以下、実施形態を図面を用いて説明する。図中、太線で示した信号線は、複数本で構成されている。太線が接続されているブロックの一部は、複数の回路で構成されている。信号が伝達される信号線には、信号名と同じ符号を使用する。末尾に”X”が付いている信号は、負論理を示している。図中の二重の四角印は、外部端子を示している。外部端子は、例えば、半導体チップ上のパッド、あるいは半導体チップが収納されるパッケージのリードである。外部端子を介して供給される信号には、端子名と同じ符号を使用する。
図1は、一実施形態における半導体メモリMEMの例を示している。例えば、半導体メモリMEMは、スタティックRAMである。半導体メモリMEMは、クロック信号に同期して動作してもよく、クロック信号に非同期で動作してもよい。半導体メモリMEMは、パッケージに封入された半導体メモリ装置として設計されてもよく、システムLSI等に搭載されるメモリマクロ(IP)として設計されてもよい。
半導体メモリMEMは、複数のリアルメモリセルMCと、センスアンプSAと、複数のレプリカ部REP(REP1−REPn)を有するレプリカ回路REPCと、動作制御回路CNTとを有している。リアルメモリセルMCは、リアルワード線WLにそれぞれ接続され、かつ共通のリアルビット線BLに接続されている。なお、メモリセルMCの数は1つでもよい。以下の説明では、リアルメモリセルMCをメモリセルMCとも称し、リアルワード線WLをワード線WLとも称し、リアルビット線BLをビット線BLとも称する。
メモリセルMCは、ワード線WLのいずれかの活性化に応答して選択されて読み出しアクセスされ、保持しているデータをビット線BLに出力する。例えば、ワード線WLは、読み出しコマンドRDとともに供給されるアドレス信号に応じて選択される。センスアンプSAは、ビット線BLに読み出されるデータの信号量を、読み出しコマンドRDに応答して活性化されるセンスアンプイネーブル信号SAEに応答して増幅する。センスアンプSAは、増幅したデータを読み出しデータDOUTとして出力する。
特に限定されないが、レプリカ部REP(REP1−REPn)は、互いに同じ回路である。このため、初段のレプリカ部REP1について説明する。レプリカ部REP1は、ダミーワード線DWL1とダミービット線DBL1との間に並列に接続されたm個のダミーメモリセルDMC(DMC1−DMCm)を有している。ダミーメモリセルDMC1−DMCmは、同じ論理のデータを保持している。
ダミーメモリセルDMCの素子構成は、リアルメモリセルMCの素子構成と同じである。すなわち、ダミーメモリセルDMCを形成するpMOSトランジスタおよびnMOSトランジスタは、リアルメモリセルMCを形成するpMOSトランジスタおよびnMOSトランジスタと同じ構造および電気的特性を有している。リアルメモリセルMCおよびダミーメモリセルDMCの回路例は、図7および図8に示す。
例えば、レプリカ部REP1−REPnのダミーメモリセルDMCの総数(m×n個)は、ビット線BLに接続されたメモリセルMCの数より少ない。このため、ダミーメモリセルDMCは、メモリセルMCと同様に、ビット線BLの配線方向に沿って、一列に配置可能である。これは、以下の実施形態でも同様である。レプリカ部REP1−REPnで使用されないダミーメモリセルDMCは、形状ダミーとして配置される。これにより、ダミーメモリセルDMCとメモリセルMCの配置間隔を互いに同じにでき、ダミーメモリセルDMCとメモリセルMCの電気的特性を互いに同じにできる。なお、ダミーメモリセルDMCの総数が、ビット線BLに接続されたメモリセルMCの数より多いとき、ダミーメモリセルDMCは、ビット線BLの配線方向に沿って複数列に配置される。
初段のレプリカ部REP1は、ダミーアクセス信号DACに応答して活性化されるダミーワード線信号DWL1に応答して、ダミーメモリセルDMC1−DMCmから読み出されるデータをダミービット線DBL1に出力する。2段目以降のレプリカ部REP2−REPnは、前段のレプリカ部REPのダミービット線DBL(DBL1−DBLn−1)に読み出されるデータに応答して、対応するダミーワード線信号DWL(DWL2−DWLn)を活性化し、ダミーメモリセルDMCを読み出しアクセスする。そして、レプリカ部REP2−REPnは、ダミーメモリセルDMC1−DMCmから読み出されるデータを、順次にダミービット線DBL(DBL2−DBLn)に出力する。
動作制御回路CNTは、読み出しコマンドRDに応答して、初段のレプリカ部REP1のダミーメモリセルDMCに読み出しアクセスするためのダミーアクセス信号DACを活性化する。また、動作制御回路CNTは、最終段のレプリカ部REPnのダミービット線DBLnに読み出されるデータに応答してセンスアンプイネーブル信号SAEを活性化する。
この実施形態では、各レプリカ部REPにおいて、同時にアクセスされるm個のダミーメモリセルDMCから共通のダミービット線DBL(DBL1−DBLn)にデータが読み出される。また、各ダミービット線DBLの長さ(負荷容量)は、リアルビット線BLの約1/nである。このため、ダミービット線DBLの電圧変化の速度は、1つのメモリセルMCから読み出されるデータによるビット線BLの電圧低下の速度のほぼm倍になる。換言すれば、ダミーワード線信号DWL(DWL1−DWLn)の活性化に応答するダミービット線DBL(DBL1−DBLn)の電圧低下量は、ワード線WLの活性化に応答するビット線BLの電圧低下量のほぼm倍である。
一方、n個のレプリカ部REP1−REPnは、直列に接続されている。このため、ダミーアクセス信号DACの活性化に応答する最終のダミービット線DBLnの電圧低下の速度は、ワード線WLの活性化に応答するビット線BLの電圧低下の速度のm/n倍と見なすことができる。したがって、直列に接続されるレプリカ部REPの数を増やすことで、センスアンプイネーブル信号SAEを生成するために使用されるダミーメモリセルDMCの数を増やすことができる。
一般に、閾値電圧等のトランジスタ特性は、正規分布を示す。このため、センスアンプイネーブル信号SAEを生成するために使用されるダミーメモリセルDMCの数が多いほど、ダミーメモリセルDMCのトランジスタ特性のばらつきを平均化することができる。これにより、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングのばらつきを小さくできる。したがって、センスアンプイネーブル信号SAEの生成に使用するダミーメモリセルDMCを増やすほど、センスアンプSAの活性化タイミングがトランジスタ特性に依存して変化することを防止できる。さらに、従来では、ダミーメモリセルDMCの数を増やすと、ダミービット線DBL1の電圧低下の速度が上がり、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングは早くなる。このため、ダミーメモリセルDMCの数は、むやみに増やすことができなかった。この実施形態では、ダミーメモリセルDMCの数の制限をなくすことができる。
以上、この実施形態では、センスアンプSAの活性化タイミングを生成するために使用されるダミーメモリセルDMCの数を増やすことができる。これにより、ダミーメモリセルDMCのトランジスタ特性のばらつきを十分に平均化することができ、センスアンプSAの活性化タイミングを最適にできる。例えば、トランジスタの閾値電圧が製造条件の変動によりシフトしても、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングが大きくずれることを防止できる。この結果、半導体メモリMEMの読み出しマージンを向上でき、半導体メモリMEMの良品率である歩留を向上できる。
図2は、別の実施形態における半導体メモリMEMの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。例えば、半導体メモリMEMは、スタティックRAMである。半導体メモリMEMは、クロック信号CLKに同期して動作するが、クロック信号CLKに非同期で動作してもよい。
例えば、半導体メモリMEMは、メモリコントローラMCNTとともにシステムSYSに搭載される。メモリコントローラMCNTは、半導体メモリMEMのアクセスを制御するために、ライトイネーブル信号WEX、アドレス信号ADおよび書き込みデータ信号I/Oを半導体メモリMEMに出力し、読み出しデータ信号I/Oを半導体メモリMEMから受ける。半導体メモリMEMおよびメモリコントローラMCNTは、パッケージに封入された半導体装置として設計されてもよく、システムLSI等に搭載されるメモリマクロ(IP)として設計されてもよい。
半導体メモリMEMは、例えば、シリコン基板上にCMOSプロセスを使用して形成されている。半導体メモリMEMは、内部電圧生成回路VGEN、動作制御回路CNT、ロウデコーダRDEC、カラムデコーダCDEC、レプリカ回路REPC、メモリセルアレイARY、カラム選択回路CSEL、データ制御回路DCNTおよびセンスアンプSAを有している。メモリセルアレイARYの例は図3に示す。
内部電圧生成回路VGENは、外部電源電圧IOVDDを用いて、例えば、ワード線WL(図3)の高レベル電圧CVDDを生成する。高レベル電圧CVDDは、メモリセルMC(図3)の電源およびダミーワード線DWL1−DWLn(図3)の高レベル電圧としても使用される。高レベル電圧VCDDは、外部電源電圧IOVDDより低く、外部電源電圧VDDより高い。外部電源電圧IOVDDは、データ端子I/Oに接続されるデータ入力バッファの電源端子およびデータ出力バッファの電源端子に供給される。外部電源電圧VDDは、外部電源電圧IOVDDおよび高レベル電圧CVDDが供給される回路を除く回路の電源端子に供給される。
動作制御回路CNTは、例えば、ライトイネーブル信号WEXおよびアドレス信号ADをクロック信号CLKに同期して受ける。動作制御回路CNTは、ライトイネーブル信号WEXが高レベルのときに、読み出しコマンドを認識し、アドレス信号ADが示すメモリセルMCに対して読み出しアクセス動作を実行する。動作制御回路CNTは、ライトイネーブル信号WEXが低レベルのときに、書き込みコマンドを認識し、アドレス信号ADが示すメモリセルMCに対して書き込みアクセス動作を実行する。動作制御回路CNTは、アドレス信号ADのプリデコーダPDEC(図3)を有している。動作制御回路CNTの例は図3に示す。
ロウデコーダRDECは、読み出しアクセス動作時および書き込みアクセス動作時に、動作制御回路CNTから供給されるロウプリデコード信号に応じて、ワード線WLのいずれかを活性化する。カラムデコーダCDECは、読み出しアクセス動作時および書き込みアクセス動作時に、動作制御回路CNTから供給されるカラムプリデコード信号に応じて、カラム選択信号線COL(図3)のいずれかを活性化する。レプリカ回路REPCは、センスアンプSAの活性化タイミングを生成するために、複数のダミーメモリセルDMC1−DMCm(図4)および複数のダミービット線DBL1−DBLn(図4)を有している。ロウデコーダRDEC、カラムデコーダCDECおよびレプリカ回路REPCの例は、図3および図4に示す。
カラム選択回路CSELは、活性化されるカラム選択信号COLに対応するビット線対BL、BLX(図3)をデータ制御回路DCNTまたはセンスアンプSAに接続する。データ制御回路DCNTは、書き込みアクセス動作時に動作し、データ端子I/Oで受ける書き込みデータをカラム選択回路CSELに供給する。カラム選択回路CSELの例は図8に示す。センスアンプSAは、読み出しアクセス動作時に、カラム選択回路CSELから供給される読み出しデータの信号量を増幅し、増幅した読み出しデータをデータ端子I/Oに出力する。センスアンプSAの例は図10に示す。
図3は、図2に示した半導体メモリMEMの回路の例を示している。図3では、レプリカ回路REPCは、ロウデコーダRDECの左側に配置されているが、実際の回路では、レプリカ回路REPCは、ロウデコーダRDECとメモリセルアレイARYの間に配置される。
レプリカ回路REPCは、複数のレプリカ部REP(REP1、REP2、...、REPn)と、これらレプリカ部REPにそれぞれ対応するレベルシフタLSおよびプリチャージトランジスタPTを有している。各レプリカ部REPは、対応するダミービット線DBL(DBL1、DBL2、...、DBLn)に並列に接続された複数のダミーメモリセルDMC1−DMCm(図4)を有している。レプリカ部REPの例は、図4に示す。
各レベルシフタLSは、高レベル電圧VDDの入力信号を高レベル電圧CVDDに変換して出力する。初段のレプリカ部REP1に対応するレベルシフタLSは、ダミーアクセス信号DACの高レベル電圧VDDを高レベル電圧CVDDに変換し、ダミーワード線DWL1に出力する。
2段目以降のレプリカ部REP2−REPnに対応するレベルシフタLSは、前段からのダミービット線DBL(DBL1、DBL2、...、DBLn−1)をCMOSインバータで反転した信号を受け、ダミーワード線信号DWL(DWL2、DWL3、...、DWLn)として出力する。2段目以降のレプリカ部REP2−REPnに対応するレベルシフタLSも、高レベル電圧VDDの入力信号を高レベル電圧CVDDに変換して出力する。レベルシフタLSの例は、図6に示す。
各プリチャージトランジスタPTは、例えば、pMOSトランジスタで形成される。プリチャージトランジスタPTは、対応するダミーワード線DWLが低レベルのときにオンし、対応するダミービット線DBLを高レベルVDDに設定する。
この実施形態では、動作制御回路CNTからのダミーアクセス信号DACのレベル変化が、レプリカ部REP1、REP2、...、REPnに順次に伝達される。動作制御回路CNTは、最終のダミービット線DBLnのレベル変化に応答してセンスアンプイネーブル信号SAEを活性化する。
動作制御回路CNTは、ダミーワード線信号生成部DWLGEN、プリデコーダPDEC、パルスジェネレータPGおよびバッファ回路BUF1、BUF2を有している。ダミーワード線信号生成部DWLGENは、トランジスタ列TRC、遅延回路DLYおよびラッチ回路LTを有している。動作制御回路CNTは、クロック信号CLKの立ち上がりエッジに同期してダミーアクセス信号DACを高レベルに活性化する。また、動作制御回路CNTは、ダミービット線DBLnの低レベルをリセット信号RSTとして検出したときに、ダミーアクセス信号DACを低レベルに非活性化する。さらに、動作制御回路CNTは、読み出しアクセス動作時に、ダミーアクセス信号DACの非活性化に同期して、センスアンプイネーブル信号SAEを所定の期間高レベルに活性化する。
トランジスタ列TRCは、電源線VDDと接地線VSSの間に直列に配置されたpMOSトランジスタP1およびnMOSトランジスタN1、N2を有している。遅延回路DLYは、クロック信号CLKを所定時間遅延し、論理を反転した信号を遅延クロック信号DCLKXとしてnMOSトランジスタN2のゲートに出力する。nMOSトランジスタN1のゲートは、クロック信号CLKを受けている。pMOSトランジスタP1のゲートは、リセット信号RSTを受けている。リセット信号RSTは、バッファ回路BUF1を介してダミービット線DBLnと同じ論理レベルに設定される。
ラッチ回路LTは、トランジスタP1、N1の接続ノードND1に接続され、接続ノードND1の論理を反転した信号をダミーアクセス信号DACとしてプリデコーダPDEC、パルスジェネレータPGおよびレプリカ回路REPCに出力する。プリデコーダPDECは、ダミーアクセス信号DACの高レベル期間に動作し、アドレス信号ADに応じて、ロウプリデコード信号およびカラムプリデコード信号を生成する。特に限定されないが、ロウプリデコード信号は、アドレス信号ADの上位側のビットを用いて生成され、カラムプリデコード信号は、アドレス信号ADの下位側のビットを用いて生成される。
パルスジェネレータPGは、ライトイネーブル信号WEXが高レベルのときに動作し、ダミーアクセス信号DACの立ち下がりエッジに同期してパルス信号PLSを生成する。なお、高レベルのライトイネーブル信号WEXは、読み出しアクセスサイクルを示す。バッファ回路BUF2は、パルス信号PLSをセンスアンプイネーブル信号SAEとして出力する。
ロウデコーダRDECは、プリデコーダPDECからのロウプリデコード信号に応じて、ワード線WLのいずれかを高レベル電圧CVDDに設定する。このために、ロウデコーダRDEC内のワード線WLを駆動するドライバ回路(この例ではAND回路)の電源端子は、高レベル電圧線CVDDに接続されている。カラムデコーダCDECは、プリデコーダPDECからのカラムプリデコード信号に応じて、カラム選択信号線COLを高レベル電圧VDDに設定する。このために、カラムデコーダCDEC内のカラム選択信号線COLを駆動するドライバ回路(この例ではAND回路)の電源端子は、電源電圧線VDDに接続されている。
メモリセルアレイARYは、マトリックス状に配置された複数のスタティックメモリセルMCを有している。図3の横方向に並ぶメモリセルMCの列は、ワード線WLに接続されている。図3の縦方向に並ぶメモリセルMCの列は、相補のビット線対BL、BLXに接続されている。
カラム選択回路CSELは、ビット線対BL、BLXをグローバルビット線GBL、GBLXに選択的に接続するためのカラムスイッチCSWを有している。カラムスイッチCSWの例は、図9に示す。センスアンプSAは、センスアンプイネーブル信号SAEの高レベル中に動作し、グローバルビット線GBL、GBLXの信号量の差を増幅し、増幅した信号を読み出しデータDOUTとして出力する。図3に示したメモリセルアレイARY、カラム選択回路CSELおよびセンスアンプSAは、1つのデータ端子I/Oに対応する回路を示している。他のデータ端子I/Oに対応する回路も図3と同じである。
図4は、図3に示したレプリカ部REP(REP1、REP2、REP3、...、REPn)の例を示している。各レプリカ部REPは、互いに同じ回路であるため、ここでは、レプリカ部REP1について説明する。
レプリカ部REP1は、m個のダミーメモリセルDMC(DMC1、DMC2、...、DMCm)を有している。ダミーメモリセルDMCの回路例は、図8に示す。ダミーワード線DWL1およびダミービット線DBL1は、m個のダミーメモリセルDMCに共通に接続されている。
各ダミーメモリセルDMCは、論理0を記憶しており、ダミーワード線DWL1が高レベルに活性化されたときに、ダミービット線DBL1に低レベルを出力する。このとき、ダミービット線DBL1に流れる電流は、リアルメモリセルMCに接続されたリアルビット線BLに流れる電流のm倍である。これにより、ダミービット線DBL1の電圧低下の速度は、リアルビット線BLの電圧低下の速度のほぼm倍になる。換言すれば、ダミーワード線DWL1の活性化に応答するダミービット線DBL1の電圧低下量は、リアルワード線WLの活性化に応答するリアルビット線BLの電圧低下量のほぼm倍である。
ダミーアクセス信号DACの高レベルへの活性化に応答してダミーワード線DWL1が高レベルに活性化されると、プリチャージトランジスタPTによるダミービット線DBL1のプリチャージが停止する。ダミービット線DBL1の電圧は、レプリカ部REP1のダミーメモリセルDMCから出力される低レベルにより低下する。ダミービット線DBL1の電圧がCMOSインバータの論理閾値を超えると、次段のレベルシフタLSの入力に高レベル(VDD)が伝達され、ダミーワード線DWL2が高レベル(CVDD)に活性化される。ダミーワード線DWL2の活性化により、ダミービット線DBL2のプリチャージが停止し、ダミービット線DBL2の電圧は、レプリカ部REP2のダミーメモリセルDMCから出力される低レベルにより低下する。このように、ダミーアクセス信号DACの活性化に応答して、ダミーワード線DWL1−DWLnが順次に高レベルに活性化され、ダミービット線DBL1−DBLnの電圧は、順次に低下する。
上述したように、各レプリカ部REP1−REPnの各ダミービット線DBL1−DBLnの電圧の低下量は、通常のビット線BLの電圧の低下量のほぼm倍である。一方、レプリカ部REP1−REPnは、直列に接続されており、各ダミービット線DBL1−DBLnの電圧低下時間は積算されていく。このため、ダミーワード線DWLの活性化に応答するダミービット線DBLnの電圧低下量は、リアルワード線WLの活性化に応答するリアルビット線BLの電圧の低下量のm/n倍と見なすことができる。
例えば、外部電源電圧VDDを1.1V、読み出しアクセス動作において、センスアンプSAが動作を開始するときのビット線対BL、BLXの電圧差の設計値を110mV(すなわち、0.11V)とする。図3において、最終のダミービット線DBLn(例えば、n=4)に接続されたCMOSインバータの論理閾値を外部電源電圧VDDの1/2(0.55V)とする。このとき、ダミービット線DBLnの低レベルへの変化に応答して最適なタイミングのセンスアンプイネーブル信号SAEを生成するためには、ダミービット線DBLnの電圧低下量は、ビット線BL(またはBLX)の電圧低下量の5倍(0.55/0.11)に設定する必要がある。
この実施形態では、例えば、20個(m=20)のダミーメモリセルDMCを各々有する4個のレプリカ部REP1−REP4(n=4)をレプリカ回路REPCに形成することで(m/n=5)、最適なタイミングのセンスアンプイネーブル信号SAEを生成できる。あるいは、80個(m=80)のダミーメモリセルDMCを各々有する16個のレプリカ部REP1−REP16(n=16)をレプリカ回路REPCに形成することで(m/n=5)、最適なタイミングのセンスアンプイネーブル信号SAEを生成できる。
この実施形態では、最適なタイミングのセンスアンプイネーブル信号SAEを生成するために必要なダミーメモリセルDMCの数を任意に増やすことができる。センスアンプイネーブル信号SAEの生成に使用するダミーメモリセルDMCの数が多いほど、ダミーアクセス信号DAC内のトランジスタ特性のばらつきを平均化できる。これにより、センスアンプイネーブル信号SAEの生成タイミングのばらつきを小さくできる。
一方、図4に示した1つのレプリカ部REP1によりレプリカ回路REPCを形成するとき、ダミービット線DBL1の電圧低下量をビット線BL(またはBLX)の電圧低下量の5倍に設定するためには、5個のダミーメモリセルDMCしか使用することができない。このとき、トランジスタ特性のばらつきを十分には平均化できず、センスアンプイネーブル信号SAEの生成タイミングのばらつきを十分には小さくできない。
図5は、図3に示したパルスジェネレータPGの例を示している。パルスジェネレータPGは、NORゲート、奇数段のインバータ列IVRおよびAND回路を有している。NORゲートは、低レベルのダミーアクセス信号DACと、高レベルのライトイネーブル信号WEXを反転した信号を受けたときに、高レベルを出力する。そして、AND回路は、ダミーアクセス信号DACの立ち下がりエッジに同期して、インバータ列IVRの遅延時間に対応する正のパルス幅を有するパルス信号PLSを出力する。パルス信号PLSは、図3に示したバッファ回路BUF2を介してセンスアンプイネーブル信号SAEとして出力される。
図6は、図4に示したレベルシフタLSの例を示している。レベルシフタLSは、pMOSトランジスタP3、P4、nMOSトランジスタN3、N4およびCMOSインバータIV1、IV2を有している。CMOSインバータIV1の電源端子は、外部電源電圧線VDDに接続されている。CMOSインバータIV2の電源端子は、高レベル電圧線CVDDに接続されている。
トランジスタP3、N3は、高レベル電圧線CVDDと接地線VSSの間に直列に接続されている。トランジスタN3のゲートは、CMOSインバータIV1を介して、入力端子INに接続されている。トランジスタN3のドレインは、トランジスタP4のゲートに接続されている。トランジスタN4のゲートは、入力端子INに接続されている。トランジスタN4のドレインは、トランジスタP3のゲートおよびCMOSインバータIV2の入力に接続されている。CMOSインバータIV2の出力は、出力端子OUTに接続されている。
レベルシフタLSは、入力端子INで高レベル電圧VDDを受けたとき、出力端子OUTから高レベル電圧CVDDを出力する。レベルシフタLSは、入力端子INで低レベル電圧VSSを受けたとき、出力端子OUTから低レベル電圧VSSを出力する。
図7は、図3に示したメモリセルMCの例を示している。メモリセルMCは、一般的なスタティックRAMと同様に、負荷トランジスタLT1、LT2(pMOSトランジスタ)、ドライバトランジスタDT1、DT2(nMOSトランジスタ)およびアクセストランジスタAT1、AT2(nMOSトランジスタ)を有している。負荷トランジスタLT1、LT2の構造および電気的特性は互いに等しい。ドライバトランジスタDT1、DT2の構造および電気的特性は互いに等しい。アクセストランジスタAT1、AT2の構造および電気的特性は互いに等しい。
図8は、図4に示したダミーメモリセルDMCの例を示している。図8では、図4に示したレプリカ部REP1のダミーメモリセルDMCを示している。他のレプリカ部REP2−REPnのダミーメモリセルDMCも、接続される信号線名が異なることを除き、図8と同じである。
ダミーメモリセルDMCの素子構造は、図7に示したメモリセルMCの素子構造と同じである。但し、ダミーメモリセルDMCでは、負荷トランジスタLT1およびドライバトランジスタDT1のゲートは、高レベル電圧線CVDDに接続され、アクセストランジスタAT2のゲートは、接地線VSSに接続されている。これにより、ダミーメモリセルDMCは、常に低レベルLを保持する。換言すれば、ダミーワード線DWL1が高レベルに活性化されたとき、ダミーメモリセルDMCは、ダミービット線DBL1に常に低レベルLを出力する。
図9は、図3に示したカラムスイッチCSWの例を示している。カラムスイッチCSWは、pMOSトランジスタP5−P9およびCMOSインバータIV3を有している。pMOSトランジスタP5−P7は、ビット線対BL、BLXのプリチャージ回路(イコライズ回路)として動作する。すなわち、カラム選択線信号COLが低レベルの間、ビット線対BL、BLXは、pMOSトランジスタP5、P6を介して電源電圧VDDにプリチャージされ、pMOSトランジスタP7を介してイコライズされる。pMOSトランジスタP8、P9は、カラム選択線信号COLが高レベルの間にオンし、ビット線対BL、BLXをグローバルビット線GBL、GBLXに接続する。
図10は、図3に示したセンスアンプSAの例を示している。センスアンプSAは、いわゆるカレントミラータイプであり、一対のpMOSトランジスタを有するカレントミラー部CMと、一対のnMOSトランジスタを有する差動入力部DIとを有している。差動入力部DIは、nMOSトランジスタのゲートをグローバルビット線対GBL、GBLXにそれぞれ接続し、ソースを電源スイッチ回路PSWを介して接地線VSSに接続している。電源スイッチ回路PSWは、nMOSトランジスタで形成されており、ゲートで高レベルのセンスアンプイネーブル信号SAEを受けたときにオンする。
グローバルビット線GBLをゲートで受けるnMOSトランジスタのドレインは、CMOSインバータを介してデータ出力信号線DOUTに接続されている。センスアンプSAは、センスアンプイネーブル信号SAEが高レベルの期間に活性化され、グローバルビット線対GBL、GBLXの電圧差を差動増幅する。そして、センスアンプSAは、グローバルビット線GBL上のデータの論理と同じ論理を有するデータ出力信号DOUTを出力する。データ出力信号DOUTは、データ出力ラッチにラッチされ、データ端子I/Oから出力される。
図11は、図2に示した半導体メモリMEMの読み出しアクセス動作の例を示している。この実施形態の半導体メモリMEMは、ライトイネーブル信号WEXが高レベルのクロックサイクルで読み出しアクセス動作を実行する。読み出しアクセス動作期間は、1クロックサイクルである。なお、説明を簡単にするために、レプリカ回路REPCが4個のレプリカ部REP1−REP4を有し、各レプリカ部REP1−REP4が20個のダミーメモリセルDMCを有するとする。例えば、アドレス信号ADは、クロック信号CLKの立ち下がりエッジに同期して、半導体メモリMEMに供給される。
まず、クロック信号CLKおよび遅延クロック信号DCLKXの高レベル期間に、図3に示したnMOSトランジスタN1、N2がオンし、ノードND1が低レベルに変化する(図11(a))。ラッチ回路LTは、低レベルのノードND1に応答してダミーアクセス信号DACを高レベルに設定する(図11(b))。すなわち、ダミーアクセス信号DACは、クロック信号CLKの立ち上がりエッジに同期して高レベルに活性化される。次に、レプリカ部REP1に対応するレベルシフタLSは、ダミーアクセス信号DACの活性化に応答して、ダミーワード線DWL1を高レベル電圧CVDDに活性化する(図11(c))。
ダミーワード線DWL1の高レベル電圧CVDDへの変化により、ダミービット線DBL1のプリチャージ動作が停止する。また、ダミーワード線DWL1の活性化により、図4に示したレプリカ部REP1のダミーメモリセルDMCは、ダミービット線DBL1に論理0を出力する。ダミービット線DBL1は、ダミーメモリセルDMCから読み出されるデータが伝達され、プリチャージ電圧VDDから徐々に低下する(図11(d))。
ダミービット線DBL1の電圧を受けるCMOSインバータは、ダミービット線DBL1の電圧が論理0レベルまで低下したときに、高レベルを出力する。これにより、ダミーワード線DWL2が高レベルに活性化される(図11(e))。ダミーワード線DWL2の高レベルへの変化により、ダミービット線DBL2のプリチャージ動作が停止する。
このように、各ダミービット線DBL1−DBL4は、対応するダミーワード線DWL1−DWL4の活性化に応答して、互いに独立してプリチャージ動作が停止される。これにより、ダミービット線DBL1−DBL4がフローティング状態になる期間を最小限にでき、他の信号線からのカップリングノイズ等の影響を受けることを防止できる。この結果、半導体メモリMEMの読み出しマージンを向上できる。
ダミーワード線DWL2の活性化により、ダミービット線DBL2の電圧は、プリチャージ電圧VDDから徐々に低下する(図11(f))。これ以降、ダミーワード線DWL3−DWL4が順次に高レベルに変化し、ダミービット線DBL3−DBL4が順次に低レベルに変化する(図11(g))。
一方、プリデコーダPDECは、ダミーアクセス信号DACの高レベルへの変化に応答してデコード動作を開始し、プリロウデコード信号およびプリカラムデコード信号を生成する。これにより、ロウデコーダRDECおよびカラムデコーダCDECが動作を開始し、アドレス信号ADに対応するワード線WLおよびカラム選択線COLが高レベルに活性化される(図11(h))。ワード線WLの活性化により、メモリセルMCからビット線対BL、BLXにデータが読み出される。この例では、データが読み出されるメモリセルMCは論理0を保持しているため、ビット線BLがプリチャージ電圧から徐々に低下する(図11(i))。高レベルのカラム選択線COLを受けるカラムスイッチCSWがオンし、ビット線対BL、BLXの電圧は、グローバルビット線GBL、GBLXを介してセンスアンプSAに供給される。
動作制御回路CNTは、最終のダミービット線DBL4が低レベルに変化したときに、リセット信号RSTを低レベルに変化する(図11(j))。これにより、図3に示したpMOSトランジスタP1がオンし、ノードND1が高レベルに変化する(図11(k))。高レベルのノードND1に応答してダミーアクセス信号DACが低レベルに変化する(図11(l))。そして、ダミーワード線DWL1−DWL4は低レベルに非活性化される。
低レベルのダミーワード線DWL1−DWL4によりプリチャージトランジスタPTがオンするため、ダミービット線DBL1−DBL4は高レベルに変化する(図11(m))。プリデコーダPDECは、ダミーアクセス信号DACの低レベルへの変化に応答してデコード動作を停止する。これにより、ワード線WLおよびカラム選択線COLは低レベルに非活性化される(図11(n))。
一方、図3に示したパルスジェネレータPGおよびバッファ回路BUF2は、ダミーアクセス信号DACの立ち下がりエッジに同期してセンスアンプイネーブル信号SAEを高レベルに活性化する(図11(o))。これにより、センスアンプSAは増幅動作を開始する。例えば、ビット線対BL、BLX(より厳密には、GBL、GBLX)の電圧差VBLは、センスアンプイネーブル信号SAEが活性化されるタイミングで110mVになるように設計されている。これは、上述したように、例えば、20個のダミーメモリセルDMCを各々有する4個のレプリカ部REP1−REP4を用いてセンスアンプイネーブル信号SAEを生成することで実現される。
センスアンプSAで増幅された読み出しデータは、データ出力信号DOUTとしてデータ出力回路にラッチされる。そして、メモリセルMCから読み出されたデータは、データ端子I/Oから出力される(図11(p))。例えば、半導体メモリMEMは、クロック信号CLKの低レベル期間にデータ端子I/Oから読み出しデータDOUTを出力する。
この実施形態では、ダミーワード線DWL(DWL1−DWL4)の活性化電圧を、ワード線信号WLの活性化電圧と同じに設定することで、ダミーメモリセルDMCの動作タイミングをメモリセルMCの動作タイミングと等しくできる。この結果、ダミーワード線信号DWLのタイミング設計、すなわち、レプリカ回路REPCの回路設計を容易にできる。
また、電源電圧IOVDDが電源電圧VDDに対して変動するとき、電源電圧IOVDDから生成される高レベル電圧CVDDも電源電圧VDDに対して変動する。これにより、ワード線信号WLの活性化電圧が変化し、メモリセルMCからビット線対BL、BLXに読み出されるデータの出力タイミングが変化する。しかし、この実施形態では、ダミーワード線信号DWLの活性化電圧は、ワード線信号WLの活性化電圧と同じ高レベル電圧CVDDである。このため、ダミーワード線DWLの活性化電圧は、ワード線信号WLの活性化電圧と同様に変化する。この結果、電源電圧IOVDDまたは電源電圧VDDが変動しても、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングを、メモリセルMCからビット線対BL、BLXに読み出されるデータのタイミングに合わせて常に最適に設定できる。
図12は、図2に示した半導体メモリMEMの読み出しアクセス動作の別の例を示している。図11と同じ動作については、詳細な説明は省略する。この例では、レプリカ回路REPCは、40個(m=40)のダミーメモリセルDMCを各々有する8個のレプリカ部REP1−REP8(n=8)を有している。これにより、ビット線対BL、BLX(より厳密には、GBL、GBLX)の電圧差VBLは、センスアンプイネーブル信号SAEが活性化されるタイミングで110mVになる。
この例では、ダミーアクセス信号DACの活性化に応答してダミーワード線DWL1−DWL8が順次に高レベルに変化し、ダミービット線DBL1−DBL8が順次に低レベルに変化する(図12(a、b、c、d、e、f))。そして、リセット信号RSTは、最終のダミービット線DBL8の低レベルへの変化に応答して低レベルに変化する(図12(g))。その他の動作は、図11と同じである。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、レプリカ部REP1−REPnに対応して形成されるプリチャージトランジスタPTは、対応するダミーワード線DWL1−DWL4の活性化に応答して、互いに独立してプリチャージ動作を停止する。これにより、ダミービット線DBL1−DBL4がフローティング状態になる期間を最小限にでき、他の信号線からのカップリングノイズ等の影響を受けることを防止できる。
ダミーワード線DWL1−DWL4の活性化電圧を、ワード線WLの活性化電圧と同じ値CVDDに設定することで、ダミーメモリセルDMCの動作タイミングをメモリセルMCの動作タイミングと等しくできる。したがって、ダミーワード線信号DWLのタイミング設計、すなわち、レプリカ回路REPCの回路設計を容易にできる。さらに、電源電圧IOVDDまたは電源電圧VDDが変動しても、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングを、メモリセルMCからビット線対BL、BLXに読み出されるデータのタイミングに合わせて常に最適に設定できる。以上より、半導体メモリMEMの読み出しマージンを向上でき、半導体メモリMEMの歩留を向上できる。
図13は、別の実施形態における半導体メモリMEMの例を示している。この例では、レプリカ回路REPCは、外部端子を介してn個のタイミング変更信号CT(CT1−CTn)を受けている。例えば、タイミング変更信号CTは、半導体メモリMEMのアクセスを制御するメモリコントローラMCNTから出力される。その他の構成は、図2と同じである。
図14は、図13に示したレプリカ回路REPCの例を示している。レプリカ回路REPCは、レプリカ部REP1−REPnにそれぞれ対応して、直列に配置された一対のNANDゲートを有している。一対のNANDゲートは、タイミング変更信号CTのレベルに応じて、ダミーアクセス信号DACを供給するレプリカ部REP(REP1−REPn)を1つを選択し、選択されたレプリカ部REPより前段のレプリカ部REPの動作を禁止するレプリカ制御部として動作する。後段のNANDゲートは、図4に示した各ダミービット線信号DBL1−DBLnを受けるCMOSインバータの代わりに配置される。その他の構成は、レベルシフタLSの入力信号が異なることを除き、図4と同じである。
前段のNANDゲートは、ダミーアクセス信号DACおよびタイミング変更信号CT(CT1−CTnのいずれか)を受けている。前段のNANDゲートは、高レベルのタイミング変更信号CTを受けることにより有効状態に設定され、受けたダミーアクセス信号DACのレベルを反転して出力する選択回路として動作する。
後段のNANDゲートの出力は、対応するレベルシフタLSに接続されている。レプリカ部REP1に対応する後段のNANDゲートは、一方の入力で電源電圧VDDを受け、他方の入力で前段のNANDゲートの出力信号を受けている。各レプリカ部REP2−REPnに対応する後段のNANDゲートは、一方の入力で前段のレプリカ部REP(例えば、REP1)からのダミービット線信号DBL(例えば、DBL1)を受け、他方の入力で前段のNANDゲートの出力信号を受けている。
後段のNANDゲートは、前段のNANDゲートからのダミーアクセス信号DACの反転信号または前段のレプリカ部REPに対応するダミービット線DBLの低レベルへの変化に応答して、対応するダミーメモリセルDMCに読み出しアクセスするダミーアクセス制御回路として動作する。
この実施形態では、タイミング変更信号CT1−CTnのいずれか1つのみが高レベルに設定される。そして、高レベルのタイミング変更信号CTを受けるNANDゲート対に対応するレベルシフタLSのみがダミーアクセス信号DACの高レベルに応答してダミーワード線DWL(DWL1−DWLnのいずれか)を高レベルに変化する。
高レベルのタイミング変更信号CTを受けるNANDゲート対に対応するレベルシフタLSより後段のレベルシフタLSは、前段のダミービット線信号DBL(例えば、DBL2)の低レベルに応答して、ダミーワード線DWL(例えば、DWL3)を高レベルに変化する。高レベルのタイミング変更信号CTを受けるNANDゲート対に対応するレベルシフタLSより前段のレベルシフタLSは、ダミーワード線DWL(例えば、DWL1)を低レベルに保持し、ダミービット線DBL(例えば、DBL1)を高レベルに保持する。これにより、センスアンプイネーブル信号SAEを生成するために動作するレプリカ部REPの数を簡易に変更できる。すなわち、センスアンプイネーブル信号SAEの生成タイミングを調整できる。
図15は、図14に示したレプリカ回路REPCの動作仕様の例を示している。この例では、レプリカ回路REPCが4個のレプリカ部REP1−REP4を有し、各レプリカ部REP1−REP4が20個のダミーメモリセルDMCを有するとする。このとき、4本のタイミング変更信号CT(CT1−CT4)が半導体メモリMEMに供給される。タイミング変更信号CTの1つは論理1に設定され、残りのタイミング変更信号CTは論理0に設定される。
センスアンプイネーブル信号SAEを生成するために使用するレプリカ部REPの段数は、論理1に設定されるタイミング変更信号CTに応じて変化する。使用されるレプリカ部REPの段数が少ないとき、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングは早くなる。使用されるレプリカ部REPの段数が多いとき、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングは遅くなる。
図16は、図13に示した半導体メモリMEMの読み出しアクセス動作の例を示している。図11と同じ動作については、詳細な説明は省略する。この例では、レプリカ回路REPCが4個のレプリカ部REP1−REP4を有し、各レプリカ部REP1−REP4が20個のダミーメモリセルDMCを有しているとする。タイミング変更信号CT2のみが高レベルHに設定され、他のタイミング変更信号CT1、CT3−CT4は低レベルLに設定される。
このとき、図13に示したレプリカ部REP1の動作は禁止される。ダミーワード線DWL1は低レベルLに保持され、ダミービット線DBL1は高レベルHに保持される(図16(a))。そして、高レベルのタイミング変更信号CT2に対応するレプリカ部REP2と、レプリカ部REP2より後段のレプリカ部REP3−REP4を使用してセンスアンプイネーブル信号SAEが生成される。具体的には、ダミーアクセス信号DACの活性化に応答して、ダミーワード線DWL2が高レベルに変化し、ダミービット線DBL2が徐々に低レベルに変化する(図16(b、c、d))。これ以降の動作は、図11と同じである。図16では、使用するレプリカ部REPの数を減らすことで、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングは、図11より早くなる。
図17は、図13に示した半導体メモリMEMが搭載されるシステムSYSの例を示している。例えば、システムSYSは、ロジックチップLOGICとメモリチップMEMが形成されるシステムオンチップSOCを含んでいる。特に限定されないが、ロジックチップLOGICは、半導体メモリMEMにアクセスするメモリコントローラの機能を有している。
この例では、半導体メモリMEMのタイミング変更端子CT1−CT4は、システムオンチップSOC(シリコン)上で、メタル配線層等を利用して、電源線VDDまたは接地線VSSに接続されている。すなわち、タイミング変更端子CT1−CT4のレベルは、システムオンチップSOCを製造するためのフォトマスクの配線パターンに依存して決まる。したがって、タイミング変更端子CT1−CT4のレベルは、システムオンチップSOCの製造時に設定される。
図18は、図13に示した半導体メモリMEMが搭載されるシステムSYSの別の例を示している。この例では、半導体メモリMEMのタイミング変更端子CT1−CT4は、システムオンチップSOCの外部端子に接続されている。そして、タイミング変更端子CT1−CT4のレベルは、システムオンチップSOCが搭載される基板上で設定される。あるいは、タイミング変更端子CT1−CT4のレベルは、システムオンチップSOCを制御する上位のコントローラにより設定される。このため、タイミング変更端子CT1−CT4のレベルは、システムSYSのパワーオン時に設定可能であり、またはシステムSYSの動作中に変更可能である。
図19は、図13に示した半導体メモリMEMが搭載されるシステムSYSの別の例を示している。この例では、タイミング変更端子CT1−CT4のレベルは、ロジックチップLOGICに形成されるスキャンラッチSLTを用いて設定される。具体的には、スキャンクロック信号SCLKに同期してスキャン入力端子SIからタイミング変更端子CT1−CT4のレベルを設定するための信号が供給される。このため、タイミング変更端子CT1−CT4のレベルは、システムSYSのパワーオン時に設定可能である。なお、スキャンラッチSLTは、スキャン入力端子SIとスキャン出力端子SOを用いてロジックチップLOGICの相互接続試験(基板接続試験)を実施するためにも使用される。
図20は、図13に示した半導体メモリMEMが搭載されるシステムSYSの別の例を示している。この例では、タイミング変更端子CT1−CT4は、システムオンチップSOCに形成されたヒューズ回路FUSEに接続されている。そして、ヒューズ回路FUSEをプログラムすることで、タイミング変更端子CT1−CT4のレベルが設定される。このため、タイミング変更端子CT1−CT4のレベルは、システムオンチップSOCの試験工程またはシステムSYSの製造工程で設定される。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、タイミング変更信号CT1−CTnのレベルに応じて、ダミーアクセス信号DACに応答して最初に活性化されるダミーワード線DWL1−DWLnを任意に選択できる。これにより、ダミーアクセス信号DACの活性化からセンスアンプイネーブル信号SAEの活性化までの時間を調整できる。例えば、トランジスタの閾値電圧が製造条件の変動等によりシフトしても、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングをタイミング変更信号CT1−CTnにより最適に設定できる。この結果、半導体メモリMEMの読み出しマージンを向上でき、半導体メモリMEMの歩留を向上できる。
図21は、別の実施形態におけるレプリカ回路REPCの例を示している。この実施形態では、レプリカ回路REPCは、プリチャージトランジスタPTとダミービット線DBL(DBL1−DBLnのいずれか)の間に配置されたプリチャージトランジスタPT2を、各レプリカ部REP1−REPnに対応して有している。プリチャージトランジスタPT2は、pMOSトランジスタである。初段のレプリカ部REP1に対応するプリチャージトランジスタPT2のゲートは、ダミーアクセス信号DACを受けている。2段目以降のレプリカ部REP2(REP2−REPnのいずれか)に対応するプリチャージトランジスタPT2のゲートは、前段からのダミービット線信号DBL(DBL1−DBLn−1のいずれか)の反転論理を受けている。レプリカ回路REPCのその他の構成は、図4と同じである。
ダミーワード線DWL1−DWLnの高レベル電圧は、レベルシフタLSにより、電源電圧VDDより高い高レベル電圧CVDDに設定される。図2に示したように、高レベル電圧CVDDは、内部電圧生成回路VGENにより、I/O用の電源電圧IOVDDを降圧することで生成される。このため、電源電圧IOVDDが低下すると、高レベル電圧CVDDも低下する。高レベル電圧CVDDが電源電圧VDDより低くなると、ダミーワード線DWL(DWL1−DWLnのいずれか)が高レベル電圧CVDDに活性化されているときに、プリチャージトランジスタPTのゲート電圧は相対的に低くなる。これにより、プリチャージトランジスタPTのソース、ドレイン間の抵抗は低くなり、リーク電流が流れる。
この実施形態では、ゲートで高レベルVDDを受けてオフするプリチャージトランジスタPT2により、リーク電流がダミービット線DBL(DBL1−DBLnのいずれか)に流れることを防止できる。これにより、例えば、ダミーワード線DWL1が高レベル電圧CVDDに活性化され、ダミーメモリセルDMCからダミービット線DBL1に低レベルが出力されるときに、プリチャージトランジスタPTを介してダミービット線DBL1が充電されることを防止できる。換言すれば、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングが、プリチャージトランジスタPTのリーク電流により遅れることを防止できる。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、ダミーワード線DWLの活性化レベルを高レベル電圧CVDDに設定し、ダミービット線DBLのプリチャージレベルを電源電圧VDDに設定するときに、高レベル電圧CVDDの変動により、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングがずれることを防止できる。この結果、半導体メモリMEMの読み出しマージンを向上でき、半導体メモリMEMの歩留を向上できる。
図22は、別の実施形態におけるレプリカ回路REPCの例を示している。この実施形態では、レプリカ回路REPCは、図21の回路に、図14に示した直列に配置されたNANDゲート対を追加している。すなわち、図22の回路は、センスアンプイネーブル信号SAEを生成するために動作するレプリカ部REPの数をタイミング変更信号CT1−CTnにより変更する機能を、図21のレプリカ回路REPCに追加している。以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図23は、レプリカ部REP1の別の例を示している。例えば、レプリカ回路REPCのレプリカ部REP1は、24個のダミーメモリセルDMC1−DMC24を有している。他のレプリカ部REP2−REPnも、レプリカ部REP1と同じである。レプリカ回路REPCのその他の構成は、図4と同じである。図23の回路は、図1、図4、図14、図21および図22に適用可能である。
この例では、ダミーメモリセルDMC1−DMC4は、動作を禁止するために、ダミーワード線DWL1の代わりに接地線VSSに接続されている。例えば、接地線VSSへの接続は、フォトマスクの配線パターンにより行われる。
図23のレプリカ部REP1では、ダミーワード線DWL1に接続するダミーメモリセルDMCの数を配線パターンにより変更することで、ダミーワード線DWL1が高レベルに活性化されたときのダミービット線DBL1の電圧低下の速度を調整できる。これにより、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングを微調整できる。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。