JP5010406B2 - 建物ユニット及びユニット建物 - Google Patents

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Description

本発明は建物ユニット及びユニット建物に関する。
柱と梁を箱形に接合した建物ユニットにおいて、柱省略コーナー部を設けるとき、特許文献1に記載の如く、相交差する天井梁のそれぞれを柱省略コーナー部に設けられる短柱に突き合せ溶接している。
特開平9-165824
特許文献1に記載の建物ユニットでは、相交差する天井梁の間に短柱を介するため、複雑な構造になり、コスト高になる。
本発明の課題は、建物ユニットにおいて、相交差する天井梁と継ぎ天井梁を柱省略コーナー部で直に接合し、コスト低減することにある。
本発明の他の課題は、柱省略した広い連続空間を形成するユニット建物において、継ぎ天井梁同士を強固に接合し、柱省略に起因する強度低下を確実に補強することにある。
請求項1の発明は、相交差する天井梁と継ぎ天井梁を柱省略コーナー部で接合する建物ユニットにおいて、継ぎ天井梁が、柱省略コーナー部に仮に設けられる仮柱の上部に仮止め治具により仮止めされ、天井梁のためのジョイントピースが、仮柱の上部に仮止めされた継ぎ天井梁に対し、位置決め治具により位置決めされて溶接されてなるようにしたものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記仮止め治具が仮柱の上部エンドプレートと、該上部エンドプレートの上に載る継ぎ天井梁とを挟持するものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記位置決め治具が、継ぎ天井梁の上面に添設される上板と、継ぎ天井梁の側面に添設される側板とを有し、天井梁のためのジョイントピースの本体の端面が位置決め治具の側板に設けある位置決め部により水平方向と上下方向に位置出しされた状態で、ジョイントピースの本体から突出している取付片が継ぎ天井梁の取付部材に溶接されるようにしたものである。
請求項4の発明は、相隣る複数の建物ユニットとして請求項1に記載の建物ユニットを用いて構築されるユニット建物であって、相隣る複数の建物ユニットのそれぞれに定めた柱省略コーナー部を柱省略接合部にて互いに突き合せ配置し、相隣る建物ユニットの柱省略接合部を含む同一面内で該柱省略コーナー部に交差配置されている天井梁を継ぎ天井梁とし、相隣る建物ユニットのうちの一方側の建物ユニットの継ぎ天井梁の側から他方側の建物ユニットの継ぎ天井梁の側に延在する継ぎ材をそれらの継ぎ天井梁に添設し、継ぎ材の一端側を一方側の建物ユニットの継ぎ天井梁に接合し、継ぎ材の他端側を他方側の建物ユニットの継ぎ天井梁に接合するものであり、天井梁のジョイントピースと、継ぎ天井梁の間に、継ぎ材の挿入スペースを設けてなるようにしたものである。
請求項5の発明は、請求項4の発明において更に、相隣る建物ユニットのうちの一方側の建物ユニットの継ぎ天井梁の側から他方側の建物ユニットの継ぎ天井梁の側に延在する補強梁をそれらの継ぎ天井梁のウエブに添設し、補強梁の一端側を一方側の建物ユニットの柱まわりに接合し、補強梁の他端側を他方側の建物ユニットの柱まわりに接合するようにしたものである。
(請求項1)
(a)建物ユニットにおいて、継ぎ天井梁が、柱省略コーナー部に仮に設けられる仮柱の上部に仮止め治具により仮止めされ、天井梁のためのジョイントピースが、仮柱の上部に仮止めされた継ぎ天井梁に対し、位置決め治具により位置決めされて溶接される。従って、相直交する天井梁と継ぎ天井梁を柱省略コーナー部で直に接合し、コスト低減することができる。
(請求項2)
(b)仮止め治具が仮柱の上部エンドプレートと、該上部エンドプレートの上に載る継ぎ天井梁とを挟持するものであるようにしたから、継ぎ天井梁を仮柱の上部に簡易に仮止めできる。
(請求項3)
(c)位置決め治具が、継ぎ天井梁の上面に添設される上板と、継ぎ天井梁の側面に添設される側板とを有し、天井梁のためのジョイントピースの本体の端面が位置決め治具の側板に設けてある位置決め部により水平方向と上下方向に位置出しされた状態で、ジョイントピースの本体から突出している取付片が継ぎ天井梁の取付部材に溶接されるようにしたから、継ぎ天井梁に添設した位置決め治具により、ジョイントピースを継ぎ天井梁に簡易に位置決めして溶接できる。
(請求項4)
(d)相隣る建物ユニットの継ぎ天井梁同士をそれら継ぎ天井梁に添設する継ぎ材により接合することによって、継ぎ天井梁同士を強固に接合できる。従って、柱省略した広い連続空間を形成するユニット建物において、継ぎ天井梁同士を強固に接合し、柱省略に起因する強度低下を確実に補強することができる。
(e)相隣る建物ユニットのそれぞれにおいて、天井梁のジョイントピースと、継ぎ天井梁の間に、継ぎ材の挿入スペースを設けた。従って、上述(d)の継ぎ材を容易に設置できる。
(請求項5)
(f)上述(d)の継ぎ天井梁同士を、それらの概ね全長に渡って添設する長尺の補強梁により連結することによって、継ぎ天井梁同士を強固に接合できる。
図1はユニット建物の一例を示す斜視図、図2はユニット建物の他の例を示す斜視図、図3は図1のIII部の構造を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、図4は図1のIV部の構造を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、図5は図1のV部の構造を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、図6は仮柱を示す斜視図、図7は仮柱への継ぎ天井梁の取付状態を示す斜視図、図8はジョイントピースの継ぎ天井梁に対する位置決め状態を示し、(A)は位置決め治具の取付状態を示す斜視図、(B)はジョイントピースの取込状態を示す斜視図、(C)はジョイントピースの位置決め状態を示す斜視図、図9はジョイントピースと継ぎ天井梁の溶接状態を示し、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は正面図、図10は位置決め治具の取外し状態を示す斜視図、図11は補助柱の取付手順を示し、(A)は伸縮棒の取付状態を示す斜視図、(B)は補助柱の取付状態を示す斜視図、(C)は伸縮棒の取外し状態を示す斜視図、図12は仮柱の取外し手順を示す側面図、図13はユニット建物の一例を示し、(A)は建物ユニットの据付状態を示す模式平面図、(B)は建物ユニットの補強状態を示す模式平面図、図14は継ぎ天井梁と継ぎ材を示す斜視図、図15は位置決め治具を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図である。
図1、図2の柱省略建物ユニット10は、角鋼管製柱11とC形鋼製床梁12とC形鋼製天井梁13を箱形に接合した骨組構造体であり、相交差する床梁12の接合部、天井梁13の接合部をコーナー部とする。柱省略建物ユニット10は、少なくとも1個、図1では1個のコーナー部、図2では相隣る2個のコーナー部を柱省略コーナー部14としてなるものである。
柱省略建物ユニット10の天井梁13において、柱11が存在するコーナー部と柱省略コーナー部14の間に延在される天井梁13は、継ぎ天井梁13Aとされる。継ぎ天井梁13Aは、概ね全長に渡る各部の断面強度を他の天井梁13の断面強度より高くし(例えば継ぎ天井梁13Aの板厚を他の天井梁13の板厚より厚くする)、本実施例ではリップ付きC形鋼からなるものとしている。
柱省略建物ユニット10は、柱11が存在するコーナー部(III部)で、図3に示す如く、相交差する床梁12、12の接合構造を以下の如くにしている。柱11の下端部の相交差する2面のそれぞれに固定されるC形鋼ジョイントピース11Aに妻側(短辺側)と桁側(長辺側)の各床梁12の端部を抱持させて接続する。
柱省略建物ユニット10は、柱11が存在するコーナー部(IV部)で、図4に示す如く、相交差する継ぎ天井梁13A、天井梁13の接合構造を以下の如くにしている。柱11の上端部の相交差する2面のそれぞれに固定されるC形鋼ジョイントピース11Bに妻側の継ぎ天井梁13Aと桁側の天井梁13の端部を抱持させて接続する。
柱省略建物ユニット10は、柱省略コーナー部14(V部)で、図5に示す如く、相交差する床梁12、12の接合構造を以下の如くにしている。相交差する床梁12の交差部に短柱15を設け、短柱15の相交差する2面のそれぞれに固定されるC形鋼ジョイントピース15Aに妻側と桁側の各床梁12の端部を抱持させて接続する。
柱省略建物ユニット10は、柱省略コーナー部14(VI部)で、相交差する継ぎ天井梁13Aと天井梁13の接合構造を以下の如くにしている。
(1)柱省略コーナー部14に、建物ユニット10の製造過程、建設現場への輸送据付段階で仮に設けられる仮柱20の上部に、継ぎ天井梁13Aが仮止め治具100により仮止めされる。
仮柱20は、図6に示す如く、上部エンドプレート21を上端部に備える。継ぎ天井梁13Aは、図7に示す如く、リップ付きC形鋼からなる本体41の自由端側のウエブ内面に四角筒状の取付部材42を溶接等により一体化されて備える。
位置決め治具100は、図7に示す如く、仮柱20の上部エンドプレート21と、上部エンドプレート21の上に載る継ぎ天井梁13Aの本体41の下フランジとを挟持する。本体41の下フランジの上面に仮止め板101を添設し、上部エンドプレート21の下側から上部エンドプレート21と本体41の下フランジに設けたボルト孔に挿通されるボルト102を、仮止め板101のナット101Aに締結される。これにより、継ぎ天井梁13Aの本体41のリップ面が建物ユニット10の内側で、仮柱20の側面に面一とされる。
(2)天井梁13のためのジョイントピース30が、仮柱20の上部に仮止めされた継ぎ天井梁13Aに対し、継ぎ天井梁13Aの本体41に取付けられる位置決め治具200により位置決めされて溶接される。
位置決め治具200は、図15に示す如く、継ぎ天井梁13Aの本体41の上フランジの上面に添設される上板201と、継ぎ天井梁13Aの本体41のリップ外面、本実施例では更に仮柱20の側面に添設される側板202とを有する。上板201と側板202は互いに直交配置される。
位置決め治具200にあっては、アイボルト203が、図8(A)に示す如く、上板201の中央ボルト孔201Aから継ぎ天井梁13Aの本体41の上フランジに設けたボルト孔41Aに挿通され、本体41の上フランジの下面に設けたナットに締結され、結果として位置決め治具200が継ぎ天井梁13Aの本体41に取付けられる。
天井梁13のためのジョイントピース30の本体31の上下のフランジの端面が位置決め治具200の側板202の上下各2ヶ所に突設してある位置決め部204A、204B(図15)に衝合して水平方向(継ぎ天井梁13Aの長手方向に直交する水平方向(X方向))に位置出しされる。また、ジョイントピース30の本体31のウエブの中央部分から舌片状に突出している取付片32の内面が側板202の側縁にて形成してある位置決め部205に衝合して水平方向(継ぎ天井梁13Aの長手方向に沿う水平方向(Y方向))に位置出しされる。また、ジョイントピース30の本体31の上フランジの上縁が側板202の上縁に設けてある位置決め部206(図15)に合致されて上下方向(Z方向)に位置出しされる(図8(B)、(C))。
位置決め治具200に対するジョイントピース30の上述の位置出し状態で、図9に示す如く、ジョイントピース30の取付片32が継ぎ天井梁13Aの取付部材42に当接せしめられ、アーク溶接される(図9のアーク溶接部32A、32B)。これにより、ジョイントピース30に抱持される天井梁13と、継ぎ天井梁13Aとが直交をなして連結され、天井梁13の上フランジの上面は継ぎ天井梁13Aの上フランジの上面に面一をなすように設定される。また、ジョイントピース30の本体31、取付片32の外面は床梁12の短柱15、ジョイントピース15Aの外面と面一をなすように設定される。また、天井梁13のジョイントピース30の本体31の上下のフランジ及びウエブと、継ぎ天井梁13Aの本体41の上下のリップの間に、後述する継ぎ材61、71の挿入スペース(図9のG1、G2)が設けられる。
アイボルト203による位置決め治具200と継ぎ天井梁13Aの本体41との取付けを外す。更に、位置決め治具200の上板201において、図10に示す如く、継ぎ天井梁13Aの本体41の上フランジの上面に臨むように設けてある切欠部206に、バール207を入れて位置決め治具200を継ぎ天井梁13Aの本体41から取外す。
(3)継ぎ天井梁13Aの中間部と床梁12の中間部の間に補助柱50を取付ける(図11)。まず、継ぎ天井梁13Aと床梁12の間に伸縮棒51を介装し、継ぎ天井梁13Aを持ち上げる(図11(A))。次に、継ぎ天井梁13Aと床梁12の間に補助柱50を挟み入れ、補助柱50の上下端部のそれぞれを継ぎ天井梁13Aと床梁12のそれぞれにボルト止めする(図11(B))。次に、伸縮棒51を取外す(図11(C))。
(4)仮柱20を取外す。仮止め治具100の仮止め板101のナット101Aからボルト102を外し、仮止め治具100による仮柱20の上部エンドプレート21と継ぎ天井梁13Aの本体41の下フランジとの締結を解く。仮柱20を継ぎ天井梁13Aから取外す(図12)。このとき、仮柱20の下端部を短柱15から取外す。
次に、柱省略建物ユニット10を用いて構築されるユニット建物1の一例について説明する(図13)。
ユニット建物1にあっては、4個の柱省略建物ユニット10(10A〜10D)のそれぞれに定めた柱省略コーナー部を柱省略接合部2にて互いに突き合せ配置する。
相対応する柱省略建物ユニット10Aと柱省略建物ユニット10Bの間で、両者の柱省略接合部2を含む同一面内でそれらの柱省略コーナー部に交差配置されている天井梁を前述の継ぎ天井梁13Aとする。
相対応する柱省略建物ユニット10Cと柱省略建物ユニット10Dの間でも、両者の柱省略接合部2を含む同一面内でそれらの柱省略コーナー部に交差配置されている天井梁を前述の継ぎ天井梁13Aとする。
従って、ユニット建物1は、柱省略接合部2を含む同一面内で継ぎ天井梁13Aを有するように相隣る柱省略建物ユニットの組を2組有し、一方の組を構成するように相隣る柱省略建物ユニット10A及び10Bと、他方の組を構成するように相隣る柱省略建物ユニット10C及び10Dとの間に、それらの継ぎ天井梁13Aが互いに相対して形成する一定の据付間隔を設ける。
以下、ユニット建物1において、柱省略建物ユニット10A〜10Dの継ぎ天井梁13A同士を強固に接合し、柱省略に起因する強度低下を補強する構造について説明する。
(1)図13、図14に示す如く、柱省略建物ユニット10Aの継ぎ天井梁13Aの下フランジの側から、柱省略建物ユニット10Bの継ぎ天井梁13Aの下フランジの側にU字状の継ぎ材61と両側リップ付き平板状の補助継ぎ板62を延在する。継ぎ材61の水平板61Aと垂直板61Bと垂直板61Cが両継ぎ天井梁13Aの下フランジとウエブ下部と下リップの外面に添設される。補助継ぎ板62は両継ぎ天井梁13Aの下フランジの内面に添設される。
継ぎ材61、補助継ぎ板62の一端側で、3本の高力ボルト63を継ぎ材61の水平板61A、補助継ぎ板62、継ぎ天井梁13Aの下フランジのそれぞれに設けたボルト挿通孔に挿通し、高力ボルト63の挿通端にナット63Aを締め付ける。継ぎ材61、補助継ぎ板62の他端側でも、3本の高力ボルト63を継ぎ材61の水平板61A、補助継ぎ板62、継ぎ天井梁13Aの下フランジのそれぞれに設けたボルト挿通孔に挿通し、高力ボルト63の挿通端にナット63Aを締め付ける。これにより、継ぎ材61、補助継ぎ板62の一端側を柱省略建物ユニット10Aの継ぎ天井梁13Aに剛接合し、継ぎ材61、補助継ぎ板62の他端側を柱省略建物ユニット10Bの継ぎ天井梁13Aに剛接合する。本発明の実施において、高力ボルトとしては、トルシア形、六角ボルト形等を採用できる。
(2)図13、図14に示す如く、柱省略建物ユニット10Cの継ぎ天井梁13Aの下フランジの側から、柱省略建物ユニット10Dの継ぎ天井梁13Aの下フランジの側にも、上述(1)と同様にして、継ぎ材61と補助継ぎ板62を添設し、それら継ぎ材61と補助継ぎ板62をそれら柱省略建物ユニット10C、10Dの継ぎ天井梁13Aに剛接合する。
(3)図13に示す如く、相隣る柱省略建物ユニット10A及び10Bの組と、相隣る柱省略建物ユニット10C及び10Dの組の間の前述した据付間隔内に、それら2組の柱省略建物ユニット10A及び10Bと、柱省略建物ユニット10C及び10Dに対し共通にされる補助梁80を挿入して配置する。
補助梁80は、長尺板材からなり、柱省略接合部2の一端側にて相対する柱省略建物ユニット10A、10Cの継ぎ天井梁13A、13Aの据付間隔から、柱省略接合部2の他方側にて相対する柱省略建物ユニット10B、10Dの継ぎ天井梁13A、13Aの据付間隔に渡って設けられる。
補強梁80は、それら柱省略建物ユニット10A〜10Dの継ぎ天井梁13Aのウエブに添設される。補強梁80の両端部は、柱省略接合部2の左右の一方側にて相対する2個の柱省略建物ユニット10A、10Cの各柱11と、柱省略接合部2の他端側にて相対する2個の柱省略建物ユニット10B、10Dの各柱11のそれぞれに接続される。このとき、補強梁80の両端部は、高力ボルトを用いた継ぎ天井梁13A、ジョイントピース11Bとの高力ボルト接合を介して柱11に接続される。補強梁80の中央部は、相対する2個の柱省略建物ユニット10A、10Cの継ぎ天井梁13Aに高力ボルト接合され、相対する2個の柱省略建物ユニット10B、10Dの継ぎ天井梁13Aに高力ボルト接合される。
このとき、補強梁80は、前述(1)、(2)により柱省略建物ユニット10A〜10Dの継ぎ天井梁13Aに添設される前述の継ぎ材61の垂直板61Bの上から該継ぎ天井梁13Aのウエブに添設される。
(4)図13、図14に示す如く、柱省略建物ユニット10Aの継ぎ天井梁13Aの上フランジの側から、柱省略建物ユニット10Bの継ぎ天井梁13Aの上フランジの側にU字状の継ぎ材71と両側リップ付き平板状の補助継ぎ板73を延在する。継ぎ材71の水平板71Aと垂直板71Bと垂直板71Cが両継ぎ天井梁13Aの上フランジとウエブ上部と上リップの外面に添設される。補助継ぎ板72は両継ぎ天井梁13Aの上フランジの内面に添設される。
継ぎ材71、補助継ぎ板72の一端側で、3本の高力ボルト73を継ぎ材71の水平板71A、補助継ぎ板72、継ぎ天井梁13Aの上フランジのそれぞれに設けたボルト挿通孔に挿通し、高力ボルト73の挿通端にナット73Aを締め付ける。継ぎ材71、補助継ぎ板72の他端側でも、3本の高力ボルト73を継ぎ材71の水平板71A、補助継ぎ板72、継ぎ天井梁13Aの上フランジのそれぞれに設けたボルト挿通孔に挿通し、高力ボルト73の挿通端にナット73Aを締め付ける。これにより、継ぎ材71、補助継ぎ板72の一端側を柱省略建物ユニット10Aの継ぎ天井梁13Aに剛接合し、継ぎ材71、補助継ぎ板72の他端側を柱省略建物ユニット10Bの継ぎ天井梁13Aに剛接合する。
(5)図13、図14に示す如く、柱省略建物ユニット10Cの継ぎ天井梁13Aの上フランジの側から、柱省略建物ユニット10Dの継ぎ天井梁13Aの上フランジの側にも、上述(4)と同様にして、継ぎ材71と補助継ぎ板72を添設し、それら継ぎ材71と補助継ぎ板72をそれら柱省略建物ユニット10C、10Dの継ぎ天井梁13Aに剛接合する。
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)柱省略建物ユニット10において、継ぎ天井梁13Aが、柱省略コーナー部14に仮に設けられる仮柱20の上部に仮止め治具100により仮止めされ、天井梁13のためのジョイントピース30が、仮柱20の上部に仮止めされた継ぎ天井梁13Aに対し、位置決め治具200により位置決めされて溶接される。従って、相直交する天井梁13と継ぎ天井梁13Aを柱省略コーナー部14で直に接合し、コスト低減することができる。
(b)仮止め治具100が仮柱20の上部エンドプレート21と、該上部エンドプレート21の上に載る継ぎ天井梁13Aとを挟持するものであるようにしたから、継ぎ天井梁13Aを仮柱20の上部に簡易に仮止めできる。
(c)位置決め治具200が、継ぎ天井梁13Aの上面に添設される上板201と、継ぎ天井梁13Aの側面に添設される側板202とを有し、天井梁13のためのジョイントピース30の本体31の端面が位置決め治具200の側板202に設けてある位置決め部204A、204B、205、206により水平方向と上下方向に位置出しされた状態で、ジョイントピース30の本体31から突出している取付片32が継ぎ天井梁13Aの取付部材42に溶接されるようにしたから、継ぎ天井梁13Aに添設した位置決め治具200により、ジョイントピース30を継ぎ天井梁13Aに簡易に位置決めして溶接できる。
(d)相隣る柱省略建物ユニット10の継ぎ天井梁13A同士をそれら継ぎ天井梁13Aに添設する継ぎ材61、71により接合することによって、継ぎ天井梁13A同士を強固に接合できる。従って、柱省略した広い連続空間を形成するユニット建物1において、継ぎ天井梁13A同士を強固に接合し、柱省略に起因する強度低下を確実に補強することができる。
(e)相隣る柱省略建物ユニット10のそれぞれにおいて、天井梁13のジョイントピース30と、継ぎ天井梁13Aの間に、継ぎ材61、71の挿入スペースGを設けた。従って、上述(d)の継ぎ材61、71を容易に設置できる。
(f)上述(d)の継ぎ天井梁13A同士を、それらの概ね全長に渡って添設する長尺の補強梁80により連結することによって、継ぎ天井梁13A同士を強固に接合できる。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
図1はユニット建物の一例を示す斜視図である。 図2はユニット建物の他の例を示す斜視図である。 図3は図1のIII部の構造を示し、(A)は正面図、(B)は平面図である。 図4は図1のIV部の構造を示し、(A)は正面図、(B)は平面図である。 図5は図1のV部の構造を示し、(A)は正面図、(B)は平面図である。 図6は仮柱を示す斜視図である。 図7は仮柱への継ぎ天井梁の取付状態を示す斜視図である。 図8はジョイントピースの継ぎ天井梁に対する位置決め状態を示し、(A)は位置決め治具の取付状態を示す斜視図、(B)はジョイントピースの取込状態を示す斜視図、(C)はジョイントピースの位置決め状態を示す斜視図である。 図9はジョイントピースと継ぎ天井梁の溶接状態を示し、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は正面図である。 図10は位置決め治具の取外し状態を示す斜視図である。 図11は補助柱の取付手順を示し、(A)は伸縮棒の取付状態を示す斜視図、(B)は補助柱の取付状態を示す斜視図、(C)は伸縮棒の取外し状態を示す斜視図である。 図12は仮柱の取外し手順を示す側面図である。 図13はユニット建物の一例を示し、(A)は建物ユニットの据付状態を示す模式平面図、(B)は建物ユニットの補強状態を示す模式平面図である。 図14は継ぎ天井梁と継ぎ材を示す斜視図である。 図15は位置決め治具を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図である。
符号の説明
1 建物ユニット
2 柱省略接合部
10 柱省略建物ユニット(建物ユニット)
13 天井梁
13A 継ぎ天井梁
14 柱省略コーナー部
20 仮柱
21 上部エンドプレート
30 ジョイントピース
31 本体
32 取付片
42 取付部材
61、71 継ぎ材
80 補強梁
100 仮止め治具
200 位置決め治具
201 上板
202 側板
204A、204B、205、206 位置決め部

Claims (5)

  1. 相交差する天井梁と継ぎ天井梁を柱省略コーナー部で接合する建物ユニットにおいて、
    継ぎ天井梁が、柱省略コーナー部に仮に設けられる仮柱の上部に仮止め治具により仮止めされ、
    天井梁のためのジョイントピースが、仮柱の上部に仮止めされた継ぎ天井梁に対し、位置決め治具により位置決めされて溶接されてなることを特徴とする建物ユニット。
  2. 前記仮止め治具が仮柱の上部エンドプレートと、該上部エンドプレートの上に載る継ぎ天井梁とを挟持するものである請求項1に記載の建物ユニット。
  3. 前記位置決め治具が、継ぎ天井梁の上面に添設される上板と、継ぎ天井梁の側面に添設される側板とを有し、
    天井梁のためのジョイントピースの本体の端面が位置決め治具の側板に設けてある位置決め部により水平方向と上下方向に位置出しされた状態で、ジョイントピースの本体から突出している取付片が継ぎ天井梁の取付部材に溶接される請求項1又は2に記載の建物ユニット。
  4. 相隣る複数の建物ユニットとして請求項1に記載の建物ユニットを用いて構築されるユニット建物であって、
    相隣る複数の建物ユニットのそれぞれに定めた柱省略コーナー部を柱省略接合部にて互いに突き合せ配置し、
    相隣る建物ユニットの柱省略接合部を含む同一面内で該柱省略コーナー部に交差配置されている天井梁を継ぎ天井梁とし、
    相隣る建物ユニットのうちの一方側の建物ユニットの継ぎ天井梁の側から他方側の建物ユニットの継ぎ天井梁の側に延在する継ぎ材をそれらの継ぎ天井梁に添設し、継ぎ材の一端側を一方側の建物ユニットの継ぎ天井梁に接合し、継ぎ材の他端側を他方側の建物ユニットの継ぎ天井梁に接合するものであり、
    天井梁のジョイントピースと、継ぎ天井梁の間に、継ぎ材の挿入スペースを設けてなるユニット建物。
  5. 相隣る建物ユニットのうちの一方側の建物ユニットの継ぎ天井梁の側から他方側の建物ユニットの継ぎ天井梁の側に延在する補強梁をそれらの継ぎ天井梁のウエブに添設し、補強梁の一端側を一方側の建物ユニットの柱まわりに接合し、補強梁の他端側を他方側の建物ユニットの柱まわりに接合する請求項4に記載のユニット建物。
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