、図9は上下階の様子を示す側面断面図である。
本実施例において、各住戸11には、居住部22の水平方向一側にバルコニー部21が配置され、居住部22を介してバルコニー部21の反対側に共用廊下部23が配置されている。但し、住戸11の構成は本実施例に限定されるものではない。
そして、この平面視略長方形状の住戸11の短手方向を間口方向として、間口方向に複数の住戸11・11・・・が並設されて、集合住宅10の各階が構成されている。この集合住宅10は平面視略長方形状であり、その平面視長手方向が住戸11の間口方向であって、集合住宅10において一側の平面視外周長辺にバルコニー部21が、他側の平面視外周長辺に廊下部23が配置されている。
なお、本実施例に係る集合住宅10では複数階層としているが、単数階層とすることもでき、階層の数には限定されない。
外架構30・30はそれぞれ対峙した状態に平行に配置され、集合住宅10はその平面視短手方向両側から外架構30・30で挟まれた状態に構成されており、一側の外架構30と、他側の外架構30との間に、内架構29が構成されている。
図4に示す如く、梁12及び柱13を構成する鉄骨コンクリート構造材は、ウエブ50aの両端に略直交するようにフランジ50b・50bが配置されて断面略H型状をしたH型鋼50を鉄骨とし、該H型鋼50のフランジ50b・50b間にはコンクリート24が充填されている。H型鋼50のウエブ50aには、コンクリート24の定着力を高めるために頭付きのスタッドボルト51・51・・・が固設されており、また、フランジ50b・50b間には、コンクリート24のひび割れを防止するために網状鉄筋52・52が配設されている。
従って、梁12と柱13とで成る外架構30・30は、架構そのものが耐火性を備えているため、外架構30・30を集合住宅10の外周表面に露出することができる。
よって、本実施例にかかる集合住宅10では、図1にも示す如く、外架構30・30を、集合住宅10の外周に露出させて、外周表面に浮き上がった格子を形成することにより、意匠性を高めている。
このようにして、小梁14と間柱15とブレース55とが垂直方向に組まれた耐震ブレース架構が、戸境部に沿って配置される。そして、この架構に壁パネルが貼設されて戸境壁が形成される。
また、間柱15は、集合住宅10の二階より上階層に備えられるものは鉄骨柱であってH型鋼で構成されており、集合住宅10の一階部分の間柱15は、鉄骨コンクリート柱であってH型鋼とコンクリートで構成されている。なお、集合住宅10の全階の間柱15を鉄骨コンクリート柱とすることもできる。
図3、図7及び図8に示す如く、居住部22では、主筋36及びボイドブロック35は、その長手方向が集合住宅10の長手方向と略平行な方向となるように配置される。
また、バルコニー部21及び廊下部23では、主筋36は、その長手方向が集合住宅10の短手方向と略平行な方向となるように配置される。なお、バルコニー部21と廊下部23とでは、スラブ床40の構造は略対称に表れる。
さらに、居住部22では、隣接する主筋36・36の間にボイドブロック35が、その長手方向が主筋36の長手方向と略平行な方向となるように配置され、ブロック固定筋34により固定される。これらの鉄筋及びボイドブロックの上に、網状に組まれた上端筋37が配筋され、コンクリートが打設されて、スラブ床40が形成される。
また、梁12に充填されたコンクリートには、該梁12のフランジと略平行にスラブ床40の周縁部が挿入され、該スラブ床40の周縁部が梁12の上下のフランジ間に埋設された状態で接続される。スラブ床40と梁12とは特別の接続部材等を用いることなく、接合されている。これにより、バルコニー部21及び廊下部23のスラブ床40は、その周縁部が、梁12に支持される。
また、居住部22では、スラブ床40の主筋36の配筋方向を、集合住宅10の長手方向としているため、居住部22のスラブ床40にかかる荷重は、戸境部に設けられた小梁14と間柱15とによって負担される。
そして、地震時等において地盤が横揺れしたときには、水平方向に躯体に加わる力はスラブ床40を介して剛性の高い鉄骨コンクリート構造材である柱13・13・・・及び梁12・12・・・から成る外架構30・30によって負担される。
すなわち、居住部22では日常における荷重は小梁14と間柱15によって主に負担され、非常時に掛かる大きな荷重は外架構30・30によって負担される。
また、小梁14の断面をスラブ床40内に埋入することが可能な程度に小さいものとすることができ、さらに、間柱15の断面を戸境部に設けられる戸境壁内に埋入することが可能な程度に小さいものとすることができる。
そして、小梁14・16は、スラブ床40内に埋設された状態に設けられ、間柱15は、戸境部に設けられる戸境壁(図示せず)の内部に配置される。なお、小梁14・16及び間柱15は、いずれもH型鋼を採用することによって、断面の更なる微小化が図られており、また、H型鋼は扁平な形状として戸境壁又はスラブ床内に埋入し易いようにすることもできる。
そして、間柱15は柱13・13間に複数配設することができるので、戸境壁の壁幅に対する制約を緩和させることができ、集合住宅10の居住空間のレイアウトの自由度を更に高めている。
さらに、集合住宅10の平面視短手方向一側にバルコニー部21を設け、平面視短手方向他側に廊下部23を設け、バルコニー部21と廊下部23との間に居住部22を設けて、バルコニー部21−居住部22の境界及び居住部22−廊下部23の境界のそれぞれに、集合住宅10の長手方向と略平行に小梁16・16が間柱15間に架設している。
そして、バルコニー部21−居住部22−廊下部23に連続するスラブ床40を設け、該スラブ床40内に小梁14・16を埋設するとともに、戸境部に設けられた戸境壁に間柱15を埋設している。
さらに、間柱15や小梁14の規格を統一すれば、集合住宅10の規模を設定するだけで、間柱15や小梁14の数が定まり、これに基づいて構造計算を行うことができる。
12 梁
13 柱
14 小梁
15 間柱
16 小梁
30 外架構
40 スラブ床
55 ブレース
Claims (4)
- 各階に複数の住戸が並設されて成る集合住宅において、
H型鋼を鉄骨とする鉄骨コンクリート構造材から成る柱及び梁にて構成した架構を、集合住宅の平面視長手方向両外周面に対峙した状態に立設し、
前記対峙して配置される柱間に、住戸同士の戸境に沿って複数の間柱を立設するとともに、間柱間及び間柱と柱との間に小梁を連設し、
各階の梁及び小梁にて形成される略水平面にスラブ床を形成し、
前記間柱を戸境壁内部に配置するとともに、小梁をスラブ床内に埋設することを、
特徴とする集合住宅の架構構造。 - 前記集合住宅の平面視長手方向外周部において、スラブ床の主筋を集合住宅の平面視短手方向と平行に配置し、
残りの部分の、スラブ床の主筋を集合住宅の平面視長手方向と平行に配置し、
主筋方向の異なる境界において、前記梁と略平行に間柱間に小梁を架設するとともに、該小梁をスラブ床内に埋設する、
請求項1に記載の集合住宅の架構構造。 - 前記スラブ床の、集合住宅の平面視長手方向外周端部を、梁を構成するH型鋼のフランジ間に充填されたコンクリートに埋設する、
請求項1又は請求項2に記載の集合住宅の架構構造。 - 前記間柱と小梁とによって形成される構面内に、ブレースを設ける、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の集合住宅の架構構造。
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