JP7383195B1 - 耐力壁構造 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1の耐力壁は、土台と、この土台の上に間隔を空けて立てられた一対の柱と、これら一対の柱の上端部間に横架させた梁と、で囲まれる矩形状の開口に面材が取り付けられて構成されている。また、この耐力壁における面材は、梁に釘・ビス等の固定材により固定された補強部分と、この補強部分の下側に当該補強部分と一体的に配され、開口を塞ぐように、土台、梁及び一対の柱に固定材により固定された構面部分とを有している。そして、補強部分と構面部分との間には、割れ誘発目地として溝が設けられており、例えば建物に大きな揺れが生じたときに、あえて溝に亀裂が入るようにして、面材を、構面部分と補強部分に分けることで、構面部分による耐力の保持を可能としている。
一対の柱材1と、
前記一対の柱材1の上端部間に架け渡されるとともに前記一対の柱材1のうち少なくとも一方の柱材1よりも外方に突出する上部構造部2と、
前記一対の柱材1と前記上部構造部2とを含んで構成された架構内に、前記一対の柱材1及び前記上部構造部2に接して設けられた耐力壁部10と、
前記少なくとも一方の柱材1の側面に接して設けられ、かつ、前記上部構造部2のうち前記少なくとも一方の柱材よりも前記外方に突出した部位の下面に接して前記上部構造部2を支持する支持部材3と、を備えており、
前記耐力壁部10の上端部と、前記少なくとも一方の柱材1の上端部及び前記支持部材3とが接合手段によって接合され、
前記接合手段は、接合ボルト20であり、
前記接合ボルト20は、前記少なくとも一方の柱材1の上端部を貫通した状態で前記耐力壁部10の上端部と前記支持部材3にかけて配置されて固定され、
前記支持部材3における前記柱材1側の端部には、前記接合ボルト20の一端部が露出する第一開口部3aが形成され、当該第一開口部3a内で前記接合ボルト20の一端部にナット22が締め付けられており、
前記耐力壁部10の上端部における前記柱材1側の端部には、前記接合ボルト20の他端部が露出する第二開口部10aが形成され、当該第二開口部10a内で前記接合ボルト20の他端部にナット22が締め付けられていることを特徴とする。
前記耐力壁部10の前記第二開口部10aには、低降伏点鋼材製のダンパー24が設けられ、
前記接合ボルト20の他端部は、前記ダンパー24を貫通した状態で前記ナット22が締め付けられていることを特徴とする。
一対の柱材1と、
前記一対の柱材1の上端部間に架け渡されるとともに前記一対の柱材1のうち少なくとも一方の柱材1よりも外方に突出する上部構造部2と、
前記一対の柱材1と前記上部構造部2とを含んで構成された架構内に、前記一対の柱材1及び前記上部構造部2に接して設けられた耐力壁部10と、
前記少なくとも一方の柱材1の側面に接して設けられ、かつ、前記上部構造部2のうち前記少なくとも一方の柱材よりも前記外方に突出した部位の下面に接して前記上部構造部2を支持する支持部材3と、を備えており、
前記耐力壁部10の上端部と、前記少なくとも一方の柱材1の上端部及び前記支持部材3とが接合手段によって接合され、
前記接合手段は、接合ボルト20であり、
前記接合ボルト20は、前記少なくとも一方の柱材1の上端部を貫通した状態で前記耐力壁部10の上端部と前記支持部材3にかけて配置されて固定され、
前記支持部材3における前記柱材1側の端部には、前記接合ボルト20の一端部が露出する開口部3aが形成され、当該開口部3a内で前記接合ボルト20の一端部にナット22が締め付けられており、
前記耐力壁部10の上端部における前記柱材1側の端部には、前記接合ボルト20の他端部20aが埋設されて接着固定されていることを特徴とする。
また、接合ボルト20によって、耐力壁部10の上端部と、少なくとも一方の柱材1の上端部及び支持部材3とを接合できるので、木造建物に大きな揺れが生じても、耐力壁部10の上端部と少なくとも一方の柱材1の上端部との間や、少なくとも一方の柱材1の上端部と支持部材3との間に隙間が空いてしまうことを抑制でき、木造建物の耐震性確保に貢献できる。
また、耐力壁部10の上端部における柱材1側の端部には、接合ボルト20の他端部20aが埋設されて接着固定されているので、耐力壁部10と接合ボルト20との一体性が高まり、木造建物に揺れが生じたときのエネルギーを、接合ボルト20を介して耐力壁部10に伝達できる。
さらに、接合ボルト20及びナット22を、耐力壁構造の表裏両面からはみ出ないように納めた状態で、耐力壁部10の上端部と、少なくとも一方の柱材1の上端部及び支持部材3とを接合できる。これにより、壁厚が必要以上に厚くなることを抑えつつ、木造建物の耐震性確保に貢献できる。
なお、以下の実施形態及び図示例における方向は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。また、以下の各実施形態において共通する要素には、共通の符号を付し、説明を適宜省略又は簡略する。
本実施形態の耐力壁構造は、木造建物において地震や風等による水平荷重に抵抗する機能を有するものであり、図1(a),(b)に示すように、一対の柱材1と、上部構造部2と、一対の支持部材3と、耐力壁部10と、を備えている。以下の説明において、耐力壁構造を構成する各部同士が接する部分は、適宜、接着剤が用いられたり、釘・ビス等の固定材が用いられたりすることで互いに接合固定されているものとする。
なお、本実施形態の木造建物は、中層建築物として建築された住宅であるが、これに限られるものではなく、高層建築物でもよいし、床面積の広い中層以下の建築物であってもよい。
は、断面視において正方形とされている。
このような柱材1が、一対、下部構造部の上面において互いに間隔を空けて配置されている。
なお、本実施形態の下部構造部は、建築用木質パネルP(図2参照)によって構成された下階の床(以下、下階床パネル)とされているが、これに限られるものではない。その他にも、例えば胴差や梁材、桁材などの横架材でもよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
さらに、本実施形態の上部構造部2は、建築用木質パネルP(図2参照)によって構成された上階の床(以下、上階床パネル2)とされている。ただし、これに限られるものではなく、例えば胴差や梁材、桁材などの横架材でもよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
なお、本実施形態の上部構造部2は、床であるため、一対の柱材1よりも左右側方に突出するだけでなく、正背方向(前後方向)の少なくとも一方にも突出した状態となっているものとする。
さらに、本実施形態の支持部材3は、建築用木質パネルP(図2参照)によって構成された小壁(以下、小壁パネル3)とされている。ただし、これに限られるものではなく、例えば梁材やまぐさなどの横架材でもよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
なお、支持部材3が梁材等の横架材である場合、この横架材は、例えば無垢材(角材:製材)によって構成されるが、これに限られるものではなく、LVL、CLT、集成材等で構成されてもよい。
本実施形態の耐力壁部10は、耐力壁構造の本体部分として、地震や風などの水平荷重に抵抗する役割を担うものであり、耐力壁本体11と、調整材12と、を有する。
なお、調整材12は、例えば無垢材(角材:製材)、LVL、CLT、集成材等で構成されて、耐力壁本体11の高さ調整のために設けられている。耐力壁本体11の高さ調整が必要ない場合は省略してもよい。
このような建築用木質パネルPは、図2に示すように、縦横の框材Fが矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材Cが縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に、例えば合板からなる面材Bが貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填される。
なお、建築用木質パネルPが、小壁パネル3として用いられる場合は、上下方向の寸法が短いため、縦横の補助桟材Cのいずれかが適宜省略されてもよい。
本実施形態の接合手段は、接合ボルト20であり、本実施形態においては長さ方向両端部に雄ネジが形成された両端ネジボルトとされているが、全ネジボルトであってもよい。
一本の接合ボルト20の長さは短く、一方の柱材1の上端部を貫通した状態で、耐力壁部10の上端部における一方の柱材1側の端部と一方の小壁パネル3における柱材1側の端部にかけて配置できる程度の寸法に設定されている。
さらに、耐力壁部10の上端部における柱材1側の端部(すなわち、左右両側の端部)には、接合ボルト20の他端部(耐力壁部10側の端部)が露出する第二開口部10aが形成されている。そして、当該第二開口部10a内で接合ボルト20の他端部に、座金23が設けられて、その上からナット22が締め付けられて設けられている。
第二開口部10aは、図3に示すように、中空状の建築用木質パネルPである耐力壁本体11における両面もしくは片面の面材Bに、柱材1側の一辺が、耐力壁本体11における柱材1側の框材Fに沿うように角孔が形成されることで構成されている。座金23は、柱材1側の框材Fにおける中空部側の面に接している。
そして、接合ボルト20の両端部にナット22が締め付けられて設けられることで、小壁パネル3における柱材1側の框材Fと、柱材1の上端部と、耐力壁本体11における柱材1側の框材Fとが、ナット22及び座金23によって強固に挟み込まれる。
これにより、耐力壁部10の上端部と、一対の柱材1の上端部及び一対の小壁パネル3とが接合ボルト20によって接合された状態となっている。
すなわち、接合手段である接合ボルト20によって、耐力壁部10の上端部と少なくとも一方の柱材1の上端部と小壁パネル3との一体性を高めることができる。これにより、木造建物に大きな揺れが生じても、耐力壁部10の上端部と少なくとも一方の柱材1の上端部との間や、少なくとも一方の柱材1の上端部と小壁パネル3との間に隙間が空いてしまうことを抑制できる。さらに、これら耐力壁部10と少なくとも一方の柱材1と小壁パネル3による上部構造部2の支持も安定性が増すので、結果的に、木造建物の耐震性を確保することができる。
図1(c)に示すように、耐力壁構造のうち、一対の柱材1と、耐力壁部10と、一対の小壁パネル3は、厚さ方向(正背方向)に重ね合わせられた状態で配置されてもよい。この場合、厚さ方向(正背方向)に重ね合わせられた一対の柱材1同士、耐力壁部10同士、一対の小壁パネル3同士は、例えば接着剤等によって互いに接合されてもよいし、接合されていなくてもよい。
また、このように二重に並べられた各部1,10,3の上には、上部構造部(上階床パネル2又は横架材)が設けられて支持されているものとする。
上記の実施形態において、上部構造部である上階床パネル2(又は横架材)は、一対の柱材1よりも左右側方に突出しているものとしたが、左右のいずれか一方に突出するものとしてもよい。
すなわち、耐力壁構造は、木造建物を構成する壁の中央部分にのみ設けられるものではなく、例えば平面視略L型やT型、十字型に形成されたコーナー部分にも設けられる場合がある。このような場合、上部構造部である上階床パネル2(又は横架材)は、必ずしも一対の柱材1の左右側方に突出するものではない。そのため、上部構造部である上階床パネル2(又は横架材)は、一対の柱材1のうち少なくとも一方の柱材1よりも外方に突出するものとする。小壁パネル3等の支持部材3も、上部構造部である上階床パネル2(又は横架材)が突出する方向に設けられるが、木造建物を構成する壁のコーナー部分の平面形状に合わせて、異なる方向に突出する支持部材3も適宜併用されるものとする(この場合、支持部材3の端部を受ける受け金物が使用されてもよい)。
次に、第2実施形態の耐力壁構造について説明する。
本実施形態の耐力壁構造は、図4(a),(b)に示すように、耐力壁部10の第二開口部10aに、低降伏点鋼材製のダンパー24が設けられ、接合ボルト20の他端部(耐力壁部10側の端部)は、ダンパー24を貫通した状態でナット22が締め付けられている。
このようなダンパー24の一側面が、耐力壁本体11を構成する建築用木質パネルPのうち柱材1側の框材Fにおける中空部側の面に接し、反対側の他側面に座金23が接した状態となっている。
なお、ダンパー24の一側面は、耐力壁本体11における柱材1側の框材Fにおける中空部側の面に接するだけであってもよいし、接合固定されていてもよい。また、座金23は、ダンパー24の他側面に対して接するだけであってもよいし、接合固定されていてもよい。
そして、接合ボルト20の他端部(耐力壁部10側の端部)は、ダンパー24及び座金23を貫通した状態でナット22が締め付けられて設けられている。
なお、本実施形態において、ダンパー24は、耐力壁部10の第二開口部10aに設けられているが、これに限られるものではなく、小壁パネル3の第一開口部3aに設けられてもよいし、第一開口部3aと第二開口部10aの双方に設けられてもよい。
すなわち、支持部材3を補強するための補強横材4が、一対の柱材1の上端部から外方に突出し、かつ、支持部材3の下面に接して設けられることで、支持部材3の上下寸法を長くすることができる。補強横材4は、柱材1の側面及び支持部材3の下面に対して一体的に固定されている。これにより、支持部材3を撓みにくく補強することができる。
すなわち、上記の第1実施形態と同様に、接合手段である接合ボルト20によって、耐力壁部10と当該耐力壁部10に接して設けられた他の構造部分(柱材1)との間の接合部やその周囲の構造部分(支持部材3)との間の接合部に隙間が空いてしまうことを防いで、木造建物の耐震性を確保することができる。
さらに、例えば支持部材3に開口部(第一開口部3a)が形成されるなどして部分的に剛性の向上が必要な部位があっても、補強横材4によって、支持部材3の上下寸法を大きくして当該支持部材3を補強できるので、支持部材3に必要な剛性を確保できる。
また、支持部材3は、柱材1が地震等の振動エネルギーを受けて外方(支持部材3側)に押された時に、支持部材3だけではその圧縮力を負担できない場合があるが、このように補強横材4が設けられていれば、柱材1が押された時の圧縮力を負担して補強することができ、結果的に、木造建物の耐震性確保に貢献できる。
次に、第3実施形態の耐力壁構造について説明する。
本実施形態の耐力壁構造は、図5(a),(b)に示すように、支持部材3における柱材1側の端部に、接合ボルト20の一端部が露出する開口部3a(第1実施形態の第一開口部3a)が形成され、当該開口部3a内で接合ボルト20の一端部に、座金23が設けられて、その上からナット22が締め付けられており、耐力壁部10の上端部における柱材1側の端部には、接合ボルト20の他端部20aが埋設されて接着固定されている。
すなわち、耐力壁本体11は、建築用木質パネルPによって構成されて中空状であるため、接合ボルト20の他端部20aを埋設する下地がない。そのため、耐力壁本体11の上に、接合ボルト20の他端部20aを埋設する下地として、中実材である上端補助部材13が設けられている。また、この上端補助部材13は、鉛直荷重を負担しにくい耐力壁本体11に代わって鉛直荷重を負担する機能を持つ。
なお、上端補助部材13は、耐力壁本体11の上端面に対して接着等により接合固定されているが、釘・ビス等の固定材を併用してもよい。
なお、上端補助部材13の差込穴は、このように接合ボルト20の他端部20aが差し込まれるため、接合ボルト20の他端部20aが通過する柱材1の上端部及び小壁パネル3の框材Fには、柱材1の上端部及び小壁パネル3の框材Fを貫通する差込孔が形成されている。また、柱材1の上端部及び小壁パネル3の框材Fを貫通する差込孔にも接着剤が充填されてよい。
すなわち、上記の第1実施形態等と同様に、接合手段である接合ボルト20によって、耐力壁部10と当該耐力壁部10に接して設けられた他の構造部分(柱材1)との間の接合部やその周囲の構造部分(支持部材3)との間の接合部に隙間が空いてしまうことを防いで、木造建物の耐震性を確保することができる。
さらに、接合ボルト20及びナット22を、耐力壁構造の表裏両面からはみ出ないように納めた状態で、耐力壁部10の上端部と、少なくとも一方の柱材1の上端部及び支持部材3とを接合できる。これにより、壁厚が必要以上に厚くなることを抑えつつ、木造建物の耐震性確保に貢献できる。
次に、第4実施形態の耐力壁構造について説明する。
本実施形態の耐力壁構造においては、図6(a),(b)に示すように、上記の第1実施形態等における接合ボルト20よりも長尺な一本の接合ボルト21が用いられている。また、上部構造部2である上階床パネル2は、一対の柱材1よりも左右側方に突出しており、支持部材3である小壁パネル3も、一対の柱材1における上端部のそれぞれから左右側方に突出して設けられている。また、これら一対の小壁パネル3は、上階床パネル2のうち一対の柱材1よりも左右側方に突出した部位の下面に接している。
左右側方の小壁パネル3における柱材1側の端部には、接合ボルト21の一端部及び他端部が露出する開口部3a(第1実施形態の第一開口部3a)がそれぞれ形成され、当該開口部3a内で接合ボルト21の一端部及び他端部に、座金23が設けられて、その上からナット22がそれぞれ締め付けられている。
つまり、一本の接合ボルト21は、一方の小壁パネル3から他方の小壁パネル3にかけて設けられており、この接合ボルト21によって、耐力壁部10の上端部と、一対の柱材1の上端部及び一対の支持部材3とが接合されている。
この上端補助部材13には、長さ方向(左右方向)に亘って形成されて当該上端補助部材13を貫通する差込孔が形成されており、接合ボルト21は、当該差込孔に差し込まれている。接合ボルト21の両端部は、上記のように一対の小壁パネル3における開口部3aまで突出して露出している。
接合ボルト21の両端部が通過する柱材1の上端部及び小壁パネル3の框材Fにも、柱材1の上端部及び小壁パネル3の框材Fを貫通する差込孔が形成されているものとする。
なお、接合ボルト21が通過する上端補助部材13の差込孔と、柱材1の上端部及び小壁パネル3の框材Fを貫通する差込孔には、接着剤が充填されてもよい。接合ボルト21による耐力壁部10と、一対の柱材1及び一対の小壁パネル3との接合と併用して、グルードインロッドの接合方法も行うことができる。
すなわち、上記の第1実施形態等と同様に、接合手段である接合ボルト20によって、耐力壁部10と当該耐力壁部10に接して設けられた他の構造部分(柱材1)との間の接合部やその周囲の構造部分(支持部材3)との間の接合部に隙間が空いてしまうことを防いで、木造建物の耐震性を確保することができる。
さらに、一本の接合ボルト21及びナット22を、耐力壁構造の表裏両面からはみ出ないように納めた状態で、耐力壁部10の上端部と、一対の柱材1の上端部及び一対の小壁パネル3とを接合できる。これにより、壁厚が必要以上に厚くなることを抑えつつ、木造建物の耐震性確保に貢献できる。
次に、第5実施形態の耐力壁構造について説明する。
本実施形態の耐力壁構造は、図7(a),(b)に示すように、耐力壁部10の上端部と、一対の柱材1の上端部及び一対の小壁パネル3とを接合する接合手段が、表裏両面に設けられる複数の接合プレート30とされている。本実施形態においては、この接合プレート30として、例えば合板等からなる木製のガセットプレートが用いられているが、鋼製のガセットプレートが用いられてもよい。
このような接合プレート30は、耐力壁構造の表裏両面において、一対の柱材1の上端部と耐力壁部10の上端部と一対の小壁パネル3に跨って配置されて固定されている。
すなわち、正面側における一方の接合プレート30は、一方の柱材1と耐力壁部10における上端部の一方と一方の小壁パネル3に跨って配置されて固定されている。また、正面側における他方の接合プレート30は、他方の柱材1と耐力壁部10における上端部の他方と他方の小壁パネル3に跨って配置されて固定されている。
さらに、背面側における一方の接合プレート30は、一方の柱材1と耐力壁部10における上端部の一方と一方の小壁パネル3に跨って配置されて固定されている。また、背面側における他方の接合プレート30は、他方の柱材1と耐力壁部10における上端部の他方と他方の小壁パネル3に跨って配置されて固定されている。
表裏両面における一対の接合プレート30同士は、互いの隣接する端部同士が接していてもよいし、離間していてもよい。
また、本実施形態においては、上部構造部2が上階床パネル2とされており、上階床パネル2は、左右方向に突出するだけでなく、正背方向にも突出している。そのため、接合プレート30は、上階床パネル2側には設けられない。ただし、上部構造部2が、例えば胴差等の横架材である場合、接合プレート30は、上部構造部2の側面に跨って配置されて固定されてもよい。
一方、接合プレート30は、一対の小壁パネル3における下面よりも下方には突出しないものとする。ただし、一対の小壁パネル3の下面に補強横材4が設けられる場合は、接合プレート30が、補強横材4の側面にも跨って配置固定されてもよい。
すなわち、上記の第1実施形態等と同様に、接合手段である接合ボルト20によって、耐力壁部10と当該耐力壁部10に接して設けられた他の構造部分(柱材1)との間の接合部やその周囲の構造部分(支持部材3)との間の接合部に隙間が空いてしまうことを防いで、木造建物の耐震性を確保することができる。
2 上部構造部
3 支持部材
3a 第一開口部
4 補強横材
10 耐力壁部
10a 第二開口部
11 耐力壁本体
12 調整材
13 上端補助部材
20 接合ボルト
21 接合ボルト
22 ナット
23 座金
24 ダンパー
30 接合プレート
P 建築用木質パネル
F 框材
C 補助桟材
B 面材
Claims (3)
- 一対の柱材と、
前記一対の柱材の上端部間に架け渡されるとともに、前記一対の柱材のうち少なくとも一方の柱材よりも外方に突出する上部構造部と、
前記一対の柱材と前記上部構造部とを含んで構成された架構内に、前記一対の柱材及び前記上部構造部に接して設けられた耐力壁部と、
前記少なくとも一方の柱材の側面に接して設けられ、かつ、前記上部構造部のうち前記少なくとも一方の柱材よりも前記外方に突出した部位の下面に接して前記上部構造部を支持する支持部材と、を備えており、
前記耐力壁部の上端部と、前記少なくとも一方の柱材の上端部及び前記支持部材とが接合手段によって接合され、
前記接合手段は、接合ボルトであり、
前記接合ボルトは、前記少なくとも一方の柱材の上端部を貫通した状態で前記耐力壁部の上端部と前記支持部材にかけて配置されて固定され、
前記支持部材における前記柱材側の端部には、前記接合ボルトの一端部が露出する第一開口部が形成され、当該第一開口部内で前記接合ボルトの一端部にナットが締め付けられており、
前記耐力壁部の上端部における前記柱材側の端部には、前記接合ボルトの他端部が露出する第二開口部が形成され、当該第二開口部内で前記接合ボルトの他端部にナットが締め付けられていることを特徴とする耐力壁構造。 - 請求項1に記載の耐力壁構造において、
前記耐力壁部の前記第二開口部には、低降伏点鋼材製のダンパーが設けられ、
前記接合ボルトの他端部は、前記ダンパーを貫通した状態で前記ナットが締め付けられていることを特徴とする耐力壁構造。 - 一対の柱材と、
前記一対の柱材の上端部間に架け渡されるとともに、前記一対の柱材のうち少なくとも一方の柱材よりも外方に突出する上部構造部と、
前記一対の柱材と前記上部構造部とを含んで構成された架構内に、前記一対の柱材及び前記上部構造部に接して設けられた耐力壁部と、
前記少なくとも一方の柱材の側面に接して設けられ、かつ、前記上部構造部のうち前記少なくとも一方の柱材よりも前記外方に突出した部位の下面に接して前記上部構造部を支持する支持部材と、を備えており、
前記耐力壁部の上端部と、前記少なくとも一方の柱材の上端部及び前記支持部材とが接合手段によって接合され、
前記接合手段は、接合ボルトであり、
前記接合ボルトは、前記少なくとも一方の柱材の上端部を貫通した状態で前記耐力壁部の上端部と前記支持部材にかけて配置されて固定され、
前記支持部材における前記柱材側の端部には、前記接合ボルトの一端部が露出する開口部が形成され、当該開口部内で前記接合ボルトの一端部にナットが締め付けられており、
前記耐力壁部の上端部における前記柱材側の端部には、前記接合ボルトの他端部が埋設されて接着固定されていることを特徴とする耐力壁構造。
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