以下、本発明に係る付帯構造物の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。先ず、付帯構造物を連結固定する建物ユニット1について、説明する。図1,2において、建物ユニット1は、鋼製の構造材を溶接で直方体状に接合して形成したボックスラーメン構造のものであり、角柱からなる4本の柱材2,2…と、この柱材の下端部を水平方向に連結する長辺方向の下梁(床梁)3,3と、短辺方向の下梁(床梁)4,4と、4本の柱材2,2…の上端部を水平方向に連結する長辺方向の上梁(天井梁)5,5と、短辺方向の上梁(天井梁)6,6とから直方体状に形成される。そして、建物ユニット1には、床根太7,7…が下梁3,3間に所定間隔で架設され、天井根太8,8…が上梁5,5間に所定間隔で架設されている。各柱材と各梁材とはコーナー部に補強プレート9,9…を介在させて溶接され、建物ユニット1の剛性を高めている。
建物ユニット1の直方体において、長辺方向をX方向、短辺方向をY方向、高さ方向をZ方向として説明する。建物ユニット1は、例えば長辺方向(X方向)の長さが4〜5メートル程度の長尺であり、短辺方向(Y方向)の長さが2〜3メートル程度であり、高さ方向(Z方向)の長さが2.5〜3メートル程度の直方体状に形成されている。すなわち、建物ユニット1は長辺方向に沿う2つの立面(X−Z面)と、短辺方向に沿う2つの立面(Y−Z面)と、上面、及び底面(X−Y面)の6つの面から構成されている。
建物ユニット1に連結固定される付帯ユニット10は、小型の直方体をしており、6面を有する直方体状の建物ユニット1の1つの立面である短辺側の側面(Y−Z面)に連結されるように、短辺側の側面と同じ長方形の側面を有しており、建物ユニット1の長辺方向に沿う長さが短く設定されている。例えば、建物ユニット1の長辺方向の長さが4〜5メートル程度の長尺であるのに対して、付帯ユニット10のX方向の長さは1メートル程度あるいは1メートル以下の短尺に設定されている。
付帯ユニット10は、図2〜7に示されるように小型の直方体状をしており、4本の断面形状が略コ字状の溝形鋼又はC形鋼からなる柱材11,11…と、これらの柱材の下端部をX方向に連結する2本の下梁12,12と、Y方向に連結する2本の下梁13,13、及び柱材の上端部をX方向に連結する2本の上梁14,14と、Y方向に連結する上梁15,15で構成されている。そして、付帯ユニット10は、本実施の形態では、建物ユニット1のY−Z方向の側面の長方形と、付帯ユニット10のY−Z方向の側面の長方形とが同じ形状となっている。この構成により、建物ユニット1に付帯ユニット10が連結固定されたとき、外形的に建物ユニット1が長手方向(X方向)に延長され、突出部や段差部が生じない形状となる。なお、建物ユニット1のY−Z方向の側面の長方形と、付帯ユニット10のY−Z方向の側面の長方形とが同じ形状でなく、連結したとき段差部や突出部が生じる形状でもよい。
付帯ユニット10を構成する4本の柱材11は、断面形状が略コ字状の溝形鋼又はC形の鋼材から形成されており、建物ユニット1の断面(ロ)型の角柱の鋼材から形成されている柱材と異なる構成であり、付帯ユニット10の重量低減、及びコスト低減が可能となっている。この付帯ユニット10は基本的には隣接する建物ユニット1の1つの立面に連結して固定されるため、基本となる建物ユニット1の強度に依存する構成であり、付帯ユニット10自体の強度は緩くても問題はない構成となっている。
すなわち、付帯ユニット10は、基本的には柔軟に構成され、連結される建物ユニット1に追従しやすく、風圧力や地震力(外力)が作用したときでも柔軟に吸収することができる。つまり、付帯ユニット10は建物ユニット1に連結されたとき、これと一体化し、当該部分に作用する風圧力や地震力(外力)を本体の建物ユニット1に伝達し、付帯ユニット10自体が外力に対抗しない構成となっている。このため、建物ユニット1と付帯ユニット10との接合部に無理な力がかかることを抑制できる。
付帯ユニット10を構成する部材のうち、X方向に沿う下梁12,12、及び上梁14,14は柱材11,11に溶接等で剛接合され、X−Z方向の付帯ユニット10の側面16,16は剛接合面となっている。また、付帯ユニット10を構成する部材のうち、Y方向に沿う下梁13,13、及び上梁15,15は柱材11,11…にボルト等の固定具で連結されたピン接合面となっている。なお、X−Z方向の剛接合面16,16に傾斜状態にブレース材を連結して、さらに補強してもよい。
なお、付帯ユニット10の2つの側面は剛接合面の例を示したが、剛接合面でない構成でもよい、例えば、X方向に沿う上梁14,14は柱材11,11の上端に溶接等で剛接合され、下梁12,12は柱材11,11の下端に固定具としてボルトナット等で連結され側面16,16を構成してもよい。すなわち、柱材11,11の上端に上梁14を接合して門型に形成し、この門型の下端に下梁12をボルトナット等の固定具で連結して側面16を形成してもよい。また、柱材11,11の上端及び下端に上梁14及び下梁12をボルトナット等の固定具で連結してピン接合による側面16を形成してもよい。これらの実施形態の詳細については、後述する。
付帯ユニット10は、例えば図3(a)に示されるように、1階の建物ユニット1Aの上部に2階の建物ユニット1が載置固定され、2階の建物ユニット1に付帯してオーバーハング状態に連結固定される。この場合、付帯ユニット10の下方に補助柱Hを設けるように構成してもよい。図3(b)では、基礎Kの上部に建物ユニット1が設置固定され、この建物ユニット1に付帯して付帯ユニット10が連結固定される。
ここで、付帯ユニット10の詳細を図4〜7に基づいて説明する。付帯ユニット10を構成するY方向の下梁13,13、及び上梁15,15は、前記のように柱材11,11…にボルト接合されている。すなわち、柱材11を構成する断面形状が略コ字状の溝形鋼又はC形鋼の下端には、C形鋼の開口を閉じるように2枚の補強板20,20が溶接等により水平に固着されており、2枚の補強板の間隔は下梁13の高さと一致している。また、断面コ字状のC形鋼から構成される柱材11の上端には、同様にC形鋼の開口を閉じるように2枚の補強板21,21が溶接等により水平に溶着されており、2枚の補強板の間隔は上梁15の高さと一致している。
そして、前記2枚の補強板20,20,21,21と、C形鋼の外側の端面とを連結するようにジョイントプレート22,22…が溶接等により垂直に固着されている。このジョイントプレートは溝形鋼又はC形鋼の開口の一部を塞ぐように固着され、上下の幅広部と中央の幅狭部とが傾斜辺で連結され、幅広部に下梁13及び上梁15を連結するためのボルト23が挿入される貫通孔24,24…が形成され、幅狭部によりジョイントプレート裏側に形成された空間を通して、柱材11のC形鋼の内部に固定具としてボルトやナットを挿入できる構成となっている。
建物ユニット1に対向する2本の柱材11,11の上下端部に固着された補強板20,21とジョイントプレート22とにより、Y方向に沿う下梁13,13と上梁15,15の連結部が構成される。そして、下梁13,13と上梁15,15には、ジョイントプレート22と対接するエンドプレート13a、15aが固着され、ジョイントプレートの貫通孔24,24…に対応してボルト23を挿入できる貫通孔13b,15bが形成されている。このように、上梁15,15と下梁13,13はジョイントプレート22を介してボルトナット23で接合される構成となっている。
建物ユニット1の柱材2,2には、付帯ユニット10を建物ユニット1に連結するための構成として、柱材2,2の付帯ユニット10と対向する上下端部のそれぞれに2つの取付孔30,30が形成され、この取付孔の内部には付帯ユニット10を建物ユニット1に連結固定するボルト31,31が螺合されるナット32,32が溶接等により固着されている。また、2つのナットが溶接された取付孔の中間にはガイドピン33がナット等を介して固定されている。このガイドピン33は、建物ユニット1に付帯ユニット10を連結固定する際に、ボルト締めを容易にするべく位置決めするためのものであり、ガイドピン33の先端は先細に形成されている。
付帯ユニット10には、建物ユニット1の取付孔30と、ガイドピン33に対応して、柱材11,11の建物ユニット1と対向する面に3つの貫通孔27が形成されている。上下の2つの貫通孔はボルト31,31が挿入され、中央の貫通孔にはガイドピン33が挿入される。そして、建物ユニット1の柱材2と付帯ユニット10の柱材11との間には、スペーサ35が介在される構成となっている。スペーサ35には、ボルト31,31及びガイドピン33が挿入できる貫通孔が形成されている。
このように形成された付帯ユニット10は、柱材が角柱であり、梁材が全て剛接合されている建物ユニット1に対して、柱材が溝形鋼又はC形鋼で、2つの面(X−Z面)のみが剛接合され、剛接合面16,16同士を4本の梁材13,13,15,15でボルトナット23により連結して接合する構造であるため、付帯ユニット10を構成する柱材や梁材の重量を低減できるとともに、コストも低減することができる。
また、付帯ユニット10は、柱材11,11と下梁12と上梁14で構成される2つの剛接合面16,16と4本の梁材13,13,15,15に分けて輸送し、現地で梁材を固定して組立てる構成となっている。なお、図示の実施形態では、付帯ユニット10を構成する直方体の剛接合された2つの面として、X−Z方向の2つの面としたが、Y−Z方向の2つの面を剛接合面としてもよいのは勿論である。また、付帯ユニット10は、4本の柱材と4本の下梁、及び4本の上梁をボルト接合して形成したものでもよく、溶接による剛接合とボルトナットによるピン接合を組み合わせて形成してもよい。
建物ユニット1を構成する柱材2,2…の上下端面には、貫通孔が形成され、この貫通孔の内面にはナットが溶接等により固着されている。建物ユニット1の4本の柱材の上部の貫通孔は、建物ユニット1を輸送する際や、基礎上に設置する際に吊上げるためのアイボルト(図示せず)が装着されると共に、建物ユニット1,1を上下に積重ねる際には上下に連結するボルトがねじ込まれる。また、付帯ユニット10を構成する柱材11,11…の上下端面に固着された補強板20,21にも同様に貫通孔21aが形成され、この貫通孔の内面にはナット28(図5参照)が溶接等により固着されている。柱材11の上端には、このナット28を用いて図4に示されるように、付帯ユニット10上に構築されるバルコニーの柱材Bを連結固定することができる。
本実施形態の付帯ユニット10は、図8,9に詳細に示されるように、天井面を構成する上梁15,15に4個の接合部材15c,15c…が固着され、接合部材間に矩形フレーム40が固定されている。接合部材は縦のC形鋼で形成され、上下の開口部には板材が溶接等で固着されている。矩形フレーム40は長辺方向に沿う長梁41,41と短辺方向に沿う短梁42,42とを交差させて溶接等で接合したものであり、断面がコ字状の溝形鋼又はC形鋼から形成されている。そして、矩形フレーム40は付帯ユニット10の天井面を構成する4本の上梁14,14,15,15の内側に位置しており、矩形フレームの上面と4本の上梁の上面が一致するように、接合部材15c,15cにボルトナット43で面一に連結固定されている。矩形フレーム40は四隅をボルトナット43で接合部材に固定され、付帯ユニット10の天井面から突出しない。
このように構成された本実施形態の付帯ユニット10は、前記したように基本的には連結される建物ユニット1に追従するように柔軟な構造となっているが、その天井面は上梁の内側に、上梁と面一に固定された矩形フレーム40により補強され、構造耐力が大きくなるように設定されている。そして、矩形フレーム40の内側の領域は、頑丈な開口部として形成されている。このため、複数の建物ユニット1と、付帯ユニットとを組み合わせてユニット建物を構成し、その上に屋根材を葺く際に、天窓等の開口部を形成することができ、開口部を設けても天井面の構造耐力が増加するため付帯ユニットの変形を防止できる。矩形フレーム40は接合部材15c,15cを介して上梁15,15間にボルトナットで固定されるため、補助梁に力が加わったときに上梁の上下のフランジで荷重を分担して受けることができ、強度を高めることができる。また、接合部材15cは上梁に固定されたとき、裏側に空間ができるように構成されており、ボルトやナットを接合部材の裏側に装着することができ、補助梁の取付け施工が容易となる。
このように、付帯ユニット10の天井面には、天井面を構成する4本の上梁と平行の長梁41,41と、短梁42,42で構成した矩形フレーム40がボルトナット43で固定されているため、天井面の構造耐力が増加される。このため、矩形フレーム40内に天窓等の開口部を自由に形成することができる。例えば、付帯ユニット10の天井根太44に木製の横桟45,45で枠組を形成し、この枠組に縦桟46を連結して、さらに横桟45で傾斜枠を形成し、この傾斜枠の上部にガラス板等の透光性材料からなる天窓47等を固定し、周囲を屋根材で葺くことで開口部Sを形成することができる。なお、天井根太44の上に、作業中に作業者が足を踏み外さないように踏み板48が載置され、作業終了後に取り外される。また、天井根太44の下面には、天井を構成する石膏ボード44aが固定される。
前記の如く構成された本実施形態の付帯ユニット10の組立について以下に説明する。前記のように、付帯ユニット10は2つの剛接合面である側面16,16と、4本の梁材(下梁13,13及び上梁15,15)とに分けて輸送され、現地で組立てられる。この組立は、側面を構成する柱材11,11の上下端部に固定されたジョイントプレート22,22…の貫通孔24,24…と、下梁13と上梁15のエンドプレート13a,15aの貫通孔13b,15bを合わせてボルト23を挿入し、ナットをねじ込んで固定する。ボルトやナットはジョイントプレート22の幅狭部により柱材11の内部に挿入することができる。これにより、側面16,16は4本の梁材により結合され、直方体状の付帯ユニット10が完成する。
このように構成された付帯ユニット10は小型であり、2つの面材(剛接合である側面)16,16と4本の梁材(下梁13,13及び上梁15,15)とに分割されるため、輸送が容易に行える。また、付帯ユニット10は強度が要求されないため、柱材11や梁材12,13,14,15は小型軽量のものを使用でき、付帯ユニット10の重量を軽減でき、コストダウンを達成できる。さらに、側面16,16を溶接により剛接合面とし、剛接合面を4本の梁材で連結して直方体状の付帯ユニットとすることができ、建物ユニットのような大規模な製造設備が不要となり、容易に作製することができる。
本実施形態の付帯ユニット10は、天井面を構成する上梁14,14と上梁15,15に矩形フレーム40が連結固定され、天井面の構造耐力を増加させている。このため、矩形フレーム40の内部に天窓等の開口部を自由に形成することができる。このように形成された開口部Sの上部に、透光性のある樹脂、あるいはガラス板を載置し、周囲を屋根材で葺くことにより天窓を形成することができる。
本発明に係る付帯構造物の他の実施形態を図10〜13に基づき詳細に説明する。なお、この実施形態は前記した実施形態に対し、付帯ユニットの天井面に天窓等の開口部を形成するために天井面を補強する矩形フレームが、付帯ユニットの天井面を構成する上梁の上部に載置固定されることを特徴とする。そして、他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図10〜13において、この実施形態の付帯ユニットの天井面を補強する矩形フレーム50は、天井面を構成する長辺方向の上梁15,15の上部に位置する長梁51,51と、短辺方向の上梁14,14の上部に位置する短梁52,52とを溶接等でそれぞれが直角となるように接合したものであり、断面がコ字状の溝形鋼又はC形鋼から形成されている。そして、矩形フレーム50は付帯ユニット10の天井面を構成する4本の上梁14,14,15,15の上に載置され、付帯ユニット10の柱材11の上部に形成された貫通孔内部のナットにボルト53をねじ込んで連結固定されている。上梁15,15間には天井根太55が架設され、天井根太の下面には石膏ボード56が固定されている。
この実勢形態の矩形フレーム50を固定した付帯ユニット10Aでは、柱材11,11の上部に上梁14,14,15,15を連結固定して形成した天井面は柔軟な構成であるが、この天井面の上部には矩形フレーム50が載置固定されているため、天井面を補強して変形を抑えることができる。このため、矩形フレーム50の内部スペースは強固なものとなり、屋根材を葺く際に天窓等の開口部を形成しても、構造耐力を低下させることがなくなる。この実施形態では、付帯ユニットの上梁14,14,15,15に囲まれたスペースを最大限利用して大きな面積の開口部を形成することができる。
つぎに、本実施形態の付帯ユニット10,10Aを建物ユニット1に連結固定する動作について以下に説明する。前記のように組立てられた付帯ユニット10,10Aの取付面を、建物ユニット1の被取付面に対向させ、柱材2と柱材11との間にスペーサ35を挟み、両ユニットを密着させる。建物ユニット1の柱材2,2の上下端部から突出するガイドピン33,33を貫通孔27に挿入することにより建物ユニット1の柱材11,11の取付孔30,30と、付帯ユニット10の貫通孔27,27が連通するように密着する。そして、柱材11の貫通孔27側からボルト31を挿入し、柱材2の内部に固定されたナット32に螺合させ締め付ける。ジョイントプレート22横の空間を通して、ボルト31を容易に挿入することができる。
このようにして、建物ユニット1に付帯ユニット10,10Aを連結固定すると、建物ユニット1の内部空間は付帯ユニット10,10Aの分だけ拡大され、内部空間を有効利用することができる。例えば、図14(a)に示されるように、建物ユニット1の長辺方向(X方向)に付帯ユニット10を連結して延長する場合、あるいは短辺方向(Y方向)に付帯ユニット10Bを連結して延長する場合がある。付帯ユニット10Bも基本的には付帯ユニット10と同様の構成であり、2つの側面16a,16a(Y−Z面)を連結する4本の梁材の長さが長いことが異なるのみである。なお、図14,15では、矩形フレーム40を備える付帯ユニット10を建物ユニット1に連結固定した例を示したが、矩形フレーム50を備える付帯ユニット10Aを建物ユニット1に連結固定してもよいことは勿論である。
建物ユニット1に付帯ユニット10,10Bを連結固定したユニット建物H1では、付帯ユニット10の天井面に開口部Sを形成することができ、付帯ユニット10Bの天井面に広幅の開口部S1を形成することができる。このため、付帯ユニット部分から室内に外光を取り入れることができる。図14では詳細に図示していないが、開口部S,S1は矩形フレーム40の長梁41,41と短梁42,42に囲まれた内部空間である。
このように、建物ユニット1に付帯ユニット10,10Bを連結固定し、あるいは建物ユニット1を複数並置すると共に上下に重ねてユニット建物を構成し、付帯ユニット10,10Bを連結固定して形成したユニット建物の上部に屋根構造を形成する際に、付帯ユニット10,10Bの上部に矩形フレーム40(50)に合わせて天窓等の開口部を自由に形成することができ、開口部を形成しても付帯ユニット10の天井面の構造耐力が低下することを防止することができる。なお、1階に連結される付帯ユニットに対して、建物ユニット1を載置する基礎部分(図示せず)が付帯ユニット部分にも形成されることが望ましいが、基礎のないオーバーハング状態でもよい。
図14(b)では、建物ユニット1を2個、2層に積み上げ、4個組み合わせてユニット建物を構成し、このユニット建物の1階左の建物ユニットに付帯ユニット10を連結固定して、ユニット建物H2を構成している。この例では、ユニット建物H2の直方体の形状から付帯ユニット部分が突出して外観に変化を与えており、この付帯部分を例えば玄関部分として利用することができる。また、玄関部分に限られず、例えば居室の内部空間を拡大させることや、収納空間として利用することもできる。そして、付帯ユニット10の天井面に矩形フレーム40で囲まれた開口部Sを形成して、ユニット建物内に外光を取り入れることができる。
図14(c)では、同様に建物ユニット1を4個組み合わせ、2階右の建物ユニットに付帯ユニット10を連結固定して、ユニット建物H3を構成している。この例でも、ユニット建物H3の外観に変化を与えることができ、2階の建物ユニット1からオーバーハング状態に付帯ユニット10を突出させ、内部空間を拡大して有効利用することができると共に、拡大部分に開口部Sから外光を取り入れることができる。この例で示す付帯ユニット10は、2階部分に装着されるものであり、付帯ユニットは側面が剛接合面であり、ブレース材で補強したものが好ましい。
図14(d)では、建物ユニット1を4個組み合わせ、1,2階の左の建物ユニットに2個の付帯ユニット10を上下に重ねて連結固定して、ユニット建物H4を構成している。この例でも、ユニット建物H4の外観に変化を与えることができ、1,2階の建物ユニット1,1の内部空間を拡大して有効利用することができ、特に、上下階を貫通する階段室として利用することができる。この例で示す付帯ユニット10は、上階の付帯ユニット10の天井面に開口部Sを設けることができ、外光を取り込むことができる。また、上下階の付帯ユニット吹き抜けとすることで下階の付帯ユニットにも外光を取り入れることができる。
図14(e)では、建物ユニット1を4個組み合わせ、建物ユニット1の長辺方向(X方向)に沿って連結される長辺方向用の付帯ユニット10Bを1階建物ユニット1に連結固定して、ユニット建物H5を構成している。この例でも、ユニット建物H5の外観に変化を与えることができ、1階の建物ユニット1の内部空間を拡大して有効利用することができる。この例で示す付帯ユニット10Bは、1階部分に装着されるものであり、付帯ユニット10Bは天井面に広幅の開口部S1を形成することができ、この開口部に天窓等を設けることができる。
図14(f)では、建物ユニット1を4個組み合わせ、建物ユニット1の長辺方向(X方向)に沿って連結される長辺方向用の付帯ユニット10Bを2階建物ユニット1に連結固定して、ユニット建物H6を構成している。この例でも、ユニット建物H6の外観に変化を与えることができ、2階の建物ユニット1の内部空間を拡大して有効利用することができると共に、2階に連結固定した付帯ユニット10Bの天井面に形成した広幅の開口部S1から外光を取り入れることができる。
図15(a)では、建物ユニット1を4個組み合わせ、建物ユニット1の長辺方向(X方向)に沿って連結される長辺方向用の付帯ユニット10Bを1階と2階建物ユニット1,1に連結固定して、ユニット建物H7を構成している。この例では、1,2階の建物ユニットの内部空間を大幅に拡大することができる。また、この延長部分を吹き抜けとして利用することもできる。そして、上階の付帯ユニット10Bは、長辺方向に沿って、広幅の開口部S1を備えているため、天窓等を開口部に合わせて設けることができ、外光を取り入れることができる。上下階の付帯ユニットを吹き抜けにすることで1,2階の付帯ユニット内に外光を取り入れることができる。
図15(b)では、建物ユニット1を4個組み合わせ、建物ユニット1の長辺方向(X方向)に沿って連結される長辺方向用の付帯ユニット10Bを1階建物ユニット1に連結固定し、付帯ユニット10Bの上部にバルコニーBLを設置して、ユニット建物H8を構成している。この例では、図4に示されるように、付帯ユニット10Bの柱材11の上端面に形成した貫通孔21aにボルト等の固定具を通し、内部のナット28にねじ込んでバルコニー柱Bを固定することができる。このユニット建物H8では、下階の付帯ユニットの開口部S1を屋根材で塞いで外光を遮断してもよく、バルコニー床を透過した外光を取り入れるように構成してもよい。
図15(c)では、建物ユニット1を上下に4個組み合わせるとともにX方向の1階部分に1個の建物ユニット1を並べて5個の建物ユニットを組み合わせ、建物ユニットを4個組み合わせた部分と、1個の建物ユニットの1階の入隅部分に、短辺方向(Y方向)に沿って連結される付帯ユニット10を連結固定して、ユニット建物H9を構成している。この例でも、付帯ユニット10を玄関スペース等に有効利用することができると共に、1階に連結固定した付帯ユニット10の天井面に形成した開口部Sから外光を取り入れることができる。
図15(d)では、建物ユニット1を4個組み合わせ、1階の建物ユニット1の長辺方向(X方向)に沿って、短辺用の付帯ユニット10を連結固定して、ユニット建物H10を構成している。この例では、1階の建物ユニット1の内部空間を一部拡大することができると共に、1階に連結固定した付帯ユニット10の天井面に形成した開口部Sから外光を取り入れることができる。また、ユニット建物H10の外観に変化を与えることができる。なお、この例では、付帯ユニット10を連結する建物ユニット1の長辺方向の中間部に、付帯ユニットの柱材に合わせて中間柱を設置すると好ましい。
図15(e)では、建物ユニット1を4個組み合わせ、1階の建物ユニット1の短辺方向(Y方向)に沿って、1階の2つの建物ユニット1,1に連続するように付帯ユニット10Cを連結固定して、ユニット建物H11を構成している。この付帯ユニット10Cも、前記の付帯ユニット10,10Bと同様の構成であり、2つの側面を4本の梁材で連結して構成される。この例では、1階の2つの建物ユニット1,1に連続して内部空間を拡大することができるとともに、ユニット建物H11の外観に変化を与えることができる。また、1階に連結固定した付帯ユニット10Cの天井面に形成した広幅の開口部S2から外光を取り入れることができる。
本発明の付帯構造物のさらに他の態様を、図16,17を参照して説明する。図16に示す付帯ユニット10Dは、前記の実施形態と同様に、4本の柱材11と、柱材11の下端部を水平方向に連結する4本の下梁12,13と、柱材11の上端部を水平方向に連結する4本の上梁14,15とから直方体状に構成される。そして、付帯ユニット10Dは建物ユニット1の立面に付帯して連結され、建物ユニット1の立面を構成する柱材11,11に連結固定されるものであり、建物ユニット1の内部空間を拡大させる機能を有する。
この付帯ユニット10Dの特徴点は、直方体を構成する対向する2つの立面である側面にある。すなわち、側面16b,16bは上梁14,14が2本の柱材11,11の上端部に溶接等で剛接合され、下梁12,12はボルトナット等の固定具により柱材11,11の下端部に連結固定される点である。具体的には、例えば梁材の両端部にエンドプレートを溶接等で固着し、このエンドプレートと柱材とを貫通する孔にボルトを通してナットで固定する。そして、柱材11,11に上梁14と下梁12が連結固定された側面16b,16bの下端部に長辺方向の下梁13,13が連結され、同様に上端部に長辺方向の上梁15,15が連結され、下梁13,13間には必要に応じて床根太が連結され、上梁15,15間には接合部材を介して矩形フレーム40が固定され、付帯ユニット10Dが完成される。この矩形フレーム40は付帯ユニット10Dの天井面と同一面になるように固定される。なお、図示していないが、矩形フレーム50を付帯ユニット10Dの天井面を構成する上梁上に載置するように固定してもよい。
このように構成された側面16b,16bを有する付帯ユニット10Dは、柱材の上下端部に上梁と下梁が剛接合された側面と比較して柔軟に構成されているため、建物ユニット1に連結固定されたとき、付帯ユニット10Dに作用する風圧力や地震力(外力)を建物ユニットに適切に伝達することが可能となり、建物ユニット1と付帯ユニット10Dは一体的に外力に対抗することができる。また、付帯ユニット10Dも、天井面が矩形フレーム40(50)により補強されており、構造耐力を低下させることなく天井面に天窓等の開口を形成することができる。なお、付帯ユニット10Dでは上梁を剛接合して、下梁をボルトナット等の固定具による接合としたが、下梁を溶接等で剛接合し、上梁をボルトナット等の固定具による接合としてもよい。
図17に示す付帯ユニット10Eも、4本の柱材11と、柱材11の下端部を水平方向に連結する4本の下梁12,13と、柱材11の上端部を水平方向に連結する4本の上梁14,15とから直方体状に構成され、付帯ユニット10Eは建物ユニット1の立面に付帯して連結され、建物ユニット1の立面を構成する柱材11,11に連結固定されるものであり、建物ユニット1の内部空間を拡大させるものである。
この付帯ユニット10Eの特徴点は、直方体を構成する対向する2つの立面である側面にあり、側面16c,16cは上梁14,14が2本の柱材11,11の上端部にボルトナット等の固定具で接合され、下梁12,12もボルトナット等の固定具により柱材11,11の下端部に連結固定される点である。そして、柱材11,11に上梁14と下梁12が連結固定された側面16c,16cの下端部に長辺方向の下梁13,13が連結され、同様に上端部に長辺方向の上梁15,15が連結され、下梁13,13間には必要に応じて床根太が連結され、上梁15,15間には接合部材を介して矩形フレーム40が固定されて付帯ユニット10Eが完成される。
このように構成された側面16c,16cを有する付帯ユニット10Eは、柱材の上下端部に上梁と下梁が剛接合された側面や、上梁と下梁の一方が剛接合され、他方がボルトナット等で接合された側面と比較してさらに柔軟に構成されているため、建物ユニット1に連結固定されたとき、付帯ユニット10Eに作用する風圧力や地震力(外力)を建物ユニットに適切に伝達することが可能となり、建物ユニット1と付帯ユニット10Eは一体的に外力に対抗することができる。また、付帯ユニット10Eも、天井面が矩形フレーム40(50)により補強されており、構造耐力を低下させることなく天井面に天窓等の開口を形成することができる。
本発明に係る付帯構造物は、柱材と梁材との連結構造として、図18に示す変形例のように構成することもできる。この変形例では、固定接合に近い状態を回避するような連結構造を採用しており、梁材(下梁12)の端部にプレート12aを溶接し、このプレート12aの中央部に連結プレート12bをさらに溶接し、ボルトナットを挿通する貫通孔の間隔を小さくしている。このように構成することで、プレート12aが変形しやすく、柱と梁との連結部の柔軟性を向上させることができる。
図19は、付帯ユニットのさらに他の実施形態を示している。前記の各実施形態では、付帯ユニットは4本の柱材に4本の下梁及び4本の上梁が柱勝ちの仕様として形成されたものであったが、この実施形態では梁勝ちの仕様として形成されたものである。図19の付帯ユニット10Fでは、4本の上梁14a,14a,15a,15a同士が貫通孔に挿通されたボルトナット等の固定具で連結されて長方形状に形成され、長方形状に形成された4本の梁材の下方に4本の柱材11Aがボルトナット等の固定具で連結されている。柱材11Aの下方と4本の下梁との連結も、図示していないが同様に、4本の下梁同士がボルトナット等の固定具で長方形状に連結され、長方形状に形成された下梁の上部に4本の柱材の下端が連結される構成となっている。
梁勝ちに構成された付帯ユニット10Fでは、図示していないが前記の各実施形態と同様に、例えば上梁15a,15a間に接合部材を介して矩形フレームが固定され、天井面が補強されるため、天窓等を構造耐力を低下させずに設けることができる。このように、本発明に係る付帯構造物は、柱勝ちの構造や、梁勝ちの構造、あるいは柱勝ちと梁勝ちを組み合わせた構造等、適宜の構造を適用することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、ユニット建物として、建物ユニットを4つ、あるいは5つ用いた例を示したが、建物ユニットを2つ、あるいは3つ用いたものでもよく、さらに多数の建物ユニットを用いることができる。
また、3階以上のユニット建物に複数の付帯ユニットを連結固定してもよいことは勿論である。さらに、付帯ユニットを構成する柱材として、溝形鋼又はC形鋼の例を説明したが、H形鋼等の他の形状の鋼材を用いてもよい。水平ブレース材として、補助梁と構造部材との間にクロス状に備える例を示したが、一方の補助梁と構造部材との間に一方に傾斜させた水平ブレース材を装着し、他方の補助梁と構造部材との間に他方に傾斜させた水平ブレース材を装着するように構成してもよい。